著者
五十嵐 陽介
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.46-65, 2016-12-30 (Released:2017-07-04)
参考文献数
44

The Ikema dialect of Miyako, Southern Ryukyuan, has a three-pattern accent system in which three tone classes (Types A, B, and C) are lexically contrastive, although the Type A simplex nouns are fewer. The biased distribution of tone classes is a consequence of the diachronic change, whereby Types A and B are merged together. This study aims to confirm that the three-pattern system in Ikema retains the proto-Ryukyuan system and to demonstrate that a set of words that are originally of Type A and share specific meanings are not merged into Type B.
著者
五十嵐 潤
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.172-182, 2021-12-05 (Released:2022-01-05)
参考文献数
68

脳シミュレーションで「脳を創れるのか」の検討を行う.はじめに,脳シミュレーションの再現性の限界,記述レベル,並列計算の性質を確認し,計算機と脳計測の動向から,全脳シミュレーションの予測を行う.
著者
五十嵐 輝 田中 絵麻 小山 友介
出版者
一般社団法人 日本デジタルゲーム学会
雑誌
日本デジタルゲーム学会 年次大会 予稿集 第12回 年次大会 (ISSN:27586480)
巻号頁・発行日
pp.41-44, 2022 (Released:2023-03-20)
参考文献数
7

動画共有配信プラットフォーム上で拡大する「ゲーム実況」を軸に、米国大手プラットフォーマーのゲーム動画コンテンツ市場への参入及びプラットフォーム間競争の激化、そして日本国内の動画共有配信プラットフォームであるニコニコ動画の停滞から、ゲーム動画コンテンツ市場におけるプラットフォーム間競争を考察する。結論としては、ニコニコ動画の停滞は、収益還元の不足によるゲーム動画コンテンツクリエイターの流出と、それにつられた視聴者の移動によって引き起こされたものである。
著者
鈴木 梢 森田 達也 田中 桂子 鄭 陽 東 有佳里 五十嵐 尚子 志真 泰夫 宮下 光令
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.731-737, 2017 (Released:2017-11-10)
参考文献数
11
被引用文献数
4 5

本調査は広い概念での補完代替医療(complementary and alternative medicine: CAM)の使用実態や家族の体験を知り,がん患者とのコミュニケーションに活かすことを目的とし,緩和ケア病棟の遺族への自記式質問用紙調査(J-HOPE2016)の一部として実施された.調査の結果,がん患者の54%がCAMを使用し,内容はサプリメントのほか,運動やマッサージなど多岐に渡っていた.多くはがん治療や経済面に影響のない範囲でCAMを用いていたが,一部でがん治療や経済面への影響も懸念され,医療者からCAMについて話題にする姿勢が重要と考えられた.また,CAM使用との関連要因として若年患者,遺族が高学歴であることが抽出され,さらに,CAMの使用は家族の心理面に影響を及ぼしている可能性が示唆された.CAM使用歴のある患者家族の心理面・精神面にも注意を向ける必要がある.今後,CAMの内容別,緩和ケア病棟以外で死亡した患者についても調査を進めることが求められる.
著者
鈴木 美保 五十嵐 彰 大沼 克彦 門脇 誠二 国武 貞克 砂田 佳弘 西秋 良宏 御堂島 正 山田 哲 吉田 政行
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.471-484, 2002-12-01 (Released:2009-08-21)
参考文献数
36

本論では,剥片の製作痕跡から石器製作時に使用されたハンマー素材を推定する方法を,実験考古学的手法によって考察した.硬質の石,軟質の石,鹿角,木の4素材のハンマーを用いて,実験的に製作した剥片痕跡の諸属性を検討した結果,ハンマー素材の差は剥片の剥離開始部分の属性に特徴的に現れることが判明した.そして,それらの諸属性を組み合わせることで,各素材と相関性の高い5類型に区分をすることができた.また,各素材と剥離対象物である黒曜石のビッカース硬さ測定した結果,その類型区分はハンマー素材と剥離対象物とのビッカース硬さの関係に相関していることも明らかになった.さらに,南関東地方の後期旧石器時代の2遺跡出土の剥片群に対してハンマーの推定を試みたところ,いずれも軟質の石によって製作されたものである可能性が高いことがわかった.
著者
五十嵐 陽介 田窪 行則 林 由華 ペラール トマ 久保 智之
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.134-148, 2012-04-30

聴覚印象に基づいて分類した3種類のアクセント型にそれぞれ所属するテスト語は,音響的にも互いに有意に異なっていることが,分散分析の結果によって確認された。また,あらかじめ分類を行わずに音響特徴のみを与えてテスト語を分類させるクラスター分析の結果,3種類のクラスターが得られた上,各クラスターの成員が,聴覚印象に基づいて分類したアクセント型の成員とほぼ完全に一致した。以上の結果から,池間方言のアクセント体系は三型であって二型ではないということは,動かしがたい事実であると断言することができる。本節の分析により,池間方言と多良間方言の間にはそれぞれのアクセント型に所属する語彙に規則的な対応があることが示されたが,同時に池間方言のA型の語彙数が極端に少ないことも明らかにされた。A型の語彙が極めて少ない事実もまた,池間方言のアクセント体系が二型であるとする誤った記述の原因のひとつであると考えられる。方言間の対応については次節でも触れる。
著者
五十嵐 雅之
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.37-42, 2015-12-20 (Released:2016-12-20)
参考文献数
38

3大感染症(エイズ,マラリア,結核)および顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs, 17疾患群)は,患者の多くが途上国に偏在するため,先進国で爆発的に蔓延したエイズを除き,長い間新薬研究開発の対象としては顧みられてこなかった.近年,これら3大感染症およびNTDsに対し革新的な新薬をより効率的に開発し蔓延国に供給する目的で,国際機関,各国政府あるいは官民が連携し研究開発の支援組織が発足している(1).この支援のもとで国際的に新薬の開発が進められているが,なかでも天然物からの治療薬探索は有用かつ革新的な新薬を開発しうるアプローチとして大きな期待を受けている.この分野で先駆的な成功を収めた大村らに2015年のノーベル医学生理学賞が授与されることもその期待の表れと言えよう.大村らが発見した放線菌Streptomyces avermitilisの生産するエバーメクチン(avermectin)の誘導体イベルメクチン(2)(ivermectin,図1)が線虫に起因するオンコセルカ症などの治療薬として開発され,またTuらによりマラリア治療薬としてアルテミシニン(3)(artemisinin,図1)が植物成分より単離されいずれも有用性の高い革新的な新薬として使用されている.本稿では,3大感染症の一つである結核の治療薬の開発状況を天然物の視点で紹介したい.
著者
平井 伸幸 五十嵐 浩也
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.112, 2015 (Released:2015-06-11)

音楽のライブコンサートの魅力の1 つに大音量の重低音による振動が考えられる。この研究の目的はどのような場所でも音響的な制約に縛られることなく、また遠く離れた場所でも低音によるライブコンサートの臨場感を味わうことができる「リモートライブ」用に低音を身体に入力するウェアラブルデバイスを制作するため、人間の上半身の周波数毎の低音の振動感度と振動伝播範囲のデータを得、振動の入力に適した部位を特定することを目的としている。実験では上半身の複数の点においての振動感度を3 つの周波数で測定を行った。それと同時に振動が伝播した範囲がインタビューによって報告された。実験から、4 点の測定点において振動感度が高かったことや振動の伝播が周波数に依存する傾向があることが確認された。
著者
大橋 正司 五十嵐 佳奈
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.213-216, 2019-03-15 (Released:2019-06-01)
参考文献数
9

デジタルアーカイブを市民へと開いていく中では、研究者などの「すでにそこにいる」利用者ではない人々の眼差しを共感的に理解し、新たな利用者が使い続けたいと感じるサービスの提供や、多様な使い方を保証するのに必要な機能やインタフェースの有効性を検証するデザイン手法の成熟が鍵を握る。そこで本発表では、デジタルアーカイブの設計における課題とデザイン手法の必要性を整理し、現場の必要に応じて導入できるデジタルアーカイブのデザインプロセスの標準化について検討する。デジタルアーカイブアセスメントツール[1]を機械的に達成すべき「チェックリスト」ではなく、適切なデザインプロセスの結果、必然的に達成される「アウトプット」として、具体的に分かりやすく導き出せることを示し、デジタルアーカイブの設計者が、サービスの多様性と利活用の可能性を大きく広げられる素地をつくることを目指す。
著者
高久 英徳 五十嵐 康博 清原 博光 大山 和幸 黒澤 篤 齋藤 真里子 宮根 和弘 平松 美裕子
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.125-130, 2007-02-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
9
被引用文献数
1

北海道の一養豚場の豚が2002年および2003年に市販の豚コレラELISAキットで抗体陽性と判定されたが, 病性鑑定の結果から豚コレラの発生は否定的と考えられた. ELISAで抗体陽性と判定された豚はすべて豚コレラワクチン未接種であったので, 豚コレラウイルス (CSFV) と同じペスチウイルス属の牛ウイルス性下痢ウイルス (BVDV), ボーダー病ウイルス (BDV) を指示ウイルスに交差中和試験を行い, 当該豚に感染したペスチウイルスの特定を行った. その結果, BVDV NOSE株に対する抗体価がCSFVに対するそれよりも著しく高かった. これらの成績と豚と牛が過去に間接的に接触する機会があったという疫学調査の結果から, ELISAで抗体陽性と判定された豚は過去にBVDVに感染したものと考えられる. 本成績から, 豚コレラの診断においては豚へのBVDVおよびBDV感染も考慮する必要があることが示された.
著者
林 大一郎 大島 卓 鈴木 雅和 五十嵐 浩也
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.182, 2013 (Released:2013-06-20)

福島県鏡石町と須賀川市にまたがる、「岩瀬牧場」は、明治13年に設立された日本最初期の西欧式官営牧場であり、その後様々な変遷を経て規模は縮小されたものの、民営化され現在も経営が存続している。当牧場は文化財的価値を有する建築群や明治の牧場の原風景を残しているが、知名度は低く一般にその価値が認識されていない。著者らは建築・環境・プロダクト・情報デザインの観点から岩瀬牧場の価値を再評価し、地域振興に寄与する目的で研究を継続している。本論文では、岩瀬牧場に残されている農業機械群のうち、フォードソン社製造のF型トラクターに注目し、その現状調査と保全意義の考察を行った。
著者
吉川 麗子 五十嵐 中 後藤 励 諏訪 清美
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.422-432, 2017 (Released:2017-09-30)
参考文献数
10

目的 本研究では,一般成人を対象に,以下の2つを目的とした。1.「周囲に非喫煙者がいる状況での喫煙」に関して喫煙者と非喫煙者の認識とその差異を明らかにすること。2.喫煙と受動喫煙の健康影響に関する知識を提供することにより,喫煙者・非喫煙者それぞれ,行動を起こす意思に何らかの変化が生じるか否かを調べることである。方法 20歳から69歳までの喫煙者・非喫煙者を,喫煙と受動喫煙の健康影響に関する情報を提供する群(提示あり群)と,提供しない群(提示なし群)にランダムに割付けた。Webによるオンライン調査にて,喫煙ルールが明確でない飲食店という状況を設定し,喫煙に関する意識や行動への意思,また一般の飲食店での認識について回答を得た。提示なし群での喫煙者と非喫煙者の認識は記述統計量を算出した。喫煙者・非喫煙者それぞれの提示あり群と提示なし群の比較においては,順序尺度の変数には対応のないt検定,名義尺度の変数にはχ2検定を用いた。また,喫煙者の喫煙行動に影響を与える因子を特定するために,多重ロジスティック回帰分析を行った。結果 全体として2,157人(喫煙者1,084人,非喫煙者1,073人)から回答を得た。設定した飲食店の環境で,タバコを吸うと回答した喫煙者の24.8%は吸う前に吸っても良いか「聞く」と回答し,吸っても良いか聞かれたことがある非喫煙者は2.8%であった。設定した飲食店の環境で,タバコを「吸おうと思う」と回答した喫煙者は提示あり群16.4%,提示なし群22.8%と有意な差を示した。「吸わない」と回答した人の中で最も多かった理由は,両群ともに「席に灰皿が置いてない」であった。非喫煙者では,吸う前に吸っても良いかと聞かれた場合,「吸わないように頼む」は提示あり群37.4%,提示なし群27.6%であった。多重ロジスティック回帰分析を行った結果,ニコチン依存度,世帯年収,妊娠の状況,家庭での喫煙状況,年代,資料提示有無の項目が喫煙者の喫煙行動と関連性が示された。結論 本調査により,非喫煙者の多くが喫煙されることを望まないにもかかわらず,その意思を喫煙者に伝えていないことが明らかとなった。一方で喫煙者の喫煙意思は,非喫煙者の喫煙者への意思表示や,灰皿の配置などの喫煙を許容する飲食店内の状況に影響される可能性が示された。また,喫煙および受動喫煙に関する情報提供が,喫煙者と非喫煙者の喫煙に関する行動への意思に影響を与える一因である可能性が示唆された。
著者
山縣 友紀 五十嵐 芳暢 中津 則之 堀本 勝久 福井 一彦 植沢 芳広 山田 弘
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.D-I81_1-18, 2019-03-01 (Released:2019-03-01)
参考文献数
40
被引用文献数
2

In drug development, Drug-Induced Liver Injury (DILI) is a significant cause of discontinuation of development, and safety evaluation and management technology at early development stage are highly required. In recent years, toxicity prediction by in silico analysis is expected, and the machine learning research using omics data has attracted attention. However, the lack of explanation of machine learning is a problem. In order to make an appropriate safety assessment, it is necessary to clarify the mechanism of the toxicity (toxic course). In this study, we focus on the toxic course and propose an ontological model of the liver toxicity, which systematizes toxicity knowledge based on a consistent viewpoint. In application research, we introduce a prototype of a knowledge system for supporting toxicity mechanism interpretation. Based on the ontology, this system provides information flexibly according to the user's purpose by using semantic technologies. The system provides a graph visualization function in which nodes correspond to concepts and edges correspond to interactions between concepts. In such a visualization function, a toxic course map shows causal relationships of the toxic process. We illustrate examples of application to safety assessment and management by combining ontological and data-driven methodologies. Our ontological engineering solution contributes to converting from data to higher-order knowledge and making the data explainable in both human and computer understandable manner. We believe that our approach can be expected as a fundamental technology and will be useful for a wide range of applications in interdisciplinary areas.
著者
五十嵐 悠紀 五十嵐 健夫 鈴木 宏正
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.51-58, 2009-01-27
被引用文献数
1

"あみぐるみ"は毛糸を使って作るぬいぐるみであるが,毛糸の編み方によって形状をデザインしていくため,初心者にはデザインすることが困難である.我々は3次元モデリングプロセスにインタラクティブな物理シミュレーションを組み合わせることであみぐるみを効率的にデザインできるモデラーを作成した.本システムは自動で編み目を計算してあみぐるみモデルをシミュレーション結果として提示するため,初心者にでも直感的にデザインでき,編み図も容易に得ることができる.また,初めてあみぐるみに挑戦する初心者でも製作手順を容易に理解できるようにするために,製作手順を視覚的に提示する製作支援インタフェースも備えた.あみぐるみ初心者でも容易にオリジナルなあみぐるみを作成できることを確認したので報告する.
著者
香川(田中) 聡子 中森 俊輔 大河原 晋 岡元 陽子 真弓 加織 小林 義典 五十嵐 良明 神野 透人
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第40回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.2003146, 2013 (Released:2013-08-14)

【目的】室内環境中の化学物質はシックハウス症候群や喘息等の主要な原因,あるいは増悪因子となることが指摘されているが,そのメカニズムについては不明な点が多く残されている。イソチアゾリン系抗菌剤は塗料や化粧品・衛生用品等様々な製品に使用されており,塗料中に含まれるこれら抗菌剤が室内空気を介して皮膚炎を発症させる事例や,鼻炎や微熱等のシックハウス様症状を示す事例も報告されている。本研究では,侵害受容器であり気道過敏性や接触皮膚炎の亢進にも関与することが明らかになりつつあるTRPイオンチャネルに対するイソチアゾリン系抗菌剤の活性化能を検討した。【方法】ヒトTRPV1及びTRPA1の安定発現細胞株を用いて,細胞内Ca2+濃度の増加を指標としてイオンチャネルの活性化能を評価した。Ca2+濃度の測定にはFLIPR Calcium 5 Assay Kitを用い,蛍光強度の時間的な変化をFlexStation 3で記録した。【結果および考察】2-n-octyl-4-isothiazolin-3-one (OIT)がTRPV1の活性化を引き起こすことが明らかになった(EC50:50 µM)。また,TRPA1に関しては,2-methyl-4-isothiazolin-3-one (MIT),5-chloro-2-methyl-4-isothiazolin-3-one (Cl-MIT),OIT,4,5-dichloro-2-n-noctyl-4-isothiazolin-3-one (2Cl-OIT)及び1,2-benzisothizolin-3-one (BIT)が顕著に活性化することが判明し,そのEC50は1~8 µM (Cl-MIT, OIT, 2Cl-OIT, BIT)から70 µM (MIT)であった。これらの物質が,TRPV1及びA1の活性化を介して気道過敏性の亢進等を引き起こす可能性が考えられる。諸外国においてはこれら抗菌剤を含む製品の使用により接触皮膚炎等の臨床事例が数多く報告されており,我が国でも近年,冷感効果を謳った製品の使用による接触皮膚炎が報告され,その原因としてイソチアゾリン系抗菌剤の可能性が指摘された。これら家庭用品の使用により,皮膚炎のみならず,気道過敏性の亢進等シックハウス様の症状が引き起こされる可能性も考えられる。
著者
白木 優馬 五十嵐 祐
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.87.15040, (Released:2016-09-10)
参考文献数
26
被引用文献数
3

We examined two psychological processes of prosocial behavior: feeling gratitude and indebtedness. First, we asked if the value of the behavior for the receiver promotes gratitude; and second if the cost of the behavior for the giver promotes indebtedness. Gratitude and indebtedness were measured as behavioral indices of a quid pro quo (indirect reciprocity and direct reciprocity) to avoid social desirability effects in self-report measures. In Study 1, 119 undergraduates recalled a past experience in which they had been the recipients of prosocial behavior while emphasizing the value, cost, or situation (control) of the event. The level of gratitude was higher, and indirect reciprocity was observed more frequently, in the value condition than in the cost and control conditions. Indebtedness, however, did not differ across the conditions. In Study 2, 59 participants received a gift (the value and cost of which were manipulated) from an imaginary confederate. The value manipulation promoted indirect reciprocity, and both value and cost manipulations encouraged direct reciprocity. Implications for adaptive functions of gratitude in social selection processes are discussed.
著者
佐藤 有紀 五十嵐 祐
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.93-100, 2017-12-25 (Released:2017-12-25)
参考文献数
37

This study investigated the effect of a player’s regulatory focus on his/her preference for cooperation and prosociality in a social dilemma situation. After the manipulation of regulatory focus, participants chose cooperation (remaining silent) or defection (betrayal) in simultaneous and sequential Prisoner’s Dilemma (PD) tasks based on a traditional scenario of prison sentence rewards. Participants in the prevention focus condition showed more defection than did those in the promotion focus and the control conditions. In the sequential PD task, a greater number of participants in the prevention focus condition used an egoistic strategy (i.e., consistent defection) as the second movers than did those in the promotion focus and the control conditions, who tended to use a conditional cooperation strategy. These findings suggest that prevention-focused players show a less strong preference for cooperation and behave more selfishly when the pay-off matrix is loss-framed.