著者
掛川 茉祐 小宮山 諒 政倉 祐子 菊池 眞之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.480, pp.233-238, 2013-03-13

本研究では脳活動データと感性評価結果から,音楽のジャンル識別を行う.脳活動の計測にはNIRSを用いて行い,感性評価の指標としてSD法を用いて実験を行った.これら2つのデータから既知の曲判別やジャンルによる感性評価と脳活動の関連性を見出すことを行った.結果として,既知の判別であれば平均88%で判別が可能であり,2ジャンル間での識別では平均66%で可能であった.感性評価の回帰に関しては,一部の感性評価において回帰が可能であることが示唆された.
著者
伊藤 幸太 藤原 育海 細田 耕 名倉 武雄 荻原 直道
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム (ISSN:13487116)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.31-41, 2016

<p>二足歩行中のヒト足部変形を3次元的かつ包括的に計測することは, 靴など製品の人間工学設計や, 整形外科における外反母趾の診断等において重要である. 本研究では, 計測物表面の変位・ひずみ分布やその方向を非接触で計測する手法として近年注目されているデジタル画像相関法を用いて, 二足歩行中の詳細なヒト足部の3次元変形動態の計測を行った. 成人男性5名に自由選択速度で歩行を行わせた際の右足部内外側面を計4台のハイスピードカメラを用いて撮影した. 足部表面には水性黒スプレーを用いてランダムな斑模様を塗付し, 模様の時空間的変化から立脚期中の足部の3次元形状変化と皮膚表面のひずみ変化を算出した. その結果, 立脚期前期および後期に立方骨付近の皮膚で特徴的な内外側方向の伸長がみられた. また, 踵離地後に後足部外側が伸長, 内側が収縮することが明らかとなった. 本手法の計測誤差をアルミ平板の形状計測により評価したところ, 約0.1mm以下であり, 歩行中に起きる足部変形量と比較しても十分小さいことを確認した. 本手法により得られる二足歩行中の足部の定量的な変形情報は, 人間工学や整形外科学分野において重要な知見になりうると考えられる.</p>
著者
熊倉 啓之
出版者
一般社団法人 数学教育学会
雑誌
数学教育学会誌 (ISSN:13497332)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3-4, pp.99-107, 2014 (Released:2020-04-21)

多角形の1 つの内角に対して,外部にできる大きさが(360°-内角)に等しい角を「外周角」と呼ぶことにする。本研究の目的は,外周角の性質を数学的に考察した上で,外周角の性質に関わる教材化を検討し,指導展開例を開発することである。まず,外周角の性質について考察して,「六角形では,(4 つの内角の和)=(他の2 つの外周角の和)が成立する」等をはじめとして,全部で10 個の性質に整理した。次に,外周角の性質に関わる教材化について検討し,3 つの問題で構成する指導展開例を開発した。最後に,開発した教材の有効性について考察を加えた。
著者
野村 康弘 倉本 宣
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会大会講演要旨集 第51回日本生態学会大会 釧路大会
巻号頁・発行日
pp.528, 2004 (Released:2004-07-30)

カワラバッタEusphingonotus japonicus (Saussure)は、砂礫質河原という植生がまばらな河原に特異的に生息する昆虫である。近年各地で減少が著しく、東京都では絶滅の危機が増大している種と選定されており、一刻も早い対策が求められている。本種は主に被植度の少ない砂礫質河原に好んで生息することが先行研究により報告されているが、それ以外の保全に関する情報は今のところ報告されていない。そこで、多摩川における本種の分布域、個体群の規模、産卵地選好性を明らかにし、保全に関する基礎的知見を得ることを目的とし、研究を行った。 多摩川の砂礫質河原を踏査した分布調査により、河口から47-57kmの範囲で個体群を確認した。また、標識再捕獲法による個体数推定では一つの個体群の平均が371±174(95%信頼区間)個体で、調査を行った場所の全体(6箇所)としては2,296±978個体と推定された。砂礫質河原面積と個体数で回帰分析を行ったところ、正の相関関係(r2=0.85)が認められた。本種の個体数には砂礫質河原面積が影響していることが示唆された。産卵地選好性の研究では飼育箱に本種を20匹放し、6つの異なる環境を設定して行った。環境条件は砂礫構成を1.透かし礫層、2.礫間にマトリックスがあるパターン、3.表層細粒土層があるパターンとし、下層の粒度分布を粗砂、細砂の2つを設定した。卵鞘は合計で23個産卵され、全体で最も多く産卵された環境は、透かし礫層で粗砂の環境であり、全体の43.5%を占めた。さらに、砂礫構成だけでみてみると透かし礫層が最も多く69.6%を占め、下層粒度だけでは粗砂のほうが多く69.6%を占めた。このことから、地面と礫または礫と礫の間に多くの空間が構成され、植生がほとんどない下層の礫径が大きい環境を好むことが推察された。
著者
小島 美世 山﨑 理 堀井 淳一 井上 陽子 鈴木 一恵 田邊 直仁 村山 伸子 小川 佳子 中川 圭子 草野 亮子 関 芳美 波田野 智穂 磯部 澄枝 栃倉 恵理 石田 絵美
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.232-242, 2020

<p>【目的】新潟県では,1965年代から脳血管疾患対策として様々な減塩運動を展開してきた。しかし,脳血管疾患年齢調整死亡率は全国平均より高く,食塩摂取量も全国平均を上回る結果だった。そこで2009年度から新たな減塩運動「にいがた減塩ルネサンス運動」に10年間取り組んだ。その取組をとおし栄養・食生活分野におけるPDCAサイクルに基づく成果の見える栄養施策の展開を試みた。</p><p>【方法】実態把握から優先順位の高い健康課題の抽出と,その背景となる栄養・食生活の要因を分析し,その要因が改善されるよう施策を整理し目標達成を目指した。また,各々の施策の事業効果が目標達成にどう影響を及ぼしているかが見える化できるよう評価枠組を整理した。評価枠組は各施策の事業効果が質的,量的にどう影響を及ぼすかが明確になるよう結果評価,影響評価,経過評価に分け,目標達成に影響を及ぼす施策とその成果が分かるよう施策を展開した。</p><p>【結果】経過評価に位置付けた,市町村や関係機関での取組が増加した。影響評価に位置づけた,県民の高食塩摂取量に関連する食行動が有意に改善した。結果評価に位置づけた食塩摂取量や収縮期血圧値や脳血管疾患死亡数及び虚血性心疾患死亡数が減少した。</p><p>【結論】PDCAサイクルに基づく展開と,目標達成につながる評価枠組を整理し枠組順に客観的に評価したことで,施策が目標達成にどのように影響を及ぼしたのかその関連性を見える化することができた。</p>
著者
倉光 ミナ子
出版者
お茶の水女子大学ジェンダー研究所
雑誌
ジェンダー研究 : お茶の水女子大学ジェンダー研究所年報
巻号頁・発行日
no.24, pp.67-74, 2021-07-31

COVID-19 のパンデミック下において、感染拡大を防ぐために、人びとが突然「ステイホーム」を求められたことにより、期せずして「ホーム」という空間/場所に関心が集まった。本稿はパンデミック下における「ホーム」をめぐる現象を概観することで、「ホーム」という空間/場所について再考することを目的とした。日本では春以降の緊急事態宣言下において、テレワークの導入、日本政府の緊急対応策、「ステイホーム」の呼びかけを通じ、「ホーム」が暗黙のうちに異性愛規範に基づいた安全な場所として強くイメージされていることが明らかになった。同時に、「ステイホーム」は「ホーム」が誰にとっても等しく安全な場所でないことも暴き出した。このように、パンデミック下での「ホーム」をめぐる現象はすでにフェミニスト地理学が論じてきた点を深刻化する形で「ホーム」に伴う課題を突きつけるとともに、「ホーム」そのものの意義や意味について再考を促している。
著者
板倉 陽一郎 寺田 麻佑
雑誌
研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP) (ISSN:21888647)
巻号頁・発行日
vol.2016-EIP-71, no.2, pp.1-6, 2016-02-12

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律 (平成 25 年法律第 27 号) においては特定個人情報の提供が制限されている (法 19 条柱書).番号利用法は行政法規の一種であるため,本条項の違反において主観面は問題にならないことが原則であるが,特定個人情報には個人番号それ自体が含まれるとされており,文字通り解釈すれば,ランダムな 12 桁の数字を述べるだけでも違法になり,12 桁の数字をすべて読み上げると膨大な違法行為をすることになる.そのような解釈はあまりにも現実離れしたものであるが,主観面の要件がない中で,どこまで違法性に制限を設けることが出来るか,考察する.
著者
清水 洋 松本 聡 酒井 慎一 岡田 知己 渡辺 俊樹 飯尾 能久 相澤 広記 松島 健 高橋 浩晃 中尾 茂 鈴木 康弘 後藤 秀昭 大倉 敬宏 山本 希 中道 治久 山中 浩明 神野 達夫 三宅 弘恵 纐纈 一起 浅野 公之 松島 信一 福岡 浩 若井 明彦 大井 昌弘 田村 圭子 木村 玲欧 井ノ口 宗成 前原 喜彦 赤星 朋比古 宇津木 充 上嶋 誠 王 功輝 ハザリカ ヘマンタ 矢田 俊文 高橋 和雄
出版者
九州大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2016-04-22

2016年熊本地震について、地震活動や地殻変動、活断層、火山活動への影響、地震災害の特徴などを調査した。その結果、熊本地震は布田川・日奈久断層帯の右横ずれ運動によって発生したが、複数の断層面と複雑な断層形状を持つことを明らかにした。また、建物被害や土砂災害の地盤との関係、特に、地盤の過剰間隙水圧が地すべりの発生要因であることを明らかにした。さらに、災害情報や災害過程、被災救援、エコノミークラス症候群などについての調査から、広域複合災害の問題点と対応策を提示した。

1 0 0 0 OA 新世帯

著者
大倉桃郎 著
出版者
南人社
巻号頁・発行日
1916
著者
鮫島 達夫 前田 岳 土井 永史 中村 満 一瀬 邦弘 米良 仁志 武山 静夫 小倉 美津雄 諏訪 浩 松浦 礼子
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.126-133, 2000

神経ブロック, 各種薬物療法などの効果なく, 反応性にうつ状態を呈した帯状疱疹後神経痛 (PHN) 10例に対し電気けいれん療法 (ECT) を施行し, その長期観察を行なった. 全例で持続性疼痛, 発作性疼痛, allodynia がみられ, 意欲低下, 食思不振など日常生活に支障をきたし, 抑うつ症状がみられた. 第1クールでこれらは改善したが, 7例に2~26カ月で疼痛, allodynia の再発がみられた. Allodynia の再発は, 知覚障害のある一定部位にみられ, 徐々に拡大した. しかし, 抑うつ症状の増悪はなかった. ECT第2クールは, 第1クール後5~26カ月後に施行し, より少ない回数で同様の効果を得ることができたことから, ECTの鎮痛効果に耐性を生じにくいことが示唆された. 以上より, ECT鎮痛効果は永続的ではないが, 1クール後数週間に1回施行する維持療法的ECT (continuation ECT: ECT-Cまたは maintenance ECT: ECT-M) を施行することで, 緩解維持できる可能性が示された. 対象に認めた抑うつ症状は疼痛の遷延化による2次的なものであり, 抑うつ症状の改善もECTの鎮痛効果による2次的産物であることが示唆された.<br>ECTは「痛み知覚」と「苦悩」の階層に働きかけるものであり,「侵害受容」,「痛み行動」には直接効果を示さないことから, その適応には痛みの多面的病態把握, すなわち生物-心理-社会的側面からの病態評価が必要となる.
著者
坂元 章 渋谷 明子 笠原 章子 松尾 由美 田島 祥 佐々木 輝美 渋谷 明子 笠原 章子 (七海陽) 田島 祥 佐々木 輝美 堀内 由樹子 松尾 由美 寺本 水羽 鄭 姝 倉津 美紗子 Anderson Craig A. Gentile Douglas A.
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

3歳児クラスから高校生までの子どものゲーム利用による攻撃性、社会的適応の影響を検討した。ゲーム利用時間やゲーム上の交流経験が攻撃的傾向や社会的適応に影響することが示された。また、保護者の介入行動は子どもの学齢が低い場合には介入の効果は高いこと、子どもの学齢や介入する問題の種類で介入行動の効果が異なることが示され、子どもの発達段階や問題にあわせて介入方法を調整する必要性が示唆された。レーティングについては、家庭での認知度が低いこと、レーティング区分毎の攻撃的傾向に対する影響について一貫した結果が見られなかったことから、効果的な介入の手段とするために工夫や検討が必要であることが示された。
著者
名倉 秀子 中川 杏奈 徳久 美歩 横山 未来 芝崎 本実 林 綾子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2016

<br><br>【目的】餡は豆類を加熱し,でんぷんを含んだ細胞を集めて調味したペースト状の食品であり,生餡に砂糖を加えて練餡が調製される。この甘味の練り餡は,室町時代に砂糖が輸入されたことに伴い,用いられるようになったが,それ以前は塩味の塩餡が使用されていたといわれる。また,近年では砂糖の入手が困難な戦時中に塩餡を家庭で調理する事もあったようである。一方,埼玉県の郷土料理である「塩あんびん」は塩餡を餅で包んだ餅菓子で,塩味が特徴的である。そこで,「塩あんびん」の喫食時期,喫食方法,調理法などを実態調査し,伝承するために必要な材料配合,塩餡の性状を検討することを目的とした。<br><br>【方法】地域の商工会議所等に「塩あんびん」を扱う店舗等を問い合わせ,和菓子店より喫食方法等を聞き書き調査し,さらに餅菓子を入手した。市販「塩あんびん」の特徴を得るために,大きさ(直径,厚さ),重量,餅と塩餡の割合,塩餡の食塩濃度を測定した。また,塩餡の調製を試み,色調,テクスチャー,水分等から練餡との比較を行った。<br><br>【結果】「塩あんびん」は,昭和40年頃まで北埼玉地域の農業を営む家で春祭りや秋祭りの行事,慶事や仏事に調理し,近隣や親せきに届け,喫食されていた。現在,家庭で調理する事は少なくなり,この菓子を扱う和菓子店がおよそ20件あげられた。店頭に並べられる「塩あんびん」は店により菓名(表記名)が異なり,直径5.7~8.5 cmで重量は71.4~171.8 gと様々な大きさで,食塩濃度0.7~2.0%,1個あたりの価格は130~330円と幅があった。塩餡は練餡と比較すると,色調が白く,硬さ応力が大きく,付着性が低く,まとまりにくく,やや厚めの餅皮で包むことが明らかになった。
著者
駒場 千佳子 松田 康子 加藤 和子 河村 美穂 木村 靖子 島田 玲子 土屋 京子 徳山 裕美 名倉 秀子 成田 亮子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【目的】日本調理科学会特別研究平成24〜25年度「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」の調査を通して,昭和30-40年代の行事食の特徴を明らかにすることを目的とした。</p><p>【方法】東部低地:加須市,北足立台地:さいたま市,比企:東松山市,大里・児玉:熊谷市,入間台地:日高市,入間山間部:飯能市,秩父山地:秩父市,川越商家:川越市の8地域9か所で、対象者は食事作りに携わってきた19名(居住年数平均72.3年)である。当時の地域環境と共に、食料の入手方法、調理・加工・保存方法、日常食や行事食、食に関連する思い出や伝え継ぎたいと考える料理について聞き書き法で調査を行った。</p><p>【結果】食が関連する行事は、正月や盆などの年中行事や節句を祝うもの、農作業などの節目(収穫の願いや収穫祝い、農作業や養蚕業のひと段落した際の地域の祭事)、人寄せをする地域の祭事などがあった。</p><p>赤飯やおはぎ(ぼたもち)、いなり寿司や巻きずし、ちらし寿司は、多くの行事で作られ、祝い、楽しまれた様子が伺える。海なし県であるが、正月にはお頭付きの海の魚が利用されるなど、日常にない料理も多かった。埼玉県は、里芋の栽培が多く、芋がら(ずいきの茎)を甘酢漬けにしたり(十日夜)、芋は雑煮(角餅・すまし汁)の具としても利用されていた。地域の野菜を使ったかて飯、七福なます、ゆず巻きなども食べられている。また、小麦の栽培も多いことから、行事食にはうどんだけでなく、小麦を使ったお菓子(酢まんじゅう、炭酸まんじゅう、ゆでまんじゅう)がつくられた。特徴的な料理は、穀倉地帯のいがまんじゅう(季節の節目)、塩あんびん(十日夜)、山林地帯のとち餅(正月:栃の実を利用)、つとっこ(端午の節句:栃の葉を利用)などがあった。</p>