著者
奥村 仁 八木 康史 谷内田 正彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.2263-2276, 1995-10-15
参考文献数
17
被引用文献数
5

人は道路などを歩く時、環境中のすべてのものに詳細な注意を払うのではなく、環境に対する自已位置推定や障害物の発見など歩行のために必要な情報を環境全体から大まかに把握する(大局視と呼ぶ)。一方、興昧ある物体(作業対象、障害物、道しるべ、近づいてくる物体等)に対しては、人は興味部分を注視し、その部分についての詳細な情報を収集する(局所視と呼ぶ)。人と同様に自律移動ロボットにおいても、目的地までの安全な誘導および目的地での作業など作業内容により、必要とされる観測情報の性質は異なる。本報告では、ロボットにとって必要とされる大局視と局所視との機能を持つ複合視覚センサMISS(Mu1tip1e Image Sensing System)を提案し、試作したプロトタイプの構成について報告する。さらに注視対象の発見からその物体の3次元情報獲得までの一連の処理を両視覚機能の情報を統合することで行う一方法について報告する。大局視では周囲360度を一度に観察できる全方位視覚センサを用い、得られる全方位画像とあらかじめ与えられた周囲環境のモデルとの照合を行い、注視すべき物体(作業対象、障害物等)を発見する。一方、局所視ではその物体を注視しながらいくつかの位置から観測し、注視物体の3次元形状を認識する。
著者
安藤 寿男 七山 太 近藤 康生 嵯峨山 積 内田 康人 秋元 和実 岡田 誠 伊藤 孝 大越 健嗣
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

日本各地の白亜系~現世カキ化石密集層や現生カキ礁において,産状や堆積構造の観察,カキ類の形態・生態調査から,個々の密集層や礁の形成過程を復元し,形成要因を考察した.道東の厚岸湖では現世カキ礁を含む完新世バリアーシステムの堆積史や海水準変動を復元し,パシクル沼では縄文海進初期の津波遡上による自生・他生カキ化石密集互層を認定した.また,九州八代海南部潮下帯のカキツバタ礁マウンドの地形や生態を調査した.
著者
内田 一成
出版者
東京成徳大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

2方向分析モデルは、理論的には3項強化随伴性モデルを基盤にしているが、個人の行動分析-行動変容プログラムと環境分析-環境変容プログラムを同時的に用意するという点に、その独自性を求めることができる。すなわち、「個人の行動が変容すれば、その個人を取り巻く周囲の環境の変容確立も増大し、また、個人を取り巻く周囲の環境が変容すれば、個人の行動の変容確立も増大する」という両方向的な効果が期待されることから、対応困難な発達障害の強度行動傷害についての包括的な分析枠組みになり得ると考えられる。この検証のため、平成9年度から平成11年度にかけては以下の点について検討した。1.環境分析-環境変容プログラムの検討発達障害者を取り巻く施設環境の随伴性を分析し、その随伴性に対応した環境変容プログラムとして、「正の強化の適正配置」に則った4領域28項目から成るセルフ・モニターリング法を1年間にわたって組織的に導入した。その結果、本法は組織的に施設職員の処遇行動の質を有意に高めるとともに、入所者の行動に広範かつ有意な改善をもたらすことが示された。2.行動分析-行動変容プログラムの検討指導困難な強度行動障害(例:自傷行動、他傷行動、破壊行動)をもつ発達障害者12名の行動分析を行い、その随伴性に対応した個別プログラムを作成し、順次その適用ならびに追跡を行った。3.効果の測定環境変容プログラムと行動変容プログラムそれぞれの効果測定の他に、それぞれが強度行動障害に及ぼす効果も測定した。その結果、両プログラムによって12名の強度行動障害が激減し、特に12名中9名においては強度行動障害得点がゼロ・ゼロ近似水準にまで激減することが示された。このように2方向分析モデルの劇的な有効性が立証された。

1 0 0 0 OA 海鷲決戦

著者
内田丈一郎 著
出版者
鶴書房
巻号頁・発行日
1943
著者
内田 豊海
出版者
鹿児島女子短期大学
雑誌
鹿児島女子短期大学紀要 = Bulletin of Kagoshima Women's College (ISSN:02868970)
巻号頁・発行日
no.50, pp.19-26, 2015

本研究は, 国際教育開発において, 理念と実状の乖離を見ようと試みたものである. リテラシーは教育開発における重要な理念として, 様々な議論を通し発展してきた概念である. 一方, その指標となる識字率は, 数値化すべく, 学歴の有無で判断するというように単純化されている. そこで本研究では, 基礎教育無償化により, 就学率が飛躍的に上昇したマラウイ共和国において, 理念的概念としてのリテラシーを, 生徒がどこまで習得しているかを把握すべく, インタビュー調査を開発・実施した. その結果, 生徒は文章を読み書きすることはできるものの, その内容を理解するに至っていない場合が多く見受けられた. 生徒の身につけたリテラシー能力は, 表面的なものであり, 求められている理念的なものとは大きく乖離している現状が浮き彫りになった. より実態に見合った理念の再構築, および教育の質向上による乖離の解消を再考することが求められよう.
著者
吉本 圭一 亀野 淳 稲永 由紀 塚原 修一 村澤 昌崇 椿 明美 藤墳 智一 江藤 智佐子 酒井 佳世 木村 拓也 志田 秀史 三好 登 川俣 美砂子 飯吉 弘子 濱中 義隆 新谷 康浩 伊藤 一統 松高 政 坂野 慎二 長谷川 祐介 沼口 博 内田 由理子 安部 恵美子 渡辺 達雄 永田 萬享 飯田 直弘 舘 昭 小方 直幸 伊藤 友子 立石 和子 有本 章 赤司 泰義 秋永 雄一 佐藤 弘毅 杉本 和弘 竹熊 尚夫 ジョイス 幸子 吉川 裕美子 菅野 国弘 TEICHER Ulrich LE MOUILLOUR Isabelle SCHOMBURG Harald 石 偉平
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、ユニバーサル化した第三段階教育システムを対象とし、大学型・非大学型の教育プログラム単位での機能的分化と質保証のあり方を探究した。教育の目的・方法・統制の観点で、学術型とキャリア・職業型の教育を実証的に把握した。(1)共同IR型卒業生調査から学修成果の修得と活用、コンピテンシーの必要と修得という2つのベクトルがみられた。(2)非大学型教員調査の結果から機関の職業・地域志向性と個人の研究志向性との葛藤がみられた。(3)WILなどカリキュラム調査から教育高度化と内外ステークホルダー関与の方向性について、分野別の特徴を把握した。(4)国家学位資格枠組(NQF)から日本への示唆が得られた。

1 0 0 0 OA 絵画の美

著者
内田巌 著
出版者
富山房
巻号頁・発行日
vol.油絵篇, 1944
著者
川上 大喜 大久保 寛 内田 直希 竹内 伸直 松澤 暢
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.474, pp.169-174, 2015-02-23

相似地震(微小繰り返し地震)とは,同一のアスペリティ(固着域)が原因となって発生する地震のことを指す.相似地震は発生時刻が異なってもほぼ同一な波形,つまり相似な波形を伴う性質を持つことがわかっている.この相似地震を解析する事によって,個々の地震の原因となるアスペリティの特性を抽出することや,プレート境界で生じるすべりの時空間発展をモニタリングする事が可能となる.本研究では相似地震の検出法としてフーリエ位相相関法とその手法に対して地震の主要周波数を考慮して帯域制限を施したフーリエ帯域制限型位相相関法,直交3成分地震波データに用いたコヒーレンス関数を適用し,その有効性について検討した.また近年,演算能力の高さから関心を集めているGPU(Graphics Processing Unit)を利用した汎用計算アーキテクチャであるGPGPU(General Purpo Secomputation on GPU)を応用した並列計算処理による高速化についても検討し,処理に要する計算時間を比較した.加えて,これらの一次元信号の対する相関処理演算に対してマルチGPUによるGPGPUを適用し,その有効性についても併せて検討した.
著者
内田 佳子 山田 弘司 中出 哲也 大友 勘十郎
出版者
Japan Veterinary Medical Association
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.337-341, 1996
被引用文献数
3

来院した犬・猫各100頭の問題行動について飼い主に対しアンケートを行った. 犬の飼い主の82%が問題行動が「ある」とし, 問題行動は多い順に, 破壊行動 (17.1%), 無駄ぼえ (16.0%), 人に対する攻撃行動 (15.0%), 排泄問題 (13.9%) など, 合計187件であった. 猫の飼い主では83%が問題行動が「ある」とし, 問題行動は多い1頂に, 不適切な場所での爪研ぎ (34.9%), 異嗜 (19.5%), 他の猫に対する攻撃行動 (13.0%), 排泄問題 (11.8%) など, 合計169件であった. 犬の飼い主の72%, 猫の飼い主の45.8%が行動治療を希望した.
著者
平田 昌弘 ヨトヴァ マリア 内田 健治 元島 英雅
出版者
日本酪農科学会
雑誌
ミルクサイエンス (ISSN:13430289)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.237-253, 2010 (Released:2014-03-15)
参考文献数
19
被引用文献数
1

本稿では,ブルガリア南西部の乳加工体系とその特徴を明らかにし,バルカン半島のブルガリアにおける乳加工発達史を論考した。ブルガリアの乳加工体系は,発酵乳系列群と凝固剤使用系列群の乳加工技術が確認された。ブルガリアの発酵乳系列群は西アジア由来の乳加工技術である可能性が極めて高く,冷涼性ゆえに水分含量が比較的高くても保存が可能なため,酸乳やバターの段階で加工が終了してしまうように変遷していた。塩水漬けにしてチーズの熟成をおこなうバルカン半島ブルガリアのチーズ加工技術は,熟成をおこなわない西アジアと熟成に特化したヨーロッパのちょうど中間的な位置にあり,ヨーロッパのチーズ加工の土台を形成した可能性が高いと考えられた。更に,レンネット利用がチーズ加工にではなくチャーニングによるバター加工用の生乳凝固に利用されていることから,もともとのレンネット利用は先ずバター加工に用いられ,後にバター加工からチーズ加工へと転用されていった可能性が高いと考えられた。これらのことから,レンネット利用によるチーズ加工の起原地の一候補地がバルカン半島であることが示唆された。このように,ブルガリアの乳文化は人類の乳加工史において極めて重要な乳加工技術を今日に伝えている。これらのブルガリアの重要な乳加工技術も,社会主義体制への移行・崩壊,EU 加盟を通じて,経営的に成り立たず,多くが消え去ろうとしている。ブルガリアは,EU という巨大経済圏に加盟したまさに今,自国の農業生産や文化の継承のあり方について問われている。
著者
佐藤 一朗 槇村 浩一 蓮見 弥生 西山 彌生 内田 勝久 山口 英世
出版者
日本医真菌学会
雑誌
日本医真菌学会総会プログラム・抄録集 第52回 日本医真菌学会総会・学術集会 (ISSN:09164804)
巻号頁・発行日
pp.73, 2008 (Released:2009-03-06)

【目的】真菌症は免疫力の低下した患者にとって重篤な症状を起こす病害である。そのため、免疫力の低下した患者における微生物叢とその薬剤耐性を定期的に把握する必要がある。我々は外来患者の外耳道から新規Candida属酵母を得たので報告する。【材料および方法】国内病院での外来患者の外耳道から採取した耳漏スメアを分離源とした。純粋分離菌株の26S rDNA D1/D2領域(26S)および ITS1+5.8S rDNA+ITS2領域(ITS)を用いた分子系統分類を行った。そのほかの試験項目はThe Yeasts 4th edに順じた。【結果および考察】純粋分離菌JCM15448株は26Sの相同性がCandida haemulonii CBS5149T とは85.7%、C. pseudohaemulonii CBS10099Tとは83.0%であった。ITSはそれぞれ84.9、81.4%であり、系統樹ではCandida属に分類されたが同一な種は認められなかった。本菌株は42℃およびビタミンフリー培地で生育陽性であり、Candida属としては特徴的な培養性質を示した。その他の培養性質から本菌株はグループ VI(イノシトール・硝酸カリウム・エリスリトール陰性、40℃陽性)に分類された。本グループはC. albicansをはじめ病原性が報告されている種が複数属しているが、本菌株の病原性は不明である。ボリコナゾール・イトラコナゾール・フルコナゾール・フルシトシンに対する感受性は既知の種と差が認められなかった。これらの結果から本菌株をCandida属の新種と判断した。
著者
内田 豊士
出版者
岡山大学大学院文化科学研究科
雑誌
岡山大学大学院文化科学研究科紀要
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.237-255, 2002-03

方向があきらかにしようとするのは明治初期岡山県南部地域における農民層の分解状況であるが、最終的には農村工業の発生過程の解明を目指している。そのため本稿では、明治10年以降に麦稈真田紐や花筵といった製造業の展開をみせる地域の階層分化をあきらかにしようとしている。農村工業の分児島群藤析の前に農民層の分解を解明しようというのは次のような理由からである。農民層分解という語は本来的には「農業における商品生産の進行につれてあらわれる独立自営農民の両極文化-資本家と賃労働者への-を意味している」のであって、こうした経緯を経て農村工業が登場してくるのである。こうした農村工業は本来「封建制解体から、産業革命にいたる時期の中で、その機軸をなすもの」なのである。しかし、周知のように日本における資本の原始的蓄積過程は政府主導によるものであり、「独立自営農民の形成なしに封建小農民がいきなり他律的に商品経済に巻き込まれてゆき、共同体が解体せしめられぬままに、国家権力とそれに結びつく商人・地主層主導の下に資本=賃労働関係が創出される類型」なのである。こうした状況の下に誕生した麦稈真田紐や花筵といった製造業であるが、山田盛太郎氏の言葉をかりれば「特殊的な『惨苦の茅屋』たる零細農生計補充的副業」と評価されている。つまり農業経営を保管する農家副業とされているわけである。このためこうした製造業は日本資本主義発達史研究の対象とされることはなく、産地などの地誌等で取扱われる程度にとどまるとともに、その意義を積極的に問われることはなかったのである。したがって、生産開始当初からこうした製造業が「零細農生計補充的副業」であったのかどうか、或いは本来の農村工業としての発展の可能性を持っていたのではないかという点については、十分な検討が行われてきたとはいいがたい状況にある。そのため本稿では、先に述べた製造業がどのような農民層の分解状況の下で発生するのか、その分解の始点となる明治初期の状況をまずあきらかにしておきたい。その後稿を改めて松方デフレとその後の各製造業の発生状況を解明する予定である。本稿では、まず始めに岡山県浅口群乙島村の近世紀から明治初期にいたる農民層の分解を解明する。この地域は明治20年代に麦稈真田紐生産が展開する地域である。岡山県南部地域には他にも花筵や畳表といった製造業があり、それぞれの産地である児島郡藤戸村、都宇群下庄村および麦稈真田紐産地としてもう1箇所下道群陶村を取り上げてその分解状況を確認しておくことにする。
著者
吉田 圭吾 高山 泰一 福原 弘太郎 内田 敦 関根 秀真 鹿志村 修
出版者
社団法人 日本リモートセンシング学会
雑誌
日本リモートセンシング学会誌 (ISSN:02897911)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.287-299, 2012-11-20 (Released:2013-08-24)
参考文献数
53

This paper presents a monitoring method for paddy fields with hyperspectral remote sensing images in West Java, Indonesia. The statistical modeling method called sparse reguralization is introduced in two forms, that is, LASSO regression for the rice yield estimation and sparse discriminant analysis for the growth stage classification of rice plants, in order to take advantages of the detailed reflectance spectrum measured by numerous bands and to overcome the difficulties in hyperspectral image analysis such as model overfitting. Results of the experiment with airborne hyperspectral images measured by HyMap indicate that sparse regularization can predict paddy conditions with higher degree of accuracy than several estimation methods commonly used in remote sensing applications, such as normalized difference spectral index, partial least squares, or support vector machines. Besides, the prediction models have a limited number of bands which are expected to be informative to figure out the rice growth situation. The overall error between predicted rice yield of the target area and agricultural statistics is 6.40 %, showing the potential effectiveness of methods described in this paper.
著者
内田 祐貴
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究委員会
雑誌
神戸松蔭女子学院大学研究紀要. 人間科学部篇 = Journal of the Faculty of Human Sciences, Kobe Shoin Women's University (JOHS) (ISSN:21863849)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.67-74, 2016-03-05

「理科離れ」が理科教育の大きな問題の1 つになって長い年月が経つ。これまでにも、主に小中高校での授業での取り組みや大学教員の出張授業など様々な取り組みが行われてきたが、問題の完全解決には至っていない。近年では、PISA やTIMSS などの国際比較調査により、日本の児童生徒の特徴として、学力は国際的に上位だが、学年が上がるに連れ、理科が嫌いな児童生徒が増えるという傾向がわかり、理科離れの対策の重要性がより鮮明になった。理科離れの対策の1 つに、実験の充実がある。しかし、平成20 年度の全国的な小学校教員に対する調査において、現役教員の半数以上が実験観察の知識技術に不安を抱えていること、授業で理科実験を行うには、「時間」、「費用」などの様々な問題があることがわかった。そこで、児童生徒の理科への興味関心を高め、教員の実験の知識技術の向上を目的とし、器具から作る実験教材として、注射器を使った真空ポンプを、簡易に安価で作成できるようにし、大学での教材作成演習や現役教員への講習に用いた。