著者
太田 孝彦 林田 新 村木 桂子 森下 麻衣子 吉田 智美
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

従来、江戸時代絵画は様式を語るのが常で、筆法が果たす機能に注意することはなかった。筆法の機能に注目してみれば、「書と画」の南画家たちにとって筆法修得は「古人になる」王道であり、狩野派が語る粉本の重視は筆法の価値を取り戻そうとする試みだったと解釈できる。こうした筆法重視の観点からは新たなる江戸時代の絵画史が語られることになる。それは従来の「美術」の観点から語っていた江戸時代の絵画史とは別の面を見せることになるだろう。
著者
吉田 治代
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、戦間期のエルンスト・ブロッホの多元主義的思想を〈遺産プロジェクト〉と〈異化プロジェクト〉という観点から考察するものである。本研究期間内は、〈遺産プロジェクト〉に焦点を絞り、以下を明らかにした。(1)ドイツの反民主主義、軍国主義という、第一次世界大戦から顕在化する危機に抗してブロッホが生み出したのが、ドイツの民主的かつ民族的な遺産を相続するという「愛国的」プロジェクトであり、それがナチズムへの批判にもつながる。(2)「ドイツ民族主義」思想が文化多元思想につながる限りにおいてそれを受け継いだランダウアーらユダヤ系社会主義者の実践が、ブロッホのプロジェクトのモデルとなっている。
著者
野間 晴雄 森 隆男 高橋 誠一 木庭 元晴 伊東 理 荒武 賢一朗 岡 絵理子 永瀬 克己 朴 賛弼 中俣 均 平井 松午 山田 誠 山元 貴継 西岡 尚也 矢嶋 巌 松井 幸一 于 亜 チャン アイン トゥアン グエン ティ ハータイン チャン ティ マイ・ホア 水田 憲志 吉田 雄介 水谷 彰伸 元田 茂光 安原 美帆 堀内 千加 斎藤 鮎子 舟越 寿尚 茶谷 まりえ 林 泰寛 後藤 さとみ 海老原 翔太
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

東アジア世界に位置する歴史的地域としての東シナ海,日本海,黄海・渤海・中国東北地方,広義の琉球・ベトナム,朝鮮半島の5つの部分地域として,環東シナ海,環日本海沿岸域の相互の交流,衝突,融合,分立などを広義の文化交渉の実体としてとらえる。それが表象された「かたち」である建築,集落,土地システム,技術体系,信仰や儀礼,食文化等を,地理学,民俗建築学,歴史学・民俗学の学際的研究組織で,総合的かつ複眼的に研究することをめざす。いずれも,双方向の交流の実体と,その立地や分布を規定する環境的な側面が歴史生態として明らかになった。今後はこの視点を適用した論集や地域誌の刊行をめざしたい。
著者
梶 光一 高橋 裕史 吉田 剛司 宮木 雅美 鈴木 正嗣 齊藤 隆 松田 裕之 伊吾田 宏正 松浦 由紀子 上野 真由美 及川 真里亜 竹田 千尋 池田 敬 三ツ矢 綾子 竹下 和貴 吉澤 遼 石崎 真理 上原 裕世 東谷 宗光 今野 建志郎
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

洞爺湖中島のエゾシカ個体群は、2度の爆発的増加と崩壊を繰り返して、植生に不可逆的な変化をもたらせた。その後落葉に周年依存するようになり、2008-2012年の間、高い生息密度(45~59頭/km^2)を維持していた。落葉はかつての主要な餌であったササよりも栄養価は低いが、生命・体重の維持を可能とする代替餌として重要であり、栄養学的環境収容力の観点から高密度を維持することが可能な餌資源であることが明らかになった。
著者
畔上 由佳 吉田 徹也 粕尾 しず子 内山 友里恵 薩摩林 一代 白石 崇
出版者
長野県環境保全研究所
雑誌
長野県環境保全研究所研究報告 (ISSN:1880179X)
巻号頁・発行日
no.5, pp.103-108, 2009

風疹は、感染から14〜21日(平均16〜18日)の潜伏期間の後、突然の全身性の斑状丘疹状の発疹、発熱、耳介後部・後頭下部・頸部のリンパ節腫脹を特徴とするウイルス感染症であり、通常は数日で治癒する予後良好な疾患である。しかし、妊娠初期に風疹に罹患すると、風疹ウイルスが胎盤を介して胎児に感染し、先天性心疾患、白内障、難聴を特徴とする先天性風疹症候群を発生することがある。麻疹は、発熱、上気道のカタル症状、全身の発疹を主な特徴とする急性ウイルス感染症である。麻疹ウイルスの感染力は非常に強力で、いったん発症すると特異的な治療法はないのが現状である。2007年には、首都圏の大学生を中心としたいわゆる成人麻疹の流行が認められ、長野県内においても麻疹患者の発生により、休校・休園の措置を行った学校等も4施設存在した。
著者
吉田 甫 孫 琴 土田 宣明 大川 一郎
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.85, no.2, pp.130-138, 2014
被引用文献数
1

The present study examined influences of reading aloud and performing simple calculation on the cognitive functioning of healthy elderly adults, based on the findings that these tasks activated the prefrontal lobe. The elderly adults' memory and inhibitory functions were assesed by Short-Term memory, CST, Stroop, and SRC tasks, before and after intervention for 18 months. The study found that the learning group had significant improvement from the pre- to the post-test for the short-term memory, STM, CST, and Stroop tasks. On the other hand, there was significant decline over the 18 months in the control group which was given only the assessment tasks. These results are discussed in terms of the effectiveness of cognitive training.

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著者
吉田絃二郎 著 吉田貫三郎 等絵
出版者
新潮社
巻号頁・発行日
1943
著者
下村 義治 吉田 博行 吉田 直亮 桐谷 道雄
出版者
広島大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1984

前年度迄に開発製作した極低温中性子照射した金属試料の電子顕微鏡用の4.2Kクライオ・トランスファー・ホルダーを改良して現在9K迄試料装填部の温度を下げる事に成功し4.2Kに今一歩に迫る性能向上をはたした。更に本年度はこのホルダーの先端試料部にクライオ・トランスファー時に取り付ける真空チェンバーの製作を完了した。これらホルダーおよび真空チェンバーを装備して中性子照射済の試料を中性子極低温照射用クライオスタットからホルダーに極低温にて移し変えてクライオ・トランスファー・チェンバーで真空引きしたままのせて電子顕微鏡試料室まで移動するための車およびそれに関連する装置も完成した。回転ターゲット核融合中性子源(RTNS-【II】)にて照射のための装置を総て開発完了後,日米科学技術協力事業(核融合)の実験の実施のため本試験研究にて開発した装置は昭和61年4月米国ローレンス・リバモア国立研究所に送り昭和61年6月及び昭和62年1月の二度にわたり本研究代表者らが派遣されて極低温核融合中性子照射した金属試料の極低温クライオ・トランスファー電子顕微鏡観察法による中性子照射損傷の基本単位である変位カスケード損傷欠陥の形成直後の観察に成功して、損傷過程の基礎過程の解明に大きく寄与した。核分裂中性子による極低温照射した試料のクライオ・トランスファーのための試料クライオ移送室の開発も考え方の点ではほぼ終了しているが、一部装置の製作を経費不足の点で残している。現在米国より送り返されているクライオ・トランスファー装置の日本への致着を待って残りの装置の製作を完了して京都大学原子炉実験所にて核分裂中性子照射実験をスタートする予定である。また重イオンによる低温照射した電子顕微鏡試料の極低温クライオ・トランスファー電子顕微鏡観察可能な照射試料室も今後製作して変位カスケード損傷過程の研究を行うよう続いて計画している。
著者
牛首 文隆 成宮 周 吉田 進昭 平田 雅一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

8種類のプロスタノイド受容体遺伝子のエクソン内にネオマイシン耐性遺伝子を組み込んだターゲティング・ベクターをそれぞれ129ola由来胚性幹細胞(ES細胞)に導入し、相同細換えを起こした。C57BL/6マウスの胚にES細胞を注入後、擬妊娠したICRマウスの子宮に戻してキメラマウスを作出した。キメラマウスをC57BL/6マウスと交配し、F1マウスを得た。組換えalleleをもつF1ヘテロ接合体同士を交配し、F2ホモ接合体を得た。結果、8種類の各プロスタノイド受容体欠損マウスが得られた。また、遺伝的背景を均一にする目的で、各プロスタノイド受容体欠損マウスをC57BL/6マウスに繰り返し交配する戻し交配を行った。現在、一部のプロスタノイド受容体欠場マウスで房し交配が完了し、他のものは継続中である。また、balb/cやDBA1マウスなどへの戻し交配も予定している。IP欠損マウスの解析により、PGI_2は心血管系での抗血栓作用以外に炎症反応の場での血管透過性の亢進や疼痛の伝達等非常に重要な役割を持つことが示された。FP欠損マウスの解析では、分娩時にPGF_<2α>がまず黄体退縮を引き起こし、これが血中プロゲステロン濃度を低下させ、続いて子宮でのオキシトシン受容体の発現を誘導するという一連の機構が解明された。EP4受容体欠場マウスの解析により、PGE_2はEP4受容体を介して出生直後の動脈管の閉鎖に重安な役割を果たすことが示された。以上、本研究によりプロスタノイド受容体欠損マウスの作成がなされ、その解析を通してプロスタノイドの重要な生理・病態生理的役割の一端が解明された。今後、これらの結果が各プロスタノイドの示す多彩な作用を選択的に制御する薬物の開発とその適用の指標に資することが期待される。
著者
宮島 昌克 清野 純史 能島 暢呂 鶴来 雅人 吉田 雅穂 池本 良子
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

地震発生直後に管路に直接的な被害が無くとも急激な流量の増加と水圧の低下といった配水システムにおける異常事態に着目し,被害地震が発生した際にアンケート調査を大規模水道事業体に行った。さらに,この現象が貯水槽の水のスロッシングによる水位センサーの誤作動によるものであることを明らかにし,今後発生する巨大地震による長周期・長継続時間地震動が配水システムの異常挙動に与える影響を明らかにした。
著者
三町 勝久 吉田 正章 黒川 信重 高田 敏恵
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

ガウスの_2E1,一般超幾何函数_{n+1}E_n, アッペルのE_1, E_2, E_3, ジョルダン・ポッホハンマー E_{JP}, そしてラウリッツェラのE_Dなる微分方程式(系)の解の基本系を積分表示で与え,それについての回路行列を明示的に求め,応用として,微分方程式の既約条件を決定した.また F_2, F_3, F_4の場合,隣接関係を調べることにより,対応する微分方程式の可約条件を与えた.E_1~E_4, F_A~F_D, _{n+1}E_nおよびゲルファントの点配置空間上の超幾何微分方程式系について,ある多価函数のサイクル上の積分が解を与えることを示した.
著者
河原 純子 兵藤 透 太田 昌邦 平良 隆保 日台 英雄 石井 大輔 吉田 一成 馬場 志郎
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.695-698, 2011-08-28

蛍光眼底造影剤は,眼科領域では網脈絡膜疾患の診断,治療効果の判定に不可欠な検査である.今回,糖尿病性腎症にて血液透析中の44歳女性に対し眼底出血の疑いのため蛍光造影剤(フルオレサイト<SUP>®</SUP>静注500mg,以下一般名フルオレセインと記す)を使用した.造影後に透析を行った際,透析液排液ラインに造影剤の蛍光色が視認できたため,独自に作製したカラースケールを用いて廃液ラインの排液色の変化による造影剤除去動態を1週間経過観察した.結果,カラースケール値では,1日目開始時90,1日目終了時50,3日目開始時20,3日目終了時10,5日目開始時0,5日目終了時0であったが,5日目終了時500mL程度排液を集めると,僅かに色を確認することができた.
著者
吉田 哲
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

高齢者が短時間座ってよいと考えるベンチの設置場所は幅2m程度の建物余地が選ばれることが多い。ベンチには次に歩き始めやすいよう少し腰掛ける程度のものが選ばれている。幅2m程度の建物余地は、現地を歩行する高齢者による写真選択では中位であったが、対象地域内で存在そのものが多く、1本の通りにも数か所の候補があるため、既にベンチのある場所も含めると理由の不適合を除いても設置の候補として残る場所が多い。商店街内の個店では、操業年数、個店責任者の年齢によっては、本社や不動産管理会社に設置決定権があってもベンチ設置意向のある場合があることを明らかにした。
著者
吉田 恒雄
出版者
早稲田大学法学会
雑誌
早稲田法学 (ISSN:03890546)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.67-93, 1994-03-25
著者
吉田 甫 栗山 和広 添田 佳伸 宇田 廣文
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

この研究では、割合概念を対象にして、インフォーマルな知識を分析し、さらに学習中に遭遇する認知的障害の内容を同定することを目的とした。割合概念は、小学5年生で教えられる概念であるので、学習する前の子どもとして、小学4年と5年それぞれおよそ200名、学習後の子どもとして6年生150名をそれぞれ対象にした。インフォーマルな知識としては、割合の意味に関するもの(100をベースにしていることと部分-全体に関わること)、量的な表象に関すること、および割合概念としての第2用法に関する知識などを検討した。割合の意味と量的な表象に関しては、割合を学習する以前の子どもでも、40〜80%の子どもが、かなり性格に、部分-全体に関する知識やその意味などを理解しており、さらに量的な大きさについても、学習が終わった6年生とまったく差がないほどの豊かなインフォーマルな知識をもっていることが、見いだされた。さらに驚いたことに、割合の第2包容、中でもある量の90%を求めるといった公式に依存しなければ解決することは不可能と思われる問題でさえも、準正等も含めれば、学習する以前の40%もの子どもが、適切に解決することができた。学習中に遭遇する認知的障害については、まず割合の公式で用いられる「比べる量」と「基にする量」といった用語を理解していない子どもが多いことが示された。割合の公式を利用するさいにもっとも重要な用語を理解していないことから、当然のごとく、彼らは割合を解決することができなかった。さらに、%を「比べる量」と「基にする量」と混同する子ども、20〜30%も存在した。こうした困難性のためか、学習が終わった子どもで、教室で指導された割合の公式を使って問題を皆生する子どもは、わずか7%しないないという驚くべき事実も、見いだされた。