著者
三木 文雄 小林 宏行 杉原 徳彦 武田 博明 中里 義則 杉浦 宏詩 酒寄 享 坂川 英一郎 大崎 能伸 長内 忍 井手 宏 西垣 豊 辻 忠克 松本 博之 山崎 泰宏 藤田 結花 中尾 祥子 高橋 政明 豊嶋 恵理 山口 修二 志田 晃 小田島 奈央 吉川 隆志 青木 健志 小笹 真理子 遅野井 健 朴 明俊 井上 洋西 櫻井 滋 伊藤 晴方 毛利 孝 高橋 進 井上 千恵子 樋口 清一 渡辺 彰 菊地 暢 池田 英樹 中井 祐之 本田 芳宏 庄司 総 新妻 一直 鈴木 康稔 青木 信樹 和田 光一 桑原 克弘 狩野 哲次 柴田 和彦 中田 紘一郎 成井 浩司 佐野 靖之 大友 守 鈴木 直仁 小山 優 柴 孝也 岡田 和久 佐治 正勝 阿久津 寿江 中森 祥隆 蝶名林 直彦 松岡 緑郎 永井 英明 鈴木 幸男 竹下 啓 嶋田 甚五郎 石田 一雄 中川 武正 柴本 昌昭 中村 俊夫 駒瀬 裕子 新井 基央 島田 敏樹 中澤 靖 小田切 繁樹 綿貫 祐司 西平 隆一 平居 義裕 工藤 誠 鈴木 周雄 吉池 保博 池田 大忠 鈴木 基好 西川 正憲 高橋 健一 池原 邦彦 中村 雅夫 冬木 俊春 高木 重人 柳瀬 賢次 土手 邦夫 山本 和英 山腰 雅宏 山本 雅史 伊藤 源士 鳥 浩一郎 渡邊 篤 高橋 孝輔 澤 祥幸 吉田 勉 浅本 仁 上田 良弘 伊達 佳子 東田 有智 原口 龍太 長坂 行雄 家田 泰浩 保田 昇平 加藤 元一 小牟田 清 谷尾 吉郎 岡野 一弘 竹中 雅彦 桝野 富弥 西井 一雅 成田 亘啓 三笠 桂一 古西 満 前田 光一 竹澤 祐一 森 啓 甲斐 吉郎 杉村 裕子 種田 和清 井上 哲郎 加藤 晃史 松島 敏春 二木 芳人 吉井 耕一郎 沖本 二郎 中村 淳一 米山 浩英 小橋 吉博 城戸 優光 吉井 千春 澤江 義郎 二宮 清 田尾 義昭 宮崎 正之 高木 宏治 吉田 稔 渡辺 憲太朗 大泉 耕太郎 渡邊 尚 光武 良幸 竹田 圭介 川口 信三 光井 敬 西本 光伸 川原 正士 古賀 英之 中原 伸 高本 正祇 原田 泰子 北原 義也 加治木 章 永田 忍彦 河野 茂 朝野 和典 前崎 繁文 柳原 克紀 宮崎 義継 泉川 欣一 道津 安正 順山 尚史 石野 徹 川村 純生 田中 光 飯田 桂子 荒木 潤 渡辺 正実 永武 毅 秋山 盛登司 高橋 淳 隆杉 正和 真崎 宏則 田中 宏史 川上 健司 宇都宮 嘉明 土橋 佳子 星野 和彦 麻生 憲史 池田 秀樹 鬼塚 正三郎 小林 忍 渡辺 浩 那須 勝 時松 一成 山崎 透 河野 宏 安藤 俊二 玄同 淑子 三重野 龍彦 甲原 芳範 斎藤 厚 健山 正男 大山 泰一 副島 林造 中島 光好
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.526-556, 2005-09-25

注射用セフェム系抗菌薬cefozopran (CZOP) の下気道感染症に対する早期治療効果を評価するため, ceftazidime (CAZ) を対照薬とした比較試験を市販後臨床試験として実施した。CZOPとCAZはともに1回1g (力価), 1日2回点滴静注により7日間投与し, 以下の結果を得た。<BR>1. 総登録症例412例中最大の解析対象集団376例の臨床効果は, 判定不能3例を除くとCZOP群92.0%(173/188), CAZ群91.4%(169/185) の有効率で, 両側90%, 95%信頼区間ともに非劣性であることが検証された。細菌性肺炎と慢性気道感染症に層別した有効率は, それぞれCZOP群90.9%(120/132), 94.6%(53/56), CAZ群93.3%(126/135), 86.0%(43/50) で, 両側90%, 95%信頼区間ともに非劣性であることが検証された。<BR>2. 原因菌が判明し, その消長を追跡し得た210例での細菌学的効果は, CZOP群89.5%(94/105), CAZ群90.5%(95/105) の菌消失率 (菌消失+菌交代) で, 両群間に有意な差はみられなかった。個々の菌別の菌消失率は, CZOP群91.1%(113/124), CAZ群90.8%(108/119) で両群問に有意な差はみられなかったが, 最も高頻度に分離された<I>Streptococcus pneumoniae</I>の消失率はCZOP群100%(42/42), CAZ群89.5%(34/38) で, CZOP群がCAZ群に比し有意に優れ (P=0.047), 投与5日後においてもCZOP群がCAZ群に比し有意に高い菌消失寧を示した (P=0.049)。<BR>3. 投薬終了時に, CZOP群では52,4%(99/189), CAZ群では50.3% (94/187) の症例において治療日的が達成され, 抗菌薬の追加投与は不必要であった。治療Il的遠成度に関して両薬剤間に有意な差は認められなかった。<BR>4. 随伴症状の発現率はCZOP群3.9%(8/206), CAZ群5.0%(10/202) で両棊剤間に有意な差はなかった。臨床検査値異常変動として, CAZ群に好酸球増多がCZOP絆より多数認められたが, 臨床検査値異常出現率としては, CZOP群31.6% (65/206), CAZ群32.2% (65/202) で, 両群間に有意な差は認められなかった。<BR>以上の成績から, CZOPは臨床効果においてCAZと比較して非劣性であることが検祉された。また<I>S. pneumoniae</I>による下気道感染症に対するCZOPの早期治療効果が確認された。
著者
小林 宏行 武田 博明 渡辺 秀裕 太田見 宏 酒寄 享 齋藤 玲 中山 一朗 富沢 麿須美 佐藤 清 平賀 洋明 大道 光秀 武部 和夫 村上 誠一 増田 光男 今村 憲市 中畑 久 斉藤 三代子 遅野井 健 田村 昌士 小西 一樹 小原 一雄 千葉 太郎 青山 洋二 斯波 明子 渡辺 彰 新妻 一直 滝沢 茂夫 中井 祐之 本田 芳宏 勝 正孝 大石 明 中村 守男 金子 光太郎 坂内 通宏 青崎 登 島田 馨 後藤 元 後藤 美江子 佐野 靖之 宮本 康文 荒井 康男 菊池 典雄 酒井 紀 柴 孝也 吉田 正樹 堀 誠治 嶋田 甚五郎 斎藤 篤 中田 紘一郎 中谷 龍王 坪井 永保 成井 浩司 中森 祥隆 稲川 裕子 清水 喜八郎 戸塚 恭一 柴田 雄介 菊池 賢 長谷川 裕美 森 健 磯沼 弘 高橋 まゆみ 江部 司 稲垣 正義 国井 乙彦 宮司 厚子 大谷津 功 斧 康雄 宮下 琢 西谷 肇 徳村 保昌 杉山 肇 山口 守道 青木 ますみ 芳賀 敏昭 宮下 英夫 池田 康夫 木崎 昌弘 内田 博 森 茂久 小林 芳夫 工藤 宏一郎 堀内 正 庄司 俊輔 可部 順三郎 宍戸 春美 永井 英明 佐藤 紘二 倉島 篤行 三宅 修司 川上 健司 林 孝二 松本 文夫 今井 健郎 桜井 磐 吉川 晃司 高橋 孝行 森田 雅之 小田切 繁樹 鈴木 周雄 高橋 宏 高橋 健一 大久保 隆男 池田 大忠 金子 保 荒川 正昭 和田 光一 瀬賀 弘行 吉川 博子 塚田 弘樹 川島 崇 岩田 文英 青木 信樹 関根 理 鈴木 康稔 宇野 勝次 八木 元広 武田 元 泉 三郎 佐藤 篤彦 千田 金吾 須田 隆文 田村 亨治 吉富 淳 八木 健 武内 俊彦 山田 保夫 中村 敦 山本 俊信 山本 和英 花木 英和 山本 俊幸 松浦 徹 山腰 雅弘 鈴木 幹三 下方 薫 一山 智 斎藤 英彦 酒井 秀造 野村 史郎 千田 一嘉 岩原 毅 南 博信 山本 雅史 斉藤 博 矢守 貞昭 柴垣 友久 西脇 敬祐 中西 和夫 成田 亘啓 三笠 桂一 澤木 政好 古西 満 前田 光一 浜田 薫 武内 章治 坂本 正洋 辻本 正之 国松 幹和 久世 文幸 川合 満 三木 文雄 生野 善康 村田 哲人 坂元 一夫 蛭間 正人 大谷 眞一郎 原 泰志 中山 浩二 田中 聡彦 花谷 彰久 矢野 三郎 中川 勝 副島 林造 沖本 二郎 守屋 修 二木 芳人 松島 敏春 木村 丹 小橋 吉博 安達 倫文 田辺 潤 田野 吉彦 原 宏起 山木戸 道郎 長谷川 健司 小倉 剛 朝田 完二 並川 修 西岡 真輔 吾妻 雅彦 前田 美規重 白神 実 仁保 喜之 澤江 義郎 岡田 薫 高木 宏治 下野 信行 三角 博康 江口 克彦 大泉 耕太郎 徳永 尚登 市川 洋一郎 矢野 敬文 原 耕平 河野 茂 古賀 宏延 賀来 満夫 朝野 和典 伊藤 直美 渡辺 講一 松本 慶蔵 隆杉 正和 田口 幹雄 大石 和徳 高橋 淳 渡辺 浩 大森 明美 渡辺 貴和雄 永武 毅 田中 宏史 山内 壮一郎 那須 勝 後藤 陽一郎 山崎 透 永井 寛之 生田 真澄 時松 一成 一宮 朋来 平井 一弘 河野 宏 田代 隆良 志摩 清 岳中 耐夫 斎藤 厚 普久原 造 伊良部 勇栄 稲留 潤 草野 展周 古堅 興子 仲宗根 勇 平良 真幸
出版者
Japanese Society of Chemotherapy
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.333-351, 1995-07-31
被引用文献数
2

新規キノロン系経口合成抗菌薬grepafloxacin (GPFX) の内科領域感染症に対する臨床的有用性を全国62施設の共同研究により検討した。対象疾患は呼吸器感染症を中心とし, 投与方法は原則として1回100~300mgを1日1~2回投与することとした。<BR>総投与症例525例のうち509例を臨床効果判定の解析対象とした。全症例に対する有効率は443/509 (87.0%) であり, そのうち呼吸器感染症432/496 (87.1%), 尿路感染症11/13 (84.6%) であった。呼吸器感染症における有効率を疾患別にみると, 咽喉頭炎・咽頭炎19/22 (86.4%), 扁桃炎17/18 (94.4%), 急性気管支炎53/58 (91.4%), 肺炎104/119 (87.4%), マイコプラズマ肺炎17/19 (89.5%), 異型肺炎5/5, 慢性気管支炎117/133 (88.0%), 気管支拡張症48/63 (76.2%), びまん性汎細気管支炎17/19 (89.5%) および慢性呼吸器疾患の二次感染35/40 (87.5%) であった。<BR>呼吸器感染症における細菌学的効果は233例で判定され, その消失率は単独菌感染では154/197 (78.2%), 複数菌感染では22/36 (61.1%) であった。また, 単独菌感染における消失率はグラム陽性菌48/53 (90.6%), グラム陰性菌105/142 (73.9%) であり, グラム陽性菌に対する細菌学的効果の方が優れていた。呼吸器感染症の起炎菌のうちMICが測定された115株におけるGPFXのMIC<SUB>80</SUB>は0.39μg/mlで, 一方対照薬 (97株) としたnornoxacin (NFLX), onoxacin (OFLX), enoxacin (ENX) およびcipronoxacin (CPFX) はそれぞれ6.25, 1.56, 6.25および0.78μg/mlであった。<BR>副作用は519例中26例 (5.0%, 発現件数38件) にみられ, その症状の内訳は, 消化器系18件, 精神神経系13件, 過敏症3件, その他4件であった。<BR>臨床検査値異常は, 490例中49例 (10.0%, 発現件数61件) にみられ, その主たる項目は, 好酸球の増多とトランスアミナーゼの上昇であった。いずれの症状, 変動とも重篤なものはなかった。<BR>臨床効果と副作用, 臨床検査値異常の安全性を総合的に勘案した有用性については, 呼吸器感染症での有用率422/497 (84.9%), 尿路感染症で10/13 (76.9%) であり, 全体では432/510 (84.7%) であった。<BR>以上の成績より, GPFXは呼吸器感染症を中心とする内科領域感染症に対して有用な薬剤であると考えられた。
著者
佐藤 万代 山崎 翼 上坂 梨沙 音田 愛 矢野 忠
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.157-167, 2012 (Released:2012-08-06)
参考文献数
14
被引用文献数
3 2

【目的】近年、 ストレスや生活の乱れなどが心身にさまざまな影響を及ぼし、 その結果、 肌状態の悪化を自覚する女性が増加している。 このような背景から、 局所的なケアだけでなく、 全身の健康増進を通して美容効果を得ようとする鍼灸治療が注目され、 「美容鍼灸」 という一つの分野として職域的に拡大している。 本研究では、 肌の不調を自覚する健常成人女性に鍼治療もしくは指圧療法を行い、 肌状態への効果と介入方法の特性について検討を行った。 【対象と方法】対象は肌の不調を自覚する健常成人女性14名とし、 鍼治療群7名と指圧療法群7名にランダム割付けした。 介入期間は4週間とし、 各群ともに週2回の介入を行った。 評価は介入期間の前後とし、 主観的評価として主観的健康感、 身体的・精神的疲労VAS、 ナーリス気分テスト、 肌状態アンケートを、 客観的評価として皮膚色調 (L*値、 a*値、 b*値)、 メラニン指数、 Hb指数、 HbO2指数、 角質細胞面積、 三次元画像変位量によるたるみ、 レプリカ (目尻・鼻唇溝) 解析によるシワ面積率、 および、 印象について評価を行った。 統計処理は、 2群の介入前比較には対応のないt検定を、 介入前後の群内比較には対応のあるt検定を用いた。 【結果】客観的評価においては、 両群の背景因子には有意差は認められなかった。 鍼治療群では主観的なシワ、 たるみ、 肌状態の有意な改善、 客観的評価では左鼻唇溝のシワ面積率減少傾向を認めた。 指圧療法群では主観的な皮脂、 ナーリス気分テストの有意な改善、 客観的評価ではL*値、 HbO2指数の増加傾向、 b*値、 メラニン指数の低下傾向を認めた。 【考察・結論】鍼治療はシワなどの形態的変化を、 指圧療法は皮膚色調を変化させる可能性が考えられた。 効果が異なる理由は不明だが、 介入の違いによるものと考えられた。 本研究は主観的、 客観的評価を用いて美容鍼灸の効果の一端を明らかにしたものであり、 意義のあるものと考えられた。
著者
福島 悠介 山崎 俊彦 相澤 清晴
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.70, no.11, pp.J255-J261, 2016 (Released:2016-10-25)
参考文献数
19
被引用文献数
1

本稿では,テレビドラマを対象とし,放送局や時間帯といった基本的な情報に加え,出演する役者や関わったスタッフ,そして役者の話題性を用いた視聴率の予測を行う.ドラマの映像や音声は用いず,放送前に得られる情報のみから視聴率を予測すること,そして視聴率に影響を与える要因を明らかにすることが目的である.我々の作成した678本のドラマからなるデータセットに対して,サポートベクター回帰とランダムフォレストの二つのモデルを適用し,初回視聴率の予測を行った.実際の視聴率と予測した視聴率との相関はr=0.843と高い値,平均絶対誤差は1.93%と小さいことを確認した.また,ドラマに関わる各要素のうち,特に視聴率に強く影響する要因とその影響の度合いを明らかにすると共に,本手法がうまく働く場合と働かない場合に関して具体的なドラマ名を挙げた考察を行った.
著者
片野 修 佐久間 徹 岩崎 順 喜多 明 尾崎 真澄 坂本 浩 山崎 裕治 阿部 夏丸 新見 克也 上垣 雅史
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.147-152, 2010-05-30 (Released:2018-02-01)
参考文献数
20
被引用文献数
6

The channel catfish, Ictalurus punctatus, is an invasive alien species introduced from North America. We investigated the present status of the fish in Japan and found that it is widely distributed in the Abukuma, Tone, and Yahagi River systems, as well as in Lake Shimokotori. In 2008 and 2009, several channel catfish were also caught in Lake Hinuma and the Miya and Seta Rivers. We concluded that the distribution of channel catfish has rapidly expanded within natural rivers during the past several years. To avoid severe damage imposed by channel catfish to the river ecosystems and inland fisheries of Japan, risk assessments and examinations of the ecological characteristics and methods of capture of this fish species are urgently required.
著者
山崎 元泰
出版者
尚美学園大学
雑誌
尚美学園大学総合政策論集 (ISSN:13497049)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.123-143, 2016-06-30

ジュリアン・コーベットは主に20世紀初頭に活躍した英国を代表する海軍史家であり、かつ海洋戦略思想家である。彼はもともと法律家出身で軍務経験がなく、歴史や戦略に関する専門教育も受けていなかった。しかしながらコーベットは海軍問題に関する専門家として高く評価され、学術上の著作を数多く生み出すばかりでなく、海軍教育の分野でも多大な貢献をした。さらに彼は海軍省の実質的な顧問のような役割を果たし、晩年には日露戦争と第一次世界大戦における海戦を扱った公式戦史まで執筆している。このように生前は研究者として非常に大きな成功を収めていたコーベットであるが、死後、彼の存在は研究成果とともに急速に忘れ去られてしまう。第二次世界大戦後になって海外では次第に、コーベットの海洋戦略に対する再評価が進むようにはなったが、依然として十分ではない。同様に日本国内でも、近年コーベットが少しずつ取り上げられるようにはなっているものの、海軍戦略の権威はあくまで米国のマハンである。コーベットに関する言及が、ほとんどない戦略概説書もいまだ珍しくはない。本稿はコーベットの生涯と業績を概観することで、彼の海洋戦略思想に対する理解を促進し、わが国におけるコーベット研究のさらなる発展へとつなげていくことを意図したものである。
著者
平田 恵子 山崎 由希子
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.162-190, 2006-01-31

国際規範に関する分析は概して,システムレベルの規範の普及に着目している.本稿では,そのような分析はネオリアリズム,新自由主義制度派,構造主義などに根ざしており,主に二つの問題があると主張する.一つは,それらの分析が普及に成功した規範の実例に多大な関心を払っているのに対し,失敗したものについては見過ごしていることである.もう一つの問題はそれらの分析が,規範の普及する過程において国際規範と国内構造がどのように関連しているかを検証できていないことである.この関連を見過ごすことにより,システムレベルの研究は国際規範が国内の領域に広がる具体的なメカニズムとプロセスを明らかにできないでいる.本稿は国内構造(特に文化・政治的構造)が国内レベルにおける国際規範の普及を可能にする主要要素であると主張する.日本における反捕鯨規範の受け入れ拒否を分析するにあたり本稿は,このような国内構造が反捕鯨規範の出現や受け入れを阻むフィルターとして機能していると論じるものである.
著者
山崎 天 坂田 亘 川本 稔己 小林 滉河 Nguyen Tung 上村 卓史 中町 礼文 李 聖哲 佐藤 敏紀
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 93回 (2021/11) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.113-118, 2021 (Released:2021-11-20)

本稿では、対話システムライブコンペティション4のオープントラックに提出した対話システムについて述べる。本システムはTransformerをベースとした言語モデルの「HyperCLOVA」を用い、ユーザの発話に応じて選択するFew-Shotプロンプトを利用して応答候補の生成を行う。プロンプトは4種類あり、一般的な応答生成、知識応答生成、ペルソナ一貫性を考慮した応答生成、短文抑制のための応答生成を目的としたものをそれぞれ用意し、組み合わせて利用する。後に、不適切な発話を除去するフィルタリングを行うことで、最終的な出力を得るシステムとなっている。予選の結果では1位を獲得し、大規模言語モデルが雑談応答生成に有効であることを示したが、攻撃的な応答生成をはじめとしたいくつかの課題が顕在化した。本稿では、大規模言語モデルを用いた雑談応用における現存の課題や今後の方向性を議論する。

13 0 0 0 OA ワニ料理

著者
山崎 妙子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.155-159, 1996-05-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
9
被引用文献数
2
著者
伊関 憲 朝長 鮎美 林田 昌子 清野 慶子 篠崎 克洋 羽田 俊裕 山崎 健太郎
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.11, pp.775-780, 2012-11-15 (Released:2013-01-17)
参考文献数
13

症例は45歳の男性。頭にごみ袋を被りヘアゴムで頸部を留めて,浴室の洗い場で全裸の状態で座っているところを発見された。意識はなく心肺停止状態であり,心肺蘇生を行うも死亡確認となった。蘇生中,気管チューブよりピンクから赤色の泡沫痰が多量に吸引された。死後の胸部CTでは,両側肺野に著明な肺水腫,肺胞出血の所見があり,気管から両側主気管支内に液体貯留を認めた。現場検証で浴室内からエアダスターが発見された。司法解剖では,左右の肺に高度肺水腫と肺胞出血が認められた。左右ともに濃紫赤色,血液量が多く,水腫高度であった。両側眼瞼結膜に溢血点あり,口唇結膜,上下肢にチアノーゼを認めた。さらに心臓血より1.1-ジフルオロエタン(HFC-152a,以下DFE)が検出された。DFEはフロンガスの一種であり,冷媒や噴射剤などに用いられる。吸入により多幸感や気分の高揚感が得られるため乱用される場合がある。しかし,高濃度のDFEを吸入すると中枢神経系の抑制や催不整脈作用がある。死亡例も散見され,剖検例では両肺で著明な肺水腫と肺胞出血がみられた。今回の症例では,頭からビニール袋を被りDFEの吸引をしていたところ意識を消失し,低酸素,窒息状態となり死亡したものと思われる。本症例のような吸入法での死亡例が国内で散見され,インターネットでのフロンガス吸入に関する情報の規制などが必要である。
著者
山崎 晃男
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学人間科学研究紀要 (ISSN:13471287)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.221-232, 2009-01-31

音楽が感情を表現したり喚起したりするという考えは,時代や洋の東西を問わず,広く行き渡ったものである。実際,多くの哲学者や音楽理論家,科学者がそのような考えに対して,繰り返し支持を表明している。心理学においても,音楽と感情の関係について数多くの研究がなされている。本論文では,そうした音楽と感情の関係についての心理学的研究を以下の三つの研究領域に分類した上で,各々について概観している。ここで分類を行った三つの研究領域とは,音楽の感情的性格についての研究,音楽による感情喚起についての研究,音楽を通した感情的コミュニケーションの研究である。音楽の感情的性格についての研究とは,楽曲に対して聴取者が知覚する感情的な性格についての研究であり,一方,音楽による感情喚起についての研究とは,楽曲が聴取者に引き起こす感情的反応についての研究である。音楽を通した感情的コミュニケーションについての研究とは,演奏者から聴取者への感情的意図の伝達についての研究である。本論文では,これらについて概観した後,各研究領域が抱える研究上の課題について論じている。