著者
鈴木 亮一 島田 昌和 森本 匡洋 神野 信夫 鈴木 周二 余戸 拓也 原田 恭治 道下 正貴 原 康
出版者
Japanese Society of Veterinary Anesthesia and Surgery
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.45-52, 2023 (Released:2023-10-17)
参考文献数
30

3歳4ヶ月齢の避妊雌のドーベルマン・ピンシャーが、右後肢の跛行が進行していたため紹介来院した。整形外科的検査では股関節の可動域が減少し、右大臀筋および大腿部骨格筋の萎縮が明らかに認められた。コンピュータ断層撮影では右坐骨腹側から右大腿骨転子窩尾側に伸びる骨塊が認められた。Von Willebrand病1型遺伝子のDNA検査では遺伝子変異は認められなかった。骨塊は外科的手術により切除され、組織学的に化骨性筋炎と診断された。運動機能は顕著に改善し、術後363日目においても再発は認められなかった。
著者
仲須 千春 山田 眞一郎 寺奥 大貴 齋藤 裕 池本 哲也 森根 裕二 島田 光生
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.504-509, 2023-10-01 (Released:2023-10-12)
参考文献数
18

患者は50代女性.検診の腹部超音波検査で肝S3に16×14 mm大の腫瘤を指摘され精査加療目的に当科紹介となった.既往歴・生肉食歴なし.術前の血液検査で異常なく,末梢好酸球も正常.造影CTの動脈・門脈相では辺縁に造影効果を認めるが,平衡相では造影されず,MRI T1強調像で低信号,T2強調像で低~等信号,拡散強調像でやや高信号であった.PET-CTで肝臓への集積は認めなった.悪性腫瘍の可能性を完全に否定できず,腹腔鏡下肝部分切除を施行した.病理組織学的には腫瘤全体に凝固壊死像が見られ,辺縁に線維増生を伴い,組織球が柵状に配列したpalisading granulomaであった.原因特定のために複数の染色を行ったが,病原体は同定できなかった.palisading granulomaは術前診断が困難であり,診断的治療として腹腔鏡下肝切除術は有用であると考えられた.
著者
島田 浩一
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.387-394, 2020-08-10 (Released:2020-08-10)
参考文献数
15

富士フイルムでは,長年にわたり“ポリウレタンウレア壁マイクロカプセル技術”を導入した感熱·感圧記録材料を開発~販売している.ポリウレタンウレアによるマイクロカプセル壁は界面重合法により形成されるが,マイクロカプセル壁のガラス転移点や力学特性の制御が容易であることから,様々な感熱·感圧記録材料の高機能化に貢献してきた.現在,感熱記録材料として,医療用ドライサーマルイメージャー「DRYPIX Lite」用記録フィルム「DI-HT」などを販売しており,マイクロカプセル技術によって長期保存性と高い透明性による高画質化を実現している.また感圧記録材料としては,マイクロカプセル技術により幅広い圧力領域での圧力分布/圧力バランス測定を可能にした“圧力測定フイルム;Prescale (プレスケール)”の販売も行っている.本稿では,上記“ポリウレタンウレア壁マイクロカプセル”を形成する技術を解説するとともに,現在販売されている記録材料に導入した技術を紹介する.
著者
白川 真裕 島田 貴仁 樋口 匡貴
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.516-525, 2023 (Released:2023-02-25)
参考文献数
32

Based on the protection motivation theory and previous studies that discussed the effects of risk perception, perceived response effectiveness, and self-efficacy on behavioral intentions and changes in behavior, this study conducted an experiment to examine the effects of the Metropolitan Police Department's crime deterrence task force’s official Twitter account on crime prevention behavior. Information on the threat of communications fraud, the effectiveness of preventive behavior, and self-efficacy was presented via Twitter, and changes in behavioral intention, behavior, fear, effectiveness, and self-efficacy were checked over time. Participants in their 20s to 50s were assigned to a Metropolitan Police Department group presented with tweets about scams or to a control group presented with other tweets. The results of the analysis of the 60 participants in the police department group and the 49 participants in the control group showed that the presentation of information increased behavioral intention, but it did not necessarily lead to changes in behavior. Therefore, it was suggested that there may be other factors that increase behavioral intention and changes in behavior.
著者
岡野 彰 島田 和宏 居在家 義昭 大石 孝雄
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.458-464, 1984-07-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

昭和13年から57年までの45年間に農林水産省中国農業試験場畜産部で飼養されていた黒毛和種雌牛221頭の計1167回の妊娠例について,初産年齢と各産次別の繁殖性を調べ,あわせて生涯にわたる生産性について検討した.分娩後の発情回帰日数および空胎日数はそれぞれ平均67.7日および125.5日であった.全産次を通してみた平均分娩間隔は,417.5日であった.流産と死産の発生は,ほとんどの妊娠回次に認められ,その発生率は5.3%であった.流産と死産後の発情回帰日数は平均47.9日,また空胎日数は平均132.8日であり,発情回帰日数については,正常分娩後の日数に比べて有意に短かった.初産および最終産年齢は,それぞれ平均2.53および8.15歳であり,平均生涯産子数は5.4頭であった、しかし,初産年齢が2.01~3.00歳の雌牛は,2.00歳以下および3.01歳以上の雌牛に比べ,生涯産子数が多く,繁殖供用年数の長い傾向が認められた.調査対象雌牛の最高産次は,15産であったが,5産後までに51%,8産後までに83%の雌牛が死亡するか淘汰された.淘汰された調査対象雌牛のうち76%はなんらかの繁殖障害が原因であった.以上のことから,黒毛和種雌牛の適切な繁殖供用開始月齢はおよそ15~20ヵ月齢であり,一方淘汰とその年齢を考えあわせると,雌牛の繁殖供用限界は,7~8産を得る9~10歳が目安であると考えられた.
著者
香月 健志 及川 洋一 島田 朗 伊藤 裕
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.861-865, 2008 (Released:2009-05-20)
参考文献数
13
被引用文献数
6

症例は35歳の肥満男性.32歳時に口渇・多飲・多尿が出現し当院を受診,糖尿病性ケトアシドーシスの診断で入院となった.清涼飲料水の多飲歴はなく,膵島関連自己抗体も陰性であった.インスリン加療にて完全ではないものの内因性インスリン分泌能の改善を認め,退院後33歳時からインスリン加療は中止となり,食事療法のみにてHbA1c 6.0%前後で推移した.その後体重は88 kgから105 kgまで徐々に増加し,34歳時に再び口渇・多飲・多尿が出現し当院を受診,糖尿病性ケトーシスの診断にて再入院となった.インスリン加療を再開し,内因性インスリン分泌能は不十分ながら回復傾向となった.退院後現在まで血糖コントロールは安定している.本症例は経過からketosis-prone type 2 diabetesが疑われた.日本人での報告はほとんど認められず,若干の考察を含め報告する.
著者
吉田 卓弘 梅本 淳 山井 礼道 清家 純一 本田 純子 丹黒 章 島田 光生 米田 亜樹子
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.40, no.9, pp.1576-1581, 2007 (Released:2011-06-08)
参考文献数
37
被引用文献数
6 8

非常にまれな胃異所性膵から発生した腺癌の1例を報告する. 症例は64歳の男性で, 胸膜炎の経過観察中に, 胸部CTにて胃幽門部大彎側に径3.0cmの腫瘤を偶然に指摘された. 上部消化管内視鏡検査, 超音波内視鏡検査を施行したところ, 幽門前庭部になだらかな隆起性病変を認め, 筋層を主座とする粘膜下腫瘍を認めた. Retrospectiveには2年前のCTでも存在しており, 腫瘍径にほとんど変化を認めなかった. しかし, 幽門狭窄症状を来したため, 胃gastrointestinal stromal tumorの術前診断のもと腹腔鏡下幽門部分切除術を施行した. 腫瘍の一部を術中迅速診断に提出したところ, 胃異所性膵と考えられた. 永久標本では粘膜下層から漿膜下にかけて腫瘍が存在し, 一部に腺癌への移行像を認め, 異所性膵から発生した高分化型腺癌と診断された. 粘膜下腫瘍の治療においては, 悪性腫瘍が併存する可能性も念頭におく必要がある.
著者
山際 清貴 小野 晋 島田 雅子 小関 博久
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48100328, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】学生という立場から専門職業人への移行は、生涯のなかでも大きなライフイベントのひとつであるといえる。入職後、速やかに環境に順応し職場適応することは、理学療法士としての人生を円滑にスタートするための重要な要素であると考えられる。なお、組織への新規参入者のほとんどが、この職場適応の過程においてリアリティショック(RS)に直面することが報告されている。今回我々は、新人PTが直面するRSの要因とサポート状況および克服手段について調査を行い、円滑な職場適応の一助となり得る方策を見出すことを目的として検討を行った。【方法】対象は、2012年3月にA専門学校を卒業した66名(男性38名、女性28名、平均年齢25.1歳)とした。上記の66名に対して、電子メールにて無記名式のアンケートを送信し回答を得た。アンケートの構成は、性別と年齢の基本属性の他に「RSの有無」「RSを受けた内容」「RSを受けた時期」「RSを受けた際のサポート源の有無」「サポート源の役職」「サポートの手段」「RSへの立ち向かい方」についての7項目について調査した。このうち「RSを受けた内容」「サポートの手段」「RSへの立ち向かい方」に関しては自由記載にて回答を求め、類似した内容をKJ法にてカテゴリー化した。RSの定義は「新卒の専門職者が数年間の専門教育を受け実際に職場で仕事を始めるようになって、予期しなかった苦痛や不快さを伴うしばしば耐えがたい現実の場面に合ったときに感じる困惑の状態」とした。依頼文と共にアンケートの前文に記載し、十分にRSの定義を理解してから回答するように促した。【倫理的配慮、説明と同意】倫理的配慮として、回答は任意であり、取得したデータの取り扱いについては個人を特定しないことを明記した。また、個人情報の取り扱いに関しては十分な注意を払うこと、アンケートの返信をもって研究への同意を得たとみなす旨を記載した。【結果】アンケートの返信数は25名(男性17名、女性8名、平均年齢24.2歳、回収率37.9%)であり、回答に不備のあるものはなかった。入職してから現在までに「RSを受けた」と自覚した者は13名(52.0%)であり、「サポートしてくれた人物の有無」に関しては、12名(92.3%)が「いた」と回答した。その内訳は、プリセプターが9名(69.2%)、同期のスタッフが9名(69.2%)、プリセプター以外の上司が7名(53.8%)、同級生が5名(38.5%)、家族が2名(15.4%)、その他が2名(15.4%)、患者が1名(7.7%)であった。なお、「RSを受けた時期」は、4月が3名(23.0%)、5月と6月がそれぞれ5名(38.5%)であり、7月以降に受けた者はいなかった。「RSを受けた内容」に関しては25件のコードを抽出し、サブカテゴリー「知識の量(5)」「治療の技術(5)」「評価の技術(4)」を大カテゴリー[PTとしての資質]とし、同様に「第三者との関わり(5)」「コミュニケーション(2)」を[対人技能]、「多忙(3)」「給与の安さ(1)」を[職場環境]と命名し分類した。同様に、「RSに対するサポートの手段」に関しては21件のコードを抽出し、サブカテゴリー「一緒に患者を担当(8)」「フィードバック(5)」を大カテゴリー[実技面のサポート]とし、同様に「傾聴(6)」「声掛け(2)」を[心理面のサポート]と命名し、「RSの克服手段」に関しては15件のコードを抽出し、サブカテゴリー「文献学習(3)」「先輩PTへの相談(4)」を大カテゴリー[前向きな克服手段]とし、同様に「発想の転換(4)」「気分転換(2)」を[内的な変容]と命名し分類した。【考察】新人PTは、日々の業務の中で自身の知識の乏しさや技術の未熟さに代表されるようなPTとしての資質面に限らず、第三者との関わりの難しさや多忙であることなどにも戸惑いを感じ、高いストレス環境の下で業務を遂行していることが示唆された。新人看護師のサポート源としては、同僚、先輩看護師、上司・友人、家族が重要な役割を占めると報告されている。本研究においてもほぼ同様の傾向を示しており、入職後3ヵ月までの期間において、新人PTは個別指導を担当するプリセプターからの日常業務の進め方や理学療法の実践に必要な知識や技術についてのサポートを受ける機会が最も多いことが示唆された。これらは、入職したばかりで不慣れな環境に置かれた新人医療者にとっては、職種を問わずプリセプターの存在が最も身近で重要な存在であることを意味している。すなわち、新人PTが円滑に職場適応を果たすためには、当事者の努力のみならずプリセプターを主とした周囲のスタッフの教育力や支援の必要性が示唆された。【理学療法学研究としての意義】RSの存在や要因が明確になり、RSによる精神的健康の低下や早期離職などの予防策を立てる一助となり得ることは、新人PTと施設の双方において有益であると考えられる。
著者
羽部 浩 新保 外志夫 山本 拓司 佐藤 俊 島田 広道 榊 啓二
出版者
The Japan Petroleum Institute
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.414-422, 2013 (Released:2014-01-01)
参考文献数
12
被引用文献数
19 24

近年,バイオエタノールが化学品製造における重要な原料となっている。バイオエタノール中の不純物が,下流の化学品製造プロセスで使用する触媒の性能に影響を及ぼす可能性があるため,17種のバイオエタノールサンプルについて不純物の分析を行った。リグノセルロース系バイオエタノールは,糖・デンプン系バイオエタノールと比較して,高濃度かつ多種類の有機不純物を含んでいた。特に,リグノセルロース系バイオエタノールは,高濃度の酢酸,アセトアルデヒド,メタノールおよびフルフラールのようなフラン系化合物を含んでいた。また,リグノセルロース系バイオエタノールは,有機硫黄系不純物としてジメチルジスルフィドおよびチアゾールを含んでいたのに対し,糖・デンプン系バイオエタノールからは,ジメチルスルフィドおよびジメチルスルフォキシドが検出された。加えて,リグノセルロース系バイオエタノールからは,0.1 μg/mL以上のSiが検出された。
著者
島田 直子
出版者
一般社団法人 日本LD学会
雑誌
LD研究 (ISSN:13465716)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.358-367, 2016 (Released:2021-03-23)
参考文献数
38
被引用文献数
1

近年,外国につながる子どもたちが増加し,その子どもたちが抱える発達障害が報告されている。文化間を移動する子どもたちのアセスメントで知能検査を利用する場合,文化や言語の違いから,特別な方法が必要であるが,その方法について総括的にまとめられているものは国内ではみられない。そこで本稿では,米国の文献から,多文化心理教育アセスメントにおける,知能検査の9つの利用方法についてまとめる:1.滞在国の検査を利用する,2.滞在国の検査を適宜手順変更して利用する,3.通訳者を介して検査を利用する,4.母国の検査を利用する,5.非言語検査を利用する,6.文化差を考慮した検査を利用する,7.バイリンガルアセスメントを利用する,8.バイリンガルの多面的アセスメント:MAMBIモデルを利用する,9.文化と言語の解釈表(C-LIM)を利用する。さらに,日本において多文化心理教育アセスメントを行う際の知能検査の利用法の可能性について論じる。
著者
島田三郎著
出版者
警醒社
巻号頁・発行日
1901
著者
土屋 剛史 八木 貴博 塚本 充雄 福島 慶久 島田 竜 岡本 耕一 藤井 正一 野澤 慶次郎 松田 圭二 石田 剛 斉藤 光次 橋口 陽二郎
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.374-378, 2016 (Released:2016-06-24)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

症例は50歳,女性.検診で上部消化管造影検査施行後7日目に,急激な腹痛が出現した.前医に緊急入院となったが,排便なく,貧血の進行も認めたため,当院へ転院となった.腹部CT検査で,S状結腸周囲に腹腔内遊離ガス像と,腸管外へのバリウムの漏出を認めた.また,骨盤底には強いアーチファクトを引く巨大なバリウム陰影を認めた.下部消化管穿孔疑いにて,同日緊急手術を施行した.術中所見では,S状結腸の腸間膜側へ穿孔を起こしており,同部では壊死性の変化を伴っていた.また,直腸内には鶏卵大の硬い異物を触知した.ハルトマン手術,腹腔ドレナージを施行した.直腸内異物を用手的に肛門から排出させると,バリウム塊であった.標本上は,34mm大の穿孔部を認めた以外,憩室や腫瘍性病変は指摘できなかった.バリウムによる上部消化管造影検査後の大腸穿孔はまれであるが,重篤な転帰をとる場合もあるため,若干の文献的考察を加えて報告する.
著者
川崎 英二 丸山 太郎 今川 彰久 粟田 卓也 池上 博司 内潟 安子 大澤 春彦 川畑 由美子 小林 哲郎 島田 朗 清水 一紀 高橋 和眞 永田 正男 牧野 英一 花房 俊昭
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.8, pp.584-589, 2013 (Released:2013-09-07)
参考文献数
13
被引用文献数
14

1型糖尿病は膵β細胞の破壊性病変によりインスリンの欠乏が生じて発症する糖尿病であり,発症・進行の様式によって,劇症,急性,緩徐進行性に分類される.今回,本委員会において急性発症1型糖尿病の診断基準を策定した.劇症1型糖尿病の診断基準を満たさず,口渇,多飲,多尿,体重減少などの糖尿病(高血糖)症状の出現後,おおむね3か月以内にケトーシスあるいはケトアシドーシスに陥り,糖尿病の診断早期より継続してインスリン治療を必要とする患者のうち,経過中に膵島関連自己抗体の陽性が確認されたものを「急性発症1型糖尿病(自己免疫性)」と診断し,同患者のうち膵島関連自己抗体が証明できないが内因性インスリン分泌が欠乏(空腹時CPR<0.6 ng/ml)しているものを単に「急性発症1型糖尿病」とする.しかし,内因性インスリン分泌欠乏が証明されない場合,あるいは膵島関連自己抗体が不明の場合には診断保留として期間をおいて再評価することが重要である.
著者
望月 秀樹 青木 正志 池中 建介 井上 治久 岩坪 威 宇川 義一 岡澤 均 小野 賢二郎 小野寺 理 北川 一夫 齊藤 祐子 下畑 享良 髙橋 良輔 戸田 達史 中原 仁 松本 理器 水澤 英洋 三井 純 村山 繁雄 勝野 雅央 日本神経学会将来構想委員会 青木 吉嗣 石浦 浩之 和泉 唯信 小池 春樹 島田 斉 髙橋 祐二 徳田 隆彦 中嶋 秀人 波田野 琢 三澤 園子 渡辺 宏久
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.709-721, 2021 (Released:2021-11-24)

日本神経学会では,脳神経内科領域の研究・教育・診療,特に研究の方向性や学会としてのあるべき姿について審議し,水澤代表理事が中心となり国などに対して提言を行うために作成委員*が選ばれ,2013年に「脳神経疾患克服に向けた研究推進の提言」が作成された.2014年に将来構想委員会が設立され,これらの事業が継続.今回将来構想委員会で,2020年から2021年の最新の提言が作成された.本稿で,総論部分1)脳神経疾患とは,2)脳神経疾患克服研究の現状,3)脳神経疾患克服研究の意義・必要性,4)神経疾患克服に向けた研究推進体制,5)脳・神経・筋疾患克服へのロードマップ,6)提言の要約版を報告する.*提言作成メンバー水澤 英洋,阿部 康二,宇川 義一,梶 龍兒,亀井 聡,神田 隆,吉良 潤一,楠進,鈴木 則宏,祖父江 元,髙橋 良輔,辻 省次,中島 健二,西澤 正豊,服部 信孝,福山 秀直,峰松 一夫,村山 繁雄,望月 秀樹,山田 正仁(当時所属:国立精神・神経医療研究センター 理事長,岡山大学大学院脳神経内科学講座 教授,福島県立医科大学医学部神経再生医療学講座 教授,徳島大学大学院臨床神経科学分野 教授,日本大学医学部内科学系神経内科学分野 教授,山口大学大学院神経内科学講座 教授,九州大学大学院脳神経病研究施設神経内科 教授,近畿大学医学部神経内科 教授,湘南慶育病院 病院長,名古屋大学大学院 特任教授,京都大学大学院臨床神経学 教授,国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 教授,東京大学医学部附属病院分子神経学特任教授,国立病院機構松江医療センター 病院長,新潟大学脳研究所臨床神経科学部門神経内科学分野,新潟大学脳研究所フェロー,同統合脳機能研究センター産学連携コーディネーター(特任教員),順天堂大学医学部神経学講座 教授,京都大学大学院高次脳機能総合研究センター 教授,国立循環器病研究センター病院長,東京都健康長寿医療センター研究所 高齢者ブレインバンク,大阪大学大学院神経内科学 教授,金沢大学大学院脳老化・神経病態学 教授)
著者
馬殿 恵 今川 彰久 阿比留 教生 粟田 卓也 池上 博司 内潟 安子 及川 洋一 大澤 春彦 梶尾 裕 川﨑 英二 川畑 由美子 小澤 純二 島田 朗 高橋 和眞 田中 昌一郎 中條 大輔 福井 智康 三浦 順之助 安田 和基 安田 尚史 小林 哲郎 花房 俊昭 日本人1型糖尿病の成因診断病態治療に関する調査研究委員会
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.37-46, 2019-01-30 (Released:2019-01-30)
参考文献数
34
被引用文献数
5

抗PD-1抗体投与後に発症する1型糖尿病について,日本糖尿病学会員への調査と文献検索を行い22症例を検討した.初回の薬剤投与日から発症までの平均期間は155日,発症時の平均年齢63歳,平均血糖値617 mg/dL,平均HbA1c8.1 %,尿中C-ペプチド4.1 μg/日(中央値),空腹時血中C-ペプチド0.46 ng/mL(中央値)であった.31.6 %に消化器症状,27.8 %に感冒様症状,16.7 %に意識障害を認め,85.0 %でケトーシス,38.9 %で糖尿病性ケトアシドーシスを発症した.50.0 %が劇症1型糖尿病,50.0 %が急性発症1型糖尿病と診断された.膵外分泌酵素は52.6 %で発症時に,28.6 %で発症前に上昇した.1例でGAD抗体陽性であった.抗PD-1抗体投与後に発症する1型糖尿病は,劇症1型糖尿病から急性発症1型糖尿病まで幅広い臨床病型を呈し,高頻度に糖尿病性ケトアシドーシスを発症するため,適切な診断と治療が不可欠である.
著者
平野 正徳 今城 健太郎 南 賢太郎 島田 拓弥
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.FIN-028, pp.27, 2022-03-12 (Released:2022-10-21)

Deep Hedging, which uses deep learning and price time-series simulations to optimize option hedging, has recently been in the spotlight because it enables more realistic hedging that can take into account frictions such as transaction fees (imperfect market). However, the situation of hedging an option by other options has never been addressed by deep hedging because of its simulation difficulties. In that situation, pricing for tradable options should also be performed via deep hedging in simulations for realizing imperfect market simulations, which has required unrealizable enormous computational resources because of the nested architecture of deep hedging. Thus, in this study, we proposed a new deep-hedging mechanism for learning hedging strategies under such a nested situation. As a result, we showed better hedging via proposed deep hedging with multiple tradable options.