著者
横田 賀英子 渡邉 和美 和智 妙子 大塚 祐輔 平間 一樹 島田 貴仁
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.1-11, 2023 (Released:2023-04-25)
参考文献数
30
被引用文献数
1

The aim of the current study was to examine the psychological responses of victims during sexual assault, focusing on tonic immobility (TI). TI is characterized by immobility in situations involving the threat of death or a threat to one’s physical integrity. In the current study, 143 sexual assault victims consented to participate in the survey and completed the questionnaires. An exploratory categorical factor analysis revealed that the psychological responses of victims during sexual assaults comprised two factors: TI and fear. Results of structural equation modeling indicated that victims’ fear during the sexual assault increased their TI responses. Furthermore, the high variation of violence, which was influenced by prior relationships between victims and offenders, increased fear and TI responses.
著者
佐藤 輝 吉田 英樹 前田 愛 松本 健太 向中野 直哉 川村 真琴 小西 杏奈 島田 瑞希 高桑 奈緒美 鳴海 萌 天坂 興 原 幹周 小田桐 伶 前田 貴哉
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0668, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】低負荷(最大随意収縮(MVC)の20%程度)で実施される等尺性収縮後の筋弛緩法(PIR)と対象者の随意的努力を必要としない神経筋電気刺激(NMES)では,筋ポンプ作用に基づき筋血流量が改善する可能性が指摘されており,臨床では筋・筋膜性疼痛や浮腫の改善などに活用されている。しかし,PIRやNMESが筋循環動態に及ぼす影響の詳細は十分に検証されていないのが現状である。以上から本研究では,PIRとNMESが筋血流動態に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。【方法】健常者16名を対象とし,仰臥位を保持した対象者の右上腕二頭筋(BB)に対して3つの条件(条件1:PIRを実施する条件,条件2:NMESを実施する条件,条件3:コントロール条件)を無作為順序で日を改めて実施した。条件1では,対象者は,右BBに対するPIRとして,右肘関節90度屈曲位かつ右前腕90度回外位にて20%MVCでの右BBの等尺性収縮を10秒間実施し,その後,右肘関節完全伸展位かつ右前腕90度回外位にて20秒間右BBを弛緩させた。この右BBの収縮と弛緩の計30秒間を1セットとして,10セット5分間を連続で実施した。PIR終了後,対象者は安静仰臥位をさらに15分保った。条件2では,対象者は,右BBに対するNMES(波形:対称性矩形波,電流強度:肘関節の僅かな屈曲運動は起こる程度,周波数:30 Hz,パルス幅:250 μsec,オン・オフ時間:各5秒)を20分受けた。条件3では,対象者は安静仰臥位を20分保持するのみとした。各条件の実施中,筋血流量の指標として右BBの酸素化ヘモグロビン量(oxy-Hb)と脱酸素化ヘモグロビン量(deoxy-Hb)を測定し,各条件開始時の測定値を基準として各条件での5分後(条件1のPIR終了時)及び20分後(各条件の終了時)でのoxy-Hbとdeoxy-Hbの経時的変化を多重比較検定にて検討した。【結果】条件1(PIR)では,oxy-Hbの明らか変化は認めなかったが,deoxy-Hbは条件開始5分後(PIR終了時)で有意に増加し,条件開始20分後でも有意に増加した状態であった。一方,条件2(NMES)では,oxy-Hbは条件開始5分後及び20分後で増加傾向を示したが,deoxy-Hbは同時点で減少傾向を示した。条件3では,oxy-Hb,deoxy-Hbともに経過中での明らかな変化を認めなかった。【結論】本結果は,PIRではdeoxy-Hbが増加するのに対し,NMESではoxy-Hbが増加する可能性を示しており,両者の筋循環動態に及ぼす影響の違いが明らかとなった。PIRのような低負荷随意運動では筋収縮に必要なATP産生は好気的代謝系に依存するのに対し,電気刺激に伴う筋収縮では嫌気的代謝系に依存する(Hamada, 2003)。このため,PIRでは酸素需要が高まりoxy-Hbと比較してdeoxy-Hbが増加するが,NMESでは酸素需要がPIR程には高まらないため,deoxy-Hbと比較してoxy-Hbが増加したと推察する。PIRとNMESはともに筋血流量を改善する可能性があるが,筋循環動態に及ぼす影響は対照的であり,臨床では目的に応じた使い分けも考慮すべきである。
著者
下村 道子 島田 邦子 鈴木 多香枝
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.27, no.7, pp.484-488, 1976-10-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
5

魚肉 (マアジ肉) を純水, 2%食塩水その他の溶液中で30℃から100℃の間, 10度間隔の温度で加熱した場合の魚肉の変化を調べた.結果は次のようである.1) 加熱溶液へのたんぱく質の溶出は, 40℃から50℃にかけて増加し, 50℃から60℃では, あまり変らないか, また減少する場合も見られ, 60℃から70℃では再び増加がみられた 食塩水やしょうゆ水では, たんぽく質の溶出率が高くなり, 清酒を加えると, やや抑えられる傾向がみられた.2) 加熱溶液が水の場合, そのアミノ酸分析においてエキス分に含まれているアミノ酸とともに, 90℃で加熱した場合にはゼラチンに由来すると思われるアミノ酸が多く含まれていた.3) 加熱した魚肉の硬さは, 40℃から50℃にかけて著しく減少し, 50℃付近で最低となり, 60℃より100℃まで漸次増加した.調味料の影響はあまりみられなかった.4) 魚肉の凍結切片を水, 食塩水, 酒水および魚類用塩類溶液に入れ, 加熱し顕微鏡で観察したところ, 水では40~50℃で筋せんいの収縮が始まり, 70℃までさらに凝集がすすむのがみられた. 60℃をすぎると結締組織の溶解がみられた 食塩水に切片を入れると, 筋せんいは溶解したように拡がり, 加熱による変化はあまりみられなかった. 酒水では, 加熱しなくても筋せんいの収縮がみられ, 低湿でも変性が起こると思われた. 魚類用塩類溶液では, 食塩水に似た変化がみられた.
著者
寺本 直輝 島田 圭悟 杉田 由佳 グルゲ・ キールティ・シリ 吉岡 都 山中 典子
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.74, no.12, pp.788-791, 2021-12-20 (Released:2022-01-20)
参考文献数
14

ドングリによる中毒の診断に資するために,ドングリに含まれる総ポリフェノール(TPPs)の簡便,迅速な抽出手法を開発した.含水アセトンで振盪する本手法は高速溶媒抽出法(ASE)に匹敵する回収率であった上,再現性が高く,簡易であり,十分診断に応用できるものと考えられた.また,この手法でマテバシイのドングリのTPPs濃度を定量したところ,未熟果は熟果よりも有意に濃度が高かった.
著者
門 利恵 石田 翼 島田 謙一郎 韓 圭鎬 福島 道広
出版者
帯広大谷短期大学
雑誌
帯広大谷短期大学紀要 (ISSN:02867354)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.11-25, 2020-03-31 (Released:2020-04-09)
参考文献数
54

生ジャガイモデンプンおよびその加工品のひとつであるドラムドライ加工デンプンフレークについて,ラットを用いたin vivo試験により脂質代謝および腸内環境に与える影響を比較検討した。生ジャガイモデンプン投与群では,血清中の総コレステロール濃度,non-HDL-コレステロール濃度,中性脂肪濃度が低下し,脂質代謝に有用な効果を持つ可能性が示唆された。また,腸内環境では有害菌の抑制や盲腸内短鎖脂肪酸濃度の有意な増加がみられ,盲腸内有害細菌の増殖を抑制して,盲腸内環境が改善された可能性が示唆された。これらの効果はジャガイモに含まれるレジスタントスターチ(RS)によるものと考えられる。生ジャガイモデンプンにはRSによるものと考えられる脂質代謝および腸内発酵への良好な影響が確認された。しかし,生ジャガイモデンプンを加熱・糊化し,ドラムドライ加工により得られたデンプンフレークには同様の効果が見られず,生理特性の違いが明らかとなった。
著者
島田 忠幸
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.501, pp.163-171, 1994-10-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
11
被引用文献数
22 27

本論文は, ケーブルの高次モードの固有振動数から張力を測定することを目的として, ケーブルのサグ・傾斜・曲げ剛性を考慮したケーブル振動の特性方程式を導き, 測定精度についての考察を行った. この結果, 高次振動次数から推定した張力は十分なる精度を有することが判明し, この方法を用いれば常時微動法が適用できるので, 長さの長いケーブルに対しても加振する必要がなくなり, 迅速な測定ができることを示した.
著者
牧野 秀子 畑江 敬子 島田 淳子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.38, no.8, pp.719-723, 1987-08-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
15
被引用文献数
2

乾燥大福豆の食塩水浸漬が, 煮熟後のやわらかさを促進する効果の機構を明らかにするために, 官能検査, 物理的測定, 食塩およびカルシウムの含量・ペクチン量の測定によって, 水浸漬の場合と比較検討し, 次の結果を得た.1) 食塩水 (0.7%) に浸漬後煮熟した豆は, 官能検査および物理的測定により, 水浸漬後の煮豆よりも子葉が有意にやわらかいこと, 種皮は顕著にそしゃくしやすく磨砕されやすいことが認められた.2) 食塩水浸漬豆の食塩含量は, 水浸漬豆のそれにくらべて, 子葉では約2倍, 種皮では約3倍と多く, カルシウム量は子葉では約1/4, 種皮では約2/3と少なかった.食塩水浸漬中に食塩が吸収されるに伴って, -織中のカルシウムが溶出したことが示された.3) 食塩水浸漬煮豆のペクチン量は, 水浸漬煮豆のそれにくらべると, 子葉, 種皮ともにメタリン酸塩可溶性ペクチンが少なかった.カルシウムの溶出に伴ってペクチン質が変化したことが示された.4) 水浸漬煮豆の種皮は, その官能特性およびペクチン含量により, 難崩壊性現象があらわれたことが示唆された.食塩水浸漬煮豆の種皮では, これが抑制されたと考えられた.
著者
久住 裕俊 大石 祐 村越 大輝 白川 るみ 平松 直樹 薗田 明広 島田 俊夫
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.615-622, 2020-10-25 (Released:2020-10-29)
参考文献数
13
被引用文献数
1

可溶性インターロイキン2受容体(soluble interleukin 2 receptor; sIL-2R)は悪性リンパ腫の診断補助や治療効果の判定に有用とされている。本研究では,化学発光酵素免疫測定法(chemiluminescent enzyme immunoassay; CLEIA)を測定原理とした試薬(ルミパルスプレストIL-2R,富士レビオ株式会社)とラテックス免疫比濁法を測定原理とした試薬(ナノピアIL-2R,積水メディカル株式会社)の基礎的性能評価およびCLEIAを測定原理とした従来法である外部委託検査法(デタミナーCL IL-2R,日立化成ダイアグノスティックス・システムズ株式会社)との比較を行い,院内導入における妥当性について評価した。両試薬の基礎的性能は良好であり,日常検査法として十分な性能を有していた。しかし,ナノピアIL-2Rでは非特異反応を示す検体が存在するため,ラテックス免疫比濁法を使用する場合は非特異反応の発生を考慮した上で,回避方法を施して注意深く使用することが望まれる。sIL-2R測定試薬を日常検査法として導入することにより当日の結果報告が可能となることで,即座に治療法を選択することが可能となり臨床への貢献が期待される。
著者
鈴川 芽久美 島田 裕之 牧迫 飛雄馬 渡辺 修一郎 鈴木 隆雄
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.334-340, 2009 (Released:2009-08-28)
参考文献数
28
被引用文献数
20 17

目的:要介護認定を受けた高齢者を対象として転倒と骨折の発生状況を調査し性·年齢·要介護認定状況(以下,介護度)による影響を検討する.方法:対象は通所介護施設を利用する65歳以上の高齢者8,335名(平均年齢82.2±7.4歳)であった.施設の担当職員が,介護度,過去1年間における転倒の有無,転倒による骨折の有無,骨折部位などの項目について聞き取り調査を実施した.なお認知機能障害により,回答の信頼性が低いと調査者が判断した場合には,家族から転倒や骨折状況を聴取した.また施設利用中の転倒については,その状況を自由記載にて担当職員が回答した.分析は転倒と骨折の発生頻度を性,年齢(前期/後期),介護度(軽度要介護群;要支援1∼要介護2/重度要介護群;要介護3∼5)別に算出し,χ2乗検定にて群間比較した.施設利用中の転倒については,場所,状況,動作,直接原因を集計し軽度と重度要介護群の群間差をχ2乗検定にて比較した.結果:過去1年間の転倒率は,女性(24.6%)よりも男性(26.8%)が有意に高かった.軽·重度要介護群における転倒率の比較では,女性においてのみ重度(26.4%)と比べて軽度(23.4%)要介護群の転倒率が有意に低かった.一方で転倒者のうち骨折した者の割合は,男性(4.5%)よりも女性(12.2%)の方が有意に高かった.骨折の有無を従属変数とし,性,年齢,介護度を独立変数とした多重ロジスティック回帰分析では,男性に比べると女性の方が2.5倍骨折する危険性が高かった.また施設利用中の転倒については重度要介護群ではトイレ時,軽度要介護群では体操·レクリェーション時,立位時の転倒が有意に多かった.結論:転倒率は女性の方が低く,それは軽度要介護群の転倒率の低さが影響していることが示唆された.一方骨折においては年齢や介護度の影響よりも,性別(女性)の影響が大きいことが示唆された.
著者
中山 研一朗 島田 久弥 浦東 聡介 岩井 大河 吉川 厚
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2022年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.120, 2022 (Released:2022-03-28)

1. はじめに 日本における合計特殊出生率(以下TFR)は、南西の地域ほど高く、北東の地域ほど低いことが知られている 。佐々井(2007) は、日本全国を9つのブロックに区分して、夫婦の出生力と、その原因と考えられる項目を比較・分析した。一方、国立社会保障・人口問題研究所による出生動向基本調査(2015)では、男女が結婚を決める理由と、夫婦が子どもを持つに至る理由について幾つかのアンケートを集め、分析を行っている。佐々井の研究におけるブロック単位での分析を、都道府県単位へと細分化することで、都道府県固有の特性にも視点を持たせたより詳細な分析を目指した。出生動向基本調査を踏まえながら、TFRに対する影響要素とそれを示す項目を仮説的に案出し、それらに相当する統計データとTFRの相関の状況を比較・分析した。2. 方法2.1 データ収集方法 項目の分析にあたっては、都道府県別(以下 県)で得られるデータを用いて2項目間の相関分析を行った。データの多くは国勢調査を利用したが、2020年実施分は未だ公開されていない項目があるため、2015年実施分を利用し、他の項目も原則として2015年のデータを用いることとした(2015年のものがない一部項目は近い年のデータを採用)。 2.2 仮説として設定したデータ項目 1)「女性の婚姻率」:日本における非嫡出子割合は低水準であることも踏まえ、TFRとの直接的な相関を確認 するとともに、同項目への影響要素として他項目を案出した。 2)「夫婦あたり子ども数」:同様にTFRに直接かかわる項目であることを確認3し、同項目への影響要素を案出。 3)「女性の就業率」:仕事を優先することで出産を控えるよう影響するものと想定。 4)「非正規雇用率」:非正規雇用による低所得や就業の不安定さが結婚、出産を躊躇させると想定。 5)「女性の大学進学率」:高学歴化により就業開始年を引き上げ、仕事への意欲から結婚の優先度が下がると想定。 6)「三世代同居率」:祖父母に子どもの面倒を見てもらえることが、子育てのしやすさに繋がると想定。 7)「女性の初婚年齢」:早期結婚は出産可能期間を拡げ、体力のある若い時期の子育てが多産へ繋がると想定。 8)「世帯年収」:収入が高いことで養育費、教育費が確保でき、多産につながると想定。9)「教育支出」:教育支出が高い地域では、2人目、3人目の出産を躊躇する傾向にあるとの想定。3. 分析結果の概要 今回の分析結果は要旨に記載した表1のとおり。 3)20代の女性就業率が高い県は婚姻率も高く、仮説に反して強い正の相関が認められ、TFRとの正の相関もみられる。 4)男性20代の非正規雇用率が高い県は婚姻率が低く、強い負の相関がある一方で、男性30代の非正規雇用率の場合、婚姻率との相関は低下した。 5)女性大学進学率が高い県は、30歳前後の女性婚姻率とTFRに強い負の相関がみられる。 6)三世代同居率は夫婦あたり子ども数とは相関はみられず、仮説には合致しなかった。 7)女性初婚年齢が高い県は、女性婚姻率、TFRともに低く、強い負の相関がみられた。 8)世帯年収が高い県は、仮説に反し、夫婦あたり子ども数、TFRともに低く、強い負の相関がみられる。9)教育への支出は、仮説に反して夫婦当たり子ども数には相関が見られない一方で、女性婚姻率とTFRに負の相関がみられた。4. 考察 分析前に立てた仮説に合致しなかったものについて、下記のとおり仮説を修正、考察する。 3)女性就業率との正の相関は、仕事をきっかけに出逢いの機会が得やすいことと、「出生動向基本調査」(2015)にある通り、結婚への最大の障害が結婚資金であるという調査結果を支持すると考える。 4)男性30代非正規率を県別に見ると、20代に比べ分散が低い。歳とともに正規雇用が増えることで県別正規雇用率が均され、婚姻率との相関が弱まったものと予想。 6)三世代同居率との無相関は、子どもが増えると家が手狭になり別居し始めることや、子ども数の少ない東北地域で三世代同居率が高かったことが背景していると予想。 8)世帯年収との負の相関は、世帯年収の高い世帯は共働き世帯が多く、出産を抑制する影響があるためと予想。 9)子ども数の少ない県では一人あたりの教育支出が高く、多い県では一人あたりの教育支出が低く、結果として子ども数と教育支出に相関が現れないと予想。更なる分析を行う上では、対象地域の細分化や、複数年度のデータによる精度の向上や、相関分析から一歩進め、因果関係の側面から掘り下げるなど、仮説の更なる検証を進める余地があり、これが今後の課題と考える。
著者
小口 理恵 牧迫 飛雄馬 加藤 仁志 石井 芽久美 古名 丈人 島田 裕之
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.705-710, 2008 (Released:2009-01-28)
参考文献数
19
被引用文献数
8 3

[目的]本研究では,地域在住高齢者において定期的に実施している運動の種目により,身体組成,運動機能に違いがあるかを検討した。[対象]70歳以上の地域在住高齢者83名(平均年齢75.9±4.3歳)を対象にした。[方法]身体組成,運動機能,実施している運動種目,実施頻度,実施時間および過去半年間での転倒の有無を調査した。運動種目により,対象をスポーツ群と軽運動群とに分類し,調査項目の比較検討を行った。[結果]スポーツ群では,軽運動群よりもTimed Up & Go Testが有意に速い値を示し,過去半年間の転倒経験が少なかった。さらに,スポーツ群では運動実施頻度と骨格筋量(r=0.41),膝伸展筋力(r=0.42)に有意な相関関係が認められた。[結語]定期的にスポーツを実施している高齢者は,歩行機能が良好であり転倒経験も少なく,運動の実施頻度は下肢筋力や骨格筋量と関連があることが示された。
著者
長崎 栄三 太田 伸也 大谷 実 久保 良宏 重松 敬一 瀬沼 花子 滝井 章 阿部 好貴 島田 功 長尾 篤志 西村 圭一 日野 圭子 松元 新一郎
出版者
静岡大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

第1に、成人期の数学的リテラシーの捉え方について次の3点から考察した。個人と組織が求める数学的リテラシー、幸せに生きるための数学的リテラシー、不確定な社会における社会人に持っていて欲しい数学的リテラシー、第2に、民主主義社会などを念頭において数学的リテラシーとして次の4つの領域からその内容・視点を考察した。人間にとっての算数・数学、算数・数学における対象、算数・数学における方法、社会にとっての算数・数学。第3に、「すべての人々」について検討を行い、算数・数学における子どもの多様性から考察した。
著者
今橋 久美子 深津 玲子 武澤 信夫 辻野 精一 島田 司巳 上田 敬太 小泉 英貴 小西川 梨紗 川上 寿一 森本 茂 河地 睦美 納谷 敦夫 中島 八十一
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.459-465, 2022-12-31 (Released:2023-01-17)
参考文献数
21

本研究では, 脳損傷後に高次脳機能障害と診断された人のうち, 社会的行動障害を主訴とする相談事例 86 名 (在宅生活者 70 名, 施設利用者 15 名, 不明 1 名) について, 臨床背景因子と神経心理学的評価 (Wechsler Adult Intelligence Scale-Third edition : WAIS-III および Neuropsychiatric Inventory : NPI) を分析した。その結果, 対象者の半数に認知機能の低下がみられたことから, 行動の背景にある認知機能を評価し, 適切にアプローチすることの重要性が示唆された。さらに, 問題となる症状とNPI を説明変数, 転帰 (在宅か施設か) を目的変数として判別分析を行った結果, 標準化判別係数は, 「夜間行動」「ギャンブル」「拒食」「多飲・多食」「脱抑制」の順で高いことが示され, 施設利用者のほうがそれらを呈する人の割合が高かった。正準相関係数は 0.694 (Wilksʼλ=0.52, P <0.001) であり, 判別に対して有意な有効性が確認された。交差確認後の判別的中率は 90.2 %であった。
著者
鈴川 芽久美 島田 裕之 小林 久美子 鈴木 隆雄
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.103-107, 2010 (Released:2010-03-26)
参考文献数
24
被引用文献数
16 6

〔目的〕本研究の目的は,要介護認定を受けた高齢者における外出行動と身体機能との関係を明らかにすることである。〔対象〕通所介護サービスを利用していた高齢者359名(平均年齢82.2±7.0歳,男性119名,女性240名)とした。〔方法〕調査項目は性,年齢,chair stand test 5 times,timed up-and-go test(TUG),階段昇降の自立度,mental status questionnaireとした。なお外出は,これら調査の前後1ヶ月間(2ヶ月間)の状況を対象者の家族から聴取した。〔結果〕多重ロジスティック回帰分析の結果,TUGが有意に町内までの外出と関連し(オッズ比;1.04,95%信頼区間;1.01-1.08),町外までの外出とは階段昇降の自立度が有意に関連した(オッズ比;1.74,95%信頼区間;1.06-2.86)。〔結語〕外出の実行には実用的な歩行機能が必要であり,より複雑な状況への適応を要求される町外への外出には,階段の自立度が関与した。