著者
新井 イスマイル
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.3_10-3_22, 2015-07-24 (Released:2015-09-24)

政府・自治体が所有するデータを行政の透明性確保,市民参加の促進,経済活性化を目的に,オープンデータとして公開しようとする動きが2013年度から活発になっている.異業種交流や学生の自主活動のきっかけになると期待できる.オープンデータの活発かつ効果的な利用を実現するには,オープンデータが機械可読であること,また,それらのデータを活かせるソフトウェア技術者の活躍が期待される.2013年度以降のオープンデータに関わる全国の活動状況と今後の課題について,ソフトウェア技術者の視点に立って解説する.
著者
新井 博達 弘中 由麻 近藤 清美
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.1-14, 2015-07-31 (Released:2015-08-07)
参考文献数
40
被引用文献数
1 3

本研究では,社交不安の認知モデル(Clark & Wells, 1995)に基づき,ひきこもり親和性と社交不安症状と対人的自己効力感の関連について検討を行った。大学生246名(男性101名,女性145名)を対象として,ひきこもり親和性を測定する尺度,Liebowitz Social Anxiety Scaleの日本語版,対人的自己効力感尺度を用いた質問紙調査を実施した。共分散構造分析の結果から,社会場面における恐怖感/不安感が,ひきこもり親和性に対して直接的な正の影響を与えていることが示された。その一方で,社会場面における回避が,ひきこもり親和性に対して直接的な影響を与えていることは示されなかった。また,対人的自己効力感は,社会場面における恐怖感/不安感を介して,ひきこもり親和性に対して間接的な負の影響を与えていることが示された。以上の結果から,ひきこもり親和性の高い人々に対する予防的な介入として,対人的自己効力感を高めるような働きかけが有効である可能性が示唆された。
著者
中野 聡子 牧原 功 金澤 貴之 中野 泰志 新井 哲也 黒木 速人 井野 秀一 伊福部 達
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J90-D, no.3, pp.808-814, 2007-03-01

我々は,音声認識技術を用いた「音声同時字幕システム」の運用を行う中で,聴覚障害者が感じている字幕の読みにくさは,漢字等の誤認識だけではなく,言い誤りや会話的な表現など話し言葉固有の性質にも原因があるのではないかと考えるに至った.そこで本研究では,話し言葉固有の性質による読みにくさを含む字幕を読んでいるときの眼球運動を測定し,読返しの多さを定量的に調べると同時に,どのような表現部分の文章認知が困難であったかについて,被験者への聞き取りデータと合わせて実証的に明らかにすることを試みた.
著者
新井 一寛
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
no.12, pp.37-63, 2006-06-03

従来のイスラーム研究における単線的な「イスラーム近代化論」、あるいはモダニストやイスラーム主義者による知性を重視した宗教の合理化論を研究するだけでは、現代イスラームにおける宗教的価値の見直しの潮流の重層性を包括的に捉えるのは不十分である。ジャーズーリーヤ教団は、多くの「モダニスト」によって構成されており、近代志向の強い教団である。しかし、モダニストやイスラーム主義者、近代志向の教団が、呪術的諸行為を批判するのと同様に、トランス状態を含む情動的諸行為を嫌悪・批判するなかで、法的イスラームに代表される静的宗教に対して、神秘主義であるスーフィズムがその起源から本来的に持っていた動的宗教としての役割を、本教団は再評価・実践している。本稿では、近代以降、スーフィー教団同様に、イスラーム主義者やモダニストから、非正統的イスラーム、前近代の遺物として批判の矢面に立たされているマウリドにおいて、ジャーズーリーヤ教団がどのように活動を行っているのかを考察している。
著者
松村 香織 笹栗 正明 光安 岳志 新井 伸作 辻口 友美 中村 誠司
出版者
Japanese Cleft Palate Association
雑誌
日本口蓋裂学会雑誌 (ISSN:03865185)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.217-223, 2014

1998年1月から2007年12月までの10年間に九州大学病院顎口腔外科を受診した口唇裂口蓋裂患者一次症例を対象に臨床統計的観察を行い,以下の結果を得た。<br>1.10年間に当科を受診した口唇裂口蓋裂一次症例は228名であった。受診患者数に増減はあるが増加傾向にあった。<br>2.裂型別では,228名中口唇(顎)裂が70例,口唇口蓋裂 70例,口蓋裂 69例,粘膜下口蓋裂 18例,正中唇裂 1例であった。<br>3.裂型別性差については,いずれの裂型も男女間に有意差は認めなかったものの,口唇口蓋裂は男性,口蓋裂は女性に多かった。<br>4.初診時年齢は,生後1ヶ月以内の患者が90%を占めており,2001年以降は出生当日の初診症例が増加していた。<br>5.患者の居住地域は福岡市およびその近郊が大部分を占めていた。<br>6.紹介元施設は,九州大学病院外の産科が最も多く(42.6%),次いで院外の小児科(14.1%),院内の周産母子センター(10.1%)であった。<br>7.出生前カウンセリング件数は計18件,出生直後の産科への往診件数は63件であった。年間の出生前カウンセリング件数および往診件数は徐々に増加していた。
著者
鴻巣 努 関 哲朗 新井 浩志 西尾 雅年
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2000, pp.49-50, 2000

本研究は, 千葉工業大学プロジェクトマネジメント学科情報システム系列における, ソフトウェア開発に関する教育プログラムのコースウェアを概観し, その教育的効果について報告したものである. 情報システム系列ではコース設立当初からプログラミング技術のみならず, ソフトウェア開発における管理技術を含めた総合的能力を養うため, プロジェクトベース教育の試みが行われてきた. 受講者に対する質問紙調査および学習達成度に関する調査から, 従来の知識積み上げ型教育に比べ, 自発的学習が可能となり, 受講者の満足度も高いことが明らかになった.
著者
新井 嘉章 福原 知宏 増田 英孝 中川 裕志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第22回全国大会(2008)
巻号頁・発行日
pp.227, 2008 (Released:2009-07-31)

Wikipediaは現在253言語で展開されている巨大なユーザー参加型の百科事典である。本研究では,Wikipediaから抽出した言語間リンクをいくつかの接続パタンに分けて分析している。本論文では,各接続パタンの紹介と,日中韓英4言語を対象とした各接続パタンの割合を示す。また,言語間リンクによるキーワード対訳に関する調査結果を示し,言語間リンクの対訳システムへの有効性を検証する。本論文では,我々が試作した言語間リンクに基づくキーワード対訳システムについても紹介する。
著者
小西 典子 甲斐 明美 松下 秀 野口 やよい 高橋 由美 関口 恭子 新井 輝義 諸角 聖 小久保 彌太郎
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.9-14, 2001-03-31 (Released:2010-07-12)
参考文献数
15
被引用文献数
3 4

1998年8月から11月の間に有機.水耕栽培野菜の汚染実態調査を行った.卸売市場およびスーパーマーケットで買い上げた大根37件, 人参29件, キャベツ28件, ネギ28件, レタス32件, キュウリ29件, トマト40件, 玉ネギ28件, カイワレ大根32件, アルファルファ13件, およびサラダ菜, ホウレン草, モヤシ各1件の合計299件を対象とし, 生菌数, 大腸菌, 腸管出血性大腸菌O157およびサルモネラについて検査した.その結果, 生菌数は1g当たり10個以下から107個までと広範囲にわたっていた.特にアルファルプァとカイワレ大根の生菌数は全体に高かった.大腸菌はネギ1件より検出された.O157は検出されなかったが, サルモネラはアルファルファ1件より検出された.検出されたサルモネラはO13群血清型Cubanaであった.アルファルファ由来株と同時期に検出された同血清型ヒト保菌者由来株との関連性を薬剤感受性試験, プラスミドプロファイルおよびXbaI , SpeIで消化後のPFGEパターンの比較により検討した.その結果PFGEパターンが異なっていたことから, 両者の関連性は否定された.
著者
桑澤 実希 北川 昇 佐藤 裕二 赤坂 恭一朗 金原 大輔 瀬沼 壽尉 吉岡 達哉 石橋 弘子 今井 智子 新井 元 杉山 雅哉 吉江 正隆
出版者
Showa University Dental Society
雑誌
昭和歯学会雑誌 (ISSN:0285922X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.387-390, 2004-12-31
参考文献数
6
被引用文献数
3

超高齢社会を迎えるなかで, 高齢者のQOLを支えるためには口腔の管理と口腔ケアが不可欠と考えられる.ここに大田区の特別養護老人ホームにおける昭和大学歯科病院の訪問歯科診療の実態と2003年度の訪問歯科診療の概要について報告する.我々は1998年より同施設の依頼により訪問歯科診療を開始した.現在は毎週木曜日の15 : 30~17 : 30まで, 歯科医師4名と歯科衛生士1名で往診を行っている.2003年度の歯科診療は同施設と歯科病院外来の合計で200件, 口腔衛生指導は226件で, 全ての合計は426件であった.2003年度の歯科診療は義歯に関するものが105件と半数近くを占めた.次いで, 歯科医師によるスケーリングなどの歯周治療が61件, 残存歯の削合や充墳処置など保存関連の治療が14件であった.他には, 抜歯・摂食相談・粘膜疾患など多岐にわたった.これより, 訪問歯科診療には各専門科の連携が必要であることが示唆された.歯科病院外来での治療は通院が必要かつ可能な場合においてのみ行われた.通院件数は43件あり, 内容は義歯の製作と充填処置・抜歯処置であった.しかし, 歯科病院への通院は入居者・施設職員ともに大変な負担を強いることとなるので, 今後は施設内でより高度な歯科治療を提供できるように診療器材を充実させる必要があると考えられた.
著者
眞嶋 史叙 草光 俊雄 新井 潤美 大橋 里見 菅 靖子 大石 和欣 冨山 太佳夫 見市 雅俊 新 広記 田中 裕介
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究プロジェクトでは,「消費文化史研究会」開催を通じて,この新領域に関する共通認識を培いつつ,構成員をそれぞれ単独執筆者とする著作シリーズ発刊の準備を進めてきた.成果の一部は, 2009年社会経済史学会のパネル報告「消費社会における教養を考える」で公表された.また, 2011年度末に開催された国際シンポジウムでは,国内外の研究者25名の講演・発表を通じて,研究成果を集約するとともに,今後の学問的課題を確認した.
著者
新井 宗仁
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

昨年度に引き続き、α-ラクトアルブミン(α-LA)のフォールディング反応における遷移状態の構造特徴づけを、Φ値解析法を用いて行った。今年度は特に、α-LAのβドメインやCヘリックス周辺に変異を導入した一アミノ酸置換体を多数作成し、α-LAの遷移状態の構造解析を行った。平衡条件下でのアンフォールディング測定の結果、変異体はどれも野生型より不安定化しており、Φ値解析に有効な試料であった。次に、ストップトフロー円二色性スペクトル法を用いてこれらの変異体の巻き戻り反応とアンフォールディング反応を測定し、Φ値を計算した結果、I89A, I89V, I55VについてはΦ=0.4〜0.6程度であったが、W60A, K93A, L96Aについては、Φ〜0となった。これらの結果は、I89, I55の周りは遷移状態において側鎖の密なパッキングが部分的に形成されているが、W60,K93,L96周辺は、遷移状態では側鎖の秩序化はまだ起きていないことを示している。この2年間の研究結果を総合すると、α-LAの遷移状態の構造について次のような知見が得られた。(1)αドメイン内の側鎖は、天然状態様の密なパッキングをまだ形成していないが、(2)αドメインとβドメインの間、および、カルシウム結合部位近傍では、側鎖の密なパッキングが部分的に形成されている。ここで、モルテン・グロビュール(MG)状態においては、2つのドメイン間にあるCヘリックスが比較的安定なヘリックス構造を形成していることを考慮に入れると、α-LAのフォールディング反応は、MG中間体で形成され始めた構造が遷移状態に進むにつれて更に構造化していくという階層的な反応で記述できると結論づけることができる。
著者
野田 幹雄 北山 和仁 新井 章吾
出版者
日本水産工学会
雑誌
水産工学 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.5-13, 2002-07-15
被引用文献数
15 5

アイゴ科魚類は、インド・太平洋の熱帯・亜熱帯水域に分布の中心をもち、全世界で27種が知られている。いずれの種も植食性で、緑藻・紅藻・褐藻類に属する糸状の微小藻類や葉状・樹枝状・膜状の芝生状の海藻類を主要な食物源とするグループである。アイゴ科魚類の中でもっとも広範囲の緯度(本邦中部域からオーストラリア南部)にわたって分布するアイゴもその例外ではないと考えられている。また、アイゴ科魚類はシンガポール・フィリピン・パラオ・ハワイなどの熱帯地方や地中海東部のイスラエルにおいて重要な水産資源であり、上述した食性上の特性から低蛋白質餌料による低コストでの養殖の可能性が検討され、各地で増養殖に対する研究がさかんに行われている。本邦でもアイゴ科魚類は沖縄県では水産上重要な有用種である。一方、本邦温帯域では藻食性魚類の採餌活動が天然藻場の衰退に深く係わるとともに、藻場造成や海藻養殖の成否にも大きな影響力をもつことが近年指摘されており、その原因種の一つとしてアイゴが注目されている。実際、本種がコンブ目とヒバマタ目の大型褐藻類を採食することは、野外での行動観察や水槽内での採餌実験において確認されている。しかし、自然条件下での本種の食性については極めて断片的な知見が散見されるにすぎず、定量的に調査された報告は見あたらない。
著者
新井 良彦 柏倉 健一
出版者
群馬県立県民健康科学大学
雑誌
群馬県立県民健康科学大学紀要 (ISSN:18810691)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.45-53, 2012-03

目的:バック・グラウンド・ミュージック(BGM)が単純作業の作業効率に与える影響を,クラシックとポップスを用いて脳科学的に評価する.方法:被験者は成人大学生8名(男女各4名,平均年齢22±0.7歳).単純作業の評価スケールとして内田クレペリン検査を用いた.同一被験者において無音時及びBGM聴取時に内田クレペリン検査を行った.BGMとして,クラシック及びポップス各1曲を用いた.各試行時に,近赤外計測装置を用いて前頭前皮質の機能測定を行った.結果:内田クレペリン検査の作業量は,クラシック音楽聴取時に有意に上昇した.また,脳機能計測において単純作業時及び音楽聴取時に賦活を示す部位を特定した.結論:単純作業に対するBGMの効果は,左外側前頭前皮質に観察された.実験に用いた音楽では,ポップスよりもクラシックの方が賦活は大きかった.
著者
加瀬 進 荒川 智 真城 知己 新井 英靖 米田 宏樹 星野 常夫 山中 冴子 渡邉 健治
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

欧米8カ国(アメリカ・イギリス・オーストラリア・ロシア・ドイツ・フランス・デンマーク・スウェーデン)のインクルーシヴ教育は、単に障害児と非障害児を同一空間・同一教材で教授することを施行するのではなく、「学習への完全参加」をすべての子どもに保障しつつ、共に生きる市民として育ち会える環境をどのように構築するか、という大きな教育的チャレンジであり、合理的配慮のあり方も障害者差別禁止法体制との関連で探求されつつある。
著者
西垣 泰幸 伊藤 敏和 寺田 宏洲 西本 秀樹 新井 潤 佐竹 光彦
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

複素ロジスティック方程式の解の大域的構造の研究と、その成果を応用し経済データに潜む複雑な動態を解明するとともに、複雑系経済モデルや、複雑系の時系列分析を改善した。具体的には、複素ロジスティック方程式の応用により、(1)「新S-カーブ理論」の構築、(2)新しい複雑系経済モデルの構築と政策的含意の研究、(3)n次元リミットサイクルの複雑系経済モデルへの応用と政策的含意の研究、(4)複素ロジスティック微分方程式を基礎とする計量研究を行った。