著者
森本 哲司
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.70-75, 2013-04-15 (Released:2013-10-15)
参考文献数
18

腎臓は,水・電解質の調節機構の主役として,さまざまな生理的役割を果たしているが,胎生期は,その役割の多くの部分を胎盤が担っている。しかし,出生とともに著しい体外環境変化が生じるため,腎機能はこれにすばやく対応する必要がある。例えば,出生時の体表面積あたりの糸球体濾過率(GFR)は成人の20%,生後2週間で40%,生後2か月には50%となり,1~2歳ごろにほぼ成人レベルに達することが知られている。この急速なGFRの増加は1)出生後の腎血管抵抗低下,2)ネフロン数の増加,3)ネフロンサイズの増大によると考えられている。このGFRの増加に加え,離乳期にみられる尿濃縮力の成熟や水・電解質輸送の変化などが,体外環境への適応とともに成長と発達を保証するために腎臓内で起こる。本稿では,生後に起こるこれら腎機能(GFR,Na排泄能,尿濃縮機構など)の発達について概説する。
著者
種子田 春彦 鈴木 牧 井上 みずき 森 英樹
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.63-70, 2019 (Released:2019-08-08)
参考文献数
31

つる植物は、直立した植物に寄りかかって伸長成長を行う生活形を持つ。力学的支持のために茎や根への投資するエネルギーが少ないために、速い茎の伸長と旺盛な成長が可能となる。そして、マント群落として知られるように直立した植物に覆いかぶさるような勢いで繁茂する。このようなつる植物を、次の二つの理由から特集で取り上げた。一つ目の理由は、森林動態への重要性である。熱帯を中心とした研究から、つる植物の存在が森林の遷移や種組成にあきらかに負の影響があることが分かってきた。しかし、日本を含む温帯域での研究は少ない。もう一つの理由は、つる植物の生態の多様性にある。旺盛な成長を可能にした「つる性」は、一方で植物の生態にさまざまな制約を課す。これを克服するために発達させた生態学的または生理学的な性質が、つる植物にみられる多様な生態を作り出したと言えるだろう。本稿では、つる植物について簡単に説明した後、特集に掲載された4報の論文について概説する。
著者
水町 龍一 川添 充 西 誠 小松川 浩 五島 譲司 羽田野 袈裟義 椋本 洋 御園 真史 寺田 貢 高安 美智子 高木 悟 落合 洋文 青木 茂 矢島 彰 藤間 真 森 園子 船倉 武夫 上江洲 弘明 松田 修 森本 真理 井上 秀一 山口 誠一 萩尾 由貴子 西山 博正 堀口 智之 渡邊 信 近藤 恵介
出版者
湘南工科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

研究に着手後9か月で国際研究集会を行い,当初の研究目標である学士力の基盤となる数学教育を,モデリングを軸にしたリテラシー教育として行うことの可否・可能性を議論した。結論は,解釈の多義性があるので「高水準の数学的リテラシー」とすること,モデリングではなく概念理解の困難を緩和する方向で近年の数学教育は発展してきたこと,しかしいくつかの留意事項を踏まえれば十分な可能性があるということであった。そこで「高水準の数学的リテラシー」とはコンピテンスであると定式化し,教育デザイン作成に際して価値,態度,文脈を意識する必要を明らかにした。微分積分,線形代数,統計等の諸科目で教材作成・科目開発を実践的に行った。
著者
CHO Heeryon 稲葉 利江子 石田 亨 高崎 俊之 森 由美子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告知能と複雑系(ICS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.110, pp.1-8, 2006-10-25
被引用文献数
3

絵文字メッセージをやり取りして人間同士が意思疎通するには,コミュニケーションに参加している人間たちが同じ絵文字解釈(意味理解)を持たなければならない.絵文字コミュニケーションシステムの潜在利用者である日本と米国の子供たちが,同じ絵文字解釈を持つかを調べるために,システムで利用される120個の絵文字の意味を問うアンケート調査を行った.結果,ジェスチャー,色と性別,時間,空間,馴染みのもの,顔/表情の六つの領域に関係する19個の絵文字に対して,両国の子供が異なる解釈を持つことが分った.ここでは,多様な解釈を持つ絵文字を,絵文字コミュニケーションシステムでうまく利用するための方法として,絵文字の解釈語リストと頻度情報を利用し,たくさんの絵文字の中から検索語に関連する絵文字を検索する方法を提案する.提案手法は,絵文字の意味的なあいまい性を考慮した検索を実現し,文化的な解釈の差を扱う検索システムの土台となる.In order to establish mutual understanding during pictogram communication, humans exchanging pictogram messages must share common interpretation of pictograms that compose pictogram messages. Interpretations of pictograms may vary, however, according to individuals and sometimes according to culture. Through a comparative analysis of U.S.-Japan pictogram survey result on 120 community-created pictograms, we found that differences in interpretation exist between two countries on 19 pictograms with regard to gesture, color and gender, time, space, familiar things, and facial expressions. We address the retrieval of semantically ambiguous pictograms by proposing a pictogram retrieval method that utilizes interpretation words and their frequencies collected from the pictogram survey. Solving semantic ambiguity in retrieval is necessary prior to solving cultural ambiguity in retrieval.
著者
森本 瑛士 赤星 健太郎 結城 勲 河内 健 谷口 守
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.I_345-I_354, 2017 (Released:2017-12-27)
参考文献数
40
被引用文献数
10

現在日本において人口減少社会に対応した「コンパクト+ネットワーク」を実現するための都市計画が進んでいる.また地方分権の進展とともに市町村単位の都市計画が進められているが,その計画は広域的な視点から見たときの整合性(広域的整合性)を確保できているか疑問が残る.本研究は市町村における都市計画が広域的整合性を確保できているのか把握することを目的とする.具体的な方法として,市町村MPで記載されている将来都市構造図に着目し,県域レベルの市町村MP連結図を作成することで都市計画の広域的整合性を把握した.作成した連結図から,市町村の「コンパクト+ネットワーク」を実現するための都市計画は広域的整合性を確保できておらず,各市町村MPが断片化していることを明らかにし,各市町村で都市計画を一致させる必要性を示唆した.
著者
川村 智 小森 政嗣
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第7回大会
巻号頁・発行日
pp.111, 2009 (Released:2009-12-18)

顔の魅力評定については、集団の平均的な顔に近いものが魅力的であると評価されるとする平均仮説と、左右が対称に近いものが魅力的であると評価されるとする対称性仮説がある。本研究では、男女それぞれ48枚の顔写真について80の形態的特徴点座標を、顔の形態分析のためのデータとするとともに、この座標データから魅力評定実験のための線画を作成した。座標データは、Moophometricsの手法を用いて標準化した。この方法によって変換されたデータでは、特徴点の分布が多次元正規分布になり、従来のような特定の部位関係、例えば両眼の間隔など、を基準とする標準化において基準点から遠い特徴点の寄与が大きくなるという問題を削減できる利点がある。また、魅力の評定実験では、精度を高めるため、実験協力者に一対比較を行ってもらった。測定された平均性と左右対称性を独立変数とし、評定された魅力を従属変数とする順位回帰分析を行った。
著者
森田 邦久
出版者
日本科学哲学会
雑誌
科学哲学 (ISSN:02893428)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.119-131, 2004-12-25 (Released:2009-05-29)
参考文献数
8

The main purpose of this essay is an analysis of the methodology in physical research using the semantic concept of scientific theories (SC). The structure of this paper is as follows. First, the antecedent analyses of scientific research by T. S. Kuhn, I. Lakatos and L. Laudan are surveyed. Secondly, I try to define what SC is. According to SC, theory is applied not to real world directly but to model. And next, the methodology of physical research is analyzed by using SC according to the following three steps: 1. improving the approximation between model and the real world, 2. introducing unknown objects (or interactions), 3. alternating basic theory. Finally, the development of physics is discussed. I insist that a criterion to judge which theory is better when theory is modified is the ability to solve empirical problems not conceptual.
著者
濱田 信夫 森 義明
出版者
Osaka Urban Living and Health Association
雑誌
生活衛生 (ISSN:05824176)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.139-144, 2003-05-30 (Released:2010-03-11)
参考文献数
14
被引用文献数
1

Change of fungal and bacterial counts inoculated to towel and subjected to treatment by clothes dryer or natural sun-drying was examined. No significant difference was found in sterilizing effect on fungi and bacteria by drying of towel in the sun or in the shade. Sterilizing effect on C. cladosporioides and P. digitatum was higher in towel sun-dried in summer than in winter, and in towel dried by clothes dryer at higher temperatures than at lower temperatures. E. coli as well as T. rubrum seems to be killed with loss of moisture in towel regardless of temperature at which towel is dried.
著者
森脇 寛智 川下 理日人 田 雨時 高木 達也
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第39回ケモインフォマティクス討論会 浜松
巻号頁・発行日
pp.Y4, 2016 (Released:2016-09-22)
参考文献数
13

定量的構造-活性相関では、化合物の構造からその特徴を表す記述子を算出し、重回帰分析などにより予測モデルを構築する事が広く行われている。そのため、記述子を計算するソフトウェアは商用、非商用を問わず多く開発されている。PaDEL-descriptorは300回以上引用されている著名なソフトウェアで、多くの記述子を算出できる。そのため、我々も使用してきたが、これには多くの不具合が存在する事を見出した。また、最近では、特にニューラルネットワークにおいてPythonを使用して機械学習を行なう事が多くなってきている。これらより、我々は記述子計算ソフトウェアであるMordredを開発した。これはPython2/3両対応のモジュール、Command line Interface、ウェブアプリケーションから使用可能で、約2,000の記述子を算出できる。MordredはBSD3ライセンスで配布している。
著者
松本 勅 寺沢 宗典 田和 宗徳 山川 緑 西川 弘恭 森本 武利
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.17-25, 1990-04-01 (Released:2010-12-10)
参考文献数
20

寒冷刺激に対する足趾の反応の特性を明らかにするため, 男性25名の左第一趾と示指の同時氷水浸漬時の寒冷血管反応を測定し, 比較検討した.同室温 (25~26℃) にもかかわらず, 浸漬前皮膚温は示指で4.5℃, 第一趾で9℃の個体差があり, 第一趾皮膚温は示指のそれに比べて有意な低値を示した.浸漬後の第一趾の皮膚温下降の時定数は示指の1.8倍で有意に大きく, 上昇発現時間は有意に長く, 浸漬中平均皮膚温は有意に低い値を示した.浸漬前皮膚温が等しいグループ間の比較においても指趾の反応には有意な差が認められた.浸漬前の足底深温部は手掌深部温に比して有意に低く, 浸漬中は共に有意な下降を示した.浸漬終了20分後に手掌深部温は速やかに回復を示したが, 足底深部温は測定終了までには回復しなかった.足趾と手指の反応の差異には, 両部位の体積差 (足趾が手指の約2.2倍) に基づく組織熱容量の相違等の関与が示唆された.
著者
ゴードン アンドルー 森本 涼
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.347-352, 2018-10-01 (Released:2018-11-20)
参考文献数
19

この論文では、2011年より7年目を迎えた日本災害DIGITALアーカイブ(JDA)の進化を紹介すると同時に、日本災害DIGITALアーカイブが進めてきた、連携・参加型デジタルアーカイブの意義と、災害デジタルアーカイブ全般の発展への役割を議論する。独自に開発してきた利用者の参加を促す機能を説明しながら、現在の利活用促進へのアウトリーチ活動の経過報告と幾つかの実証例を紹介し、デジタル災害資料の利用価値を産む、参加型アーカイブの形を提案する。また、日本国外の日本災害アーカイブとしての独自の視点で得た、震災後急激に発展した国内でのデジタルアーカブズ分野の共通課題と、デジタルアーカイブ学会への展望を論ずる。
著者
加藤美方 森啓 藤田三男編
出版者
樹立社
巻号頁・発行日
2005
著者
大谷 道輝 川端 志津 假家 悟 内野 克喜 伊藤 敬 小瀧 一 籾山 邦男 森川 亜紀 瀬尾 巖 西田 紀子
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.122, no.5, pp.323-329, 2002-05-01 (Released:2003-02-18)
参考文献数
19
被引用文献数
11 13

The effect of the intake of 200g of grapefruit pulp (corresponding to one grapefruit) on the pharmacokinetics of the calcium antagonists nifedipine (NF) and nisoldipine (NS) were investigated in 8 healthy Japanese male volunteers. A crossover design was used for the study: group I did not ingest any grapefruit (control group); group II ingested grapefruit 1 h after drug administration; and group III ingested grapefruit 1 h before drug administration. The intake of grapefruit pulp increased the plasma concentrations of both NF and NS, an effect that has previously been reported with grapefruit juice. The increase was most marked when grapefruit was eaten before drug administration. For both NF and NS, subjects who ingested grapefruit 1 h before drug administration exhibited a greater Cmax and AUC0—24 than did subjects in the control group. For NF, the Cmax was 1.4 times higher and the AUC0—24 1.3 times larger in group III than in group I. For NS, the Cmax was 1.5 times higher and the AUC0—24 1.3 times larger in group III than in group I. The increase in the AUC0-24 was significant for both drugs (p<0.05). The finding that the ratios of Cmax and AUC0—24 for unchanged drug and metabolites did not vary greatly among the three groups for either drug suggests that the increase in serum concentration produced by grapefruit intake may be due to other factors than an inhibitory effect on drug metabolism. Also, the increases in Cmax and AUC0—24 of NS produced by grapefruit intake were smaller than those produced by grapefruit juice intake, indicating that grapefruit pulp and juice have different effects on the pharmacokinetics.
著者
辻森 樹 マルテンス ウヴェ
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.2, pp.III-IV, 2006-02-15 (Released:2013-03-23)
参考文献数
2
被引用文献数
1