著者
堀口 恵子 神戸 美恵子 永井 由美子 阿部 雅子 高橋 雅子 渡邊 静 綾部 園子
出版者
日本調理科学会
雑誌
大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017-08-31

【目的】日本調理科学会平成24~26年度特別研究で、群馬県各地域の家庭料理について、次世代へ伝え継ぐ資料として聞き書き調査を行い報告した。その後の追加調査や刊行資料調査も含め、群馬県の家庭料理のおやつの特徴について報告する。<br /><br />【方法】平成 25 年 10 月~27 年 2 月に群馬県内の8地域において,各地域 2 名以上(60 歳~80 歳代,居住年数 40 年以上)の調査対象者に対して面接調査を行った。面接は特別研究の方法に従い,調査の同意を得た上で,調査票に沿って対話したものを記録した。その後、嬬恋村において追加調査を行った。<br />【結果】群馬県は,冬期の日照時間が長く、乾燥した気候で、水はけのよい土地であるため、小麦の生産に適し、平坦地では米と麦の二毛作が行われている。小麦粉はおっきりこみやうどんなど主食として食するほか、いろいろなおやつが作られている。中でもまんじゅう類は種類が多く、炭酸まんじゅう(ふかしまんじゅう)、ゆでまんじゅう、すまんじゅう、そばまんじゅう、焼きまんじゅうなどがある。焼きまんじゅうは、すまんじゅうを竹串に刺し、たれ(赤みそ、砂糖、水)をつけて香ばしく焼いたもので、祭りや縁日の屋台で売られ、群馬のソウルフードともいえるおやつである。また小麦粉に野菜などを入れた焼いた焼きもち(ふちたたかっしゃい、もろこしおべった)や、たらし焼、じり焼き、甘ねじなどもある。米粉を使ったものでは、あんぴんもち、草だんご、きびもち、すすり団子などのもちや団子も喜ばれた。また、いも類のおやつでは、さつまいもを蒸して干した乾燥いもや油焼き、里芋をゆでて串にさしたれをつけたいも串、じゃがいもでは、いも餅やいも串などがある。様々なおやつの工夫がみられる。
著者
渡邊 勧 金子 哲 太田 理恵 菅野 早苗 廣木 祐三子
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.141, 2010

【はじめに】<BR> 地域ケアシステムは、茨城県独自のシステムとして、保健、医療、福祉などの地域の他職種の人々が連携して、在宅の要介護者にサービスを提供するシステムが平成6年に創設された。現在では各市町村の社会福祉協議会を窓口として、支援を必要とする人に対して在宅ケアチームを編成し、在宅サービスの充実化を図っている。サービスの内容は、訪問・通所介護など介護保険や自立支援給付等の法的な福祉サービスに近所の方による見守り、安否確認、軽度の生活補助などを組み合わせたサービスを提供している。現在の地域ケアシステムは、介護保険適用の高齢者だけでなく、障害児(者)、子育て親、難病患者も対象となっており、地域ケアコーディネーターと呼ばれる保健・医療・福祉の従事者はじめ地域住民、ボランティアの人たちで編成されており、地域リハビリ指導においては、理学療法士がリハビリテーション指導に関わっている。今回、城里町社会福祉協議会において地域ケア及び地域リハビリテーションの相互の連携システムの推進を検討する機会を得たので報告する。<BR>【活動内容】<BR> 茨城県内地域ケアシステムは44地域における社会福祉協議会で運営され、その中で城里町では、平成21年2月に地域ケア・地域リハビリ相互連携システム推進検討委員会を発足。平成22年度の委員会では、理学療法士3名、作業療法士1名、養護学校教員3名、保護者会1名、城里町健康福祉課3名、地域ケアコーディネーター2名、社会福祉協議会事務局3名で構成され、地域活動支援センター(障害者作業所)、日中一時支援事業等利用者に対する相談介入、事例検討及び利用者への具体的介入の推進、相談を行っている。委員会会議の開催(H21年2月~H22年3月現在)は計13回である。活動報告の中では、学校と福祉の現場における壁の存在や、就学前後における個別支援計画がつながっていないこと、医療と介護(保険)の隙間に埋もれている対象者への支援活動が十分確立されていないことがあげられている。リハビリテーションにおける支援では、知名度の低さとともに、実際に病院や施設での勤務の枠を超えて地域リハビリテーションへの関わりができる人財、フィールドが限られることから、知名度の向上と、地域ケアと地域リハの相互協力が得られる体制作り、働きかけを向上していく必要性がある。<BR>【まとめ】<BR> 活動の中で、対象者と地域における課題を探り、地域を支えるための地域ケアシステムと地域リハビリテーションと継ぎ合わせが必要となる。小児から高齢者まで、より身近な地域で適切なリハビリテーションサービスを受けることができるよう、リハビリテーションのネットワークづくりを推進していくことが今後の課題となる。<BR>
著者
秋山 慎太郎 今村 綱男 田村 哲男 小泉 優子 小山 里香子 竹内 和男 渡邊 五朗
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.208-209, 2013-06-14 (Released:2013-07-05)
参考文献数
4
被引用文献数
2

A 63year-old female complained of recurrent common bile duct stones. In her previous medical history, laparoscopic cholecystectomy was performed for cholecystolithiasis in 2001. Choledochoduodenostomy was also performed for recurrent biliary stones in 2009. However, the patient was admitted to the hospital repeatedly due to recurrent cholangitis associated with biliary stones. Although the biliary stones were completely retrieved by endoscopic interventions, cholangitis recurred a few months later. She was referred to our hospital where magnetic resonance cholangiopancreatography (MRCP) revealed a massive common bile duct stone with a diameter of 4 cm. Initially endoscopic retrograde cholangiopancreatography (ERCP) was undertaken to retrieve the stone and detected that the massive stone was compacted in the common bile duct. The result of stone component analysis showed that it was mostly composed of ursodeoxycholic acid (UDCA). UDCA administration was thought to be associated with her recurrent stone events and this therapy was thus ceased. During the two-year period since this time, there have been no recurrent episodes of cholangitis due to biliary stones.
著者
渡邊 克巳 JOHANNSON Andres.Petter JOHANNSON Andres Petter
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

人間は時には自分の意図を正しく理解していないばかりか、自分の行動を説明するためのストーリーを「後付けで」構築する傾向がある。この現象を実験心理学的に調べることのできる「Choice Blindness(選択盲目)」現象の成立過程を調べるために、平成20年度はChoice Blindness現象が、購買行動のシミュレーション場面で、選択要因が明言されている場合にも起きるかを調べた。その結果、購入するもののポジティブな側面とネガティブな側面の一部を入れ替えても、それに気づく被験者は少ないことが分かった。さらには、それらの選択要因の重要度もすり替える事によって変化する可能性が明らかになった。この知見は、Choice Blindness現象が「全体的な印象」だけでなく「選択の明言的な要因」にも起きる事を示している。この結果は、国内外の学会でするとともに、いくつかの研究会でも紹介した。さらに本年度は「Choice Blindness」現象の解明に加えて、自己の発話中の情動とそのフィードバックの影響を調べる新しい実験パラダイムを考案し、情動理解における内的状態と外的条件の関係を調べる研究をスタートした。その結果、外的に操作された情動フィードバックが被験者の情動に影響を及ぼす可能性を示唆するデータを得た。以上の研究成果は、すでに国際学会などで発表しているが、今後の共同研究のなかで発展させていく予定である。
著者
倉部 史記 渡邊 朗子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.70, no.589, pp.17-24, 2005-03-30 (Released:2017-02-11)
参考文献数
10

Many people trying to reform public school are interested in "Charter School system" in USA. In its system, people can establish a new public school which has freedom in its educational contents, school management and selection of school. So Public school is in open competition system in USA now. However, such a new public education style has a big difference from traditional it in making school-environment. This thesis focuses on the point of analyzing making school-environment system in Charter School system in USA. The analysis is based on case studies of two successful schools and questionnaire of about one hundred schools. In the analysis, below three view points are key.・View point of Management ・View point of Education ・View point of Relation to Outside Organization
著者
渡邊 由紀子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.1, pp.12-17, 2022-01-01 (Released:2022-01-01)

COVID-19の感染拡大に伴い,日本では多くの大学図書館が来館型サービスを休止・制限せざるを得なくなった。本稿では,そのような特殊状況下において大学図書館がレファレンスサービスを拡充する方法について,九州大学の実践例を基に検討した。九州大学附属図書館は,図書館TA(ティーチング・アシスタント)と協働しながら,既存の質問回答サービス,Web学習ガイド,学部1年生向け講習会,図書館TA企画イベントを非来館型に進化させ,サービスを強化した。それらの実践から得られた知見をまとめ,今後は非来館型サービスを来館型サービスと統合して,ハイブリッドなレファレンスサービスを展開していく必要があることを示した。
著者
菊地 雅子 渡邊 席子 山岸 俊男
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.23-36, 1997
被引用文献数
1 20

他者一般の信頼性についての信念である一般的信頼の高さが必ずしもその人の騙されやすさを意味しないというRotter (1980) の議論, および高信頼者は低信頼者よりも他者の信頼性 (ないしその欠如) を示唆する情報により敏感であるという小杉・山岸 (1995) の知見を, 情報判断の正確さにまで拡張することによって導き出された「高信頼者は低信頼者に比べ, 他者の一般的な信頼性についての判断がより正確である」とする仮説が実験により検討され, 支持された。この結果は, 他者一般の信頼性の「デフォルト推定値」としてはたらく一般的信頼の高低と, 特定の他者の信頼性を示唆する情報が与えられた場合のその相手の信頼性の判断とは独立であることを示している。すなわち, 高信頼者は騙されやすい「お人好し」なのではなく, むしろ他者の信頼性 (ないしその欠如) を示唆する情報を適切に処理して, 他者の信頼性 (ないしその欠如) を正確に判断する人間であることを示唆している。最後に, 社会環境と認知資源の配分の観点からこの知見を説明するための一つのモデルが紹介される。
著者
渡邊 隆弘
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, pp.434-440, 2011-11-01

図書館目録の集中機能を保障する典拠コントロールは,書誌コントロールの枠組みの見直しをはかる近年の議論の中でも,今後維持・強化していくべき機能としてとらえられている。また,次世代のウェブとして研究開発が続く「セマンティックウェブ」において,意味情報の共有を実現する「オントロジー」が重要な要素技術となっており,これには目録における典拠コントロールと相通じるところがある。本稿では,典拠コントロールの今日的位置づけ,名称典拠,主題典拠(および統制語彙)それぞれの最近の動向について整理するとともに,オントロジーについて典拠コントロールとの関わりも含めて述べる。
著者
渡邊 真 中野 浩
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.254-255, 1997-02-26

62歳,男性.1996年3月ごろから下痢で発症.
著者
中島 裕子 渡邊 乾 木村 純一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.548-555, 2020-11-15

琵琶湖病院のこと 今回、私たち就労継続支援B型BaseCamp★1の職員は、滋賀県大津市にある琵琶湖病院を取材する機会をいただいた。 琵琶湖病院は、2017年から組織的にオープンダイアローグをベースにしたケアミーティングに取り組んでいることで有名な病院で、NHKでも取り上げられたことがある。『精神看護』2019年11月号の特集(「琵琶湖病院で始まっているオープンダイアローグを取り入れた日常診療」)を読んでいた私は、前々から興味を持っていた。その琵琶湖病院の医師の村上純一さんが、私たちを病院へ招待してくださったのだ。
著者
芳野 恭士 植松 宏章 山下 祐司 渡邊 涼平
出版者
沼津工業高等専門学校
雑誌
沼津工業高等専門学校研究報告 (ISSN:02862794)
巻号頁・発行日
no.42, pp.249-253, 2008

The effects of d-limonene on the concentrations of corticosterone in mouse plasma were studied by using a cold stress model. The concentrations of corticosterone in the plasma of mice loaded with the cold stress at 4℃ for 30 minutes were ca. 3.4 times as higher as those of the control mice. When mice were loaded with the cold stress in the atmosphere including 50, 100, 150 μL of d-limonene/ca. 11 L, the concentrations of corticosterone in mouse plasma tended to be decreased depending on the amount of d-limonene. Especially, the concentrations of corticosterone in the plasma of mice treated with 100 μL of d-limonene were significantly lower than those of mice loaded with the cold stress only, and there was no significant difference between the concentrations in mice treated with 150 μL of d-limonene and those of the control mice. These results suggest that the inhalation of d-limonene could lower the concentrations of corticosterone in the plasma of mice loaded with the cold stress and the preventing effects of this compound on the cold stress would be expected.
著者
岡村 定矩 嶋作 一大 神谷 律 岡 良隆 久保野 茂 山口 英斉 坂野 仁 飯野 雄一 棚部 一成 遠藤 一佳 濵口 宏夫 山内 薫 松本 良 浦辺 徹郎 山形 俊男 日比谷 紀之 山本 正幸 渡邊 嘉典 井原 泰雄
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.6-15, 2012-03

東大での半世紀/岡村定矩先生を送る/退職にあたって/神谷律先生を送る/ミクロとマクロの世界に魅せられて/久保野茂先生を送る/退職の辞/坂野仁先生を送る/退職にあたって/棚部一成先生を送る/欅とヒマラヤスギの間/濵口宏夫先生を送る/石の上にも…38年/松本さんを送る/大学人生活を終えるにあたって/山形俊男先生を送る/退職にあたって/山本正幸先生を送る/青木健一先生を送る
著者
橋本 幸平 日髙 敏哉 渡邊 久美子 西野 諒 山田 智 戸口 明宏 大塚 喜人
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.437-442, 2019-07-25 (Released:2019-07-27)
参考文献数
14

ニューモシスチス肺炎(Pneumocystis pneumonia; PCP)の原因菌であるPneumocystis jiroveciiは人工培養法が確立されていないため,塗抹検査や血清学的検査,遺伝学的検査等により診断が実施されている。本検討で実施した検査と診断結果との一致率はloop-mediated isothermal amplification(LAMP)法で感度94.6%,特異度94.7%,ディフ・クイック(Diff-Quik)染色で感度67.6%,特異度96.5%,β-Dグルカン検査で感度89.1%,特異度86.0%となった。3法を組み合わせて診断結果と比較した場合,2法以上陽性の症例は全例PCP群と診断されていた。また,PCP群において3法の検査が全て陰性であった症例は存在しなかった。LAMP法は感度の高い検査であるが,コロナイゼーションの可能性も否定できないため,単独でPCP診断を実施するのは困難である。これらの検査を併用することでPCP診断の精度を上げることができ,早期診断,治療につながることが期待できる。
著者
渡邊 亙
出版者
白鴎大学
雑誌
白鴎法學 (ISSN:13488473)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.49-62, 2009-12
著者
渡邊 勉
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.218-233, 2018 (Released:2019-09-28)
参考文献数
43

本稿の目的は,職業経歴の不平等の時代変化の特徴を明らかにすることである.これまで7回おこなわれたSSM調査の職歴データを分析した歴史研究は,ほとんどない.そこで本稿では,労働経済学における終身雇用,二重構造の研究を参照しつつ,社会階層論の枠組みで,1920年代から2000年代以降までの日本の労働市場の変化を分析した. 明らかになった点は以下の通りである.第一に,職歴の不平等は,1970年代半ばまでの入職者において小さくなり,その後大きくなっている.第二に,職歴の雇用安定性は,戦後1970年代まで大きくなっていき,その後若干小さくなる.また職歴の従業先安定性は,初職大企業のほうが中小企業よりも安定しており,初職ホワイトカラーのほうがブルーカラーよりも安定しており,時代による変化は小さい.第三に,通時代的に職歴パターンは,父職,学歴,初職職業,初職規模それぞれの影響を受けている.特に従業先規模は戦後影響が大きくなっている.まとめると,職歴の不平等は,まず戦前から戦後の社会,制度の大きな変化の中で,平等化が進んだ.その後終身雇用制度の浸透と共に,さらに平等化が進んだが,1970年代後半以降の入職者は,不安定な職歴が増え,不平等が進行した.
著者
下河内 洋平 井川 貴裕 渡邊 有実 油谷 浩之 井口 理 内田 靖之 楠本 繁生
出版者
日本トレーニング指導学会
雑誌
トレーニング指導 (ISSN:24336742)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.4-9, 2014 (Released:2020-03-30)
参考文献数
17

本研究はハンドボールにおいてシュートを打つ時の踏切脚と非踏切脚による片脚リバウンドジャンプの遂行能力と、両脚を用いたスクワット1RM(SQ1RM)及びスクワットジャンプ最大パワー値(SQJP)との関係性を検証した。19人の大学女子ハンドボール選手が本研究に参加した。彼女らは異なった負荷を用いてバックスクワットとスクワットジャンプを行い、SQ1RMとSQJPを決定した。また、測定参加者は片脚リバウンドジャンプ(RJ)をマットスイッチの上で10回行い、その時の接地時間、跳躍高、RJ指数(跳躍高/接地時間)をRJ遂行能力の指標として測定/算出した。各RJ遂行能力の指標をSQ1RMまたはSQJPで予測する直線回帰分析を、踏切脚と非踏切脚別々に行った。その結果、踏切脚においてはSQ1RM (R2 = 0.235~0.454, p < 0.05)とSQJP (R2 =0.238~0.426, p < 0.05)がより高いほど、跳躍高とRJ指数がより高く、接地時間がより短い関係性が示された。一方、非踏切脚においては、有意な関係性はSQ1RMとRJ指数の間にのみ見られた(R2= 0.158, p < 0.05)。これらの結果は、女子ハンドボール選手においては、SQ1RMとSQJPは踏切脚のRJ遂行能力のみ反映していることを示している。よって、これらの選手の下肢の筋力及び筋パワーを評価するためには、片脚スクワット1RMや片脚スクワットジャンプパワーを高精度で測定する方法を確立する必要がある。また、本研究結果は、下肢神経筋機能の左右不均衡を有する選手が両脚を効率的に鍛えるためには、より片脚での閉鎖性運動連鎖による運動をトレーニングプログラムにおいて強調する必要性があることを示している可能性がある。
著者
細谷 匠 渡邊 昌宏
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】跳躍力は陸上競技やバレーボール,バスケットボールなど多くの競技種目で必要とされる。近年,スポーツでは体幹筋トレーニングが数多く取り入れられているが,競技で必要とされる跳躍力にどのような影響を及ばしているかは明確になっていない。そこで本研究では,体幹筋トレーニングが跳躍力にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることとした。【方法】対象は健常男子大学生21名(年齢19.5±1.1歳,身長169.9±5.4cm,体重65.3±6.5kg)とした。介入方法として体幹筋トレーニング(TMT),跳躍に影響を与えるといわれている下腿三頭筋へのDynamic stretching(DS),腹部圧迫(COMP)の3種類を実施した。TMTとしてFront Bridge,Back Bridge,side Bridgeをそれぞれ1分30秒ずつ保持させた。DSでは最大努力で膝を曲げず真上に連続ジャンプを10回おこなわせた。COMPでは臍部直下から腸骨稜にかけて弾性包帯を使用しできるだけ強く巻いた。それぞれの介入は3日以上の間隔を空けランダムにすべて実施した。跳躍力の評価は垂直跳びとし介入前と介入後それぞれ2回の計測をおこなった。計測には上肢の影響を取り除く為,腰に手を当てた状態でおこない,ジャンプMD(竹井機器工業株式會社)を用いて計測した。介入前と介入後に計測された値はそれぞれ平均値を用いた。統計処理にはSPSS statistics Ver19を用い,各種目における介入前と介入後を対応のあるT検定で比較した。有意水準は5%とした。【結果】TMTでは,介入前(47.0±5.5cm)に比べ,介入後(48.4±6.1cm)に有意に高くなった(P=0.003)。COMPでは,介入前(47.3±5.2cm)に比べ介入後(48.0±5.7cm)において高くなる傾向が認められた(P=0.071)。DSでは介入前後で有意差は認められなかった。【結論】体幹部の安定性には体幹深部筋の活動が重要であると報告されている。また,体幹を安定させる能力が高い者ほど,下肢の生み出す力を無駄なく上方へ伝達できるといわれている。今回の結果から,体幹筋トレーニングによって深部筋の活動が増加し体幹部の安定性が得られたことで,跳躍力が増したと推察された。また,腹部圧迫によっても腹腔内圧が高まり体幹の安定性が得られることで,跳躍力に影響を及ぼす可能性があることが考えられた。これらのことから単に腹圧を高めるだけではなく,自発的に筋収縮を促し筋活動を高めることが,より体幹の安定性に影響を与えることが示唆された。体幹トレーニングによる上下肢の筋活動の影響も関与している可能性もあることから,今後は体幹筋トレーニングによる上肢・下肢への筋活動と跳躍力に及ぼす影響について明確にしていきたい。
著者
渡邊 徹
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.623-628, 2010-06

酪農現場における飼料給与を中心とする飼養管理方法についての一考察。外的要因の主なものとして、気候や牛舎環境の影響、管理の不具合があります。具体的には、暑熱や寒冷の影響、牛床、飼槽、繋ぎ方等いわゆるカウコンフォートの項目としてあげられているものです。また、飼料の変動、牛の入れ替え、牛群内でのイジメ、近所での工事等も飼料摂取に影響を与えます。これら外的要因は牛に負担をかけ、ストレスが生じ、その結果飼料摂取量が低下します。ストレスとは物理的、精神的に外部から力が加わっている状態で、寒冷、暑熱、筋肉疲労、炎症、感染、怒り、不安などの物理的、化学的、精神的な負荷は全てストレスの要因となり得ます。また、ストレスが加わると副腎皮質からコルチゾール(糖質コルチコイドの一種)が分泌され、ストレスを緩和しようとしますが、コルチゾールは繁殖ホルモンやカルシウムの代謝などに大きな影響を与え、乳牛の生乳生産をマイナス方向に導きます。乳牛がストレスを感じるのは、行動に制約がある時、不快な時、不安な時等です。