著者
岩崎 貢三 康 峪梅 田中 壮太 櫻井 克年 金 哲史 相川 良雄 加藤 伸一郎 NGUYEN VAN Noi LE THANH Son BANG NGUYEN Dinh VENECIO ULTRA Jr. Uy. TRAN KHANH Van ZONGHUI Chen NGUYEN MINH Phuong CHU NGOC Kien 小郷 みつ子 福井 貴博 中山 敦 濱田 朋江 杉原 幸 瀬田川 正之
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では, (1)ハノイ近郊の鉱山周辺土壌における重金属汚染, (2)紅河流域畑土壌における有害金属・農薬残留に関する調査を実施し, 特に有害金属に関し, 工場・鉱山を点源とする汚染と地質に由来する広域汚染が存在することを明らかにした. また, これら金属汚染土壌の植物を用いた浄化技術について検討するため, 現地鉱山周辺で集積植物の探索を行ない, Blechnum orientale L.やBidens pilosa L.を候補植物として見出した.
著者
福井 和広 山口 修 鈴木 薫 前田 賢一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.82, no.4, pp.613-620, 1999-04-25
被引用文献数
85

顔画像認識において照明変動に対するロバスト性は不可欠な特性である. 本論文では"制約相互部分空間法"を用いた照明変動にロバストな顔画像認識法を提案する. 制約相互部分空間法は, パターン変形に対する高い吸収能力をもつ相互部分空間法の拡張で, 前処理として"制約部分空間"に射影された入力部分空間と辞書部分空間のなす最小角度を類似度と定義する. ここで制約部分空間を照明変動成分が含まれない部分空間とすれば, 最小角度, つまり類似度は照明変動に影響されないことになる. この要求を満たすために, 異なる人物の顔パターン分布を表す二つの部分空間に対してその差異を表す"差分部分空間"を導入する. これを同じ照明条件で生成した様々な人物の部分空間の組合せに対して求め, 求めた差分部分空間の集合の主成分空間を制約部分空間とする. 照明条件が大きく異なる顔画像を用いた評価実験により提案法の有効性を示す.
著者
西本 祥大 福田 仁 福井 直樹 上羽 佑亮 濱田 史泰 樋口 眞也 帆足 裕 細川 雄慎 古谷 博和 上羽 哲也
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.10686, (Released:2019-10-01)
参考文献数
16
被引用文献数
1

要旨:症例は16 歳女性で,両側もやもや病の保存的加療中に過眠症発作を来した.過眠発作の形式と脳波所見はナルコレプシーに類似していたが,診断基準からはナルコレプシーの診断に至らず,中枢性過眠症と診断した.右大脳半球に血行再建術を行ったところ,過眠発作が消失したため,本症例はもやもや病による症候性過眠症と診断した.脳血管障害による過眠症は稀ではあるが,もやもや病と中枢性過眠症とでは血行動態に類似する点もあり,もやもや病による血行力学的脳虚血が中枢性過眠症を引き起こす可能性がある.
著者
福井 栄二郎
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.47-76, 2005-06-30 (Released:2017-09-25)
被引用文献数
1

本稿は、筆者が調査を行ってきたヴァヌアツ共和国・アネイチュム島の事例をもとに、彼らの伝統文化の真正性が変動する、その様態を明らかにするものである。アネイチュム語で「ネテグ(netec)」とは土地保有集団、親族集団を指し、一般的には父系の理念で成員権が決定される。またネテグは個人名の保有集団としても機能している。つまりあるネテグにはつけてもよい個人名が決められていて、それらを他のネテグの成員に命名してはいけないとされる。しかし実際には、非男系成員の編入も、個人名の他ネテグへの拡散も、相当数存在している。たしかに理念には抵触するのであるが、これまでそうした事象は、事実上「黙認」されていた。ただ近年になってこのような「黙認」の事象が引き金となり、土地問題が生じてきている。そこで彼らはこれまで「黙認」だった事象を「間違った」ことと捉え直すようになり、今後は禁止しようとしている。つまりある事象に対して「黙認」から「禁止」へと真正性が変動したのだと考えられる。このように、ある伝統的事象が「正しい」とか「間違っている」と考える際、彼らが参照にしているのが、西洋人がやってくる以前の「かつての姿」である。そこで本稿では、島民たちの考える「かつての姿」を歴史資料を用いて多面的に考察するが、彼らの認識は必ずしも「事実」ではないのかもしれない。ただ重要なことは、それが「事実」かどうかなのではなく、伝統文化をはかるときのメルクマールとして実際に機能しているという点である。つまり彼らの「歴史」はひとつのリアリティを有しているし、換言すれば、伝統文化とは彼ら自身の歴史認識を抜きに理解することができないのだと結論づける。
著者
福井 寛
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.633-639, 1999-10-20 (Released:2012-11-20)
参考文献数
33
被引用文献数
2 2
著者
加藤 太郎 福井 勉
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48100042, 2013 (Released:2013-06-20)

【目的】我々は前回大会にて呼吸運動時の体幹皮膚の変位量について報告した。呼吸運動時に体幹皮膚は上腹部皮膚の前面が最も大きく動き、続いて下胸部皮膚の前面、上胸部皮膚の前面の順となり、また体幹側面皮膚は体幹前面皮膚と比べて動きは少ないが、その順序性は前面と同様に上腹部皮膚の側面が最も大きく動き、続いて下胸部皮膚の側面、上胸部皮膚の側面の順となったことを報告した。このような皮膚の運動特性から、皮膚誘導による呼吸介助手技に応用するためには、さらに各部位皮膚の変位方向を明らかにする必要がある。本研究は呼吸運動時の体幹皮膚の変位方向を明らかにすることを目的とし皮膚上マーカーを体幹に貼付した状態での呼吸運動を分析検討した。【方法】対象は健常成人男性10 名(年齢29.4 ± 4.3 歳、身長170.2 ± 5.5cm、体重67.7 ± 8.5kg)であった。測定機器は3 次元動作解析装置VICON MX(VICON社製)を用いた(カメラ8 台、計測周波数100Hz)。マーカー貼付位置は正中列と側方列(左右)と正中・側方中間列(左右)(以下、中間列とする)とし縦5 列に分け、各列に8 個のマーカーを貼付し合計40 個のマーカー(直径16mm)を格子状にした。正中列は胸骨柄上部、剣状突起、および両上前腸骨棘間の中点を基準とし、胸骨柄上部と剣状突起の間を1/3、2/3 に内分する点および剣状突起と両上前腸骨棘間中点の間を1/4、2/4、3/4 に内分する点とした。側方列は後腋窩と、上前腸骨棘と上後腸骨棘間の中点を基準とし、この間を1/7、2/7、3/7、4/7、5/7、6/7 に内分する点とし左右に貼付した。中間列は胸骨柄上部と後腋窩の中点と、上前腸骨棘を基準とし、この間を1/7、2/7、3/7、4/7、5/7、6/7 に内分する点とし左右に貼付した。各列ともに頭側から尾側に向かって順に1 〜8 マーカーとし、1、2 マーカーは上胸部、3、4 マーカーは下胸部、5、6 マーカーは上腹部、7、8 マーカーは下腹部の皮膚の動きを表すものとした。マーカーと肋骨との位置関係は上胸部マーカーは第1 〜3 肋骨の上位肋骨、下胸部マーカーは第4 〜6 肋骨の中位肋骨、上腹部マーカーは第7 肋骨以下の下位肋骨の位置に相当している。測定肢位は床上での背臥位とし両上肢の位置を90°外転させ両手掌を頭部後面に位置させたハンモック肢位とした。測定は5 回の深呼吸を1 試行とし5 試行実施した。呼気と吸気の相分けは身体の水平面において剣状突起マーカーが頭側方向へ最も動いた時を最大吸気位とし、最も尾側方向へ動いた時を最大呼気位とした。各呼吸の最大呼気と最大吸気間の各マーカーの変位量を算出した。上胸部、下胸部、上腹部、下腹部の各部位のX 軸(左右)、Y軸(上下)、Z軸(前後)方向への変位量について一元配置分散分析および多重比較法(Bonferroni検定)を用い解析、検討した。統計処理はSPSS ver.18.0Jを使用し危険率1%未満を有意水準とした。【倫理的配慮】本研究はヘルシンキ宣言に沿って実施した。全対象者に事前に本研究内容を書面および口頭で十分な説明を行い署名にて同意を得た。尚、本研究は文京学院大学大学院保健医療科学研究科倫理委員会の承認の下で実施した。【結果】各部位の方向別変位量に有意差を認めた。上胸部はY方向の動きが最も大きかった。またX方向の動きがYとZ方向と比べ有意に小さかった。下胸部はYとZ方向の動きが大きかった。またX方向の動きがYとZ方向と比べ有意に小さかった。上腹部は他部位と比べ全方向へ動きが大きく、変位量の大きさはZ、Y、X方向の順であった。下腹部は全方向へ動きが小さく、Z方向の動きがX、Y方向と比べ有意に大きかった。【考察】呼吸運動時の各部位皮膚の変位方向は、上胸部は上下方向、下胸部は上下、前後方向、上腹部は全方向への動きが大きく、上位肋骨から下位肋骨に向かうほど左右方向への動きが大きくなった。この上位肋骨相当の上胸部皮膚が上下方向への動きが大きく、中位肋骨相当の下胸部皮膚、下位肋骨相当の上腹部皮膚へと下位に移るほど左右方向への動きが大きくなった結果は、肋骨頭関節と肋横突関節を結ぶ軸方向により決まるpump handle motionとbucket handle motion の胸郭の生理的運動方向が反映されたと考えられる。本研究結果から皮膚誘導による吸気時呼吸介助手技を行う場合に、上胸部皮膚は上方向へ、下胸部皮膚は上・前方向へ、上腹部皮膚では上・前方向に左右方向への動きを加えることが有効であると考えられる。以上より、各部位の皮膚運動特性を明らかにすることは、理学療法における皮膚誘導を用いた手技に応用できると考えられる。本研究結果は皮膚運動特性を考慮した皮膚誘導による呼吸介助手技が行える可能性とその方法を示唆していると考えられ、臨床応用の基礎となり得る。【理学療法学研究としての意義】本研究により皮膚誘導を用いた呼吸介助手技が行える可能性を示唆でき、その誘導する量と方向に応用できると考える。
著者
長谷川 由佳 岡村 拓郎 濵口 真英 本田 晶子 高野 裕久 福井 道明
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第49回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.P-134, 2022 (Released:2022-08-25)

【背景】マイクロプラスチック(MP)による環境汚染が拡大し、MP及びMPに含有される化学物質の健康影響が懸念されており、環境中の化学物質による生活習慣病の悪化が報告されている。本研究では欧米化食のような高脂肪食を摂取することで起こる腸管炎症(Leaky Gut症候群)に注目し、MPが、肥満・糖尿病に及ぼす影響を調査することで、MPの代謝系への毒性を明らかにする。【方法】現代食のモデル食として高脂肪食 (HFD)を用いる。C57BL/6Jマウス(♂・8週齢、各群10匹)にHFDを4週間給餌し、腸内炎症並びに脂肪肝・糖尿病を発症させる。粒子曝露群に蛍光標識したMP標準品(ポリスチレン、径0.45–0.53 µm)を1000 µg/mLで経口投与した。病理組織学的所見、各組織の遺伝子発現、炎症・免疫応答、糖・脂質代謝障害、ガスクロマトグラフィーにより組織中のメタボライトを評価した。【結果】HFD群とHFD+MP群に有意な体重差は認めなかったが、耐糖能障害はHFD+MP群で有意に増悪しており、肝酵素や血清脂質の上昇を認めた。肝組織において有意な脂肪肝の悪化を認めた。蛍光顕微鏡ではHFD+MP群において蛍光標識したMPの粒子が小腸の腸管粘膜に蓄積しており、便中の短鎖脂肪酸濃度が有意に低下していた。また、フローサイトメトリーで小腸粘膜固有層の炎症細胞の動態を評価したところ、HFD+MP群では1型自然リンパ球の有意な増加、3型自然リンパ球の有意な減少を認め、TnfaやIl1bなどの炎症関連遺伝子がHFD+MP群で有意に上昇した一方で、Il22の発現は低下していた。【結語】MPは腸管炎症を惹起し耐糖能障害をはじめとした種々の代謝障害の増悪を引き起こす。本研究は、高脂肪食下での代謝障害を改善するために、環境対策によりMPの経口曝露を低減する必要があることを示唆している。
著者
福井 至 大橋 靖史 菅野 純 重久 剛 春木 豊
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.12-19, 1991-03-31 (Released:2019-04-06)

親の性格,養育態度(強化モード)と子の性格との関係について検討した。被験者は日本人9才児男女245名で,本人,母,父のそれぞれについて性格と強化モードを測定するために作成された質問表に,2件法で解答した。子の性格と親のそれぞれの性格はWPQ(EPQ改訂版)の向性(Ex),情動性(Em),タフ・ソフト傾向(To),社会的技能性(Di),自己実現性・愛他性(Sa)の次元について,子が解答した得点に基づくものである。親の養育態度は,IRS(人間関係診断テスト)の「押し付け」(Fr),「任せ」(Lr),「受けとめ」(Cr),「認め」(Adr)のモードについて,子どもが解答した得点である。5次元,4モードのうち,子の向性と父の向性,子の自己実現性・愛他性と母のタフ・ソフト傾向,そして父の情動性,タフ・ソフト傾向に高い相関がみられ,また子の向性は母の押し付け強化,認め強化,そして父の押し付け強化との間に高い相関を示した。以上の結果から,子の性格が,遺伝と環境の双方に深いかかわりをもつ手がかりが示唆された。
著者
福井 直樹
出版者
日本コミュニケーション障害学会
雑誌
コミュニケーション障害学 (ISSN:13478451)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.85-92, 2005-08-31 (Released:2009-11-19)
参考文献数
12
被引用文献数
1

現代言語学の基本目標を説明するとともに,20世紀における言語理論の進展を概説した.Saussureが「社会的所産」とみなした言語構造を人間の脳内に実在する機能(再帰的生成システム)ととらえ,それに関する明示的説明理論の構築を目指したのが生成文法理論であるが,「より深い説明」を目指す継続的試みが現在に至る理論的変遷の根本的原動力になっていることを論じた.その上で,言語学と言語障害学が将来さらに有機的に連携するためには,言語脳科学ともいうべき分野の確立が必須であるとともに,今までの生成文法理論には欠如していた「言語の社会性」を厳密に研究するためのモデル構築が望まれるということも指摘した.
著者
福井 謙一
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.8, pp.394-400, 1965-08-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
73
被引用文献数
1
著者
尾上 仁志 前田 慶明 田城 翼 福井 一輝 島 俊也 仁井谷 学 浦辺 幸夫
出版者
公益社団法人 広島県理学療法士会
雑誌
理学療法の臨床と研究 (ISSN:1880070X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.15-19, 2022-09-30 (Released:2022-10-01)

【目的】脊椎圧迫骨折後の腰部多裂筋の筋断面積を各腰椎レベルで比較し、脊柱後弯変形の予防の一助とすること。 【方法】対象は、圧迫骨折群6名と非圧迫骨折群6名であった。各腰椎レベルの腰部多裂筋の筋断面積を測定するために、超音波画像診断装置を使用した。また、徒手筋力計を用いて、等尺性体幹伸展筋力を測定した。統計学的解析には、各腰椎レベルの腰部多裂筋の筋断面積および、等尺性体幹伸展筋力を2群間で比較するために、対応のないt検定を使用した。有意水準は5%とした。 【結果】L1とL2での各腰椎レベルの腰部多裂筋の筋断面積は、両群で有意な差はなかった。L3からL5では、圧迫骨折群で有意に小さかった(p<0.05)。等尺性体幹伸展筋力は、両群で差はなかった。 【結論】本研究の結果から、脊椎圧迫骨折の有無で等尺性体幹伸展筋力に差は認めないが、脊椎圧迫骨折群は、L3からL5の腰部多裂筋が小さいことが示された。
著者
福井 弘教
出版者
法政大学大学院
雑誌
大学院紀要 = Bulletin of graduate studies = 大学院紀要 = Bulletin of graduate studies (ISSN:03872610)
巻号頁・発行日
vol.79, pp.227-235, 2017-10-31

「ギャンブル大国」と称される日本に、カジノという新たな選択肢の付加を想定した法的枠組みが構築された。詳細については現時点では不明な点もあるが、既存の公営ギャンブルに包含される公営競技については、売上減少対策以外の検証がほとんどなされていない。公営競技場は住宅地や学校など多様な建築物、公共施設と近い場所に立地するケースが多いが、本稿では「地域資源」である公営競技を、都市空間において多様なステークホルダーとの共存をいかに構築するかという点に着目して考察した。考察の結果、既存の枠組みにとらわれない、官官連携・官民連携が多様なステークホルダー間、相互に利益をもたらすことが示唆された。
著者
福井 祐生
出版者
宗教哲学会
雑誌
宗教哲学研究 (ISSN:02897105)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.74-86, 2021-03-31 (Released:2021-11-02)

This paper investigates the problem of atonement in the thought of the Russian religious thinker, Nikolai Fedorovich Fedorov (1829-1903), who planned the task of universal resurrection, which is to be carried out by humankind and not solely by God. Several studies accused Fedorov of making light of Divine Grace. However, I argue against this view mainly from the perspective of the recapitulation theory of atonement, which was formulated by Irenaeus of Lyons and elaborated in the history of Eastern Christianity. Based on this theory, Fedorov postulated that the Deed of Christ continues through the activity of humans.This paper also analyzes Fedorov’s criticism of some of his contemporaries’ Christological comments, such as Albrecht Ritschl and Leo Tolstoy. The analysis indicated that Fedorov considered Jesus Christ as the Son of God, who sacrificed himself for humanity’s salvation. Additionally, this paper discusses the implications of Fedorov’s remarks about Jesus Christ’s resurrection and the raising of Lazarus in the context of modern thought, especially Ernest Renan’s work. He was mentioned in Fyodor Dostoevsky’s famous letter (to Nikolai Peterson, Fedorov’s disciple), which motivated Fedorov to write his first work.Overall, this paper shows how Fedorov responded to modern people’s skepticism and built a new Christology without renouncing its traditional framework.
著者
福井 俊哉
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3+4, pp.159-163, 2015 (Released:2016-06-17)
参考文献数
9

【要旨】認知症と認知症疾患の包括的理解を目的として、主に本邦における認知症概念と認知症を取り巻く医学的・社会的背景の変遷について述べた。現在では認知症が脳疾患の症状であるという認識が浸透しつつあるが、歴史的には一貫して、避けることのできない老化現象の一部として捉えられていた節がある。神話の時代における認知症と精神疾患は畏敬と脅威の対象であったが、8世紀になると、認知症を患ったものは「狂(たぶ)れており、醜(しこ)つ」ものであり、神識(心の働き)迷乱して狂言を発すると捉えられた。平安時代では年を取ると「ほけほけし…ほけりたりける人」となり、鎌倉時代には、「老狂」に至った者は社会的に何を仕出かすかわからないと考えられていた。江戸時代になると老いによる身体認知機能の低下は「老耄」と称せられ、老耄は老いの不可避的現象なので逆らわずに受け入れるようにとの教訓が残されている。このように、一般的には認知症の原因は加齢に基づくものと考えられていたが、古代唐代の医書では「風」(ふう:外因の邪気)が皮膚から侵入することが、また、中世元代の医書では老年期の精血減少(虚)が健忘、恍惚、狂言妄語を生じる原因であると記載されている。さらに、江戸時代には脳障害や老衰病損、明治時代には老耄、進行麻痺、動脈硬化、卒中発作、昭和時代には老耄性痴呆・動脈硬化性精神病・アルツハイメル氏病が認知障害の原因であるとされ、次第に現代の考え方に近づいている様子がうかがわれる。
著者
水口 仁人 福井 亘 宮本 脩詩 髙林 裕
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究(オンライン論文集) (ISSN:1883261X)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.20-23, 2020-06-24 (Released:2020-08-06)
参考文献数
24

Communal roosts of birds formed on the street trees are problems in many cities, but no drastic solution has been found. Therefore, it is considered necessary to clarify the current situation of communal roosts from quantitative investigations and to accumulate knowledge of communal roosts formed on the street trees. The purpose of this study was to investigate the communal roosts on street trees of Kyoto city as an example, and to grasp the current situation. A research site was selected from places where Passer montanus and Spodiopsar cineraceus roosting in Kyoto. The survey was conducted once a week between June 13 and November 4, 2018, recording the number of roosting individuals, the time of roost initiation and completion, and roosting status. As a result, it became clear that a population roost will be formed until October. Furthermore, it was found that the population of P. montanus and S. cineraceus forming the communal roost increased during June. In addition, the initiation and completion times of roosting are close to the changes in sunset time, and it is considered that the sunset time is one of the factors affecting the roosting time. And, it was thought that there could be trees that are favored as roosts.
著者
福井 弘教
出版者
国立大学法人 琉球大学島嶼地域科学研究所
雑誌
島嶼地域科学 (ISSN:2435757X)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.19-31, 2023-06-30 (Released:2023-06-30)

沖縄におけるギャンブルの機会と背景については,以下の知見を提示する。可視化できるギャンブルとしては,パチンコ,宝くじ,スポーツ振興くじのみであるが,リモート投票が進展している公営競技については相当数の会員がいることが推察される。他方,47 都道府県で唯一,公営競技や公営競技施設が未導入の背景としては,1)沖縄が占領下にあった(機会喪失),2)失業率など社会環境の特異性,3)沖縄振興策や地方交付税など沖縄への手厚い経済政策,4)米 軍基地の存在,5)琉球競馬という金銭を伴わない競馬が行われていた実績,6)住民運動に代表される市民力の高さなどが要因として考えられた。