著者
玉木 直文 松尾 亮 水野 昭彦 正木 文浩 中川 徹 鈴木 雅博 福井 誠 谷口 隆司 三宅 達郎 伊藤 博夫
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.316-321, 2016 (Released:2016-06-10)
参考文献数
19

糖尿病や腎機能と歯周病との関連についての研究は数多く行われてきたが,これらの疾患のバイオマーカーと歯肉溝液中の炎症関連バイオマーカーとの関連についての研究は少ない.本研究では,歯肉溝液中の炎症関連バイオマーカーと糖尿病・腎機能マーカーとの関連性について検討を行うことを目的とした. 市民健診参加者と糖尿病治療の患者を対象とした.対象者の歯肉溝液を採取し,アンチトリプシンとラクトフェリン濃度を測定した.また,糖尿病コントロール指標として糖化ヘモグロビン(HbA1c),腎機能マーカーとしてクレアチニンと推算糸給体濾過量(eGFR)を測定し,これらを従属変数とした重回帰分析を用いて,それぞれの関連性を検討した. その結果,炎症関連歯肉溝バイオマーカーと血清のすべての検査項目において,年齢・性別調整後の平均値は市民健診受診者と糖尿病患者の間で統計学的な有意差があった(p<0.001).また,糖尿病などに強く関連する交絡因子である年齢や性別などの調整後でも,歯肉溝中の炎症関連バイオマーカーは糖尿病・腎機能マーカーとも関連することが認められた.本研究の結果から,客観的に評価された歯肉溝バイオマーカーと糖尿病や腎機能マーカーとの間には有意な関連があることが示され,医科−歯科連携における健診ツールとして,歯肉溝液中のバイオマーカーの測定の有用性が示唆された.
著者
福井 (岡田) 容子 福井 秀公 三浦 仁 渡辺 省五 一色 淳
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.24-30, 2001-04-20 (Released:2010-06-08)
参考文献数
20

本研究は, エンドトキシン (LPS) 誘発の脳細胞死に対する静脈麻酔薬の神経保護効果を脳内一酸化窒素代謝産物 (NOx) 動態を基盤として検索した。脳細胞は小脳顆粒細胞を分取し, 神経細胞とグリア細胞が混在した初代培養細胞を用いた。細胞死は蛍光発色法で定量解析を行った。NO産生は特製微小透析プローブで経時的にNOxを採集し, NO2およびNO3をグリース反応後, HPLC-UVシステムで測定し解析した。LPS未処置でNOx産生は認められなかったが, 処置後は明らかな経時的NOx産生が確認された。LPS20μg処置24時間後の細胞生存率は約60%であった。細胞死発現にともなうNOx産生は各種静脈麻酔薬の中でミダゾラムによってもっとも著明に阻害された。これらの結果は, 脳細胞死発現にともなってNO発生が生じ, ミダゾラムの脳保護効果はNO産生抑制と関連することが示唆された。
著者
彦野 賢 高城 美穂 福井 宏和
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.321, 2009

原子力発電所の定期検査においてさまざまな機器の保守作業を行う作業者、特に作業責任者は、現場作業での品質保証上重要な判断場面や、作業員の安全のキーマンとして特に重要なポジションであるといえる。本報では、現場で作業責任者として従事している方の意識等についてインタビュー調査を試みた結果を紹介する。
著者
福井 慶一 森口 航平
出版者
一般社団法人 日本画像学会
雑誌
日本画像学会誌 (ISSN:13444425)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.11-17, 2019-02-10 (Released:2019-02-13)
参考文献数
14

定着プロセスの消費電力の低減と高画質化の両面を実現するためには,トナー材料の改良による低温定着の実現に加えて,定着ユニットの温度制御や圧力制御が重要になる.本稿では,その中でも,定着ユニットの温度制御に注目し,制御システム設計で必要な豊富な機能 (プラントモデリング,制御設計,感度解析など) を備えたMATLAB/Simulinkを使用したモデルベース開発による定着ユニットの温度制御システム設計例を説明する.まず,定着ユニットの基本構造の概要を示す.その後に,定着ユニットのニップ部の温度制御システムを設計するために,定着ユニットの熱伝導を表すプラントモデルの設計,ニップ部の温度制御性能の確保とIHヒーターの入力電力の抑制を実現する最適制御の設計,さらに部品のパラメーターのばらつきを考慮したモンテカルロシミュレーションによるニップ部の定着温度の解析について示す.
著者
望月 賢二 福井 正二郎
出版者
魚雑
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.27-36, 1983

ボウズノ・ゼ<I>Sicyopterus japonicus</I>の上顎歯の形態・成長・更新等について調べた。予備粛は歯槽 (gun) 内部に発生し, 内部を移動しながら成長する。この成長の最後の段階において, 各粛の基部に1小骨が形成される.その後, 下方に移動し, 前上顎骨に固定され, 作用歯として用いられる.歯の更新において脱落した歯は, 上顎組織内で吸収されながら, 前上顎骨下端の腔所に引き込まれ, ここで完全に吸収される。このことから, 歯の成分を再利用する可能性があることが示唆された。この更新は体長の増加に比例して起り, 標準体長が1.1mm増加することに1回の割合である.またその頻度は, 標準体長が1日当り0.12mm増加する場合には平均9.2日に1回の割合である。歯がこのような短い周期で絶えず更新するのは, 餌として岩の表面で育つ付着藻類を掻き取るため, 上顎歯の損耗が著しいためと思われる.
著者
澤柿 教伸 福井 幸太郎 岩田 修二
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.163-178, 2005-03-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
85
被引用文献数
1 2

近年,あいついで惑星探査機が火星に到達し,地表面の詳細な数値標高データが得られたことから,地形の解析は飛躍的に進展した.火星表面の環境は,寒冷・乾燥を主な特徴とする「極地砂漠」であると言われ,地球上のアナロジーとして南極大陸のドライバレー地域に見られる地形が用いられている.また,これまで,火星表面の広範囲に水流の侵食を受けたと考えられる地形が認識されてきたことに加えて,寒冷環境の水に関わる地形として氷河や永久凍土に起因すると考えられる地形も多く確認されており,その詳細な形態も明らかにされつつある.しかし,水が流れた地形と氷が流れた地形に決定的な違いはあるのか,といった両者の判別に関する問題は,地球上の地形についても未解決の部分が多く,火星の地形の解釈に適用する際には注意を要する.雪氷の流れによって形成される,岩石氷河や岩屑被覆氷河などの地形の解釈についても,地球上の研究例を火星の地形に単純に当てはめるには問題がある.
著者
増田 裕子 福井 利光 渡辺 大輔 玉田 康彦 松本 義也
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.117, no.14, pp.2489-2494, 2007-12-20 (Released:2014-12-03)

livedo vasculitis(以下LV)と診断した5症例(平均年齢:50.6歳.男女比:2対3.平均罹患期間:3.4年)は,病理組織学的に真皮内の小血管に血栓形成と,血管壁の硝子化がみられた.抗血小板療法で効果が見られなかったので抗凝固剤であるワーファリンカリウムを投与したところ,全例で皮膚潰瘍や疼痛などの自覚症状が短期間に改善した.今後,抗血小板薬や血管拡張剤等に治療抵抗性のLVに対して,ワーファリンカリウムは試みるべき治療法の一つと考えた.
著者
石田 丈博 福井 裕 松田 秀喜 的場 輝佳
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.480-485, 2005-12-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
20
被引用文献数
5

Takehiro Ishida Hiroshi Fukui Hideki Matsuda Teruyoshi Matoba The anti-oxidative effect of mirin on whole sardines and sardine fish-balls was investigated during thermalcooking. The thiobarbituric acid (TBA) values of both after cooking with mirin were lower than those cookedwith mirin-like seasoning or sugar.The TBA values after cooking with mirin or ethanol- eliminated mirin were also lower than those cooked withethanol or water.The 1, 1-diphenyl-2-picrylhydrazyl (DPPH) radical-scavenging activity of the whole sardine, its broth and itsfish-ball after thermal cooking with mirin were all higher than those cooked with mirin-like seasoning or sugar.
著者
浜谷 祐司 舊谷 亜由美 福井 洋平 矢野 豊 武輪 俊彦 里見 正隆
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.84, no.5, pp.1007, 2018-09-15 (Released:2018-10-20)

日本水産学会誌80(6), 956-964 (2014)「シメサバ調味液から分離されたヒスタミン生成乳酸菌の分類と増殖特性」 浜谷祐司,舊谷亜由美,福井洋平,矢野 豊,武輪俊彦,里見正隆 https://doi.org/10.2331/suisan.80.956 上記報文について,不適切な研究結果の図を使用し,科学的な事実を正確に記載しなかったことを理由とした著者からの撤回の希望を受け,投稿規程第9条に基づき本論文の掲載を取り下げる。
著者
島崎 千江子 蘆田 秀昭 福井 就 酒井 健 SHIMAZAKI Chieko ASHIDA Hideaki FUKUI Shu SAKAI Takeshi
出版者
大手前短期大学
雑誌
大手前短期大学研究集録 = Otemae Junior College Research Bulletin (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.001-025, 2018-07-31

大手前短期大学生の生活状況に関するアンケート調査を行い、充実した学生生活を過ごすための課題を探った。その結果、大多数の学生は学生生活には充実・満足していた。その理由は、「自由に過ごせる」、「興味のある授業」を挙げていた。一方、授業以外に「友人との交流」に時間をかける反面、予習・復習、読書に充てる時間は少ないことが明らかとなった。また、自宅から通っている学生と、睡眠時間は就寝時間に関わらず6時間未満の学生が各々で約8割を占め、生活費は約6割で保護者が負担し、4割がアルバイトで賄っており、現在アルバイトをしている学生は約7割であった。生活面では、1日3食を摂り、昼食は弁当持参で夕食は自炊を含めて自宅で摂る学生が多いものの、3割の学生が孤食であることも判明した。悩みや不安に関する項目では「進路や就職のこと」「対人・恋愛関係」と「心身の健康」を挙げた。就職に関しては転職しても自分に合った仕事がしたいと考えている学生が約5割いることがわかった。他の項目についても、「私立大学学生生活白書2015」(以下、白書という)、「学生生活に関する調査報告書」(以下、報告書という)、「2014年大学生の意識調査概要報告」(以下、概要報告という)での学生の動向と同じような結果となった。しかし少数ではあるが学生指導上気になる特徴を持っている学生もみられた。そのことが充実した学生生活を過ごす上でどのような影響があるかについては、今後、継続した調査が必要である。
著者
飯塚 潤一 福井 恵
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.108, 2018

障害者差別解消法が2016年4月に施行され,同法律の条文の一部『過重な負担』『合理的配慮』が大きく取り上げられ,責任と不安が交錯する中,大学附属図書館もその対応が順守義務として求められている。本稿では,まず同法律の概要を紹介する。続いて,図書館利用において,障害学生・教職員が感じる障壁を解消するには,どのように考え,具体的にどう対応すればよいのかを考えてみたい。特に情報の入手が困難な視覚障害者を中心に,支援機器の活用,司書の方による支援など,できるところからその方策を提案する。
著者
高須 一 福井 一 森下 修次
出版者
日本音楽教育学会
雑誌
音楽教育学 (ISSN:02896907)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.89-94, 2013 (Released:2017-03-31)
参考文献数
3
被引用文献数
3
著者
川上 満幸 福井 英俊 松本 修一 大久保 堯夫
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.117-123, 2000-02-01 (Released:2011-07-19)
参考文献数
15
被引用文献数
3 3

Today we live in a highly technological and car-oriented society. Car access has achieved noticeable developments and grown on a worldwide level. Along with the social benefits of the automobile, it is a widely known fact that major accidents and loss of life are occurring at increasing rates in almost every society today.This paper describes the effect of using a mobile phone on a driver's reaction time was evaluated experimentally by measuring the movement of the driver's eye-fixation point and his reaction time when a stimulus light was shines on his face from inside or outside the car.The results showed that using a mobile phone while driving (1) reduces the movement of the eye-fixation point to both the right and to the left, thus narrowing the range of the fixation point, and (2) delayed the reaction time by about 0.2 seconds. It also proposed the desirable position of setting up a visual display.
著者
吉川 達也 塚本 弘毅 蓬来 祐一郎 福井 一彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. MPS, 数理モデル化と問題解決研究報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.17, pp.185-188, 2008-03-04
参考文献数
14

タンパク質とは,生命活動を支える重要な物質の一つである.これらタンパク質固有の機能は,他のタンパク質との相互作用(PPI:Protein-Protein Interaction)によって発現することが解っている.このPPIに関する研究は,生命現象の解明はもとより,最近では医薬品開発の分野でも柱目されている.我々が提案したタンパク質間の親和性予測法は,データセットの構成や規模,親和性スコアの計算に重要なクラスタリング処理によって,結果精度が異なることが予備実験などから解っている.特に,データセットが大規模となる場合に,クラスタリングパラメータ値の予測精度に与える影響が無視できなくなる傾向がある.本研究では,全7056個中に84個の生物学的有意性を持ったタンパク質ペア(BSPPs: Biological Significant Protcin Pails)を含むデータセットを用いて,prevalence=1.19%の高難易度なBSPPs予測問題を設定した.また,親和性スコアの定義から予測精度に影響を及ぼすと考えられる4つのパラメータを抽出し,計144個のパラメータセットを作成した.評価実験から,F-measure最大となるパラメータセットにおいて,F-measure最大となるパラメータセットにおいて,sensitivity(=recall)=27.4%, specificity=91.0%, precision=3.53%, accuracy=90.2%, F-measure=6.25%の結果を得た.これはBSPPsを無作為抽出した場合(F-measure=2.32%)と比較して,約2,69倍の予測精度を獲得しており,タンパク質間親和性予測法の精度向上におけるパラメータ最適化の有効性を示している.
著者
増田 圭祐 松井 孝典 福井 大 福井 健一 町村 尚
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.19-33, 2017 (Released:2017-07-11)
参考文献数
55

群馬県みなかみ町にて捕獲した3科7属11種のコウモリ類(アブラコウモリPipistrellus abramus,ユビナガコウモリMiniopterus fuliginosus,ヒメホオヒゲコウモリMyotis ikonnikovi,カグヤコウモリMyotis frater,モモジロコウモリMyotis macrodactylus,テングコウモリMurina hilgendorfi,コテングコウモリMurina ussuriensis,キクガシラコウモリRhinolophus ferrumequinum,コキクガシラコウモリRhinolophus cornutus,ヒナコウモリVespertilio sinensis,ニホンウサギコウモリPlecotus sacrimontis)のエコーロケーションコールから,コウモリ類専用の音声解析ソフトウェアSonoBat 3.1.6pを用いて,コールの開始・終了時の周波数や持続時間をはじめとする75種類の特徴量を自動抽出し,Random ForestおよびSupport Vector Machineの2種類の機械学習法を階層的に組合せた識別器を構築し,種判別を試みた.その結果,6,348のコールに対して10×10分割の入れ子交差検証で評価したところ,属レベルで96.3%(SD 0.06),種レベルで94.0%(SD 0.06)の正答率で判別ができた.また,大阪府吹田市北部の屋外で収録したエコーロケーションコールに対して,構築した識別器を適用してコウモリ類の種を推定し,活動の分布を地図化するプロセスを開発した.これらの結果をもとに,考察ではデータの追加に伴い識別器の精度が向上する可能性があることと種内変異が識別精度に大きな影響を与えることを議論した.フィールドへの適用では,識別器でコウモリ類の空間利用特性を把握し,地理情報と連携させることの有用性を議論した.最後に,エコーロケーションコールに対して機械学習法を用いた種判別と音声モニタリングをする際の今後の課題について述べた.