著者
米田 穣
出版者
一般社団法人 日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.114, no.1, pp.5-15, 2006 (Released:2006-06-23)
参考文献数
108
被引用文献数
2 2

古人骨の化学分析に基づいた食性復元は1970年代から盛んになり,今日では数多くの応用研究が行われている。しかし,その方法論には,いくつかの解決せねばならない問題がある。例えば,生体内におけるコラーゲンの同位体比の変動や,生態系全体に影響を及ぼす植物の炭素・窒素同位体比の変動などである。また,コラーゲンやアパタイトの同位体比における続成作用についても検討が必要だ。これらの問題を中心に最近の研究を紹介し,古人骨の化学分析に基づく先史人類学の現状と展望を議論する。
著者
溝口 優司 中橋 孝博 安達 登 近藤 恵 米田 穣 松浦 秀治 馬場 悠男 篠田 謙一 諏訪 元 馬場 悠男 篠田 謙一 海部 陽介 河野 礼子 諏訪 元
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2005

旧石器時代から縄文~弥生移行期まで、日本列島住民の身体的特徴がいかに変化したか、という問題を形態とDNAデータに基づいて再検討し、日本人形成過程の新シナリオを構築しようと試みた。結果、北海道縄文時代人の北東アジア由来の可能性や、縄文時代人の祖先探索には広くオーストラリアまでも調査すべきこと、また、港川人と縄文時代人の系譜的連続性見直しの必要性などが指摘された。シナリオ再構築への新たな1歩である。
著者
佐藤 孝雄 澤田 純明 澤浦 亮平 米田 穣 河村 愛 鈴木 敏彦 増田 隆一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

縄文時代晩期まで日本列島に棲息していたとみられるオオヤマネコについて多角的かつ領域横断的な調査・研究を行う。動物考古学、古生物学、生物系統地理学、考古科学の手法を駆使し、申請者の管理下にある青森県尻労安部洞窟、岩手県獺沢貝塚、愛媛県上黒岩岩陰遺跡の出土遺体などを精査。放射性炭素年代も測定しつつ、古代DNA(aDNA)解析や炭素・窒素安定同位体分析も試みることで、同種の系統や生態を明らかにするとともに、その絶滅要因についても知見を深める。
著者
日下 宗一郎 佐宗 亜衣子 米田 穣
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.123, no.1, pp.31-40, 2015 (Released:2015-06-20)
参考文献数
43
被引用文献数
1 2

本研究は,國府遺跡と伊川津遺跡から出土した縄文時代人骨の放射性炭素年代測定と炭素・窒素安定同位体比による食性解析を行った。國府人骨は,土器などの副葬品や抜歯風習などから,縄文時代前期と晩期の二つの時期に,伊川津人骨は晩期に帰属すると考えられてきた。この従来の年代推定を検証するとともに,食性の時代による変化や,抜歯型式に対応した食性の差違を調べることを目的とした。國府人骨は28個体について分析を行い,伊川津人骨は6個体について分析を行った。年代測定の結果,國府人骨は,5440–5990 cal BP, 4410–4520 cal BP, 2960–3070 cal BPの年代を示した。伊川津人骨は,2440–3070 cal BPの年代を示した。國府人骨の年代は,従来の前期と晩期という二つの時期の分類に加えて,一部中期の個体を含んでいる可能性を検出した。また,國府集団の食性は,陸上・淡水資源の摂取を特徴とし,晩期において淡水魚摂取の割合が下がっていた。伊川津集団の食性は,海産・陸上資源の摂取を特徴とし,晩期の國府集団よりも海産資源をより多く摂取していた。晩期においては,同位体比と抜歯型式の間に明確な関係は見られなかった。このように,人骨資料の年代を確かにすることは基礎的な情報として重要であり,一遺跡内でも食性の時期間変化の検討が可能となる。
著者
馬場 悠男 松井 章 篠田 謙一 坂上 和弘 米田 穣 金原 正明 茂原 信生 中山 光子
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

上野寛永寺御裏方墓所から発掘された徳川将軍親族遺体のうち保存の良い15体の人骨について、修復・保存処理を施し、形態観察・写真撮影・CT撮影・計測を行って、デジタルデータとして記録保存した(馬場・坂上・河野)。さらに、遺骨の形態比較分析(馬場・坂上・茂原・中山)、ミトコンドリアDNAハプロタイプ分析(篠田)、安定同位体による食性分析および重金属分析(米田他)、寄生虫卵および花粉分析(松井・金原他)を行い、親族遺体の身体的特徴と特殊な生活形態を明らかにした。
著者
佐藤 孝雄 巌谷 勝正 長瀬 忍 森 茂樹 能城 修一 吉永 淳 米田 穣
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.127, no.1, pp.15-23, 2019

<p>東京都目黒区祐天寺に所在する阿弥陀堂は,五代将軍徳川綱吉・八代将軍徳川吉宗の養女であった竹姫が,1724(享保九)年,厄除けの為に造営・寄進した堂宇と伝えられる。寺録にはその由来と合わせ,寄進時,施主竹姫の御髪を収めた石箱が須弥壇の下に埋設されたことも記されている。2014年,改修工事のため阿弥陀堂が一時移設されたところ,寺録に記されている通り,須弥壇の真下に当たる位置に基壇に埋設された石箱が現れ,その内部から頭髪と板材片,白色の粉塊,懐中鏡ほか若干の遺物を発見するに至った。小稿では,それらの観察所見・分析結果を報告し,将軍家養女の中でもひときわ著名な竹姫の食性と厄除け行為について推測し得た事柄を記す。</p>
著者
染田 英利 石田 肇 米田 穣 橋本 正次 佐藤 泰則 小林 靖
出版者
防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ヒト硬組織中に含まれる炭素、酸素及びストロンチウムの各安定同位体比は、遺骨の身元確認の前段階におけるスクリーニング法として有効な情報を提供できる。本研究では、戦没者遺骨鑑定への適応を想定しパプアニューギニア人と日本人の歯牙エナメル質中の炭素、酸素及びストロンチウム同位体比を計測し、先行研究である米国人データを参照し、判別分析による統計学的検討をおこなった。これらの3群から米国人の分別は高精度に可能であった。パプアニューギニア人と日本人については一部地域では正確な分別が可能であった。安定同位体比分析は、ニューギニア戦線におけるこれら3群の遺骨を分別する方法として有効となる可能性が示された。
著者
石田 肇 百々 幸雄 天野 哲也 埴原 恒彦 松村 博文 増田 隆一 米田 穣
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

オホーツク文化人骨の形態解析とDNA分析の結果、北東アジア、とくにアムール川流域を起源としていること、mtDNAのハプログループYは、アムール川下流域集団の祖先からオホーツク文化人を経由してアイヌへともたらされたことが示唆された。また、食生活では栄養段階の高い大型魚類や海生ほ乳類を主要なタンパク質として多く利用していたことが示された。変形性関節症の頻度分布からも、生業との関連性が示唆された。アイヌ民族のイオマンテ型儀礼は続縄文文化・オホーツク文化にまでさかのぼる可能性が大きいことを示した。
著者
海部 陽介 篠田 謙一 河野 礼子 米田 穣 後藤 明 小野 林太郎 野林 厚志 菅 浩伸 久保田 好美 國府方 吾郎 井原 泰雄
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、旧石器時代の琉球列島に現れた人々がどのように海を渡ってきたかについて、その理論的枠組みを定めるため、文理問わず多彩な分野の研究者が情報を共有して、総合的モデルをつくることを目指した。彼らは草・竹・木のいずれかを素材とした漕ぎ舟に乗り、男女を含む少なくとも10人程度の集団で、黒潮の流れる海を、漂流ではなく意図的に航海してきたと考えられる。このモデルを、現在進行中で連動して行なっている実験航海に反映して、当時の航海を再現してみれば、そのチャレンジがどれだけ困難なものであったのかが見えてくるであろう。
著者
中橋 孝博 分部 哲秋 北川 賀一 篠田 謙一 米田 穣 土肥 直美 竹中 正巳 甲元 眞行 宮本 一夫 小畑 弘己
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

In order to elucidate the homeland of immigrant Yayoi people and Jomon people, we performed morphological, mtDNA, and stable isotope analysis on ancient human skeletal remains of China, Russia, Mongolia, Okinawa and Taiwan, where people' s exchange with the Japanese archipelago in prehistoric age have been assumed. As a result, we obtained a lot of new, useful data regarding the ancients people in these area. And, in Ishigaki Island, we determined the age of human fossil(about 20, 000 years ago) and have contributed to the discovery of the first Pleistocene human fossil in this area.
著者
上條 信彦 宇田津 徹朗 高瀬 克範 田中 克典 田崎 博之 米田 穣 石川 隆二
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

東日本を中心とする遺跡出土イネ種子の形態・DNA分析、炭素窒素安定同位体比分析を通じて品種の歴史的展開の時期や内容を明らかにした。また、稲作の導入期にあたる岩木山麓の弥生時代前半期の遺跡発掘調査を実施した。その結果、東北で最古の水田跡が見つかっている砂沢遺跡において微細土壌分析による水田の形成過程および集落の南限が明らかになった。また清水森西遺跡において弥生時代前期の砂沢遺跡と中期中葉の垂柳遺跡の間の時期にあたる稲作集落が検出された。電子顕微鏡・X線CT観察による土器のイネ種子圧痕を検出した。以上よりこれまで不明瞭だった前期から中期の大規模水稲農耕への変遷モデルを作成可能となった。
著者
石田 肇 下田 靖 米田 穣 内藤 裕一 長岡 朋人
出版者
北海道大学総合博物館
雑誌
北海道大学総合博物館研究報告 (ISSN:1348169X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.109-115, 2013-03

The Okhotsk culture spread from southern Sakhalin Island to northeastern Hokkaido Island and the Kurile Islands from the 5th to the 12th centuries AD. The Okhotsk culture developed a considerable maritime infrastructure which was different from that of the native population in Hokkaido. The demographic structure of prehistoric hunter-gatherers contributes to our understanding of life history patterns of past human populations. Age-at-death distribution was estimated using the Buckberry-Chamberlain system of auricular surface aging and the Bayesian approach to discuss whether paleodemographic estimates can yield an appropriate mortality profile of the prehistoric hunter-gatherers in Japan. The age distributions of the Okhotsk revealed low proportions of young adults and high proportions of elderly adults. The results indicated 24.4-51.3% for the proportion of individuals above the age of 55 years. The newly-employed technique of the Bayesian estimation yielded age distributions with significant numbers of elderly individuals, which are contrary to usual paleodemographic estimates. Apical periodontitis, accompanied by considerable wear, was frequently seen in the upper first molars of the Okhotsk people. The bone cavities around the root of the upper first molars were probably caused by chronic apical periodontitis and radicular cyst. The bone cavity was clearly surrounded by sclerotic bone tissue diagnosed as condensing osteitis. Excessive amounts of secondary cementum were deposited on the root surface as a result of radicular granuloma. Pulp exposure through extreme wear very likely resulted in bacterial infection of dental pulp and periapical tissue. Degenerative changes in people of the Okhotsk culture were investigated using adult human skeletons and reconstructing their lifestyle. Findings were compared with materials obtained from skeletons from the medieval Kamakura period and skeletons of early-modern peasants on the Ryukyu Islands, Japan. Severe osteophytes on the lumbar vertebrae were more frequently seen in the Okhotsk males. Degenerative changes of the articular process were also most frequently seen in the lumbar vertebrae of the Okhotsk skeletons. This is a significant contrasted from the high frequency of degenerative changes in the cervical apophyseal joint among Ryukyu peasants. The high prevalence of elbow and knee joint changes in the Okhotsk skeletons was a strong contrast to the high frequency of hip joint changes seen in materials from Kamakura and changes in shoulder and hip joints common in materials from Ryukyu. Because the Okhotsk culture developed a considerable maritime infrastructure, the lifestyle required for sea-mammal hunting and fishing seems to have particularly affected the incidences of severe degenerative changes in the lumbar vertebrae, elbow, and knee. Isotopic signatures in bulk collagen and some amino acids inform of significant differences in the subsistence of each group. Reconstructed diets are taken into consideration to correct the marine reservoir effects on radiocarbon dates for human remains.
著者
諸見里 恵一 譜久嶺 忠彦 土肥 直美 埴原 恒彦 西銘 章 米田 穣 石田 肇
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.115, no.1, pp.25-36, 2007
被引用文献数
5 8

17世紀から19世紀の農耕民であると考えられる,久米島近世人骨(男性56個体,女性45個体)の変形性脊椎関節症の評価を行った。変形性脊椎関節症の頻度は,男女ともに腰椎が最も高く,女性においては重度化を認めた。次に変形性脊椎関節症を認めた部位として,女性は頚椎で,男性は胸椎下部と,男女間で異なった傾向を示した。変形性脊椎関節症の部位別頻度では,椎体前縁部が後縁部に比べ顕著に高く,男性の胸腰椎では右側縁部が左側縁部より高い傾向を示した。関節突起に関しては頚椎が最も頻度が高く,胸腰椎では低い傾向を示した。また,男性は頚椎,胸椎上部の一部に,女性では第11および第12胸椎で頻度が高く性差を認めた。主成分分析の結果でも,頚椎および腰椎の変形性関節症の頻度が高く,腰椎では椎体前縁部と左右縁部に,頚椎では椎体後方と椎間関節に関節症の頻度が高い傾向を確認した。久米島近世人骨の女性は,頚椎の椎体後方に変形性関節症の頻度が男性と比較して高いことから,民俗学者らによって示唆されている,頭上運搬による体幹直立位での荷重の影響を受けたと思われる。<br>
著者
竹中 正巳 土肥 直美 中橋 孝博 中野 恭子 篠田 謙一 米田 穣 高宮 広土 中村 直子 新里 貴之
出版者
鹿児島女子短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

種子島における縄文時代人骨の資料数を増加させる目的で、鹿児島県熊毛郡南種子町一陣長崎鼻遺跡の発掘調査を行った。今回の発掘で新たな縄文時代人骨は発見されたが、頭蓋の小破片のみであり、保存良好な古人骨資料は得られなかった。種子島の弥生~古墳時代相当期の人々の短頭・低顔・低身長という特徴、中世人の長頭・低顔・高身長という特徴、近世人の長頭・高顔・高身長という特徴を明らかにできた。身体形質が、種子島においても時代を経るごとに小進化している。特に中世の日本列島各地で起こる長頭化は種子島でも起こっている。また、種子島における形質変化の大きな画期は、弥生~古墳時代相当期と中世との間の時期に認められる。これは、南九州以北の地よりの移住者による遺伝的影響に寄るところが大きいのではないかと思われる。広田遺跡から出土した人骨2体からミトコンドリアDNAを抽出され、これら2体は母系でつながる血縁関係は持たないこと、ハプログループはD4に属すると考えられ、現代日本人にもそれほど珍しくない頻度で出現するタイプであることが明らかにされたまた、広田人骨からコラーゲンを抽出し、炭素・窒素安定同位体比から食生活を検討し、広田人は海産物を含む3種類以上のタンパク質資源を利用していたことが明らかにされた。
著者
高井 正成 西村 剛 米田 穣 鈴木 淳 江木 直子 近藤 信太郎 内藤 宗孝 名取 真人 姉崎 智子 三枝 春生
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

ミャンマー中新世末~前期更新世の地層から、複数のオナガザル科化石を発見し、さらに共産する動物相の解析を進めてミャンマーの新生代後半の哺乳動物相の変遷を明らかにした。また東ユーラシア各地(中国南部の広西壮族自治区、台湾南部の左鎮、シベリア南部のトランスバイカル地域、中央アジアのタジキスタンなど)の新生代後半の地層から見つかっていた霊長類化石の再検討を行い、その系統的位置に関する議論を行った。
著者
石田 肇 下田 靖 米田 穣 内藤 裕一 長岡 朋人
出版者
北海道大学総合博物館
雑誌
北海道大学総合博物館研究報告 (ISSN:1348169X)
巻号頁・発行日
no.6, pp.109-115, 2013-03

The Okhotsk culture spread from southern Sakhalin Island to northeastern Hokkaido Island and the Kurile Islands from the 5th to the 12th centuries AD. The Okhotsk culture developed a considerable maritime infrastructure which was different from that of the native population in Hokkaido. The demographic structure of prehistoric hunter-gatherers contributes to our understanding of life history patterns of past human populations. Age-at-death distribution was estimated using the Buckberry-Chamberlain system of auricular surface aging and the Bayesian approach to discuss whether paleodemographic estimates can yield an appropriate mortality profile of the prehistoric hunter-gatherers in Japan. The age distributions of the Okhotsk revealed low proportions of young adults and high proportions of elderly adults. The results indicated 24.4-51.3% for the proportion of individuals above the age of 55 years. The newly-employed technique of the Bayesian estimation yielded age distributions with significant numbers of elderly individuals, which are contrary to usual paleodemographic estimates. Apical periodontitis, accompanied by considerable wear, was frequently seen in the upper first molars of the Okhotsk people. The bone cavities around the root of the upper first molars were probably caused by chronic apical periodontitis and radicular cyst. The bone cavity was clearly surrounded by sclerotic bone tissue diagnosed as condensing osteitis. Excessive amounts of secondary cementum were deposited on the root surface as a result of radicular granuloma. Pulp exposure through extreme wear very likely resulted in bacterial infection of dental pulp and periapical tissue. Degenerative changes in people of the Okhotsk culture were investigated using adult human skeletons and reconstructing their lifestyle. Findings were compared with materials obtained from skeletons from the medieval Kamakura period and skeletons of early-modern peasants on the Ryukyu Islands, Japan. Severe osteophytes on the lumbar vertebrae were more frequently seen in the Okhotsk males. Degenerative changes of the articular process were also most frequently seen in the lumbar vertebrae of the Okhotsk skeletons. This is a significant contrasted from the high frequency of degenerative changes in the cervical apophyseal joint among Ryukyu peasants. The high prevalence of elbow and knee joint changes in the Okhotsk skeletons was a strong contrast to the high frequency of hip joint changes seen in materials from Kamakura and changes in shoulder and hip joints common in materials from Ryukyu. Because the Okhotsk culture developed a considerable maritime infrastructure, the lifestyle required for sea-mammal hunting and fishing seems to have particularly affected the incidences of severe degenerative changes in the lumbar vertebrae, elbow, and knee. Isotopic signatures in bulk collagen and some amino acids inform of significant differences in the subsistence of each group. Reconstructed diets are taken into consideration to correct the marine reservoir effects on radiocarbon dates for human remains.
著者
本郷 一美 石黒 直隆 鵜沢 和宏 遠藤 秀紀 姉崎 智子 茂原 信生 米田 穣 覚張 隆史 高橋 遼平 朱 有田 VU The Long
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本への家畜ブタ導入を判定する基礎資料として、現生および遺跡出土のイノシシ属の計測データを蓄積し、日本列島の南北におけるイノシシのサイズ変異の程度を明らかにした。また、東南アジア、琉球列島産の在来種ブタとイノシシおよび遺跡出土のイノシシ属のmtDNA分析を行った。日本在来馬の体格の変遷を探り、大陸のウマと比較するため、現生および中部~東北地方の古代、中世および近世の遺跡から出土したウマ骨格の計測データを収集した。
著者
植田 信太郎 黒崎 久仁彦 太田 博樹 米田 穣
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2006

2500年前から2000年前にかけて古代中国の人類集団の遺伝的構成が大きく変化したことを示した我々の先の研究成果を発展させるため、黄河中流(中原)の3000年前ならびに3500年前の遺跡から出土した古人骨のDNA分析をおこなった。その結果、(1) 3500年前から3000年前にかけても変化が起きていたこと、(2) 3500年前と現在の人類集団の遺伝的多様性には違いがみられないこと、が明らかになった。
著者
堀内 一穂 柴田 康行 米田 穣 大山 幹成 松崎 浩之 箕浦 幸治
出版者
弘前大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

年縞堆積物中のベリリウム10を分析し, 同一の堆積物から得られた既存の炭素14記録や, 本研究にて新たに分析されたアイスコアのベリリウム10記録と比較することで, 最終退氷期の太陽活動変動曲線を抽出することに成功した.その結果, 太陽活動は退氷期の古気候変動を支配するものではないが, 気候変動イベントのトリガーには成り得ることが分かった.また, 古木から単年分解能で効率的に炭素14 を分析する手法や, 年縞堆積物から単年分解能でベリリウム10を分析する手法が確立された
著者
長岡 朋人 安部 みき子 蔦谷 匠 川久保 善智 坂上 和弘 森田 航 米田 穣 宅間 仁美 八尋 亮介 平田 和明 稲原 昭嘉
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.121, no.1, pp.31-48, 2013 (Released:2013-06-21)
参考文献数
57
被引用文献数
3 4

本研究では,兵庫県明石市雲晴寺墓地から出土した明石藩家老親族の人骨1体(ST61)について,形態学,古病理学,同位体食性分析の視点から研究を行った。板碑から人骨は明石藩の家老親族であり,1732年に77歳で亡くなった女性である。本研究の結果,(1)骨から推定された性別は女性で,死亡年齢は50歳以上で,墓誌の記録を裏付けるものであった。(2)頭蓋形態を調べたところ,脳頭蓋最大長が大きく,バジオン・ブレグマ高が小さく,頭蓋長幅示数は75.3で長頭に近い中頭,また上顔部が細長いものの顔面全体が大きく,いずれの特徴も徳川将軍親族,江戸庶民,近代人とは異なっていた。(3)炭素・窒素安定同位体分析の結果,ST61の主要なタンパク質摂取源は,淡水魚,または,陸上食物と海産物の組み合わせと推定された。当時の上流階級の人骨のデータの積み重ねは今後の江戸時代人骨の研究に不可欠であるため,今回一例ではあるが基礎データの報告を行った。