著者
池田 登顕 井上 俊之 菊谷 武 呉屋 朝幸 田中 良典 呉屋 弘美 佐野 広美 庄司 幸江 須藤 紀子 長島 文夫 藤澤 節子 佐藤 博之
出版者
特定非営利活動法人 日本医療マネジメント学会
雑誌
日本医療マネジメント学会雑誌 (ISSN:18812503)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.185-189, 2016-03-01 (Released:2021-12-10)
参考文献数
17

在宅医療・緩和ケアカンファレンス(以下、本会という)は、北多摩南部医療圏にて多職種連携推進研修を開催してきた。今回、阿部らが開発した「医療介護福祉の地域連携尺度」を一部本地域に合わせて改変したものを用いて、本会の取組みを客観的に評価した結果、有用な知見が得られたので報告する。 調査は、75名を対象とし多職種が集まる本会以外の研修会への参加頻度も含め、過去3年間で、「本会の研修会参加6回以上」、「本会以外の研修会も含めて6回以上参加」、「多職種連携の研修会参加6回未満」の3群に分け、連携尺度スコアをKruskal-Wallis検定にて検証した。post-hoc testとしては、Scheffe法を用いた。 最終的に、15%以上の欠損値が存在した1名を除外した、74名の回答を分析した。過去3年間において、「本会の研修会参加6回以上」、「本会以外の研修会も含めて6回以上参加」、「多職種連携の研修会参加6回未満」の3群間における連携尺度スコアのKruskal-Wallis検定の結果、有意差がみられた。また、多重比較の結果「本会の研修会参加6回以上」群の連携尺度スコアは、「本会以外の研修会も含めて6回以上参加」群および「多職種連携の研修会参加6回未満」群と比較して有意に高かった(P<0.001)。 地域での多職種連携推進には、その地域で開催されている研修会へ年2回以上の参加が推奨されると考えた。
著者
松木 武彦 藤澤 敦 渡部 森哉 比嘉 夏子 橋本 達也 佐々木 憲一 寺前 直人 市川 彰
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2019-06-28

2020~2021年度は、集成したデータ群を配列し、事象の出現の順番と因果関係を見据えつつ戦争の出現・発展・低減・消滅のプロセスを地域ごとに提示し、「戦争プロセスモデル」を作成する。2022年度は、このモデルにモニュメント築造(A01班)や技術革新・芸術表現(A02班)などの事象を織り込み、戦争プロセスの認知的側面を明示する。2022年度後半~2023年度前半には、B03 身体班と協業し戦争プロセスの身体的側面を解明する。2023年度後半は、C01モデル班との共同作業によって、集団の複合化と戦争という事象が、ヒトの認知と身体を媒介として文明創出に寄与するメカニズムを提示する。
著者
玉置 勝司 石垣 尚一 小川 匠 尾口 仁志 加藤 隆史 菅沼 岳史 島田 淳 貞森 紳丞 築山 能大 西川 洋二 鱒見 進一 山口 泰彦 會田 英紀 小野 高裕 近藤 尚知 塚崎 弘明 笛木 賢治 藤澤 政紀 松香 芳三 馬場 一美 古谷野 潔
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.369-386, 2013 (Released:2013-11-14)
参考文献数
22
被引用文献数
4 3

難症例の1つに咬み合わせ異常感や違和感があり,その訴えに対応する客観的所見が確認できない症例に遭遇することがある.通常,咬合紙,ワックス,シリコーンなどを用いて確認はするものの,咬合接触状態に特に異常は見つからない.さらに,患者の咬合に関する執拗な訴えに対して歯科医師が患者に問題の部位を確認してもらい,患者の指示により咬合調整を行ってしまうといった患者の感覚主導型治療に陥ってしまうことがある.その結果,患者の訴えは改善しないばかりか,逆に悪化することもさえもある.そして,患者と歯科医師の信頼関係が壊れ,思わぬ方向に陥ってしまうことも珍しくない. このような患者が訴える咬合に関する違和感に対して,社団法人日本補綴歯科学会,診療ガイドライン委員会において,平成23年度「咬合感覚異常(症)」に関する診療ガイドラインの策定が検討された.診療ガイドラインの策定に際し,委員会の作成パネルによるガイドライン策定を試みたが,咬合感覚異常(症)に関する十分に質の高い論文は少なく,診療ガイドラインの作成には至らなかった.そこで,本委員会のパネルで協議した結果,「咬合感覚異常(症)」に対する日本補綴歯科学会としてのコンセンサス・ミーティングを開催して本疾患の適切な呼称の検討を行った.また事前のアンケート調査結果から,このような病態を「咬合違和感症候群(occlusal discomfort syndrome)」とした. 今回のポジションペーパーは,今後の診療ガイドラインの作成とそれに対する研究活動の方向性を示す目的で,過去の文献と咬合違和感症候群患者のこれまでの歯科治療の経過や現在の状況について実施した多施設による患者の調査結果をもとに作成された.
著者
安藤 寿康 戸田 達史 河合 泰代 藤澤 啓子 大野 裕 平石 界
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009

本研究は児童期と青年・成人期の2つの双生児コホートによる縦断調査により、社会性とメンタルヘルスの形成・変化の過程におよぼす遺伝と環境の影響の解明を目指した。認知能力の発達や問題行動の発現、メンタルヘルスの変化に遺伝要因のそのものの発現の変化、ならびに遺伝と成育環境や文化環境との間のさまざまな交互作用が関わっていることが見いだされた。また認知機能の個人差に関わる遺伝子とその発現、さらには脳の構造と機能との関係を明らかにするための研究基盤が確立された
著者
藤澤 高志 大西 直毅
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.345-353, 2017-05-05 (Released:2018-05-05)
参考文献数
21

量子力学の黎明期1922年になされたStern-Gerlach実験は,多くの量子力学の教科書に取り上げられている.右図のように,不均一な磁場に銀の分子線(原子線)を通すと,磁気能率が磁場の強さの勾配に比例する力を受け軌道が曲げられ,ビームが2本に分かれる.このことは,磁気能率がとびとびの値になることを示しており,古典論と量子論の成否に決着をつけるものであった.また,同時に,二価の内部自由度をもつ電子スピンの明確な実験的証拠でもあった.この実験のように不均一磁場で原子・分子線の軌道を制御する手法は,その後シュテルンらの手により発展し多方面で使われている.その成果のひとつは,シュテルンとラビによって進められた陽子,重陽子および種々の原子核の磁気能率の測定である.陽子の磁気能率は核磁子の予想値より大きく,陽子が複合粒子であることが明らかになった.本稿の前半ではStern-Gerlach実験の経緯も含め当時の様子を紹介する.Stern-Gerlach実験当初アインシュタインはその結果を見て,原子が磁場に入る前に磁場に平行か反平行かに偏極していると考えてボルンにその困難について手紙をしたためている.結局,それは数年後に成立した量子力学の助けを借りてはじめて理解できることであり,確率解釈など量子力学に潜む不思議に光を当てたボルンによる断熱理論の援用が必要となる.この断熱理論・断熱変化が本稿後半のテーマである.読者諸氏のなかには,量子力学の教科書で,Stern-Gerlach実験の磁石を2つ組み合わせた重ね合わせの原理に関する思考実験について学んだ方がいるだろう.z軸に沿って飛ぶスピン1/ 2の粒子線を第1の磁石でx方向に分離すると,半々に分かれ,さらに第2の磁石でy方向に分離するとそれぞれが半々に分かれる,というものである.ところが,断熱変化の観点からこの思考実験を再検討すると,必ずしも教科書の説明通りにはならない.実際には,両磁石から漏れる磁場の重なりで磁場の方向がなめらかに回転するのにあわせてスピンも断熱的に回転するからである.この現象を応用した実験技術の代表的なものに原子線型陽子偏極イオン源装置がある.まず6極磁石で水素原子の電子スピンが磁場方向に揃った状態を選択し,これを2極磁石の磁場中に導いて,高周波で核スピンを反転させ,陽子偏極を作り出す.ここでは両磁石の漏れ磁場の重なりが引き起こす断熱回転が電子偏極の保持に決定的な役割を果たしている.著者(藤澤)が理化学研究所で陽子偏極イオン源を製作し旧東大原子核研究所のAVFサイクロトロンに設置したとき,SGEの原理を肌身で実感した.藤澤はこの技法をさらに発展させ,新しい分子線制御法を考案した.多くの2極磁石の磁極を交替に反転させてビーム方向に配置し,多極収束磁石により,酸素分子線を薄いシート状のビームに収束することに成功した.この多極磁石で生成したシートビームは放医研の医療用重イオンシンクロトロン(HIMAC)の非破壊型ビームプロファイルモニターのターゲットに活用された.
著者
藤澤 和謙 桃木 昌平 山本 清仁 小林 晃 青山 成康
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
応用力学論文集 (ISSN:13459139)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.385-394, 2006-08-25 (Released:2010-06-04)
参考文献数
8
被引用文献数
3 2

Studied herein is theoretical mechanism of the failure of an embankment caused by overflowing from a reservoir. An experiment has been conducted to observe the phenomenon, and the theory of the mechanism has been developed on the basis of the erosion and the stability of the slope subjected to the erosion. Shallow water equation considering the slope angle has been used to describe the erosion, and Mohr-Coulomb failure criterion has been applied to the stability analysis. The results allow the surface profile and the erosional speed to be determined as functions of imposed parameters. At the end of this paper, we have discussed the scope of application, and examined the theory by an additional experiment.
著者
高山 範理 藤澤 翠 荒牧 まりさ 森川 岳
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.565-570, 2012 (Released:2013-08-09)
参考文献数
25
被引用文献数
4 5

The purpose of this study was to clarify; 1) the psychological stress reduction effect (PSRE) that "sunshine filtering through foliage (SFTF)" brings visually, 2) the relation between the effect and the subjective appraisal (SA) of the forest environment otherwise the personality and other traits (PAOT), 3) the system of PAOT- SA- PSRE based on Lazarus’s acting stress model. We showed 2 images such as photos with and without SFTF in the forest as a simulation for 17 subjects, and examined the change in the psychological feelings (POMS; 3-times) by some indexes (PSRE and SA (SD Method; twice)) for each stimulation before and after the experiment in an artificial weather room. As a result, in comparison the presence of SFTF stimulation with the control, it was clarified that "Tension-Anxiety" and "Fatigue" significantly decreased with the control. In comparison the presence of SFTF stimulation with the other, "Vigor" was significantly higher than that of the absence of SFTF otherwise "Tension-Anxiety" was significantly lower. Furthermore, some evaluation indexes of the SA related to PARE received from the both of SFTF, and those evaluation indexes were affected by the respondents’ PAOT such as “Extraversion” and so on.
著者
松永 真由美 山田 慎吾 野上 和剛 星 みゆき 浜田 佳奈 貝沼 圭吾 長尾 みづほ 藤澤 隆夫
出版者
一般社団法人日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.203-210, 2022-08-20 (Released:2022-08-22)
参考文献数
6

【背景・目的】食物アレルギー児が安全な学校生活を送るためには学校生活管理指導表(以下,管理指導表)を用いた管理は必須である.しかし非専門医にとって必要な情報を過不足なく記載することはかならずしも容易ではない.そこで管理指導表の作成を支援するアプリ(以下,アプリ)を開発し,その診断性能を検証することとした.【方法】必要な問診項目が表示され,保護者がそれに回答することにより管理指導表の記載例が出力されるアプリを開発した.鶏卵,乳,小麦,ピーナッツのアレルギーのいずれかが原因食物の患者の問診票データをアプリに入力して出力された結果と当院アレルギー科医が記載した管理指導表を比較して,その一致度を検証した.【結果】94名の患者で解析を行い,一致率は食物アレルギー病型で100%,原因食物で90.4%であった.このアプリの運用により,非専門医でも容易かつ適切な管理指導表を作成することが期待できる.
著者
渡邊 浩之 魚住 信泰 川崎 三紀子 反町 千里 村田 英紀 高雄 泰行 上野 秀之 藤澤 和彦 笠原 成彦 浜 英永 井上 富夫 橋本 佳明
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.287-289, 2006 (Released:2009-01-19)
参考文献数
10
被引用文献数
2

症例は47歳,男性.5年前に血糖の軽度高値を指摘されたが放置していた.入院2週間前より口渇感が強くなり,1週間前には含糖清涼飲料水を約5,000 ml飲むようになっていた.食欲不良と倦怠感が増悪し,意識混濁状態が出現したため入院となった.血糖2,531 mg/dl, HbA1c 12.4%, 血清ナトリウム98 mEq/l, K 7.1 mEq/l, Cl 60 mEq/l, 血清クレアチニン1.56 mg/dl, 尿素窒素40.9 mg/dl, 尿ケトン体(-), 動脈血pH 7.349, HCO3-21.1 mmol/l, 血漿浸透圧407 mOsm/kgH2O(計算値346 mOsm/kgH2O)より高浸透圧性非ケトン状態と診断した.生理食塩水とインスリン静脈内投与により高血糖,低ナトリウム血症が是正され入院翌日には意識清明となった.本症例は著しい高血糖,低ナトリウム血症および浸透圧ギャップが認められた興味ある症例と考えられた.
著者
藤澤 逸平 金井 良太
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会第二種研究会資料 (ISSN:24365556)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.AGI-019, pp.03, 2021-11-26 (Released:2021-11-26)

本論文では、足し算を始めとする四則演算のような初等的算術が、汎用知能の実現に重要と考えられる外挿能力を測定するためのベンチマークとして有用であると議論する。足し算の理解とは、一桁同士の足し算のルールの記憶と適用、および繰り上がりルールの習得によって、任意の桁の足し算を実行できることであろう。足し算の代数的構造を明らかにするのに十分な少数のデータを訓練データとして用意し、多数桁の演算を要求するテストデータで精度を測定する。我々のベンチマークは、認識課題や強化学習で通常用いられるデータセットと比べて、データの生成、難易度調整や拡張、帰納バイアスの特定などにおいて利点がある。更に我々は、任意の桁に対して正しく計算できるシステムには、抽象化や既知の利用が要求されるのではないかと推察する。最後に、これらの洞察の下、外挿能力を持ったシステムの開発に関する今後の方向性を提案する。
著者
大塚 忠義 藤澤 陽介 佐藤 政洋
出版者
公益財団法人 損害保険事業総合研究所
雑誌
損害保険研究 (ISSN:02876337)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.33-56, 2016-02-25 (Released:2019-05-17)
参考文献数
8

現在、アクチュアリー科目を設けている大学・大学院は増加している。しかしながら、我が国のアクチュアリー専門職団体と大学の関係は限られた大学への教員の派遣にとどまっており、欧米では資格試験に際し大学になんらかのクレジットを与えていることと比較すると著しく希薄である。 一方、アクチュアリー志望者のアクチュアリー教育を行う機関に対する評価には大きな差はないものの、大学が最も高い。今後大学で教育を受けたアクチュアリー志望者は増加していき、大学がアクチュアリー教育に関する主要な教育機関になっていくと予想される。 アクチュアリー志望者が得られる教育機会は限られており、アクチュアリー職への就職を希望する学生にとって、大学でのアクチュアリー関連講座は重要である。また、大学での質の高い講座は、学生のアクチュアリー学への興味の喚起につながり、アクチュアリー志望者の増加に寄与する。 今後、若年人口が減少していくなかで、会計士など他の専門職と競合しながら、アクチュアリーの増加ひいてはアクチュアリー学の発展のために、大学における教育機会の拡大は必要条件といえる。
著者
藤澤 瑞樹 齋藤 豪 奥村 学
出版者
The Japanese Society for Artificial Intelligence
雑誌
人工知能学会論文誌 = Transactions of the Japanese Society for Artificial Intelligence : AI (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.483-492, 2004-11-01
参考文献数
9
被引用文献数
3

Previous commentary systems generate commentaries only from the viewpoint of a commentator. However there are various viewpoints for comments, and such different viewpoints invoke various comments. The amount of information about a situation may differ between the viewpoints, and the understandings of the situation may also differ between them. In this paper, we propose a method to generate commentaries automatically so that users can easily understand situations by taking into account the different understandings of the situations between viewpoints. Our method is composed of two parts. The first is generation of comment candidates about the current situation, unexpected actions, intentions of players by using a game tree. The second is comment selection which chooses comments related to the prior one so that listeners can compare the situations from different viewpoints. Based on our approach, we implemented an experimental system that generates commentaries on mahjong games. We discuss the output of the system.
著者
岩本 理恵 北條 敬之 渋谷 真希子 木村 幸文 亀倉 更人 藤澤 俊明
出版者
北海道歯学会
雑誌
北海道歯学雑誌 (ISSN:09147063)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.114-119, 2014-03

最近5年間(2007~2011年)に局所麻酔薬アレルギーを懸念して当科を受診した患者を対象に,受診のきっかけとなったエピソード・考えられる原因,皮膚テスト施行の有無,今後の歯科用キシロカインカートリッジR使用の可否判断等について過去の当科における同様の検討結果(1989~1993年)との比較を交え解析し,以下の結論を得た. 1 .当該患者数の全受診者数に対する割合は,今回は0.32%(13/4083)であり,前回の3.5%(54/1545)と比較して大幅に減少した.依頼医における局所麻酔薬アレルギーと他の偶発症との鑑別能力の向上がその一因と推察した. 2 .皮膚テストを行った症例数は,今回2症例であり,前回の39症例と比較して大幅に減少した.これは2004年の厚生労働省からの抗菌薬皮内テストに関する指示が出され,当院でも局所麻酔薬も含め皮内テストを極力行わない方針になったためと思われる. 3 .医療面接や検査の結果ならびにアレルギー防止の観点からみて歯科用キシロカインカートリッジRが使用可能と判断した症例の割合は,今回は82%(9/11)であり,前回の61%(27/44)と比較して増加した.2005年より歯科用キシロカインカートリッジRへのパラベン添加が取りやめになったことが大きな要因と思われ,この結果は依頼元の歯科医師および患者にとって治療遂行上,有益と思われた. 4 .エピソードの原因については,判断困難とした1症例を除き,アナフィラキシーとの鑑別は比較的容易であった.しかし,リドカインのように抗原性の著しく低い薬物でも,アナフィラキシーを発症する危険性が皆無ではなく,全ての薬物においてその使用にあたっては,十分な医療面接に加えて,ショック等に対する救急処置を行うことが出来る体制整備を怠らないことが重要である.