著者
永富 良一 鈴木 克彦 矢野 博巳 鈴井 正敏 和久 貴洋
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

運動やストレスに伴う免疫学的パラメータの変化は多数報告されているものの、その意義は未だ明らかにならず、実用的な研究が少ない。そこで2003年7月国際運動免疫学会コペンハーゲン大会の将来構想委員会において、今後スポーツ選手など運動に伴う免疫学的な問題に焦点を当てることを提案した。その結果、2005年モナコでの学術集会、2007年10月日本での学術集会では実用的な研究に焦点を当てることになり、本研究の代表者永富は国際運動免疫学会副会長に選出され、同時に2005年学術集会のプログラム委員長を務めることになった。この決定に伴い、これまでほとんど行われてこなかったスポーツの現場での免疫系が関連する問題点の調査を実施した。様々なレベルのスポーツ種目指導者に面接の上、質問紙を作成し、平成15年12月〜2月にかけて、大学生、プロスポーツ選手、実業団スポーツ選手、目本代表候補選手などを対象に無記名のアンケート調査を実施し1409名から回答を得た。有効街回答1367件を分析した結果、およそ20%にあたる274名が免疫に関連する疾患がスポーツ活動の障害になっていることを申告した。原因疾患として48.9%が急性上気道感染症を、25.2%がインフルエンザを、22.3%が花粉症を挙げた。インフルエンザ以外は軽症疾患といえどもスポーツ実施者にとっては無視できない問題であることがあらためて浮き彫りにされた。詳細な分析結果は現在報告書にまとめつつあり、各競技団体に配布する予定である。また本研究代表者が代表を務める日本運動免疫学研究会では2005年、2007年の学会に向けて今回明らかになった現場での問題点に関連する研究を奨励していく予定である。
著者
吉村 昇 長谷川 誠一 鈴木 雅史
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

有機系絶縁材料は,電気的・機械的特性が優れているため、無機系材料に代わって配電機器材として広く使用されている.しかし有機絶縁材料は,トラッキング劣化やトリ-イング劣化などの有機系材料特有の絶縁劣化と絶縁破壊現象を起こすことが知られている.特にトラッキング劣化は,有機絶縁材料の信頼性と寿命特性を検討する上で非常に重要である.一方で,環境問題として公害の悪化,汚染物質の長距離越境輸送などによる酸性雨問題が注目され,これが屋外で使用される有機絶縁材料に及ぼす影響が懸念されている.本研究では以上の点を考慮し,有機絶縁材料の耐トラッキング性に及ぼす酸性雨の影響,劣化過程を総合的に検討し,その劣化機構を解明することを目的とした.その結果,酸性雨は有機絶縁材料の耐トラッキング性を大きく低下させることを示し,酸性雨が汚染物質としての外的要因で作用する場合と,荷電時の電解液として作用する場合の双方の影響とその劣化過程を明らかにした.また,それぞれのパラメータの経時変化を実験的見地から検討し,それぞれの劣化機構を明らかにした.
著者
鈴木 絢女
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

近年、競争的な選挙を実施する一方で、政治的・市民的自由に相当な制限を加える「半権威主義体制」の存在が指摘され、典型例として、エジプト、シンガポール、ヨルダン、マレーシアなどがしばしばあげられる。このような政治体制において、政策や法律は、どのように作られ、運用されるのか。これまでの研究は、「半権威主義体制」が、政府や与党、多数派民族の意思によって成立するもので、社会アクターや野党、少数派民族は抑圧され、政策過程に十分なアクセスを持たないと論じてきた。しかし、これらの研究は、「半権威主義体制」が自由民主主義の「欠如態」にすぎないという前提から出発しているため、政策過程について十分な実証過程を行っていない。そこで、本研究は、「半権威主義体制」の骨格をなす政治的権利を制限する法の立法過程と、そのような法の下での経済政策策定過程を、議会議事録と新聞、雑誌等報道、インタビューから明らかにし、マレーシアの「半権威主義体制」について、新たな見方を提示することを目指した。結論として、(1)主要な立法が、実際には政府、与党、多数派民族のみならず、社会アクター、野党、少数派民族も含めた包括的過程を経て成立していること、(2)(1)の帰結として、主要な立法は、様々なアクターの要求を反映した内容を持ち、立場の異なるアクター同士で、互いの行為を縛り合う「箍のはめ合い」としての性格を持ち、政府でさえも、法律を濫用して社会アクターや野党を抑圧することはできないこと(3)(2)のような「拘束性」の故に、少数派民族や野党の政策過程への参加が保障され続け、長期経済政策等に影響を与える余地があることを示した。その上で、このような特徴を持つ体制が、持続性を持ちうることを示した。以上の知見は、単著『<民主政治>の自由と秩序:マレーシア政治体制論の再構築』としてまとめ、2010年3月に京都大学学術出版会から公刊した。
著者
川崎 政人 若槻 壮市 加藤 龍一 五十嵐 教之 平木 雅彦 松垣 直宏 山田 悠介 鈴木 喜大 RAHIGHI Simin ROHAIM Ahmed
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

NF-κBは、免疫、炎症、抗アポトーシスなどに関わる様々な遺伝子の転写を活性化する転写因子であり、NEMOにより活性化される。NEMOはLys63結合ユビキチン鎖と結合すると報告されていたが、意外なことにユビキチンが直列につながったタンデムユビキチン鎖により強く結合してNF-κBを活性化することが判明した。タンデムユビキチンとNEMOの複合体の結晶構造解析の結果、NEMOはコイルドコイル二量体の両面で2分子のタンデムユビキチンを対称的に結合しており、NEMOによるユビキチン鎖の選択的認識機構が明らかになった。
著者
湯山 賢一 西山 厚 鈴木 喜博 岩田 茂樹 内藤 栄 稲本 泰生 吉澤 悟 宮崎 幹子 谷口 耕生 野尻 忠 研清水 健 岩戸 晶子 斎木 涼子 北澤 菜月 永井 洋之 中島 博 有賀 祥隆 前園 実知雄 東野 治之 根立 研介 藤岡 穣 高橋 照彦 山崎 隆之 梶谷 亮治 杉本 一樹 成瀬 正和 尾形 充彦 西川 明彦 森實 久美子 原 瑛莉子
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良国立博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

「奈良朝仏教美術の主要作例、もしくはその国際性を考える上で重要な周辺作例の中から対象とする文化財を選定し、それらに関する基礎資料を学界の共有財産として提供する」という目的に沿って調査研究を行い、22年度末に5部構成・2分冊からなる研究成果報告書を刊行した。薬師寺に伝来した藤田美術館所蔵大般若経(魚養経)全387巻の撮影及び書誌的データの集成、蛍光X線分析による香取神宮所蔵海獣葡萄鏡や東大寺金堂鎮壇具の成分分析を通した制作地の特定などが、代表的な成果である。
著者
森下 知晃 小澤 一仁 鈴木 勝彦 芳川 雅子
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,本来直接観察・サンプル採取を行えない日本列島のような島弧深部相当(最上部マントル/下部地殻)でのプロセスを理解するために,アルバニアなどに露出するオフィオライトに着目し,野外調査および,採取した試料の解析を行った。その結果, 島弧深部相当,特にマントル相当の岩相について下位から上位にかけて(1)中央海嶺とは異なり,流体の流入を伴うようなマグマ活動に関連した岩相が上位にかけて増加すること(2)かんらん岩層の上位には,シリカの付加が普遍的に観察されること(3)これまで中央海嶺環境で形成されて来たと考えられていた西側部分について,一部が島弧でのマグマ活動および加水作用をうけていることを明らかにした。
著者
井上 美津子 浅里 仁 池田 訓子 小林 聡美 佐々 龍二 高木 裕三 朝田 芳信 大嶋 隆 小口 春久 田中 光郎 前田 隆秀 宮沢 裕夫 藥師寺 仁 渡部 茂 真柳 秀昭 鈴木 康生 下岡 正八 野田 忠 渋井 尚武 進士 久明 田村 康夫 土屋 友幸 大東 道治 香西 克之 西野 瑞穂 木村 光孝 本川 渉 藤原 卓 山崎 要一 吉田 昊哲 丸山 進一郎 嘉ノ海 龍三 品川 光春
出版者
一般社団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.561-570, 2005-12-25
参考文献数
11
被引用文献数
5

小児に対する歯科用局所麻酔剤の安全性を明らかにするため日本小児歯科学会の委嘱により,臨床における使用実態と不快事項の発現に関する調査を行った.大学病院小児歯科および個人小児歯科診療所より4,145名分のデータが収集され,以下の結果を得た.<BR>1.局所麻酔を用いた治療は0歳から20歳以上の幅広い年齢層に行われていたが,12歳以下の者が約90%を占めていた.<BR>2.全身疾患やアレルギー体質を有する小児は調査対象児の2割以上を占め,また局所麻酔が初めての小児が16.2%であった.3<BR>.小児の治療において,局所麻酔はコンポジットレジン修復などの修復処置にも多用されていた.<BR>4.局所麻酔薬剤としてはリドカイン製剤が多く用いられており,投与量は1.0ml以下が多かったが,1.8mlを超えた例も3%程度みられ,追加投与により総量が増える傾向がみられた.<BR>5.術中,術後の不快事項は,それぞれ108名(2.6%),109名(2.6%)にみられた.不快事項の内容は,麻酔の奏効不良による疼痛や麻痺による違和感・不快感の訴えや,麻痺の残存による咬傷などが多くを占めていた.<BR>6.局所麻酔薬剤の副作用を疑わせる熟睡や軽い呼吸困難,悪心などの症状は,術中に3例,術後に6例ほどみられたが,いずれも重篤なものではなかった.
著者
鈴木 剛
出版者
東京電機大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

震災などの災害発生後に,被災状況の把握に必要な情報を収集する無線センサネットワークを移動ロボットにより展開するための,センサノードの運搬・配置機構の開発を行った.特に本課題では,障害物等により進入不可能な隔離空間に,遠隔操作型レスキュー移動ロボットにより無線センサノードを投擲配置するための投擲機構,および,有線のセンサノードを用いた投擲距離調整機構を開発し,実験により評価した.
著者
成田 年 鈴木 勉
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.130, no.2, pp.124-127, 2007 (Released:2007-08-10)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

疼痛と鎮痛の基礎実験では,主に生理的疼痛,炎症性疼痛,神経障害性疼痛に対する動物モデルが用いられている.一般に,リウマチに代表される慢性疼痛である炎症性疼痛は,炎症局所の浮腫あるいは痛覚過敏反応(軽い痛み刺激をより強い痛み刺激と感じる症状)などの症状により特徴づけられており,これら炎症性疼痛モデルは,起炎物質である完全フロイントアジュバンド(complete Freund's aduvant:CFA),ホルマリンおよびカラゲニンの足蹠皮下投与により作製される.一方,神経障害性疼痛は,末梢あるいは中枢神経の損傷や機能障害により引き起こされると考えられており,主に自発痛,痛覚過敏反応やアロディニア(軽く触れた程度の触刺激によっても痛みが誘発される症状)といった症状が認められる.現在までにこれら神経障害性疼痛に対し,末梢神経の結紮などによる様々な動物モデルが確立されている.本稿では,炎症性疼痛モデルならびに神経障害性疼痛さらにはその評価法について簡潔に紹介する.
著者
松浦 眞 生田 信之 石山 純一 鈴木 勝彦 野本 俊夫 今野 一弥 浅田 格 遠藤 智明 野角 光治
出版者
宮城工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は移動実験車を使って中学校への総合的学習への直接的支援活動を行うことを目的とするものであった。本研究を遂行するために必要な条件は第1に移動実験車を設置すること、第2に体験教室を実行できるスタッフを確保すること、第3に体験教室に必要な実験テーマを決定し、実験器具等の準備をすること、第4にこの活動の趣旨を広め、中学校から派遣要請を得ることであった。3年の研究期間を通してこれらの条件のうちはじめの3つの条件は満足できたが、最後の中学校からの派遣要請は予想より少なく必ずしも満足できるものではなかった。しかしながら、3年間の活動全体としては本活動が"リカレンジャー"の呼び名で全国紙やテレビで報道されたこともあり、爆発的ともいえる程の人気を得た。その結果、今や出動要請は引きも切らないほどで、5月には年間の申し込みを締め切らざるを得ないほどとなった。3年間の活動を通して実施した出前体験教室は計29回、教室参加者の合計は2200名以上、講師として参加した教職員の延べ人数は82名、アシスタント学生は延べ160名以上となった。またリカレンジャーの活動はマスコミに繰り返し報道され、地元テレビ局には7回登場し、新聞には3回、ラジオに1回取り上げられた。また読売新聞の全国版にも大きく報道された。このように本活動は青少年、特に小学生に対する理科離れ対策として大きな成功を収めることが出来た。本活動が成功した理由は、(1)移動実験車により求められればどこへでも出かけ、インパクトのあるサイエンスショーとものづくりの楽しさを体験できるワークショップを組み合わせで実施したこと。(2)リカレンジャーの名称やロゴをデザインしたそろいのTシャツを着るなど、子供達に親しみやすいイメージを与えたこと。(3)多くの学生の積極的協力が得られたこと等である。その結果、これまでに経験したことがない広範囲の子供達にサイエンスの不思議さやものづくりの楽しさを経験させることが出来た。本活動は従来各地で行なわれてきた青少年科学祭典とは異なる新しい活動スタイルを生み出したと言えよう。今後、この活動が中学校の理科教師に受け入れられ、中学校の理科教育への支援活動に貢献できるようにすることが課題である。
著者
石井 宏幸 山本 将生 鈴木 聡 神山 斉己 臼井 支朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.12, pp.2370-2378, 1994-12-25
被引用文献数
3

網膜水平細胞間を結合するギャップジャンクションは,視覚情報処理の基本である中心-周辺拮抗型受容野の形成に重要な役割を担っている.従来,こうした水平細胞間のギャップコンダクタンスが非線形特性をもつことや順応状態により動的に変化することが示唆されているが,そうした特性を生理実験によって直接測定することは著しく困難であった.本論文では,筆者らが先に提案したイオン電流モデルを用いた入力電流推定法に特定の信号伝達経路を制御する生理実験技術を適用し,水平細胞の膜電位応答からギャップコンダクタンスの動的変化を推定する手法を提案する.提案手法の有効性は,視細胞-水平細胞ネットワークモデルから求めた水平細胞モデル応答を擬似実験データとして用い,モデルのギャップコンダクタンス値が精度良く推定されることにより確認した.更に,コイ網膜L型水平細胞より記録した膜電位応答に提案手法を適用したところ,従来報告されている知見に近いギャップコンダクタンス値が推定された.
著者
鈴木 督久
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.174-181, 2002 (Released:2009-04-07)
参考文献数
14
被引用文献数
4 1 6

The purpose of this paper is to show a method of describing a corporate image fluctuation using factor scores derived from simultaneous analysis in multiple populations with structured means. A confirmatory factor analysis (CFA) model was applied to the independent, random samples collected in survey research conducted once a year since 1988. As a result, a multiple population CFA model, which constrained the model form, the values of factor loadings and the variances-covariance matrix of exogenous variables to be the same in all groups (1988-1997), fitted to the data well.In traditional exploratory factor analysis (EFA) models, it has been difficult to compare factor scores in different years owing to the lack of a fixed factor pattern across groups. However, structural equation modeling (SEM) settled this problem.
著者
鈴木 雅人
巻号頁・発行日
2008-02-04

修士論文