著者
鈴木 省三 石山 信男 内野 秀哲 竹村 英和 岩田 純 朴澤 泰治
出版者
仙台大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、従来の有能な指導者による「経験と勘」に依存した年間トレーニングプログラムの作成に代わって、生理学的な知見と数理的な手法に基づくパフォーマンス数理モデルを用いた年間トレーニングプログラムの計画、実践、分析、評価の循環サイクルを指導者・サポートスタッフと連携しながら実践し、重要な大会に最高のパフォーマンスを発揮できる選手サポートシステム(遠隔IT機能を活用したe-conditioning選手サポートシステム)を構築することである。2009年度は、1年目の成果を基に、遠隔IT機能を活用したe-conditioning選手サポートシステムの現場への応用を実践した。結果として、対象スケルトン選手が日本選手権大会で優勝、ワールドカップ8戦で国際ランキング15位になり、2010年バンクーバー冬季五輪の日本代表選手選出に貢献できた。さらに、パフォーマンス数理モデルを用いた年間トレーニングプログラムは、選手個々のトレーニング刺激に対するコンディションレベルの生理的適応過程が客観的に把握できたとともに、オーバートレーニングの危険を回避しながら最適なトレーニングプログラムの実践が可能となった。また、最終的にトレーニング効果としてのパフォーマンスが予測できることは、従来課題として掲げられていた問題点が解消できる可能性が示唆された。さらに、主観的・客観的評価に、選手のコンディションを見抜く指導者やサポートスタッフの洞察力が加わった一連のシステムモデルが、日本の競技力を向上させるためのコンディショニング領域で大いに活用されることを期待している。
著者
鈴木 健太 渡邉 鉄也 田中 基八郎
出版者
社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. C編 = Transactions of the Japan Society of Mechanical Engineers. C (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.74, no.746, pp.2549-2554, 2008-10-25
参考文献数
8
被引用文献数
1

rights: 社団法人日本機械学会rights: 本文データは学協会の許諾に基づきCiNiiから複製したものであるrelation: IsVersionOf:http://ci.nii.ac.jp/naid/110006967447/Generally a coefficient of friction of a human finger is very higher than a coefficient of friction of metal. The physical characteristics of a human finger are important in the work by hand. Therefore, the physical and numerical modeling of fingertip is useful for the design of various equipments, for example, a handrail of stairs, a robot hand, an operation simulator, and so on. In this study, "Coulomb friction", "absorption by fingerprint and sweat" and "elasticity of finger" are considered as the element of the friction characteristics. The aim of this study is to express the force by these characteristics as function model and to make the physical fingertip model. At first, the force by friction and absorption are measured, and the contact area between fingertip and board is calculated. Next, the function of friction force with respect to vertical force acting on the contact surface between fingertip and board is suggested. Finally, the actual finger model is made and the friction force is modeled to the function.
著者
鈴木 俊夫
出版者
慶應義塾大学
雑誌
三田商学研究 (ISSN:0544571X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.129-144, 2001-02-25

日本政府は,第一次世界大戦の勃発により膨大な貿易黒字を手にすることができた。当時の日本経済には,1913年以前のように貿易赤字を決済するために正貨を確保する必要性が,もはや存在しなかった。だが1923年に至ると,日本政府は関東大震災からの復興資金の調達のために,ロンドンやニューヨークにおいて外債発行活動を再開せざるをえない状況に追い込まれた。戦間期のロンドン金融市場は第一次世界大戦前の「自由な」市場とは著しく様相を異にしていた。本稿は,国際金融に君臨した第一次世界大戦前の時期と比較することにより,戦間期である1924年および1930年に発行された日本政府外債のバックグラウンドとなるロンドン金融市場-外債発行市場の特質を把握しようと意図するものである。
著者
黒田 日出男 林 譲 久留島 典子 田中 博美 宮崎 勝美 保立 道久 鈴木 圭吾 加藤 秀幸
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1992

本研究は,日本史の主要な画像史料の一つである肖像画に関する基礎的な調査と研究を行ってきた。その成果は、以下の通りである。第一点。東京大学史料編纂所は、明治時代以来、肖像画を模本の作成という手段によって蒐集してきた。現在までの蒐集点数は約900点に及んでおり,それらの紹介は急務であった。本研究では,全点を4×5判白黒フィルムで撮影し,四切りの大きさに引き伸したうえで、それらについての基礎的調査を行い、新たな目録を作成した。これによって,史料編纂所の所蔵する肖像画模本は多くの研究者の関心を集めよう。第二点。この引伸写真を光ファイリング・システムに取り込んで,簡単なデータベースとし,身分・職業・性別・老若・時代によって検索できるようにした。これによって,史料編纂所々蔵の肖像画模本から,日本の肖像画の特徴の幾つかを把握できるであろう。第三点。本研究では,各種の日本史叙述や自治体史叙述を悉皆的に点検し、肖像画情報に関する調査カードを合計約27000枚作成することができた。予算の制約によって、そのデータベース化までは実現できなかったが、このカードを検索することによって、日本史叙述における肖像画情報の全体を把握することができる。そして第四点。肖像画の個別研究によって、幾つかの新説を提出することができた。たとえば,文化庁保管の「守屋家本騎馬武者像」の像主名についてであり,高師直像とする通説に対し,新たに師直の子息師詮像であるとの新説を提出した。肖像画研究の方法論についても,幾つかのシンポジウムや研究会において発表し,今後の研究の発展のための基本的な論点を提出することができた。また,1996年3月には,史料編纂所主催で「肖像画と歴史学」と題するシンポジウムを開催し,当日は257名もの出席者と討論を行うことができた。
著者
鈴木 浩司
出版者
日本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は,競技,種目,ポジションによってマウスガードデザインが異なると言うことを調査し,また装着する人によっても変化することがあり得ると言うことを明らかにすることである。アメリカンフットボール,アイスホッケー,ボクシングあるいは空手と言ったコンタクトスポーツでは外傷発生の危険性が高く,特に,顎口腔系の外傷予防にはマウスガードの装着が有効であり,我が国においても歯科関係者の努力とスポーツ関係者の理解によって広く認められるようになってきた。そして,一部の競技では試合中のマウスガード装着が義務化されたり,ラグビーやバスケットボールのようにトッププレーヤーが自主的に装着するようにもなってきている。また,一般市民の健康志向の高まりや,スポーツ少年少女の低年齢化などからマウスガードは一部のスポーツアスリートばかりのものでなく,一般歯科保健や学校歯科保健の見地からも重点目標として捉えられている。マウスガードに関しては,歯科医師が提供するカスタムメイドタイプのマウスガードの方が装着感,使用感に優れていることは明らかであり,いまや,その上の段階である競技特性や,個人の状況等,選手個々のニーズにまで応えた真のカスタムメイドマウスガードというものが必要とされている。その道の一流の選手が認めたマウスガードは一般競技者にとって良いアピールとなり,普及につながるからだ。そこで各種スポーツに対しマウスガードを装着し,空手道,サッカー,アメフト,フロアホッケーなどの競技におけるマウスガードのデザインを検討し,学会発表および誌上発表をしてきた。一方,コンタクトスポーツにおける外傷予防効果を目的とした使用方法以外のマウスガードの用い方についても着目し検討をしてきた。その結果トレーニング時のマウスガード装着により,より効果的なトレーニングが行えると言うことで,今後さらなる検討をしていきたい。
著者
鈴木 賢士
出版者
山口大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

梅雨や台風によりもたらされる集中豪雨は災害の防止・軽減という点からその予測は重要である。しかし、集中豪雨は短時間で狭い領域に大量の雨をもたらすため既存の観測網では捉えることが難しく、そのためその雲内での水の集中化メカニズムの理解は重要な課題となったままである。本研究では狭い領域をできるだけ密な地上観測網で捉えることが出来るようになることを目指して安価でかつ簡易的な観測機器の開発を目的に簡易雨滴粒径分析計の開発を行い、それを用いて観測研究を行った。今年度は昨年度開発・製作した簡易雨滴計のプロトタイプを小型・軽量化し、さらに将来の地上気象観測網の構築を念頭に地上気象観測ステーションに組み込むことを試みた。既存の気象観測ステーションと組み合わせることにより雨滴粒径分布のほか気温、湿度、気圧、風向風速、雨量といった一般気象データも同時に観測ができる。また、この雨量計からの電気信号を受けて雨滴粒径分析計の計測を開始・終了できるようにしたことで観測の無人化が可能になった。このシステムにより得られるデータは一般気象データに関してはデータロガーにより10分ごとの測定で約2週間の連続観測が可能である。雨滴粒径データは改良型ではデータの記録方法を2通りにし、1つは昨年度と同様のビデオによる映像の録画、もう1つは赤外線センサーを雨滴が横切る際の電気信号の変化を電圧としてデータロガーに記録する方法である。前者は解析に時間がかかるが実際の粒子を見ることが出来、後者はデータを簡単に処理できるという長所をもっておりこれらの組み合わせにより効率よい観測・解析が出来るようになった。将来的にはこのシステムを狭い領域で多地点に設置することで、集中豪雨における雨滴形成(降雨形成)の平面的な観測が可能になる。さらにレーダー等のリモートセンシングと組み合わせることで立体的な構造の理解に役立つであろうと期待される。本研究で開発した簡易雨滴粒径分析計を用いて昨年秋に山口を直撃した台風18号からの降水を観測した。また、鳥取大学乾燥地研究センターにおいて冬季日本海側に発達する雪雲からの降水、さらに山口大学において梅雨前線に伴う降水システムからの降水の観測を行った。台風18号に関する成果については第13回国際雲・降水学会において発表された。これらの観測はそれぞれ雲形成メカニズムの異なる雲からの降水の観測で、これらの観測結果を比較すると、一般に雨滴粒径分布はN=N_0exp(-λD)で表されるが、台風の場合は大量の雨をもたらす割に分布の傾きλがそれほど変化しないことがわかり、前線や低気圧に伴う降水とは異なる性質を持っていることが明らかになった。レーダーデータ等との関連を詳しく調べる必要があるが、非常に興味深い結果であり、本研究で開発された簡易雨滴粒径分析計が十分に利用可能であることが確かめられた。
著者
落合 博志 岡 雅彦 岡 雅彦 雲英 末雄 大橋 正叔 岡本 勝 市古 夏生 和田 恭幸 鈴木 俊幸 堀川 貴司 落合 博志
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

本研究は江戸時代初期、文様から明暦末年までの約60年間に日本で出版された全書籍の出版年表を作成することを目的としたものである。調査研究の方法は、全国の図書館の蔵書目録、古書店の販売目録、その他各種目録・図録等から、文様から明暦未年までに出版された文献の清掻を採集して調査台帳を作成し、この所蔵情報をもとに、実地に当該文献の調査を行い、刊記を中心とする書誌情報を原本から採録し、また、刊記の写真の収集に努めた。年表の構成は、古活字本と整版の別、書名、巻冊、刊記、所在の5項目から成り、年代順、月順に書目を配列した。四年に亘る書誌調査の結果は、まだ未確認の文献を残してはいるか、採録した書目は文様慶長25年間で359件、元和寛永29年間で1824件、正保慶安8年間で1415件、承応明暦7年間で930件、合計69年間で4528件である。この有刊記本の調査はほぼ8割程度の完成度ではあるが、報告書百部を印刷して関係機関等に配布した。これは一年後を目途に公刊の予定である。この出版年表を眺めるだけで、本屋の出版活動の具体相、古活字版の趨勢、京都中心の文化状況の中での江戸版、大坂の出版、地方における出版の状況、相間板の出現状況が見て取れ、書誌調査からはまた付訓点漢文体本文の流行、絵入り本の流行などの具体相が見てとれる。これらについては現在研究論文を作成中である。今後この研究を継続して総合的な出版年表を作成するために、江戸時代初期無刊記本の調査研究、五出版を中心とする中世出版文化の研究、元禄末年までの江戸初期出版年表の作成などが当画の緊急に推し進めたい課題である。
著者
熊谷 英彦 玉置 尚徳 鈴木 秀之 山本 憲二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

1.(1)大腸菌γ-グルタミルトランスペプチターゼ(GGT)の転移活性を利用して、γ-グルタミル-DOPA、γ-グルタミル-リジン、γ-グルタミルグルタミンを酵素合成した。この結果、γ-グルタミル-γ-グルタミル-DOPA、α位またはε位がγ-グルタミル化されたリジン、γ-グルタミル基が3重につながったグルタミンの合成が明らかになった。(2)大腸菌GGTの低温(20℃)での高発現について、その機構の解明を試みた。その結果、低温でのmRNAの発現量が高くまた低温でmRNAの安定性が高いことが明らかになった。(3)大腸菌GGTのX線結晶構造解析を行いその主鎖構造を明らかにした。(4)大腸菌でのグルタチオン代謝においてGGT反応によってペリプラスムで生成するシステイニルグリシンは、細胞内に取り込まれそれぞれの構成アミノ酸へ分解されること、その際ペプチダーゼA、B、D、Nのいずれもが作用することを明らかにした。ペプチダーゼBについては精製しその性質を解明するとともに、遺伝子のクローニングを行った。2.(1)ビフィズス菌β-グルコシダーゼの遺伝子を大腸菌にクローニングし、大腸菌のβ-グルコシダーゼ高発現株を得た。本高発現株からβ-グルコシダーゼを結晶状に精製し、本酵素が加水分解反応の逆反応(合成反応)を触媒することを発見した。(2)本酵素の固定化カラムと活性炭カラムをタンデムにつなぎ、連続的に合成反応を行い、ゲンチオビオースとフコシル(β1-6)グルコースを合成した。このフコシルグルコースを用いて、ビフィズス菌、乳酸菌、その他種々の腸内細菌による資化性テストを行い、ビフィズス菌9種のうち8種が資化することまた他の細菌類は資化しないことを確認した。(3)ビフィズス菌のα-ガラクトシダーゼが誘導的に生合成されることを明らかにし、単離精製した。本酵素の性質を明らかにするとともに、大腸菌α-ガラクトシド資化能を利用して本酵素遺伝子のクローニング株を取得し、その高発現に成功した。
著者
藤井 俊勝 麦倉 俊司 奥田 次郎 森 悦朗 鈴木 麻希 森 悦朗 鈴木 麻希 麦倉 俊司 奥田 次郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ヒトの記憶については心理学的・神経科学的な研究が数多く行われてきていたが、記憶の間違い-つまり、記憶として想起はできるものの内容が正確ではない場合-のメカニズムについては不明な点が多い。本研究ではヒトの脳活動を間接的に測定することができる脳機能画像法と、脳損傷患者を対象とした神経心理学的研究によって、ヒトの脳でどのように誤った記憶情報が表象されるのかを検討した。記憶を司る内側側頭葉に対して、記憶を制御する前頭前野が影響を与えていることや、内側側頭葉と感覚情報を処理する感覚皮質の関連が明らかとなった。
著者
渡部 直人 鈴木 浩 野邊 潤 三邊 考志
出版者
日本シミュレーション学会
雑誌
シミュレーション (ISSN:02859947)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.94-97, 1996-06-15

To evaluate the safety of transporting radioactive materials on the road tunnel, we made the risk curve, which is the cumulative probability of the heat quantity of the package. This risk curve was calculated by the simulation on the tunnel fire and the probability density function of parameters (heat generation, duration of fire and etc.)
著者
三谷 純 鈴木 宏正 木村 文彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.70, pp.13-18, 1999-08-23
被引用文献数
5

本論文では、計算機上に存在するポリゴンモデルデータに対し、その3次元模型を紙で効率良く組み立てることを目的とした展開図作成手法を提案する。具体的には、展開図を切り取る際に切断の必要がある稜線の総延長、展開図に外接する長方形の面積、および展開図の部品数を組み立て易さの評価に用いる。本手法は、モデルを連続した1枚の展開図に展開することを目的とするのではなく、組み立て易さを考慮した展開図を高速に作成することを目的としている。本論文では面と稜線の関係を表すグラフに対し、深さ優先探索と欲張りアルゴリズムを用いた2種類のアルゴリズムを提案し、4通りのコスト設定方法により、作成される展開図の評価を行った。本アルゴリズムを用いた展開図の作成と、組み立ての支援を行うアプリケーションを作成し、生成された展開図をもとに紙模型を作成したので、具体例とともに報告する。This paper describes a method for generating developments of polyhedral models, which are easily constructed with paper sheet. The easiness is evaluated in terms of the total length of edges which must be cut, the area of a rectangle circumscribing the development and the number of parts of development. Our goal is not for generating the optimal development but for generating a acceptable development quickly. Basically, generating a development corresponds to finding a spanning tree of fece-edge graph of the polyhedral model. We propose two algorithms for traversing the face-edge graph, and four methods for setting costs representing the easiness of manual construction. We implemented an application which generates developments using this method and supports a user to construct paper models.
著者
伯野 元彦 鈴木 崇伸
出版者
東洋大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1994

本研究の2年前の当初の目的は、日本の諸施設構造物は十分耐震的であるので、相当強い地震に対しても中破程度はしても、崩壊することは無く、その下敷となって犠牲者が数多く出るなどということはないので、それでも発生する震後火災から逃れるために、「近代的火の見櫓」という高層ビルの屋上などに設置されたビデオ・カメラなどによって、発生した火災の火元,避難路の状況(橋が落ちて通れないことはないかなど)を、オンライン的に収集し,そのデータに基づいて、ワークステーションによって避難シミュレーションを行い、住民に適当な避難路を示そうというものであった。しかしながら、現実には多数の木造家屋,ビル,高速道路,新幹線など、地震に対して堅牢かつ粘り強いと思われていた構造物が、脆くも崩壊し、6、300人以上の方々が亡くなった。このように、この研究開始時に想定していた構造物の崩壊は殆ど無いという仮定は崩れたが、この研究の主目的である地震災害を、震後なるべく早く把握するという事は、一層重要になってきたのである。地震後、何回もの現地調査によって明らかになった事を列挙すると次のようである。(1)強震後停電は必ず起こる。そのため、震後被害を早期に把握するための、例えばビデオ・カメラは、動作不能となってしまう。(2)その停電をカバーするためには、予備発電機が必要であるが、水冷式のものであると、震後の断水の影響のため、結局は使えない事が多い。容量は小さいが、空冷式の予備発電機を利用するしか方法はない。(3)電源は確保できても、折角集めた被害に関する情報を送る手段が地震のためやられるという次の壁が出現する。ただ、この手法が実現できれば、その効果は大変なものであるから、何とか今後も研究を続けて行かなければならない。
著者
鏡味 洋史 鈴木 有 宮野 道雄 岡田 成幸 熊谷 良雄 中林 一樹 大西 一嘉 多賀 直恒
出版者
北海道大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1996

本研究では地震災害事象について発災を出発点とし、緊急対応、復旧対応、復興、そして次の災害に対する準備に至る時系列の中で、対象としては個人・世帯を出発点とし、地域社会、地域行政体、国、国際に至る空間軸でできる限り広く問題設定を行った。個別の災害情報管理の問題を情報の受信者である被災者・被災地の側からのアプローチと情報発信側となる行政体など各組織・セクターからのアプローチで展開し、情報管理のあるべき姿、ガイドライン構築を目指した。各分担課題は、全体の枠組みを整理するもの、情報システムの視点を被災者側におく課題、視点を対応組織の側におく課題の3種類に区分してすすめ、最終年度には研究の総括を行った。被災者側の視点からは、被災者の住環境からの情報ニーズの把握、災害弱者を対象とした情報伝達・収集システムの提案、郵便配達システムを活用した情報システムの提案、地域の震災抑制情報の有効性、住民主体の復興まちづくりにおける情報ニーズの把握がなされた。対応組織の側からは、地方行政体による被災情報の収集状況に関する時系列モデル化、地震火災については消防活動訓練システムの構築、災害医療情報については阪神・淡路大震災の事例を分析したシステム化の方向、ライフライン停止に伴う生活支障を計量化の提案、都市復興期における情報の役割、が明らかにされている。各課題では、既往の地震災害に基づく情報ニーズの整理、それに基づく情報管理のあるべき姿の提示、プロトタイプシステムの提案へ統一した形で進めた。課題によっては、問題の大きさ、複雑さなどにより到達度の差は大きいが、大きな方向を示すことができたと考えている。本計画研究は単年度の申請であるが継続して4年間研究を行い、最終年度には報告書の刊行を行った。
著者
鈴木 勇
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

兵庫県内の公立高校および災害NPOが実施する防災教育,および,四川大地震,台湾集集地震,新潟県中越地震被災地の復興への取り組みからわかったことは,防災活動において,我々の暮らす地域を知り,多様な価値を持つ地域住民と知り合うことの重要性である.また,防災活動を通じて外部の人々とつながり,その文脈の中で自分自身を問い直すことの重要性である.つまり,防災教育とは防災についての教育ではなく,防災を通じて社会の一員として,他者を理解することを学ぶことである.
著者
松尾 真一郎 秋山 浩一郎 尾花 賢 岡本 健 面 和成 鈴木 幸太郎
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.74-77, 2002-09-25

2002年3月11日から3月14日まで,バミューダにてFinancial Cryptography 2002(FC2002)が開催された。本稿では,FC2002の概要について報告する.