著者
藪田 貫 浅倉 有子 菊池 慶子 青柳 周一 桑原 恵 沢山 美果子 曽根 ひろみ 岩田 みゆき 中野 節子
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では通常の分担者による研究会の積み重ねという形を取らず、日本の各地で「江戸の女性史フォーラム」を順次開催し、地域の女性史研究の成果と資料に学ぶというスタイルで3年間、進めた。その結果、大阪(2005.7)徳島(2005.12)、鳥取(2006.5)、東京(2006.7)、福岡(2006.12)、金沢(2007.9)、京都(2007.11)の7ケ所で開催することができた。その成果は、いずれも報告書の形で公表されているが、地域に蓄積された女性史の成果の掘り起こしと交流に貢献できたと確信する。とくに藩制史料の中から奥女中を含め、武家の女性の発掘が進み、菊池(柳谷)・浅倉・桑原らが中心となって「藩社会の中の女性」が一つの新しい潮流となっている。また活発な研究活動は、国内外の学会発表という形でも結実した。国内では立教大学日本学研究所の公開シンポジュウム(2006.5)に沢山と藪田が、ジェンダー史学会・女性史総合研究会共催のシンポジュムには曽根ひろみ(協力者)が、それぞれパネリストして参加した。国際的な学術交流では、鳥取と京都のフォーラムにアメリカとオーストリアから研究者を招き、また藪田が、ケンブリッジ大学での研究会「江戸から明治の女性と読書」(2006.9)、ボストンでのアメリカ・アジア学会分科会「19世紀日本の売買春と政治」に報告者として参加した。研究課題としてあげた研究者の世代交代を進め、若手研究者を養成するという点では、若い大学院生のフォーラムへの参加も少なく、残念ながら十分な成果を挙げていない。また分担者の研究の成果にもムラがあり、地域的にもまたライフコースについても、均等に成果を上げるには至らなかった。反省点であり、今後の課題である。
著者
原田 幸明 芳須 弘 山口 仁志 井島 清 井出 邦和 片桐 望
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

地球環境問題に対応するサスティナブルな物質・材料の設計・選択・評価に資するための、物質・材料のマテリアル・リスク指標を、"持続的供給リスク"、"環境変動リスク"、および"毒性リスク"としてとらえ、それぞれに対する指標を数値化した。この数値化において、元素ごとに共通の手法を用いることで横断的な比較を可能とし、材料や部材の設計に用いることができるようにした。さらに、これらの指標の適用方法を"持続的供給リスク"を表す関与物質総量を中心に例示した。とくに、リサイクルの適用に関して実際のリサイクル技術の開発と合わせて都市鉱石化の評価に関与物質総量を用いるという新しい適用方法も明らかにした。
著者
江崎 雄治 西岡 八郎 小池 司朗 山内 昌和 菅 桂太
出版者
専修大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、地域別の将来人口推計の方法について検討した。主な成果は以下の通りである。(1)世界各国の実状を調査し、コーホート要因法が標準的手法であることを確認した。(2)人口移動に関するより適切な推計モデルについて検討した。(3)独自の質問紙調査を実施し、将来の出生の見通しについて議論を行った。(4)外国人の出生、死亡の将来人口推計に対する影響は小さいことが確かめられた。(5)市町村別世帯数の将来推計について課題を整理した。
著者
梅崎 昌裕 河野 泰之 大久保 悟 富田 晋介 蒋 宏偉 西谷 大 中谷 友樹 星川 圭介
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

地域研究者が土地利用図を作成するために必要な空間情報科学の最新技術について、その有用性と限界を検討した。具体的には、正規化法による地形補正、オブジェクトベースの分類法による土地被覆分類、数値表層モデルの分析による地理的変数の生成が、小地域を対象にした土地利用図の作成に有用であることが明らかになった。さらに、アジア・オセアニア地域における土地利用・土地被覆の変化にかかわるメカニズムの個別性と普遍性を整理した。
著者
大賀 圭治 辻井 博 米倉 等 福井 清一 岩本 純明 松本 武祝
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

中部ジャワの「定点観測村」で、持続的農業発展の条件を明らかにするための詳細な調査を実施した。農家経済に関する基本的データ収集と同時に、農外労働市場、多様な金融制度、近年注目されている社会林業の制度と運用実態等についてデータ収集を行った。主な知見は以下の通りである。(1)農産物価格や資材価格など、農業を取り巻く環境変化に対する農家の反応は機敏である。また農家は、さまざまなリスク回避措置を経営内に組み込んでいる。(2)水田利用は集約的である。しかし地力循環という点で大きな問題をかかえている。(3)農家構成員の就業先選択は通説のように「無差別」ではない。また、農業部門における家族労働と雇用労働の質については完全に代替的ではないと見なされている。(4)農家の作付け農作物の選択基準においては、自給目的が強くでており、商品経済的観点は弱い。(5)親戚・隣人間での金銭的相互扶助に関しては、共同体規範の強い影響がうかがえる。(6)回転講への参加目的は、低所得層は貯蓄・融資、高所得層は隣人とのコミュニケーションにある。共通して返済率は高く、貧困層の生活水準の向上に貢献している。(7)沿岸丘陵部の天水依存地域では、持続的農業開発の条件はより厳しい。しかし、作物と林木とを巧みに組み合わせた持続的な生産方式が定着している。(8)多様な相互扶助組織がなお機能しており、ソーシャル・セーフティーネットとしての役割を果たしている。(9)国有林経営では、最終生産物を国と農家・農家グループが分収する新たな制度が導入され、農家に持続的な森林管理を動機づけるものと注目されている
著者
西村 欣也 森 司
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

エゾアカガエル(Rana pirica)のオタマジャクシとエゾサンショウウオ(Hynobius retardatus)の幼生は、雪解けの後の北海道の池に成立する生物群集の創始者である。エゾサンショウウオ幼生は発生時のある条件で、口顎が発達した「広顎型」になる。広顎型の個体はオタマジャクシや同種の幼生を丸のみで捕食する「捕食型」である一方、エゾアカガエルのオタマジャクシは、エゾサンショウウオ幼生の捕食危機に曝されると、頭胴部を膨らませた「膨満型」になる。膨満型は、広顎型エゾサンショウウオ幼生の丸のみ型の捕食に対抗する「防御型」である。このように、これら2種の両生類の形態は可塑的で互いの捕食-被食関係に対して適応をはかっているものと解釈できる。この事実を出発点として、誘導防御・攻撃形質に関する理論的・実験的研究を発展させた。エゾアカガエルのオタマジャクシは、池の生物群集内の捕食者一般に対しても、防御形態を発現する。もっとも頻繁に出会う強力な捕食者であるヤゴによって防御形体誘導実験を行った結果、その誘導形体は、エゾサンショウウオ幼生によって誘導される防御形態とは異なっていた。エゾアカガエルのオタマジャクシは、,丸のみ型捕食者(エゾサンショウウオの幼生)に対するスペシャリスト的防御形態と、被丸のみ型の捕食者に対するジェネラリスト的防御形態の2つの異なる形態を臨機応変に発現する能力を有していることが分かった。
著者
川村 邦光 荻野 美穂 杉原 達 冨山 一郎 真鍋 昌賢 中村 生雄
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究は平成12年度から14年度の科研「戦死者をめぐる宗教・文化の研究」を発展させる意図のもとに計画し、平成15年度から17年度の3年間にわたって実施された。課題名「近代日本における宗教とナショナリズム・国家をめぐる総合的研究」の研究目的は、近代日本における宗教と国家との関係を研究することにある。国家の宗教政策、また靖国神社や神社神道、国家神道が国民の信仰生活に対してどのような影響を及ぼしたのか、宗教がナショナリズムの形成においてどのように関与したのか、この二つが主要なテーマである。この研究課題を進めるために、「文化/批評」研究会を組織し、3年にわたり、16回の研究会を開催することができた。また、研究会の案内・報告などのために、ニューズレター「cultures/critiques」を刊行し、23号に達した。本研究会では、大阪大学や他の大学の教員や大学院生に参加を呼びかけ、研究分担者をはじめとし、他大学の研究者、また大阪大学の大学院生に発表やコメントを依頼して、他大学の様々な研究分野の研究者との交流をはかることができたとともに、若手研究者の養成と大学院教育の充実をはかることができたと考える。本研究の報告書として、6名の寄稿者をえて、283頁に及ぶ冊子を刊行することができた。ここでは、研究分担者、大阪大学大学院の院生、他大学の研究者にも研究会での発表に基づいて、原稿を執筆してもらい、研究成果の公表と共有化をはかった。研究目的の大半を達成できたと考えるが、調査や研究の成果が論文のなかに反映させることができなかったため、今後ともこの研究会を続行することにしている。
著者
高橋 誠一 野間 晴雄 橋本 征治 平岡 昭利 西岡 尚也 筒井 由起乃 貝柄 徹 木庭 元晴
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、南海地域における歴史地理的実体を多角的に解明することを主目的としたものであった。従来の地理学分野からの琉球研究は、都市、集落、民俗、交易活動などを個別的に扱い、かつ沖縄や奄美の一地方を対象としたものが多かった。しかしこれらの個別事例の蓄積のみでは、東シナ海や南シナ海全域にわたる琉球の実体の把握が困難であったことは言うまでもない。そこで本研究においては、中国沿海州・台湾・ベトナム・フィリピン、沖縄・奄美における現地調査を実施し、都市・集落景観、伝統的地理学観の影響と変容、伝統的農作物栽培の伝播過程、物流と交易活動、食文化の比較、過去と現在の当該地域における地理学教育に見られる地域差などに関して、立体的な分析を行った。以上の研究によって、琉球が果たしてきた重層的な歴史的役割の実態を、かなりの程度まで明らかにできたと考える。これらの成果の一部は各研究者による個別論文のほかに、2007年に沖縄県立公文書館において開催した国際研究集会報告書などにおいても公刊済みである。また全体的な成果の一部を報告書としても提示した。しかし、本研究によって解明できた点は、当初の目的からすれば、やはりまだその一部を果たしたに過ぎないと言わざるを得ない。すなわち南海地域における歴史地理的諸事象の伝播過程やその変容については、かなり解明したとはいうものの、本研究の成果は単方向的な文化事象の伝播や影響の摘出に終始したとの反省がある。文化の交流や伝播は、長い歴史的過程の中では、多方向的に複雑に錯綜することによって新しい様相を生み出すということができる。それらを明らかにすることによって、本究で対象とした地域に関する理解を深化することを今後の課題としたい。
著者
岡田 成幸 谷口 仁士 井戸田 秀樹 林 勝朗 竹内 慎一 名知 典之 中嶋 唯貴 島田 佳和 石田 隆司
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本邦の主要住家である木造建物(倒壊により死者発生危険度が特に高いとされている構造形式)について、地震からの構造健全性を微動のカオス挙動を測定する手法を応用して逐次監視し、さらに監視結果である物理指標を居住者に分かり易い防災情報(生命安全性)に変換し提供(リスクコミュニケーション)することにより、構造ヘルスモニタリングを人的被害軽減化対策システムとして防災に有効活用させる方途を考究した。
著者
源栄 正人 大野 晋 佐藤 健 寺田 賢二郎 篠澤 洋太郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本成果報告書は、平成18年度と平成19年度の2ヵ年の研究成果もまとめたものである。内容的には、緊急地震速報と構造物のモニタリングとの連動により付加価値を高め、更なる信頼性の向上と実用性の向上を計るためのシステム開発を行ったものである。主な研究項目として、(1)構造物の耐震モニタリング機能と連動した警報システムの開発、(2)地域の地盤環境を考慮した地震動予測精度の向上、(3)病院における実証試験による有効利用の検討、(4)学校における実証試験による有効利用の検討を行った。(1)については、建物のモニタリングのための常時作動している地震観測(オンライン地震観測)システムを設置し、この地震計による現地地震情報と、緊急地震速報の両方を連動したシステムの開発を行い、東北大学工学研科の人間・環境系建物および宮城県沖地震の際に地震波到来の早い石巻市牡鹿総合支所庁舎(旧鮎川町役場)で実証試験を行った。(2)については、仙台市域の表層地盤構造と深部地盤構造のデータベースの構築を行うとともに、牡鹿総合支所で観測された記録のP波の立ち上がり部の波形からニューラルネットワークを用いて仙台市域の地震動を高精度に予測する方法を検討した。(3)については、東北大学病院における緊急地震速報の利活用について、同病院においてアンケート調査を実施するとともに、ニーズに基づく利活用システムの提案を行った。(4)については、教育モードとして組み入れるべく素材に関する調査を行なうとともに、地域で予測される被害モードを想定した災害シミュレーションを動画の作成と活用法を検討した。学校における緊急地震速報の利活用の啓蒙と教育現場におけるニーズ調査のために宮城県域と首都圏の649校を対象としたアンケート調査を実施した。
著者
緒方 靖哉 熊谷 健一 吾郷 眞一 北川 俊光 久原 哲 白畑 實隆 井上 治典
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

本研究の成果として、研究代表者及び分担者の所属する九州大学大学院農学研究科遺伝子資源工学専攻と法学部の教官が担当し、遺伝子資源工学専攻及び法学部の学生を対象に「バイオテクノロジー概論」及び「バイオテクノロジー法学概論」と題する学際講義を、この三年間にわたり開催した。平成7年度には、「バイオテクノロジーと法」と題するシンポジウムを開催し、バイオテクノロジーにおける知的所有権の問題を取り上げ、バイオテクノロジーの分野における法の関与に関し議論を行った。また日本農芸化学会主催の第20回化学と生物シンポジウムにおいて、本研究分担者である法学部教官が全面的に協力し、遺伝子導入生物の法学的見地からの解釈について討論を行った。平成8年度には、LHL(Life-Human-Law)研究会を三回開催し、バイオテクノロジーにおける成果物の知的財産としての保護のあり方、生物資源情報に関する問題点と法学的な保護のあり方及び現実に行われたDNA鑑定と現時点におけるDNA鑑定の根本的な問題点などについて、活発な討論会を行った。また九州バイオテクノロジー研究会・平成8年度技術講習会を開催し、バイオテクノロジーにおける基礎技術の公開とその提供を行った。平成9年度においては、本研究主催で“理系と文系の情報交流の現状と今後の課題"と題する公開シンポジウムを開催した。本シンポジウムにおいては、財団法人工業所有権協力センター・広田洋二郎氏及び福岡県弁護士会・岩田務氏を招聘し、討論会を行った。さらに本研究分担者、農学、法学研究科大学院生をパネラ-とし、法学・農学研究科における大学院学際講義の現状の把握と今後に向けた問題点の整理・検討を行った。
著者
木原 成一郎 徳永 隆治 平井 章 梅野 圭史 日野 克博 刈谷 三郎
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本年度は最終年度にあたるため、研究の総括とそれに必要な作業を中心に行った。1、前年度に日野氏と米村氏が中心となって教員養成段階で身についた「実践的指導力」を調査する方法として、学生に視聴させる体育授業のビデオ教材を開発した。本年度は、学生にこのビデオ教材を視聴後自由に質問紙に感想を記述させ、その記述をKJ法を用いて分類し、「実践的指導力」の下位項目と考えられるカテゴリーを取り出した。2、さらに、研究分担者の所属する大学で行う模擬授業や教育実習の反省会の前後に、この開発したビデオ教材を視聴させて学生に自由な感想を記述させ、この「実践的指導力」の下位項目と考えられるカテゴリーを基準として、「実践的指導力」の到達状況を把握した。その到達状況の結果をもとに、対象とした学部、コースの体育科教育関連科目(教育実習を含む)の改善点を明らかにした。3、これまで得られた知見に基づき「技術的実践」と「反省的実践」の双方からなる「実践的指導力」を向上させるための、模擬授業や教育実習での教える体験とその体験を省察する理論的学習の双方を結合させる体育教師教育プログラムを開発するための原則を提案した。4、以上の研究成果について第59回日本体育学会(早稲田大学)及び第28回スポーツ教育学会(奈良教育大学)で発表し研究成果に対する研究者のご批評とご意見をいただいた。それらのご批評とご意見をふまえて、最終報告書を作成した。
著者
岡崎 章 中館 尚也 丸 光恵 内藤 茂幸 小越 明美 油谷 和子
出版者
拓殖大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は,チャイルドライフ・デザインという新しい概念をもとに感性デザインの専門家と看護学の専門家の協力によって進め,プレパレーション・ツールを初めとして,関連ツールを開発した.当初プリパレーションと表記されていたものが3年間にプレパレーションという表記に変わるなど,まだ定着していない分野であったが,医療看護現場・看護教育現場に実用ツールを提供できたことは,本研究の成果である.本研究開発ツールの有効性は,手術用と骨髄穿刺用のツール"Smile"では動作解析システを,腎生検用ツール"Yutori"ではアイマークカメラを使うことで定量的な評価を実施した.これに看護側の定性的な評価を加えて検証した."Smile"は,改良を加えながらチャイルドライフ・デザインのHPから無料ダウンロード提供を実施しており,ツールの効果と取り組みに対して,2007年医療の質・安全学会ベストプラクティス特別賞を受賞した.同内容のプレパレーション絵本「入院患児のための手術用プレパレーション」は2007年グッドデザイン賞(中小企業庁長官特別賞)を受賞した.子どもの不安感や恐怖感は,プレパレーション・ツールだけで払拭できものではなく,処置直前時の恐怖軽減,処置中の注意転換など,プレパレーション・システムとしてのストレスコーピング・ツール,ディストラクション・ツールが必要なことを明らかにし,6種類開発した.詳細な研究プロセス・開発ツールは,チャイルドライフ・デザインのHP(http://www.childlife-design.com/)に記載している.
著者
齊木 崇人 小玉 祐一郎 宮代 隆司 土肥 博至 杉本 正美 上原 三知 佐藤 滋 土肥 博至 杉本 正美 上原 三知 佐藤 滋 中井 検裕 鎌田 誠史 橋本 大樹 長野 真紀
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

新しい住宅地開発プロジェクト、神戸・ガーデンシティ舞多聞の実践と、本研究の指針とした、E・ハワードの田園都市思想とガーデンシティ、それらの系譜にみるコミュニティのフィールドワークを同時進行的に行うことにより、将来の持続可能なコミュニティの創出・再生を目指す居住環境計画に対する、「特有価値を持つ空間デザインを生み出す手法」「コミュニティ形成を促す方策」「空間とコミュニティを持続・向上させるエリアマネジメントの仕組み」の指針を導き出した。
著者
佐野 明人 藤本 英雄
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は, 動力やコンピュータを持たない歩行ロボットに関するものである. ロボットを歩かせるのではなく, 歩けるような脚・足にすることで, ロボット自身が自然かつ滑らかに歩行することができる. 開発したロボットは, 約2時間歩き続けたり, 時速3.3[km/h]で素早く歩いたりすることができ, しかも歩く姿はヒトそっくりである.
著者
平石 貴樹 高橋 和久 大橋 洋一 柴田 元幸
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究の基本的目的は英米圏文化における映画と文学との相互作用をその界面において考究すべく、電子化された映画映像と電子化された文学テクストを利用することであった。だが同時に利用できる電子媒体が、真摯な文化研究計画にとっては、十分に活用できない不備なものであったり、研究にふさわしくないものも多く、自らデータベースを立ち上げる必要に迫られ、その作業に着手した。利用可能でその有効性が飛躍的に高まるようなデーターベースの構築を進めると同時に、文学と映画をオリジナルとアダプテーションという観点から捉え、その関係を、境界画定と境界破壊の両面から考察することになった。計画は両面あり、ひとつは材料を限りなく収集し、電子化しデータベース化する作業、いまひとつは理論的考察によって文学文化における映画の意味、文学と映画の相互作用などを考える準備として、文学の映画化作品との関係を考慮することであった。最終結果としてのデーターベースの完成(このようなデータベースは完全なものはありえないが)を見なかったが、作業は継続している。理論的考察としては、オリジナルとアダプテーションとの関係が明確ではなくなるという難題に直面した。これは現代の複製文化から翻案文化すべてに共通する大きな問題で、文学と映画と載然と二分化することを困難にする理論的難題であって、完全な解決などありえないが、この問題を契機にさまざまな思考や理論を考案することになった。文学と映画との関係は英米圏文化では、従来考えられていた以上の予測不可能な多様な関係を形成していることが確認され、また両者の関係は他の社会的文化的分野に波及しており、この研究は文化研究からさらに教育の場においても有効であることも確認できた。
著者
岩室 史英 長田 哲也 太田 耕司 吉田 道利 沖田 喜一 泉浦 秀行 長田 哲也 太田 耕司 吉田 道利 沖田 喜一 泉浦 秀行
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、京大3.8m分割鏡望遠鏡の分割主鏡の位置を光の波長の1/20の精度で合わせる技術の開発研究を行った。5色レーザーを用いたこの方法は、従来の星を用いた方法とは異なり、大気の状態や天候の影響を受けることなく高速で分割鏡の状態を確認することができる。この新手法と、独自の高精度アクチュエータを組み合わせて、実際の望遠鏡の一部の複製を用いて分割鏡の位置合わせを行うことに成功した。
著者
安藤 仁介 岩沢 雄司 金 東勲 西井 正弘 薬師寺 公夫 坂元 茂樹 村上 正直 小畑 郁 中井 伊都子 徳川 信治 北村 泰三 初川 満
出版者
(財)世界人権問題研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」の自由権規約委員会は、締約国の提出する政府報告を審査し、勧告を含む総括所見を採択して、そのフォローアップを求める慣行を確立した。本研究は、各締約国が、これらの勧告を受け入れているかいないか、また、各国に固有の文化的・社会的・宗教的構造が、それにどのように影響を与えるかを比較検討し、自由権規約の保障する人権を実現するためには、どのような課題が存在するかを分析した。
著者
樋口 範雄 伊藤 洋一 浅香 吉幹 寺尾 美子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

樋口の英文報告「Legal Education in Japan」では、日本における学部レヴェルの法学教育と司法試験によって特徴づけられた法曹養成との伝統的制度を比較法的視点から概観した後に、平成13年6月の司法制度改革審議会意見書などにみられる法科大学院構想の趣旨と動向を跡付けている。寺尾の報告「アメリカ法学教育の特色とアメリカ・ロー・スクール協会-(AALS)の活動について」では、アメリカのロー・スクール教育において民法諸分野を中心とした1年生科員がとりわけ重視されつつ、多くの少人数クラスをしばしば別の法分野を専門とする教員が分担している、という事実を指摘し、その背景にあるアメリカ法学の特質について論じている。そしてそのような法学教育と法学との相互作用を象徴するアメリカ・ロー・スクール協会の活動を紹介する。浅香の報告「英米法諸国における大学法学教育と法曹養成」では、英米法諸国といえども、イングランド、オーストレイリア、ニュージーランド、アメリカにおいて大学法学教育と法曹養成との関係はさまざまであることを指摘した後に、アメリカの法学教育において、一方で実務能力や倫理の問題についてクリニカル教育の活用が盛んとなっていること、他方で英米法諸国において非法学分野の教育が法曹養成において積極的意義を与えられていると述べる。伊藤の報告「フランスにおける比較法研究・教育について」では、フランスにおいては意外にも比較法研究・教育の態勢が伝統的に脆弱であったことを指摘しつつ、最近になってヨーロッパ法の重要化とグローバル化がその重要性の再認識を起こしていることを紹介する。
著者
中坪 文明 矢野 浩之 高野 俊幸 佐川 尚 伊達 隆
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

バルクへテロ接合型有機薄膜太陽電池に用いられている p-および n-型半導体機能官能基担持させたセルロースおよびセルロースナノファイバー(CNF)誘導体からバルクへテロ接合型光電変換デバイスを作成し、そのエネルギー変換効率を測定した。その結果、CNF-ZnPc から作成したフィルムデバイスは低いエネルギー変換効率(0.0011%)ではあるが光電変換機能を示した。また、CNF-graft-poly-3-alkylthiophene から作成したフィルムデバイスのエネルギー変換効率は 0.025%(約 25 倍)に向上した。すなわち、CNF 担持 p-型官能基の構造を最適化することで、更なるエネルギー変換効率の向上が期待されると考えられる。