著者
塩川 博義 梅田 英春 皆川 厚一 豊谷 純 イ・マデ・カルタワン 杉山 昌子
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

バリ島で一般的に使われているガムラン・ゴング・クビャールを中心に、日本とバリ島で、約90セットのガムランの測定し音響解析を行ってきた。その結果、それらの音高はバリ島における地域や時代によって異なることがわかってきた。特に、教育機関に関わりのある11セットのガムラン・ゴング・クビャールを測定した結果、それらの音名1(ding)の音高は、C#かDであり、特にASTIより新しいそれらは、いずれもC#であることを明らかにした。また、ガムラン・ゴング・クビャールよりも古いガムラン・プレゴンガン 7セットの音高を分析した結果、音名1における音高は、いずれもC# からD# の間であることを明らかにした。
著者
佐山 裕行 長坂 泰久 田端 健司
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.154, no.3, pp.143-150, 2019 (Released:2019-09-14)
参考文献数
19
被引用文献数
2

Quantitative systems pharmacology(QSP)とは,疾患に関連する生体システムと薬物との相互作用を数理モデルによって記述する新しいモデリング手法であり,近年医薬品開発の様々な段階で意思決定に用いられている.従来の経験則に基づく統計学的なモデルと異なり,QSPは生体システムそのものをバイオロジーに基づいて記述するため,創薬標的や疾患関連バイオマーカーの探索,仮説検証,臨床での薬効や毒性の予測などの幅広い目的で使用することができる.一方で,膨大な情報を含むQSPはモデル構造が極めて複雑となり,その構築・活用にはバイオロジーについて深い知識を持つ薬理研究者とモデリング経験の豊富な薬物動態研究者の協働が不可欠である.本稿では,薬物動態研究者から薬理研究者へ,QSPの特徴ならびに企業での実施状況,医薬品開発で効果的に活用していくための課題と将来の展望を解説する.
著者
高橋 義雄
出版者
日本スポーツ産業学会
雑誌
スポーツ産業学研究 (ISSN:13430688)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.13-22, 2004-03-31 (Released:2011-03-01)
参考文献数
33
被引用文献数
2

This study deals with factors affecting the migration of J.League players. The purpose of this study is to describe the reasons why J.League players transfer to foreign football clubs. The data of this study were collected from Internet websites, magazines, newspapers, books that the players published, and statistical reports. In this study, 107 cases were gathered. First in this study, the history of the migration of Japanese football players during 1975-2003 is described and the numbers of cases and the destinations of the players are explained. The pattern of the migration is divided into three periods. The first period is from 1975 to 1992. This period was before the launching of the J.League. In Japan, there had not been any professional football players before 1986. Therefore, small numbers of migration, just 20 cases were found. The second period was from 1993 to 1997. In this period, J.League was started, however because the Japanese national team had never qualified for the World Cup, the reputation of Japanese players was not so high. The last period was after 1998. In this period, the Japanese national team could qualify for the France World Cup and Nakata, Hidetoshi succeeded in playing for the Italian club, 'Perugia'. In this period, the numbers of the migrations of the J.League players greatly increased. This study also shows some factors affecting the migration of the J.League players. The factors were divided into psychological factors, skill and adaptation factors, and socioinstitutional factors. Moreover, our findings regarding these factors support McGovern's paper of 2002.
著者
大島 和 南部 美砂子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.33, 2011

近年,ポジティブ・イリュージョンという概念が重要視されているが,この概念に関する研究は十分には行われていない.本研究ではポジティブ・イリュージョンに対する理解をより深めるために,リスク認知とリスクテイキング行動との関連に着目した.質問紙調査では外山(2000)の自己認知尺度および,本研究で作成したリスク認知とリスクテイキング行動の尺度を用いた.分析の結果,自己の将来に対する楽観主義において,高揚的な認知が危険行動を抑制することが明らかになった.将来に対する前向きな思考が,危険な出来事に遭わないようにするためにはどのような行動をとるべきかを適切に判断して,危険を回避していると考えられる.しかし,これはポジティブ・イリュージョンの与える影響の一つを確認したに過ぎない.今後はさらにポジティブ・イリュージョンの効果に対する理解を深めることが重要になると考察した.
著者
工藤 恵理子
出版者
東京女子大学
雑誌
東京女子大学紀要論集 (ISSN:04934350)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.255-266, 2016-09

人々は課題の完了時の予測をするとき過度に楽観的であり、この傾向を計画錯誤と呼ぶ。これまでの研究はこの傾向をなくすことが困難であることを示してきた。本研究では、計画錯誤についての知識を与えることで予測が修正されるかどうか、予測時の焦点化の効果、修正における自分と他者に対する予測の違いを検討した。76名の女子大学生が実験に参加した。参加者は計画錯誤についての講義を受ける直前と直後に課題の完了時についての予測を行った。このとき、同じクラスの中からランダムに選ばれた1名の他者が同じ課題の完了時についてどのように予測するかも推測して回答した。講義の前後での予測の変化を分析したところ、講義の後で参加者は自信の予測を修正していたが、他者の修正はもっと大きな巾で行われると予測していた。人々は自身が計画錯誤に陥ることは理解してるが、他者ほどではないと捉えていると考えられる。
著者
泉 桂子
出版者
林業経済学会
雑誌
林業経済研究 (ISSN:02851598)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.20-28, 2010-11-01 (Released:2017-08-28)
参考文献数
50

1兆円超の累積債務を抱える全国の林業(造林)公社について,既往の研究文献により以下2点を明らかにした。第1に公社債務問題は研究史上,1980年から言及され,1985年には公社ビジネスモデルそのものの欠陥が指摘されたが,債務問題に対しては対処療法が示されたに過ぎなかった。1992年以降公社研究は下火となり,公社解散が現実となるが,解散によってその債務問題が解決したとはいえない。研究史上農林漁業金融公庫の貸し手責任が明言されたことは成果であった。第2に,設立当時,公社には1.拡大造林の推進,2.地域振興,3.森林所有と森林経営の分離,4.農林漁業金融公庫の資金活用の4つの役割が期待された。これらの役割は1970年代前半〜1990年半ばに終了した。役割の終了にもかかわらず債務問題を抱えなおも公社が存続し得たのは,公社形態を取ったことによる信用膨張,事業と経営の分離,無責任体制に一因がある。
著者
今井 久美子 大橋 洋平 柘植 知彦 吉積 毅 松井 南 岡 穆宏 青山 卓史
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 第47回日本植物生理学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.S050, 2006 (Released:2006-12-27)

Endoreduplicationは有糸分裂をせずにDNAの複製を繰り返して細胞のploidy(倍数性)が上昇する細胞周期で、特に植物では様々な組織の発生・分化に関わっており、例えばシロイヌナズナでは成熟ロゼット葉を構成する細胞のほぼ8割で起きている。植物体ではこの現象によって上昇するploidyは組織に応じてほぼ一定の範囲内に制御されているが、動物では癌化に関連して無秩序に起こる場合が多く、主に細胞周期の異常としてそれが起こる原因についての研究が進められてきた。植物においても、通常の細胞周期からendoreduplicationへの切り替わりに関する因子を中心として解明が進んでいるが、一方でその終了に関わる因子については存在の有無についても良く分かっていなかった。我々は植物サイクリンA2がendoreduplicationの終了に関わる主要因子であり、DNA複製の繰り返しを阻害していることを確認した。植物細胞はそのタイプに応じてendoreduplicationの促進・抑制因子のバランスを調整して巧妙にploidyを制御していると考えられる。
著者
飛塚 慎太郎 山崎 和彦
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第64回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.386, 2017 (Released:2017-06-29)

本研究では電車での移動を楽しくすることを目標とし、電車内を立って過ごしたくなるような工夫をすることで、本質的に座りたい人が座ることができる空間をつくることを目指した。電車を利用する20代へのアンケート調査を行い、アイデア展開、プロトタイプの制作と評価、最終成果物の制作をした。電車の天井を利用したプロジェクションマッピングとProcessingによる音声を利用したセンシングを用いることで、電車内での新しい過ごし方のアプローチができた。
著者
山口 貴弘
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.257, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
2

多剤耐性菌は世界中で急速に発生拡散しており,多剤耐性菌感染症による健康リスクは増大している.近年,多剤耐性菌感染症の治療に効果的であるとしてコリスチンが再注目されている.コリスチンは1950年に日本で発見された抗菌薬であり,主に家畜の飼料添加物として世界中で利用されている.ヒトに対しては,腎毒性や神経毒性等の副反応が強く,使用は限定されていた.しかし,多剤耐性菌感染症の最終選択薬として,日本でも2015年に一部の多剤耐性グラム陰性菌の感染症治療薬として適応が認められた.多剤耐性菌に対する「最後の切り札」として期待されているコリスチンであるが,2015年にプラスミド性コリスチン耐性遺伝子(mobilized colistin resistance gene)mcr-1を持つ大腸菌が初めて報告され,それ以降,各国で臨床検体,食肉等から数多く検出されている.また,mcr-1以外のプラスミド性コリスチン耐性遺伝子が次々に報告され,多剤耐性菌感染症の治療への影響が懸念されている.プラスミド性コリスチン耐性が拡散している原因は,コリスチン耐性遺伝子を持つプラスミドが,同種もしくは異種の細菌に水平伝達していくことや,可動性挿入配列IS(insertion sequence)のような転移因子(transposable genetic elements)による拡散が考えられる.今回はISの一種であり,コリスチン耐性拡散の要因とされているISApl1に関する研究について紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Liu Y. et al., Lancet Infect. Dis., 16, 161-168(2016).2) Poirel L. et al., Antimicrob. Agents Chemother., 61, e00127-17(2017).
著者
大武 義人
出版者
一般社団法人 日本ゴム協会
雑誌
日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
巻号頁・発行日
vol.90, no.10, pp.482-489, 2017 (Released:2017-12-09)
参考文献数
9

Destruction is a usual phenomenon in the trouble of rubber and plastic products, in particular fatigue fracture is frequently found in the case of vulcanized rubbers. Observation of fracture surface, that is fractography, is not reliable technique in the field of rubbers and plastics, even though it is well known method as the first step of accident analysis. Supporting evidence, such as results of surface analysis on the fracture and molecular weight measurement of damaged part, is necessary as well as the observation of fracture surface. There are some techniques against the fatigue fracture, for instance, increasing the radius of curvature of products and the amount of antioxidants.
著者
秦 吉弥 矢部 正明 枦木 正喜 高橋 良和 葛西 昭 松崎 裕 秋山 充良
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
構造工学論文集 A (ISSN:1881820X)
巻号頁・発行日
vol.63A, pp.251-264, 2017 (Released:2018-06-08)

下記の論文は撤回されました.記秦吉弥,矢部正明,枦木正喜,高橋良和,葛西昭,松崎裕,秋山充良:臨時余震観測に基づく2016年熊本地震における九州自動車道沿いの被災橋梁に作用した地震動の評価,構造工学論文集,Vol. 63A,pp. 251-264,2017.撤回の理由2019年3月15日に大阪大学より公表された研究活動上の特定不正行為に関する調査結果において,本論文に対して第一著者による特定不正行為(ねつ造)が認定されたため,撤回した.
著者
秦 吉弥 中村 晋 野津 厚
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
構造工学論文集 A (ISSN:1881820X)
巻号頁・発行日
vol.58A, pp.250-263, 2012 (Released:2013-04-19)

下記の論文は撤回されました.記秦吉弥,中村晋,野津厚:2011年東北地方太平洋沖地震における藤沼ダムでの地震動の評価-海溝型巨大地震へのサイト特性置換手法の適用-,構造工学論文集,Vol. 58A,pp. 250-263,2012.撤回の理由2019年3月15日に大阪大学より公表された研究活動上の特定不正行為に関する調査結果において,本論文に対して第一著者による特定不正行為(ねつ造)が認定されたため,撤回した.
著者
桜井 敏雄
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.285-294, 1974-03-10 (Released:2009-11-26)
参考文献数
10
著者
井上 久美子 小林 三智子 長澤 伸江
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.164-172, 2019

<p>目的:スマートフォン(以下,スマホ)の常時携帯・接続可能という特殊な使用形態は,生活行動の乱れや心身の健康問題などの誘因になる.日本ではスマホ依存の定義や依存尺度が確立しておらず,先行研究では主に使用概算時間が指標として用いられてきた.そこで,本研究では回答が簡易であるスマホ使用場面数を用い,スマホ使用状況と健康状態や生活行動に対する自己管理力の関連と,指標としての有用性を検討した.</p><p>方法:女子大学生を対象とする横断研究として,24時間軸に沿って抽出した8つの場面から,スマホを使用する場面を複数回答する質問を含む生活調査を実施した.場面数と,身体的愁訴や生活行動および食に関する自己評価との関連を検討した.統計解析は,順序尺度はクラスカル・ウォリス検定,名義尺度はχ<sup>2</sup>検定後に残差分析を用いた.</p><p>結果:有効回答は1,260名(84.9%)であった.多使用群(6場面以上)は,食事,授業,アルバイトなどの場面を複数選択していた.少使用群(0~2場面)と中使用群(3~5場面)に比べ,多使用群では有意に身体的愁訴数(<i>P</i><0.001)と朝食欠食者数(<i>P</i>=0.001)が多く,食に関する自己評価が低かった.</p><p>結論:スマホ使用場面数を指標として用いることは,スマホの使用状況が生活行動や健康状態に及ぼす影響を検討するために有用である.本研究は,スマホ多使用者において,朝食欠食行動と身体的愁訴が増大するリスクがあることを示唆している.</p>
著者
土屋 みさと 堀内 かおる
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集 第45回日本家庭科教育学会大会
巻号頁・発行日
pp.10, 2002 (Released:2003-04-02)

(目的)近年、制服のブランド化など「制服のファッション化」が進む一方、私服を制服のように着こなす高校生も増えている。高校生の服装規範意識の変化に対応し、被服教育も新たな教育的意義が問われている。そこで本研究では、制服や日常着にみられる服装規範と高校生のファッション観を明らかにし、今後の被服教育への示唆を得ることを目的とした。(方法)制服や服装規範に関するアンケート調査を2001年6月∼7月及び10月に実施した。対象は首都圏の高校生男女2002名である。有効回収率は88.5%、データはパーソナルコンピュータに入力し、集計ソフトSPSSを用いて分析した。(結果と考察)現在の高校生のファッション観の特徴として、(1)今だからこそできる自由な服装への指向、(2)自由さをあえて制限するような「枠」への依拠、の2点が認められた。高校生たちは、「自己主張」の一表現形態としておしやれをとらえながらも、準拠枠となる一定の服装規範を必要としていた。「枠」によって制限され服装が無個性化した中で、あえてその服装をわずかに変えることで個性を表現しようと試行錯誤している姿が見いだされた。したがって今後の被服教育においては 自分らしさを表現する力の育成が重要である。生徒の個性を表現しようとする意欲を尊重し、自らを主張する力の育成を通して、生徒が自己を見つめ直し、ひとりひとりが独自の自己表現力を身につけることが必要だと考える。
著者
宮川 淑
出版者
社会経済史学会
雑誌
社会経済史学 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.27-50, 1963-09-25 (Released:2017-08-10)

The level and the trends of the per acre yield of wheat in England from the middle ages down to date were ingeniously demonstrated by M. K. Bennett in his article contributed to the Economic History in 1935. But the progress of the study of English economic history since then has rendered some of his conclusions untenable. The writer intends to make necessary modifications of Bennett's curve, the result of which is seen on the chart prited on p. 23.