著者
中島 芽理
出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.155-177, 2022 (Released:2022-07-19)
参考文献数
90
被引用文献数
2

本稿では1960~70年代の大阪府の釜ヶ崎を事例として,東京都の山谷の事例も交えながら,アルコール依存症の様々な回復システムが生産される過程を「癒しの景観」という概念を用いて明らかにする。日本では近代以降,男性中心の飲酒慣行が形成されてきた。そのため,アルコール依存症も男性特有の疾病とみなされてきた。医療機関と日本の家父長制的な飲酒慣行に即して発足した自助グループである断酒会によって,まず治療の対象とされたのは,家族のある依存症者であった。単身アルコール依存症者は,既存のシステムに包摂されることによって,かえって排除の対象となった。それは,単身男性労働者に特化した地域として構築された寄せ場において,「問題」として前景化した。山谷では,断酒会や医療機関の無力が新たな主体を生じさせ,AA(Alcoholics Anonymous)という組織が展開した。釜ヶ崎では医師が軸となって断酒会や行政,民間福祉団体に対して働きかけが行われ,単身アルコール依存症者の回復が目指された。これにより,断酒会の方法を唯一のものとする「大阪方式」が確立された。このように,アルコール依存症の「癒しの景観」は偶有的な過程においてつくられるものであり,それぞれの地域における主体の布置によって異なるものとなった。
著者
長澤 和也 三橋 正基
出版者
日本甲殻類学会
雑誌
CANCER (ISSN:09181989)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.e131-e133, 2019-08-01 (Released:2019-09-03)
参考文献数
15
著者
安松 啓子 多田 美穂子 永井 由美子 中田 悠
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.21, no.7, pp.261-268, 2021 (Released:2021-07-02)
参考文献数
48

脂肪の検出に味覚器が関与する証拠が2000年前後から相次いで報告され,舌の味覚器に脂肪酸トランスポーターをはじめとする受容タンパクの発現検索,そして続いて機能証明が多角的になされている。筆者らはGPR40(FFAR1),GPR120(FFAR4)がマウスの舌に発現し脂肪酸の情報を脳に伝えること,GPR120は鼓索神経領域で長鎖脂肪酸を受容伝達して,他の味との弁別に役立っていることを報告した。さらに舌咽神経領域におけるCD36の嗜好性の脂肪酸情報の役割も現在解明中である。GPR120は消化管で最初に機能が報告されたが,脂質による腸管ペプチドGLP-1を通じてインスリン分泌や満腹感などにも関与し,胃のグレリン分泌を抑制することで食欲を抑える機能も最近明らかになっている。味覚による脳相反応によって,消化吸収の準備が始まり,満腹感にまで影響を与える可能性が大きい。味覚と疾患の関連として,肥満・糖尿病患者は味覚感受性が低下しており,さらに脂質や調味料を摂りすぎる危険性がある。味覚は今や摂食調節や生活習慣病と密接にかかわることが明らかで,美味しさ・不味さの解明は全身とのつながりにおいても重要である。
著者
丸山 武紀
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.259-266, 2013 (Released:2016-02-01)
参考文献数
19
被引用文献数
2

トランス脂肪酸を摂取すると心疾患のリスクが高くなることが明らかになってきた。そのため,米国などではトランス脂肪酸を表示している。デンマークやスイス,オーストリアでは使用を規制している。 我が国では,食品安全委員会が日本人の摂取量はWHOが勧告した量を下回るので,通常の食生活では健康への影響は小さいと発表した。これにより国民のトランス脂肪酸に対する関心は薄らいだ。しかし,すべてが解決したわけではないので,本報告はトランス脂肪酸の現状を解説した。
著者
清水 洋
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.75-94, 2000-09-25 (Released:2009-11-06)

The main object of this article is to analyze the strategy of Chisso Corporation when Minamata Disease became a social issue and to explain the paradox of the strategy. I scrutinize the decision-making process of Chisso, which was one of the leading firms in Japanese chemical industry and which caused Minamata disease, one of the worst pollution incidents in Japan. This article focuses on why Chisso increased production despite the knowledge that this would intensify the suffering as well as increase the number of victims.On the basis of this analysis, it can be concluded that increasing production, which only served to spread the suffering, was the means Chisso used to avoid the further expansion of Minamata disease. The backdrop of this paradox was a complex situation in which the policies of the Ministry of International Trade and Industry's (MITI) and the local government, the strategies of rival firms, and technological change were intertwined.
著者
三冨 正隆
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.439-459, 1993
被引用文献数
8

台湾の蘭嶼に居住するヤミ族は,天上神を中心とした世界観と空間認識の体系を発達させており,人の霊魂は天界から蘭嶼に来りて誕生し,死ぬと死霊となり彼方の死霊の島に去ってここに永久に留まるという不可逆的な時間・空間の観念が卓越していて,他のオーストロネシア諸文化とは逆に外洋方向を良い方向,山岳方向を悪い方向として象徴化している.<br> しかし蘭嶼がバタン諸島と渡洋交易を営んでいたはるか過去の時代には,祖霊を中心とした体系が発達しており,霊魂は山岳方向から来りて誕生し,死とともに外洋方向より死霊の島に去り,いつかまた再生するという循環的な時間・空間の観念が卓越していて,山岳方向が良い方向,外洋方向が悪い方向となっていた.この変容は,バタン諸島がスペイン人に征服されて蘭嶼が孤立した小世界となり,父系的血縁集団が衰退し,個人主義と威信競争が卓越するようになった社会秩序の変化と大きくかかわっている.
著者
岡崎 賢志 八木 利枝
出版者
香川県産業技術センター
雑誌
研究報告 (ISSN:13465236)
巻号頁・発行日
no.12, pp.88-89, 2012-06 (Released:2013-10-08)

48種類の食品のアデノシン濃度をHPLC法で測定したところ,黒大豆,大豆,小豆,レタス,かぶ,かぼちゃ,ほうれん草,ピーマン,トマト,はくさい,あさり,パセリ,及びキノコ類が風乾重100g当たり50mgを超える比較的高い濃度であった。
著者
岩崎 由希子 藤尾 圭志 岡村 僚久 柳井 敦 山本 一彦
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.40-46, 2013 (Released:2013-02-28)
参考文献数
33
被引用文献数
2 2

IL-10は炎症・自己免疫応答を抑制するサイトカインとして知られており,近年報告が相次いでいる誘導性制御性T細胞(Treg)の抑制能の一端を担うサイトカインとしても重要である.Type1 regulatory T (Tr1)細胞は,IL-10産生を特徴とするIL-10産生制御性T細胞の中でも代表的なものである.Tr1を特徴づける細胞表面マーカーや分化誘導機構については未解明の部分も多いが,近年IL-27がT細胞にIL-10産生を誘導し,Tr1を誘導し得るサイトカインとして注目されてきている.また,既に我々が報告しているCD4+CD25−lymphocyte activation gene (LAG-3)+ Treg(以下LAG3+ Treg)は末梢で誘導されるTregであり,やはりIL-10がその制御活性に重要である.LAG3+ Tregにおいて,T細胞にanergyを誘導する働きをもつ転写因子Egr-2の発現亢進が確認され,Egr-2のCD4+ T細胞への強制発現によりLAG-3発現およびIL-10産生が付与されることを我々は見出しており.Egr-2がLAG3+ Tregの抑制能付与において重要な働きをする可能性が示唆されている.本稿では,Tr1およびIL-27誘導性IL-10産生に関する知見について概説し,LAG3+ Tregについて紹介すると共に,自己免疫疾患の新規治療応用への可能性について考察する.
著者
高倉 優理子
出版者
日本音楽学会
雑誌
音楽学 (ISSN:00302597)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.61-77, 2018 (Released:2019-03-15)

本論文は,黛敏郎(1929~1997)の自筆スケッチ集である明治学院大学図書館付属日本近代音楽館蔵「Campanology資料」をもとに,《涅槃交響曲》(1958)及び《曼荼羅交響曲》(1960)の基礎和音成立過程を比較し,黛の創作活動における両作品の位置づけについて考察するものである。 黛は梵鐘音の音響分析結果をもとに作品を創作したことで知られ,《涅槃交響曲》および《曼荼羅交響曲》は,その代表作として捉えられてきた。「Campanology資料」は,黛が梵鐘音をもとに作曲した諸作品の一次資料であり,黛の自筆で「Campanology資料」と記入された表紙および作品の自筆スケッチと黛が創作の際に使用したとみられるドキュメントの計8点(資料1~8)から成る。8点の資料は,《涅槃交響曲》,《曼荼羅交響曲》及び電子音楽作品に関する資料を含んでいると考えられる。また8点の資料のうち,《涅槃交響曲》の資料は資料3-1,4,5,8,《曼荼羅交響曲》の資料は資料3-1,4,5,7である。 「Campanology資料」を用いて両作品における基礎和音の成立過程を比較すると,両作品とも山下敬治の論文「実験音響学」から得た梵鐘音振動数データを用いて作曲されているという共通点が見られた。しかし,《涅槃交響曲》の基礎和音が梵鐘音振動数データを書き起こして作成した和音の原形または移高形で構成されているのに対し,《曼荼羅交響曲》では梵鐘倍音の構成音における規則性をもとに音列を作成し,その音列の構成音を積み重ねて基礎和音を作成しており,両作品における梵鐘倍音の利用法は異なっている。これらの結果から,《涅槃交響曲》と《曼荼羅交響曲》は,双方ともに同一の梵鐘音データを研究する過程で生み出された作品であると位置づけることが可能である。黛は両作品の創作を通じて梵鐘倍音の規則性を複数の角度から分析し,自身の従来の作曲技法とも組み合わせて活用することにより,表現手法の拡充を試みたと考えられる。
著者
内林 政夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.126, no.12, pp.1341-1349, 2006-12-01 (Released:2006-12-01)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

An overview is presented on the reports available so far on sweet potato, Ipomoea batatas, cultivated widely in Polynesia in the pre-Columbian era, with reference to possible ways and presumptive dates of transfer from the Americas to Polynesia, such as (1) Polynesian navigators' travel to Peru, (2) Peruvian fishermen's drift westward, (3) vessel drift, (4) seed drift, (5) root-tuber drift, and (6) transport by birds. The author supports the case (1) as most plausible. Ganshu or Ganchu described in the old Chinese herbal books is identified as Dioscorea esculenta. An introduction of the tuber to China and Japan is briefly mentioned.
出版者
歴史図書社
巻号頁・発行日
vol.本巻, 1973
著者
白鳥 千恵子 半澤 香子 三原 貴洋 川崎 るい 許 懷哲 明石 なつき 大塚 創平 木次 洋一 西尾 里志
出版者
一般社団法人 日本獣医麻酔外科学会
雑誌
日本獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:21896623)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.23-28, 2020 (Released:2020-11-02)
参考文献数
20

4年前に脾臓結節性過形成の自壊による脾摘歴がある11歳のラブラドール・レトリバーが、1週間前からの元気食欲低下と血尿を主訴に来院した。全身性炎症反応症候群(SIRS)と伴に腹腔内の多発性腫瘤が認められたため、試験開腹を行った。腫瘤は大網や腹壁に散在し、それらを摘出した後の病理検査では、全て異所性脾臓と診断された。術後は良好に回復した。SIRSの主因は化膿性炎症と思われ、感染源は泌尿生殖器と推定された。偶発的に発見された異所性脾臓は、過去の良性脾臓病変の自壊による後天性の脾症と考えられた。脾摘歴のある犬の腹腔内の多発性腫瘤においては、異所性脾臓の可能性も考慮すべきと思われた。
著者
近藤 一博
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.828-833, 2014-09-01 (Released:2017-08-01)

現代はストレス時代といわれ,ストレスの蓄積状態である「疲労」による,うつ病や自殺が増加している.このような状況を打開するためには,疲労のメカニズムの解明や,疲労を客観的に測定して予防することが必要となる.われわれはこの目的のために,人の意思では変化しない疲労のバイオマーカーを検索し,唾液中に放出されるヒトヘルペスウイルス(HHV-)6による疲労測定法を開発した.HHV-6は突発性発疹の原因ウイルスで,ほとんどの人の体内でマクロファージと脳内アストロサイトに潜伏感染している.マクロファージで潜伏感染しているHHV-6は,1週間程度の疲労の蓄積に反応して再活性化し,唾液中に放出される.このため,唾液中のHHV-6の量を測定することによって中長期の疲労の蓄積を知ることができた.脳の前頭葉や側頭葉のアストロサイトに潜伏感染しているHHV-6も,ストレス・疲労によって再活性化が誘導されると考えられる.われわれは,脳での再活性化時に特異的に産生される,HHV-6潜伏感染遺伝子タンパクSITH-1を見い出した.SITH-1発現は,血液中の抗体産生に反映され,血中抗SITH-1抗体を測定することによって,脳へのストレスと疾患との関係を検討することが可能であった.抗SITH-1抗体陽性者は,主としてうつ病患者に特異的にみられ,抗SITH-1抗体がうつ病のバイオマーカーとなることが示唆された.ヘルペスウイルスの再活性化の指標となる抗体のavidity indexを指標にヘルペスウイルス再活性化と精神疾患との関係を検討した.この結果,ストレスによって誘導されると考えられる単純ヘルペスウイルス1型の再活性化の亢進は,アルツハイマー病の前段階である健忘型軽度認知機能障害と関係することがわかった.これらの現象は,心身相関にはヒトそのものの因子の他に,体内に潜伏するヘルペスウイルスも関連し,社会的ストレスとともに複雑な因果関係を形成していることを示すものと考えられた.
著者
上羽 瑠美
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 (ISSN:24365793)
巻号頁・発行日
vol.125, no.10, pp.1440-1445, 2022-10-20 (Released:2022-11-05)
参考文献数
45

新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) による新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) は, 2019年末に始まり, 世界中で大流行となった. COVID-19 の臨床症状はさまざまだが, 特にほかのウイルス感染症と比較して感覚器障害 (嗅覚障害・味覚障害) の頻度が高いことが特徴である. 新型コロナウイルス感染のためにはホスト側の ACE2 や NRP1 といった受容体の存在や, TMPRSS2 や Furin といったプロテアーゼの存在が重要である. COVID-19 による嗅覚障害では, 気導性嗅覚障害, 嗅神経性嗅覚障害, 中枢性嗅覚障害の全てが生じ得る.多くの場合, 発症から2週間以内に改善するが, 半年以上経過しても症状が改善せず遷延する場合がある. 治療法はまだ確立されていないが, 症状が数週間続く場合には, ステロイド鼻噴霧や嗅覚刺激療法が適応となる. 本稿ではまず新型コロナウイルス感染の機序について説明し, 次いで COVID-19 による嗅覚障害の機序について解説する. 最後に, COVID-19 による嗅覚障害の臨床像や治療法について述べる.
著者
江口 泰正 井上 彰臣 太田 雅規 大和 浩
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.256-270, 2019-08-31 (Released:2019-08-31)
参考文献数
34
被引用文献数
12

目的:忙しい労働者における,運動継続が出来ている人の特性について,特に運動継続の理由・動機に着目して探索的に明らかにし,新たな行動変容アプローチに関する示唆を得ることを目的とした.方法:労働者に対して運動実施状況や運動継続の理由等について質問紙による横断的調査を実施し,1,020名から回収できた.無効なデータ等を除いた最終的な分析数は521名分であった.継続理由の強さを1~5点に得点化し,平均値を運動継続群と非継続群で比較した.また継続理由を因子分析した.結果:労働者における運動継続者の継続理由の上位[推定平均値(SE)]には,体力向上[4.02(0.12)],体型維持[3.98(0.13)]や健康への好影響[3.90(0.12)]など,健康への利益が多かったが,非継続者も上位は同様で,得られる利益について認識していることが明らかになった.次に継続理由の因子として「楽しさ・高揚感」「依存・自尊」「外観・陶酔」「健康利益」「飲食的充足」の5つが抽出された.このうち運動継続者に見られる顕著な特性として「楽しさ・高揚感」の重要性が示唆された.また「飲食的充足」は,非継続者の方が継続者より有意に得点が高かった.結論:労働者における運動継続への動機として「楽しさ・高揚感」が最も重要であることが示唆され,この因子に対する良いフィードバックが継続へのアプローチとして有効となる可能性がある.
著者
波平 恵美子
出版者
The Japanese Association of Sociology of Law
雑誌
法社会学 (ISSN:04376161)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.62, pp.19-30,189, 2005-03-30 (Released:2011-04-13)
参考文献数
13

Since the Japanese nation state started in 1868, there have been differences between customs among the Japanese people and legal institutions over 'approval' of death, treatment of the remains and worship of the dead. Although the nation and the people have compromised the differences, from now on the legal institutions have to be more regulated because of the thorough changes of family, community, work environment and etc..The differences have been found in three phases of death, i. e., (1) 'approval' of death, (2) treatment of the remains and (3) worship of the dead which have been embedded the traditional family system, 'ie'.On the approval of death the Meiji government made the regulation in which a dead body should be diagnosed by modern medical doctors though all diagnoses could not be done because of the shortage of doctors. In the process of modernization for one century the regulation had been realized and the difference has disappeared. Another big difference occurred in the dispute about cadaver organ transplantation which accompanies a diagnoses of 'brain death'. As a compromise of the long time dispute there are legally two kinds of death, i.e., 'brain death' and 'heart death'.On the treatment of the remains the big difference was formed in the military system. In the pre-war system the remains and spirits of dead soldiers belonged to the government, and the rights of the soldiers' families were secondary. On the third phase of death, worship of the dead, the spirits of dead soldiers were deified in Yasukuni-jinja, a Shinto shrine though most Japanese dead spirits were worshipped in Buddhism.Accompanied with globalization of economic systems Japanese social structure is basically changing which certainly brings changes of the Japanese people's custom over death. Now the regulation of the matter becomes much more necessary than before.
著者
渡邊 淳司 七沢 智樹 信原 幸弘 村田 藍子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.9, pp.331-337, 2022-09-01 (Released:2022-09-01)

現代のウェルビーイング研究は,個人の主観的幸福や主観的満足度を対象としたものが多く,それに伴いウェルビーイングに関する情報技術の開発においても,前記のような主観指標の改善・最大化を目標とした「最適設計」がなされる傾向がある。しかし,このようなアプローチは,人間を制御対象として捉える人間観とも通ずる部分があり,その点においては,個人のウェルビーイングの達成と相容れないものである。そこで本稿では,ウェルビーイングの全体性・仮固定性に着目し,ソフトウェア開発の分野で取り入れられている“アジャイル(Agile)”という方法論に則ったウェルビーイングの支援技術の考え方と事例について述べる。