著者
北條 雅一
出版者
駒澤大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

(1)学校規模と生徒の学力や非認知能力,問題行動の関連性について実証的な研究をおこなった。使用したデータは「国際数学・理科教育動向調査」(略称TIMSS)の2011年調査結果である。学校規模ごとに集計した生徒の学力は,最も規模の小さい学校群において平均点が若干低いものの,統計的な有意差は確認されなかった。(2)学校規模と教員の就業環境の関連性について実証的な研究をおこなった。使用したデータは「OECD国際教員指導環境調査」(略称TALIS)の2013年調査結果である。分析の結果,小規模校の教員ほど就業時間・授業時間・課外活動指導の時間が短く,授業準備時間が長いことが確認された。
著者
高柳 広 新田 剛 岡本 一男
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2021-07-05

骨と免疫系の不可分な関係性に基づく生体制御システムを「骨免疫系」として捉え、その複雑な制御系が個体の生涯にわたる生命機能の要として機能する仕組みを解明する。骨免疫系の分子的な実態を明らかにするとともに、自己免疫疾患や炎症性骨関節疾患、骨転移など、骨免疫系の破綻による疾患の病態解明に取り組み、骨免疫系を軸とした全身制御「オステオイムノネットワーク」という、新たな生物学のフレームワークの構築に繋げる。脊椎動物の生命機能の理解を深めるとともに、新たな疾患制御の開発基盤の構築に繋げ、国民の健康維持と健康寿命の延伸に向けた先端医学研究を推進する。
著者
美原 恒 杉木 雅彦 吉田 悦男 丸山 真杉 津島 弘文
出版者
宮崎医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

前年度の研究により、みみず(Lumbricus rubellus)の乾燥粉末中に線溶活性作用をもつ新しい酵素が存在すること、さらにラット、イヌにこの乾燥粉末を経口投与すると、血中線溶活性の亢進、血管内血栓の溶解がおこることから、本年度はヒトへのみみず乾燥粉末の経口投与実験を施行した。実験はVoiunteer7人に腸溶カプセルにみみず乾燥粉末200mgを封入し、1日3回食後1カプセルづつ、計3カプセルを17日間経口投与した。投与前、投与後、毎日一定時間に採血し、その線溶活性、フィブリン分解産物(FDP)、組織性プラスミノ-ゲン・アクチベ-タ-(tーPA)抗原量をそれぞれ測定した。その結果、血液性状の変化で最も著明であったことは、みみず粉末投与24時間後FDPが明らかに増加しており、このFDPがフィブリン分解産物であることを確認する目的で行なったDーD dimerの測定によっても、FDPの上昇とDーD dimerの上昇は平行していた。この結果は、明らかにみみず乾燥粉末の経口投与により、血管内フィブリンの溶解がおこっていることを示すものであると確信された。さらに、投与前には殆ど認められなかったtーPA抗原量が、投与後次第に増加し、実験終了時にはかなり高いtーPA抗原量が測定された。この事実は、このみみず乾燥粉末により生体内の内因性tーPAが放出されることを意味するものと思われた。さらに、みみず乾燥粉末中の血小板凝集抑制物質について追究した結果、血小板凝集抑制活性をもつ2つの分画が得られた。その物質の一つは既に血小板凝集作用をもつことが知られているアデノシンであったが、もう一方の分画は全く未知の物質であった。この未知物質につき種々の方法により物質の同定を行ない、分子量282、化学式C_<12>H_<19>O_4SNaであるフラン化合物と同定された。さらに、この物質は血管拡張作用をも有していた。以上の結果よりみみず乾燥粉末が血栓症治療剤として有用であることが明らかとなった。
著者
生田目 大介
出版者
徳島大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2021-08-30

咀嚼筋痛障害は,主症状として筋痛,運動痛,運動障害を示すことが知られており,治療が困難なことが多い。口腔顔面痛は,三叉神経節における炎症性サイトカインであるTNF-αを介したニューロンと三叉神経節内に存在するグリア細胞との相互作用によって調節され,三叉神経節へグリア細胞機能抑制薬のミノサイクリンを投与することで痛みの軽減を認めたことが報告されている。しかしながら,咀嚼筋痛の伝達メカニズム,およびミノサイクリン投与による鎮痛効果や作用経路については不明である。本研究では咬筋痛モデルラットを用いて,咀嚼筋痛の伝達メカニズムを解明し,新規の咀嚼筋痛治療法開発の基盤を形成することを目的とする。
著者
橋本 将志
出版者
岡山大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

近年脚光を浴びるようになったがん免疫療法も予後不良な膵がんにおいてはその効果は限定的である.がんウイルス療法は,既存の治療とは異なるメカニズム抗腫瘍効果を発揮し,がん免疫療法との相性がよいと報告されている.我々が開発した腫瘍融解アデノウイルス製剤のテロメライシンは現在臨床試験の段階にあるが,さらにp53がん抑制遺伝子を搭載した,p53発現腫瘍融解アデノウイルス製剤(OBP-702)を開発し,テロメライシンでは効果が不十分であった難治性がんの治療に挑戦している.本研究では,マウス・ヒトの膵がん細胞株を使用し,OBP-702が既存化学療法と比較し免疫学的治療効果を期待できる薬剤であるかを検討する.
著者
田中 大祐 加賀谷 重浩 中村 省吾 酒徳 昭宏
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

富山県の立山浄土山山頂付近と富山大学屋上の2地点で採取した大気試料中の細菌群集と真核生物群集の特徴をPCR-DGGE法で比較した。その結果,立山と富山大学屋上の2地点の細菌群集構造は大きく異なっていると考えられたが,真核生物群集構造は類似している可能性が示された。また,大気から単離した赤色色素産生細菌3株は,紫外線(UV-B,UV-C),乾燥,過酸化水素などの環境ストレスに対して耐性を示し,大気環境中での生存に適した性質を持っていると考えられた。
著者
松岡 和生 山口 浩 川原 正広 松田 英子
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

直観像と共感覚はともに、眼前には存在しない対象物や風景、色彩やパタンといった視覚像(Photism)が外部空間にありありと「見える」という特異な視知覚性イメージをともなう現象である。本研究はこうした直観像と共感覚のPhotismの感覚的鮮明性と外部投射性に関わる知覚情報処理について脳機能画像法、視線活動計測、認知行動実験を用いて検討し、その特異性を示す科学的エビデンスを提供する。また直観像・共感覚保有者の視空間イメージ表象能力をアファンタジアからハイパーファンタジアに至るスペクトラムの一方の極に位置づける「認知―神経機構モデル」の構築を試みる。
著者
堀尾 輝久 中野 光 柴田 義松 小川 利夫 竹内 常一 大田 〓
出版者
東京大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1985

本研究はつぎのような課題意識のもとに発足した. 本研究は, 教育学諸分野の研究者の共同研究により,特に中等教育制度を中心に実態分析や提言を整理, 検討し, 現代社会における子どもの成長, 発達をよりよく保障する教育制度原理, とりわけ青年期の発達にふさわしい中等教育のあり方を究明することを目的とする. 本研究は次の5つのワーキング・グループを置き, 調査研究を行ってきた. 1教育改革理念 2現代社会と学校制度 3教員養成制度 4教育行財政制度 5教育改革の国際動向. かくクループは, 「青年期にふさわしい中等教育のあり方」検討を共通の問題意識とし, 特に第二グループを中心に各グループもそれに協力する体制をつくりながら研究会を重ねてきた. そこでは, 戦後中等教育改革の理念と, これまで試みられた各種の中・高一貫教育の実態調査, 新しいタイプの高校づくり, 入試改善にとりくむ各地の高校の実態調査(東京, 埼玉, 愛知, 長崎, 佐賀, 京都, 長野)を行い, 総合選抜制度の社会手機能と今後の動向, 推薦制(宮崎, 長崎)をどう考えたらよいか, 特色ある高校づくりは果して個性の教育に役立っているか, 等の視点から, 教育委員会や教職員組合の見解, PTAの意見等のヒアリングを行った. また, 中・高の接続問題についても, 中学・高校の双方から問題点をとらえようとした. また, 進学・就職指導の実態, 一貫カリキュラムのねらいと, カリキュラム編成上の留意点, 専門教育・職業指導の実態等の資料収集を行い, これらの改善努力が, 青年期の人間発達にとってどのような意味をもつかを検討した. これ迄60, 61, 62年に研究成果を日本教育学会大会で報告した他, 5回に亘る公開シンポジウムに参加しその成果の一端を報告した. 又学会報告の為に提出した研究冊子(「現代社会と学校制度」1984年8月, 「教育改革と教育実践」1987年8月)には本研究の成果の主要なものが表現されている.
著者
藤原 悠基
出版者
群馬大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2020-09-11

本研究は農薬等で使用されるネオニコチノイドによるヒト中枢神経系分化・発達への影響を解析する。これまで、実験動物を用いた研究から、周産期のネオニコチノイド曝露が中枢神経系の発育・発達を阻害する可能性が報告されているが、ヒトへの影響は明らかでない。また、中枢神経系の分化・発達と同時期に構築され始める血液脳関門(BBB)への影響を検討した報告はない。以上から、ネオニコチノイド曝露による影響を「ヒト胎児由来神経前駆細胞株を用いた神経分化」、「BBB透過性及び機能」の2点から評価することで、ネオニコチノイド曝露による胎児脳神経系の発達、発育への影響とその機序の解明を目指す。
著者
市野 隆雄
出版者
信州大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

1. まず、クヌギクチナガオオアブラムシを野外で飼育するための装置の開発に成功した。クヌギ幹上に通風性の高い小型のプラスチックケージをとりつけ、毎日容器内にたまった甘露を取り除くことで,安定的にアブラムシを生存,繁殖させることに成功した.これを用いて長野県各地から採集してきた別クローン由来のアブラムシコロニーを隔離累代飼育して繁殖させた.2. 次に,多数の2齢虫,3齢虫,4齢虫および成虫に個体識別マークをほどこし,各個体について,経日的に甘露分泌量を測定した.得られた甘露分泌量のデータをクローン間,クローン内に分けて分散分析した結果,甘露分泌量にクローン間での遺伝分散が存在することを明らかにした。このことは、アリの選択的捕食によってアブラムシの甘露分泌量が進化する可能性を示すものである。なお、上記の実験から得られた甘露分泌量の遺伝率は比較的低かった。これは野外飼育系であることから,環境分散の影響が大きかったことが影響したものと考えられる.3. アリが,自身の化学物質をアブラムシに塗りつけていることを、両者の体表面炭化水素の化学分析から明らかにした.アリとアブラムシが共有している体表面化学物質の中には,アブラムシ自身が分泌する「アリに似せた化学物質」と,アリがアブラムシに塗りつける「マーキング物質」の両方があることを,アリ非随伴アブラムシとの比較から明らかにした。一方、あるアリコロニーに随伴されていたアブラムシを別コロニーのアリに随伴させると有意に捕食率が上がることを示した。これらの結果は、自コロニーのマーキング物質の多寡によってアリが捕食対象のアブラムシを決めている可能性を示唆するものであり、アリによる「育種」の具体的な実現メカニズムの一端を示す結果である。
著者
斎藤 英喜 中嶋 奈津子 八木 透 星 優也
出版者
佛教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

近年、地域の神楽には、都会から多くの見学者が押し寄せるなど、その関心、興味が高まっている。その一方では、担い手たちの高齢化、地域の過疎化によって、休止に追い込まれる神楽も少なくない。また神楽の執行が形式化、イベント化する傾向もみられる。こうした神楽にたいする関心の高まりと地域が抱える問題にたいして、本研究では、これまで重視されていなかった、「中世の神楽」の実態を明らかにすることで、神楽がもつ「宗教性」とともに、その歴史的な展開を示すことで、日本の宗教文化のあらたな面を提示することが可能と考えられる。
著者
石黒 直隆 猪島 康雄 柳井 徳磨 村上 智亮 ナイム ムハマド 重村 洋明 川尻 百香
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

アミロイドA(AA)アミロイド症は、血清アミロイドAが構造変換して形成されるAAアミロイドの臓器沈着により発症する疾患であり、同種動物および異種動物に伝播する、本研究では、ウシおよびニワトリ由来のAAアミロイドをマウスに接種することにより、その病態や熱に対する抵抗性について解析した。ニワトリおよびウシのAAアミロイドのマウスへの伝播は、マウスに比べて低率であった。マウスでのAAアミロイドの沈着は、時間の経過と共に消失し、再接種により増加した。AAアミロイド症の初期ではIL-6の発現が増加し,その後IL-10が増加した。また、動物由来AAアミロイドは、熱に極めて抵抗性を示すことが明らかとなった。
著者
大形 徹 辻尾 榮市
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

太陽を載せるエジプトの三日月の舟の観念は中国にも影響を与えたようだ。太陽が地を潜ったあと復活再生して天空に昇るように、死者もまた舟に乗ってあの世に復活した。中国では仰韶の墓に龍に跨る人の造形がある。龍の原形はワニであり、水平線から天の川を遡り、背に乗る死者の魂を天に運んだのだろう。龍の角は殷・周ではキリンで後に羚羊や鹿の角になる。角をつけなければ空にのぼれないのだろう。戦国から漢代にかけて龍と舟が結びついた。そして被葬者は龍の舟に乗り、あの世に復活再生するという観念が生まれた。これは扶桑の枝に再生する太陽とも重ね合わされた。死者が復活する初期の仙人の原形ともいえる。
著者
室橋 春光 河西 哲子 正高 信男 豊巻 敦人 豊巻 敦人 間宮 正幸 松田 康子 柳生 一自 安達 潤 斉藤 真善 松本 敏治 寺尾 敦 奥村 安寿子 足立 明夏 岩田 みちる 土田 幸男 日高 茂暢 蓮沼 杏花 橋本 悟 佐藤 史人 坂井 恵 吉川 和幸
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

発達障害は生物学的基盤を背景とし、社会的環境の影響を強く受けて、非平均的な活動特性を生じ、成長途上並びに成人後においても様々な認知的・行動的問題を生ずる発達の一連のありかたである。本研究では発達障害特性に関する認知神経科学的諸検査及び、社会的環境・生活の質(QOL)に関する調査を実施した。脆弱性と回復性に関連する共通的背景メカニズムとして視覚系背側経路処理機能を基盤とした実行機能やワーキングメモリー機能を想定し、事象関連電位や眼球運動等の指標を分析して、個に応じた読みや書きなどの支援方法に関する検討を行った。また、QOLと障害特性調査結果の親子間の相違に基いた援助方法等を総合的に検討した。
著者
萩原 孝恵
出版者
山梨県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

「舌打ち」や「笑い」は通言語的であるにもかかわらず、そこには社会的・文化的・慣習的な用法が存在する。本研究は、定延(2005)のいう「口の中の文化」に焦点を当てる研究である。本研究が着目するのは、非言語行動としてタブー視される「舌打ち」と、特におかしくもないところで笑う不可解な「笑い」である。研究対象は、“日本語文化と異なる”タイ人およびベトナム人の「舌打ち」と「笑い」である。定延(2005)を援用すると「口の中の異文化」が本研究課題となる。本研究は、誤解や摩擦の要因となり得る「舌打ち」や「笑い」に注目し、自文化の物差しでは測れない、他文化の非言語コミュニケーション行動を紐解いていく。
著者
宮田 悠
出版者
滋賀医科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

脳動脈瘤の発生や増大はマクロファージ依存的な慢性炎症により制御されていることはよく知られているが、脳動脈瘤の破裂には脳血管の器質的変化と炎症反応が重要であることが最近の我々の研究から示された (Miyata. J Neurosurg. 2019)。しかしながら、生じうる器質的変化の誘因や破裂に繋がりうる炎症反応の詳細な機構については未解明である。脳動脈瘤が安定した状態を維持する、あるいは破裂に至る変化を生じる機構を解明することは、脳動脈瘤破裂を制御する治療法の開発につながりうる。脳血管壁の器質的変化および破裂と関連する炎症反応の解析を行うことで、脳動脈瘤の破裂を制御する機構を解明する。
著者
世良 貴史
出版者
岡山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

従来の遺伝子治療法の問題点を克服するために、挿入酵素を空間的に標的DNAサイトに近接させることにより位置特異的遺伝子挿入を可能にする新しい技術の開発を目指した。その近接させる手法として、導入遺伝子と標的サイトにそれぞれ特異的に結合する2種類の人工DNA結合タンパク質を柔軟なペプチドリンカーで連結した新しい人工DNA結合タンパク質を作製し、これを用いて、まずは試験管内のモデル系で、標的DNAに別のDNAを特異的に挿入させることに成功した。
著者
久松 伸
出版者
麻布大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

堆肥化が困難だと言われているイチョウ落葉を用いて堆肥化を行い、その堆肥化過程中に存在する微生物フローラを調べた。その結果、微生物フローラは堆肥化過程で大きく変化することがわかった。また、堆肥化過程で内部温度が上昇する時期に微生物を単離して、各微生物のPCB分解能を調べたところ、ほとんどの試料で培養液中のPCB量が半減することがわかった。特に、1つの細菌では、約90%の減少を確認できた。
著者
山田 恭央
出版者
慶應義塾大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2020-09-11

帝王切開または自然分娩により出生したマウスに対しアレルギー喘息を誘導する。これにより帝王切開がアレルギー感受性に与える影響を調べる。さらに発症前、過程における免疫系を精査することによって、帝王切開がアレルギー感受性に影響するメカニズムを調べる。帝王切開によるアレルギー感受性への影響が、帝王切開に伴う新生仔腸内細菌の異常によるものか検証する。
著者
猪俣 紀子
出版者
茨城大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

現在日本の女性メディアにおいてみられる「パリジェンヌ幻想」について、それがどのように形成されたのかを、歴史社会学的に分析した。明治、大正期において男性作家によって描写さていたパリジェンヌイメージ形成の担い手が女性へ受け渡されたのは戦後であった。それには、近年ファッション史において位置づけられるようになった洋裁文化の存在が大きな役割を果たしていたことがわかった。パリモードを頂点とする洋裁学校に通う女性たちは、高価で買うことのできないパリモードを、自分たちの体型に沿うよう翻案しながら衣服を制作した。女性たちはミシンを踏みながらパリジェンヌへの憧れを身体化させていったことが明らかになった。