著者
木村 淳 浅田 昭 伏見 岳志 松本 義徳 杉本 裕介 清水 秀人 阪本 真吾 鉄 多加志 Schottenhammer Angela Jago-on Sheldon Clyde B. Lacsina Ligaya Sheppard Bob McCann Ian
出版者
東海大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

2016-2018年の3ヶ年で、千葉県御宿町沖で1609年に沈没したスペイン船籍ガレオン船サン・フランシスコ号の船体遺存可能性の調査及び初期マニラ・アカプルコ交易船の船体・造船技術及び関連遺物把握の考古学研究を実施した。御宿町の岩和田沖合とされる同船の推定沈没範囲において、船体や関連遺物の遺存状況の検証を明らかにする水中考古学探査・潜水調査を行った。マルチナロービーム音響測深機による海底地形計測及び磁気探査、潜水調査によって、沈没可能性地点を浅海と沖合岩礁(真潮根)の二つに絞り込んだ。サン・フランシスコ号関連の文献精査、国外のマニラ・アカプルコ交易沈没船遺跡の比較研究を実施した。
著者
渡邉 正己 児玉 靖司 鈴木 啓司
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

我々は、これまでにX線あるいはγ線照射された哺乳類細胞に室温で20時間程度の寿命を持つ超寿命ラジカル(LLR ; Long Lived Radical)が生ずることをESRによるラジカル解析によって発見した。さらに、LLRは、放射線被曝後数十分から数十時間後に5mM程度のビタミンCで2時間処理することによって完全に消失することがわかった。活性の高いOHやO_2^-ラジカルの革命は200ナノ秒以下であるので、ビタミンC処理で捕捉されるラジカルは、LLRであると考えられる。LLRの消失に伴って細胞突然変異や細胞がん化誘導は抑制されるが、染色体異常や細胞死誘導を抑制することは出来ない。システアミンやDMSO処理でOHやO_2^-ラジカルを消去することで細胞死や染色体異常誘導を抑制することができるが、細胞突然変異や細胞がん化誘導を抑制することはできない。これらのことから、我々は、LLRこそが放射線による細胞の突然変異と細胞がん化の主因であると結論している。さらに、電子スピン共鳴解析法による解析から、LLRは、細胞内の疎水性のバイオポリマー部位で、恐らくDNAや脂質でなく、システインなどのスルフィニル基に年じていることなどが明らかになった。これら一連の結果は、これまで放射線生物学的に信じられてきた"放射線突然変異や発がんの原因は活性が高い酸素ラジカル種(ROS)がDNAや染色体を破壊することである"という予想を覆すものであり、ヒトにおける突然変異や発がんがタンパク質に生じた変異を起源とするという極めて新しく放射線の遺伝影響の本体を知るために極めて重要な知見である。
著者
関 泰一郎 細野 崇 増澤・尾崎 依 三浦 徳
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

血栓症は、がんと並ぶわが国の死亡原因であり、動脈硬化を基盤として発症する。動脈硬化は、脂質の摂取量の増加により促進されるが、近年、腸内細菌の関与が注目されている。赤身肉、乳製品などに豊富に含まれているコリンは、腸内細菌により代謝され、生成したトリメチルアミンが肝臓のフラビンモノオキシゲナーゼ(FMO)によりトリメチルアミンNオキシド(TMAO)に変換される。TMAOは動脈硬化を促進する可能性が示唆されているが、その詳細は不明である。本研究では、TMAOの生成を抑制する機能性食品成分を探索し、またこれまでに解明されていないTMAOの血栓形成促進機構を明らかにする。
著者
太田 康晴 田口 昭彦 秋山 優
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

重度の糖尿病をきたすWolfram症候群は、WFS1遺伝子の変異により発症する。我々は、WFS1欠損マウスの膵β細胞において時計遺伝子ネットワークの出力部分の転写因子に異常がある(DBP活性の低下)ことを見出した。DBP活性が膵β細胞特異的に抑制されるような遺伝子改変マウスは顕著なインスリン分泌不全を伴う耐糖能障害を呈していた。正常な膵β細胞は、摂食が始まる時間に備えてインスリンが速やかに分泌されるような準備状態を作るが、DBP活性が抑制されている膵β細胞はこのような準備が出来ないことが示唆された。つまり膵β細胞における体内時計の異常はインスリン分泌不全さらには糖尿病を引き起こす可能性が高い。
著者
野口 啓子
出版者
津田塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は19世紀中葉のルネッサンス期アメリカ文学を、従来活発に行われてきた人種・階級・ジェンダーという視点からの研究に、(文学的)ナショナリズムという視座を加味して考察することで、この時代の文学的特質を横断的に検証することの可能性を探ったものであるが、その結果、このようなナショナリズムからの視座がこの時代の文学の再評価や、人種・階級・ジェンダーの区分を統合的に把握する手段として有効であることが明確となった。
著者
岡 真理 宮下 遼 新城 郁夫 山本 薫 藤井 光 石川 清子 岡崎 弘樹 藤元 優子 福田 義昭 久野 量一 鵜戸 聡 田浪 亜央江 細田 和江 鵜飼 哲 細見 和之 阿部 賢一 呉 世宗 鈴木 克己
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

難民や移民など人間の生の経験が地球規模で国境横断的に生起する今日、人間は「祖国」なるものと様々に、痛みに満ちた関係を切り結んでいる。ネイションを所与と見なし、その同一性に収まらぬ者たちを排除する「対テロ戦争パラダイム」が世界を席巻するなか、本研究は、中東を中心に世界の諸地域を専門とする人文学研究者が協働し、文学をはじめとする文化表象における多様な「祖国」表象を通して、人文学的視点から、現代世界において人間が「祖国」をいかなるものとして生き、ネイションや地域を超えて、人間の経験をグローバルに貫く普遍的な課題とは何かを明らかにし、新たな解放の思想を創出するための基盤づくりを目指す。
著者
山中 玲子 MCGAUGHEY-SLANE HANNA
出版者
法政大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2021-09-28

This project's goal is a digital text corpus of Zeami's critical writings, with a focus on his first and most famous text Fushikaden, and their analysis using computational methods. The corpus will include not only transcriptions of historical manuscripts to digitally model their genealogy but also Yoshida Togo's first print publication and Nose Asaji's first annotated edition for an analysis of Zeami's modern reception. A critical evaluation of the results achieved during this fellowship will inform further consideration for building a digital scholarly edition of Fushikaden.
著者
久保田 静香
出版者
日本女子大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

デカルトおよびデカルト主義者は、近代以降のフランスにおいて「レトリック」が「弁論術・説得術」から「修辞学・美辞学」へと変容するにあたり大きな役割を果たした。この歴史的事情を、デカルト主義の先駆ともいわれる16世紀のペトルス・ラムスから、デカルト思想の洗礼を受けた17世紀後半のカルテジアン(とりわけポール=ロワイヤル派とベルナール・ラミ)へと至る、学芸(litterae, lettres)の改革の系譜を辿ることで、その内実を明らかにする。これにより、近代修辞学―18世紀のデュマルセや19世紀のフォンタニエに代表される「文彩(figures)」研究―へと至る前景を描き出す。
著者
緒方 和博
出版者
北陸先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

我々の生活を便利にするシステムは高信頼であるべきだ。さもなければ、多額の財産を失う等の多大な不便をこうむることになる。システムを高信頼にするために使うことのできる技術のひとつはモデル検査である。システムが期待される要件を満たすかどうかを自動で検証出来る。しかし、システムの到達可能状態空間が大きくなり過ぎてモデル検査不能になる問題が起こる。本研究計画では、到達可能状態空間を複数の部分空間に分割し、各々の部分空間でモデル検査を行えるようにすることでこの問題を緩和することを試みる。加えて、複数の部分空間に対するモデル検査を同時並列に実行することでモデル検査の効率化も試みる。
著者
楯谷 一郎 楯谷 智子 樋渡 直 岸本 曜 勝野 達也
出版者
藤田医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

胃食道逆流症(GERD)では、胃酸が食道へ逆流することにより胸やけなどの症状を来すが、音声障害との強い関連が指摘されている。上皮組織は外部の刺激から深層組織を保護する機能的バリアとして働いているが、声帯上皮における接着分子の発現ならびにその役割は十分には分かっていない。本研究では、まず正常ラット声帯上皮において発現しているクローディンのサブタイプを同定してその発現部位を明らかにする。さらに胃酸による上皮バリアの傷害とその修復過程をクローディンの分子発現とバリア機能の両面から解析することで、GERDによる音声障害の発生機序を明らかにし、声帯上皮におけるバリア機構を解明する。
著者
廣川 美子 阪口 明弘 日色 真帆 小倉 繁太郎 伊藤 泰行 山下 享子
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

高級土壁の展示場といわれる角屋、土壁の塗りたて当初の色を再現するために、1992年2月の測定値と2000年2月の測定値の比較を行い、変化の方向と変化量を考察した。Lab表色系により色差を求めているが、L値について新旧で変化の大きい土壁は黄大津磨きと赤大津磨きであり、共にL値の高い方に変化している。C値については黄大津磨きと大阪土の変化が大きく共にC値の低い方に変化している。a値とb値について変化が大きいのは、a値は江州白の赤と大阪土であり、共にa値の低い方に変化、b値は赤大津磨き、黄大津磨き、大阪土であり、すべてb値の低い方に変化している。色差が最も大きいのは扇の間西側廊下の赤大津磨きと馬の間縁側の江州白の赤であった。聚楽土と漆喰壁の色差は少なかった。文化財壁の復元作業においては色合わせが重要な役割をもつ。今回文化財壁を形成している土、砂、すさのような粉末状の試料の色の数値化に伴う側色技術およびコンピュータを用いた色合わせを検討した。粉体の分光特性はその充填密度、厚さ、入射光を照射する側の試料面の状態に強く依存するので、充填作業に個人差がでにくいよう開発したセル厚可変の石英窓板付き粉末セルと精度よく散乱光のみを検知する正反射トラップ付き大型積分球の組み合わせ用いた拡散反射測定によってこの問題点を解決した。この測定法で得た可視スペクトルをもとにCCM(コンピュータカラーマッチング)を行った結果、目標色との色差が1.0未満の良好な結果を得た。関西には聚楽土、大阪土、浅黄土、九条土、桃山土等の色土が豊富であったが、特に利休が茶室に用いた聚楽土には格別な思い入れがある。その聚楽土を地質学的に知るために、その採集地の地層の成り立ちを調べることにした。聚楽土は平安京跡付近の地下の泥層を掘ったものである。考古学では平安京の地盤と考えている。京都盆地北部の平原は賀茂川や天神川などの扇状地でできている。扇状地礫層の上には厚さ1m程度の泥層が堆積している。その形成過程を知るために、各地の扇状地の泥層を採集している段階である。
著者
岡市 協生 奥村 寛 井原 誠
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

いくつかの突然変異したp53遺伝子を人工的に作成し、Saos-2細胞(p53遺伝子が欠失している骨肉腫細胞)に導入した。また、コントロールとして正常p53遺伝子をLacSwitchの系を用いて細胞に導入した。これらのp53遺伝子導入細胞の放射線感受性を測定したところ、正常p53遺伝子導入細胞では、放射線感受性が高くなった。また、143A、175H、273H変異細胞では、放射線抵抗性であったが、123A変異細胞では、放射線感受性が高くなった。このことより、p53遺伝子の変異部位によって放射線感受性が異なることが分かった。また、放射線に感受性であった正常p53細胞と123A変異細胞では、放射線照射後のアポトーシスの誘導が観察されたが、放射線に抵抗性であった143A、175H、273H変異細胞では見られなかった。さらに、ウエスタンブロット法でp53を調べると、正常p53細胞と123A変異細胞において放射線によるp53の蓄積が見られが、143A、175H、273H変異細胞では、放射線によるp53の蓄積が見られなかった。そこで、正常p53細胞と123A変異細胞で、Waf-1の誘導を調べたところ正常p53細胞ではWaf-1の誘導が観察されたが、123A変異細胞では見られなかった。また、123A変異細胞では、G1停止が見られなかった。しかし、BaxとMDM2の誘導とBcl-2の減少は正常p53細胞と123A変異細胞共に観察された。また123A変異細胞ではアポトーシスが早期に起こったがこの時期に対応してFasの誘導が見られた。このことより、Waf-1はFasの誘導を制御しているのではないかと考えられた。
著者
上原 佳子 長谷川 智子 北野 華奈恵 礪波 利圭 出村 佳美 安倍 博
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

健康な成人女性を対象として,タクティールマッサージの効果を,生理的指標により検証することを目的とした,成人女性20名に,一定環境下で,同一対象者に手へのタクティールマッサージを実施する【タクティール】と,安静座位を保つ【安静】を20分間,連続した別日に行い,条件の順番は被験者によりランダムとした。生理的指標として,唾液中コルチゾール,唾液中オキシトシン,心拍変動周波数解析を用いた。その結果,タクティールマッサージは,内分泌系においてストレス反応を緩和させること,自律神経系において自律神経活動を活性化させることが明らかになった。
著者
栗崎 周平 岩波 由香里 広瀬 健太郎
出版者
早稲田大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2020-10-27

核兵器を巡る国際社会の体制は、一方で核兵器の究極的な廃絶を謳いつつ、他方で核軍縮や 核使用制限には抵抗するという矛盾に覆われている。これは核廃絶に向けた軍縮政策と、現実に存在する核の脅威を抑止するという安全保障政策との両立が困難であるというジレンマに直面したとき、責任ある政府は安全保障を追及せざるをえないという現実主義を、核なき世界という平和主義よりも優先するからである。本研究は安全保障研究を牽引してきた数理政治学者と共同して核による報復攻撃に依拠せずに安全を確保する核戦略を解明・考案することを目指すNew Nuclear Deterrence Theoryプロジェクトを推進するものである。
著者
田近 肇 片桐 直人 上田 健介 重本 達哉
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、ドイツ、オーストリア、イギリス及びイタリアの墓地埋葬法制を比較法的な観点から分析した結果を踏まえて、①わが国においても憲法13条によって葬送の自由、すなわち「死後、自らの死体(遺骨)をどのように取り扱ってほしいか」についての故人の意思を尊重すべきことが要請されると考えることができる反面で、②死者は敬意をもって葬られるべきことはわが国でも変わらないところ、③わが国では国レベルでの法令、少なくとも墓地埋葬法上はその調整に係るルールに乏しいことを確認し、そうしたルールの法制化の必要を提唱した。
著者
生田 まちよ
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

医療的ケア児の療育を第三者に委譲できず、他者の支援や社会資源の活用が少ないことで家族や社会との関係性に悪影響をきたしている母親が少なからず存在する。これは医療的ケア児と母親の関係依存による障害が要因ではないかと考えた。このアディクションの視点に立ち、犯行増加面接や共依存チェックリスト等での調査を行い、医療的ケア児と母親の関係性を解明して、療育を抱え込む母親の解き放ちのためのプログラムを開発することである。最終的には、その母親らしく、その医療的ケア児らしく、その家族らしく生活するための関係性造りに少しでも寄与することである。
著者
田中 克 中坊 徹次 山下 洋 中山 耕至 益田 玲爾 上田 拓史
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

有明海筑後川河口域を中心に有明海産スズキの生態を種々の側面より調べるとともに,養殖場から逸散したタイリクスズキの成長,成熟,仔稚魚の分布などを宇和島海域を中心に調べた.得られた主な成果は以下のとおりである.筑後川河口域におけるかいあし類分布は,塩分1〜3psuにピークを持つ低塩分汽水性特産種Sinocalanus sinensisを優占種とする群と,塩分15〜20psu以上の下流域におけるAcartia omorii, Oithona davisae, Paracalanus parvusなどの沿岸性種より構成される群に分かれた.前者の分布は高濁度水と一致した.S. sinensisの消化管内容物からはフェオ色素が多く出現したが,A. omoriiなどの消化管よりはクロロフィルaが多く出現した.前者はデトリタス食物連鎖であることが推定された.低塩分汽水域にはスズキをはじめ,エツ・アリアケヒメシラウオ・ハゼクチ・ヤマノカミなどの有明海特産種の稚魚や当歳魚が集合し,S.sinensisを専食した.一方,塩分15〜20psu以上の河口下流域に出現するカタクチイワシやメバルなどは優占する多様なかいあし類を摂食した.実験的に確認したスズキ当歳魚のδ^<13>Cの濃縮係数や半減期をもとに,スズキの胃内容物と筋肉のδ^<13>Cを調べた結果,多くの個体は4月には淡水・低塩分域まで遡上し,5〜7月には中塩分域に,8月には高塩分域に移動することが確認された.一方,タイリクスズキの採集場所より,養殖が行われている近くに分布することが明らかとなり,成長は日本産のスズキを上回り,雌雄の生殖腺より11〜12月に生殖可能なことが予想された.しかし,卵や仔稚魚は採集されなかった.有明海で採集されたスズキの遺伝子を分析した結果,個体変異は大きかったもののいずれの個体もスズキとタイリクスズキの遺伝子を有していた.また,中国大陸沿岸域には南北で異なる地方個体群の存在が示唆された.本研究を通じて有明海湾奥部筑後川河口域上流部に,高濁度汽水-特産種かいあし類・アミ類-特産種稚魚・当歳魚間の強いつながりが確認され,この「大陸沿岸遺存生態系」の起原を求めて韓国西岸で調査することが必須と考えられた.
著者
渡邊 広祐
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

近年がんにおいて3’UTRが短縮し(Alternative polyadenylation, APA)、miRNA結合部位が失われることで、miRNAを介した転写後制御が破たんするとの報告がなされた。肺がんにおけるAPAの全貌を明らかにするために、公開されているマイクロアレイデータベースを利用し、肺がんにおいて最もAPAを生じている遺伝子を同定した。肺がん手術検体を用いて解析すると、APAは肺がんの独立した予後不良因子となっており、さらにはPABPN1低発現と増殖マーカー高発現がAPAと相関していた。本研究により肺がんにおけるAPAの全体像が明らかとなった。
著者
木村 学 堤 浩之 早坂 康隆 鈴木 康弘 瀬野 徹三 嶋本 利彦 渡辺 満久 榊原 正幸
出版者
東京大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1997

極東ロシアから日本列島に至る地域は被害地震が多発する地域である。近年これらの地震は北米・ユーラシア両プレート間の収束運動もしくはその他のいくつかのマイクロプレートが関与したプレート境界でのもの、ととらえられるようになった。相次ぐ被害地震にもかかわらず、ネオテクトニクスに関する研究はこれまで政治的・地理的・気候的制約があって進んでいない。そこで新年度に続き、極東ロシア、特にサハリン島北部地域の総合的なネオテクトニクス調査研究を実施した。具体的に以下の研究を行った。1. 航空写真による変動地形、活断層解析。特にサハリン島、中〜南部に分布、発達する活断層について変位のセンス及び変位置について解析した。2. 変動地形活断層の現地調査。特に中部及び南部サハリン。3. 地質学的調査。航空写真によって明らかになった活断層の累積変位、変位速度を明らかにするために現地で活断層露頭や、樹木成長の記録を調査した。サハリン変動帯最北部のシュミット半島にて、中生代来のオフィオライト、及び変形した堆積岩及びスレート帯について、構造解析を実施した。その結果、第三紀後期に北東南西方向の圧縮を受けて、地質体は激しく変形していることが明らかとなった。この変形様式は現在進行中の地殻変動と調和的である。従って、サハリン北部の地殻変動は第三紀以降、右横ずれの同じセンスのもが累積していることが明らかとなった。