著者
西田 公昭 山浦 一保 渡辺 浪二 角山 剛
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

人権擁護の側面から、集団活動の健康度を心理学的に明らかにし、その集団虐待的な経験実態を探ること、また現在、不健康な集団活動への対策が大学においていかになされているかを実証的に明らかにした。その結果、一般にカルト経験者は、テロリスト同様の明らかに逸脱した不健康な活動を多く行っており、また約4 割の大学でカルト事例があるがその予防対策は十分ではない。
著者
内ヶ崎 西作
出版者
日本大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

【実験方法】昨年度のウサギを用いた動物実験でサンプリングしておいた脳を含む諸臓器について病理組織標本を作成し、法医病理学的に検討を加えた。更に、「逆さ吊り」という体位が死を引き起こすメカニズムについて、昨年度のデータ・考察と共に総合的に検討した。【結果】諸臓器には特に致死的変化は認められず、また脳に関しても著明な脳浮腫や脳充血などの所見はみられなかった。【考察】昨年度の病態生理学及び肉眼解剖学を主体とした研究によって、「逆さ吊り」の体位は腹腔内臓器が横隔膜を通して胸腔を圧迫し、呼吸運動特に胸郭を広げる吸気運動が阻害されて、次第に呼吸筋が疲労して呼吸が浅くなり、最終的には窒息を起して死をきたすとの考察が得られた。本年度の研究はそこに法医病理学な調査を加えたものであるが、特に致死的な所見、及び、著明な脳浮腫や脳充血などはみられなかった。以上のことから、今回の「逆さ吊り」の実験系により死亡したウサギの死因としては、他の内因的な死因や脳充血などは否定され、やはり窒息であることが解明された。つまり、日本国内をはじめ世界の法医学者の間でもあまり認識されていなかった体位関連性窒息(postural asphyxia)が「逆さ吊り」でも実際に起りうるということがこの研究により証明されたのである。実際の法医実務上で「逆さ吊り」を経験することは希であるが、現に裁判などで問題となっている事例もみられる。この研究は、今後このような事例を経験した場合に有用な資料となるであろう。今後は他の体位と体位関連性窒息、或いは、乳幼児突然死症候群と体位関連性窒息などについての解明が待たれるところである。
著者
堀田 昌寛
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

量子エネルギーテレポーテーション(QET)を2つの量子ビット系で実現できる最も簡単なモデルを構成できた。また基底状態の量子もつれ量が大きいほど、転送エネルギー量も大きくなることが示された。また量子電磁場の零点振動の量子測定においてより大量の基底状態の情報を引き出すと、それを用いたQETでの転送エネルギーも増えることが分かった。一般的な量子スピン鎖モデルにおいては、基底状態のエンタングルメントエントロピーが転送エネルギーの2乗に比例する量の上限値になることも証明された。また量子ホール端電流系を用いると実験でQETが検証できる可能性が高いことも発見された。さらに有限温度系でもQETが有効であることも示された。
著者
久保 博子 木佐貫 美穂 金澤 麻梨子 川西 美和
出版者
奈良女子大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

硬さと弾性の異なるマットレス4種類を用い、短時間臥位実験、終夜睡眠実験、日常連続睡眠実験により、寝姿勢、体圧分布、睡眠解析、生理・心理反応をおこない 「寝転び心地」「眠り心地」 を検討した。その結果、短時間睡眠では、柔らかく反発弾性が小さい方が評価は良く、終夜睡眠実験では、寝姿勢や変換回数に差がみとめられたが、睡眠の質には有意な差は無かった。
著者
吉満 庄司
出版者
鹿児島県知事公室政策調整課
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2016

本研究は, 上海や香港を拠点として日本との貿易を展開したジャーディン・マセソン商会の史料に基づき, 幕末期に薩摩藩が長崎のグラバー商会を窓口として行った貿易の実態の解明を目指したものである。研究は, まずケンブリッジ大学中央図書館が所蔵するジャーディン・マセソン商会文書から, Nagasaki, Glover, Satsumaといったキーワードを基に, 関係史料を集中的に収集(撮影)した。帰国後, 収集した史料の翻訳・分析を進める一方, 『玉里島津家史料』, 『島津忠義公史料』といった薩摩藩側の基礎史料と照らし合わせて考察することでで, 貿易の実態の一端を解明した。併せて, 先行研究(石井寛治『近代日本とイギリス資本―ジャーディン=マセソン商会を中心に―』, 杉山伸也『明治維新とイギリス商人』, 原口泉「世界綿花飢饉と幕末薩摩藩―討幕の資金調達と武器購入―」鹿児島大学法文学部『人文学科論集第40集』など)を, 収集した史料を基に再検証した。ジャーディン・マセソン商会文書からは, 幕末の日本からの輸出品として, 横浜からは圧倒的にSilkの輸出が多いのに対し, 長崎からはTeaが多いことや, 薩摩藩がグラバー商会を経由してCottonを輸出している実態が見て取れた。輸入については, 通説どおり軍艦が最も重要で高価な品であり, これもまたグラバー商会がその主な窓口になっていた状況が確認できた。なお, 貿易そのもの以外にも, 薩摩藩英国留学生への送金方法について, ジャーディン・マセソン商会を通して行っていた実態の一端を確認することができ, 長崎における同社の代理人であるグラバーに薩摩藩が支払うといったシステムが出来ていることなどを史料的に明らかにした。
著者
執行 正義
出版者
山口大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

植物工場における光源として利用が広がりつつある赤色LEDと青色LEDを用い,両者の交互照射により植物の育成を爆発的に高める新規植物育成法「Shigyo法」が開発されている.Shigyo法は簡単な光照射技術で植物の生育を早められるため実用化が先行しているが,その原理の解明が待たれている.本研究では,植物の光応答に着目し,主にシロイヌナズナを材料としてマイクロアレイ技術を駆使した遺伝子発現の網羅解析と時系列研究を組合せて行うことで,赤/青交互照射条件下における赤色光受容体および青色光受容体の挙動とそのシグナル経路の変化の状況把握を行った.
著者
山本 郁男 宇佐見 則行 井本 真澄 宇佐見 則行 井本 真澄
出版者
九州保健福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

我々は、これまでマリファナ(大麻)の薬理および毒性に関して、三大主成分(カンナビノイド)、THC(tetrahydrocannabinol)、CBD(cannabidiol)、CBN(cannabinol)の代謝を中心に報告してきた。本研究においては、シクロヘキサン環を酸化して芳香環化に関与するCYP19(アロマターゼ)によるTHCの代謝を検討した結果、代謝物の1つが8-ヒドロキシCBNであることを同定した。そこで、CYP19が芳香環化と同時にCBNのヒドロキシル化に関与することを示唆した。一方、CYP19によってTHCとCBDからCBNが形成されることをGC/MS方法によって確証した。さらに、これらのカンナビノイドのステロイド代謝(CYP19と17β-HSD(17β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素)によるアンドロステロン(AND)、テストステロン(TES)およびエストロン(E1)の代謝)に及ぼす影響を検討した。その結果、CYP19によってエストラジオール(E2)へのTESの代謝においてTHC、CBDおよびCBN(50μM)が、それぞれ16、60、46%阻害することが判明した。一方、CYP19によるTESのAND、およびE1のE2への代謝は、THC、CBDおよびCBNによってそれぞれ約20%阻害された。したがって、本研究において、カンナビノイドが性ホルモンの代謝に深く関係していることが明らかとなり、内分泌かく乱作用が示唆された。
著者
久保 堅一
出版者
大妻女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

物語文学の誕生について明らかにするためには、現存最古の物語である『竹取物語』の典拠の徹底的な調査が必要となる。特に、『竹取物語』成立のための必須の教養であった仏教の受容に関する研究は不可欠といえる。本研究は、『竹取物語』を中心に、同時代テクストにおける仏教の受容について調査するものである。物語文学が創造された9世紀において、その作者層がどのような仏教的教養を身につけ、それをどのように創作に活かしていたのかを明らかにし、物語文学誕生の背景に光を当てたい。
著者
中島 由佳
出版者
大手前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2003年の鳥インフルエンザの流行以降,小学校における動物飼育にどのような変化が起こったのか,変化を起こした要因は何であるのか,現状はどのようであるのか等,未解明のままであった。そこで本研究は,全国約2000校の小学校への電話での聞き取り調査により,小学校における鳥インフルエンザ以降の動物飼育状況の解明を試みた。また,小学校を対象に学校で動物飼育をしている児童,学校に動物がいて触れ合うことのできる児童,動物が飼われていない学校の児童の計3群に対して,継続的にアンケート調査を行い,小学校での動物飼育を取り巻く状況が変化する中,その効果を改めて問い直すことを試みた。
著者
伊東 正博 サエンコ ウラジミール 中島 正洋 三浦 史郎
出版者
独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

福島第一原発事故後,若年者の甲状腺スクリーニングは世界で初め実施され予想を越える甲状腺癌症例が発見された。その甲状腺癌の増加が放射線の影響かスクリーニング効果か結論は出ていない。チェルノブイリ事故後に多発した小児甲状腺がんでゲノム解析がなされてきたが、放射線特異的な遺伝子異常は未だ見いだされていない。本研究ではチェルノブイリ症例に加えて、福島第一原発事故後に周辺地域の検診で発見され切除された症例を加え、二つの異なる地域と異なる被曝線量を背景とした若年被曝による放射線誘発甲状腺がんの高リスク分子機構を、ゲノムDNA変異解析に加えエピジェネティックな変異解析の両面から解明することを目的としている。
著者
吉井 匡 伊東 裕司
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

刑事手続過程において医学的知見の誤用や曲解が指摘されることがあるが、指摘が妥当なら、それは刑事手続過程から排除される必要がある。上記問題意識の下、研究代表者は、小児医学の知見であるタナー法を児童ポルノ事件で年齢推定に用いるべきではないとの立場から、国内初の研究論文を2016年に発表したが、これには批判も寄せられた。そこで、これまで以上に、国内外の研究動向の精査、他の医学的知見との比較、小児科医への調査等を行い、先行研究の正当性を裏付ける。そして、本研究で得られた知見は、タナー法を巡る問題に限らず、広く刑事手続過程における医学的知見の取扱いに対する、理論基盤の構築にも貢献することとなる。
著者
元治 恵子 辻 竜平 太郎丸 博 三輪 哲 田辺 俊介 長松 奈美江 脇田 彩 斉藤 知洋
出版者
明星大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、「職業に関する意識調査」を実施し、従来の職業威信スコアのバージョンアップを行うとともに、職業構造の変化に対応する、職種に加え、性別、雇用形態、企業規模などを反映した社会的地位尺度を作成した。職業威信スコアは、性、年代、学歴別では、グループ間に高い相関が見られ、時点間でも変化は見られず、スコアの頑健性と信頼性が改めて強調されることになった。しかし、性別、雇用形態、企業規模の情報が評定職業に付与されていた場合には、同じ職業であっても人々の評定に違いが見られた。多元的地位尺度を測定した職業以外に拡張し、さらに精緻化していくことが喫緊の課題である。
著者
佐藤 純
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

天候変化に影響を受ける疾患(気象病)のメカニズムを,慢性痛モデル動物と気象病患者を被験者とする研究で明らかにしてきた。本研究計画では,メカニズムを明らかにする動物実験と慢性痛患者を対象とした臨床実験をさらに進めた.この連携研究により,気象病のメカニズムにおける内耳の重要性について明らかにし,効果的な予防治療法の糸口を見つけることができた.
著者
河野 寛 坂本 静男 丸藤 祐子 小西 真幸
出版者
国士舘大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は第一に,顔面を冷水に漬ける潜水反射に伴う徐脈について,概日リズムが存在するかどうかを検討した。その結果,朝に心拍数が低値を示したことから,潜水反射に伴う徐脈は概日リズムの影響を受けると考えられる。このことは,潜水反射試験を実施する際には,時間帯を考慮して実施すべきであることを示唆している。次に,潜水反射に伴う徐脈に加齢が影響するかどうかを検討した。その結果,若年者と比較して高齢者で潜水反射徐脈が鈍いことが明らかとなった。このことから,潜水反射試験は加齢の影響を受けることがわかる。したがって,潜水反射試験は循環器疾患のリスク指標になるかもしれない。
著者
山下 俊一 大津留 晶 難波 裕幸
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

甲状腺がんの発症機序を解明するために、本年度は、甲状腺細胞のアポトーシスからの逸脱と放射線抵抗性およびDNA修復能について解析をすすめた。放射線照射により甲状腺細胞がアポトーシスに対して抵抗性があることをin vitroとin vivoで確かめた。放射線照射後に、p53タンパクが細胞内で増加することを認め、p53依存性アポトーシスが誘導されない理由を解明するために、p53下流で転写活性の調節を受けている遺伝子群(Bcl-2,Fas,Bax,GADD45,Wafl)について、その発現を調べた。その結果、GADD45,Waflはp53の発現誘導に相関して転写活性の増加を認めたが、Bcl-2,Fas,Bax遺伝子に関しては、p53タンパク量により発現調節を受けていないことがわかった。DNA修復能を調べる目的でDNA end-joining分析を用いおこなった結果、正常p53の発現が増加することでDNA end-joiningが促進することが確認された。以上の結果より、甲状腺細胞では放射線によりアポトーシス抵抗性が見られ、細胞内に誘導された正常p53の作用によりDNA再接合が促進されることが示唆された。すなわちチェルノブイリの甲状腺がんで高頻度で認められるRetがん遺伝子の再配列の一機序を明らかにすることができた。この結果は、Oncogene14、1511-1519、1997誌に報告した。
著者
五十里 彰 古田 巧 遠藤 智史
出版者
岐阜薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

低マグネシウム(Mg)血症は薬物療法において重大な障害になるが、その発症機序は大部分が不明であり、有効な治療法は全く開発されていない。Mg輸送体の分子実体が未解明であったことが、Mg代謝疾患と創薬研究の遅延を招いたと考えられる。申請者は低Mg血症におけるMgチャネルの発現異常機構を検討し、薬剤性および遺伝性低Mg血症の発症機序を分子レベルで解明した。さらに、低Mg血症の治療につながる化合物の同定に成功した。本研究により、低Mg血症の回避に向けた薬剤の開発基盤が構築された。
著者
牟田 和恵
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、日本における性暴力・セクハラ問題についての取り組みをとくに女性のエンパワーメントを通じて前進させるために、近年めざましい変化を遂げている韓国の経験に学びながら、またこれまで日本で女性たちが沈黙を強いられてきた状況や構造を分析することを通じて、その方途を探る試みである。何が女性たちの声を抑圧しているかについて、ネット上のバッシングや攻撃について調査分析を行う。
著者
吉井 美奈子
出版者
武庫川女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は、「選択的夫婦別姓制度」の導入による民法改正が実現した場合、別姓を選択した家族への影響を考察することを目的としている。特に、子どもが成長するうえでのアイデンティティ形成と氏の関係を質問紙調査、子どもの文字選好実験、親の離婚や再婚等で改姓を経験した子ども(18歳以上)へのインタビュー調査などを行い、検証した。その結果、幼い子どもたちの多くは、自分の氏名から文字に興味関心を持つ。また、離婚や再婚を経験し成長した子どもにとって、氏の変更は周囲へ説明する煩わしさを感じる一方で、実生活を優先に考える傾向が見られ、家族や個人の氏への執着は低く、実際の家族関係を優先するという傾向が見られた。
著者
中橋 孝博 李 民昌 松村 博文 篠田 謙一 分部 哲秋 山口 敏 季 民昌 陳 翁良 黄 家洪
出版者
九州大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

北部九州から出土する弥生人骨を大陸からの渡来人、もしくはその遺伝的影響を受けた人々とする見解が定着しつつあるが、彼ら渡来人の源郷についてはいまだ不明点が多い。これまでは華北や朝鮮半島を候補地とする研究結果が発表されているが、その背景には人骨資料そのものが大陸北半でしか出土していないという問題が隠されており、人骨の空白地域であった江南地方は、永く論議の対象から外されていた。しかし同地方は稲作を初めとして、考古、人類、民俗など各分野で古代日本との関係が指摘されているので、平成8年度から10年度にかけて、まずこの地域の古人骨資料の探索を行い、人類学的な検討を加えた。その結果、まず新石器時代のウトン遺跡から出土した人骨(51体)については、同時代の華北集団とも、また日本の縄文人とも異なる特徴を持つことが判明した。しかし春秋戦国〜漢代の人骨(30体)は、同地方の新石器時代人とは大きく異なり、日本のいわゆる渡来系弥生人にその形態的特徴が酷似することが初めて明らかにされ、同時に、劉王城遺跡出土の春秋時代末期の人骨2体から抽出されたミトコンドリアDNAの塩基配列が、北部九州弥生人のそれと一致することも判明した。また、この劉王城人骨では、2体に上顎両側の側切歯を対象とした風習的抜歯痕が確認され、この風習でも日本の弥生人集団との共通性が認められた。全体的に資料数がまだ十分ではなく、多くの検討課題を残すが、関連分野からその重要性を指摘されながら永く資料空白地域として残されていた中国江南地方において今回初めて人類学的な研究が実施され、渡来系弥生人との形態、遺伝子、抜歯風習にわたる共通点が明らかになったことは、今後、日本人の起源論はもとより、考古、民俗など各分野に大きな影響を与えるものと考えられる。平成11年3月に中国人側共同研究者を招聘して研究結果を公表したところ、朝日新聞、新華社、読売新聞、産経新聞など各紙に大きく報道され、NHK、フジテレビでも放映されて広く一般の関心を集めた。
著者
古川 智範 上野 伸哉 下山 修司 二階堂 義和
出版者
弘前大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、慢性的なベンゾジアゼピン系薬剤の使用によって認知機能が低下するメカニズムを探るため、ジアゼパム(DZP)長期投与マウスを用いて研究を行った。行動評価解析結果から、想起能力の低下がDZP長期投与した老齢マウスにおいて認められた。また、DZPを長期投与した老齢マウスでは、想起能力の低下や、CA1およびCA3領域におけるスパインの密度の減少が認められた。一方、海馬CA1領域におけるLTPやアポトーシス、細胞新生に対するDZP長期投与の影響は認められなかった。老齢マウスでは、DZP長期投与によりCA3領域のスパインが減少することで想起能力が低下する可能性が示唆された。