著者
梶川 祥世
出版者
玉川大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、乳幼児期の言語知覚認知が音声が主の処理から意味を伴う処理へと発達的に変化するなかで、周囲からの情報が言語獲得を促進するしくみについて、音声と意味をつなぐ学習方略という観点から検討することであった。特に音声獲得と意味学習の関係について、言語音声認知における助詞および擬音語の特性を明らかにし、言語以外の音声の影響も示した。また、子の発達に応じた母親の発話の変化と子の意味推測を促す効果を明らかにした。
著者
鳥山 祐介
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

18-19世紀初頭のロシア文学に現れた風景表象を、同時代の社会的文脈との関連の中で検討することで、風景表象とロシアのナショナル・アイデンティティとの関連など、新たな視点を近代ロシア文化研究に提供した。現時点で4本の論稿が発表された。学会、シンポジウム、研究会等における発表、海外の研究者や歴史学など他分野の研究者との交流などを通じて、狭い意味での専門分野にとらわれない研究の遂行と研究成果の積極的な公開に努めた。
著者
金光 秀和 直江 清隆 本田 康二郎 寺本 剛 鈴木 俊洋
出版者
金沢工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、技術が新しい行為の形を生み出し、社会のあり方を大きく変える現代において、技術のあり方に反省的な眼差しを向けることのできる批判的視点を獲得することを目的とした。この研究によって、第一に、技術に対する批判的視点に関する哲学的考察を進めてその成果を発表することができた。第二に、技術の営みを記述することの哲学的な意義について考察し、また、実際に日本の職人のフィールド調査を行い、その営みを哲学的に記述して成果を学会などで発表した。第三に、福島第一原子力発電所事故に関する記述的・規範的探究を進めてその成果を公表した。第四に、技術哲学の知見を反映させた教科書の作成に参加した。
著者
上條 俊介
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2009

本研究では、公共空間における歩行者監視および道路空間における安全運転支援をアプリケーションとして、実価値のあるセンサーネットワークを開発することを目的としている。歩行者監視のための画像センサーネットワークの開発では、人物監視においては、挙動不審人物を検出し、画像センサーネットワークに渡って自動追跡するための自律分散型の画像センサーネットワークを開発することを目的としている。今年度は、まず時空間MRFモデルを適用してオクルージョンに頑健な人物の領域分割およびトラッキングを行い、その結果から人物の歩行軌跡を得る技術を開発した。オクルージョンの際には、システムが学習した画像上での人物の高さ情報から、足元を推定して正確な軌跡を得ることができた。次に、人物領域のシルエットを画像の水平および垂直軸に投影することで16次元データ化し、これらをクラスタ分類することで、人物のシルエット識別を行う手法を開発した。同じ姿勢を取っている人物でも撮影する方向によってシルエットが異なる問題を解決するため、光軸を90度異なる方向に設置した2台のカメラで撮影されたシルエットを比較することで、正しい人物姿勢を推定する手法を開発した。カメラ間の同一人物マッチングについては、4点マーカーを用いた簡便なカメラ間座標キャリブレーションにより、人物座標変換を行うことで、マッチングが可能となった。最後に、人物の軌跡および姿勢の時系列変化、ならびに複数人物間の相関関係をシナリオ化することで、酔客、けんか、病気、荷物置き去り等の様々な事象を検知するためのフレームワークを開発した。これにより、様々なシーンに汎用的に適用可能な人物行動把握技術が開発されたと考えられる。
著者
長柄 毅一 三船 温尚 清水 康二
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

韓国の慶尚南道出土の高麗時代や朝鮮時代に製作されたとみられる銅鋺、匙等、40点の金相評価ならびに成分分析を行った。なお、出土品は現代の鍮器とほぼ同様の組成であり、錫と銅のみで構成される二元系の熱処理型高錫青銅器であった。現代の鍮器では、銅鋺や匙などは鋳造法で作られることが多いが、出土青銅器はその多くが熱間鍛造で成形されたことが判明した。
著者
鹿倉 秀典 豊澤 弘伸
出版者
青山学院女子短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本年度、鹿倉(代表者)はまず「音曲と戯作-潮来節と江戸戯作」(『國文学-特集:近世のネットワーク』13年6月・学燈社)において「江戸長唄」にも取り込まれた俗謡「潮来節」と当時の文藝である「江戸戯作」との関連性について論じたほか幾つかの成果をあげた。一方、豊澤は「情報活用能力と評論・論説の読み」(『月間国語教育』通巻251号)などにおいて「読み」の能力の変容についての考察を深めてきた。本年度の研究代表者(鹿倉)・分担者(豊澤)の主要な業績は、次ページに記した。但し、この期間、研究代表者は関東短期大学(旧本務校)から青山学院女子短期大学(現本務校)に転任、同僚であった研究分担者との連絡が困難になってしまった。それ故、電子メールを活用し、今回の「研究成果報告書」を完成させることとした。「最終成果」は、明和年間『常盤友』を国立音楽大学所蔵「竹内道敬寄託文庫」を底本に、これまでの翻刻の誤りを是正し、章句索引を作成した。『めりやす豊年蔵』(東京都立中央図書館)『おぎ江節正本集』(国立国会図書館蔵)『哥撰集』(東京都立中央図書館蔵)などに収められたテキストも入っている。それ故、本年度「最終研究成果報告書」は、『常盤友』のテキスト分析に主眼をおいた。但し、これは終わりではなく、「近世歌謡詞章研究」の始まりなのである。なお、本研究に用いた「本文テキスト」は、本年5月以降「http://www5b.biglobe.ne.jp/〜sakou/」において、公開する予定である。
著者
小野田 正利 佐藤 晴雄 吉川 武彦 野田 正人 古川 治 楠 凡之 松本 剛 和井田 節子 岩切 昌宏 山野 則子 瀧野 揚三 西川 由紀子 新井 肇 小林 正幸 山下 晃一 岩永 定 入澤 充 嶋崎 政男 清水 和夫 清水 和夫 嶋崎 政男
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

2000 年代に入ってわが国の学校現場では、教職員と保護者の間に時として激しい対立やトラブルが生じようになり、それらをどのように解決していくか、あるいは減少させていくかという課題が生まれてきた。本研究は、このような問題現象が増加している理由や背景の分析はもちろんのこと、具体的にどのようにすれば、トラブルが大きくならずに解決につながっていくかを考察したものである。このために研究者のメンバーの専門領域をより学際的なものとし、教育学だけでなく、法律学、精神医学、臨床心理学、福祉学などの幅広いものとして構成した。そこで得られた研究成果を、全国の12か所でシンポジウムとワークショップを開催する形で発表したが、これらの成果の多くは、6つの書籍などの成果物として結実した。
著者
脇 隼人
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

悪条件な半正定値計画問題に対して高精度な解を求めるために, 悪条件性を取り除く前処理アルゴリズムの提案・開発を行った. 悪条件な半正定値計画問題とは, その問題とその双対問題が実行可能内点解を持たない半正定値計画問題である. 具体的な成果は, (1) 悪条件な半正定値計画問題に対して良条件な半正定値計画問題, つまり, 実行可能内点解を持つ等価な半正定値計画問題を半正定値計画問題を生成する前処理の提案, (2) いくつかの応用問題から派生する半正定値計画問題に対して, 悪条件になる原因の追及, (3) 特に多項式最適化問題に対して, 良条件な半正定値計画問題を生成する手法の提案をした.
著者
佐藤 透
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、研究期間以前にすでに研究者が実施していた美学・芸術論一般に関する考察と、その考察の侘び概念への応用をさらに発展させ、日本特有の美意識と称される「侘び」「寂び」「幽玄」について、明確な哲学的規定をすることにあった。結果として、大西克禮らの優れた先行研究を批判的に継承しつつ、美および芸術の機能に関する研究代表者自身の見解から「寂び」および「幽玄」に関して、その美意識としての一般性と特殊性とを論定した。三つの美意識を相互連関の下において一つの全体に纏めることは残された課題となった。
著者
村田 好正 福谷 克之 藤本 光一郎 小林 紘一 小牧 研一郎 寺倉 清之
出版者
東京大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1992

共鳴核反応を用いた水素の高分解能深さ分析法の開発を行った。6.385MeVの^<15>Nビームは東京大学原子力総合センターのタンデム型加速器により発生させた。N原子の電子親和力が負であるため入射する負イオンとしては分子イオンであるNH^<2->またはCN^-を用いた。高い深さ分解能を達成するためには共鳴幅程度の単色性の良いビームを作ることが必要である。これは分析電磁石の磁場を安定させることで達成する。プロトンのNMRのスペクトル変動を電磁石の電源へフィードバックすることで磁場の相対変動を10^<-5>に抑えた。分析電磁石の出口スリットにはスリットフィードバックシステムを準備し、加速用のターミナル電圧の安定をはかる。入り口と出口のスリットを0.5mm幅にすることでエネルギーの広がりを2keV以下に抑えらた。実験は超高真空中で処理した試料に、加速器で発生させた6.385MeVの^<15>Nビームは、同センター2Cコースにおいて2段の差動排気を介して解析用超高真空槽へと導いた。ビーム形状をモニターするビームプロファイルモニターと収束用マグネットを設置し、試料上でビーム径2mm、50nAのビームを得ることに成功した。水素との核反応に伴って放出される4.43MeVのγ線は直径4インチのBi_4Ge_3O_<12>シンチレーターを用い、真空槽の外、試料から20-40mm離れた所で測定した。宇宙線によるバックグランドは0.07cpsであり、1/100原子層程度の水素が測定可能となった。この手法を用いて、(a)a-Si/H/Si(001)、(b)Olivine/Aqueous Solution Interface、(c)H/Au(001)、(d)Ag,Cu,Pb/H/Si(111)の試料について深さ分解測定を行った。
著者
村上 章 中畑 和之 西村 伸一 藤澤 和謙 小林 晃 鈴木 誠
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

地震災害リスクと豪雨災害リスクを統合したアセットマネジメントシステムの構築につき、任意年の地震リスク=損失額×地震損失確率を算定し、最終的にLCC=供用年内のリスク+改修費用+維持管理費用を得る。LCCを最小化することで最適な改修および維持管理方法を決定する。この解析を複数の対象地域(ため池群の流域とその下流地域)で実施し、一連の分析を統合化した意思決定システムを完成させた。上記の研究成果は、論文や口頭発表を通じて公表した。さらに、一般市民向け研究成果公開事業「京都大学アカデミックデイ」にて発表・説明した。
著者
大谷 由紀子 藤井 伸生 畑 千鶴乃 趙 王文女正 Kikuchi Koko Chung Ick-Joong
出版者
摂南大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、養育困難な子育て家庭に支援をつなぐ在宅支援の要、地域支援拠点の整備を考察した。結果、自治体規模や福祉に資するリソースの質・量から、都心型「分散ハブモデル」、小規模自治体と中核市による「自治体間ネットワーク+集約ハブモデル」を提示した。先行するカナダ、北欧の地域支援の取組みから、ワンストップで適切なサービスにつながる仕組み、子どもと家族の生活支援を包摂した多様なサービスのコーディネート機能、サービスを効果的に届ける拠点空間デザインの必要が示された。
著者
高崎 みつる
出版者
石巻専修大学
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1999

水産物は貴重なタンパク源として日本人の食生活に無くてはならないものになっている。しかし近年の食生活の変化に伴って、水産加工製品の需要が増えてきている。水産加工製品は製造過程で重量比約85%のエミッションを発生することが知られ、このような傾向は水産物由来負荷の増大へとつながっていく。このような水産廃棄物は最終的に水産加工廃水処理場へと運ばれ最終的には余剰汚泥として肥料会社に引き取られ、また廃棄されている。近年海域での窒素微増の弊害が心配されていることもあり、最終的に窒素に的を絞った議論が大切になっていく。石巻地方ではまた剥き身のカキ約4000トンに相当するカキ殻を毎年海に近い山間の沢に廃棄してきた。今後これらのより高度な利用とエミッション低減を考えると、漁港情報から水産物由来(窒素)負荷情報を得られるように得るための努力と共に、余剰汚泥を農地還元する際の質的問題をカキ殻との組み合わせで解決していく努力も必要になっていくだろう。本研究の目的は、漁港情報から水産加工廃水処理場を経由して出てくる窒素負荷を予測すること、カキ殻の投棄された地域を対象に質的な問題を検討すること、農地からの窒素溶脱や必須元素溶脱が、カキ殻投入によってどのように変化するかを検討することの3つである。カキ剥き直後の貝柱他肉片が多く残った状態で投棄された結果と考えられる。有害金属濃度はカキ剥き直後投棄の沢で高い値を示したが、古いカキ殻と接触して流下する過程でCd, Pb等は減少していった。一方この沢では必須元素が多く含まれていた。このような結果を背景に水産由来汚泥を土壌に混ぜ、これにカキ殻が加えられた場合土壌浸透水がどのように変化するかを、リン・窒素を中心に比較した。カキ殻が加えられることで、土壌浸透水中のリン・窒素は大きく減少した事が示されている。しかし、鉄・マンガン・亜鉛やカルシウムなどはリン・窒素に比べ変化が小さくなっていた。カキ殻を水産系汚泥と一緒に土壌に混ぜることで、地下水への窒素溶脱は効果的に抑えることが出来るようになり、流域から河川へ流れ込む窒素負荷を低減できる可能性が示された。海からの恵みを海に戻すためにも、海から漁港、形を変えて田畑へ、そして河川を経て海へ戻る循環の中で、健全な循環を取り戻すためのカキ殻の役割に関する更なる検討は今後の課題と思える。
著者
三根 真理子 本田 純久 柴田 義貞 三根 真理子
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

長崎市在住の原爆被爆者1237人を対象に、被爆時の状況や被爆体験に関する面接聞き取り調査を1997年に行なった。本研究では、被爆から50年以上が経過した現在においてもなお残る「こころの傷」の全体像を把握するために、同調査から得られた口述記録をテキスト型データ解析の方法を用いて分析を行なった。解析対象は1237人中、性別、年齢、GHQ-30、被爆距離の項目がすべて判明している928人とした。まず、テキスト化された口述記録を"要素"(例えば、「原爆」、「ピカッ」、「死体」、「やけど」、「後悔」)に分解した。同じ意味を持つひらがな、カタカナ、漢字での表記はまとめ、関係のない単語は除外した。方言や表現の違いは同じ"要素"としてまとめた。例えば「光」、「光って」、「ピカドン」、「ピカッ」、「ピカー」は「光」という"要素"とした。また「燃えよった」、「燃えよる」、「燃えてる」は「燃える」という"要素"とした。最も出現頻度が高かった"要素"は「原爆」で口述記録の90%を占めていた。ついで「死んだ」が73.5%、「母」が67%であった。次に身体的なもの(火傷、怪我、病気など)、悲惨な状況をあらわす景色(ガラス、爆風、火事など)、家族、こころ、混乱状態、その他にグループ化し、被爆体験を構成する"概念"を抽出した。被爆体験に関する"要素"や"概念"が各対象者の口述記録に現れる頻度と、要素間あるいは概念間の相関関係を調べた。さらに性別や被爆時の年齢、被爆距離といった対象者の属性により"要素"の出現頻度を比較した。また1997年の聞き取りの際に行なったGHQ(General Health Questionnaire)-30項目質問紙調査の結果と、被爆体験に関する"要素"の出現頻度との関連を調べることで、精神的健康状態との関連についても検討を行なった。
著者
宮崎 修一
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

安定マッチング問題とは、各男性が女性を、同様に各女性が男性を順序付けした希望リストを提出し、それに基づき「安定性」と呼ばれる性質を持つマッチングを求める問題である。本問題は、研修医の病院配属をはじめ、様々な配属問題に利用されている。本研究では、応用を視野に入れた本問題の様々なバリエーションを提案し、それらに対するアルゴリズムの開発や計算困難性・近似困難性の証明を行なった。
著者
香取 洋子
出版者
北里大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

調査予定施設の産科閉鎖のため、施設・実施方法を修正・変更し、前年度生理学的に検討を行ったインファントマッサージを、早産・低出生体重児を出産した育児不安の高いハイリスク母子に対して実施し検討を行った。母親は里帰り出産で実家に帰省し、早産で児を出産した。初回介入時、修正月齢1ヶ月であったが、児があまり眠らないこと、他の子どもと比べて小さいこと、出生時に医師から児の脳への影響の可能性について話がされたこと等、児の成長発達に強い不安を抱いていた。また、出産後外出することがなく、-日中パジャマで過ごしていた。児の発達・発育は修正月例相当であったが、母親は児が長く寝ないことに対し非常に神経質になっていた。全5回の介入のなかで、この時期の子どもの睡眠-覚醒リズムについて伝え、マッサージを通じて子どもの反応に気づくことを中心に介入を進めていった。2回目には、実母からは肉親以外に不安に思っていることを話せたことで、ノイローゼ気味だった娘(母親)が非常に落ち着いたとの感想があった。マッサージ中の母親の様子は、児が泣きに過剰に反応し、なだめも単調な介入方法で効果的ではなかったが、次第に落ち着いて対処できるようになった。また、マッサージを通して母親が児のコミュニケーション能力を確認することができた。子どもなりのペースで成長も認められるようになり、6ヵ月後、母親は一人で育児をする決心をし、自宅へ戻った。以上のことから、早産・低出生体重児をもち、育児不安の高いハイリスク母子に対して、マッサージの指導を介した、子どもとのスキンシップを促す機会とスキルを提供することおよび、継続的な個別訪問による母親への精神的支援が有効である可能性が示唆された。
著者
吉田 哲
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

高齢者が短時間座ってよいと考えるベンチの設置場所は幅2m程度の建物余地が選ばれることが多い。ベンチには次に歩き始めやすいよう少し腰掛ける程度のものが選ばれている。幅2m程度の建物余地は、現地を歩行する高齢者による写真選択では中位であったが、対象地域内で存在そのものが多く、1本の通りにも数か所の候補があるため、既にベンチのある場所も含めると理由の不適合を除いても設置の候補として残る場所が多い。商店街内の個店では、操業年数、個店責任者の年齢によっては、本社や不動産管理会社に設置決定権があってもベンチ設置意向のある場合があることを明らかにした。
著者
福井 博一 景山 幸二 松本 省吾 松本 省吾
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

根腐病抵抗性の4倍性Rosa multifloraと根頭がんしゅ病抵抗性をのPEKcougelを交配し、複合抵抗性台木の育成を目指した。得られた種子から胚を摘出して胚培養を行った。遺伝子マーカーを用いて交雑後代の検証を行った結果、3個体のF1個体が得られた。これらのF1は根頭がんしゅ病と根腐病に対して高い複合抵抗性が確認できた。接木親和性検定の結果、' F1 No.1'、' F1 No.5'が台木として有望であった。
著者
浦川 豪
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

平成16年6月14日に"武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律"(以下、国民保護法)が国会で可決され、地方公共団体は、国民保護計画を作成することが義務付けられた。本計画で想定されている危機事態は、「武力攻撃事態」と「緊急対処事態」であり、地方自治体の実務者にとっては未経験の事態想定となっている。本研究では、地方公共団体の実務者が、テロリズム攻撃等の有事の際に効果的な危機対応を実行するために情報システム構築を目指すものである。
著者
樋口 和彦
出版者
横浜市立北綱島特別支援学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

重度重複障害時の期待感が心拍に影響し、心拍が期待感を計る尺度となり得るか検討した。本研究では実際の指導場面において、重度重複障害の子どもが「学習の状況を把握しやすい手がかりの選定と提示方法」、「状況理解の程度」等を、拍数を利用してアセスメントを試みた。方法としては、対象児に、パルスオキシメータを装着し、対象児とパルスオキシメータを同時にビデオ撮影し、教材の呈示の仕方や声かけの仕方の違いによる期待心拍反応の出現比率を比較した。本実験に先立ち、プレ実験として訪問指導場面の行動をビデオ撮影し、期待心拍反応と思われる変化を観察した。その結果、タンバリンや太鼓など、大きな音を伴う活動の始まりに心拍の低下が見られることがあった。しかし、特定の場面で必ず反応がある訳でもないことも示唆された。様のアプローチをしていると考えられる活動において、ある日は心拍の低下があり、ある日は低下が見られないことも多かった。対象児(小学2年:重度重複障害)は、かかわりがない場面においても心拍数の変化はあり、覚醒状態や気温等等が影響していた。プレ実験後、活動で使う教材を提示するときに、(1)音声によるインフォメーション、(2)音声+触覚によるインフォメーション、(3)音声+触覚+教材の出す音によるインフォメーションの3パターンを作って係わることにした。その結果、(1)>(2)>(3)のように期待心拍反応の頻度は高まっていた。しかし、期待心拍反応が見られない試行も多く、重度重複障害児の場合、期待心拍反応を、正確に見いだすことが困難であることが示唆された。これには、その日の体調等も影響を与えていると予測される。今後は、研究を一歩進めて、期待心拍反応が出たと思われる試行と出ていない試行の覚醒状態・体調等の基礎的な情報を加味して観察を行う必要性が感じられた。