著者
野嶋 佐由美 阿部 淳子 畦地 博子 藤田 佐和 中野 綾美 UNDERWOOD Pa 宮田 留理
出版者
高知女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

患者の自己決定や意志決定を支えることのできる看護介入を発展させていくことを目指し、患者の意志決定を支える看護実践モデルの開発を行うことを目的として、本研究を企画した。本研究は、患者の意志決定を支えた看護場面を想起して記述する自由記載法とアンケートによる実態調査とを行った。本研究の結果から、看護者は、患者が【自分らしさの保持】【現在の生活の維持】【自己の力の発揮】【希望の探求】【再編成に向かう力の充填】などを重視しながら、《病気を持ちながらの日常生活の調整》《生き方の選択》《病気をもった自己の受け入れ》《治療の選択》《家族との関係の調整》などの領域に関して、患者が積極的に意志決定をしている様子を捉えていた。また、看護者の内的取り組みとして、(1)患者の力を信じること、(2)患者の意志や意向を重視して添う関係を形成すること、(3)看護者自身が自己をコントロールしながら看護にあたること、(4)患者にとって最善の選択を願い模索すること、をあげることができよう。看護者が用いていた方略として、《共にいる》《守る》《保つ》《保証する》《整える》《補う》《広げる》《導く》《引き出す》の方略が抽出され、それらは直接患者を支える【患者の力の発揮を支える】側面と、それまでの前段階としての【看護の力を集約する】側面に分類された。【患者の力の発揮を支える】側面において看護者は、患者との関わりの中で、患者の迷いに付き合いながら共に過ごしたり、生活や身体状況を整えながら、患者の行動を見守るなかで、患者を知り、相互の理解を深めていた。そして、患者が安心感をもてるような状況を整え、意志決定に向かう意欲を育むと共に、患者のもつ力を高めながら、患者の意志決定を支えていた。【看護の力を集約する】側面には、《把握する》《判断する》《方向性を探る》《体制を作る》の4つが含まれていた。看護者は、専門的な知識や技術を駆使して患者のおかれている状況を捉え、アセスメントを行って必要な援助を判断すると共に、利用可能な資源や力を集めて患者の意志決定を支えることのできる体制を整えていた。さらに、意志決定を支える看護の特徴として、1具体的ケアを通しての支援、2患者の意志決定への自信を高める支援、3意志決定のプロセスにおける体験や学びの活用、4プロセスとしての意志決定を支える看護、5看護者が陥るジレンマなどが浮かび上がってきた。
著者
山崎 徹 足立 大樹 藤田 和孝 網谷 健児 三浦 永理 早乙女 康典
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-10-21

ナノ結晶合金やアモルファス合金は高強度材料ではあるが、塑性変形中の加工硬化は生じない。このため、引張や圧縮変形時には塑性伸びを殆ど生ずることはなく、局所的なせん断帯を生じて脆性的に破壊し、これが、これら高強度合金の実用化への大きな障害となっている。本研究では、電解析出法によりナノ結晶相とアモルファス相の複合組織を有するNi-W合金を作製し、塑性変形誘起のナノ結晶粒成長を利用した加工硬化性の発現と高延性化を実現できた。さらに、アモルファス構造を有するZr基金属ガラスに貴金属を添加することにより、塑性変形誘起のナノ準結晶相の析出を促進させ、加工硬化性を発現させることができた。
著者
堀之内 宏久 塚田 孝祐 河野 光智
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

腫瘍組織では、腫瘍循環が未熟なため低酸素を呈する。細動脈における酸素拡散について、担癌状態でどのように変化するかを測定した。パラジウムコプロポルフィリンの燐光の減衰による組織酸素分圧測定を行った。Nd-YAGパルスレーザーで励起を行い、ピエゾ素子を用いた移動ステージ上に動物を固定し、細動脈壁の酸素拡散係数を求める方法を開発した、Balb/cマウス背部に設置したDorsal skinfold chamberから観察される内径40~70μm壁厚20μm前後の皮下細動脈を観察した。Balb/cマウスおよびマウス乳癌細胞であるMMT060562を用いた。ドナーマウスより皮下移植腫瘍を摘出、1ミリ大の移植片としてWindow内に移植し、48~72時間後に直径が2mm程度となったところで腫瘍近傍の細動脈について測定した。また、左上肢腋窩部に腫瘍細胞浮遊液を移植、移植後9~10日後に腫瘍径が10mmを超えた時点でマウス背部にWindowを設置、4日後に測定を行った。細動脈壁酸素拡散係数は無処置群では5. 3±1. 1×10^<-11>[(cm2/s)(ml O_2. cm^<-3> tissue. mmHg^<-1>)]であった。腫瘍移植後の酸素拡散係数はウィンドウ内腫瘍群では3. 9±0. 4×10^<-11>[(cm2/s)(ml O_2. cm^<-3> tissue. mmHg^<-1>)]、腋窩腫瘍群では3. 1±0. 6×10^<-11>[(cm2/s)(ml O_2. cm^<-3> tissue. mmHg^<-1>)]であり、担癌動物において明らかに酸素拡散係数が低下し、細動脈領域で酸素を通しにくくなっていることが明らかとなった。
著者
青木 康容 中道 実
出版者
同志社大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1992

以下のような点を明らかにした。1.初期の帝国議会において多数を占めたと言われる地主階層はさまざまな産業、すなわち農業、林業、牧畜業、養蚕業、酒造業などを営み、さらに他のビジネスにおいても投資し、活発なビジネス活動をしていた。かれらの企業経営は実に多様であるが、特に銀行業を営むことが注目される。2.戦前政党と戦後政党との間には、政党内職階制に極端に大きな相違が見られる。戦前政党組織が極めて単純であるのに対し、戦後政党は複雑な役職構成をなしている。これは戦後の政党が政治制度の変化の下に果たすべき大きな役割を担ったことを示し、本格的な政党政治の現われと見ることが出来る。3.戦前議員たちの利益団体との帰属関係を見ると、特に産業団体との関わりが深く、自らがそうした団体の出身者であること、すなわち出身職業がそのような産業であり、その意味で団体利益を挺した議員であること、しかしそれが次第に出身の職業とは関係なくそうした団体の役員を引き受ける議員が1936年の第19回総選挙あたりから出でくる。これは職業政治家の本格的な現われであろうと考えられる。4.戦前議員と地方団体との関わりを分析すると、かれらが如何に地域社会と深い繋がりがあったかが判明した。地方団体とは、地域社会固有の団体で、おそらくは地方名望家が担うことが期待された団体である。衛生委員、地方衛生会、学区取締、学務委員、教育会、連合町村会、町村組合会、林業組合、森林組合、山林会、水利組合、水利土功会、耕地整理組合、勧業委員、所得税調査委員、鉄道会議、調停委員、徴兵参事委員、徴兵議員などがこうした団体と役員である。全体として、職業的背景を見ると、戦前から戦後にかけて実に大きな相違を見ることが出来る。「政治によって生きる」職業としての政治家の本格的な出現はやはり戦後に求められる。
著者
保母 敏行 山田 正昭
出版者
東京都立大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1990

フェニルアセトアルデヒド(PAA)とアミノ酸とを反応させてシッフ塩基を得、これとフェントン試薬とを反応させる際に発生する光を測定するアミノ酸の化学発光定量系を開発した。又、反応場としての逆ミセル溶液の有効性を2つの化学発光系で確認した。まず、シッフ塩基生成において、均一溶液系および不均一溶液系で行わせ、種々の酸化剤を添加し、観察される化学発光について検討した。その結果、シッフ塩基生成はAOT逆ミセル溶液中で著しく加速されることがわかった。又、酸化剤にはフェントン試薬を用いた場合、最も強い化学発光応答を得た。AOT逆ミセルでのシッフ塩基生成速度はミセルサイズが小さくなるに従い大きくなる事が分った。アミノ酸のフローインジェクション化学発光定量法を確立した。定量下限1pmol〜100pmolという結果を得た。又、HPLC用検出系とする試みも行った。すなわち、ODSマイクロカラムを使い、アミノ酸を分離したのち、逆ミセル溶液を混合し、テフロン製反応管中でシッフ塩基を形成させる。続いてメタノールとフェントン試薬を混合、発光検出する系を開発した。チロシン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびヒスチジンの定量下限それぞれ14、1、34および62pmolという結果を得た。さらに、化学発光反応系における逆ミセルの有効性を示す例としてシュウ酸ジエステル化学発光系を見出した。2,4,6-(トリクロロフェニル)オキザレートは過酸化水素との反応でジオキセタンを生成し、ケイ光物質の存在で強く化学発光する。逆ミセル利用により、シュウ酸ジエステルが水に難溶で、しかも加水分解されるという問題点を解決できた。また、アセトニトリル溶媒中で発光させる場合と比較し、10倍以上の感度向上を見た。提案した手法で過酸化水素定量が行える事を確認するとともに反応機構に関する理論的考察も行った。
著者
岡野 寛 細川 敏弘
出版者
香川高等専門学校
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

グラファイトシートを用いて弱光時には化学電池として動作し光励起によりパワーアップするソーラーアシストバッテリーを開発する。空気電池正極のグラファイトシート中もしくは表面に酸化物半導体が分散した構造を有する。グラファイトシート中への酸化物半導体の分散方法としては,アルコキシドを利用した湿式法とスパッタ法による表面への形成が有効である。またスパッタ法では,可視光域にバンドギャップを有するNbOの作製に成功した。正極にアルミニウム,負極に銅を用い,正極表面に酸化チタンを形成した構造で光照射により約18%光電流が増加した。しかし,実用的な空気電池に適用したところ,増加率は1%に満たない結果となった。
著者
横尾 亮彦
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題の開始直後以降、阿蘇火山の活動が活発化し、湯だまりのない状態のまま2014年1月に火孔が開口し、11月25日からは、約20年ぶりとなる本格的な噴火活動が始まった。そのため、阿蘇火山の噴火活動推移に柔軟に対応しながら、高周波連続微動やモノトニック空振の発振源推定など、本研究課題の究極目標である水蒸気爆発現象の理解に資するいくつかの項目を実施し、一定の成果を得た。
著者
河野 七瀬
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

研究代表者は, これまでの研究で2原子分子の化学反応に対する反応物の振動励起効果を明らかにしてきた。そこで昨年度からはさらに拡張し, 多原子分子の反応に対する振動励起効果, 及び, 複数の反応経路に対する反応物の振動励起効果を解明するため, 3つの反応経路をもつNH_2+NO反応系を対象とし実験を行った。昨年度までに, 振動励起した反応物NH_2および生成物OHの振動準位選択的な検出に成功しており, また, CF_4による高効率なNH_2の振動緩和の結果, OHの生成収率が減少することを明らかにした。この結果は, 反応物NH_2の振動励起によりOH生成経路が加速していることを表わしている。本年度は, より定量的な反応物の振動励起効果を明らかにするため, 生成物であるH原子の観測を行った。観測セル内のNH_3/He混合気にArFレーザ(193nm)光を照射し, NH_3の光解離により振動励起NH_2(v2≤11)及びH原子を生成した。H原子は2光子励起にもとづくレーザ誘起蛍光(LIF)法により検出し, 相対濃度の時間変化を観測した。さらに, NO添加条件下で観測したH原子の相対濃度の時間変化から, 添加していない条件下での時間変化を引くことで, NH_2+NO反応で生成したH原子の相対濃度の時間変化を観測した。濃度時間変化の解析の結果, NH_3の193㎜光解離で生成したNH_2とNOの反応系ではOH生成経路の収率がおよそ23%であることを決定した。室温状態ではOH生成経路の収率は1割程度であると言われてきたにも関わらず, 本研究で高い収率を示したことは, 反応物であるNH_2の振動励起がOH生成経路を加速していることを表している。
著者
小川 博之 小林 康徳 平木 講儒
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

固体ロケットプルームによる電波干渉の直接的原因として,(1)燃焼ガス中に含まれるアルミ・アルミナ粒子による散乱吸収,(2)燃焼ガス中に含まれる自由電子,を取り上げ,それぞれについて電波減衰量を見積もった実験で観測される減衰量,電波減衰の周波数依存性から,電波干渉の直接原因は燃焼ガス中の自由電子であると結論づけた.自由電子による電波減衰を評価するパラメタである,自由電子密度と電子衝突周波数を求めるための解析モデルを構築した燃焼ガス流れ中の自由電子密度変化を解析できるモデルにより,プルーム中の自由電子密度分布を求めたプルーム中の化学反応は凍結しており,自由電子のモル分率は変化しないこと,自由電子数密度は巨視的物理量から求めることができることを示した.混相流解析を行い,アルミ・アルミナ粒子が流れ場に及ぼす影響が小さいことを示した.1次元プラズマスラブを仮定した電波減衰解析,2次元プラズマモデルによる電波の伝播解析を行った.電波の回折・屈折の効果は無視できないことがわかった.電波減衰量は周波数に対して弱い負の相関があること,電子密度に比例し電子衝突周波数に反比例することを示した.地上燃焼試験において,電波とロケットモータプルームの干渉実験を行ったモータの燃焼末期を除き定性的に理論どおりの結果が得られた.自由電子数密度が理論よりも小さく見積もられたが,これは不純物Naの量を実際と比べて大きく見積もっていたためと考えられる.燃焼中モータプルームによる電波の変調はないことがわかった.燃焼末期の電波減衰の振る舞いは現時点では説明がつかないため,今後研究を継続して明らかにする必要がある.今後,実際のロケット飛翔へ適用できる解析ツールの整備を行っていく予定である.
著者
長井 嗣信
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

地球磁気圏尾部では、地球半径の20-30倍程度の位置で起きる磁気リコネクションによって磁場エネルギーがプラズマのエネルギーに変換している。この磁気リコネクションが、地球半径40倍の幅をもつ磁気圏尾部で、どのような規模で起きているかを、人工衛星Geotailによる20年以上の観測をもとに確立した。磁気リコネクションのX-line は、イオン慣性長より狭い領域に形成され、その周辺には、ion-electron decoupling regionが10倍のイオン慣性長領域(一般に1 地球半径以下)に形成され、朝夕方向に6倍の地球半径以上の長さを持つという3次元規模とその内部構造を明らかにした。
著者
森下 知晃 水上 知行 田村 明弘
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

ハワイ大学設置のSIMSを用いて、グラファイトの局所炭素同位体比分析の分析手法を確立した。この手法を用いて、高圧変成岩、接触変成岩、ヒスイ輝岩、グラファイトを含むかんらん岩捕獲岩の分析を行った。高圧変成岩類、接触変成岩類は、炭質物中の不純物の影響により良いデータが得られなかった。ヒスイ輝岩のデータから、ヒスイが形成される沈み込み帯初期には、マントル値と同程度の炭素同位体比を含む流体が関与していることが明らかになった。かんらん岩捕獲岩中のグラファイトからは、生物起源を示唆する軽い同位体比が得られた。マントル中でのダイヤモンドが形成との関連を示唆する。
著者
西原 俊明 西原 真弓
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

3年間の研究を通して、英語表現、特に、動詞・形容詞・前置詞を中心とした表現と文法項目に見られるコア・イメージ図を作成し、そのイメージを定着させるための教材を開発した。初年度は、イメージ作りのための調査、特に、大規模コーパスデータを用いた調査を行った。2年度以降は、実際に大学の授業で用い、検証を行った。また、学生からのフィードバックをもとに修正を行った。3年間の研究で目標とする内容に到達したものと考えられる。成果については、国際学会(2013年・2014年)において採択されている。今後は、高校、あるいは中学校の英語教育、英語教員のブラッシュアップ教材として利用できるように公開する予定である。
著者
阿古 智子 小島 朋之 中兼 和津次 佐藤 宏 園田 茂人 高原 明生 加茂 具樹 諏訪 一幸
出版者
学習院女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

急成長を続ける経済発展、世界の投資を吸収し続ける中国市場、その拡大する市場を武器にした外交戦略、等々、いまや中国を抜きには世界もアジアも、また経済も政治も語ることはできない。しかし一方では、日中間をはじめとして、さまざまな緊張要因をも中国は作り出している。中国国内に目を向けると、経済発展の裏で貧富の格差は拡大し、また腐敗は深刻化し、人々と政府との緊張関係は時には暴動となって表れている。こうした中国の国内、国際問題は、一面からいえば全て中国政治および社会の統治能力(ガバナビリティ)と統治のあり方(ガバナンス)に強く関連している。本研究は、現代中国の政治、社会、経済におけるガバナンス構造とそのための制度形成に注目し、中国社会がどのような構造問題に直面しているのか、またどのように変わろうとしているのか、という問題について、国際的学術交流をつうじてとらえ直そうとしたところに意義がある。本年度は、2009年2月9-11日にフランス・現代中国研究センターとの共催で、香港フランス領事館文化部会議室にて、総括を行うための第3回国際ワークショップを開催した。オーストラリア国立大学、香港バプティスト大学、米・オバリンカレッジなどの研究者らと共に研究成果を発表し、現代中国のガバナンスの特徴と変容について、経済・社会・政治の各分野から、積極的に議論を行った。ワークショップで議論した内容は、今後、フランス・現代中国研究センターの発行する学術誌に各々の論文や特集として発表するか、メンバー全員の論文を一つにまとめ、1冊の書籍として刊行することを目指している。日本の研究者が海外に向けての発信力を高めるという意味でも、当研究は一定の成果があったと言える。
著者
谷古宇 尚
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は主に13・14世紀のイタリアにおけるフランシスコ会の美術を対象とし、創立から間もないこの修道会の穏健派と厳格派・聖霊派の対立を視野に入れながら作品を考察するものである。後者の思想は強く終末論的な色合いを帯び、「最後の審判」や「天上の栄光」あるいはフランシスコ会士の宣教や殉教の場面などに影響を与えたと考えられる。一方、絵画が公の場に置かれているかぎり、教会の正統的な教義をも反映しているはずである。アッシジ、シエナ、ナポリ、パドヴァ、フィデンツァに残される作品を、この二つの側面から解明した。
著者
初瀬 龍平 野田 岳人 池尾 靖志 堀 芳枝 戸田 真紀子 市川 ひろみ 宮脇 昇 妹尾 哲志 清水 耕介 柄谷 利恵子 杉浦 功一 松田 哲 豊下 楢彦 杉木 明子 菅 英輝 和田 賢治 森田 豊子 中村 友一 山口 治男 土佐 弘之 佐藤 史郎 上野 友也 岸野 浩一 宮下 豊
出版者
京都女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、戦後日本における国際関係論の誕生と発展を、内発性・土着性・自立性の視点から、先達の業績の精査を通じて、検証することにあった。研究成果の一部は、すでに内外の学会や公開講座などで報告しているが、その全体は、『日本における国際関係論の先達 -現代へのメッセージ-(仮)』(ナカニシヤ出版、2016年)として集大成、公開する準備を進めている。本書は、国際政治学(国際政治学、政治外交史)、国際関係論(権力政治を超える志向、平和研究、内発的発展論、地域研究)、新しい挑戦(地域研究の萌芽、新たな課題)に分けた先達の業績の個別検証と、全体を見通す座談会とで構成されている。
著者
小野寺 康仁
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

これまでの研究から、糖代謝の制御はシグナル経路の制御と深く関与しており、組織構造の形成および維持に多大な影響を与えることが明らかとなった。本研究では、異なる細胞間の代謝協調が細胞-細胞間、細胞-微小環境間の相互作用を調節し、細胞の振る舞いを規定すると仮定して、そのメカニズムを明らかにするための新たな解析系の確立を試みた。第一に、異なる細胞から乳腺組織のような二層構造を得る方法の確立を試みた。第二に、特定の細胞のみに、標識したグルコース(13Cグルコースなど)を取り込ませることのできる新たなシステムを確立した。これらを用いて乳腺組織における筋上皮および管腔上皮間の代謝協調の解析を進めている。
著者
倉田 洋平 土川 覚
出版者
日本大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

ピコ秒オーダーの時間飛行近赤外分光法(TOF-NIRS)によって木材の準微視的領域の材質評価を非破壊で行うことを試み基礎実験を行った。測定で得られる透過光プロフィルから、減光度(参照光と透過光の強度比)と遅れ時間(参照光と透過光のピーク時間の差)を算出し解析に用いた。その結果、木材の密度が増加するにつれ減光度は減少し、また、密度が増加するにつれ遅れ時間は増加する傾向が認められた。
著者
李 玄〓
出版者
沖縄国際大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

近年、韓国では子どもを早期留学させるために家族が離れて暮らす「非同居家族」による、いわゆる「雁パパ」が出現している。「雁パパ」とは、母と子どもを留学させ、自分は一人韓国に残って留学費用を送金しながら暮らす父のことで、そこには様々な問題点も指摘されている。本研究は、早期留学によって現れた「雁パパ」現象に焦点をあてることで、韓国の外国語教育政策における現状問題と今後のあり方を探った。
著者
川又 俊則 武笠 俊一 板井 正斉 磯岡 哲也
出版者
鈴鹿短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の成果の概要は、以下の通りである。①過疎地域の宗教集団は一定の機能を有し、今後も地域のネットワークとして機能する可能性が十分ある。②老年期の宗教指導者は、教団等地域外とのコミュニケーションツールを持ち、地域住民に、外と内をつなぐネットワークの結節点となっていた。③老年期にUターンや初めての土地で宗教指導者となる選択をする人もいる。彼ら・彼女らの例から、老年期の多様な生き方のモデルが見出された。④過去の調査および、10年、20年を経た後の再調査の重要性を再認識した。
著者
岩井 雪乃
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、アフリカゾウによる農作物被害が発生している地域で、地域住民がゾウといかに共存できるのかを「被害認識の緩和」の視点から実証的に明らかにすることを試みた。研究の過程では、タンザニアのセレンゲティ国立公園に隣接する村落において、被害対策(車による追払い・養蜂箱の設置)を実践し、多様な関係者(県・地元NGO・国際NGO・観光企業・日本人ボランティアなど)が連携する場をつくった。その結果、被害対策において多義的な関係性を創出することが、被害認識の緩和につながる可能性が示唆された。