著者
江原 宏 三島 隆 内山 智裕 内藤 整 豊田 由貴夫
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

パプアニューギニア北部の東セピック州では,サゴヤシ民俗変種を,「大きい」(背が高い;樹高が大きい),「樹中の実(髄)が多い」といった樹体サイズなどを表す語,葉柄が白い,あるいは緑色といった特性,あるいは葉柄の基部の葉鞘に当たる部分の蝋状物質の蓄積程度の差を基準として仕分けているものと考えられた。同国ニューアイルランド島ケビエン地域においても,「木のように背が高い」との意味を示す語を名称とする民俗変種が分布するなど,樹体サイズの特徴が民俗分類で重要なことが明らかになった。また,胸高直径が特に大きな,多収性と考えられる民俗変種も認められた。ニューギニア島インドネシア領の西パプア州では,乾物率や澱粉収率の低い個体は,地下水位の高い地区に生育していたことから,生育環境が澱粉生産性に及ぼす影響の大きさが窺われた。一方,葉痕間隔が長いことは,生長速度が大きいことを意味するが,その値がニューアイルランド島の調査で幹胸高直径と負の関係にあることが窺われ,生長の早いタイプ,あるいは地域では,幹が細いということと考えられ,極めて興味深い結果を得ることができた。また,葉痕間隔とデンプン含量にも負の関係が認められ,生長の早いタイプでは低収傾向があることが窺われた。
著者
金 〓季 山本 修一郎 石原 宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.732, pp.19-24, 2003-03-11

1T2C型強誘電体メモリアレイにおけるデータ書き込みディスターブ効果について等価キャパシタモデルを用いて解析した。また、その結果からディスターブの低減に効果のある改良されたV/3ルール書き込み法を提案し、SPICEシミュレーションと実験とによりその効果を検証した。その結果、提案した書き込み法によるディスターブ低減効果が認められた。
著者
田原 宏晃
出版者
大阪体育大学
雑誌
大阪体育大学紀要 (ISSN:02891190)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.55-70, 2008-03

The first Code of Points in Gymnastics was formulated by International Gymnastics Federation (F.I.G.) in 1949. It is commonly assumed that the 1964 edition of the Code of Points is the basis of present Code of Points. From the 1964 edition to the 2006 edition, the Code of Points has been revised for 10 times, and 11 revised editions have been published since 1964. The purpose of this investigation was to clarify the tendency of how gymnastics skills have been developed by putting all the published skills together, in order to make fundamental materials for future study. This time, the investigation was focused on vaulting skills only. The results in present study were summarized as follows. ・Total 177 vaulting skills have been published since the 1964 edition to 2006 edition. ・In the 1964 edition, only 12 vaulting skills were published. However, within about half century, the number of vaulting skills has increased for 10 times, and 133 vaulting skills were published in the 2006 edition. ・During the period, developments in the first flight phase were mainly made in vaults with 1/4 turn or rounding off after or before jumping off the springboard, respectively. In the second flight phase, the developments were mainly seen in vaults with handspring and Yamashita styles, which were characterized by rotations of the body about lateral and longitudinal axes of the body after pushing off the horse. ・Although the largest number of vaulting skills with highest values was published in the 1989 edition, the number has decreased after the edition, and only one new vaulting skill with highest value was published in the 2006 edition. ・Of all the published vaulting skills, there were 5 vaulting skills that were continuously published from the 1964 edition to the 2006 edition. During this period, there were 27 vaulting skills with only one publication, and two of these 27 vaulting skills were newly published skills in the 2006 edition.
著者
檀原 宏 三橋 俊彦 野崎 博
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
栄養と食糧 (ISSN:00215376)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.503-505, 1964

牛体内の柔組織間におけるCs-137の汚染濃度の分布を調べる目的で, 正常に飼養されている18ヵ月齢の牡牛を屠殺し, 各臓器, および筋肉についてK, Cs-137の含量を測定した。同時に, 数種の臓器ではCa, Sr-90の測定をも行なった。その結果, Sr-90は第1胃, 腎および大腸部に若干検出されたのみであった。Cs-137は, すべての臓器にも見出され, 2-15CUの間におさまり, 高くはないが決して0とはいえなかった。各組織間のCUの分布には, 一定の傾向が見出せなかった。
著者
小笠原 宏樹 加藤 昇平
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

ロボットが人間同様に個々の環境に応じて独自の個性を獲得することは,人間のロボットに対する感情移入度を向上させると考えられる.本稿では,個性を決定付ける要因として「性格」に着目し,サイモンズの養育態度尺度と対人感情の心理モデルを基に,ユーザの行動選択傾向からロボットの性格付けを行う手法を提案する.本手法をロボットに実装し,インタラクション実験を行った結果,本手法による性格付けの有効性を確認した.
著者
吉本 敦 庄司 功 尾張 敏章 加茂 憲一 二宮 嘉行 木島 真志 庄司 功 加茂 憲一 尾張 敏章 柳原 宏和 二宮 嘉行 佐々木 ノピア 木島 真志
出版者
統計数理研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

1992年の生物多様性条約採択以降、生態系保全政策のグローバルな影響への関心が高まっている。このような保全政策はある地域の政策が他の地域の生産活動に及ぼす影響を考慮しながら、地域レベルの生態系サービス(多次元的な財)の生産調整を行う必要がある。その結果、地域的あるいは国際的に効果的・効率的かつ実行可能な保全政策を展開することが可能となる。本研究では、トルコ、韓国、日本を中心に、森林資源から供与される多次元的な財の中で、特に生息地供与機能、侵略的外来種防止機能、美的景観供与機能を特定するモデルを開発し、森林資源・生態系管理に対する時空間最適化モデルの構築により、それら機能を定量的に明らかにした。
著者
松原 宏之
出版者
横浜国立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

1930年代に成立するとされるアメリカ型福祉国家の起源を探るには、国内史だけでなく、網の目をなすトランス・ナショナルな人と情報の流通を1900年代から1910年代に遡って視野に入れねばならない。
著者
経塚 雄策 梶原 宏之 柏木 正 中村 昌彦 磯辺 篤彦 濱田 孝治
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

平成19年度の研究では特に水車の起動トルクを大きくするために回転軸にサボニウス形水車を取り付けることを試みた。サボニウス形水車は、半円形のバケットを複数個組み合わせた水車でバケットの抵抗が流れの方向によって変化することを利用する。起動トルクが大きいので、ダリウス形水車と組合せることによって低回転から高回転までの広い範囲で良好な性能を期待できると予想された。はじめに半円形バケットの流力特性を求めるために風洞実験により、半円形バケットの定常流中の揚力、抵抗およびモーメント係数を求めた。次に、回流水槽において、流れの中でサボニウス形水車を回転させてトルクを計測した。さらに、サボニウス形水車とダリウス形水車を組合せて回流水槽で実験を行った。サボニウス形水車により低回転域では起動トルクが大きくなり起動特性は改善されたが、一方、ダリウス形水車が高性能を発揮する高回転域においてはダリウス形水車単独の方が高性能であることが判明した。これは、サボニウス形水車を付加することによって水車周りの流れが変化するためであると考えられ、結局は起動トルクをとるか、水車効率をとるかの選択になるものと思われるが、無回転では水車効率はゼロとなるので我々の場合にはサボニウス形水車を付加することを選択した。最後に、曳航水槽において48極コアレス発電機(1KW)によって発電実験を行い、発電量から最終的なパワー係数を求めたところ最大で約0.2を得た。これは、発電機効率が0.7くらいとみられるので、水車効率としては約0.3であり、良好な性能であると思われた。この実験結果を用い、長崎県生月大橋の橋脚横で実海域実験を行うプロトタイプのダリウス-サボニウス形水車を製作し設置を行った。
著者
風早 康平 篠原 宏志
出版者
日本地質学会
雑誌
地質学論集 (ISSN:03858545)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.91-104, 1996-09-20
被引用文献数
3

噴火時に放出される揮発性成分は, 噴火時に重要な役割を果たすにもかかわらず, その揮発性の性質ゆえに, 噴火後岩石などに固定されないため, 長い間, その組成や放出量は不明であった。最近10年ほどの間に, 様々な顕微分析法は, メルトインクルージョンの揮発性成分濃度の測定を可能にし, 火山ガスの遠隔観測法(TOMSやCOSPEC)は, 噴火時あるいは非噴火時のSO_2放出量の直接測定を可能にした。観測された火山噴火時のSO_2放出量は, メルトインクルージョンのS濃度とマグマ噴出物量から推定される量よりも一桁から二桁も過剰である(過剰な脱ガス)ことが多いことが明らかとなった。この過剰なSO_2の脱ガスは, anhydriteの分解により生成したSO_2による, あるいは, 噴火前にマグマ溜りに存在していたSO_2を含む気泡によるなどの原因が考えられている。非噴火時の活火山から放出されるマグマ起源ガスは, その存在自体が過剰な脱ガスである。多くの火山で100-4000 t/d規模のSO_2の放出がみられ, 大量のマグマが非噴火時にも脱ガスしていることが示唆される。火山ガス放出量およびマグマの揮発性成分濃度を用い, 伊豆大島, 桜島, 薩摩硫黄島, 有珠, ストロンボリおよびエトナの各火山についてどの程度の量のマグマが脱ガスに関与しているのかを示した。いくつかの火山では, この規模のガス放出が1000年以上にわたり続いており, 大規模なマグマ溜りから継続的にガスが供給されていることを示す。非噴火時の脱ガス機構として, 火道内マグマ対流がマグマ溜りから未脱ガスマグマを火道上部に運搬し, マグマが効率的に脱ガスするというモデルを示し, 伊豆大島を例に検討し, この対流が玄武岩質マグマから流紋岩質マグマまで幅広く生じうろことを示した。長期にわたり生産された大量の脱ガスマグマは, 脱ガスにより結晶化が促進され, ガブロなどとして, 火山体下部に貫入しているものと推定された。
著者
岸 幹二 繁原 宏 若狭 亨 杉本 朋貞 窪木 拓男
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

本研究の目的は、第1に顎口腔領域における各種感覚刺激のfMRIに最適の撮像条件の設定、頭部の固定法、画像処理を確立することである。第2に味覚など体動や筋肉の動きを伴わない刺激および嚥下運動におけるfMRIの描出能について健全例について種々条件を変えて検討を加え、fMRIの顎口腔領域各種感覚刺激の研究、臨床応用の可能性を追及することである。平成12年度にまず撮像法の検討を行った。手指の運動に対し、gradient echo type EPI(GE-EPI)とspin echo typeEPI(SP-EPI)の2種類の撮像シーケンスを用いて、fMRI画像の比較検討を行った。その結果、SP-EPIが信号検出の特異性、正確度共に高いため、このシーケンスを用いることにした。頭部固定は、ヘッドコイルと頭部に対し、ヘアバンド、スポンジ等を組み合わせることにより施行し、アイマスクと耳栓で視覚、聴覚刺激を遮断した。画像処理は、Magnetom Visibn付属のソフトウエア-(Numaris)内のz-scoreを用いて行った。次に、味覚刺激は、濃度1Mの食塩水と3mMのサッカリンを被験者の口腔へ挿入したチューブより滴下することにより与え、fMRI撮像を行った。その結果、味覚刺激による脳賦活領域はpariental operculum、frontal operculumとinsulaに分布することが明らかになった。味覚刺激の種類による分布の差異は今回の研究では認められなかった。平成13年度は、主に嚥下運動によるfMRI studyを行った。すなわち、被験者の口腔に挿入したチューブより、蒸留水を3ml/秒注入し、断続的に嚥下してもらうことにより行った。その結果、primary motor cortex、primarys somatosensory cortexが主に賦活されることが明らかになった。
著者
遠藤 泰生 荒木 純子 増井 志津代 中野 勝郎 松原 宏之 平井 康大 山田 史郎 佐々木 弘通 田辺 千景 森 丈夫 矢口 祐人 高橋 均 橋川 健竜 岡山 裕
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

領土の拡大と大量移民の流入を規定条件に建国後の国民構成が多元性を増したアメリカ合衆国においては、社会文化的に様々の背景を持つ新たな国民を公民に束ねる公共規範の必要性が高まり、政治・宗教・経済・ジェンダーなどの植民地時代以来の社会諸規範が、汎用性を高める方向にその内実を変えた。18世紀と19世紀を架橋するそうした新たな視野から、合衆国における市民社会涵養の歴史を研究する必要性が強調されねばならない。
著者
中谷 正生 飯尾 能久 小笠原 宏 佐野 修 山内 常生
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

断層の滑り摩擦の絶対値を知るために、来るべき地震の断層のすぐそばに精密温度計のアレーを設置するという世界で初めての観測を行った。南アフリカの金鉱山に、地下3kmでの採掘活動が大規模な地質断層のそばで行われているところがある。我々は、この地点で長さ30m程度の多数のボーリングを行い、コアと、孔内ビデオ映像の詳細な解析により、厚さ20mを超える複雑な断層帯の構造を三次元的に描きだした。その結果、断層帯の片側と母岩の境界の厚さ10cm程度の部分だけが、損傷が激しく、際だった弱面になっていることが見出された。この構造は面をつらぬくボーリング孔がカバーする全範囲(10x10m程度)にわたって連続しており、また、相当に平面的であった。この面を中心に、距離1m以内に多くの温度計を設置することができた。断層帯は、主に母岩の砕屑物が固結した岩石でできていたが、その中で面構造を示す部分はごくわずかであった。数センチの厚みで、剪断の集中による葉状構造が観察される所は他にも数カ所あったが、先に述べたものだけが、ぼろぼろの状態で、全ての掘削孔で、この面を通る部分だけ、壁の材質がリング状に失われていた。連続観測された温度データは非常に安定で、この鉱山で発生が期待されるM2-3クラスの地震が、上述の弱面で起こった場合、その滑り摩擦強度が、実験室から予想される値の1/10程度でも、測定することができるほどである。これは、いわゆる地殻応力問題で取りざたされている断層強度の範囲の全域をカバーできていることになる。地震によって起こった発熱による周辺岩盤温度の時間変化をみるこの観測では、地震後1ヶ月ほどのデータが必要だが、地震の被害を受けやすい断層直上での観測であるため、地震後に観測機器にアクセスできなくなる可能性もある。そのため、データの収録、伝送、電源供給方法は無線を含めた多重化を行った。
著者
石原 宏 米津 宏雄 鳳 紘一郎 雨宮 好仁 柴田 直 岩田 穆 岡部 洋一 山川 烈
出版者
東京工業大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1995

本研究班では、2次元の空間情報に時間軸をも含めた多次元情報を、バイナリ、多値、アナログ融合アーキテクチャを用いて高速に処理するハードウェアを実現することを目的とした。特に、過去の情報に基づいて刺戟に対する対応を変化させる適応学習機能や、必要に応じて自己を再構成する自己組織化機能などの生体機能をハードウェア的にシステムに作りつけ、大枠の判断、連想のような高度の知的作業を瞬時に行う新しい知能システムを構築するための基礎を築くことに重点をおいた。強誘電体ゲートFETを用いて適応学習機能を持つパルス周波数変調型ニューロチップを作製する研究では、強誘電体としてSrBi_2T_2O_9を用いたFETとCMOS構成のシュミットトリガー回路とをSOI(絶縁物上のSi膜)基板上に集積化し、良好な学習動作を確認した。カオス信号を生成する集積回路に関しては、npnトランジスタとキャパシタとを用いる外部クロック型と、CMOSマルチバイブレーターを用いる自励発振型の両者について検討を行い、それぞれについて反復一次元写像が行われ、カオスが発生することを明らかにした。パルス幅変調型AD融合回路技術に関しては、機能イメージセンサ、セルオートマトン、パターンマッチングプロセッサを1チップに集積化し、特徴連想イメージプロセッサを開発した。CMOSデジタル技術並びにニューロンMOS(νMOS)技術を用いた検討では、過去の膨大な経験を特徴ベクトルとして記憶するVast Memoryを実現するために、高精度アナログ不揮発性メモリ技術を開発すると共に、沢山の事例の中から最類似記憶を瞬時に検索・想起するための連想エンジンチップを開発した。外網膜の機能を有する集積回路の作製に関しては、エッジ検出などの機能を持たせるために受光セルを相互に結線する場合に、最近接セル以外のセルとも結線しようとすると、配線が極めて複雑になるという問題を解決するために、受光セル以外の部分は全てMOSトランジスタのチャネル領域になっている新しい構造の光検出チップを開発した。
著者
土師 誠二 宇佐美 真 平井 昭博 阪田 和哉 小谷 穣治 磯 篤典 金丸 太一 笠原 宏 山本 正博 斎藤 洋一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.1652-1657, 1996-07-01
被引用文献数
8

大侵襲の消化器外科周術期の真菌血症の発生について検討した.対象は臓器真菌症を有さない胸部食道切除6例,胃全摘12例,膵切除4例で,術前,術後2,10日目に末梢静脈血を用いて細菌培養,カンジダ抗原価(Cand-Tec),β-D-glucan値(トキシカラー値とエンドスペシー値の差)を測定し,真菌血症の診断を行った.カンジダ抗原価,β-D-glucan値陽性率は2PODにはともに42.8%と有意に上昇し(p<0.01),カンジダ抗原価は10PODにさらに増加するのに対し,β-D-glucan値は減少し,一過性の上昇を示した.血液培養は全て陰性だった.術式別では食道切除術で陽性率が高かった.陽性群と陰性群で比較すると,カンジダ抗原価陽性群は手術侵襲が大きく,低栄養の症例が多かった.以上より,消化器外科手術後早期には培養陽性とはならぬが一過性の真菌血症が生じ,手術侵襲の程度や栄養状態と関連し,microbial translocationの可能性が強く示唆される.
著者
岡田 信彦 菊池 雄士 壇原 宏文
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

ブタコレラ菌(Salmonella enterica serovar Choleraesuis)の細胞侵入による血管内皮細胞の宿主反応を明らかにし、引き続き起こる局所炎症反応についての分子メカニズムを明確化することを目的とし、次のことを行った。(1)ブタコレラ菌の血管内皮細胞への細胞侵入能について、ブタコレラ菌野生株(RF-1)およびその細胞侵入能変異株(invA変異株)を用いて、血管内皮細胞(HUVEC細胞)および上皮細胞(HEp-2細胞)に対する細胞侵入性について検討した。RF-1株はHEp-2細胞およびHUVEC細胞の両細胞に対して同様の細胞侵入性を示したのに対して、invA変異株はHEp-2細胞およびHUVEC細胞への細胞侵入能は野生株に比べて明らかに減少していた。(2)ブタコレラ菌の血管内皮細胞への侵入に伴う炎症性サイトカインIL-1α, IL-1β, IL-6,IL-8およびTNF-α)の産生をRT-PCR法を用いたmRNAの定量化を行い、野生株感染血管内皮細胞とinvA変異株感染血管内皮細胞とそれぞれ比較した。その結果、野生株感染血管内皮細胞のみでIL-8の発現が上昇していた。(3)ブタコレラ菌の血管内皮細胞への侵入による接着分子の細胞表面への発現を蛍光抗体法を用いて観察することを試みた。Green fluorescent protein(GFP)を発現するブタコレラ菌野生株を血管内皮細胞に感染させ、各接着分子の単クロン抗体を用いて蛍光染色した。ブタコレラ菌感染5時間後の血管内皮細胞において接着分子、E-selectin(CD62E)、ICAM-1(CD54)およびVCAM-1(CD106)で細胞表面への発現がみられた。