著者
松原 誠 小原 一成
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.331-344, 2009

Many researchers have studied the three-dimensinal seismic velocity structure beneath the Kanto region, central Japan using seismic tomography, because the structure is very complicated due to subducting of the Pacific and the Philippine Sea plates beneath the Eurasian plate. The Tokyo metropolitan area is located in the Kanto region. Initially, the subducting Pacific and Philippine Sea plates are imaged with high-velocity zones. With many data, the oceanic crust at the uppermost part of the subducting Philippine Sea plate was imaged clearly. After construction of the NIED Hi-net, the oceanic ocrust of the Pacific plate subducting to depths over 100km was also imaged. A large low-velocity region at depths of 30-50km beneath the central Kanto region in the east-west direction was found by many researchers. The reason for the low-velocity is considered to be the existence of a serpentinied mantle wedge, curling Eurasian crust, and thick oceanic crust of the Philippine Sea plate. A low-velocity zone at depths of 40-70km beneath the eastern Kanto region with north-south direction was also found. The reason for this low-velocity is considered to be the existence of serpentinied mantle wedge and curling Philippine Sea plate. A high-density seismograph network, called MeSO-net, is under construction in this metropolitan region. The results with these data are expected to reveal a more detailed structure beneath the metropolitan area. We review former studies on the velocity structures beneath the Kanto region and note some characteristic structures beneath the Kanto region with results along arrays of MeSO-net.
著者
日原 誠介 高野 和夫 妹尾 知憲
出版者
岡山県農業総合センター農業試験場
雑誌
岡山県農業総合センター農業試験場研究報告 (ISSN:13466658)
巻号頁・発行日
no.23, pp.1-8, 2005-07

'あかおにもち'は、岡山県農業総合センター農業試験場において育成された晩生の赤米儒品種で、その来歴及び特徴は次のとおりである。1.1987年に岡山県立農業試験場において、'総社赤米'を母とし、'サイワイモチ'を父として交配を行い、Fl世代からF3世代を集団採種した後、1991年F4世代で個体選抜し、以後系統育種法によって選抜、固定を行って1995年からは岡山赤儒61号の系統名で奨励品種決定予備調査に供試し、あわせて特性検定を実施して栽培特性や加工特性を検討した。その結果、赤米のもち種で、食味が良く、栽培特性も良好であったので、2003年9月に品種登録を申請した。2.出穂、成熟は'総社赤米'とほぼ同じで、育成地では晩生に属するもち種である。3.桿長は'総社赤米'より40cm以上短く、穂数は'サイワイモチ'と同程度で、草型は穂数型に属する。止葉は適度に直立し、籾には赤褐色の長い芒を付け、穂の着粒はやや疎で、脱粒性は中である。4.耐倒伏性は'総社赤米'や'ヤシロモチ'より強いが、穂発芽性は易で、'サイワイモチ'より穂発芽しやすい。5.いもち病真性抵抗性遺伝子型はPia-2を持つとみられ、圃場抵抗性は強い。また、白葉枯病にはやや弱く、縞葉枯病に対しては、抵抗性遺伝子を持たず弱い。6.収量性は、'総社赤米'より高く'ヤシロモチ'より劣る。7.玄米は'総社赤米'に似て、'サイワイモチ'より大きく、粒色は赤で、見かけの品質は'サイワイモチ'と同等である。8.食味は'サイワイモチ'より劣ったが、生もちはピンク色となり、硬化速度は遅い。9.適地は、岡山県南部の標高100m以下の地力中ようから肥沃地で、普通期栽培に適するが、移植期が遅れると減収し、着色も悪くなるので、できるだけ作期を早める。耐倒伏性は強いが、過度の施肥をすると品質が低下するので施肥量は'ヤシロモチ'並とする。また、花粉が飛散して雑種を生じる恐れがあるので、出穂期が近い品種を周辺で栽培しないよう注意する。10.用途としては、紅白もち、赤飯、菓子、観賞用、天然の色素原料などが考えられ、岡山県内の地域特産物として普及が期待される。
著者
石川 智治 三井 実 大谷 社 宮原 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.37, pp.19-24, 2005-05-05

我々は, 人に深い感動を喚起させる情報:"高度感性情報"再生のための新・電気音響再生論に基づき高品質音響再生システム(Extra HI System M)の研究開発を行っている.そのシステムの再生音がスピーカ前3mまでの範囲において平面波の性質を持つことを実証した.このことはこれまでの通説: 球面波, とは全く異なる事実である.本報告では, 従来の代表的且つ, 標準的なモニタースピーカ: YAMAHA NS-1000Mにおける音伝搬(波面など)の特性を実測して明らかにした.次に, より忠実な波面を再生するように改造したところ, 7段階評価で+2以上の音質改善を得た.波面の忠実な再生は, 新・電気音響再生論の骨子であり, 新理論の正しさを実証した.
著者
堀 貞喜 石田 瑞穂 青井 真 井上 公 大久保 正 岡田 義光 小原 一成 笠原 敬司 木村 尚紀 熊谷 博之 汐見 勝彦 関口 渉次 根岸 弘明 野口 伸一 松本 拓己 山水 史生 藤原 広行 功刀 卓 浅野 陽一 関根 秀太郎 廣瀬 仁 松原 誠 安逹 繁樹 伊藤 喜宏 針生 義勝 松林 弘智 松村 稔 宮川 幸治 山品 匡史 坂無 雅子 雷 楓 伊東 明彦 岩田 知孝 ト部 卓 川勝 均 木下 繁夫 工藤 一嘉 纐纈 一起 佐藤 春夫 佐藤 比呂志 武井 恵雄 中尾 茂 平田 直 平原 和朗 堀家 正則 松澤 暢 山北 聡 綿田 辰吾 山野 誠
出版者
独立行政法人防災科学技術研究所
雑誌
防災科学技術研究所年報 (ISSN:09186441)
巻号頁・発行日
vol.15, pp."I-12"-"I-16", 2004-09-06

地震調査研究推進本部の総合基本施策(「地震に関する観測、測量、調査及び研究の推進についての総合的かつ基本的な施策(平成11年4月23日)」)、及び調査観測計画(「地震に関する基盤的調査観測計画(平成9年8月29日)」、「地震に関する基盤的調査観測計画の見直しと重点的な調査観測体制の整備(平成13年8月28日)」、「地震に関する基盤的調査観測等の結果の流通・公開について(平成14年8月26日)」)等に基づき、高感度・広帯域地震観測施設と強震観測施設を整備し、観測網の維持・管理・運用を行う。これら基盤的観測網と防災科研の在来地震観測網から得られるデータの収集・処理を行い、気象庁、大学等のデータと合わせて蓄積・流通・公開を行う。また、防災科研が海外に整備した観測施設についても、円滑な維持・管理とともに、観測方式の高度化を行いつつ、データの収集・処理・蓄積・公開を行う。さらに、各観測網から得られるデータを用いて、高度な地殻活動のモニタリングを実施し、地震活動状況の推移を判断するための研究成果を創出する。
著者
梶原 誠司 佐藤 康夫
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.3_71-3_77, 2008-01-01 (Released:2011-03-01)
参考文献数
21
被引用文献数
1

半導体製造プロセスの微細化やSoC(System-on-a-Chip)の高速化に伴い,遅延故障のテストの重要性が高まっている.論理回路の遅延故障のテストには,高精度な測定を可能にするDFT(Design for Testability)やテストパターン印加の仕組み,フォールスパスを考慮し故障の伝搬経路長を考慮したATPG(Automatic Test Pattern Generation:自動テストパターン生成),SoCのテストでは,高速クロック生成,複数クロックドメインへの対応等の総合的アプローチが必要である.本論文では,基本となる遅延故障のテスト手法を解説する.
著者
冬木 真吾 小林 幸夫 石川 智冶 宮原 誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.97, no.602, pp.9-16, 1998-03-13
被引用文献数
22

高度感性情報の再現に重点をおき、ディジタル音響機器を見直した結果、CD Playerの電源極性が"空気感"の再現に影響を与えることを発見した。この事実を定量的に解析するために、CD Playerの電源極性の違いのみによる差分信号を測定した。その結果、CD Player出力信号(アナログ)に時間軸方向の伸び縮み歪みが140ns(以内)〜700nsec存在し、この歪みが大きいと"空気感"の再現が悪いことを明らかにした。
著者
辻 敦司 石川 智治 宮原 誠
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.89, pp.37-42, 2000-09-22

我々は,高度感性情報再現に重要な物理要因を探究し,それに基づいて高度感性情報を再現できるオーディオシステムの開発を行っている.これまでの我々の研究により,オーディオシステムの筐体の支持方法や材質,構造の違いにより高度感性情報再現が大きく異なることが分かってきている.本研究は,オーディオアンプの筐体振動に着目し,どのような振動(床,空気,電気信号)が生じており,また,それが高度感性情報再現にどのように関係しているかを考察した.これまで高度感性情報再現のために実験的に得られてきたアンプの支持方法により,どのような振動モードがアンプ筐体に生じているかを検討した.We have been discovering important physics factors to reproduce the high order sensations, and we are developing the audio system based on the obtained facts. It has been clarified that the reproduction high order sensations greatly depend on the material and the structure. Vibration mode on a chassis is measured and considered.
著者
榊原 正幸 上原 誠一郎
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
岩石鉱物科学 (ISSN:1345630X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.3-10, 2006-01-20
被引用文献数
3 1

The term asbestos is a generic designation given to six types of naturally occurring mineral fibers that are or have been used in commercial products. These fibers belong to two mineral groups: serpentines and amphiboles. The serpentine group contains a single asbestiform variety: chrysotile. The amphibole group contains five asbestiform amphibole varieties: anthophyllite, grunerite (amosite), riebeckite (crocidolite), tremolite and actinolite.<br>     These fibrous minerals share several properties which qualify them as asbestiform fibers. They are bundles of fibers which can be easily cleaved into thinner fibers. Several properties that make asbestos so versatile and cost effective are high tensile strength, chemical and thermal stability, high flexibility, and low electrical conductivity.<br>     Asbestos fibers have been used in a broad variety of industrial application; some 3000 applications such as roofing products, gaskets, and friction products. 80% of imported asbestos is used for cement products such as asbestos boards and slates which are used for building materials, 7% for friction materials, and less than 3% for asbestos textile. Nearly all of the asbestos produced worldwide is chrysotile. Historically, chrysotile has accounted for more than 90% of the world's asbestos production, and it presently accounts for over 99% of the world production. Two types of amphiboles, commonly designated as amosite and crocidolite are no longer mined. With the onset of the health issues concerning asbestos in the late 1960s and early 1970s, world production and consumption began to decline during the 1980s. Japan used approximately 6.7 million tons between 1974 and 2004. About 67% of this amount was used since 1930.<br>     The relationship between workplace exposure to airborne asbestos fibers and respiratory diseases is one of the most widely studied subjects of modern epidemiology. The research efforts resulted in significant consensus that asbestos fibers can be associated with diseases of asbestosis, lung cancer and mesothelioma. Its carcinogenic nature, an overall lack of knowledge of minimum safe exposure levels, and the long latency for the development of lung cancer and mesothelioma are the main contributing factors to these controversies.
著者
長ヶ原 誠 石澤 伸弘
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

国内外のマスターズスポーツ振興事業に関する調査の結果、マスターズスポーツ大会の開催や熟年者を対象としたスポーツ推進キャンペーン事業が、開催地への社会経済的効果だけでなく、その結果、マスターズイベントの開催や参加者のスポーツ活動がもたらす身体的健康、心理的健康、教育、コミュニティ、社会文化面での便益に代表される個人的・社会的便益の側面が明らかとなった。またマスターズスポーツ大会の開催によるアクションリーサーチを通じたインパクト評価とアウトカム評価の結果、仮説として掲げていた、個人のライフスタイル活性化、地域の活性化、社会活性化、次世代教育の活性化が認識され、生涯スポーツを振興させる有効な事業であることが実証された。
著者
佐野 智章 神原 誠之 萩田 紀博 宮下 敬宏 篠沢 一彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CNR, クラウドネットワークロボット : IEICE technical report (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.178, pp.29-32, 2011-08-17

twitter等のリアルタイムコミュニケーションサービスの登場により,個人間での即応性の高いやりとり(Q&A)が行われている.それらを利用して,時間や場所に依存した疑問に答えるサービスが提供されているが,素早く信頼性の高い回答を集める仕組みがない点や,類似の疑問を集約できないという問題が残る.そこで本研究では,即応性の高いQ&Aシステムを実現するために,1)類似した疑問の集約,2)信頼性の高い回答ができるユーザの推定,3)そのユーザへの疑問の提示,を行う機能を持つtwitter上でのエージェントを提案する.本稿では,課題2)へ主眼をおき,専門知識の有無,回答候補者の返答の可能性,返答の信頼性の観点に着目し,4人の被験者による実験結果について述べる.
著者
吉倉 智子 村田 浩一 三宅 隆 石原 誠 中川 雄三 上條 隆志
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.225-235, 2009 (Released:2010-01-14)
参考文献数
49
被引用文献数
3

ニホンウサギコウモリ(Plecotus auritus sacrimontis)の出産保育コロニーの構造を明らかにすることを目的とし,本州中部の4ヶ所のコロニーで最長5年間の標識再捕獲調査を行った.出産保育コロニーの構造として,齢構成,コロニーサイズとその年次変化,性比および出生コロニーへの帰還率について解析した.また,初産年齢および齢別繁殖率についても解析した.本調査地におけるニホンウサギコウモリの出産保育コロニーは,母獣と幼獣(当歳獣)による7~33個体で構成されていた.また,各コロニー間でコロニーサイズやその年次変化に違いがみられた.幼獣の性比(オス比)は,4ヶ所のコロニー全体で54.2%であり,雌雄の偏りはみられなかったが,満1歳以上の未成獣個体を含む成獣の性比は1.0%とメスに強い偏りがみられた.オスの出生コロニーへの帰還率は,全コロニーでわずか3.6%(2/56)であった.一方,メスの翌年の帰還率は,4ヶ所のコロニーでそれぞれ高い順に78.9%,63.6%,16.7%,0%であった.初産年齢は満1歳または満2歳で,すべてのコロニーを合算した帰還個体の齢別繁殖率は,満1歳で50%(12/24),満2歳で100%(13/13)であった.また,満2歳以上のメスは全て母獣であり,出産年齢に達した後は毎年出産し続けていることが確認された.
著者
笠原 誠司 小町 守 永田 昌明 松本 裕治
雑誌
研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.4, pp.1-6, 2011-09-09

本稿では日本語学習 SNS において,ローマ字で書かれた学習者の文を仮名に変換することで,添削者が訂正を容易に行えるよう支援する方法について述べる.我々のシステムは外国語の単語を検出し,日本語の単語のみを変換する.また単語のスペルに誤りが含まれていても変換することができる.学習者の作文に対し実験を行い既存の日本語入力システムよりも 10% 高い単語変換精度を達成した.誤り解析を行うことにより,母音同士を混同しやすい,母語の発音の影響を受けた書き方をしてしまう,といった学習者の誤りの傾向を明らかにした.We present an approach to help Japanese editors on language learning SNS correct learners' sentences written in roman characters by converting them into kana. Our system detects foreign words and converts only Japanese words even if it contains spelling errors. Experimental results show that our system achieves about 10 points higher conversion accuracy than one of traditional input methods. Error analysis reveals tendency of errors made by learners. For example, learners tend to be confused by vowels and make errors caused by nature of their native language.
著者
武岡 成人 栗原 誠 岡崎 正倫 及川 靖広 西川 明成 山崎 芳男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.136, pp.25-30, 2005-06-17
被引用文献数
1

3次元音場の再生手法としてキルヒホッフの積分公式に基づく境界面制御が知られているが膨大な制御点が問題となってきた.しかしながら近年のディジタル技術の発展により大容量の伝送が可能となってきた.そこで本稿では実現可能な範囲の多数の制御点を用いた境界面制御による音場再現システムを提案する.コンデンサスピーカの特性を生かし, 同一の振動板で録音・再生が可能である制御素子の基礎実験を行ったので報告する.
著者
西田 修身 向原 誠也
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.49, no.441, pp.1068-1077, 1983-05-25
被引用文献数
6

燃焼によって発生するすす(固体の微粒子)は大気汚染の大きな原因で,その低減が緊急課題である.そこですすの生成・分解および排出状況を把握することは重要である.本報ではプロパン・空気系の軸対称層流拡散火災について,レーザ光散乱・透過法を用いて,すす粒子径,数密度および体積濃度分布を測定し,同時にすす重量濃度,ガス温度および各種組成濃度をも測定した結果と対応させて,種々検討をした.