著者
平瀬 亜由美 坂本 星 木谷 庸二
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.204, 2019 (Released:2019-06-27)

この研究は、SNSアプリのデフォルトプロフィールアイコンからユーザーが受ける印象とデザイン要素の関係を、定量的に研究したものである。SNSの普及に伴い、ユーザーの年齢、人種、ジェンダーといった属性は多様化している。UIデザインにおいても、ユーザーの多様性を考慮したインクルーシブなデザインの発展が見受けられる。既存のデフォルトプロフィールアイコンは、モチーフとして中性や男性が多く使われているが、性自認を男性と女性のどちらにも当てはめないXジェンダーは、性別を感じさせるアイコンをどのように捉えているかに着目した。既存アイコンをサンプルとし、男性、女性、Xジェンダーに対してアンケート調査を行った。既存アイコンに対するイメージとデザイン要素の関係を、ラフ集合を用いて分析した。そして、それを元にXジェンダーにとっても、そうでない人にとっても魅力的なアイコンを制作し、認知構造の妥当性を検証した。
著者
坂本 優子 時田 章史 鈴木 光幸 荻島 大貴 松岡 正造 本田 由佳
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

ビタミンDは現代社会の中で特に不足しがちな栄養素である。われわれは、幼児の「生理的」と言われているO(オー)脚がビタミンD不足に由来すること、ビタミンDサプリメントを使用すると改善が早いことを明らかにしてきた。O脚だけでなく精神発達や免疫機能保持にも重要な栄養素でありながら、われわれのコホートでは、90%がビタミンD欠乏という危機的状況であった。そして、その子ども達の血中ビタミンD濃度も他のコホートと比較して低く、O脚が高率に含まれていた。そこで、本研究では集団を前向きに検討し、妊娠中の母親と生まれてからの子どものビタミンDサプリメントの使用が子どものO脚の程度を軽くするかどうかを検証する。
著者
野波 寬 田代 豊 坂本 剛 大友 章司
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.23-32, 2016 (Released:2016-10-06)
参考文献数
28
被引用文献数
2 2

原発・廃棄物処分場・軍事基地などの迷惑施設をめぐっては,立地地域少数者と域外多数者との間で利害の不均衡が発生する。この不均衡に関心を示さない域外多数者に対しては,不均衡を知った上で非意図的に迷惑施設を受容する域外多数者に対してよりも,立地地域少数者の怒りや不満といったネガティヴな情動が喚起されるだろう。シナリオを用いた実験の結果,この予測は支持された。また立地地域少数者の情動反応には,利害の不公平に対する評価のほか,域外多数者への共感も,大きな影響を及ぼすことが示された。集団価値モデルにもとづき,立地地域少数者の立場に対する域外多数者からの関心の呈示は,前者が後者からの敬意を推測する手がかりになると考察した。以上の結果より,迷惑施設をめぐる公的決定の過程で,立地地域少数者と域外多数者との相互作用を検討する重要性について論じた。
著者
藤田 大輔 高村 浩司 駒形 純也 玉木 徹 坂本 祐太 三科 貴博
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.37, no.6, pp.525-530, 2022 (Released:2022-12-15)
参考文献数
20

〔目的〕理学療法士養成課程における職業的アイデンティティと進学に対する動機づけの関連性を調査した.〔対象と方法〕理学療法士養成大学の第3学年の学生60名を対象にして,職業的アイデンティティと進学に対する動機づけについてアンケートを行った.〔結果〕職業的アイデンティティに対して知的向上心(β=0.40),外的報酬(β=0.22),青春謳歌(β=0.20)は正の影響があり,無気力(β=-0.40)は負の影響を及ぼした.〔結語〕理学療法士養成課程における職業的アイデンティティには,異なる因子の動機づけが関連することが示唆された.
著者
坂本 忠規 中川 武 中沢 信一郎 林 英昭 レ ヴィンアン
出版者
公益財団法人 竹中大工道具館
雑誌
竹中大工道具館研究紀要 (ISSN:09153685)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.37-76, 2009 (Released:2021-03-22)
参考文献数
26

1 本稿は2007年9月および12月に実施したベトナム北部ハナム省・中部トゥアティエンフエ省・中南部ニントゥアン省における伝統木造建築と大工道具に関する調査結果の一部を報告したものである。 2 調査地域の伝統木造建築に代表されるようにベトナムの木造建築は中国の影響下にありつつも登り梁を用いた独自の架構形式や細部意匠を持つ。また北部の梁を重ねる小屋組に対し、中部や南部では真束式とするなど、北部と中・南部で構造技法が大きく異なる。 3 特徴的な架構は設計の道具にも影響を与えており、大矩や腋尺など独特な道具の使用を見ることができる。また木槌やT 字型斧の使用など中国や他の東南アジア地域では見られない独自の道具の使い方が確認された。
著者
夏池 真史 金森 誠 前田 高志 嶋田 宏 坂本 節子
出版者
日本プランクトン学会
雑誌
日本プランクトン学会報 (ISSN:03878961)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.1-10, 2022-02-25 (Released:2022-03-06)
参考文献数
31

In Hokkaido, Japan, the toxic dinoflagellate Alexandrium catenella (A. tamarense species complex Group I) is the source of frequent contamination of bivalves with paralytic shellfish toxins over the last 40 years, whereas A. pacificum (Group IV) has rarely been reported. Recently, A. pacificum cells were identified based on their morphology and DNA sequences in Hakodate and Funka bays, southern Hokkaido. To understand their seasonal occurrence, A. pacificum and A. catenella cells in the two bays were detected using microscopy and multiplex polymerase chain reaction (PCR) over a 2-year period (May 2018–May 2020). Microscopic observation showed that cells of A. pacificum, a species without the ventral pore between the 1′ and 4′ plates, occurred in Hakodate Bay from July to November 2018 and in July 2019, with a maximum cell density of 4450 cells L−1 in November 2018. It also occurred in Funka Bay in October 2018, with a maximum cell density of 50 cells L−1. Multiplex PCR using Alexandrium species-specific primers showed a similar seasonal occurrence of A. pacificum in Hakodate Bay. In contrast, A. catenella was found from February to May in Funka Bay but its occurrence was uncertain in Hakodate Bay because the microscopy and PCR tests were not simultaneously positive. The occurrence of A. pacificum was limited to the period (July to November) of optimum water temperature for growth (15–25℃), suggesting that the occurrence of motile cells was affected by water temperature. When A. pacificum bloomed at a relatively high density in Hakodate Bay during autumn 2018, warmer water temperature and lower salinity in the surface layer were observed compared to the previous 5 years. These environmental conditions were thought to be established due to warmer air temperatures, a longer sunshine duration, and a large amount of precipitation from October to November 2018. Such environmental and meteorological conditions were suggested to be suitable for the growth of A. pacificum in Hakodate Bay.
著者
北村 智 中原 淳 荒木 淳子 坂本 篤郎
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.92-103, 2009-06-20 (Released:2022-08-20)
参考文献数
37

本研究ではPutnam(2000)の議論に基づいて組織における社会関係資本を結束型社会関係資本と橋渡し型社会関係資本に弁別した上で,組織における社会関係資本と業務経験を通した個人の能力向上の関係について階層線形モデルを用いて検討した.その結果から,業務経験を通した個人の能力向上について論じる上で,組織レベルの要因と個人レベルの要因の交互作用を検討する重要性を示した.
著者
名取 良太 岡本 哲和 石橋 章市朗 坂本 治也 山田 凱
出版者
関西大学
雑誌
情報研究 : 関西大学総合情報学部紀要 (ISSN:1341156X)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.31-42, 2016-08-10

地方議会は,民主主義において重要な役割を担う存在である.しかしながら,日本の地方議会は,多くの市民から信頼されず,その役割を十分に果たしていないと考えられている.ところが,「地方議会が十分に役割を果たしていない」と主張するための定量的な根拠は,ほとんど示されていない.その原因の一つは,地方議会に関する膨大な資料から,適切なデータを取得するのが困難なことにある.そこで我々は,会議の開催状況や議案の審議過程,各議員の属性・発言内容・議案への賛否態度などを,定量データとして格納した地方議会データベースを開発した.本論文では,会議録や広報紙などから,どのようにデータテーブルを作成したかを説明するとともに,データベースを活用してどのような分析が可能になるかを紹介していく.
著者
坂本 ゆか 中村 竜也 大矢 勝
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.62, no.8, pp.528-534, 2021-08-25 (Released:2021-08-25)
参考文献数
15

米のとぎ汁は古来より洗浄剤として用いられてきたが,実際の洗浄力のレベルや,その洗浄メカニズムについては明らかにされていない.そこで,脂肪酸と無極性油をモデル汚れとして用いて米のとぎ汁の洗浄力をSDS 水溶液,米ぬか溶液,麺のゆで汁などと比較するとともに,米のとぎ汁に含まれるタンパク質やデンプン等をモデル化した試料液による洗浄性と比較した.また表面張力,粒度分布等のデータから,洗浄力要因について推定した.その結果,米のとぎ汁にはかなりの界面活性作用が認められ,SDS ほどではないが水よりは明らかに優位な油汚れに対する洗浄性が認められた.またその要因として,固体デンプン粒が固体状界面活性剤や研磨剤として作用し,さらに溶解タンパク質や米ぬか油等が複合的に作用して洗浄力を発揮していることが推定された.更に米のとぎ汁に関するWEB 上の消費者情報を分析した結果,洗浄メカニズムに言及した情報は少なく,一部で非科学的な主張も見られた.しかし,米ぬか油,デンプン,タンパク質等の個別の要因を挙げているサイトが比較的大きな割合を占めており,うまく活用することにより科学的な消費者教育に利用できる可能性が示唆された.
著者
山脇 真里 王 忠奎 平井 慎一 坂本 晶子
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual59, no.Proc, pp.799-801, 2021 (Released:2021-10-17)

乳房部は軟組織であり、年齢とともに変形・下垂していく。その原因にはホルモンバランスの変化による乳腺比率の低下のような内的影響だけでなく、日常生活の中で受ける重力・揺れといった外的影響の時間的積み重ねも大きな原因の一つであると言われている。ブラジャーは乳房の形を整え美しく見せるとともに、重力等の外的影響による負荷を軽減させるという重要な役割を担っているが、この役割を果たす最適なブラジャー設計を提案するためにも、乳房がどのように重力負荷を受けているかを知ることは重要である。そこで本研究の目的は、重力が静止時の乳房に与える影響を、有限要素解析により検討することとする。乳房モデルの構築には、重力を受ける前のニュートラルな位置・形状を基にするため、航空機で放物線飛行を行うことにより微小重力状態を作り出し、その時の形状を3D計測したものを用いた。材料物性は地上での座位形状を再現できるよう調整し、モデルの検証には立位体前屈、仰臥位へのシミュレーションを行った。これにより日常かかりうる乳房への重力負荷の可視化を行っている。
著者
坂本 満
雑誌
美術研究 = The bijutsu kenkiu : the journal of art studies
巻号頁・発行日
no.262, pp.1-16, 1969-12-25

In a Buddhist temple called Ryūkōin in Sano City, Tochigi, there is a woodden figure traditionally known as Kateki. It was recovered in the 1920's and was found to be a figure of Desiderius Erasmus Rotterdamus by the studies of Izuru Shimmura and Naojirō Murakami. The Ryūkōin had been the family temple of the Makino Clan, the lineage of the feudal lord of the area. And, in the voluminous book of pedigrees of various families Kansei Chōshū Shokafu, completed in 1812, it is written that Narisato Makino (died 1614), a feudal lord of the clan, brought back a figure of Kateki after joining the Bunroku War in Korea. This must correspond to the figure in the Ryūkōin. This is because no other image of Kateki is known, and also, it was not unusual for Western goods to be called Korean importations in Japan during the period in which Christianity was prohibited. On the other hand, the study of Murakami has clarified the fact that the statue was a figure of Erasmus of Rotterdam which had been originally placed at the stern of the Dutch ship De Liefde which drifted ashore on the east coast of Kyūshū on April 29, 1600. Shimmura further assumes that Narisato obtained it in his late years when he was one of the three heads of the infantry of the Shogunate stationed at Edo Castle. Kateki (Ch. Huo-ti) is a legendary innovator of ship building in China along with Kyōko (Ch. Huo-hu) and these two names are almost always referred to inseparably in Chinese dictionaries. But in Japan Kateki alone is mentioned: in several texts for nō dramas, as Shimmura has pointed out, only his name is seen, and under the influence of nō texts his name was cited in an Edo Period chantey for special occasions. Therefore, it is not strange that this figure of Erasmus, originally placed at the stern of a ship, was given the name of Kateki. De Liefde, which had formerly been called Erasmus, left Rotterdam for the Far East together with four other ships in 1598. Twenty-two months later only De Liefde reached its destination and thereby opened the commercial relationship between Holland and Japan which lasted a longtime. But only twenty-four of the crew were alive when it arrived in Japan and three of the survivors died the next day. The ship reached Japan after numerous hardships. During such difficult sailing, the crew members must have recalled the patron saint of sailors, Saint Erasmus, the same name as the figure at the stern. This saint was believed in by Italian, Spanish and Portugese sailors. The worship of the saint by sailors is not mentioned in the writings of the humanist of Rotterdam. But there is a fairly good possiblity that the habits of south European sailors had been introduced to northern countries, since Spain and Portugal monopolized long-distance navigation in the sixteenth century and it is known that in some cases south European sailors joined the crews of English or French ships. It is also said that a chapel of Saint Erasmus in Westminster Abbey was a religiously important shrine for sailors. Legenda Aurea, which contains the story of the life of Saint Erasmus in its supplement, had been severely criticised by Catholics and Protestants since the middle of the sixteenth century for its absurdity. The English navigator of De Liefde, Willian Adams (Japanese name: Anjin Miura), was a rationalist who did not believe in superstitions and miracles and in this respect he was just like Erasmus of Rotterdam and Ieyasu Tokugawa. But, generally speaking, sailors are not rationalists. The writer, in Part I of the present paper, proposes the possibility that the sailors who survived the difficult voyage with De Liefde attributed their good fortune to Saint Erasmus and so gave special meaning to the figure of Erasmus of Rottersdam at the stern. This interpretation by the sailors may have given further meaning as patron saint of sailors to the name of Kateki, in addition to his original significance as an innovator of ship building. In Part II of the paper, which will be published in No. 263 of this journal, the writer furher discusses the nature of the figure itself. After introducing portrait works of Erasmus of Rotterdam in Europe by quoting the studies by G. Marlier, E. Treu and J. Huiginga, the writer criticises the theory of E. Major and E. Treu that the figure in question was originally a statue made for welcoming the visit of Felipe II to Rotterdam and the theory of F. Kossman that the figure is its copy. E. Treu claims that the now damaged left hand of the figure of the Ryūkōin had held a quill pen, but traces in the carving show that it apparently held a thick book, a form ordinarily given to the portraits of Erasmus. From the right hand of the figure hangs a scroll but it seems to be too small to hold the written name of the ship as Treu says. Since it is strange to carry such similar things in both hands and this is not seen in painted portraits of Erasmus, the present writer presumes that the characteristics of the figure resulted from it being a direct orindirect imitation of the wooden statue that had been erected in Rotterdam in 1549 or the stone statue that had been rebuilt in 1557. The writer, at the end of the paper, introduces a rather free copy of the Ryūkōin figure of Erasmus made by a carpenter who lived near the temple, in October of 1905 and given to the temple by a believer. The figure was not then recognized as Erasmus. This copy has crystal eyes and holds a Buddhist sacred ball in its left hand. Its physical features, which include its proportions, are completely Japanese. This naive folk-art type of work has not attracted people's attention, but this is, so to speak, the only real Kateki figure now known and the figure of Erasmus who was “naturalized” in Japan.
著者
尾崎 朋文 森 俊豪 坂本 豊次 竹中 浩司 湯谷 達 米山 榮 松岡 憲二 巽 轍夫 吉田 篤 北村 清一郎
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.413-420, 2002-08-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
23
被引用文献数
2 1

遺体解剖と、健康人生体での臨床所見・CT画像より、膏育穴刺鍼の安全深度を検討した。遺体所見では、両膏育穴への刺入鍼は第5肋間に位置し、左側の肋骨の厚さは10mm、体表-胸膜 (肋骨後面) 間距離は44mmであった。健康学生104名の膏盲穴での体表-肋骨前面間距離の最小値は肥満男女以外の体型で14mmであった。標準型・やせ型男性のCT像では、刺入鍼は1側で肋間に、3側で肋骨に達した。肋骨の厚さは各々10.9mm・9.8mm・8.8mmで、体表-胸膜間距離は各々33.6mm・28.4mm・29.4mm・31.8mmであった。以上の結果から、肋骨の厚さと体表一肋骨前面間距離の最小値より勘案すれば、極端なやせ型を除き、19mmまでの刺鍼は、外傷性気胸を起こす可能性は皆無に近く、安全と考えられる。換言すれば、19mm以上の刺鍼では、外傷性気胸を起こす可能性が高まることに留意する必要がある。
著者
尾崎 朋文 森 俊豪 坂本 豊次 于 思 湯谷 達 竹中 浩司 佐藤 正人 米山 榮 前岡 弘子 北村 清一郎
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.103-110, 2000-03-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
29

先天性胸骨裂孔 (以下胸骨裂孔) の出現状況や胸骨の厚さを遺体で調査するとともに、生体での画像所見から、胸骨裂孔の有無および〓中穴での体表から胸骨後面までの距離を調べ、〓中穴への安全刺鍼深度を検討した。その結果、51遺体中の1例に胸骨裂孔が認められた。裂孔は第4肋間の高さにあり、形状はほぼ円形、直径は胸骨外面で9mmで、固い結合組織で埋められていた。21遺体での胸骨の厚さは9-15mmの範囲で平均は11.5±2mmであった。生体31例の〓中穴での体表一胸骨後面間距離は11-31mmの範囲で、平均は18.8±5mmであった。これらの結果から、仮に胸骨裂孔が存在しても、〓中穴への刺鍼では、極端な痩せ型を除いて10mmまでは、刺入鍼が心臓に達する可能性はなく、安全と考えられた。
著者
岩本 孝太 坂本 雅弥 岩城 昴琉 黒木 太司
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.J105-C, no.3, pp.81-86, 2022-03-01

農業人口の高齢化に伴いスマート農業システムの概念が提唱されており,高齢農業者が手探りで土中農作物を収穫している現状にあっては,新しい土中生育農作物探知機の導入が望まれている.とりわけ土中で収穫されたタケノコは酸化などによるえぐみが無く,生の状態で食することができることから市場では高額で取引される.そこで本論では低価格で実現可能な土中タケノコ探知機の試作を目的として,タケノコの実,皮,及びタケノコ農園の土壌の複素誘電率をUHF帯で測定し,その結果をもとに共振型電極を用いて地表から5 cm程度に生育するタケノコの探知を理論・実験両面から検討することによりその可能性を示した.