著者
久光 久 真鍋 厚史 山田 嘉重 木下 潤一朗
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

茶褐色の鶏卵面に過酸化尿素を主成分とした漂白剤(ナイトホワイトエクセル)および、過酸化水素を主成分とした漂白剤(ピレーネ)を用いて漂白を行った。漂白に対して実験1ではハロゲン光(PENCURE)とKTPレーザーをそれぞれ別々に使用し、実験2では併用使用をおこなった。実験条件は、3Wの出力KTPレーザーをそれぞれの漂白剤塗後に1分30秒、3分、5分、10分間照射した。ハロゲン光でも同様に、1分30秒、3分、5分、10分間照射し、37℃で半日保存した後、測色をおこなった。結果として、単独使用の実験1ではKTPレーザー照射クループで、ナイトエクセル漂白剤使用の場合に3分以上の照射において漂白効果が確認された。一方ピレーネを使用した場合、5分以上のKTPレーザー照射にて漂白効果が認められた。ハロゲン光照射においては、ナイトエクセル、ピレーネのどちらを使用した場合においても1分30秒照射から漂白効果が確認された。一方実験2の結果では、ナイトホワイトエクセル、ピレーネ共に1分30秒で全ての試料に漂白効果が認められた。この効果はハロゲン光とKTPレーザーの照射順序の違いには影響せず、ハロゲン光とレーザーのどちらを先に照射しても明確な違いは認められなかった。
著者
田中 望 斎藤 里美 岡崎 敏雄 山田 泉 林 さとこ 上野 田鶴子 大橋 敦夫 大谷 晋也 古川 ちかし
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

今回の3年間の研究の結果として概略つぎのようなことが判明した.1. アジアからの外国人女性たちに対する日本語教育は,多くの場合,抑圧的な構造をもち,彼女たちを日本人につごうのよい「疑似日本人」にしたてるために機能する,同化的なものであること.2. それに対して,日本人による支援活動のなかに,アジアからの外国人女性たちにコミュニティでの声をもたせることに成功している少数の例があること.3. 地域社会では,抑圧的な日本語教育と声をもたせるための支援活動のあいだで,どちらをとるかの議論がおこっており,外国人に日本語を教えるというパラダイムに変更を迫る動きがあること.なお,3年間の調査を通じて,もつとも重要な成果といえるのは,調査研究そのものに対する見直しを被調査者から突きつけられたことである.このことは,エスノグラフィ的調査といえども,調査のもつ搾取的構造から逃れられないことを意味しており,調査のあり方に根本的な反省を加えなければならないことになった.今後は,調査研究という枠組みをはなれて,研究者といえどもたんなる「異者のかかわり」として地域社会と関係をもつというあり方を追求する必要があると思われる.
著者
黒柳 米司 浅野 亮 稲田 十一 小笠原 高雪 金子 芳樹 菊池 努 佐藤 考一 玉木 一徳 吉野 文雄 山田 満
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

(1)米国の対ASEAN政策の積極化、(2)中国の存在感の顕著な増幅、(3)日本の存在感の長期的凋落、および(4)「地域としての東アジア」の顕在化などという方向で変容する地域国際環境の下でASEANは、(1)「ASEAN憲章」の採択・発効、(2)インドネシア民主主義の確立などの成熟を示したものの、(3)タイの軍事クーデター、(4)タイ=カンボジア武力衝突、(5)ミャンマー軍政の民主化停滞など、後退局面がこれを上回りつつある。
著者
大河内 直彦 山田 桂太
出版者
独立行政法人海洋研究開発機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究では,地質時代の海底堆積物中に含まれるクロロフィル(光合成色素)およびその分解生成物の窒素安定同位体比(15N/14N比)測定を,世界ではじめて地質学試料に展開した。多くの海洋表層環境において,窒素は生物生産を制限している重要な栄養塩である。その栄養塩と生物生産の動態を,窒素同位体比を用いて復元した。ナミビア沖,日本海,南極アデリー海から採取された堆積物を分析した結果は,最大過去250万年間におけるそれらの海域の窒素サイクルの大枠を示した。
著者
山田 朋人
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

近年,世界各地で極端現象による被害が頻発しており,対策および予測精度の向上は喫緊の課題である.本研究は大陸スケールで発生した旱魃を対象事例とし,全球気候モデルにおける陸面初期情報が与える準季節スケールの予報スキルの評価を行った.人間活動の影響を考慮した陸面初期データを予報実験に用いたところ, 1988年夏に北米大陸において発生した旱魃の準季節スケールの予報スキルは向上し,高い精度で旱魃の事前把握の可能性を示した.また大陸河川の河川流量に与える陸面初期情報の影響についても検討を行い,人為的な河川流量の調整がない場合, 1か月先の河川流量の挙動は陸面初期情報に強く依存するという結果が得られた.
著者
西沢 麦夫 山田 英俊 林 雄二
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.28, pp.370-376, 1986-09-09

A sweet principle of Phlomis betonicoides, baiyunoside (1a) reported by Tanaka, is a glycoside of 3-substituted furanoditerpene with labdane skeleton. During the series of our investigation dealing with a biomimetic olefin cyclization using mercury(III) triflate/N,N-dimethylaniline complex (2), we have examined the cyclization of some acyclic furano terpenoid, and observed that the cyclization of ambliofuran (3a) is mainly initiated from an internal double bond (Δ^<10>) to give 4 and 5, whereas the corresponding sulfone 3b affords terminal cyclization products 16, 17, and 18. The latter product 18 is a mixture of three isomeric olefins (Δ^<7,8>:Δ^<8,9>:Δ^<8,17>=9:4:3). Thus, the cyclization control of ambliofuran analog not only the initiation point but also the termination mode is essential in order to promote the selective total synthesis of (±)-baiyunol (1b), an aglycon of a sweet substance 1a. A furano ketone 3d is the best substrate to our purpose which gives Δ^<8,9> bicyclic product 28 in high yield. The resulting organomercuric ketone 28 is efficiently transformed to 1b, and which is identified with (+)-baiyunol derived from natural sweet glycoside. Glycosidation of (±)-baiyunol is currently undertaken.
著者
山田 英俊 西沢 麦夫
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.29, pp.349-355, 1987-07-25

Sweet taste is one of the fascinating field of organic chemistry on the basis of social requirements to find low calorie and high quality taste. Baiyunoside (1) has been characterized as a sweet taste principle of chinese drug, Bai-Yun-Shen (Phlomis betonicoides), by Tanaka and co-workers along with the minor sweet glycoside named phlomisoside I (2). We have designed a general approach to this class of sweet glycosides in order to develop high quality artificial sweeteners. We have already reported an efficient total synthesis of (±)-baiyunol (4), the aglycon of 1 and 2 by means of selective olefin cyclization using mercury(II) triflate/N,N-dimethylaniline complex. We disclose herein the first total synthesis of baiyunoside (1) from (±)-baiyunol (4) via a novel 2' discriminated glycosidation using 2' free glycosyl halide. This novel glycosidation does not accompanied any oligosaccharide formation and this result suggests that very severe steric bulk exist at the newly formed 2' hydroxyl moiety of 6a. As is the case, 6a was entirely inert against a variety of Koenigs-Knorr type glycosidation in order to introduce the xylose moiety. However, Noyori's glycosidation based on a strong affinity between silicon and fluorine was efficiently applied to our purpose. When trimethylsilyl ether 16 was treated with fluorosugar 15 in toluene in the presence of catalytic amount of trimethylsilyl triflate afforded disaccharide 17 and 18 in 38: 62 ratio and in 58% yield. Deprotection of the latter afforded baiyunoside (1) and identified with natural product in every respects. Therefore, we have established a general way to prepare a wide variety of baiyunoside analogs in order to evaluate the taste.
著者
山田 邦夫
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

前年度は、バラ‘プリティーウーマン'の切り花が開花する際には、インベルターゼやアミラーゼの活性が上昇し、その活性はスクロース処理により制御されていることを明らかにした。本年度は引き続き糖代謝酵素の発現と花弁生長の関係を明らかにするための研究を進め、特に本年度は、糖代謝酵素cDNAを単離し、発現解析を試みた。その結果、液胞型インベルターゼと細胞壁型インベルターゼが数種類ずつクローニングすることが出来た。液胞型インベルターゼは、液胞に蓄積したスクロースを分解する酵素で、浸透物質の液胞への蓄積に大きく関与している酵素である。一方、細胞壁型インベルターゼは、葉から転流してきたスクロースをアポプラストで分解し、ヘキソースの形での細胞への取り込みに重要な働きを持つ。また、液胞型インベルターゼの発現解析の結果、本酵素mRNAはバラ花弁が大きく肥大生長する時期に強く見られることから、花弁生長との関係が考えられた。花弁細胞の肥大には、糖の蓄積だけでなく細胞壁のゆるみも重要な要因となる。本年度は糖代謝関連の実験を平行し、細胞の肥大生長の観察および細胞壁のゆるみを制御すると言われているエクスパンシンの解析も試みた。その結果、バラ花弁細胞ではつぼみのごく小さいステージですでに細胞分裂を停止しており、その後はまず海綿状組織の細胞肥大、引き続き表皮(特に表側の表皮)細胞の横方向への肥大が起こっていることが明らかとなった。また、エクスパンシンcDNAはバラ花弁から4つのパラログが単離され、それらの発現解析から海綿状組織の肥大と表皮細胞の肥大がそれぞれ別々のエクスパンシンパラログによって引き起こされている可能性が示唆された。本研究成果は、引き続きさらなる検討を加え、将来的には切り花の開花促進技術の開発に重要な知見となるものと思われる。
著者
宮岡 礼子 大仁田 義裕 小谷 元子 山田 光太郎 岩崎 克則 梶原 健司 中屋敷 厚 長友 康行 佐々木 武 岩崎 克則 大津 幸男 梶原 健司 長友 康行 中屋敷 厚 山田 光太郎 二木 昭人 マーティン ゲスト ウェイン ラスマン 庄田 敏宏 入谷 寛 石川 剛郎 梅原 雅顕 川久保 哲 田丸 博士 藤岡 敦 松浦 望 西納 武男
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

等径超曲面の分類問題の大部分を解決し,運動量写像で表現することにより,可積分系理論との関連性を根拠づけた.特異点をもつ曲面の基礎理論を進展させ,種々の局所・大域理論を明らかにし,ルジャンドル写像を用いた新しい視点を開発した.リーマン・ヒルベルト対応を介してパンルヴェ方程式の力学系を研究し,カオス性の観点を開拓した.高種数Gromov-Witten理論のモジュラー性,ミラー対称性を論じ,また量子コホモロジーから得られる正則微分をポテンシャルにもつ曲面の構成を通じて,tt*幾何に貢献した.
著者
中村 誠司 吉田 裕樹 山田 亮
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

癌ペプチドを用いたオーダーメイド免疫療法と早期診断法の開発のためには、癌に対する免疫監視機構やその調節機構を十分に理解しなければならない。本研究では、口腔癌の癌ペプチドの中ではSART-1が最も抗原性が強く、免疫監視機構における中心的役割を果しており、それゆえに口腔癌の治療ならびに診断に応用可能な癌ペプチドであることが判った。しかしその一方で、口腔癌が腫瘍関連抗原であるRCAS1を発現・分泌し、活性化T細胞のアポトーシスを誘導して免疫監視機構を制御していることが判った。免疫監視機構を賦活するためには癌ペプチドを用いるだけでは不十分であり、このRCAS1の作用を制御する必要性が明らかとなった。
著者
長谷川 まどか 加藤 茂夫 山田 芳文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学
巻号頁・発行日
vol.98, no.4, pp.77-84, 1998-04-17
被引用文献数
1

ハフマン符号などの可変長符号によって符号化された符号系列中から, 逐次的に復号することなくある符号語を検出可能とする部分復号可能性を持つ可変長符号構成法について提案する.提案する方法は, 符号化すべき情報源シンボル系列中に, 検出用のマーカシンボルを用意しておき, これにある符号語を割り当て, この符号語は連続して出現しないことを利用することによって, 符号系列中のどの部分にあっても必ずこのマーカシンボルに対する符号語は検出可能であるように符号を構成するものである.検討の結果, わずかなオーバーヘッドを付加するのみで符号系列中から所望とするマーカ位置に対応する符号を検出し, 正しく復号できることがわかったので報告する.
著者
塩見 将志 笠井 新一郎 岩本 さき 苅田 知則 長嶋 比奈美 稲田 勤 間野 幸代 石川 裕治 山田 弘幸
出版者
高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.49-54, 2001-03-31

今回,私たちは,2歳児相談において,言語発達を正確に評価し,言語発達障害を有する子どもや「気になる子」を早期発見・早期療育するための語彙チェックリストの作成を目的に保育所に通う2歳前後の幼児を対象とした表出語彙に関する事前調査を実施した.なお,本稿では,その中でも特に動詞に焦点を当てて検討を加えた.調査で用いたチェックリストの項目は,大久保(1984)が作成した2歳児の語彙リストと三省堂「こどもことば絵じてん」を参考に作成した.本稿で取り扱う動詞は452の全語彙中,123語であった.本調査における動詞の特徴として,2歳0ヶ月時で通過する語は123語中,12%であり,2歳6ヶ月時で通過する語は60%となった.このことからも,動詞は2歳0ヶ月から2歳6ヶ月の間に飛躍的に獲得される可能性が示唆された.
著者
小林 由佳 山田 美佐 藤井 裕美 甲 由紀子 魚谷 いづみ 田本 真理子 名田 正子 村井 裕之 角 英 岩垣 博巳 友田 純 斎藤 信也
出版者
岡山医学会
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.122, no.3, pp.225-229, 2010-12-01 (Released:2011-01-04)
参考文献数
17
被引用文献数
1

To evaluate the usefulness of the waterless hand washing method for surgical anti-sepsis, we conducted a microbial sampling study, comparing it to a conventional surgical scrub method. A total of 18 operating-room nurses were undertaking the following three-hand washing protocols : scrubbing with blushes using 4w/v% chlorhexidine gluconate (CHG) and also rubbing with CHG, followed by application of a 0.2w/v% CHG with ethanol (HS) preparation. (conventional method); rubbing with CHG and application of HS (two-stage surgical scrub method; TSS); rubbing with anti-septic soap and application of HS (waterless method; WL). Microbial sampling was conducted after hand washing using the glove juice method. No statistically significant differences in bacterial numbers were found among these three methods. The number of bacterially positive subjects was significantly higher in the conventional method than the TSS method. These results indicate that there are adverse effects of blush-scrubbing, as the detected bacteria were related to normal skin flora. As such, the WL method for hand anti-sepsis appears to be equivalent to the conventional surgical scrubbing method in terms of microbial detection. The WL method should therefore be introduced as a standard hand anti-sepsis method at the time of surgery because it is cost-effective as well as time-efficient.