著者
山田 英代 玉置 伸〓
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.61, no.483, pp.199-210, 1996
被引用文献数
6 5

This paper aims to analyze the changes in the structure of households with the elderly by the time trends, using census data. The conclusions afe as follows: 1. The ratio of the male of the single have been increasing at the middle ages, and that of female have been increasing at the sinior ages. And the most of the male of the single is under 50 years old, while over50 percent of the female of the single is over 50 years old. 2. The number of the elderly couple housuholds have been increasing rapidly. And the number become twice that of young couple in 1990. 3 The ratio of the stem family have been decreasing in all age groups. And that of households which are consisted of old elderly and their child's couple have been increased.
著者
川崎 一平 牛尾 裕美 山田 吉彦
出版者
東海大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

平成22年度は、研究最終年度であり、主として本研究の成果発表、及び政策現場での実践的活動に研究の主眼をおいた。研究代表者の川崎は、(1)海洋開発シンポジウムにて奄美の振興政策と親族構造の関わりについて、著しい社会変容において伝統的親族構造が原理として存続していることを発表、(2)また第25回北方圏国際シンポジウムにて沖縄、奄美の離島振興において「離島文化」が重要視されていることを発表した(研究協力者の小野林太郎も共同発表)。実践的活動としては、分担者山田と共に(3)国境政策との関わりにおいて地域振興が展開されている根室市において地域社会の文化と深く根付いたエコツーリズムのモニタリングを実施した。分担者の山田吉彦は、川崎と共に北海道根室市での調査を実施するほか、沖縄県石垣市、竹富町において、海洋政策の市民政策への影響に関し調査を行った。これらの研究成果としては、土木学会海洋開発委員会に論文「わが国の海洋政策における国境離島開発の動向」を発表するほか、単著「日本は世界4位の海洋大国」を講談社より出版した。実践的研究としては、竹富町が策定した「海洋基本計画」に策定委員長として参加し、同計画の策定に本研究の成果を反映した。分担者の牛尾裕美は、「海洋基本法」の制定から「海洋基本計画」の策定に関する一連の政策決定過程おいて中心的役割を果たした「海洋基本法フォローアップ研究会」の議事録を(社)海洋産業研究会において調査することにより、現在の離島に関する法政策の基本的指針の決定過程の検討を行った。また、上記の基本方針において、上記の基本計画からその政策転換が図られた離島の振興に関する代表例としての「奄美群島振興開発特別措置法」の最新の改正法に基づく奄美群島民の「新たな公共」の実現に向けての創造的取組について奄美群島広域事務組合及び奄美市役所において聴取を行った。
著者
山田 協太
出版者
鳥取環境大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

本年度は、昨年度の成果を踏まえ、研究の焦点となるインドの3つの植民都市、ゴアGoa、ディウDiu、ダマンDamaoにおいて、臨地調査をおこなった。調査は、街路網、街区、施設分布、広場、敷地割、建造物など都市組織を構成する物理的諸要素に着目しておこない、それぞれの都市空間の特質とその構成原理を把握することができた。また、各都市の都市型住居の基本的構成を把握することができた。研究をつうじて、これらの植民都市は、18世紀中頃から19世紀初頭にかけて一様に大きな変容を経験し、現代都市へと至っていることが明らかとなった。その意味でこの時期に都市内外に生じた一連の変化は近代化として理解し得るものである。考察をつうじて、こうした変化は、周辺状況に加えて同時期の宗主国でおこなわれた政策と密接な関連を持って進行したこと、宗主国の都市建設の伝統が色濃く反映されていることが明らかとなった。研究の成果は、論文、学会発表をつうじて順次公開している。また、昨年度から引続いて宗主国および調査地域の双方において文献・地図資料の収集をおこない、アジアにポルトガルが建設した植民都市について市街の状態が詳細に描かれた都市図を網羅的に収集することができた。双方の研究者、研究機関との交流を深めることができたことも成果である。こうした成果をもとに、アジアにおけるポルトガル植民都市の形成と変容という、より大きな枠組で研究を展開できる可能性が見えつつある。
著者
木村 弘信 原岡 喜重 河野 實彦 八牧 宏美 高野 恭一 岩崎 克則 古島 幹雄 山田 光太郎
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

1)一般超幾何関数およびOkubo方程式の研究,2)Painleve方程式をはじめとする非線形可積分系の研究が本課題の目的である.GL(N,C)の正則元の中心化群の共役類はNの分割によって決まるが,一般超幾何関数は,このようにして得られる極大可換部分群の普遍被覆群の指標をラドン変換して得られるGrassmann多様体Gr(n,N)上の関数である.この積分表示の被積分関数から定義される代数的なde Rham cohomology群を具体的決定を行った.この問題はn=2の場合には一般的に,またn>2のときにNの分割が(1,...,1)や(N)の場合にすでに解決していたがそれ以外の場合には未解決であった.今回,分割が(q,1,...,1)の場合にcohomology群のpurity, top cohomology群の次元,具体的な基底の構成を与えた.この結果は関数を特徴付けるGauss Manin系を決定するときに重要である.また,分割が(N)の場合,すなわちgeneralized Airy関数の場合にde Rham cohomologyに対する交点理論を整備し,その交点数をskew Schur関数を用いて明示的に決定する研究を行った.このときに,特異点理論におけるflat basisの類似物が重要な役割を果たすことが示された.アクセサリパラメータを持たない方程式については,Okubo方程式についての結果を用いることによって,解の積分表示を持つことが示された.この積分表示はGKZ超幾何関数の積分表示の特別な場合になっており,その枠組みでの明確な位置づけと不確定特異点をもつ方程式を含む総合的な理解はこれからの課題である.Painleve方程式については,解全体をパラメトライズする解析的な空間である初期値空間の研究において,この空間にSymplecticな構造がはいること,初期値空間の幾何学的構造がPainleve方程式を本質的に決定してしまうことが示された.さらにPainleve方程式に関する不思議な現象が発見された.Painleve II型方程式は自然数によって番号付けされるひとつの系列の有理関数解を持つことが知られているが,この有理関数解を係数とするgenerating functionを作るとそれはAiry関数の無限大での漸近展開から得られることが分かった.
著者
藤野(隠岐) 知美 鈴木 真由美 山田 静雄
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.41-50, 2007 (Released:2007-07-19)
参考文献数
44
被引用文献数
3 2

ノコギリヤシ果実抽出液 (SPE) は,ヨーロッパでは前立腺肥大症 (BPH) に対する治療薬として用いられ本邦でも健康食品として汎用されている.SPE の薬理作用には抗アンドロゲン作用などがある.臨床的には,SPE (320 mg/day) の 6 ヶ月投与により BPH やそれに伴う頻尿に有効との報告がある.排尿機能及び下部尿路受容体に対する SPE の作用を調べたところ,酢酸誘発頻尿ラットシストメトリーにおいて,SPE は排尿間隔及び一回排尿量を有意に増加させ,頻尿改善作用を示した.さらに SPE は前立腺 α1 受容体,膀胱ムスカリン性及び 1,4-ジヒドロピリジン系 Ca 拮抗薬受容体に対し結合活性を示した.SPE は反復経口投与により,テストステロン誘発肥大前立腺における α1 受容体数の増加を抑制した.また,SPE の反復投与はラットの血液臨床検査値,肝機能及び肝薬物代謝酵素活性に影響しなかった.以上,SPE は下部尿路受容体への直接作用による BPH の機能的閉塞の解除や頻尿の抑制などの薬理作用を示すことが示唆された.
著者
吉永 創 山田 二久次 関根 義彦
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.105-117, 1998-02-28
被引用文献数
4

親潮の異常南下に注目して日本の気温, 降水量の変動特性について調べた。親潮異常南下年の日本の気温では冬季に東北以南の本州, 四国, 九州で負の偏差, 北海道では逆に正の偏差が見られた。降水量では北陸を中心とする日本海側で正の偏差が見られた。5月から6月にかけては関東から東北南部の太平洋側で負の偏差, 降水量では九州中部〜四国南部〜紀伊半島を境にして北で増大し南で減少する傾向が示された。親潮南限緯度と気温, 降水量とのラグ相関解析により冬季は本州, 四国, 九州の気温と3〜5か月後の親潮南限緯度の間で最も高い正の相関, 北陸の降水量と4〜5か月後の親潮南限緯度の間で有意な負の相関が得られた。5月から6月については気温に対して同時あるいは1か月の前の親潮南限緯度の間で関東から東北南部の太平洋側でのみ有意な正の相関が得られた。さらに500 hPa高度偏差のEOF解析の第1, 2モードのスコアと日本の気温・降水量との相関解析により, 冬季に日本上空から北太平洋中央部にかけて500 hPa高度場が負偏差になると本州, 四国, 九州で気温が低下する傾向が示された。また気温ほど顕著ではないが1月の北陸の降水量で有意な正の相関が得られた。これらより親潮異常南下年の冬季の本州, 四国, 九州の気温の低下及び北陸での降水量の増加はグローバルな大気大循環の変動の影響による可能性が高く, 5月, 6月は関東から東北南部の太平洋側でのみ親潮の異常南下に伴う低海面水温の影響を受けて気温が低下している可能性が示唆された。
著者
長浜 克志 山田 拓己 一柳 暢孝 酒井 康之 鎌田 成芳 福田 博志 谷沢 晶子 渡辺 徹 斉藤 博 堀内 晋 町田 竜也
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.1-6, 2002-01

Hautmann型膀胱再建術中,癌死・他因死・追跡不能を除く20例(男16例・女4例,29~73歳)を対象に,術後の回腸新膀胱の蓄尿・排尿状態を尿流動態検査(UDS)とアンケート調査により解析した.排尿回数は夜間に2回以上起床し排尿している例が19例中8例と高率であった.また,尿失禁は19例中昼間2例,就寝後12例にみられたが昼間は尿パッド平均2枚,夜間は1枚で対処可能であった.排尿時間は18例中9例が1分以内に排尿を終えたが3例では3分以上を要した.排尿状態については18例中満足8例,不満3例であった.USDを施行できたのは11例で観察期間は平均34.2±21.9ヵ月であった.残尿量は27.8±28.2ml,新膀胱最大容量は395.2±96.8mlで膀胱内圧は充分に低値であった.排尿時,外尿道括約筋筋電図で明らかな電位増強を11例中10例と高率に認めたWe analyzed the functional and urodynamic characteristics in 19 patients with ileal neobladder by the Hautmann procedure. A questionnaire survey by mail was performed for functional information of neobladder. Seventeen of the 19 patients (89.5%) could voluntarily void via the urethra and the others needed clean intermittent self catheterization (CIC) because of their significant residual volume. Eight of the 19 patients (42.1%) micturated at least two times at night. Two of the 19 patients (10.5%) were incontinent in the day time and 12 (63.2%) in the night time. They needed 2 pads in the day time and one pad at night on average. Eight out of 18 patients (44.4%) were satisfied with their micturition state. A urodynamic study showed the neobladder to be a low-pressure reservoir with a mean capacity of 395.2 +/- 96.8 ml. The mean residual volume of the patients without CIC was 27.8 +/- 28.2 ml. In 10 out of 11 patients high frequency and high amplitude spikes were seen by the perineal electromyogram in the voiding phase.
著者
西村 修 水落 元之 稲森 悠平 山田 一裕 坂巻 隆史 徐 開欽 大村 達夫 金 主鉉 須藤 隆一
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究では干潟のもつ自然浄化機能として、干潟の陸側後縁を形成するヨシ原による栄養塩類の取り込み,干潟における栄養塩循環・脱窒、さらに藻場による栄養塩類の取り込みに着目し、それらの機能の評価・解析、機能を発揮させるための生態工学的手法開発を行った。本研究で得られた主な成果を以下にまとめる。1)ヨシ湿地に関する研究・下水処理水を高度処理するヨシ湿地の高機能化として充填担体の空隙率が栄養塩の除去能力に及ぼす影響を解析し、窒素除去には根圏微生物の硝化・脱窒作用が重要であり、適切な空隙率と水面積負荷で硝化・脱窒の同時反応が起こること、リンの除去は担体への吸着によるものがほとんどであり、空隙率の低いほうが適していることが明らかになった。2)干潟に関する研究・東京都内湾の護岸に生息する付着動物の浄化機能を評価し、護岸距離192kmで1日19tのCODを浄化していること、この値は東京都から流入するCOD量の23%に相当することが明らかになった。・葛西人工海浜の環境修復状況と、東西両なぎさの生態系の違いの要因について解析し、構造的な問題から降雨時に河川水の流入・停滞が発生して底生動物に大きな影響を及ぼすこと、そのための底生動物の種類数は造成前のそれに回復しているが安定していないことが明らかになった。3)藻場に関する研究・大型褐藻類アカモク(Sargassum horneri)の栄養塩吸収機能を解析し、温度、照度、栄養塩濃度、生育ステージと栄養塩吸収速度の関係を定式化した。そして,松島湾の栄養塩循環に及ぼすアカモクの栄養塩吸収機能の影響を評価し、5月におけるアカモク藻場は流入負荷の約7割を吸収し、水質改善に大きく寄与していることがわかった。
著者
頼富 本宏 森 雅秀 野口 圭也 立川 武蔵 山田 奨治 内藤 榮
出版者
種智院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、研究代表者が平成9年に北京市の首都博物館を訪れた際、隋・唐代から清代に至る膨大な数量の金銅仏像が未整理のままに保管されている実態を確認したことから、国際学術研究として出発した。初年度では、比較的良質の数十点の作例を調査・撮影し、かつ妙応寺・意珠心境殿に整理・展示されている六千余点の金銅仏像群の報告を行なった。しかし、同年末に展示館新築が始まり、首都博物館蔵の他の資料についての調査続行が困難となった。そこで、当館所蔵の資料とも関わりを持つ中国金銅仏を多数保管する機関として、河北省の避暑山荘博物院・外八廟、遼寧省の遼寧省博物館の助力を得て、主に清朝金銅仏像を調査・撮影し、法量・尊格名などの文字データと画像データを収集して、データベースの構築に着手した。第二年次の平成14年には、当初の調査対象であった首都博物館所蔵品の調査研究が引き続き困難であるため、中国内外の個人収蔵家の協力も得て、百点を超える中国金銅仏の調査・撮影を行ない、比較研究資料の蓄積に努めた。そこで、従来の明・清代のチベット仏教系の鋳造仏だけではなく、北魏・隋・唐代のより古い時代の多数の鋳造仏の資料が得られることになり、それらを体系的に配列することで、仮説的ではあるものの、様式的展開を概観できるようになった。第三年次の平成15年には、SARSの流行によって現地調査の機会が阻まれたが、終息後に雲南省へ渡航し、雲南省博物館と大理市博物館の協力もあって、中国金銅仏でも特異な様式と内容を持つ金銅仏群の調査資料を採取することができた。さらに、静岡県三島市の佐野美術館の中国金銅仏像を調査・撮影した。三年間の研究期間中、海外現地調査と副次的な国内調査を重ねることによって、579点の資料(うち参考資料268点)を収集し、データを集積した。また、故宮から流出したと推測される「宝相楼仏像群」についても、簡略ながら復元を試みることができた。以上の諸資料の画像と採取データのうち、掲載許可を得た資料を収録した成果報告書を最終年度に刊行し、研究者に情報提供を行なっている。
著者
桑原 恒夫 玉城 幹介 山田 光一 中村 喜宏 満永 豊 小西 納子 天野 和哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.9, pp.1013-1024, 2000-09-25
被引用文献数
22

我々が提案しているCAIと教師がリアルタイムで協調しながら教育を行う個人進度別教育支援システム(MESIA)では, CAIと教師が行き詰まった生徒に対して様々な方法で支援を行っている.本論文では専門学校におけるMESIAを用いた教育実験において, これらの機能の有効性を生徒の主観評価, 利用率, テストの解答の正解化(誤答から正解への変化)への寄与で評価した結果を述べる.その結果, MESIAに実装した機能のうち, CAIから与えられた小テスト, 正解に近い誤答に対するヒント(以後, ヒントという), 解答の作成指針を与えるヒント(以後, HELP/MOREという), 教師から与えられるメッセージが特に有効であることを示す.また教師によるメッセージは同一テスト中に与えられる一連の支援の後半に利用率が高く, その正解化への寄与率が他の支援と比較して最も高いことと相まって, 行き詰まった生徒に対する切り札的な支援になっていることを示す.ただし正解化に寄与した支援数自体は, CAIによる支援数の合計がこの教師によるメッセージの支援数よりはるかに多く, CAIの支援機能によって教師の稼動が大幅に減少していることを述べる.
著者
山本 裕二 工藤 和俊 山田 憲政 北原 俊一 平田 智秋 宮崎 真 平川 武仁 木島 章文 奥村 基生 郷原 一寿 門田 浩二 山際 伸一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,様々なスポーツ技能の生成機序を力学系の観点から統合的に理解することを目的とした.その結果,ブランコ漕ぎの協応パタンは振り子の等時性にほぼかなっていること,音に合わせたダンスでは,運動周波数が高い場合でも熟練者は逆相同期を維持できること,卓球では技能水準を切替ダイナミクスのフラクタル次元で評価できること,剣道では二者間距離によって詰め引き速度の相対位相が切り替わること,タグ鬼ごっこでは,学習に伴い両者の詰め引き速度の相対位相が逆相同期になること,サッカーの3対1ボール保持課題における三者の連携パタンは,技能レベルによって環状連結振動子における対称性のホップ分岐理論で予測されるパタンを示すこと,サッカーゲームのパス行動にはベキ則が見られることなどを明らかにした.
著者
氏家 等 朝倉 敏夫 村上 孝一 山田 伸一 池田 貴夫 會田 理人
出版者
北海道開拓記念館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

日本時代から現在に至るサハリン朝鮮民族の生活文化の変遷について、サハリン州や帰還者の住む韓国安山市において、約30名のサハリン朝鮮人の方々から基礎的情報を収集し、記録にとどめてきた。その結果、朝鮮文化のなかでも、オンドルや頭上運搬のような日本時代ないしソ連時代初期に失われた文化要素が少なくない一方で、日本→ソ連→ロシア時代を通じて、(1)日本時代を経験した多くの朝鮮人がウズベキスタンの朝鮮人から餅米を取り寄せ、臼と杵を使って餅を掲き続けてきたこと、(2)ロシア人の墓とは対照的に朝鮮人の墓は盛り土の前に墓石を立てる朝鮮半島方式を守ってきたこと、(3)還暦の行事を朝鮮方式で行い続けてきたなど、継続して守ってきた文化があったことを確認し、食文化や精神文化に関する文化要素は残り、住生活、衣生活などにおいてはその継承が難しかったことを明らかにした。一方、サハリン朝鮮民族は、多様な民族的関係史のなかで、韓国スタイル、北朝鮮スタイル、日本スタイル、ロシア・スタイルをそれぞれ重層的に取り入れた多重化したライフスタイルを構築してきた。また、ペレストロイカ以降の自由主義経済の展開を通じ、韓国人、北朝鮮人、沿海州の朝鮮人、中国人、日本人との交流関係が定着し、そのライフスタイルはより多角化の傾向にあることがわかってきた。日本時代を経験した朝鮮人、ソ連時代に生まれ育ち多くを社会主義経済下で過ごした朝鮮人、ペレストロイカ前後に生まれ育ち多くを自由主義経済下で暮らした朝鮮人など、世代間でそのライフスタイルの指向に違いが見られる事実も浮かび上がっている。韓国安山市等に帰還した元サハリン在住者の間では、周囲にロシア文化を流入させ、韓国文化を拒否する人々が相次ぐなどの課題も生じている。これら新たに生じた課題に踏み込むことにより、サハリン朝鮮民族の文化に対する理解がより深まることとなる。
著者
南塚 信吾 下斗米 伸夫 加納 格 伊集院 立 今泉 裕美子 佐々木 直美 木畑 洋一 橋川 健竜 小澤 弘明 趙 景達 山田 賢 栗田 禎子 永原 陽子 高田 洋子 星野 智子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、1980年代の世界史を、いわば輪切りにして同時代史的に分析し、それを一つの有機的に繋がる世界史として認識する視座と方法を探り出すことを目的とした。そして、まず、現代に繋がるグローバルな諸問題を確認した。それは、(1) グローバリゼーションの過程の始まり、(2) ネオリベラリズムの登場とIMFモデルの神格化、(3) 市民社会論の台頭、(4) IT革命、(5) 大量の人の移動などである。次いで、このグローバルな問題に対応して、世界の諸地域での根本的な変化を確認した。そして、アフリカやラテンアメリカでの構造改革から始まり、中越戦争、アフガン戦争、イラン革命の三つの変動を経て、ソ連や東欧での社会主義体制の崩壊、イスラーム主義の登場と湾岸戦争などにいたる世界の諸地域の有機的相互関係を析出した。
著者
山中 章 廣岡 義隆 山田 雄司
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

聖武天皇伊勢行幸地の中で最も長期に滞在した宿泊地が河口頓宮(740年11月2-11日)と赤坂頓宮(同月14-22日)である。前者については平成15年度に発掘調査他を実施し、その実務機関の一端を始めて明らかにした。さらに平成18年度には後者の実態を解明するため頓宮想定地の有力地である三重県亀山市関町での発掘調査を実施した。その結果、推定地の北西部から、聖武天皇の時期に壮大な規模の土木工事を実施したことを証明する重圈文軒丸瓦と共に、城壁の跡を発見することができた。城壁は観音山の山裾の谷上部を縫うようにして設けられており、(1)基底土木工事、(2)築地基底部造成工事、(3)築地構築工事の三段階に分けて行われていたことが実証され、特に、これまで全く知られていなかった城壁が装飾性と格式に富む築地塀であったことが始めて立証され、その建設時期と相まって、検出遺構が聖武天皇の宿泊施設である赤坂頓宮の囲繞施設をも兼ねていることが明らかにされた。聖武天皇の伊勢行幸はその後の美濃行幸も含めて、既存の公共機関の施設を利用、改修、解体新築して進められたことが知られている。その中心を担ったのが造伊勢行宮司である。周到に準備された「伊勢行幸」を考古学的に証明したのが今回の発掘調査の成果であり、昨年の調査で実施した朝明頓宮の成果とも会わせて、行宮造営体制や行宮の基本構造、個別行宮の特色などを一気に明らかにすることができた。また赤坂頓宮の北西隅を解明したことによって、これまで全くその存在を現すことがなかった、伊勢・鈴鹿関の位置が特定でき、三関研究にも大きな成果を得ることができた。またこうした古代の行宮(頓宮)建設が隋・等の同施設からどの様な影響を受けているのかについて、国際シンポジウムを開催し、比較研究した。さらに、近年めざましい発掘調査成果を出しているヴェトナムのタンロン王城遺跡の調査分析も実施し、日中越三国の古代王権が隋・唐をモデルにした国造りを行っていることも明かにすることができた。
著者
西田 治文 植村 和彦 栗田 裕司 朝川 毅守 山田 敏弘 植村 和彦 栗田 裕司 朝川 毅守 山田 敏弘 寺田 和雄 矢部 淳 LUIS FELIPE HINOJOSA O. MIGUEL RANCUSI Herrera
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

チリ南部の南緯33度から54度までの地域で、白亜紀後期から中新世の植物化石の採集調査を行い、鉱化ゴミ化石群という新たな概念の化石群集を含む良質の化石植物群を発見した。産出時代決定に当該地域では初めて渦鞭毛藻類による生層序区分を試み、有望な成果を得た。化石の解析から、第三紀初期のフロラが温暖な要素を含み、同時代の南極との植物地理学的関連が確認された。鉱化ゴミ化石の高解像度X線CTという新手法も試みた。
著者
橋本 泰幸 佐々 有生 山木 朝彦 谷口 幹也 山田 芳明 芳賀 正之
出版者
鳴門教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究では,徳島県下の伝統文化の調査を行い,その成果をもとに徳島県の伝統文化を学べる文化施設をデータベース化を行う。そして,海外の伝統文化の継承と教育に関してカンボジア王国で調査を行い,日本国内の状況とを比較検討し,文化創造からの視点での文化継承と教育活動の重要性を提言するにいたった。また,以下のテーマに関する考察が本研究において行われた。美術館における鑑賞教育の観点から地域と芸術の連携に関する研究。大竹拙三を中心に地域社会における美術教育実践家の足跡に関する調査研究。鑑賞教育における身体性に関する研究。また,「生きる力」を育む美術教育プログラム及びネットワークの開発にあたって,研究究組織全体の取り組みとして,鳴門市,大塚国際美術館,鳴門教育大学の三者の連携による「地域文化財教育活用プロジェクト」を実施した。本プロジェクトによって,美術教育ネットワーク構築のための基盤がつくられ,大学と,地方自治体,私立美術館の共同運営によるワークショップ等の事業を行い,その成果として,教員が活用するための美術教育実践例が提案されるに至った。そして,本研究の成果を公開し,広く活用するためのWeb版の美術教育センターが構築された。
著者
山田 格 Chou Lien-Siang Chantrapornsyl Supot Adulyanukosol Kanjana Chakravarti Shyamal Kanti 大石 雅之 和田 志郎 Yao Chou-Ju 角田 恒雄 田島 木綿子 新井 上巳 梅谷 綾子 栗原 望
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.1-10, 2006

台湾,タイ,インドの研究施設に保存されている中型ナガスクジラ属鯨類標本22点を調査し,骨格の形態学的特徴から,ミンククジラBalaenotera acutorostrata 4点,カツオクジラB. edeni 7点,ニタリクジラB. brydei 1点,ツノシマクジラB. omurai 10点を確認した.1970年代以来議論は提起されていたもののWada et al.(2003)が記載するまで不明瞭であったツノシマクジラの標本点数が相対的に多かったことは特筆に値する.本研究の結果は,これまで混乱が見られたいわゆる「ニタリクジラ類」の分類学的理解を解きほぐすものである.さらにこの混乱を完全に解決するためには,とくにカツオクジラのホロタイプ標本の分子遺伝学的調査が強く望まれる.