著者
岡山 雅信 梶井 英治 亀崎 豊実 熊田 真樹 小松 憲一 神田 健史 竹島 太郎 見坂 恒明 今野 和典
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

疾患に不安を持っている者は、当該疾患感受性遺伝子検査を受けやすく、結果に一喜一憂しやすいことが示唆された。嗜好性の高い生活習慣を控えている者は、陰性の遺伝子検査結果により、それを中断する危険性がわかった。検査結果の説明に工夫が必要と思われる。1年間の追跡では、遺伝子検査結果の通知の有無による生活習慣に係る項目のほとんどに差が観察されなかった。詳細な検討は必要であるが、仮にあったとしても、生活習慣への遺伝子結果通知の介入効果は軽微と思われる。
著者
栗原 隆 加藤 尚武 座小田 豊 尾崎 彰宏 野家 伸也 伊坂 青司 山内 志朗 鈴木 光太郎 佐藤 透 城戸 淳
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

「主体」は空間の中で、形の認知に感応する中でこそ自覚されるものであって、自我の自己措定のような機序によって成り立つものではないことが確認された。
著者
池上 弘樹 石黒 亮輔 佐藤 大輔
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

超流動3HeのA相では、クーパー対が3Heという中性原子で構成されているにも関わらず、磁場と軌道角運動量の間に微弱な相互作用が生じ、マクロな性質に影響を及ぼす可能性がある。この現象の検証を行うため、超低温高磁場冷凍機と実験セルの整備を行った。これと同時に、3He-4He混合液表面に出来る3He薄膜の研究を行った。この3He薄膜では、上下の面はきれいな表面であるため、明確な検証実験が可能と考えられる。この3He薄膜の性質の解明のため、3He-4He混合液上の電子の移動度測定を行った。移動度の詳細な解析により、3He準粒子は表面で3He薄膜との間で異常な散乱をしている事が明らかになった。
著者
舟場 保之 寺田 俊郎 小野原 雅夫 加藤 泰史 大越 愛子 松井 佳子 牧野 英二 舟場 保之 大橋 容一郎 御子柴 善之
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

2001年9月11日のいわゆるテロ事件が印象づけた国際社会の諸問題に、カント哲学やヘーゲル哲学のみならず、法哲学やジェンダー論、宗教学、教育学、環境論といった最も広い意味における哲学の立場から応答することを試みた「<9.11>を多角的に考える哲学フォーラム」における議論を発展・継承させ、その後いっそう緊張を強めた状況の中でグローバル・コミュニティが必要とする倫理、すなわちグローバル・エシックスを構築するうえで基盤となる理論的な研究を行った。研究に際して、テロリズムと暴力、正義と法、戦争と平和、人権とジェンダー、地球環境、多元主義と教育といった問題群をテーマ化し、一般に開かれた形で研究会を運営・開催しながら、公共空間における哲学的思考のあり方を模索すると同時に、公共空間そのものの創出を実現した。それは、カントが『啓蒙とは何か』のなかで主張したような、個々人がそれぞれの社会的な身分からは独立した「学者としての」「公共的な理性使用による異議申し立て」を行えるような公共圏そのものであり、言葉の力のみを頼りとする参加者たちが対等の立場で議論し合う空間であった。ここにおいて、具体的には、哲学の伝統がこれまで積み重ねてきた議論(たとえば、カントの永遠平和論やバトラーのジェンダー論など)を思想的な資源として活用しつつ、これらに哲学的反省を加えながら、その他の学問分野の専門家や市民とのコミュニケーションのなかで対話的・反省的思考を重ねることによって、グローバル・エシックスを形成するためにクリアしておかなければならない諸問題の所在を明確なものとし、グローバル・エシックス構築のための理論的基盤を明らかにすることができた。
著者
齋藤 一 荒木 正純 吉原 ゆかり イアン カラザース 加藤 行夫 浜名 恵美 清水 知子 南 隆太 日比 嘉高 土屋 忍 佐野 正人 鶴田 学 高森 暁子 中根 隆行 波潟 剛 南 富鎭 齋藤 一 大熊 榮 荒木 正純 吉田 直希
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

国内外の英語文学研究者(日本、韓国、中国、台湾、マレーシア、インド、トルコ、フィリピン、シンガポール)と日本文学研究者が、研究課題について、英語論集(2007年、マレーシア)と日本語論集(2008年、日本)を出版し、国際会議(2008年、台湾)を行うことで、共同作業による英語文学研究を推進する知的基盤を確立することができた。
著者
前川 厚子 安藤 詳子 神里 みどり 楠神 和男 新藤 勝久 田澤 賢次 門田 直美
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

「ストーマ保有者の生きる意欲とスキンケア行動にストーマ看護サービスが及ぼす影響」について当該3年間にわたり研究した。ストーマケアとそのリハビリテーションは医師からがんや炎症性腸疾患などの病名を告げられ、手術の説明を受けた時が始発であり、回復期、退院後の生活維持期、終末期までのライフスパンを含む。ストーマ保有者への聞き取り、患者会への参加観察と質問紙調査を通して課題を掘り下げ、以下を明らかにした。【成果の概要】1)ストーマ保有者の加齢に伴う課題:65歳以上の比率が60%を超え、生活課題は介護問題から緩和ケアまで拡大していた。虚弱・要介護状態にある高齢ストーマ保有者へのQOL保持、看看連携、訪問看護師と介護職の機能分担、ならびに終末期ケアの在宅基盤整備が重要であった。2)炎症性腸疾患によるストーマ保有者の課題:平成15年全国患者会調査で2,175名中285名(13.1%)、平均年齢39.8±12.9歳で性比1.6:1であった。手術創、ストーマ周囲と肛門周囲皮膚ケアのニーズは81%であった。人生の「生きがいなし」と答えたものが30%を占め、継続ケア提供時にはメンタルサポートが不可欠と考えられた。3)ストーマ保有者のライフサイクルと課題:多様な価値観と人生経験や生活背景について配慮をしながら個別的なケアを提供する必要がある。4)QOL課題:ストーマ造設に関連した治療の成績は向上し、5年無再発生存率は高くなってきたが、主観的な健康状態とストーマの局所状況はQOLと密接な関連を持つので、ケア困難時のマネジメントについては事例の集積と人的資源の整備が必要である。
著者
田中 雅人 尾崎 敏文 沖原 巧 渡邉 典行 瀧川 朋亨 塩崎 泰之
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

抗菌薬をリン酸化プルランに含有した新規骨補填材の有用性について検討した。骨補填材からの抗菌薬徐放能を検討し、新規骨補填材では従来の骨補填材と比較し良好な徐放能を示した。また、黄色ブドウ球菌をマウス骨髄内に注入し作成した骨髄炎マウスモデルを用いて検討を行い、従来の骨補填材と比較し有意に強い抗菌作用を認めた。以上より抗菌薬含有リン酸化プルランは感染治療に有用であることが示唆された。
著者
神田 学 稲垣 厚至
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

対流性集中豪雨の予測精度を向上させるため都市気象学的なアプローチによって以下の成果を得た。(1)詳細な都市気象データベースの解析から、集中豪雨頻発域である東京-練馬-埼玉ライン上に都市化による海風遅延領域が見出された。(2)詳細な建物GISを利用した乱流計算により実都市の流体力学的粗度を推定する新しい推定式が提案された。(3)都市陸面に関する最新知見を導入した都市気象モデルによる豪雨シミュレーションにより、都市化により集中豪雨が強化されることが示された。
著者
井岡 邦仁 郡 和範
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

(1) GeV から PeV に伸びる宇宙線のスペクトルを AMS-02 実験が精密に観測し、ヘリウムと炭素のスペクトルが水素のスペクトルよりもハードであること、ヘリウムと炭素のスペクトルは同じであること、また、どれもが200GeVに折れ曲がりがあること、が分かった。それらを説明するには、宇宙線がスーパーバブルのコアのような化学的に非一様な環境で加速されたと考える必要があることを議論した。(2) PeV 天体の候補である中性子星連星の合体は、r過程元素の有力な起源の候補でもある。しかし、もしそうだとすると、中性子星連星合体の飛散物質の残骸において r過程元素がほとんど粒子加速されず、r過程元素の宇宙線が異常に弱くなければいけないことを初めて指摘した。これは、超新星残骸の逆行衝撃波での粒子加速が非常に非効率であること、あるいは、中性子星連星の合体はr過程元素の起源ではないことを意味する。(3) PeV 天体の候補である ultra-long GRB(超長期ガンマ線バースト)は起源が分かっていないが、最近非常に明るい超新星が付随していることが判明した。この超新星を説明できるモデルとして、青色超巨星の崩壊、生まれたてのマグネター、白色矮星の潮汐破壊イベントが可能性としてありえることを議論した。(4) 超大質量星が重力崩壊してジェットを放出すると、ジェットが外層を通過する間にエネルギーを外層に渡し、非常に明るい超新星のように輝くことを提案した。
著者
福田 忠彦 古荘 雅生 矢野 吉治
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究では人間工学的手法による実験的検討から、操船者の心理的特性と航行視環境の関係について体系的に示すことを目指した.本研究では,まず操船者の状況認識,行動に与える影響要因について明らかにした.その上で,以下の要因が自船の危険に関わる視対象の検出に与える影響を示した.1.光環境の状態日中・薄明時で視覚心理機能測定実験を行い,色知覚機能の大きな相違を明らかした.色知覚機能は薄明時で低下し,特に日中で相対的な感度が高い黄色の感度が有意に低下することが示された.2.操船者が処理しなければならない情報量と処理し得る情報量(1)誘目性の異なる対象を含んだ場面での知覚の範囲全ての対象が静止しているパターン(静止刺激)とそのうち一つに動きをつけたパターン(運動刺激)を用いて,知覚の範囲の測定実験を行った.運動刺激では精度が高く並列的な処理過程である即刻の把握(subitizing)で処理できる対象の数が,静止刺激よりも少なくなることが示された.(2)交通量の多い狭い水域における操船者の視覚探索特性狭水道や港内において眼球運動測定実験を行った.特に情報量が多い港内では,既に把握している視対象以外の存在や,海図やレーダーの情報を確認する余裕がなく,存在を把握している視対象についても,短くかつ少ない視線配置で情報を受容していることが示された.3.操船者の熟練度の影響水平線への見張りにおける熟練航海士と非熟練者の眼球運動測定実験を行った.熟練航海士は注視成分が非熟練者より多く,水平線へ集中して注視を行っていた.また水平方向への8〜10°の移動距離を「見張りの基本単位」とし,これに基づいて水平線上で広く視線を移動させていることが明らかになった.これらの知見を踏まえ,見張りにおけるヒューマンエラーの要因を示した.
著者
千賀 裕太郎 土屋 俊幸 朝岡 幸彦 三橋 伸夫 鎌田 元弘 廣田 純一 柏 雅之 堀口 健治
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

地域住民・NPO・企業・行政のパートナーシップを構築することで、多様な地域再生活動を展開する「中間支援型組織」としてのグラウンドワーク組織の普及・定着に関する研究を行った。このなかで、グラウンドワークが農村を含めた全国各地においていかに活動を展開し、地域住民、地域企業等の参加を組織し、環境改善および雇用創出を通じて地域の持続的活性化へと結び付けてきたのか、その構造を明らかにし,特に弱い経済条件の地域におけるグラウンドワークの更なる普及・発展の条件を明らかにした。
著者
川田 稔
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

3年間の研究において、まず原敬の国家構想と政治指導を、おもに山県有朋のそれと比較しながら検討した。そこにおいて、原の国際的な平和協調外交が、内政における経済的な国際競争力の強化をめざす戦後経営と密接に関連していること、また山県がそれまで忌避してきた原首班に同意した背景には、その外交戦略の崩壊があったことなどが明らかとなった。つぎに浜口雄幸の国家構想と政治指導を、田中内閣の外交内政との対比において、また同時代の代表的な思想家の一人である柳田国男の構想と比較しながら検討した。そこにおいて、浜口が、早くからイギリス型の議院内閣制を志向していたこと、浜口内閣期の産業合理化政策や金解禁、財政緊縮などの構想は、総裁就任まもなくに出来あがっていたこと、また満蒙問題について、田中義一が張作霖政権擁護の方針であったのにたいして、浜口は国民党による満蒙支配を容認しており、それを前提に日本の既得権益をできるだけ保全しようとするものであったことなどが判明した。そして原・浜口の外交内政にわたる国家構想の全体像を明らかにしえた。さらに原・浜口がともに輸出重視の国家構想のもとに諸政策を展開したのにたいして、柳田国男は政党内閣を支持しながらも、より内部市場志向型の非膨張的な国家をめざす異なった方向を打ち出していたことも提示した。
著者
久保 哲夫
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

最大加速度値の大きな強震地震動の動特性と高加速度の地震動が建築構造物に入力する際の時間差を考慮した場合の時間差に対する応答の変動について、高加速度強震地震動データベースを作成し、数値解析によって弾性・弾塑性の応答の低減効果を定量的に評価した。大きな最大加速度を有する地震動は短周期成分が卓越する傾向を有すること、ならびに建築構造物の応答では入力の時間差を大きく取るほど応答が低減する傾向が認められた。
著者
野田 公夫 足立 泰紀 足立 芳宏 伊藤 淳史 大田 伊久雄 岡田 知弘 坂根 嘉弘 白木沢 旭児
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

1930 年代の日本では「資源」という言葉が急浮上した。そして「あるもの」ではなく「作ることができるもの」という側面が過剰に強調されただけでなく、人すらその対象に加わえられた(人的資源)。これは、ドイツにもアメリカにもない特異な現象であり、物質的豊かさに恵まれない日本が総力戦体制に立ち向かうための重要なレトリックであった。本研究では、総力戦体制期の農林資源開発に関する、日・独・米三国の比較史的研究をおこなった。
著者
田中 英道 尾崎 彰宏 有賀 祥隆 松本 宣郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究では、研究代表者が日本と西洋の古典主義を比較検討する作業を行っている。とくに、本年度は、代表者がドイツに長期で滞在する機会を得たため、ドイツ・ゴシック美術と日本美術の関係について詳細な報告をおこなった。古典主義が美術表現にどのような形で表れてくるのか、研究分担者が、それぞれの専門領域からアプローチし、それぞれの成果はやはり研究報告書にまとめられた。古代を担当する松本宣郎は、「古代ローマの美術政策」に光を当てている。ローマ美術、わけてもアウグストゥスの元首政の時代のローマ建築や美術に関する最近の研究に依拠して、「古典美術」が元首・皇帝の政策と関わって展開した状況を概観している。イタリアを担当する森雅彦は、「プッサンとアカデミー」の問題に絞り、古典主義の美術理論とプッサンの芸術との関連性をアカデミーという場に求め、詳細な分析をおこなった。足達薫は、パルミジアニーノの作品における古代に焦点を当て、マニエリスムと古典主義の関係に新たな視点を提供した。元木幸一は、ドイツ美術の古典主義美術の大御所、デューラーの芸術表現にいかに古代が強く作用していたかを改めて検証している。尾崎彰宏は、17世紀オランダ美術の代表的画家、「レンブラントのメランコリー」に絞った検討を行った。古代ギリシアに端を発するこの「メランコリー」理論は、ルネサンスに隆盛を極め、バロックの時代にまでその影響は残っている。その代表格がレンブラントの作品である。この視点は長らく等閑に付されてきた。
著者
谷口 信和 安藤 光義 宮田 剛志 李 侖美
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

2009年の農地法改正を契機として一般企業の農業参入が進み、家族農業経営を基本とする日本農業の構造が大きく変化している。このうち、農協による農業経営は従来の農協出資型生産法人に加えて、農協直営型農業経営の参入が進む中で、単なる担い手の役割を超えて地域農業に対する多様な役割を発揮しつつある。そこでは第1に、耕作放棄地の復活・再生への取り組みが本格化する中で、第2に、これと結びついた新規就農者研修事業が重要な事業分野になりつつある。第3に、JAの農産物直売所への出荷という新たな販売ルートが有力な地位をしめる中で、耕畜連携や6次産業化を実現する地域農業振興に向けた重要な役割を担うに至っている。
著者
佐藤 敏文 覚知 豊次 堺井 亮介
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、ハイパーブランチポリマーなどの新規な水溶性分岐状高分子を合成し、生成物の構造と粘度物性の相関関係を検討することで、新たな水系超潤滑システムの開発を目的とした。得られた高分子材料の水溶液は直鎖状高分子に比べ非常に低い粘性を示し、水系潤滑剤として有用であった。これらの高分子材料は水溶液中において絡み合いの少ない球状構造をとることで高潤滑性能を示すことを明らかにした。
著者
ファガラサン シドニア
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

我々の研究により獲得免疫系が腸内共生細菌の成長や分布に寄与していることが明らかになった。Foxp3+T細胞はFirmicutesに属する細菌の多様性を促進しており、炎症抑制やパイエル板でのIgA選択制御といった胚中心内外での免疫制御に寄与していることが明らかになった 。Foxp3+T細胞により制御されている多様で選択されたIgAレパトワが多様な細菌叢に結合し腸管のホメオスタシスに役立っている一方で、T細胞非依存的なIgAは細菌の保持より排除に寄与していることが明らかになった。以上の結果は腸内の免疫-細菌共生機構を理解する上で重要な結果であると考えられる。
著者
松木 則夫
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

海馬は記憶・学習に重要な役割を果たしていることはよく知られているが、海馬内回路に比べて海馬外からの調節機構解明は進んでいなかった。本研究において、後部扁桃体基底核および青斑核の活性化がそれぞれ海馬内のシャッファー側枝-CA1野錐体細胞、嗅内皮質-CA3野錐体細胞のシナプス伝達にダイナミックに影響することを示した。また、前者はストレスに対する感受性が高いことも明らかになり、うつ病との関連が示唆される。また、末梢刺激により海馬機能が影響され、それが糖尿病でも低下していることを明らかにした。さらに、新しいうつ病モデル動物としてコルヒチン投与動物を解析した。残念ながらうつ病モデル動物動物とはならない結果であったが、逆に、抗うつ薬の作用機序として歯状回顆粒細胞の新生や生存は関係ないことが示された。
著者
菊池 純一 安原 主馬 田原 圭志朗
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、申請者らが独自に開発した高強度の人工細胞膜「セラソーム」の構造的特徴を活かして、その表面を金属で被覆した新規の有機-無機-金属複合ナノ材料を開発し、その特異的機能の創出を目指した。その結果、ベシクル構造やディスク構造を有する脂質二分子膜を様々な金属超薄膜で被覆した人工細胞膜の作製が可能になり、これらの人工細胞膜に賦与した分子認識能にもとづく特徴的なマニピュレーション機能が発現した。