著者
寺村 泰 山崎 志郎 西野 肇 日向 祥子 小野塚 知二 松田 紀子
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、業種ごとに市場のコーディネートが多様な形態で行われてきたことを資料に基づき実証するとともに、国際比較を踏まえて日本における市場のコーディネーションに関する特質を解明するものである。第一に、日本国内にある2100の業界団体に対して保存資料に関するアンケート調査を行い、その集計結果および資料リストを冊子にまとめ、研究者に郵送したほか学会において無償配布した。第二に、海外における業界団体等の資料保存体制に関して現地調査を行い、日本における資料保存体制との比較考量を行った。第三に、調査過程で収集した資料に基づいて多様な市場コーディネーションの実態について研究し成果を発表した。
著者
對馬 誠也 南 栄一
出版者
独立行政法人農業環境技術研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

種子消毒法により、無菌イネ(以下、低表生菌密度イネ、RLEと呼称)の作出に取り組んだ。その結果、3年間の試験から、RLEは通常栽培イネより1/10000以下の菌密度であり、RLEの研究用素材としての実用化が可能と考えられた。本成果は、マイクロアレイでイネ遺伝子発現を調べるにあたり、従来考慮されなかった「植物生息微生物ノイズ」を大幅に除去した「高精度のイネ遺伝子発現解析」を可能にすると考える。昨年に続き、RLEと普通栽培イネのマイクロアレイ解析を実施した。発現の違いに関する解析では、昨年同様に各遺伝子発現レベルで2-fold upしたものを選抜して解析に供試した。その結果、低表生菌密度イネではDNAの複製と修復、たんぱく質の合成・加工・輸送に関与する遺伝子群がより多く発現していることが明らかになった。
著者
濱本 卓司 倉田 成人 猿渡 俊介
出版者
東京都市大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

都市における想定外事象の発生に備え,事前対策として原因分析や予知・予測に必要な基礎データを提供し,事後対策として避難誘導,安否確認,救助・救援活動を支援する建築群のネットワーク異常検知システム構築に関する実証的研究を行った。厳しい環境の下で建築群が崩壊過程にある長崎県軍艦島を検証の場として選び,映像・音声・振動のセンサデータを総合的に利用して想定外事象の発生を検知し,建築群の非線形挙動を追跡して損傷から崩壊への進行を監視する視聴触統合センシングシステムを実装した。現地におけるシステム構築により得られた新たな発見と経験的知見に基づき,システム改善のための今後の課題を明らかにした。
著者
安川 緑 藤原 勝夫 金子 周一 坂本 英之 三谷 徹 伊藤 喜久 小山 善子 染井 正徳
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本年度の研究では、06,07年度の研究成果を基にITを活用した園芸療法の効果の詳細を検証した後、総合的見地から、ITの活用による園芸療法を適用した包括的地域ケアモデルを構築する予定であったが、当初の計画の変更を余儀なくされたため、下記の内容で研究を進めた。1)これまでに得られた園芸療法の研究データの分析を行い、園芸療法の知見を広く社会に還元すべく、論文作成及び投稿準備に充当した。現在、Japan journal of Nursing Scienceに「Effects of Horticultural Therapy for Aged Persons Receiving Home Care」を、また、老年社会科学に「サッケード反応様式からみた園芸療法の元気高齢者の前頭葉脳血流量の変化」を投稿するための準備作業に入っている。これらの論文では、在宅療養高齢者及び元気高齢者のそれぞれの課題に対して園芸療法が効果的に作用して、心身機能の維持・向上や老化予防に独自の効果をもたらすことが実証され、今後における地域高齢者ケアへの提言ともなっている。2)世界初の作業療法ハンドブック、「International Handbook of Occupational Therapy Interventions」(2009)に、「Horticultural Therapy for the Cognitive Function of Elderly People with Dementia」が所収された。このことにより、園芸療法が薬物に依拠することなく認知機能の回復をもたらし、認知症ケアとしての優れた側面を有すると共に、日常生活の活性化を促すための多種多様な可能性持ち合わせていることを世界のケア専門家に紹介し、園芸療法の普及に拍車をかける機会となった。なお、認知症者に対する園芸療法の種々のデータについては、引き続き分析を進め、International journal of geriatric Psychiatryをはじめ国際的学術誌への投稿を予定している。
著者
松本 健治 國土 将平
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

大学生164名で男女別に体脂肪率,皮下脂肪厚,BMIと自己の体型認識との関連性を検討した 男>女の有意項目はBMIと除脂肪体重で,女>男の有意項目は体脂肪率,体脂肪量及び胸部を除く9部位の皮下脂肪厚であった、男では体重とBMIにおいて体脂肪率,体脂肪量,除脂肪体重及び10部位全ての皮下脂肪厚と有意相関があった。女でも男と同傾向で,体重と体脂肪率との間及びBMIと体脂肪率との間のr^2は男よりも低かった。体脂肪率が従属変数で,身長,体重,BMI及び10部位の皮下脂肪厚が独立変数の重回帰分析の結果,男は腹部,体重,大腿前部,胸部の4変数(R^2=.77),女は上腕背部と肩甲骨下部のみが採用された(R^2=.53)。男女間で自己の体型認識に有意差があり,女は,「太っている」が60%以上みられた、測定項目との関連は,男女とも,BMIが最も強かった(男:r=.83,女:r=.75)。体型評価尺度で,女は65%が,「自分でみた感じ」が非常に重要と答え,男女間で有意差(P<.001)があった。また「体重」と「筋肉量」にも男女間で有意差があった。男は「他人や友達との比較」と体脂肪率との間で,負の有意相関がみられた.女ば「他人や友達との比較」とBMI,体脂肪率,体脂肪量,上半身6部位の皮下脂肪厚との間で,負の有意相関があった、男は身長と体重で有意に高値を,女は,有意に高身長と低体重を理想としていた。それが,理想BMIの18.6にもみられた,脂肪を落としたい部位の有無で,女は99%があると答え,有意な男女差とも一致しており,部位は男女ともお腹が最多で,有意差はなかった。太もも,お尻,腕は,女が有意に高率であった、今後の自分の体型は,女が有意に高率で80%以上がやせたいと答えていた。他人と比較しての体型認識は,女が有意に高率で60%以上が太っていると答えた 体質的に食べても太らないかは,女が有意に高率で75%以上が太りやすいと考えていた
著者
梶 茂樹 米田 信子 古閑 恭子 品川 大輔 塩田 勝彦 神谷 俊郎 若狭 基道
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

アフリカには多くの声調言語が話されている。アフリカの声調言語の特徴は、アジアの声調言語に比して、声調の語彙的機能が低く文法的機能が高いということである。例えば、多くのバンツー系諸語では、しばしば声調のみで時制・アスペクトが区別されるし、また声調のみによって関係節かそうでないかが区別される。またガーナのアカン語では所有表現が声調のみで表現されるということもある。このような声調の文法的機能はアフリカの声調言語の大きな特徴である。
著者
藤正 巖 松谷 明彦
出版者
政策研究大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、システムダイナミックスを用い、2000年、2005、2010年の社会構造推計エンジンを開発し、世界、諸国、日本、都道府県、市区町村の個別のモデルを試作し、クラウドコンピューティングのデータベースに蓄積してきた。これまでの3種の推計エンジンの結果からは、将来の社会構造は驚く程確定的に定まることが明らかになった。この成果を本研究の仮想実施空間であるPost-Max-Network-Workshop(PMN工房)に提供した
著者
田中 直人 足立 啓 後藤 義明 古賀 紀江
出版者
摂南大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

国内外の高齢者居住施設における事例調査から、レミニセンスを導入して日常の生活環境への配慮としている事例を確認できた。本研究で目的としている感覚誘導システムに関連する事例も海外事例で確認できた。続いて国内施設へのアンケート調査で、環境要素として感覚的誘導に用いることが可能な「レミニセンス事物」の抽出を行った。その事物を導入した効果を確認するためビデオカメラで長期観察実験を行い、さらに実験後に施設スタッフからもヒアリングを実施し確認した。感覚的誘導の効果として、(1)放尿抑制効果、(2)個室への侵入防止などの抑制効果があることが確認できた。また、T字型の歩行空間を想定した画像実験から、高齢者の記憶に残る感覚的な誘導方法についての可能性と効果を検証確認できた。本研究結果を生かしさらに継続発展させる知見が得られた。
著者
西浦 敬信 善本 哲夫 中山 雅人
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ある特定の領域にのみ音波を放射できるパラメトリックスピーカを用いて,音空間の任意の場所における立体的な音像(3D音像ホログラム)を実現した.特に放射板を自由に形状変形可能なフレキシブルパラメトリックスピーカを開発した上で,複数のフレキシブルパラメトリックスピーカを用いて「キャリア波」と「側帯波」を分離放射することで音空間に3D音像ホログラムを構築した.さらに社会実装実験を通じて活用シーンも調査・検討し,音空間上の任意の場所に構築可能な3D音像ホログラムの総合開発を試みた.
著者
狩野 光伸 正宗 淳
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

膵がんの五年生存率は1割前後であり30年来改善していない。とりわけ進行性膵がんでは、予後は6か月未満と短く、投与薬剤が有効に奏功していないと考えられる。その原因を腫瘍細胞以外の腫瘍組織構築因子に求め、本研究では、ヒト膵癌由来細胞を用いた新規三次元培養系の構築を通じて、薬剤送達経路である1)腫瘍血管と2)腫瘍線維組織に求める仮説の実証を進めた。ヒト患者由来膵星細胞(PSC)を用いた立体培養系を構築し、分子生物学およびナノ薬剤挙動という観点から解析を行った。これにより、PSCを用い、立体培養・立体共培養の方法を再現性良く構築することが可能となり、薬物送達の解析に用いることに成功した。
著者
西澤 奈津子 大隅 清陽 藤森 健太郎 稲田 奈津子 金子 修一 石見 清裕 桑野 栄治 野田 有紀子 安田 次郎 和田 英信 松岡 智之 末松 剛 吉永 匡史 武井 紀子
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

古代日本においては、律令制の導入に続いて、8世紀になってから礼の本格的な導入が始まり、9世紀には儀式書の成立という形に結実する。その後9世紀から12世紀にかけての古代から中世の変革期において、中国の礼を受容して形成された儀式が支配構造との関係でどのように変容したかを、中国の賓礼や軍礼、凶礼などに該当する儀式を検討することによって明らかにした。また、同時期の中国や朝鮮半島諸国の礼や儀式の変化と比較することによって、日本の儀式の変化の特徴に迫った。その結果、中国において当該期に礼や儀礼が庶民化すること、皇帝権力の伸長により変化があることなどが確認された。
著者
中別府 温和
出版者
宮崎公立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、これまで長年にわたって取り組んできたインド西北沿岸地域におけるゾ教の存続と変容に関する実態調査を、主に次の視点から発展させることを目的とした。この研究による新しい事実の発見と今後に結びつく研究の新たな展開の可能性に関する詳細は報告書(和文ならびに欧文)に記載した。なお、和文および欧文の報告書の内容は一部重なるが、相互に対応はしていない。1.ナウサリの聖火殿と鳥葬の塔に関するグジャラーティ史料を発掘し、翻刻する。従来、明らかにされることのなかった聖火殿の歴史をグジャラーティ史料によって明らかにするとともに、それらを英訳し、他のゾロアスター教研究者の活用に供した。2.有意味図版と作文による分析方法によって聖なる火と鳥葬に関するゾ教徒の心的態度を取り出す。これまで研究が行われて来なかったゾロアズター教の宗教的象徴に対するゾ教徒の思考と態度を、有意味図版と写真と作文を使用した分析方法で明らかにした。3.インド西北沿岸地域に現存するゾ教徒パーシーの実態を、イラン学ならびにイスラーム学の方法と分析視点から再吟味し、現地調査の内容を批判的に見直し、それらについての記述の正確さを徹底して精査する。古代イランの文化がゾ教徒のコミュニティーにどのように継承され、あるいはまた変容させられているかを、祈りと社会構造を中心に考察し、それらについて新しい事実を発見し、公表した。4.最後に、本研究は宗教現象ならびに宗教集団の変容の側面に関する仮説的見解を得ることも課題として含んでいる。宗教集団が移動する過程で、何が変容し、何が継続するのか、という視点から研究を行い、社会構造、経済的態度、儀礼慣習等に関して仮説的な新たな見解を提示した。
著者
宇野 伸宏 蓮花 一己 倉内 文孝 中村 俊之 塩見 康博 山崎 浩気 吉井 稔雄
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は高齢者にとってのモビリティの確保を指向しつつ,同時に交通安全性の向上を進めるための基礎研究に相当し,次の3点の明確化を試みた.1)事故多発区間,交通コンフリクトの多発地点において,顕著な道路交通要因を事故データ,道路構造・線形データ,交通データを用いた統計分析より抽出した.2)事故リスクの高まる道路交通環境を想定し,安全な道路交通システムを構築する上で,ITSを利用した運転支援施策の正負両面の影響について,模擬走行実験を通じて明らかにした.3)公共交通不便地域における高齢者を中心とした交通行動,モビリティニーズを把握するとともに,交通事故危険認知についても調査を通じて把握した.
著者
竹安 邦夫 竹安 邦夫 KRISHNA Sanj MEAD John C. BAUMANN Otto FAMOROUGH Do 佐藤 雅彦
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

最近「各種オルガネラや生体膜の構築・機能分化に必ず膜ATPaseが関与していること」が世界的に確立されてきた。遺伝子クローニングにより、リン脂質フリッパーゼ、生体異物排出ポンプ、重金属イオンポンプ等の新しいタイプの膜ATPaseが無脊椎動物で次々と同定され、次いで脊椎動物においてもその存在が確認されだした。更に、これら膜ATPaseの発現・機能障害は、ヒトにおいては重篤な疾病の原因となることも判明した。本研究では、これら膜ATPaseの原点である無脊椎動物に焦点をあて、新しいタイプの膜ATPaseを探索し、それら膜ATPaseの機能・発現調節機構を分子・細胞レベルで解明することを目的とした。1.Baumann(ポツダム大学)との共同研究により、ショウジョウバエの光受容細胞(視細胞)におけるNa/K-ATPaseの局在・細胞骨格(例えば、スペクトリン、アンキリン等)との関連を共焦点レーザー顕微鏡、免疫電子顕微鏡等を用いて明らかにした(1999年度米国細胞生物学会において発表;Yasuhara et al.,Cell Tissue Res.,印刷中)。2.全P-型ATPaseを線虫(C.elegans)およびショウジョウバエ(D.melanogaster)においてクローニングし、C.elegansでは20種のαサブユニットと3種のβサブユニットが、D.melanogasterでは14種のαサブユニットと6種のβサブユニットが存在することを示し、それぞれの染色体上での位置を決定した(1999年度第9回Na/K-ATPase国際会議で発表;Yasuhara et al.,The Na/K-ATPase and related ATPases,Elsevier,印刷中)。3.上記で得たアミノ酸配列をもとに系統樹解析を行い、ウアバイン感受性とβサブユニットとの会合能を持たないNa/K-ATPaseとH/K-ATPaseとの共通祖先型ATPaseが存在することを明らかにした。また、これらのことから、ウアバイン感受性とβサブユニットとの会合能の起源が明らかとなった(Yasuhara et al.,投稿準備中)。Krishna(ロンドン大学)との共同研究により、マラリアにおいて全P-型ATPaseをクローニンングした。それらのアミノ酸配列に基づいて、新型ATPaseの系統関係を明らかにした(1999年度第9回Na/K-ATPase国際会議で発表予定;Krishna et al.,The Na/K-ATPase and related ATPase,Elsevier,印刷中)。
著者
南 真木人 安野 早己 マハラジャン ケシャブラル 藤倉 達郎 佐藤 斉華 名和 克郎 谷川 昌幸 橘 健一 渡辺 和之 幅崎 麻紀子 小倉 清子 上杉 妙子
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

2008年、マオイストことネパール共産党(毛派)が政権を担い、王制から共和制に変革したネパールにおいて、人民戦争をはじめとするマオイスト運動が地域社会や民族/カースト諸団体に与えた影響を現地調査に基づいて研究した。マオイストが主張する共和制、世俗国家、包摂・参加の政治、連邦制の実現という新生ネパールの構想が、大勢では変化と平和を求める人びとから支持されたが、事例研究からその実態は一様ではないことが明らかになった。
著者
小澤 弘明 栗田 禎子 粟屋 利江 鈴木 茂 橋川 健竜 秋葉 淳
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、歴史学の立場から新自由主義時代を把握し、新自由主義の同時代史的分析にとどまらず、古典的自由主義時代からの連続面と断絶面の双方を明らかにした。また、新自由主義の世界史を構想するさいの方法として、新帝国主義という視角を検証し、それが構造化の特徴を把握するさいに有効であることを確認した。また、社会史研究、ファシズム研究の方法を新自由主義の研究に応用する視点を確立した。
著者
前田 茂人 林田 直美 メイルマノフ セリック 清水 一雄 兼松 隆之 林 徳真吉
出版者
独立行政法人国立病院機構長崎医療センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

2007年から2009年の3年間にかけて、セミパラチンスク(カザフスタン)の核実験場近くのセミパラチンスクがんセンターおよびセミパラチンスク医科大学にて、甲状腺癌および乳癌に対する外科的医療支援を行った。同地域では、1949年から1989年まで489回にもわたる核実験が行われており、2009年は核実験が閉鎖されて20年となる年である。甲状腺癌および乳癌の標準的診断および外科治療が施行されるように、インターネット教育および現地での実践を行った。特に甲状腺癌外科治療おいては、頸部リンパ節郭清の概念および手技の導入が現地外科医になされたと考えられた。
著者
中地 義和 月村 辰雄 塚本 昌則 野崎 歓 シモン=及川 マリアンヌ 深沢 克己 新田 昌英 畑 浩一郎 本田 貴久
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、19世紀初頭から現代までのフランス文学史の尾根をなす作家のうち、その創作が歴史的出来事の経験や歴史をめぐる深い省察に根ざしている例を精選し、彼らがいかに歴史を内面化しながら作品を創出しているかを探ることを目的とした。またその様態を、各時代の文学理念、言語美学、人文知と関連づけながら、独自の視点からの文学史的通観の構築をめざした。対象になりうる事例の数はおびただしく、個々の事例は作家の生涯に根を張っているため、本格的に扱う対象の数を限らざるを得なかったが、第二帝政期から第三共和政初期、第二次世界大戦期、戦後のポストコロニアル期の文学を中心に、当初の計画に見合う成果が得られた。
著者
渡邉 昭彦 細田 智久
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

当研究は、米・英国で経済的な問題などを抱える地域のフル・サービス型コミュニティスクールの訪問実態調査を行い、我が国の学生のドロップアウト10万人以上という問題の解決を目的にしている。1、肪問実態調査-当研究では3年間て米・英の29団体等と47事例を訪問調査し、サービス提供団体等のサービス提供方法とサービス内容、学校でのサービス提供方法とサービス内容、学校内や敷地内のサービス拠点であるファミリーセンター等の施設と利用の実態を示し、全体像を明らかにした。2、サービス対象とタイプ-サービス提供団体及びフル・サービス型コミュニティスクールでは、(1)学生、(2)学生の親と家族、(3)コミュニティに対してサポートを行い、(1)から(3)の対象にA,学習サービス、B、生活サービスを行い、その他のサービス1種類の計7種類の多様な内容のサポートサービスを行っている。3、サービス提供団体-州(例、ワシントン州)や市(例、セントルイス、デンバー市)が制度を設けて実施、民間団体や大学が実施、学校単独で実施等9種類のタイプがある。4、サービス内容-サービス提供団体で異なるが、A,学習サポートでは、英語等の読み書きの基本的学習から職業や環境、スポーツまで幅広く提供され、B,生活サポートでは、衣・食・住の基本的生活のサポートから、事件に関連した場合の法律相談や弁護、福祉サービス等への申請や代行まで幅広くサポートを行っている。5、サービスの提供時間-学生は授業開始前(食事を含む)、昼休み、放課後、土曜日や夏休み期間のサービスもある。学生の親や家族は夜間クラスもあるが昼間の時間帯(主婦は家庭での食事の準備等がある)、コミュニティには昼間と夜間の両時間帯に提供されている。6、サービスの活動場所-多くが学校施設を活用し、ファミリーセンター等はサービスの事務や会合等に活用されている。7、フル・サービス型コミュニティスクールの効果-恵まれない家庭や地域環境が多い学校で、学生が生き生きと学習し、貧しい地域であっても治安などの問題は少なく、フル・サービス型コミュニティスクールが学生や家族、地域に生きる目的を与えていることが明らかに出来た。
著者
星野 久 近藤 孝造 赤尾 泰子 KUMAHARA Rie HAMADA Kumiko 濱田 久美子 山田 知子 水島 かな江
出版者
四国学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

1.研究の目的§本研究の理論仮説,及びその実証課題は次のとおりである。すなわち,家族とは親族の下位組織であり,その第1次的機能は生産・消費を基本とする福祉実現である。この組織は生産力の発達段階と照応して変化する。従って,今日の高度工業化社会では,(組織的経済活動を営む)伝統的家族は(諸個人が経済行為の単位となった)新型家族へと変化したと考えられるがその実像はどのようなものか,俗に「個人化」と総括されるが果たして如何がなものか。これを解明しようというのが,本研究のポイントである。2.研究の方法§ (1)調査地点は札幌,神奈川,京都,広島,及び福岡の生協会員1/1000を抽出した約2000名を対象とした。(有効表は420)(2)分析はSPSSに拠った。(因子分析を中心に帰納法的手法を用いた。)3.研究の成果§ わが国を代表する家族の型として「家族主義的夫婦家族」を抽出した。その特色は,(1)家族と共にいることが最高の幸せで,家族のためには犠牲をも厭わない。家族の中に何一つ隠し事はなく,団結力もある。以上の考えに強く賛成する人は27%,大体賛成は46%,併せて73%がこの型である。(2)以上と高い相関がある「自己実現」因子は67%に達している。(3)年齢層は30〜50歳台に平均して観られる。(4)学歴は関係せず,職業の有無では無職が圧倒的に多い。(5)家族構成及びライフコ一スでは有意差は観られない。(6)ストレスと相関する母子固着型は,両者ともに負の相関である。(7)結婚観における伝統性,補完性は大体肯定的、互酬性は高く肯定的である。いえ因子は否定的。(8)ライフスタイルでは弱い団欒志向と負の家事合理性に相関が観られる。(9)意志決定では,家庭管理及び育児教育は妻に決定権があり,結婚生活の計画・実行は夫妻協同である。(10)夫妻関係では大体において夫信頼型であり,姉さん女房型,新婚気分の持続型と,多少のニューアンスはことなるが,夫や子どもの身の回りの世話を細々とする。(11)性意識ではやや貞女志向であり,精神的愛情を尊重し,フリーセックスはやはり駄目と否定的である。(12)中・高校家庭科では高齢化社会,環境問題等のカリキュラム化が必用だとし,男らしさ・女らしさの躾教育は否定的である。以上が日本型conjugal familyの諸特性である。この他,個人主義型の分析や特に経営形態との分析等,まだかなりの部分が残されており,別の機会に発表することとしたい。