著者
神谷 研二 笹谷 めぐみ 飯塚 大輔 増田 雄二
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

最新の突然変異誘発機構の研究成果を応用して、低線量放射線被ばくに対する分子レベルの生物線量計の開発を試みた。生物線量計として、突然変異を誘発する Rev1 トランスジェニックマウスとヒト家族性大腸腺腫症のモデルマウスを交配した F1 マウスを使用した。その結果、F1 マウスは、自然誘発がんのみならず、放射線誘発がんを高頻度に発症した。このマウスを使うことで放射線発がんリスクを評価できる可能性があると考える。
著者
藤巻 正己 江口 信清 生田 真人 平戸 幹夫 山下 清海 田和 正孝 祖田 亮次 ルスラン ライニス タールミジー マスロン
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、(1) 人口・社会経済地図による俯瞰的分析、(2) クアラルンプル大都市地域やパハン州などの農山漁村、サラワク州内陸部の先住民族居住地域における虫瞰的現地調査を通じて、マレーシアにおける貧困問題の表出状況とその差異や要因について、地域的・民族集団的多様性という観点から探究した。その成果については、公開セミナーの開催、他の研究組織との国際シンポジウムの共催、そして研究報告書(180頁)の刊行をもって公開された。
著者
南 範彦 西田 吾郎 吉村 善一 古田 幹雄 夏目 利一 島川 和久
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

Gを位相群、X, YをG-空間とする時、XからYへのG写像全体のG-ホモトピー類全体の集合[X, Y]^Gが空集合で無いための極めて普遍的な障害類として、G空間対X, Yのオイラー類e(X, Y)∈[X_+,S^O*Y]^G_*を定義し、何時これが完全に忠実な障害類になるか(つまり、e(X, Y)が自明なら[X, Y]^G≠0が帰結できるか)など、幾つかの性質を得た。この問題に関しては、現実的に計算しやすい(一般に忠実とは限らない)障害類を原靖浩氏とともに開発した。このような考え方は、Farberによって定義されたロボットアームなどのモーションプラニングの困難度を測るトポロジカル・コンプレクシティーの考察や、また抽象ホモトピー論としてのモデルカテゴリー的な観点からVoevodsskyらのA^1-ホモトピー論や関する幾つかの知見も得るのに用いられた。またHELPを通した特異点論におけるThom多項式の一般化にも着手し進歩が得られた。古田幹雄氏は、適当なコホモトピー群に値を持つ境界のない4次元可微分多様体に対する安定ホモトピーSeiberg-Witten不変量と違い、境界のある4次元可微分多様体に対する安定ホモトピーSeiberg-Witten-Floer不変量は、Fredholm Universeというproスペクトラムという、代数的位相幾何学での伝統的なMay流のuniverseの手法を用いてcoordinate freeなスペクトラムで表そうとすると対応するuniverseがtwistされたものを用いて表されることに注意した。これは従来の代数的位相幾何学には存在しなかった現象で、極めて興味深い。また、期間中には以下の多くの研究集会を主催し、活発な研究連絡を行った。1.国際会議"International Conference on Algebraic Topology"(2003年07月27日〜08月01日)2.名工大代数的位相幾何学国際ワークショップ03(2003年08月03日〜08日)3.名工大ホモトピー論集会01(計1回),02(計4回),03(計1回),04(計1回)。
著者
尾形 隆彰 犬塚 先 桜井 厚 片桐 雅隆 中澤 秀雄 米村 千代 渋谷 望 出口 泰靖
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

千葉地域における新しい文化の創出や、海という自然環境を生かしたレジャー、ディズニーという人気観光スポットを生かした地域づくり、また都心からの地の利を生かした移住による「田舎暮らし」といった可能性を明らかにした。またそうした地域に住む住民の意識や行動の変化を捉えることにも成功した。
著者
今井 晴雄 岡田 章 渡邊 直樹 堀 一三
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

協力ゲーム分析の中心概念である提携について、多様な制約下での提携契約のあり方を比較検討し、これが非協力ゲームとのギャップを埋める上で重要であることを、理論を中心に実験や現実的な観察も交えて例証した。とくに、配分や行動についての提携機能の制限やその有効期間、不完備情報、動学的問題が影響することを一連の研究によって確認した。
著者
由井 義通 若林 芳樹 神谷 浩夫 古賀 慎二 宮内 久光 加茂 浩靖 中澤 高志 久木元 美琴 久保 倫子
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

労働の女性化の実態を把握するために,労働市場,就業先における労働状況,終業後の生活時間,家族状況などの相互の側面を関連づけながら,労働力の女性化の実態について多面的な解明を試みることによって,経済のサービス化とグローバル化を原因とした労働の女性化について明らかにした。研究の意義としては,労働力の女性化に対して多様な女性就業の実態を捉えるとともに,住宅問題や保育問題を関連させて分析した点である。
著者
鈴木 直義 松浦 博 湯瀬 裕昭 池田 哲夫 渡邉 貴之 武藤 伸明 岡本 恵理 佐藤 智子 福田 宏 柴田 義孝 橋本 浩二 青山 知靖 葛岡 英明 高橋 勇
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

看護師のフィジカル・アセスメントスキル学習や書道の学習など、動作を伴う学習の遠隔指導支援を目的として、(1)学習時の各種の動作に伴う圧力などの客観的フィードバック情報を学習者や指導者に効果的に提供する方法、(2)打診音を自動識別し実習者に指標を提示するeラーニングシステム構築のための検討、(3)概念モデリングを学習者自身に行わせる方法の熟練者育成へ導入、などの研究成果を得た。
著者
成田 剛 黒河内 宏昌 スカン チットパンヤー ピシット シハラート
出版者
日本工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究により,これまでの報告をはるかに超える数の仏教寺院がシェンクアン地域に存在し,ルアンパバーンをはじめとする他の建築様式には認められない形式の仏堂(小規模で入母屋屋根を載せる)が存在することが明らかとなった。屋根形態を切妻から入母屋に改修したことが,遺構に残る痕跡から明らかな仏堂が存在する背景には,仏堂建築におけるシェンクアン様式の成立が関わっているものと考えられる。
著者
小湊 慶彦 中島 たみ子 佐野 利恵 浅尾 高行
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

ABO式血液型は個人識別に重要な指標として法医学、犯罪鑑識において利用されている。しかし、ABO式血液型遺伝子の転写調節機構は不明である。そこで我々はENCODEプロジェクトから明らかにされた赤白血病細胞K562におけるDNaseI高感受性領域に基づき、レポータープラスミドを作製した。K562細胞を用いたプロモーターアッセイから、ABO遺伝子第1イントロン内に赤血球特異的エンハンサーを同定し、その領域にGATA転写因子が結合することを証明した。また、B_m型およびAB_m型112例中111例に第1イントロンのエンハンサー領域を含む約5.8kbの欠失を見出したが、通常の血液型1005人において欠失はなかった。また、欠失がないB_m型一個人ではエンハンサー内のGATA結合サイトに一塩基置換があり、その一塩基置換によりエンハンサー領域へのGATA転写因子の結合を阻害され、エンハンサー活性が完全に消失していた。以上から、エンハンサーの欠失や塩基置換に基づくエンハンサーの機能喪失から転写活性が低下し、血球系細胞におけるB抗原量の産生低下からB_m型が生じたと考えられた。従って、上記の赤血球特異的エンハンサーが細胞内において機能することが推測された。一方、B_m型は血液型亜型の半数を占めるものであり、その遺伝子診断が可能となったことから、本研究はABO式血液型の遺伝子診断の実現に貢献したと考えている。
著者
有木 進 加籐 周 谷崎 俊之 庄司 俊明
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

Lie理論において重要な役割を果たしているヘッケ代数と呼ばれる有限次元代数の表現論を研究した。とくに数理物理由来のフォック空間を有限次元代数で圏化する研究は近年大きな進展のある研究であり、その進展に寄与する結果もいくつか得た。具体的には、アフィンA型ヘッケ代数の既約加群の幾何的実現と代数的実現の同定、変形フォック空間の圏化による量子シューア代数の次数付分解係数の計算理論等が得られた。
著者
木村 伸吾 北川 貴士 銭本 慧 板倉 光 宮崎 幸恵
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ニホンウナギの回遊生態と生息環境の解明を目的として、産卵域が位置する北赤道海流域および代表的な生息水域である利根川水系での調査を中心に研究を実施したものである。その結果、レプトセファルス幼生は表層で懸濁態有機物を摂餌し、同じ形態を有していても種によって摂餌する水深が異なっていること、幼生の輸送過程は大西洋と大きく異なること、成魚は餌生物が多様な自然堤防域を好んで生息することなどを明らかにした。
著者
大森 保 新垣 雄光 又吉 直子 棚原 朗
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

(1).瀬底島サンゴ礁において、海水中の炭酸系成分のシステマチックな時系列観測を5年間継続しておこなった。海水中の二酸化炭素濃度は、昼間に低く、夜間に高い日周変化を示す。これは、昼間には光合成と石灰化が卓越し、夜間には呼吸が卓越することによる。(2).流向流速計を用いた海水の流動解析をおこない、さんご礁の炭酸系変動の日周変動を説明できるボックスモデルを構築した。(3).海水中の二酸化炭素濃度の変動を周期解析すると、最も主要な変動周期は、約26.7時間であった。これは、海水中の二酸化炭素濃度変動が、太陽の日射量変動よりも、むしろ月の運行に関連した潮位変動に大きく規定されることを示している。それ以外にも、13時間、6.5時間などの短時間の周期変動があり、複合的なメカニズムによって規定されることが示唆される。(4).短周期の成分変動を除去して、年間を通した長周期の変動をみると、二酸化炭素濃度は、おおよそ、月単位でブロック上に変化し、夏に向かって上昇する傾向と、冬に向かって減少する傾向が確認された。この変動は、主として、海流の循環にともなう季節変動に支配されていると示唆された。サンゴ礁炭酸系変動と地球環境変動の関係を解明するためには、炭酸系変動の長周期因子の解明が必要であることがわかった。(5).瀬底島で構築した炭酸系変動ボックスモデルをレユニオン島のサンゴ礁に適用したところ、炭酸系の日周変動をうまく説明できることが確認された。これによりサンゴ礁の炭酸系をグローバルな視点から整合的に評価する方法を確立することができた。(6)以上により、サンゴ礁における炭酸系変動と地球環境変動について解明するための基礎を確立した。
著者
森川 正章 鷲尾 健司
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

微生物が固体表面に付着して形成する高次構造体をバイオフィルムと呼ぶ。バイオフィルムでは細胞が高密度に存在するため、細胞間コミュニケーションが頻繁に起こり、個々の細胞が培養液中に浮遊した状態とは異なる挙動を示す。本研究課題では、環境微生物がバイオフィルム形成に伴って発現するユニークな特徴を発見し、その分子機構を解析した。さらに、バイオフィルム形成によって獲得するストレス耐性を各種環境汚染物質分解細菌に適用し、地球にやさしい持続的環境修復技術の基盤開発に成功した。
著者
大竹 美登利 中山 節子
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

インドネシアでは、インドネシア中央統計局の協力をえて、2004年9〜11月に調査を実施した。調査はアフターコード方式の日記形式とし、「ペイド/アンペイド」「誰と」等を記述させるものとした。調査対象者は、ジャカルタの5地区から200世帯ずつ抽出した10歳以上の世帯員全員である。調査の配布と回収は、各地区40人の調査員が担当した。回収された4,151人のうち集計に使用したのは、平日2,408人、土曜3,253人、日曜2,343人である。タイでは、サワポーン(カサタート大学教授)を代表とするタイ生活時間調査チームを結成し、このチームと協力して、バンコック市内に住む住民の調査を実施した。調査は2005年12月〜3月に実施された。回収された300世帯のなかで、調査に協力してくれた人は1,244人であった。なお、日本の調査は資金等の関係から、事例的な調査とした。調査の結果、ペイド・ワークの時間は男性の方が長く、アンペイド・ワークである家事・育児の時間は女性の方が長く、インドネシア、タイにおいても性別役割分業は明確であった。ただし、ペイドワークにおいても、アンペイドワークにおいても、日本とは違う特徴があった。すなわち、女性がペイド・ワークに費やす時間は日本より多く、女性が社会的経済活動に参加しているが、家事の延長線上の小規模な生産活動が多く、インフォーマルな労働に多く携わっているという傾向があった。また、アンペイドワークにも、男性は日本より長く参画していたが、その内容は地域社会との交流に関わるものが多く、女性は炊事や洗濯などの家事雑事が多いなど、その内容に性による相違があることが明らかとなった。なお、これらの結果の一部は、2006年8月にデンマークで開催された国際生活時間学会で発表した。
著者
鷲田 豊明 大沼 あゆみ 坂井 豊貴
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の主要な研究成果は次のようにまとめられる。(1)複数の地域でお金を出し合って迷惑施設を建てる問題において,効率的かつ公平な意思決定を実現するゲーム理論的なメカニズムについて,実験により実際的な性能を検証した。(2)生物が狩猟される状況の下での狩猟許可証配分の効果を、密猟を考慮した場合に分析した。(3)温暖化対策において、国家間の相互関係が環境政策に与える影響をゲーム論とシミュレーション的手法によって分析した。
著者
酒井 孝司 坂本 雄三 倉渕 隆 岩本 靜男 永田 明寛 加治屋 亮一 遠藤 智行 今野 雅 大嶋 拓也 赤嶺 嘉彦 小野 浩己
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では,複雑な事象を総合的に評価する必要がある住宅の温熱環境を対象に,非定常気流・温熱環境解析手法を用いたバーチャルハウスシミュレータの開発を行った。異なる暖房方式を採用した居室の定常・非定常温熱環境の実測を行い,検証用データベースを作成した。実測を対象に各種解析モデルを用いて解析を行い,実測と比較して精度を検討した結果,本研究で開発したシミュレータが住宅の温熱環境評価として実用的な精度を有することを示した。
著者
高木 博志 伊従 勉 岩城 卓二 藤原 学 中嶋 節子 谷川 穣 小林 丈広 黒岩 康博 高久 嶺之介 原田 敬一 丸山 宏 田中 智子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

日本における近代「古都」を、歴史学・建築史・造園史などから学際的に研究した。奈良・京都・首里といった古都と、岡山・名古屋・大阪・仙台・江田島・呉・熊本など旧城下町や軍都とを研究対象とした。研究会の他に、各地でフィールドワークも実施しつつ、「歴史」や「伝統」と政治的社会的現実との、近代におけるズレや関係性を考察した。また学都や軍都などの都市類型も論じた。個別業績以外に、論文集『近代歴史都市論』を発刊予定である。
著者
尾崎 一郎 高橋 裕 濱野 亮
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

近時の日本の司法制度改革は、経済のグローバル化に応じた効率的な司法の実現や、法化した社会における人権救済の強化、市民の一層の司法参加といった、機能的要請との関係で説明される側面以外に、自律的・安定的・均衡的に発展してきた「制度」が歴史的展開過程において当該均衡を破綻させて大きく変化する瞬間を迎えることを指して新制度派歴史社会学がいう「断絶均衡」としての側面を有している。また、そうした歴史的コンテクストは「法文化」によって規定されている。
著者
福本 直之 永田 正義 菊池 祐介 花田 和明 宮澤 順一
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

磁化同軸プラズマガンであるコンパクトトロイド(CT)入射装置を用いて, CTプラズマを生成・加速し,ガスを注入したセルに入射する実験を行った.これで,荷電交換反応によりCTプラズマの中性粒子化を促進させ,高速ガスジェットの生成を試みた.その結果,現状では荷電粒子が一部に残るものの, CT速度相当の高速ガスジェット生成に成功した.これにより, CTプラズマと極超音速ガスジェットの選択的入射が可能となった.
著者
木下 俊則
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

植物の表皮に存在する気孔は、光合成に必要な二酸化炭素の取り込みや蒸散、酸素の放出を調節し、陸生植物の生存に必須の働きを担っている。しかしながら、気孔の開口や閉鎖がどのようなシグナル伝達を経て引き起こされているかは、未だ多くの部分が不明のままである。本研究では、青色光による気孔開口に着目して研究を進め、その分子機構の一端を明らかにした。また、この研究過程で気孔閉鎖との関連性、さらに閉鎖に関わる因子を発見し、その機能についても明らかにした。