著者
高橋 伸弥
出版者
福岡大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

ニュース音声を音声認識した結果に含まれる単語をキーワードとして検索したウェブ上の文書から音声認識用言語モデルを学習することで音声認識処理を高精度化することを試みた。その際、検索結果の文書内に含まれる単語の出現頻度を用いて計算した文書間の類似度により分類した結果から、元々の認識結果の信頼度を推定する方法を提案した。更に口語文章に含まれる長単位での定型表現をモデル化するためにネットワーク文法を自動構築する方法について検討し、高精度化のための手法を考案した。
著者
松永 和人 中西 裕二 片多 順
出版者
福岡大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

松永は,仏教が定着していない鹿児島県徳之島において,死の儀礼にかかわって「神葬祭」の研究調査を実施し,死者が死後神となるプロセスを分析した。当地において家内部には先祖神のみが祭られ,死者と先祖神とのかかわりにおいて死の観念上よくいわれている死の穢れということはいえず,死の穢れの概念は,本土と比較するとき,ムラの氏神に祭られている神その他外来神とのかかわりで認められるということがいえそうである。そのために,死の穢れの観念を神の種類との関係において分析的にみる必要があるということが研究調査の一つの結果である。片多は,人口100万人以上の社会としては世界一長寿である沖縄を調査地に,長寿の社会文化的要点を分析し,とくに健康と長寿を祝う沖縄に独特の儀礼を焦点に研究した。その結果,数え年85歳,97歳に行われる儀礼が,天寿を全うし安らかに死を迎える準備として機能していることが判明した。また,このような長寿儀礼は沖縄の伝統文化が生みだした人生終末期の儀礼であり,(1)仮葬儀の意味合いをもつ,(2)この機会に人々のつながりが再確認,再強化される,(3)長寿者の死への移行をスムースにする,などから長寿から死への通過儀礼としてとらえられることを提起した。中西は,沖縄において数え年の13歳から97歳まで12年毎に行われるトゥシビ-と呼ばれる年祝いの儀礼に注目し,中でも88歳のトウカチ,97歳のカジマヤ-の現地調査を行った。具体的には沖縄県北部の名護市と本部市をフィールドに,長寿を祝う儀礼についての民俗知識や観念についての聞き取り調査と参与観察を実施した。その結果,長寿儀礼の中に高齢者をめぐるコミュニティーの紐帯の強さを確認できた。しかし,その伝統が儀礼を家単位で行う傾向とともに弱体化する可能性を示唆した。また,長寿者に「アヤカル」という観念と行為を長寿以外の文脈でみていくことが今後の課題として残された。
著者
山田 正行
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第IV部門 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.253-266, 2011-02-28

本紀要に連載してきた「P.ブルデュにおける実践の社会教育的研究」や「アイデンティティと歴史の自己教育的研究」の発展を目指し,象徴的暴力と物理的暴力を統合して複合的暴力の概念を提出し,それを用いて,「ディスクールのゲーム」が広がるポストモダンの後の状況を批判し,自己教育の課題を提起した。In order to develop "Study of the Practice of P. Bourdieu for the development of Japanese Adult Education" and "Study of Identhity and History from the View-point of Self-education" appeared serially in this Memoires of Osaka Kyoiku University, I integrate the symbolic violence and the physical violence into the violent complex, criticize the situation after the post-modern in which "games of discourse" are growing, and raise the tasks of self-education.
著者
二宮 敏行
出版者
東京大学理学部
雑誌
東京大学理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.2-3, 1984-03
著者
本多 一郎 和田 道宏 阿部 知子 浅見 忠男 吉田 茂男
出版者
植物化学調節学会
雑誌
植物化学調節学会研究発表記録集 (ISSN:09191887)
巻号頁・発行日
no.35, pp.147-148, 2000-11-02

To obtain novel mutants of barley (Horderum vulgare L), heavy ion irradiation were conducted. Both imbibed and dry seeds of barley (Kanto Hadaka No.77) were irradiated with 5-400 [gray] of dose by heavy-ion beam (^<14>N; 135MeV/u) and cultivated on field. Severe growth inhibition were observed in over 10 and 200 gray irradiation in imbibed and dry seed irradiation, respectively. After harvesting M_2 seeds, an aliquot of seeds were sown to field, candidates of mutants were serveyed, and selected. After crossing, their F_1 and F_2 plant phenotype were examined, 3 dwarf lines which have ressesive allele were separated. These results suggest that heavy-ion irradiation is effective method to mutate barley.
著者
石崎 昌夫 本多 隆文 山田 裕一 中川 秀昭 櫻井 勝 櫻井 勝
出版者
金沢医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

欠勤日数・回数は低職位群が高職位群より多く、この職位による傾斜は強固なものであった。また、短期間欠勤はその内容によってはストレスコーピングの役割を果たしていると思われた。自己評価による仕事パフォーマンスは職位よりも仕事要求度といった職場環境に強く影響されると考えられる。
著者
谷村 晋
出版者
長崎大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

いわゆる小児科医不足は深刻な社会問題であるが、小児科医総数で見るとむしろ微増傾向にあり、地理的偏在などにより小児科医への受療機会が不均等になっていることが問題の本質であると考えられる。我々は、街区面積に対する小児人口密度と小見科医療機関の分布は非常によく一致していた一方で、小児人口が多いが近隣に小見科医がいない地域がいくつかあることを示した。しかし、医療機関には診察時間があり、常にアクセスできるわけではない。そこで、診察時間に基づく時間帯別アクセシビリテイマップを作成し、アクセシビリティの曜日別時間的変動を検討した結果、月火水金の診察パターンはほぼ同様であったが木土日は他の曜日とは異なるパターンを示した。月曜日の受療可能な小児医療機関の数は、0:00-6:00は1、6:30-7:30は0、8:00は2、10:00は83、12:00は30、14:00は71、16:00は79、18:00は8、18:30-19:30は0、20:00-24:00は1であった。アクセシビリティ指標が高い(アクセスが悪い)地域は、朝と夕方ではパターンが異なったが、一日を通じでアクセスの悪い地域も見られた。少数の医療機関が診察している時間帯では、その医療機関の地理的分布によつてアクセシビリティの分布が大きく異なるため、近隣の医療機関において診療時間を相互に調整することにより全体のアクセシビリティが向上する可能性が示唆された。6:30-7:30及び18:30-19:30は、どこも診察をしていないため、共働きの家庭が子供を診察に連れて行く際には困難が伴うことが予測された。本研究は、住民側の受療機会に着目した医療計画評価手段を提案するものであり、今後の小見科医不足問題に貢献するものと考えられる。
著者
倉方 健作
出版者
日本フランス語フランス文学会
雑誌
フランス語フランス文学研究 (ISSN:04254929)
巻号頁・発行日
no.91, pp.127-139, 2007-09-20

L'ordre chronologique incertain des oeuvres de Rimbaud et ses rapides evolutions posent un probleme majeur, lorsqu'on cherche a identifier les influences poetiques reciproques entre Verlaine et ce dernier. Avant leur rencontre, Rimbaud a connu une telle evolution, attestee par ses <<lettres du Voyant>>et le rejet de ses premiers poemes, evolution dont Verlaine devait avoir connaissance. Dans une lettre a Rimbaud datee du printemps 1872, Verlaine lui demandait de lui envoyer ses <<prieres nouvelles>>ainsi que ses <<vers anciens>>. Il s'est donc rendu compte de la rupture entre deux periodes de la production rimbaldienne, bien avant son eventuelle lecture des <<lettres du Voyant>>. Verlaine avait une predilection pour certains poemes de Rimbaud ecrits avant leur rencontre. Du <<Bateau ivre>>, il a apprecie le <<debut imprevu, sans phrase, sans Il y avait une fois>>ou l'enonciateur s'identifie au bateau. La poetique des Romances sans paroles, dont l'impersonnalite sollicite l'empathie du lecteur, tient de cette caracteristique. Dans la deuxieme <<Ariette oubliee>>, l'enonciateur <<en delire>>devient <<une espece d'oeil double>>ou <<tremblote l'ariette de toutes lyres>>. Ce meta-poeme qui fait fonction de cadre du recueil nous revele ainsi une nouvelle poetique. Cependant, ce poeme, dont le titre initial etait <<escarpolette>>appartient en meme temps a l'univers de Watteau, des Fetes galantes. On voit donc que Verlaine n'a pas simplement repris la poetique rimbaldienne, mais qu'il l'a integree a sa poetique propre. Comme l'affirme Claude Cuenot, <<il n'a <<rimbaldise>>que pour devenir plus verlainien et se reveler a lui-meme>>.
著者
上田 祥行 齋木 潤
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.332, pp.33-37, 2007-11-12
参考文献数
7

視知覚は聴覚入力によって変容することが広く知られている。その一方で、聴覚以外の感覚からの入力が視知覚に与える影響についてはあまり報告されていない。そこで本研究では心理学的逆相関法を用いて、触覚に入力された刺激が視知覚に与える影響を検討した。実験では、視覚に光点刺激を2度呈示し、それと同時に触覚に反力刺激を与えた。実験協力者の課題は、2度呈示された光点刺激のどちらが明るいのかを判断することだった。光点刺激と反力刺激の強さは無相関であることがあらかじめ教示されていたにも関わらず、触覚に強い反力刺激が入力されると、協力者は光点刺激の明るさを実際より有意に強く知覚した。この結果は触覚の入力によって視知覚が変化することを示唆している。
著者
牛尾 禮子 郷間 英世
出版者
吉備国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

在宅重症心身障害児(者)の療育を行う中で、母親のストレスに注目した「療育相談モデル」の開発研究に取り組んだ。方法 : (1)全国の主な通園拠点事業施設を訪問し、療育内容について聞き取り調査を行った。(2)通園施設の母親から療育に対する満足度についてアンケート調査を行った。(3)重症心身障害児施設を有する全国の国立療養所に対して、在宅支援および養育者への支援状況などに関するアンケート調査を行った。(4)国立療養所A病院に療育外来を開設した。(5)母親支援として個別相談・グループカウンセリング・ノート交換などを試みた。成果 : アンケート調査結果ではスタッフの在宅支援に対する意識の高まりが見られるが、母親支援を重視し、実際的に機能している施設は皆無であった。また母親自身の満足度は低い。本研究者らが母親支援を重視した療育外来を行った成果として、母親が自覚した変化は、(1)精神的な安定感(明るくいきいきとしてきた・気分が軽くなった・楽しみができた・安心感がある・子どもと離れることができるようになった・子どもに余裕をもって接することができるようになった、など(2)身体的な変化(体調がよくなった)(3)福祉サービスが気軽に利用できるようになった。さらに、母親たちの協力体制の確立、自己の生き方や養育姿勢、および社会に関心を示すようになり、主体的な生き方が志向できるようになってきた。結論 : 養育者である母親の心身の安定は、子どもの養育に決定的な影響を与え、QOLを高めることになる。療育は、具体的な母親支援を機能させ、療育に包括させなければならない。
著者
細田 亜津子 左海 冬彦 左海 冬彦 細田 亜津子 高橋 彰夫
出版者
長崎国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

研究成果の概要(和文):「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の一つである五島列島は、美しい景観と文化的景観を有している。しかし島の過疎化と高齢化は進んでいる。今後世界遺産登録後に予想される交流人口の増加は、この問題の解決になる一方、保全については島の人たちが将来担っていく必要がある。そのため島の異分野の老若男女の人々が交流しネットワークを作ることができた。島の景観と世界遺産を保護しながら自分たちで島の将来と町づくりを担っていく基礎を、島と島の地域間、人と人が協力してつくることができた。
著者
若松 勝寿 堀井 憲爾
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.49, no.7, pp.468-476, 1993-07-01
参考文献数
14

本論文は雷鳴の発生と伝搬、ロケット誘雷実験による雷鳴の観測法及び雷鳴解析による雷放電路の再現方法について述べている。雷鳴に含まれる特徴音を使用し、短い時間窓の相関解析から雷撃点近傍の雷放電路を詳細に再現し、最終電撃距離や雷撃進入角度が求められることを示している。自然雷の雷鳴に近い継続時間の長い雷鳴では、ゼロ交差数から相関解析の時間窓を決定して雷放電路を連続再現している。また、多重雷では支配的な雷鳴を形成する雷鳴から再現できることを示している。
著者
茂出木 敏雄
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.8, pp.1-6, 2009-10-26

既開発の音響信号から MIDI 符号に自動変換するツール 「オート符」 では、音声信号を与えると、標準的な MIDI 音源で近似的に音声を再現可能な MIDI データを生成できる。本ツールを応用して、日本語約 70 音節が単独に録音された音響信号を準備し、各々を MIDI コードに変換した音節 MIDI コードのデータベースを構築し、更に、各音節を子音部と母音部の MIDI コードに分離した 20 種の音素 MIDI コードのデータベースを構築した。本稿では、先ツールに対して時間分解能を改善する手法について提案し、カナテキスト入力により MIDI 楽器音を基本とした音声合成機能を実現するための音素 MIDI コードのデータベース設計ツールについての開発事例を報告する。Using our previously developed audio to MIDI code converter tool "Auto-F", from given vocal acoustic signals we can create MIDI data, which enable to playback the voice-like signals with a standard MIDI synthesizer. Applying this tool, we are constructing a MIDI database, which consists of previously converted simple structured MIDI codes for a set of Japanese syllable signals and also separated consonant and vowel phoneme signals. In this paper, we propose an improved MIDI converter tool which can produce temporally higher-resolution MIDI codes. And we propose a design tool of a set of phoneme MIDI-code database in order to realize a novel voice synthesizing system based on harmonically synthesizing musical sounds, which can generate MIDI data and playback voice signals with a MIDI synthesizer by giving Japanese plain (kana) texts.
著者
林 康弘 斎藤 信男 小松川 浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.31, pp.37-42, 2004-03-18
被引用文献数
1

近年,地域コミュニティが抱える少子高齢化や核家族化による地域コミュニティ特有の問題に対し,地域通貨が注目されている.本論文では,自治体程度の大きさの地域コミュニティにおいて,既存の地域コミュニティ支援システムを活用し,地域通貨の流通を図るコミュニケーション・フレームワークを提案する.また,実際に地域で運用されている支援システムに提供し,実証実験を行った.その結果を示す.Recently, most of Japanese regional communities have common problems for the decline of the regional activity due to age structures and family patterns. The local currency is expected as an effective tool to encourage voluntary activity through knowledge sharing in the community. We study a framework of local currency that targets the circulation on the information-based information system supporting social community service for residents. We examine our model through the case study using a conventional Web-based system and confirm the effectiveness.
著者
江口 一久
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

フィールドワークの前後、国内においては、現地で収集された資料を文字化した。文字化されたものは、そのモチーフ、話型などの比較をおこなった。同時に、すでに出版されているマンダラ山地民の社会・文化にかかわる書籍、研究論文などをよみ、今後の問題点をあきらかにした。そのうち資料としてまとまりのあるマタカム族の民間説話の「コイネー・フルフルデ語」のテキストを完成し、その英文のレジュメを作成した。この資料に関しては、北部カメルーンのフルベ族の民間説話との比較研究をおこなった。また、このテキストをもって、フィールドにのぞんだ。フィールド調査は、二度、雨期明けの一月から二月にかけておこなった。フィールド調査では、西部のマンダラ山地民、すなわち、マンダラ、マダ、ムヤン、ズルゴ族などの資料もあつめた。トコンベレ、モラ、マルアなどで、インフォーマントから直接民間説話の収集をおこなった。かれらのフルフルデ語学習歴をしるために、民間説話と同時に語り手たちのライフストーリーもあつめた。北部カメルーンの都市だけでなく、マンダラ山地民の出身地の村落なども、物質文化や精神文化をしるために、訪問調査をおこなった。とくに、イスラム化されていないかれらの村落には、さまざまな民間信仰につかわれる事物があるので、そういったものには、注意をはらった。帰国後、ある種のものに関しては、内容を理解するのが困難だから、収集した民間説話は、現地において、文字化の一歩手前の状態、すなわち、外部のものには、わからない表現、とくに、歌などの徹底的な聞き取りをおこなった。いままで、収集整理された資料を方向所としてまとめて、国立民族学博物館調査報告として、出版の準備をすすめている。この研究で得られた資料は、データ・ベースとして、インターネットで公開する予定である。