著者
小池 三奈子 粕谷 英樹 菊地 義信 堀口 利之
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

韻律制御可能な電気式人工喉頭(Pitch controllable electrolarynx ; PC-EL)の訓練プログラム開発とPC-ELによる発話(PC-EL音声)の評価を行った.訓練は,平板型4モーラ単語から始め,アクセント句,イントネーション句,文と進め,ピッチ操作に慣れた段階で,抑揚型アクセントの語を訓練した.2週間の訓練で,7名中5名が自発話で訓練目標を達成した.訓練後のPC-EL音声はピッチ固定型電気喉頭(PF-EL)の音声と比較して,より肉声に近いと評価された.
著者
佐野 正博
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、マイクロプロセッサーの開発とパーソナル・コンピュータ技術の歴史的発展が相互に関連しあいながら歴史的に発展してきたプロセスを技術史的視点および技術論的視点から実証的に分析することを通じて、イノベーションの歴史的構造、および、技術の歴史的発展構造の解明をおこなった。まず総合技術史に基づく長期的視点から計算機技術の歴史的発展の流れにおけるマイクロプロセッサー技術の歴史的位置づけをおこなうとともに、マイクロプロセッサーという製品が持つ特殊性の解明をおこなった。すなわち計算機技術の歴史的発展におけるcalculatorとcomputerへの分化、それぞれの時代における上位市場と下位市場の編成のあり方という視点から、計算機技術の歴史的発展をマクロ的視点から取り扱うことで、世界最初のマイクロプロセッサー4004が「電卓生まれのマイクロプロセッサー」として歴史的に登場した理由を解明するとともに、パーソナル・コンピュータ用CPUとしてマイクロプロセッサーが利用されることになることの歴史的意味の分析をおこなった。マイクロプロセッサーのこうした用途は、一部の専門家を別として最初から広く社会的に認識されていたわけではない。そのためマイクロプロセッサーを利用した製品は、どちらかといえばMarket-oriented型ではなく、Technology-oriented型の製品イノベーションとなっていることを論じた。パーソナル・コンピュータの製品イノベーションに関しても、市場の需要というよりは、ムーアの法則にしたがってパラノイア的にマイクロプロセッサーの集積度向上を追求するインテルなどの研究開発によるマイクロプロセッサーの技術的発展が、パーソナル・コンピュータの製品イノベーションを根底的に規定してきたことを明らかにした。
著者
鈴木 広光
出版者
奈良女子大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2004

平成17年度研究実績は以下の通りである。1.平成16年度に高精密デジタル画像化した嵯峨本『伊勢物語』(慶長13年初刊本)の印字と版面に写り込んだインテル・クワタの痕跡から以下の事柄が判明した。該書の印刷に使用された木活字は縦12・6mm、横14.2mmを全角とし、縦寸法2〜4倍に規格化されたものである。(2)組版はベタ組みである。(3)インテルの幅は2.6mmである。これらのデータをもとに、2DビジュアルCGによる組版想定図を作成した。2.該書の印字悉皆調査をコンピュータ上で行い、印字の精細な異同識別によって、使用された木活字が2130種にのぼることが判明した。この印字悉皆調査の結果を「印字標本集」として、本研究課題の研究成果報告書に公開した。3.研究協力者高木浩明を中心に、嵯峨本『伊勢物語』初刊11伝本の全丁調査を行い、部分異植字という組版上の特色とその具体的異同状況を明らかにした。この成果も研究成果報告書に公開している。4.上記の研究成果を、「嵯峨本『伊勢物語』の活字と組版」と題して、日本近世文学会平成17年度秋季大会(於奈良女子大学、2005年11月5日)で口頭発表した。この発表にもとづく論文を学会誌『近世文芸』に投稿した。5.コンピュータを用いた書誌学、印刷史研究の方法の開発について、開発協力者津田光弘(研究協力者)と連名で、「嵯峨本『伊勢物語』の木活字及び組版分析モデルに関する報告」と題して、第11回公開シンポジウム・人文科学とデータベース(2005年12月3日,於大阪樟蔭女子大学)で口頭発表した(発表者はプログラム開発者の津田)。
著者
大津 定美 田畑 理一 堀江 典生 雲 和広 石川 健 アンドレイ ベロフ 武田 友加
出版者
大阪産業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

ロシアの経済成長の中長期的な制約として、人口減少・人手不足があげられているが、行政や企業現場での調査によって、労働力需給関係は質と量の両面で、ロシア特有の問題を抱え、複雑な構造になっていることが判明した。近年の経済成長の結果、貧困が減少したとは言えず、他方外国からの「安価な移民労働」への依存が大きくなる。他方、雇用や社会政策面での地域格差が拡大するメカニズムが明らかにされたが、労働市場の制度不備や機能・効率の面でもロシアが抱えている問題は大きい。
著者
サーラ スヴェン 川喜田 敦子 工藤 章 田嶋 信雄 ヴィッピヒ ロルフハラルド 加藤 陽子 石田 勇治 萩谷 順
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、近代日本とドイツの関係史において、両国の相互イメージの形成とその形成要因、そして、このような相互イメージが二国間関係に与えた影響を明らかにしようとするものであった。2010・11年の日独修好150周年の催し物として、この研究をまとめる国際会議が2010年12月に行われ、20人の研究者が日独相互イメージを分析し、そのイメージを表象する視覚的資料を紹介した。なお、日独関係史の研究者のネットワークが深化された。日本とドイツは現在では、強い友好関係で結ばれているとはいえ、過去には、両国のメディアにおいて歪曲された他国のイメージが浮かび、そして、現在でも浮かぶことが明らかになり、多様な啓蒙活動の必要性が指摘された。
著者
坂井 修一 五島 正裕
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

次世代省電力マイクロプロセッサの実現に向けて、次のような成果を得た(主な成果のみを記す)。ベースとなるマイクロプロセッサのサイクルレベルシミュレータを、チップ・マルチ・プロセッサ方式とクラスタ型スーパスカラ方式の2種類について作成した。次に、省電力要素技術として、システムレベルにおける低消費電力化技術の研究と、低消費電力のソフト・エラー対策の研究を行った。システムレベルにおける低消費電力化の要素技術として、(1)分岐予測器を利用したホット・パス検出器の開発、(2)Signatureに基づくプログラム・フェーズ検出の改良、(3)OSのサポートによるスレッドレベル並列の動的見積もり、(4)オンチップ・バスの直列化による電力削減、(5)チップ・マルチ・プロセッサの不均質キャッシュ共有などの研究を行い、それぞれ詳細レベルシミュレーションなどによって性能と省電力の両立が示され、これらの有効性が検証された。低消費電力のソフト・エラー対策として、(1)縦横パリティーを利用したキャッシュでのソフト・エラー対策、(2)連想メモリにおけるソフト・エラー対策、(3)ソフト・エラーとプロセスばらつきの対策などの研究を行い、それぞれCADによるデザインや詳細レベルシミュレーションによって、プロセッサの低消費電力化と高信頼化が両立する技術の確立に成功した。以上を総合して、次世代プロセッサにおける省電力化・高性能化の方法論を知見としてまとめあげることができた。
著者
四日市 章 河内 清彦 園山 繁樹 長崎 勤 中村 満紀男 岩崎 信明 宮本 信也 安藤 隆男 安藤 隆男 前川 久男 宮本 信也 竹田 一則 柿澤 敏文 藤田 晃之 結城 俊哉 野呂 文行 大六 一志 米田 宏樹 岡崎 慎治 東原 文子 坂尻 千恵
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

研究成果の概要 : インクルーシブ教育を理論的・実践的両側面から捉え、国内外の障害に関する理念・教育制度の展開等について歴史的に解明するとともに、特定地域の幼児・親・教師を対象として、障害のある子どもたちのスクリーニング評価の方法の開発とその後の支援について、長期的な研究による成果を得た。
著者
長江 美代子
出版者
滋賀県立大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

この研究では、質的記述的研究方法を用いて、日本の社会にみられる夫婦間暴力について、夫から妻への暴力という行動の背景を調査し、社会文化的にこの暴力行動を規定しているとおもわれる筋書きをみつけ、描写説明した。3つのエコロジカルモデルを統合して「日本文化における夫婦間暴力(IPV)のスクリプト」の概念枠組みを作成した。4つの主要概念(状況要因、夫婦行動、夫婦間コミュニケーション、IPV維持継続要因)と3つの側面(個人、対人、社会文化)に基づく面接ガイドにより、11名の女性IPV被害経験者に半構成的個人面接を実施した。1.男性加害者の参加者がまだ得られていないが、女性被害者11名のデータを、夫婦間の関わりに焦点をあてて分析した。分析はイリノイ大学研究者との共同作業ですすめ、論文として完成させた。内容分析により、IPV行動に影響している日本文化に共通する3つのビリーフ(信念):1)妻は夫に付随する、2)女性のする仕事(役割)は男性の仕事(役割)ほど価値がない3)IPVは妻が原因、が抽出された。2.日本社会における夫婦間暴力に関して、女性の視点を反映した包括的な文化的スクリプトを提供した。また、以下が今後の効果的な夫婦間暴力介入プログラムの考案にむけての課題である。・男女平等の文化的ビリーフを養うためには、地域に根ざした学童年齢からの教育介入が必要である。・より包括的なスクリプトを描くには、将来の研究では、男性の視点や家族の視点を入れ込むことが必要である。・継続して男性加害者の視点を取り込めるように研究デザインを考慮し今後の研究課題としたい。
著者
渡辺 義明 只木 進一 渡辺 健次 江藤 博文 大谷 誠
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、佐賀大学で開発しキャンパス全域で運用しているネットワーク利用者認証システムOpengateを基に、改良を行った。1.IPアドレスに基づいてネットワークの開放と閉鎖を行っているため、IPv6通信に対応するには、利用端末のIPv4とIPv6との両アドレスを検知する必要があったが、これを実現する仕組みを工夫してIPv4/IPv6両対応とした。2.利便性と安定性の向上のために数多くの改訂を行った。例えば、XML形式の設定ファイルで統一的に制御できるようにした。また特別な設定を必要とする利用者に対する別設定ができるようにした。さらに汎用な及びセキュアな認証プロトコルも利用できるようにした。3.従来は利用終了の即時検知を実現するためにJavaAppletを利用していた。しかしJavaVMが標準実装から外れるようになったため、JavaScriptがAjax処理を繰り返してサーバとの間にTCPコネクションを維持する方式を考案し実装した。4.Java Servlet環境を利用してOpengateと同様な基本機能を実装した。結果として充分に代替できるシステムとなりうることが分かった。実運用システムの実現は今後の課題である。5.開発システムをオープンソースプログラムとして公開した。また導入利用者や開発協力者の利便性を図るため、プロジェクトをSourceForge.netに登録した。国内外に導入事例が広がっている。
著者
本橋 令子
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

網羅的タンパク質解技術(プロテオミックス)を利用し、葉緑体からクロモプラストへの分化に関与するタンパク質を同定することを目的に実験を行った。まず、成熟段階の異なるマイクロトム果実(緑、黄、オレンジ、赤)よりプラスチドを単離し、各ステージのプラスチドタンパク質をLC-MS/MSを用いたショットガンプロテオーム解析により約440を同定した。2番目に、白、黒やオレンジ色の果実を持つ変異体や栽培系統を集めた。2次元電気泳動法により、それら果実のクロモプラストのプロテオームデータを野生型のマイクロトムの4つのステージのプロテオームデータと比較し、クロモプラスト分化や成熟、果実色に関与するタンパク質を同定中である。
著者
南里 豪志
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

IPv6対応インターネットとMyrinetで構成された階層型クラスタ向けにRMA機構を開発するとともに、通信最適化技術を開発した。また、ソフトウェアで制御されたキャッシュメモリシステムをRMA機構上に構築して、有効性を確認した。
著者
相原 玲二 岸場 清悟 近堂 徹 西村 浩二 田島 浩一
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

移動するコンピュータから複数の相手端末に対し同報通信を行うことができる移動透過マルチキャストとして、IPモビリティ通信方式から得られるIPアドレスなどのネットワーク情報を積極的に活用する移動透過アプリケーションレイヤマルチキャスト通信方式を提案した。研究代表者らが過去に提案している移動透過通信方式を、マルチキャスト通信が可能となるよう拡張し、その具体的な実装設計、プロトタイプ作成および性能評価を実施した。
著者
岡本 康雄 新宅 純二郎 桑田 耕太郎 玉木 欽也 周佐 喜和 ちょ 斗燮 MASUDA Kazuo SAITO Junichi CIBA Shin OKANO Yayo YANO Kumiko
出版者
文京学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

われわれは、日本製造業の競争優位を分析するに当って、エレクトロニクス産業を主要対象に選ぶこととした。何故ならこの産業は、1980年代半ばまでは、全体として高い競争優位を国際的に誇示してきたにもかかわらず、1980年代後半から90年代にかけてその優位をかなり低下させたと思われるからである。各種のデータは、その事をあきらかにしている。しかもこの様な状況をもたらした諸要因は、現在あるいは近い将来に他の産業においてもおこりうると推定されるのである。これに対し、日本企業の競争力に差をつけられていたアメリカのエレクトロニクス産業は、80年代後半から90年代にかけて国際的競争優位を復元するにいたった。これには色々な要因があるが、その主要な要因、少なくともその一つとして、エレクトロニクス産業に起こった顕著なモジュール化の動き、そしてこれにともなって生じた企業間水平分業の推進があげられる。すなわちモジュール-構成部品さらにそのサブ部品を統合するデザインルールが明示的に構築され、それが守られるならば、各企業は特定部品の開発・試作・生産に特化した開発・生産を行なうチャンスが生まれる。企業の資源がこのような特定部品の革新に集中し、競争が行なわれるならば、イノベーションの速度と水準は向上する。その一つの成功事例がインテルのMPUである。さらに多くのエレクトロニクス企業の製造活動を受託し、コスト低減を実現するEMS企業も生まれた。IBMは高付加価値半導体の生産を除くと製品開発・基本設計・サービスに専念し、製造の多くを外部に委託している。また台湾の製品設計企業と受託生産企業との柔軟な連繋システム、韓国財閥係企業にみられる戦略的投資と急速な技術力の上昇がめだっている。これに対し日本の大手エレクトニクス企業は、程度の差はあれ、部品生産を含む多分野の事業を営む、垂直統合型構造をつくりあげており、モジュール化の大きな流れと不適合状態を生み出している。またこの様な事業構造の下では、特定の事業に大規模な戦略的投資を適時に行なうことは容易ではない。それは80年代半ばまでの成功によって企業戦略の主要標的を日系企業におき、同型の戦略をいかに他社に遅れずに進めるかといった同調行動の慣性から中々抜け出せないことにもよっている。また製品寿命の短縮、開発スピード加速化、短期納入などの必要に直面しているにもかかわらず、企業組織面では、開発・設計・製造・マーケティング各機能内の連繋の弱さがめだっている。また海外事業拠点が発信している戦略的問題提起を柔軟にうけとめることができないといった、本社中心主義がめだっている。このような分析の上でわれわれは、競争優位再構築の可能性、国際経営の在り方についても一定の検討を加えた。
著者
長友 克広
出版者
弘前大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

中脳黒質網様部GABAニューロンは、高頻度に自発発火をしている細胞の1つであるが、その持続的な自発発火を支える制御機構は明らかではない。本研究では、「代謝」という観点から、急性単離ニューロンを用いて、細胞外グルコース濃度および温度を変化させた時、自発発火頻度がどのように変動するのか解析した。以前報告した脳スライスの結果と異なる結果などが得られ、ニューロンの自発発火はニューロン周辺環境の何らかの因子によって調節されていると示唆された。
著者
瀬戸 口剛 堤 拓哉 松村 博文
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

積雪寒冷都市では道路や歩道の公共空間の除雪に多大なエネルギーとコストを費やすため、CO2排出量を低減する都市デザインが求められる。本研究では札幌都心部を対象に、道路や歩道の公共空間の除雪負担を低減する、ECO街区を開発した。囲み型の街区形態が、必要除雪量および除雪エネルギー量が少なく、ECO街区として最適である。また、大規模再開発事業を対象に、環境評価を組み込んだ都市デザインプロセスを開発した。
著者
山本 正治 渡辺 厳一 中平 浩人 遠藤 和男
出版者
新潟大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

胆道癌死亡率の高い下越地域の新潟市と死亡率の低い上越地域の上越市で採取した水道水の突然変異原性の差を年間を通して比較検討を行った。水道水の採取は両市の各1給水栓にて行い、夜7時に勢い良く約10秒間排水した後、1日10lずつ採取し、各1サンプルとした。採水日は毎月第4週の水、木、金曜日の3日間とし、これを1年間実施した。更に溶出溶液を濃縮乾固後、DMSOに溶解して突然変異原性試験に供した。突然変異原性試験はAmes法(TA100,TA98)のプレ・インキュベ-ト法を用い、代謝活性化は実施しなかった。これまでに、3〜7月の試料と8〜10月の試料について分析を行った。その結果、フレ-ムシフト型のTA98株に対する突然変異原活性はほとんど試料で確認されなかった。一方、塩基対置換型のTA100株に対しては、新潟市の全試料が1l当たりの復帰コロニ-数が自然復帰コロニ-数の2倍を越えたのに対し、上越市では3月を除くほとんどの試料で2倍に達しなかった。新潟市と上越市の水道水1l当たりの復帰コロニ-数の平均は3月がそれぞれ392【plus-minus】75、253【plus-minus】91、7月が253【plus-minus】50、71【plus-minus】29といずれも新潟市の方が高い結果が得られた。また、その差は3月より7月の方が若干大きくなった。ただし、7月の上越市の試料は自然復帰コロニ-数の2倍に達しなかった。また、すべての月で突然変異原活性が確認された新潟市の水道水の変異原活性の大きさは3月から7月まで暖かくなるにつれて除々に低下していく胆道癌の死亡が多い新潟市の水道水の突然変異原性が、死亡の少ない上越市の突然変異原性より強かった。そこで、原因物質の同定など、胆道癌発生との関わりを、より分析的方法で進める必要がある。
著者
土屋 基 鈴木 勝彦 井上 忠夫 樋口 和洋 三野 大來
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

中学・高校・大学等に通う女性約8,000名のうちの約3割が「手足双方の冷え」(冷え性)を自覚し、別の約3割が「手または足の冷え」を自覚していた。全般に、中学から大学等へと就学段階が進むにつれて食生活、生活習慣、痩身意識、行動などが好ましい状況からかけ離れて行く傾向が見られた。この傾向は、大学等学生の冷え性率(冷え性自覚者の全体に占める割合)が中学生のそれよりも高く、また高校生のそれをはるかに上回っていることにも表れていた。冷え性の女性は、非冷え性の女性に比べて、先に触れた生活、意識、行動が芳しくないだけでなく、身体や精神に関する愁訴率も高いことが確認された。
著者
渡邉 信久
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

多剤排出系タンパク質の結晶構造解析を目指し,2年間で合計29種類のMFS,SMR,MATEタンパク質について大量発現系の構築を行った.単独発現系では黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)由来の多剤排出系QacAとNorA,コリネ菌(Corynebacterium glutamicum)由来CGL2611の3つについて発現,精製系を確立した.また本研究では単独発現の困難なものに対してMistic融合発現系の適用を試み,膜貫通ヘリックスが少ない小型のEbrA,EbrBの他に,13本のTetB,14本のLmrBについても発現を確認することが出来た.大量発現系を確立したQacA,NorA,CGL2611の3つについて詳細な条件検討を行なった.QacAの場合,透過電子顕微鏡観察からは,基質であるローダミン6G(R6G)の存在下で抽出・精製を行うとアグリゲーションを避けることが出来ることが分った.また,CD測定および示差走査熱量分析(DSC)の結果からはR6Gによって立体構造も安定化される傾向があることが示唆された.しかし,CGL2611に関しては,有意に構造を安定化する基質の情報が得られず,さらに,試料濃縮の際に界面活性剤DDMが問題となることが判明したため中断した.結晶化条件スクーニング実験はQacAとNorAに絞って実施し,これらの立体構造を壊さない5種類の界面活性剤と2種類の結晶化剤PEG400およびPEG3350の相分離点を決定し,初期スクリーニングの実施条件を決定した.蒸気拡散法の温度条件の変更やリピディックキュービックフェイズ法による結晶化を試みた結果,結晶様の析出物は得られたが,X線回折能を示す結晶を得ることは出来なかった.
著者
小谷 元子 塩谷 隆 新井 仁之 熊谷 隆 井関 裕靖 納谷 信 楯 辰哉 石渡 聡
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

幾何学と確率論の異なる分野の関わりを通じて、これまで扱えなかった特異性のある空間や離散的な空間の幾何学の新たな研究方法を開拓することを目的とし、ランダムウォークの量子版である量子ウォークや、非対称ランダムウォークの長時間挙動の幾何学的理解、ランダム群の固定点性質、Alexandrov空間のBishop-Gromov型の不等式、ランダムグラフの収束性などに関する結果を得て、発表した。
著者
酒井 憲司 浅田 真一
出版者
東京農工大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

1.温州みかん48個体データに関して実施した1998年〜2005年の収量アンサンブルデータを取得する。これに対して、RSMを用いた大域的モデリングを行い,さらに決定論的非線形予測の意味での1年先収量予測をいった.高精度の予測に成功し,ダイナミクスが有効に再構成されていることが確認された.2.また,データ集合の分布についても予測を行い,おおよその豊凶の予測が集団レベルでも可能であることが示されたが,大域的モデルでは精度向上が限界のようであり,局所モデルの必要性が認められた.3.上記で開発した手法をハイパースペクトルおよびマルチスペクトル画像に適用するためのアルゴリズムを開発した。ニューラルネットワークスを用いた,局所ダイナミクスの同定である.カリフォルニア大学から提供されたピスタチオ収量データについて適用し,有効性を検討した.4.代表的なカオス制御の手法であるOGY法を用いて,同定されたダイナミクスに適用した.良好に不安定平衡点を安定化することに成功した.5.研究成果発表のためのワークショップを,「カオス・複雑系の生態情報学」国際ワークショップと共催した。研究成果報告書を刊行した。6.研究協力者1)浅田真一:神奈川県農業技術センター・主任研究員(温州みかん栽培試験と葉内養分検出)2)Nikolay Vitanov:ブルガリア科学アカデミー教授(時空間データの非線形解析)3)Devola Wolfshon:デンマーク王立獣医農科大学准教授(画像解析による花数計測)4)Alan Hastings:カリフォルニア大学デービス校・環境・生態系学科・教授(生態系のカオス解析)