著者
南 裕子 新道 幸恵 中西 睦子 山本 あい子 片田 範子 井伊 久美子 高橋 章子 中島 紀恵子 中山 洋子
出版者
兵庫県立看護大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究の目的は、災害発生後の医療・看護ケア提供に必要な情報を蓄積し、かつ稼動可能な看護支援提供システムを構築することである。そのために研究活動は、1.資料・文献班2.災害拠点病院の現状調査、3.教育班、4.ネットワーク活動班、5.全体活動、で進め、以下の新たな知見を得た。1)災害関係資料・文献の収集・分析の結果、1995年発生した阪神・淡路大震災を境に質的・量的な変化が見られた。1995年以後は、被災者の体験や災害時の医療・看護の実態報告、マニュアル・テキスト、調査報告・研究論文等被災者支援を中心とした出版が増加していた。しかし、看護の視点で報告、考察したものは未だ少なかった。2)災害の種類や発災からの時期別等で検索できる災害看護文献検索システムを構築し、ホームページ上で公開した。3)看護職の需要が高い文献を調査し、「こころのケア」「発災時」各パッケージを作成した。4)災害拠点病院の看護部に対し災害への備えとしての準備状況を調査した。結果、看護部独自のマニュアルを作成している施設は半数に満たず、各施設の看護部間での情報共有が必要と考えられた。5)災害看護教育プログラムの開発に向け、看護教育者・臨床家と情報交換しつつカリキュラムモデルを作成した。6)災害時の看護ニーズを把握するために、災害発生地域の初期調査、初動調査、中・長期フォローアップ調査を実施し、災害時の看護ニーズアセスメントツール(精錬版)を作成した。7)ネットワーク活動メンバー対象の研修会の開催、研究成果の発表と国内外の看護職との情報交換を目的に、情報交換研修会、アジア諸国を中心とした災害看護国際会議を企画主催した。これらの研究成果から、災害看護関係情報の基地整備の必要性、国内外の看護職が災害看護ネットワークを構築することの有用性、災害看護教育の早期実施、普及の重要性が示唆された。
著者
橋本 樹明 澤井 秀次郎 斎藤 芳隆 稲富 裕光 石川 毅彦 小林 弘明 坂井 真一郎 山川 宏 吉光 徹雄 斎藤 芳隆 石川 毅彦 稲富 裕光 澤井 秀次郎 坂井 真一郎 吉光 徹雄 小林 弘明 藤田 和央 坂東 信尚 山川 宏
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2004

数十秒間の微小重力環境を中程度のコストで実現する手段として、高高度気球から微小重力実験装置を落下させ、自由落下中に微小重力実験を実施するシステムを開発した。飛翔実験にて10^<-4>G以下の微小重力環境を約35秒間実現し、今後の定常的運用に目処を立てた。
著者
川又 勝子 佐々木 栄一 澤畑 千恵子
出版者
東北生活文化大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

明治20年代から昭和20年代までに仙台地方で生産された染物である常盤紺形染に用いられた型紙(常盤紺型)と常盤紺形染以降に生産された浴衣・手拭いの型紙文様のデジタル処理(デジタルデータ化)を行った。破損している文様については電子的修復を加え、さらに、一部の文様については、自動カッターで型紙を複製する際に必要なデータへの変換を試みた。それらの成果の詳細については、『仙台型染資料集I〜III』にまとめた。
著者
市川 昭午 田中 雅文 屋敷 和佳 塚原 修一 結城 忠 荒井 克弘
出版者
国立教育研究所
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1990

高等教育の量的拡大に伴って、現在我が国の高等教育はあらゆる面で「大衆化」への対応に追われている。にもかかわらず、これまでの大学研究はなによりも「学問の府」としての大学が前提とされ、とかく学術研究や人材育成の問題に関心が偏りがちであった。といっても、大衆化がこれだけ進んだ最近では大衆化の問題にも関心が向けられなかった訳ではないが、それとてエリート大学、就中伝統ある国立大学に焦点が置かれていた。これに対して、我々は次のような認識に基づいて、この問題にアプローチしようとした。すなわち、今日の高等教育の問題は学術研究に劣らず国民大衆の教育問題である。大学の大衆化は在学者の8割近くを占める私学が中心的役割を果してきた。そうしたことからも窺えるように、我が国の高等教育大衆化には固有のメカニズムが存在する。むろんそれにはアメリカの後を追うという面があることは否定しないが、同時にアジア諸国と共通する面があるのではないか。そうした見地から、この研究では以下のことを研究課題とした。(1)高等教育拡大の全体像、特に大衆化の担い手となった私学の拡大メカニズムを明らかにする。(2)大衆化が我が国高等教育全体にいかなる影響を及ぼすかを吟味する。(3)大衆化に伴う教育並びに経営上の諸問題とそれに対する個別大学の対応を調査する。(4)諸外国、特にアメリカ及びアジア諸国との比較において大学大衆化の日本的特質を抽出する。個々のテーマの研究成果は本年度刊行された研究報告書『大学「大衆化」の日本的特質と大衆化大学の経営行動』を参照されたい。そこには日本ではじめて大学大衆化が論じられた1960年代とはだいぶ違った様相が確認できる筈である。そしてそれはアメリカともアジアの各国とも違う「日本の大学大衆化」を示している。
著者
喜多村 祐里 眞下 節 武田 雅俊
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

「痛み」の生物学的意義は、生体を侵害刺激から守るための「警告信号」であると考えられる。損傷や炎症の生じた部位の修復機構を促しながら、治癒までの期間、外界の刺激から遠ざけて効率的にかばうといった行動は「痛み」のおかげで誘発される。しかし、「痛み」が持続し慢性化することによって、脳の中の扁桃帯や前帯状回といった情動に関与する神経回路が活動し続けると、負の情動が形成されることになる。この負の情動は、「気分が落ち込む」「根気・集中力がなくなった」などの抑うつ感や、「よく眠れない」「目覚めがよくない」といった睡眠障害を引き起こし、やがて個人の社会的・生活機能をも低下させることにつながる。近年、「痛み」の研究は脳科学の進展とともにその歩みを早め、疼痛コントロールの重要性については、臨床家はもとより一般にも広く知られるようになった。本研究は、慢性疼痛における「痛み」、すなわち個人の主観的感覚に対して、「どのような治療的アプローチが考えられるのか」を模索する中で、プラセボ効果やカウンセリングといった心理的・認知行動学的アプローチの有効性について科学的根拠にもとづいた知見を得る目的で行われた。近赤外分光法(NIRS)やストレス関連物質であるコルチゾルおよびクロモグラニンの測定、また質問紙形式とVAS;visual analogue scaleによる痛みの主観的・客観的評価をさまざまな角度から行った。わずか2年間で得られた知見は、動物実験の結果や健常人による心理実験にもとづくものではあるが、このような基礎的研究を礎に大学内には「疼痛研究センター」が設立され、実際の臨床の場においてもこれらの知見が生かされるような体制が整いつつあることに、改めて大きな意義を感じている。
著者
三野 たまき 熊谷 哲
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

簡易被服圧測定器の開発:従来より丈夫な受圧部の測定器を開発した.血圧トランスデューサーはディスポーザブルで,圧媒体に水を選び,駆動電源は乾電池のハンディタイプの簡易被服圧測定器を組み上げた.全身の適正圧分布,圧迫が足部容積・皮膚温・血流量・呼吸運動に及ぼす影響を明らかにした.周応力発生時の"ちょうど良い"被服圧は,頸部・胸部・腹部では低く,下腿部・足首・前腕・手首・指等で高かった.
著者
廣安 知之 三木 光範
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

インタラクティブGA(interactive Genetic Algorithm : iGA)は,GAの評価部分を人間が評価することにより,人間の感性や嗜好といった数量化できない問題に対応することが可能である.本研究では,これまで単一目的のモデルとして定式化されてきたiGAに対して多目的モデルを提案し,多目的モデルに拡張する際の問題点の整理,検討,システム構築を行うことを目的とした.これにより,よりユーザーの嗜好に沿った解選択が可能となる.
著者
布施谷 節子 大村 知子
出版者
和洋女子大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

1)女子大生21名を被験者にして、昨年に引き続き浴衣の着崩れ実験を行った。これまでは一連の動作の結果としての着崩れを把握したが、今年度は動作の違いによる着崩れの特性を明らかにした。さらに対丈と二部式の着物を実験に加え、お端折の有用性を把握した。2)女子大生398名を対象に中・高の学習指導要領の新旧による製作実習教材の違いなどをアンケート調査した.その結果教材に差は見られず、いずれもエプロンが主流であった。製作品を活用しない者が多く、高校では約3割が実習未経験であった。高校では浴衣の製作が約15%みられた。さらなる教材開発の必要性を実感した。3)大学1年生31名を対象にミシンの操作実験を行った。その結果、上糸かけは正しくできた者は皆無、下糸巻きは約半数、下糸セットは約8割、下糸の引き出しは約8割の達成率だった。ミシン操作の指導を小・中・高校と工夫する必要性が示唆された。4)家庭科教育の中での福祉教育について、大学生37名を疑似障害者として着脱動作を行わせた。録画資料から身体上の6点の動作軌跡を検討した。その結果、着脱を行わせることが、障害者を理解させるためのシュミュレーションとして有用であることが明らかになった。5)本科研費を得て、伝統文化を理解させるための教材として浴衣を取り上げて、様々な角度から検討を行ってきた.授業での補助教材の開発や、指導法などを改善し、中学・高校での実習に伴う問題点を明らかにできた。また、浴衣の染色業者に提案し、中・高生が取り組みやすい浴衣教材が開発され、教育現場で使用され始めた。また、三次元動作解析システムを購入できたことから、浴衣以外の靴、ブラジヤー、パンツなどの着脱や動作性の研究手段として有効に活用できるようになり、研究の範囲が広がった。
著者
内藤 まりこ
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

平成24年度は、アメリカ合衆国ハーバード・イエンチン研究所において一年間在外研究を行った。当該研究所に併設されるハーバード・イエンチン図書館は、所蔵する東アジア地域に関する資料の量と種類の豊富さにおいてアメリカ有数の図書館である。こうした図書館の特性を享受するべく、報告者は滞在中に以下の3つの作業に取り組み、次のような成果を得た。(1)日本の大学及び図書館では入手することの難しい中国、韓国及びベトナム地域の資料調査:イエンチン図書館及びハーバード大学に付属するその他の図書館、ニューヨークのコロンビア大学付属図書館が所蔵する中国、韓国及びベトナム地域で記された資料及びそれらの地域に関する研究書・論文を調査し、〈七夕伝説〉に言及した資料を採集した。こうした調査の結果、当初予想していたよりも遥かに膨大な数の〈七夕伝説〉に言及する資料を見つけ出すことができた。とりわけ、中国大陸の口頭伝承を集めた資料群の調査からは、〈七夕伝説〉が非常に広大な地域において浸透し、現在も人々の生活規範の一つを形成していることが明らかになった。(2)日本の〈七夕伝説〉に関する資料の調査:イエンチン図書館及びハーバード大学付属サックラー美術館が所蔵する江戸期の刊本及び浮世絵の調査から、〈七夕伝説〉を主題とする活字資料及び絵画を見つけることができた。(3)〈七夕伝説〉に関する英語資料の調査:〈七夕伝説〉に関する英語による研究書・論文を収集した。その数はそれほど多くはないが、日本では見つけることのできなかった研究論文を集めることができた。また、1920年代にアメリカで記されたく七夕伝説〉を題材とする戯曲を発見し、アメリカにおける東アジア文化の受容という研究テーマを得ることができた。
著者
神成 文彦 山口 滋
出版者
慶応義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

1.有機薄膜の結晶性の改善に関する実験レーザーアブレーションによる有機薄膜形成時には,わずかな温度上昇によって著しいマイグレーションの改善が見られ,結晶性が改善される。銅フタロシアニン(CuPc)は,可視域に吸収を有するののでHeNeレーザーをわずか1mW/cm^2程度薄膜堆積時に照射することで基板上での薄膜形成過程に寄与し,結晶性が改善される。温度上昇効果は、結晶場による相互作用の強い場合には、その相互作用を増加する方向に働くので,配向性に優れた薄膜が形成される。有機分子のなかでも電気分極率の高い結晶は,基板上での薄膜形成時に電界方向に分極を揃えるように分子が動くために,配向を電界で変化できる。Si基板上に堆積したCuPcでは,電界極性に依存しない著しい結晶性の改善が観測された。しかし,基板の結晶場力が強く,分子配列に影響するような強い相互作用のある条件では、電界による配向の変化は少ない。2.薄膜の電気特性配向性の異なるCuPc薄膜の電気電気伝導率を測定したところ,アモルファス状の薄膜に対して,配向性の改善された薄膜は,面方向の伝導性に上昇が見られた。また,厚さ方向についてはアモルファス性の膜の方が数倍高い伝導性を示し,電界発光素子には適していることが判明した。そこで,アモルファス薄膜の中に部分的に結晶性の高い部分を作製し,電界発光パターンの近視野を観測したところ,まだこの程度の差異では輝度に変化をもたらすほど大きな電流分布にはなっていないことが判明した。
著者
上野 卓郎 早川 武彦 高津 勝 内海 和雄 尾崎 正蜂 岡本 純也 藤田 和也
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

3年間の研究成果の概要を示せば、以下のようになる。第1に、1990年を前後して、情報化社会の成熟と共に多国籍化した「メディア・スポーツ・生産複合体」(media-sport production complex)が「国際スポーツ機構」と提携し、スポーツのメディアイベント化・メディアソフト化を大規模で進め、トランスナショナルな体験の機会を地球的な規模で提供するようになった。その過程で、スポーツは世界共通の言語であるとともに、夢や感動を生み出す「グローバルドリーム」として受け入れられていった。第2に、その影響力は、国民国家やインターナショナルな境界を超え、個人や社会集団に直接・間接に影響を及ぼすようになった。第3に、そのような「スポーツのグローバリゼーション」とローカルなスポーツ文化の関係は、一方向ではなく、双方向的であり、互いに孤立したものではなく、相互に影響し合っていることが明らかになった。第4に、ただしヘゲモニーは「生産複合体」と「国際スポーツ機構」の側にあり、その影響力の浸透によって、スポーツの商品化と公共性の矛盾は複合化・顕在化し、ローカルなスポーツ文化主体の衰弱という事態も起こっている。第5に、そこには葛藤や主体的な営みも存在する。従って、「スポーツのグローバリゼーションとローカリゼーション」研究は、文化の伝播や変容、一方向的な変化の過程としてだけでなく、生活世界の変容・再構成を視野に入れて考察する必要がある。最後に、「研究成果報告書」の構成を示しておく。(1)グローバリゼーション・文化・スポーツ、(2)グローバリゼーションとメディア・スポーツ、(3)スポーツインターナショナリズム、(4)グローバリゼーションとローカリティ、(5)グローバリゼーションと政策・運動。
著者
松枝 睦美 岸田 佐智 益守 かづき 山本 あい子 新道 幸恵 嶋岡 暢希 増井 耐子
出版者
高知女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、妊婦が体験しているマイナートラブル(以下MTとする)に対する看護援助を開発することを目的として、平成11年度および12年度は文献検討を、また平成12年度から13年を中心に妊婦や助産師へのインタビューを、14年度はオーストリア・ウィーンでのマイナートラブルに関すると助産師へのインタビュー、さらにそれらの結果を基にして、作成した質問紙により、妊婦と助産師にアンケート調査をした。以上より、妊婦は当初考えていたより多くのMTの症状を抱えており、それに対する適切な対応方法も見つけられていなかった。そして、助産師に対して少しでもいいからMTに関する自分たちの訴えに耳を傾けてほしいという希望を持っていた。一方、助産師のMTに対する看護援助活動の問題として、MTを抱えている妊婦との関わりが短いためにその問題を充分に引き出せていないこと、たとえ援助が実施できても継続して関われず、自分のケアを振り返ることができないため、ケアの効果が充分に確認できていないこと、対処法が確立できていないMTが多いこと、症状のアセスメントが適切でない場合は異常を引き起こすことなど、が挙げられた。従って、妊婦に対するMTの看護援助として、傾聴し共感する姿勢をもつこと、妊娠によって生じる生理的現象の説明を行うこと、抱えている症状アセスメントを適切に行うこと、個別性(文化や時代背景も含めた)の違いを理解し尊重すること、妊娠週数による今後起こりうる問題の予測を行うこと、他職種との連携を密にすること、外来でのMTに対応できるためのシステム、例えばMTに関するパンフレットの作成や、仲間同士の交流の場の設定、助産師外来の常設等、を作ることが考えられた。今後は、各々の症状に対する原因の究明、およびそれへの具体的援助活動の開発が求められ、妊婦にとってより快適な妊娠期間となるような援助がさらに必要である。
著者
高木 裕宜
出版者
文京学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

今年度も研究テーマである会社文化についての資料、論文、文献等の収集、分析を行った。これらの資料から、特に会社文化のなかでも5S活動(整理・整頓・清潔・清掃・躾)について、さらに日本国内での歴史的経緯を分析し、第2次対戦後に定着していると考えられた5S活動は、工場内の衛生運動や安全運動との関連で戦前にもかなりの程度確立していたことを確認することができた。研究テーマに関連する企業に対しては、日本国内においては、昨年度に引き続き、日本本社、特に国際事業関連の業務を遂行する部署への訪問し、会社文化に関する訪問調査を行った。この中で、海外事業に関する現状や、日本本社からの派遣社員による会社文化の海外への移転がはかられていることや、海外子会社での現地採用従業員についての日本国内での教育訓練を通じた関係等によっても、会社文化の移転が行われていること等の制度や実態について把握することができた。さらに、中国の海外現地子会社へ訪問調査し、特に現地派遣社員や現地採用のマネージャークラス等に対して聞き取りを実施した。海外現地子会社では、5S活動や類似する活動の具体的実施方法、内容、評価制度等について確認し、その他には、運動会(スポーツ大会)や新年会、寮生活、食堂等への実態についての把握をつとめた。さらに、研究テーマに関連する事項として、新人教育体制から訓練、研修内容や、階層別の訓練等の教育制度、各種評価によるインセンティブ制度、QCサークル活動、表彰制度等についても調査を行った。これらの調査により、日本本社で実施されている、または、されていた会社文化が移転されていること、実施方法については、日本本社よりも「目で見える管理」を実施し、強化されていることや、チームへの管理よりも従業員個人への評価への程度が高いこと等の日本国内と異なる点について、また日本本社にはない事項が存在していることが確認された。
著者
須田 牧子
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

本年度においては、第一に、昨年度に引き続き、入明記諸本の検索を行ない、可能であれば原本調査を行なうとともに、その写真を入手し、伝来を含めた書誌情報の確定に努めた。この作業の結果、入明記の悉皆調査はほぼ完了し、良質な写真の入手あるいは撮影にっいても、修理中・貸出中であったものを除いては完了することができた。第二に、『笑雲瑞訴入明記』(1453年に明に渡った遣明船の記録)について、数種類の写本の伝来を確定し、各写本の字句の異同を全て確認のうえ、翻刻を完成させた。加えて、この翻刻の読み下しを作成し、昨年度・本年度の現地調査の成果をも盛り込んだ詳細な注釈を施した。以上の成果は解題を付し、単行本として出版すべく具体的に準備している(出版社決定済)。また本研究で得られた史料学的な成果については、「『笑雲瑞訴入明記』の書誌的検討」と題し、2008年7月に浙江工商大学日本文化研究所で行なわれる国際シンポジウム「東アジア文化交流-人物往来」で報告予定である。第三に、日明関係に深く関与し、入明記の伝来とも関係の深い大内氏についての基礎的な研究を進め、その成果の一部を公表した。現地調査としては、まず韓国沿海部・島嶼部の日・明・朝関係史跡の踏査を行ない、また中国北京市の中国第一歴史档案舘を訪問して中国の史料保存の実態に触れるとともに、第一歴史档案館が所在する故宮の見学をし、入明記に記載される一つ一つの門・建物を詳細に確認した。これら現地調査の結果は直接的には、『笑雲瑞訴入明記』の注釈という形でまとめられ、間接的には、現在進めているほかの入明記の内容分析に活かされている。
著者
安浦 寛人 村上 和彰 黒木 幸令 櫻井 幸一 佐藤 寿倫 篠崎 彰彦 VASILY Moshnyaga 金谷 晴一 松永 裕介 井上 創造 中西 恒夫 井上 弘士 宮崎 明雄
出版者
九州大学
雑誌
学術創成研究費
巻号頁・発行日
2002

本研究では,システムLSI設計技術を今後の高度情報化社会を支える基盤情報技術ととらえ,システムLSIに十分な機能・性能・品質・安全性・信頼性を与えるための統合的な設計技術の確立を目指す.1.高機能・高性能なシステムLSIを短期間に設計する技術では,無線通信機能を有するシステムLSI設計技術の研究を行い,シリコンチップ上にコンパクトで安定なRFフロントエンドを実現するためにコプレナー線路を通常のCMOSプロセスで形成する技術を確立した.また,新しい可変構造アーキテクチャとしてSysteMorphやRedifisプロセッサを提案し,それに対する自動設計ツールとしてRedifisツール群を開発した.2.必要最小限のエネルギー消費を実現する技術としては,データのビット幅の制御,アーキテクチャの工夫,回路およびプロセスレベルでのエネルギー削減技術,通信システム全体の低消費エネルギー化設計手法などを構築した.3.社会基盤に求められる信頼性・安全性を実現する技術としては,安全性・信頼性を向上させるための技術として,ハッシュ関数や暗号用の回路の設計や評価を行った.また,電子投票システムや競売システムなどの社会システムの安全性を保証する新しい仕組みや,セキュリティと消費電力および性能のトレードオフに関する提案も行った.4.社会システムの実例として,個人ID管理の仕組みとしてMIID(Media Independent ID)を提案し,権利・権限の管理なども行えるシステムへと発展させた.九州大学の全学共通ICカードへの本格的な採用に向けて,伊都キャンパスの4000名の職員、学生にICカードを配布して実証実験を行った.本研究を通じて,社会情報基盤のあり方とそこで用いられるシステムLSIの研究課題を明示した.RFIDや電子マネーへの利用についても利用者や運用者の視点からの可能性と問題点をまとめることができた.
著者
有村 和章
出版者
鹿児島大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

1 主要研究内容(1)第4学年の「物質とエネルギー」区分に関する実社会や実生活との関連性の児童の認識について調査を実施した。(2)第4学年単元「電気や光の働き」において,実社会や実生活との関連性の認識を重視した学習内容を設定し,指導計画に位置付けた。(3) 実社会や実生活との関連性の認識を深め,児童が主体的に学習を振り返ることのできる自己評価法確立のために,評価の視点を設定し,自己評価カードを作成した。(4) 実証授業により,児童の認識の高まりと資質・能力,科学概念の獲得の状況を行動記録及び発言記録から分析した。2 主要研究成果(1)4年生においては,電気について動力源としてや,生活に不可欠なものとしての見方や考え方はもっているが,それが人工的に作られ,消費されるものであるといった見方や考え方をもつ子どもはまだ少ない。そのため,LEDなど節電のための機器に対して関心を持っている子どもは非常に少ないことが分かった。(2)第4学年単元「電気や光の働き」に,「回路を流れる電流の強さによって,乾電池の消耗度も変化すること」(内容(1))及び「LEDは豆電球より弱い電流で発光するためその利用は節電へつながること」(内容(2))を付加した。内容(1)については,直列つなぎと並列つなぎの場合の豆電球の点灯時間を比較する実験を行い,点灯時間と電流の強さを関係付ける学習内容を設定した。内容(2)については,低電圧で発光するLEDを教材として採用し,LEDと豆電球をそれぞれ使用した場合の乾電池の消耗度を比較する実験や,手回し発電機を用いて発電に必要な力を比較する実験等を位置付けた。その結果,電気の消耗を意識し,節電に心がけようとする子どもや,身の回りで行われているLEDの信号機の設置等節電への取組へ関心をもつ子どもが増えた。(3)自己評価法については,「追究活動への取組」,「問題解決の成就感や達成感」,「自然を見つめ直そうとする思いや態度」の視点から自己評価できるよう単元毎に自己評価カードを作成したところ,自己の高まりを自己認識したり,自らの課題を明らかにしたりする姿が見られた。
著者
竹村 元秀 米原 典史 小林 真之 杉生 真一 森谷 正之
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

神経損傷ラットの情報伝達機構が大きく変化することが、神経因性疼痛発現の基礎にあることが明らかになった。ぺプチド性C線維を介したシグナリングが侵害刺激をよりシャープに上位中枢に送るが、非ぺプチド性C線維のシグナリングがそのぺプチド性C線維を抑制するといった制御に関わっている可能性を示すデーターを得た
著者
中林 誠一郎
出版者
埼玉大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2009

1.ネットワークの集団挙動の制御興奮性結合と抑制性結合を用いて、ネットワークのクラスター化と集団挙動が観測できる。集団挙動は、電極が最近接する結合節(ノード)の興奮・抑制で支配される場合(対称グラフ)は易しい。結合強度が空間変調される非対称グラフの場合、数理モデルは、常微分方程式では、取り扱えない。ネットワークの動態の記述は、泳動・拡散を露わに含む偏微分系へと変化するので、ab initioな計算は難しい。そこで、実験的に求めたArnold Tongueから、結合定数を経験的なパラメーターとして、連立常微分方程式から半経験的な数理モデルを構築した。2.生理神経回路の構成的研究同一の機能を発現する複数のネットワークの中から、生体系が特定の回路を選んだ背後には、生理的あるいは発生学的な拘束条件があると思われる。腎盂機能を再構成した際には、腎臓細胞と尿管の平滑筋細胞の解剖学的な配列を手引きとして、経験的にトイモデルに機能を発現させた。ネットワークの数理の見通しが良くなれば、計算機を補助的手段として、この逆問題を実験でもとめる。得られた振動子配列から、生理系の設計図を読み解く事ができる、このことを、腎盂のしごき運動を例に実証した。このように、電気化学系のモデルで記述される緩和振動子の同期の特徴およびメカニズムは、神経系の緩和型ニュウロンの連成および電気化学振動子の連成計でみられた実験結果と一致した。連成電気化学振動子系が、神経系の緩和型ネットワークの多くの特徴を模擬できることが示された。
著者
宮本 雅子
出版者
滋賀県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

高齢社会における室内色彩計画のための資料を得ることを目的とし、調査研究を進めた。まず、高齢者と若齢者が持つ高齢者の居室に望まれるイメージについては、それほど大差ないものであることがわかった。よって、空間設計を行う際のイメージ設定に関しては、設計者の年齢による配慮は特には必要でないことが明らかとなった。色彩のイメージは高齢者と若齢者で異なる部分が見られた。そこで、室内に配色した場合の空間のイメージについて捉えた。ソファの色彩と壁面の色彩から受ける印象評価については、明度の高いB系を基調としたインテリアが高齢者に好まれている。しかし、若齢者には好まれないため望ましい配色とはいえないが、利用者の大部分が高齢者のみとなる施設などにはこの色は利用できると考えられる。また、ソファ茶色・からしのYR系でYR系の壁の場合、若齢者・高齢者ともに価値因子に対する評価が高く、多くの人が出入りする空間では、有効な配色であると考えられる。さらに、高齢者が、好ましいと判断する基本的なイメージは、「配色が良い」「明るい」「落ち着く」「バランスがよい」「色が好き」などであることがわかった。また、「明るい」と「落ち着く」というイメージが強く結びついている。具体的な内容としては、「同系色の組み合わせ」「ソファと床の色」「壁とソファの色」「ソファの色」「壁と床の色」としており、特にソファの色に注目していることがわかる。若齢者も基準としているイメージは大きくは変わらないが、「落ち着く」と「暖かい」というイメージが大きく結びついている。具体的な内容としては、高齢者が具体的な部位の色彩に注目しているのに対し、若齢者は全体的な色の「統一感」「同系色の組み合わせ」などによって好ましさを判断している。以上から、高齢者と若齢者では、室内色彩空間のとらえ方が異なることが把握できた。
著者
笹倉 一広 近衞 典子 近衞 典子 福田 安典 大塚 秀高 金 文京 笹倉 一広 木越 治 福田 安典 大塚 秀高 岡崎 由美 金 文京 鈴木 陽一 上田 望 木越 治 田中 則雄 入口 敦志 川上 陽介 木越 秀子
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

・各地の図書館などを調査し、関連資料を収集した。そのなかで、岡島冠山『太平記演義』の 善本を発見し、影印した。・白話小説と並んで、善書の影響にも着目し、善書を収集・考察し、新発見と覚しき善書を影印した。・「三言二拍」訳注の基礎資料の収集・電子化をし、訳注の基盤を整備し、国文学・中国文学双方の研究に共有されるテキストのプロトタイプを作成した。・シンポジウム「日本近世文藝と中国白話の世界」を開催した。