著者
Daniël Lakens
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.221-230, 2019 (Released:2021-02-28)
参考文献数
43

For over two centuries researchers have been criticized for using research practices that makes it easier to present data in line with what they wish to be true. With the rise of the internet it has become easier to preregister the theoretical and empirical basis for predictions, the experimental design, the materials, and the analysis code. Whether the practice of preregistration is valuable depends on your philosophy of science. Here, I provide a conceptual analysis of the value of preregistration for psychological science from an error statistical philosophy (Mayo, 2018). Preregistration has the goal to allow others to transparently evaluate the capacity of a test to falsify a prediction, or the severity of a test. Researchers who aim to test predictions with severity should find value in the practice of preregistration. I differentiate the goal of preregistration from positive externalities, discuss how preregistration itself does not make a study better or worse compared to a non-preregistered study, and highlight the importance of evaluating the usefulness of a tool such as preregistration based on an explicit consideration of your philosophy of science.
著者
荒岡 草馬 篠田 詩織 藤村 明子 成原 慧
出版者
情報ネットワーク法学会
雑誌
情報ネットワーク・ローレビュー (ISSN:24350303)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.24-44, 2023-11-17 (Released:2023-11-17)

本稿は、「声の人格権」という新たな権利概念について検討するものである。近年、音声合成技術が急速に進歩しており、関連する製品やサービスも数多く登場している。これらの技術が誤った使い方をされた場合、人の声を無断で再現し、本人の意に反した発言をさせるなどの運用がなされる危険性があり、既に国内外で問題となった事例もある。従来、我が国において、人の容姿に対しては「肖像権」という人格権が認められてきたが、人の声に対して人格権を認めた判例はなく、学説においても十分な議論が蓄積されていない。本稿は、そのような「声の人格権」の議論を惹起することを目的とする。
著者
佐藤 慎二
出版者
COSMIC
雑誌
呼吸臨床 (ISSN:24333778)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.e00013, 2017 (Released:2019-03-01)
参考文献数
28

抗MDA5抗体は,皮膚筋炎,特にそのサブタイプである典型的な皮膚筋炎の皮疹を呈しながら,臨床的に筋症状がまったくないかあるいはごく軽微な症例である無筋症性皮膚筋炎に見出されたDM特異自己抗体で,対応抗原はウイルス感染における自然免疫での感染防御機構で重要な役割を担っているmelanoma differentiation-associated gene 5(MDA5)である。同抗体陽性例は,臨床上,治療抵抗性・予後不良の急速進行性間質性肺炎を高頻度に併発するという特徴を有する。
著者
林 良純
出版者
社団法人 繊維学会
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.65, no.11, pp.P_412-P_421, 2009-11-10 (Released:2009-12-10)
被引用文献数
1 3
著者
佐伯 胖
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.30-52, 1992-10-10 (Released:2011-03-18)
参考文献数
26
被引用文献数
1
著者
山本 勝仁 竹林 崇 高井 京子 徳田 和宏 細見 雅史
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.478-485, 2020-08-15 (Released:2020-08-15)
参考文献数
20

要旨:本試験は,脳卒中急性期脳卒中患者に対し,病棟での自主練習を含むmodified CI療法(以下,病棟実施型CI療法)が麻痺手の機能・行動に与える影響を調べることを目的に実施した.方法は,急性期脳卒中患者に対し,訓練室で行われる通常のmodified CI療法(以下,mCI療法)と病棟実施型CI療法が麻痺手の機能と使用行動に与える影響について,後ろ向きコホート試験で探索的に比較した.その結果,両群とも麻痺手の機能・行動は介入前後に有意に改善した.しかし,群間比較では,麻痺手の使用行動のみ,病棟実施型CI療法が,通常のmCI療法に比べ,有意に改善した.病棟実施型CI療法は,実生活の麻痺手の使用行動に影響を与える可能性がある.
著者
関根 嘉香
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

ヒト皮膚から放散される微量生体ガス(皮膚ガス)は体臭の原因となり、他者の快・不快感に影響することがある。一方、自分の皮膚ガスによって周囲の人がアレルギー様症状を発症すると主訴する人たちが存在する。このような現象・症状はPATM(People Allergic To Me)と呼ばれ、科学的・医学的には未解明であった。本研究では、PATM主訴者に特徴的な皮膚ガスの種類・放散量を明らかにすることを目的に、パッシブ・フラックス・サンプラー法による皮膚ガス測定を行った。その結果、PATM主訴者の皮膚ガス組成には健常者と異なる特徴があり、臭気を伴いながら他者に刺激を与える成分が存在することがわかった。
著者
高木 佐保
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR ANIMAL PSYCHOLOGY
雑誌
動物心理学研究 (ISSN:09168419)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.123-137, 2023 (Released:2023-12-25)
参考文献数
77

Cats are now the most common companion animal in Japan. Cats have had a close relationship with humans for a long time, and sometimes there is human intervention from the earliest stages of development. In other words, they are often raised by humans rather than by their biological mother. Cats raised by humans may perform the same behaviors in humans that they do in their mother cats. This paper outlines cat parenting by biological parents and its mother-infant communication and human-cat "mother-infant" communication, followed by a summary of maternal-like behaviors exhibited by cats toward humans. The process of parenting by cats and the developmental stages of their offspring are outlined, followed by an explanation of the recently revealed role of the father and communication between mother and offspring. Regarding cat parenting by humans, the importance of the socialization period will be discussed, followed by an explanation of various forms of "motherinfant" communication. Then, after summarizing the mother-like behavior of cats toward humans, I will discuss whether cats show tolerance toward human children based on preliminary studies and my own experience. Finally, I summarized the differences between conspecific and inter-species communication and discuss future prospects.
著者
平塚 徹
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.301-325, 2018-03

日本では,しばしば,イエスは馬小屋で生まれたと言われる。しかし,西ヨーロッパにおいては,イエスが生まれたのは,家畜小屋である。日本における馬小屋伝承の起源については,これまで研究がなかった。 キリシタン書では,イエスの生まれた場所は,しばしば,「うまや」とされていた。この語は,語源的には馬小屋を意味するが,牛小屋を指すのにも転用されてきた。キリシタン書における「うまや」は,家畜小屋の意味で使われたと考えられる。本稿では,禁教時代を経てキリスト教解禁以後,「うまや」という語が馬小屋の意味で理解されて,馬小屋伝承が流布し定着したという仮説を提案した。その他に,以下の要因が働いた可能性も指摘した。(1)聖徳太子が厩の前で生まれたという伝説に影響された。(2)英語においてイエスの生まれた家畜小屋を指すにはstableが用いられる。しかし,この語は,通常,馬小屋を指すように意味変化している。(3)ルカ2章に出てくる飼い葉桶の適当な訳語がなく,『明治元訳聖書』や『大正改訳』などの日本語訳聖書で「槽(うまぶね)」や「馬槽(うまぶね)」が用いられた。
著者
鈴木貞吉 著
出版者
鈴木貞吉
巻号頁・発行日
vol.湖東会戦編, 1938
著者
小柳 義夫
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.18-24, 1973-01-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
12

計算機が発達したために, 今まではやらなくてもよかった計算まで必要になる. その一つがパラメーター・フィットである. 理論を実験と比べるとき, 昔なら定性的な特徴を説明するだけで十分だった場合でも, 今では定量的に合わせなければ認められない. データからパラメーターを決定する各種の方法を解説するとともに, 現在公開されているプログラムによる計算機の実例をも示す.
著者
田中 靖人
出版者
日本マクロエンジニアリング学会
雑誌
MACRO REVIEW (ISSN:09150560)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.102-113, 2021 (Released:2021-10-10)
参考文献数
9

近年MMT(Modern Monetary Theory,現代貨幣理論)と呼ばれる学派の主張が注目を集めているが,これまであまり理論的,あるいは数学的な分析がなされることはなかった。本稿は効用関数と予算制約式による消費者の効用最大化,独占的競争における企業の利潤最大化,財の需要・供給の均衡,などの新古典派的なミクロ経済学の枠組みの基本を維持しながら,MMTの主張の骨格をなすものを理論的に基礎づけることを目的とし,技術進歩による経済成長を含む単純な静学モデルを用いて以下の事柄を論証する。1) 経済が成長しているときに完全雇用を維持して行くためには継続的な財政赤字が必要であり,その財政赤字を将来の黒字によって埋め合わせる必要はない。2) 実際の財政赤字が完全雇用維持に必要・十分な水準を上回ることによってインフレーションが引き起こされる。さらなるインフレーションを起こさないためには安定的に一定の財政赤字を続ける必要がある。3) 財政赤字の不足は不況を招き非自発的失業を発生させる。そこから回復させるためには完全雇用を維持して行くのに必要な水準を超える財政赤字が求められるが,完全雇用回復後は継続的な財政赤字が必要なので,不況克服のために生じた赤字を将来の財政黒字によって埋め合わす必要はないし,そうしてはならない。
著者
浜本 哲郎 大谷 正史 松本 栄二 堀 立明 鶴原 一郎 八島 一夫 磯本 一
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.114, no.12, pp.2134-2141, 2017-12-05 (Released:2017-12-05)
参考文献数
30

症例は42歳,男性.禁煙後に血便が出現し潰瘍性大腸炎と診断された.5-ASA,プレドニゾロンの投与で寛解導入したが減量にともなって再燃し,強力静注療法,白血球除去療法,抗TNF-α製剤,タクロリムスなどで加療したが,寛解導入できなかった.ところが,喫煙の再開で血便は消失し,内視鏡的にも粘膜治癒を確認した.禁煙後に発症し,喫煙の再開で寛解に至ったことから,ニコチンや一酸化炭素を介した抗炎症作用が考えられた.

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著者
藤本 強
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.122-136, 1981-04-25 (Released:2010-11-18)
参考文献数
30
被引用文献数
1 1

The Satsumon culture was in existence in Hokkaido from 9th to 13th century A.D. as a Pre-Ainu culture of Hokkaido. The Satsumon culture succeeded the Post-Jomon culture. The Satsumon culture was formed on the basic cultural elements of the Post-Jomon culture. Some cultural elements from Japanese culture of that time were added to them. The basic cultural elements of the Post-Jomon culture had their roots in late or the latest Jomon culture in northern Japan. So, the Satsumon culture can be regarded as one of the direct descendants of the late or the latest Jomon culture in the northern Japan.About two thousands years ago, rice cultivation began in Japan. At first, rice cultivation was practised in southwestern Japan and it gradually expanded to the east. Finally, it reached the southern Tohoku district, but it could not penetrate into northern Tohoku and Hokkaido. In the northern Tohoku and Hokkaido, people lived on fishing, gathering and hunting as was the case in the previous Jomon period. After the introduction of rice cultivation, the livelihood of people in Japan was separated into two different ways. In most parts of Japan, in southern Japan, people depended on rice cultivation and in the northern extremity of Japan, people lived on fishing, gathering and hunting.
著者
山野井 貴浩 佐藤 綾 古屋 康則
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.285-291, 2018-11-30 (Released:2018-12-05)
参考文献数
22

「種族維持」とは生物は種を維持する, あるいは仲間を増やすために繁殖するという概念であるが, 現代の進化生物学では否定されている概念である。しかしながら, 小中高の理科学習を終えた大学生であっても「種族維持」の認識を有している可能性がある。そこで本研究は, 種族維持の認識を問う質問紙を作成し, 5つの大学に通う大学生629名を対象に質問紙調査を行った。その結果, 半数以上の学生が種族維持の認識を有していること, 高等学校生物の履修や大学における進化の講義はその認識に影響していないことが示唆された。また, 高等学校生物や大学における進化の講義を履修した学生の方が, 血縁選択説や利他行動について知っていると回答した割合は高いという結果が得られた。誤概念を変容させるために, これらの用語を扱う高等学校生物や大学の進化の講義の授業方法を改善していく必要がある。