著者
丁 志映
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

1990年代から、家賃の高い都心部において、若年単身者を中心にシェアハウスが注目を浴びている。しかし、シェアハウスの急激な増加に伴い、法整備が追い付いていないことから、違法シェアハウスや脱法ハウスなどが社会問題になっている。そこで、本研究では、既存の建物を単身者向けのシェアハウスとして利活用している、フランス、ベルギー、スペイン、韓国における国際比較を通して、今後日本における「ストック型社会システム」の重要な構成要素としてシェアハウスを解明し、これらの制度や条件などの結果を踏まえて、最終的には単身者向けの「ストック型社会システムのモデル」の構築を行った。
著者
中込 さと子 柊中 智恵子 武田 祐子 佐々木 規子
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究プロジェクトの目的は単一遺伝子疾患や染色体異常をもつ人と家族の自助グループ(以下、遺伝サポートグループ)と看護職が、個人、家族、社会の健康問題を解決するための協働方法、それによりどのような変化がおこるかを探ることである。7疾患のサポートグループから協力を得、患者家族が抱える課題について、サポートグループと看護師のコミュニケーションを図る企画を行った。看護ケアに仲間支援を導入することが有効である可能性が示唆された。サポートグループと協働すべき課題は、生活に伴う症状管理方法の改善、本人や家族が抱える価値変容を支えること、ケア負担の軽減と親きょうだい亡き後の第二の生活環境の整備であった。
著者
松本 裕司
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、オフィスにおける感性価値が経営面、活動面に及ぼす影響について研究した。具体的には、①オフィスに求める場所選択の多様性及び選択要因、②デザインが組織戦略の浸透に及ぼす影響、③役立たないコミュニケーションの価値、④集団凝集力とオフィス環境との関係、⑤特別感と働きたいの関係、⑥コワーキングスペースの環境要件、⑦組織横断型ワークスタイルに求められる環境因子、⑧フューチャーセッションに適した環境印象調査、を通して、多面的な知見を得た。
著者
野坂 昭雄
出版者
大分県立芸術文化短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、パノラマや写真、映画など、明治から昭和期にかけて発達した視覚的メディアに注目し、特に太平洋戦争の開戦から終戦までに書かれた戦争詩が、詩の表現として視覚的な様相を含み込んでいたことの意味を考察した。丸山薫の戦争詩は、その視覚的な表現において特徴的であるが、一方でそれは他の詩人、批評家たちにも共有された視覚的メディアの影響の結果であり、他方で「戦争」において要請された銃後の情報戦、あるいは兵站術の産物でもあったと考え、詩の表現を通じて戦争詩における視覚性のあり方を明らかにした。
著者
神田 由築
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

日本では18世紀になると、江戸や大坂などの大都市で芸能が都市民衆の生業と本格的に結びつき、いわゆる「芝居町」が成立する。また周辺町々には男色の売春宿も存在し、あらゆる意味で芸能の「商品」化が展開するようになる。こうした都市社会の成熟と教養文化の浸透とが交錯して、18世紀後半には、当時の社会状況を反映した歌舞伎や浄瑠璃の作品が数々生み出されるようになる。これらの「物語」は、芸能者の活動地域の拡大や個人単位の芸能者の存立をもたらし、地域・階層を超えて芸能文化が浸透する要因となった。この「物語」の成立こそ、その後も変容と持続を繰り返す日本文化の「伝統」性の起点である。
著者
武内 和彦 HEO Seung-Hoon HEO Seunghoon HEO Seung hoon
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

本年度の主な研究活動は5月に英国・Palgrave Macmillan社より出版された「ヨーロッパおよびアジアにおける敵対国間の和解(Reconciling Enemy States in Europe and Asia)」を初めて単著で執筆したことである。本著書の出版は知的忍耐力と経済援助を必要とする長期に渡る困難な作業であった。出版直後に、播国連事務総長が研究トピックに個人的関心があるということで、5月に東京における個人的な会合に招待された。事務総長からは全面的な支援の約束と積極的に市民社会と関わりながらテーマの研究を続けて行くよう奨励を受けた。以降、自身の論考を大手新聞記事で発表し、世界各地で出版記念イベントを開催し、大学にて講義を実施した。6月にはジュネーブにて最初の出版記念イベントを開催した。7月に開催したソウルでの二回目の出版イベントは自身で主催し、教授、外交官、ジャーナリストのみならず、主婦、高校生、会社員、そして同僚が東京から応援に駆けつけてくれた。11月12日に慶應義塾大学において、ポーランド・ドイツ間、および韓国・日本間の和解についての講義依頼があったが、10月31日の採用期間終了までに韓国へ帰国しなければいけなかったので、日本への航空券を自費で購入し会議に参加した。会議では慶應大学の学生と自身の研究成果を分かち合い、議論を行い、現在でもメールやソーシャルメディアを通じて知的対話を続けている。高等教育システムでの教鞭をとることへの新たな才能を発見させてくれた東京大学、慶應義塾大学そして国連大学の学生に心より感謝したい。これらの経験は教員としてだけではなく、人生の先輩として自身の経験を学生と分かち合いたいという気持ちを奮い立たせる貴重な経験となった。先週韓国国会にて行われたSchool for Politicsの卒業式で本年度最優秀講義賞を受賞した。受賞金額は慶應大学での講義のために支払った日本への航空券代と同額であったため、今後日本の大学から面接等に呼ばれた際の航空券代として使用する予定である。
著者
李 良姫
出版者
東亜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

日韓における祭りの再生と観光資源化について観光学的な理解を深める研究目的を達成するため、日韓における幅広い現地調査及び文献調査を行い、以下の主な研究成果をあげることができた。①韓国の祭りの衰退の原因は、日本植民地支配による影響より、キリスト教及び近代化の影響が大きい②日韓において伝統文化の観光資源化が積極的に行われている。③祭り開催は、韓国は行政、日本は地域住民が主導することが多い④地域の伝統文化は地方のインバウンド観光の拡大につながる⑤少子高齢化時代には祭りの観光資源化が有効な手段になりうる。
著者
土門 晃二 河島 伸子 馬奈木 俊介 堀江 進也
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、アジア諸国(主に中国、韓国、ベトナム、タイ、インドネシア)の知的財産権侵害の実態を現地調査で明らかにし、その経済学的な特性を捉えて、先進国と途上国・新興国間での取締りの協調関係構築の可能性について考察した。それらの考察は、利害関係者への詳細なインタビュー、アンケート調査、公表データに基づいており、工業製品(模倣部品)、食品(日本食材)、コンテンツ(音楽CD・ファイル)、技術特許における知的財産権侵害が対象となった。
著者
宮崎 恒二 内堀 基光 床呂 郁哉 山下 晋司 清水 展 伊藤 眞 山下 晋司 石川 登 伊藤 眞 清水 展
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、高齢者および退職者の海外への移動の実態を探ると共に、人口移動を、日本を含む地域間および世代間の相互循環および交換という視点から考察する可能性を追求するものである。文献資料調査ならびにマレーシア、タイ、フィリピン、インドネシア、オーストラリアなどにおける、政府ならびに関連機関、長期滞在者ないし移住者である日本人、関連業者に対する面接・聴取調査の結果、5に示す学術成果を公開した。その大要は次の通りである。老後の医療・介護に対する不安から、国際移住は定住よりも長期滞在へとシフトしつつある。他方、メディカル・ツーリズムの拡大を含め、滞在先での医療・介護の可能性も開け、日本で最期を迎えることに拘泥しない考え方も見られるようになっている。海外での長期滞在の選択は、経済的には費用対効果という観点から、より豊かな、あるいはより困難の少ない生活を求めた結果である。他方、壮年時の海外生活ならびに海外旅行経験者の増加は、海外在住をライフスタイルの選択肢の一つと考える傾向が生じていることを示している。海外での長期滞在については、滞在先の政府・業者、日本国内の旅行業者などにより広報されており、「ゆったりとした第二の人生」というイメージを多用している。長期滞在者は、不動産投資を目的とする場合もあるが、多くは日本での多忙な生活との対照を強調し、家族、とりわけ夫婦の間の関係の再構築に言及することが多い。長期滞在の対象国は、家族構成・生活形態等の相違により大きく異なり、フィリピン、タイは単身男性が、バリは単身の女性が、そしてその他の地域では夫婦単位であることが多い。一般に、一部の日本語教育のボランティア活動等を除き、受け入れ社会との接触は最小限にとどまる。本研究により、人と空間の関係が固定的でなくなっており、移動がライフサイクルの一部として組み込まれつつあり、かつ家族の再編を促す兆候が示された。
著者
長田 年弘 木村 浩 篠塚 千恵子 田中 咲子 水田 徹 金子 亨 櫻井 万里子 中村 るい 布施 英利 師尾 晶子 渡辺 千香子 大原 央聡 中村 義孝 仏山 輝美 加藤 公太 加藤 佑一 河瀬 侑 木本 諒 小石 絵美 坂田 道生 下野 雅史 高橋 翔 塚本 理恵子 佐藤 みちる 中村 友代 福本 薫 森園 敦 山本 悠貴
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究課題は、研究代表による平成19-21年度基盤研究(A)「パルテノン神殿の造営目的に関する美術史的研究―アジアの視座から見たギリシア美術」の目的を継承しつつ再構築し、東方美術がパルテノン彫刻に与えた影響について再検証した。古代東方とギリシアの、民族戦争に関する美術について合同のセミナーを英国において開催し、パルテノン彫刻をめぐる閉塞的な研究状況に対して、新しい問題提起を行った。平成21年開館の、新アクロポリス美術館の彫刻群を重点的な対象とし撮影と調査を行ったほか、イランおよびフランス、ギリシャにおいて調査を実施した。研究成果を、ロンドンの大英博物館等、国内外において陳列発表した。
著者
幸福 輝 尾崎 彰宏 青野 純子 深谷 訓子 中田 明日佳 髙城 靖之
出版者
独立行政法人国立美術館国立西洋美術館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-10-31

17世紀オランダ美術の特質はなによりその写実的風景画や風俗画にあり、古代神話や聖書主題の作品を描いたルネサンスと対比されてきた。こうしてオランダ美術における「オランダ的なもの(オランダ性)」の解明が重要な課題のひとつとなった。他方、オランダの経済的繁栄の基盤は東西貿易にあり、芸術作品を含むあらゆるモノがオランダに集まっていた。そのような社会において異国の文化の受容は必然であり、「オランダ性」はオランダ固有の国内問題であると同時に、世界に向きあった国際化の問題でもあった。本研究では、特にアジアの視点から17世紀オランダ美術を再検討し、「オランダ性」に関する様々な調査研究をおこなった。
著者
眞鍋 えみ子 和泉 美枝 岩佐 弘一
出版者
同志社女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

産後における適正体重、適正体脂肪率の維持を目的に、自宅における体重・体脂肪率維持の支援策としてのプログラムを作成し、その効果を検討した。プログラムは、日常生活習慣や精神状態のコントロールのセルフモニタリングとライフコーダーによる活動量のモニタリングから構成した。その効果を検討したところ、プログラム実施群には交感神経活動の活性化が認められたが、体重、体脂肪率、筋肉量などの身体組成では効果が認められなかった。本研究成果は、プログラム実施期間の再検討、実施されたセルフモニタリングへのフードバック方法の検討が課題であり、その展開が期待される。
著者
川瀬 卓
出版者
弘前大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

本研究は不定語と助詞によって構成される副詞の歴史的研究である。本研究の主な成果は次の通りである。(1)副詞の歴史的研究における課題と可能性について明らかにした。(2)「どうも」「どうやら」「どうぞ」「どうか」の歴史を記述した。また、それらの歴史的変化を言語変化の一般的傾向と関連付けることも行った。(3)不定語と助詞によって構成される副詞の歴史から見えてくる日本語史的問題を指摘した。以上のことから、今後の副詞研究の方向性に加え、副詞を視点とした日本語史研究の方向性も示せたといえる。
著者
山本 早里 槙 究 熊澤 貴之
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

景観法の趣旨である地域再生を目論み、景観色彩を改良する手法を開発することを目的とし、地域の特性、合意形成、審美性の3軸から考察した。国内の景観計画において色彩を地域別に誘導していないところが多いことが明らかになり、仏国では協議システムが運用されていることがわかった。また、向こう三軒両隣の配色の重心を考慮した景観色彩設計法の有効性を検討した。被験者誘導の実験を行い、色彩規制の効果について考察した。以上から、日本の色彩誘導のあり方は景観法の趣旨が活かされているとは言い難く、そのため、様々な専門家が関わる協議システムが参考になり、街路景観はその特徴によって個別の対応が望ましいことを明らかにした。
著者
千賀 愛
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、1890―1920年代のアメリカで展開された新学校・進歩主義学校の理論と実践を特別な教育的配慮の観点から明らかにすることを目的とした。はじめに進歩主義学校の1つとしてジョン・デューイが娘のエヴェリンによる「明日の学校」(1915)で紹介したインディアナポリス第26公立学校の実践の検討を行い、子どもが主体的に取り組む活動が学業不振問題の解決に寄与していた。第二に、1896年にシカゴで開校したデューイ実験学校の体育と住居教育の実践を分析した。これはインクルーシブ教育の源流という観点から、様々な特性のある子どもが参加できる活動のカリキュラムをどのように創出するのかに関わる実践例であった。
著者
秋山 学 秋山 佳奈子
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

慈雲の『法華陀羅尼略解』には唯識学的注記が認められる.彼は『雙龍大和上垂示』において,唯識は八識を説くが,密教では「菴摩羅識」をも説くと述べる.慈雲は,天御中主尊が菴摩羅識に当たるとするが,この尊は高天原の神であり,彼の『神儒偶談』には「高天原虚空観」が述べられる.「菴摩羅識」は法界体性智に当たるが,『論語』15-42には,孔子が瞽者を敬ったとある.孔子は瞽者を儒教尚古主義の体現者と認識していたが,瞽者は眼識をも欠くため,彼らの生は「菴摩羅識」に基づく.こうして慈雲は,儒教尚古主義と「高天原虚空観」「法界体性智」に通底する地平,つまり儒・仏・神・密の結節点を『法華陀羅尼略解』に説いたと言える.
著者
和田 壽弘
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

新ニヤーヤ学派の体系を確立したガンゲーシャ(14世紀)の『タットヴァ・チンターマニ』(Tattva-cintamani) の第4部「言語部」(Sabda-khanda) における「定動詞語尾章」(Akhyata-vada) の英訳・解説を作成した。テキストを分割して番号を付して議論の構造も明示した。初期のこの学派の言語分析の手法の特徴を明らかにし、ウダヤナ(11世紀)の影響が大きいことを解明した。併せて、2005年にオリッサ州で発見されたウダヤナ作『否定辞論頌』(Nan-vada-karika)の写本を分析し、著者問題を含めて初期新ニヤーヤ学派の研究に使用できるかどうか考察を試みた。
著者
出川 強志
出版者
小山工業高等専門学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

申請者は学生実験で、環境負荷を考える人材育成を目指してきた。しかし基礎的な実験では、製品をもって環境負荷を考える機会がなかった。そこで防食のためにクロメート処理されたボルト・ナット等の金属製品に着目した。かつてクロメート処理にはCr(VI)を含む溶液が用いられたが、EUで発効されたRoHS/ELV指令によりCr(VI)を使用しない方法で製造されつつある。しかし現在も製品によってはCr(VI)が検出され、検査業務は必須である。これら製品の有害物質測定は、環境負荷の理解に好適である。本研究は、学生に製品中の有害物質の含有率の測定を軸とした勉強会を行い、環境負荷を念頭に入れた開発・製造を自発的に行う人材の育成を目指した。勉強会は興味のある学生を募集後班分けし、科学技術と人間の関わり、環境問題、RoHS/ELV指令、Cr(VI)の有害性、処理法などの内容をテーマ毎に複数回行った。勉強会では毎回、申請者が講義で理解してもらいたい内容を課題として提起し、それを、班内討議し、その後実験を行うことにより学生自身が自発的に内容理解に深めるアクティブラーニング的手法を用いた。Cr(VI)の測定は製品を蒸留水中にて加熱抽出し、抽出液をジフェニルカルバジド法により測定し製品のCr(VI)の含有率を学生自身が知ることができた。最後に学生には、勉強会にて理解したことについて、公開発表会にて発表し聴講者との討議を経て、理解を深化させその内容をレポートにて報告させた。このレポートと勉強会の前後に行ったアンケートをあわせて評価した。この有害物質教育により、学生は、工業製品中のCr(VI)測定を通して工業製品中の有害物質が環境に与える負荷について考察することができた。またその際、提起された様々な課題については、学生自身が班内討議、実験及び全体討議を経ることにより、自発的にその内容の理解を深めることができた。
著者
内藤 通孝 加賀谷 みえ子
出版者
椙山女学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

果糖は、安価で効率の良い甘味料として急速に使用が普及してきたが、一方では、肥満、メタボリック・シンドロームなどの生活習慣病を助長する可能性が指摘されており、健康に対する悪影響が懸念されている。本研究では、高脂肪食と同時に、果糖を多く含む飲料(コーラなど)を摂取すると、食後の脂質代謝が増悪・遷延し、食後の高脂血状態が長く続くことから、動脈硬化の重大な危険因子となり得ることを示した。これらの同時摂取は新たな「合食禁(食べ合わせ)」として注意すべきであり、高脂肪食を摂取する場合の飲料としては、高果糖飲料以外の飲み物、例えば日本茶、ウーロン茶、無糖の紅茶・コーヒー等を選択することが薦められる。
著者
南 知惠子 高嶋 克義 平野 光俊 松尾 睦 坂川 裕司 近藤 公彦 猪口 純治 金 雲鎬 西岡 健一 森村 文一
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、小売企業の成長を支える組織基盤の構築プロセスを解明することを目的とする。集権的な意思決定による成長戦略と分権的組織による組織能力の向上による成長戦略との併存を想定した。国内外の複数事例分析及び、全国の小売企業を対象とする質問紙調査を実施した。事例研究では、小売及び製造小売企業において、トップマネジメント主導の大規模投資による成長戦略を確認し、ビジネスモデルの類型化を行った。実証研究では、企業の革新性の正の影響に加え、組織基盤として情報システムの統合の影響が収益性に影響を与えることが明らかになった一方で、地域レベルでの標準化戦略は業績に負の影響を与えることが明らかになった。