著者
中村 亮一
出版者
日本医用画像工学会
雑誌
Medical Imaging Technology (ISSN:0288450X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.29-34, 2017 (Released:2017-01-31)
参考文献数
23

画像診断技術と計算機技術の進歩により,術中においても医用画像を活用し精緻な治療誘導等を実現することが可能となっている.本稿では放射線治療および低侵襲外科治療において用いられる医用画像の特徴と,画像誘導治療を実現する上で必要な画像強調/領域抽出,画像統合(レジストレーション),動態認識/追従のための画像処理技術について解説する.術中の画像処理においては精緻な画像誘導のために必要な精度・処理速度を適切に設定し,これに応じた手法選択・設計が必要となることから,臨床医学・情報工学双方からの学術的検討が必要となる.
著者
中村 素典 西村 健 山地 一禎 佐藤 周行 岡部 寿男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICM, 情報通信マネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.23, pp.163-169, 2013-05-02

近年,シングルサインオンの技術を応用し,組織をまたがった認証連携を行う取り組みが広がりを見せている.民間ではOpenIDの仕組みを活用した認証連携が進む一方,学術ではSAML(Secudty Assertion Markup Language)を用いた認証連携の枠組みが,国を単位として世界的に立ち上がってきている.OpenIDやSAMLでは,認証結果とともに,認証された利用者に関する属性情報をサービス提供側に受け渡す仕組みが用意されているため,単なる利用者の本人確認にとどまらない,高度な情報連携の可能性を秘めている.本報告では,大学等が運用管理する認証サーバと,民間のサービス提供サーバとを連携させ,大学が保持する職種(学生,職員,教員など)に関する属性情報を提供することにより,学割サービスを実現するためのプロトコルゲートウェイの設計および試作について述べる.
著者
松村 和仁 中村 康弘 松井 甲子雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.271-278, 1996-02-25
被引用文献数
5

この論文では, 感性情報処理のために, 2次元顔画像から人の表情を生成する関数を抽出している. 人間は他人の表情からいかなる情報を得て, 個人の識別や感情の分析をしているかという問題に対して, いまだ解答が得られていない. 顔による個人識別や表情の認識に関する研究では, その特徴をどのような方法で, どのように記述するかが大きなテーマである. その一案として, 薄板スプラインを用いたメタモルフォシスにより, 表情の変化を平面顔画像上で追跡し, その変化を表情関数という形で定量的に抽出する. 更に, この表情関数を用いて, 1枚の無表情の顔画像から人間の代表的な6種類の感情を表す顔画像を生成する. この表情関数は顔を対象としたセキュリティチェックシステムの基礎となる概念である.
著者
久留戸 真奈美 中村 千春 塩原 みゆき
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.298-303, 2010-12-20 (Released:2012-12-20)
参考文献数
3

昨今,若い女性たちの腕や脚に乾燥した状態が目立っているが,これはムダ毛の手入れと非常に関係が深い。本研究では,一般女性19名の腕,脚,腋の肌の状態を調査するとともに,電動脱毛器3機種とカミソリによる手入れを比較して,ムダ毛の手入れと肌への影響を調査した。この結果,手入れの前後で,TEWLが増し,安全カミソリのみならず,むしろ,肌を傷めずに脱毛できると訴求される電動脱毛器においても,肌に赤みや炎症を起こし肌荒れの原因になる可能性が示された。
著者
高橋 喜久雄 坂口 輝子 池谷 幸子 中村 春美 湊 真理子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.78, no.4, pp.157-162, 2002-08-01

埋伏した下顎智歯を抜歯した後は,浮腫,疼痛,開口障害が通常みられる。われわれは下顎智歯抜歯患者111名に対して簡易冷罨法の効果を対照群(n=118)と比較して検討した。冷罨法の材料はパックし冷凍したポリジクロロナトリウムで,抜歯直後に顔面皮膚に適応した。主な結果は以下の如くである。1)冷罨法実施群と非実施群では,術後の体温,腫張度,開口度,鎮痛剤の服薬回数に統計的な有意差は見られなかった。2)術後の疼痛と開口障害感は患者の自覚的な評価としてVisual Analog Scaleを用いておこなったが,このような主観的評価では,いずれも冷罨法群が良好な結果を示した。3)冷罨法の適応に対して心地よさを感じた割合は74.8%であった。4)2群において,冷罨法による治癒促進効果や合併症の発現頻度に差は認められなかった。
著者
中村 覚 大和 裕幸 稗方 和夫 岡田 伊策 齋藤 稔 笈田 佳彰
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.29, 2015

本研究ではセマンティックWeb技術を用い、文書や画像等のデジタル資産とドメイン固有の知識を紐づけて管理するシステム基盤を開発した。概念をノード、関係性をリンクによって表現するドメイン知識の記述支援機能、デジタル資産からのメタデータ自動抽出によるドメイン知識への関連付け機能を有する。本システム基盤を情報システム開発におけるデジタル資産管理に適用し、設計書・設計知識の再利用性の向上を確認した。
著者
中村 雅典 Masanori Nakamura
出版者
東北大学歯学会
雑誌
東北大学歯学雑誌 = Tohoku University dental journal (ISSN:02873915)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.9-17, 2002-06-01

破骨細胞が骨破壊の主たる細胞であることはいうまでもないことであるが, 他の細胞による骨破壊が完全に否定されているわけではない。ビスフォスフォネート(BP)は破骨細胞による骨吸収・破壊を特異的に抑制する薬剤である。そこで, 我々はBPを投与したコラーゲン誘導関節炎(CIA)マウス, 並びに重症慢性リウマチ性関節炎(RA)患者の骨破壊機構についてFlow Cytometryと形態学的に解析を行った。CIAマウスでは, BP投与・非投与に関わらず著しい骨破壊が認められた。非投与群における骨破壊部位には活性化した破骨細胞はなく, 多くの好中球が集積し, 一部はruptureし, この部位の骨基質からコラーゲン線維が消失していた。RA患者腸骨骨髄では, 著しい顆粒球造血, 特に未熟好中球の増加が認められた。この未熟好中球は骨梁表面に集積しており, CIA同様に一部はruptureし, 骨基質からコラーゲン線維が消失していた。以上の結果から, 関節炎の骨破壊時には好中球造血の異常な亢進が起こり, この好中球による骨破壊が強く示唆される。近年, また, 関節炎だけでなく, 歯周疾患のような骨破壊を主体とする他の疾患(歯周疾患など)においても同様な造血異常が報告されてきており, 造血という全身に立脚した骨破壊性疾患の解析が期待される。Osteoclasts are the main cells responsible for bone destruction and resorption However, whether cells other than osteoclasts destruct bone remains controversial.Bisphosphonates(BPs)are specific inhibitors of bone resorption by osteoclasts.We examined the effects of BPs on bone destruction in mice with collagen-induoed arthritis(CIA).Severe bone destruction was confirmed in BP-treated CIA mice, indicating bone destruction by cells other than osteoclasts.Histological and flow cytometrical studies showed Increased granulopoiesis and bone destruction by neutrophils.Similar results were obtained in studies of patients with severe rheumatoid arthritis. In this paper, we describe the process of and data derived from our experimental strategy and review possible mechanisms of bone destruction by neutrophils.
著者
中村 正幸 楊 毓英 窪田 昭真 清水 洋 三浦 裕 和崎 克己 師玉 康成 滝沢 正臣
出版者
一般社団法人 日本医学物理学会
雑誌
医学物理 (ISSN:13455354)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.30-39, 2003

A network of the emergency telemedicine for mountain climbers in Japan Alps area has been developed. The network consists of 2.4GHz wireless LAN with over 30 km distance to be connected the Cable TV LAN. We confirmed that this network is able to transfer the high quality video and audio signal suitable for the telemedicine between the mountain huts and hospitals. In this paper, we pointed out the shortcomings of wireless LAN system and cable TV network system in use, for the telemedicine, and wireless LAN module covered more than 30km and a extension system of upstream frequency bandwidth for Cable TV network. Experiments suggested that a low cost and long distance wireless LAN is useful for mountain climber's emergency telemedicine.
著者
澤 繁実 伊藤 秀昭 中村 清彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.341, pp.39-44, 2005-10-10

環境から受け取った利得を主観的にどう評価するかの価値関数について研究したプロスペクト理論(Daniel Kahneman and Amos Tversky, 1979)[1]がある.本研究はこのプロスペクト理論の価値関数がヒトにおいてどのように獲得されたかを考察した.「環境における生き残りやすさ」という概念を導入した生存競争によってプロスペクト理論の価値関数の進化心理学的合理性を説明する.そのモデルを構築して数学的解析を行い, プロスペクト理論で示されるように価値関数がgainsの領域では上に凸となり, lossesの領域では下に凸となる条件を見出した.また, Daniel Kahneman and Amos Tversky (1992)[3]が求めたパラメーターに対して当モデルを適用し, ヒトの意志決定に関していくつかの新しい知見を得た.
著者
中村 登志哉
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大學法政論集 (ISSN:04395905)
巻号頁・発行日
vol.260, pp.189-209, 2015-02-25

本論文は、平成23-26年度科学研究費補助金基盤研究(A)(課題番号23243026)「日米特殊関係による東アジア地域再編の政治経済史研究」の助成を受けた研究成果の一部である。
著者
池田 正幸 中村 常郎
出版者
The Japan Society for Precision Engineering
雑誌
精密機械 (ISSN:03743543)
巻号頁・発行日
vol.32, no.379, pp.539-544, 1966

In this report, frequency analysis on some lapped surface roughness are made. The profiles of turning specimens recorded on a magnetic tape are obtained using the stereo type pick-up which is rewired so as to measure the vertical displacement of its stylus.<BR>The conclusions obtained are as follows;……<BR>1) When logarithmic plot of frequency is taken on the axis of abscissa, frequency analysis curves of lapped surface roughness, that are called spectrum curves, show the Gaussian distribution approximately.<BR>This fact concurs with some results of other investigations on periodicity of lapped surface roughness<BR>2) The frequency corresponding to the peak position of Gaussian curves is considered to be the mean frequency.<BR>3) A constant functional relation between the output voltage at the mean frequency and the center line average roughness is derived.
著者
中村 健太
出版者
The Health Care Science Institute
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.19-37, 2007

医薬・バイオ分野では,大学や公的研究機関の役割が重要である。本稿前半では,TLO法や日本版バイ・ドール法など公的部門に対して導入されたプロパテント政策が,バイオ特許の価値に如何なる影響を与えたかを検討し,特許を介した産学間技術移転の可能性を探った。分析によれば,これらの政策は,大学研究者が自らを出願人として「重要な」研究成果を特許化するように促してはいない。一方,公的研究機関が出願人である特許については,政策導入以降,その価値を高めつつあることが確認できた。すなわち,公的部門を対象としたプロパテント政策は,公的研究機関の研究者と大学に属する研究者の出願性向に対して,異なる影響を与えていると示唆される。後半では,産学連携が活発に行われている米国の事例を対象として,研究提携契約の特徴を検討した。大学から企業へは排他的ライセンス,或いは,排他的ライセンスを前提としたオプションが企業へ与えられることが多い。研究契約には,権利の帰属や特許化の決定主体,特許の維持管理費用の負担など様々な契約項目が存在する。通常,企業・大学共に個々の事項について,最大限の権利獲得を目指すため,両者の利害は一致せず,機会主義的行動も起こりかねない。しかし,成果の排他的ライセンスを所与とすることで,両者は利害の一致を見るため,個別の契約事項に関する交渉は容易であり,研究提携全体としての取引費用は節約される可能性がある。ただし,リサーチツール問題などで象徴的に語られるように,こうした契約形態による技術移転が常に社会的に望ましい効果を持つとは限らない点は十分に留意する必要がある。
著者
山口 義幸 中村 義樹
出版者
社団法人 日本伝熱学会
雑誌
日本伝熱シンポジウム講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.206-206, 2008

硫酸ナトリウム水溶液を芯物質とするマイクロカプセルを調製し,エチレングリコール水溶液に分散させたスラリーの5~30℃における密度変化を測定した.界面重合法によって得られるマイクロカプセルは非常に薄い皮膜が得られる一方その皮膜には透水性があるため,従来は油性分散媒を用いてスラリーとしていた.本研究では,同カプセルを水性分散媒に分散して安定したスラリとする方法,および過冷却の大きな微小カプセルを除去する方法について検討し,得られたスラリーの密度を測定したところ,約10℃で最大密度を示すことが解った.
著者
中村 一樹 竹内 明男 山田 正
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
建設マネジメント研究論文集 (ISSN:18848311)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.59-68, 2004
被引用文献数
2

短い期間に急速に発展を遂げた鉄道網に存在するトンネル群が, 斉に補修を必要とする時期が近づいている. 限りある財源の下に効果的な維持管理を行うために, 管理者はさまざまな方法を模索している.<BR>京浜急行電鉄株式会社 (京急電鉄) においても同様で, 多くのトンネルを所有しているため, 特に効果的かつ経済的な維持管理方法の策定が必要とされている.<BR>そこで, トンネルマネジメントシステム (TMS) の導入を決定し, 構築を開始した.<BR>TMSは, 現在のトンネルの変状状態を「健全度」という定量指標で評価し, 将来の劣化を予測すると共に, 変状原因を推定し, 適切な対策工を適切な時期に適用することができるように管理者の意思決定を支援するシステムで, 健全度評価システム, 変状原因推定システム.劣化予測システム, 対策工選定システムおよび維持管理最適化システムの5つのサブシステムから構成される.<BR>今回は, 管理者が予算配置の意思決定に必要な情報を提供することのみを目的としたバージョン1として, 健全度評価システムに点検を組み入れた「点検および健全度評価システム」と維持管理最適化システムのうちライフサイクルコスト (LCC) を計算する「LCC積算システム」を構築し, TMSの暫定運用を開始した.
著者
伊藤 日出男 林 新 中田 豊久 中村 嘉志 西村 拓一 山本 吉伸 國藤 進 中島 秀之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. UBI, [ユビキタスコンピューティングシステム] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.115, pp.105-110, 2003-11-18
参考文献数
21

我々は低消費電力携帯通信情報端末(マイボタン)を用いた,近距離測位通信システムによる情報サービスの研究を進めている.このシステムでは,端末局は反射率変調による低消費電力情報送信を行い,基地局である測位通信装置は,端末の位置や方向を取得し,赤外空間光通信でサービス情報の送受を行う.本報告では,液晶ディスプレイの背面の散乱板を再帰光反射板に交換した小型PDAを用いた,反射率変調による空間光通信の実装について述べる.
著者
長岡 章平 中村 満行 瀬沼 昭子 関口 章子
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 = Japanese journal of clinical immunology (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.389-397, 2005-12-31
被引用文献数
1 3

1998年8月から2003年12月までの期間中当科において初めてMTXを開始した活動性RA460例(男80例,女380例,平均年齢59.3歳)についてカルテベースにて検討した.MTX投与24週後のACR20改善率61.3%,50%改善率30.4%であり,投与48週までの累積投与継続率は0.567であった.観察期間中260例(56.5%),304回に有害事象を認めた.有害事象のため投与中止した症例は52例,11.3%,死亡例は10例,2.2%であった.1%以上の内訳は,肝機能異常31.7%,感染症6.1%,消化器症状5.0%,口内炎3.9%,血球減少3.5%,骨折3.5%,悪性腫瘍2.6%,間質性肺炎2.0%,脳あるいは心血管障害2.0%,頭痛1.7%,皮疹1.3%,脱毛1.1%であった.有害事象例は高齢者,高Stageに多かった.MTXの有用性が再評価されたが,慎重なモニタリングが大切であると思われた.<br>
著者
浅野 一朗 中村 保幸 星野 宏充 青木 敬司 藤井 繁佳 井村 直人 飯野 久和
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.75, no.10, pp.1077-1083, 2001-10-01
参考文献数
19
被引用文献数
10 29

コーヒー抽出粕の熱加水分解抽出物を脱塩,脱色して精製したマンノオリゴ糖混合物から,活性炭クロマトグラフィーによりβ-1, 4-D-マンノビオース, β-1, 4-D-マンノトリオース, β-1, 4-D-マンノテトラオース, β-1, 4-D-マンノペンタオースを単離精製した.これらのマンノオリゴ糖について,ヒト腸内フローラ構成菌種による資化性を調べた.重合度にかかわらずマンノオリゴ糖は, <i>Bifidobacterium adolescentis</i>と<i>Lactobacillus acidophilus, Lactobacillus gasseri</i>に利用された.一方腸内有害菌にはほとんど利用されなかった.その結果,マンノオリゴ糖にはヒト腸内フローラの改善作用をもっことが期待できると考えられた.