著者
三木 文雄 生野 善康 INOUE Eiji 村田 哲人 谷澤 伸一 坂元 一夫 田原 旭 斎藤 玲 富沢 磨須美 平賀 洋明 菊地 弘毅 山本 朝子 武部 和夫 中村 光男 宮沢 正 田村 豊一 遠藤 勝美 米田 政志 井戸 康夫 上原 修 岡本 勝博 相楽 衛男 滝島 任 井田 士朗 今野 淳 大泉 耕太郎 青沼 清一 渡辺 彰 佐藤 和男 林 泉 勝 正孝 奥井 津二 河合 美枝子 福井 俊夫 荒川 正昭 和田 光一 森本 隆夫 蒲沢 知子 武田 元 関根 理 薄田 芳丸 青木 信樹 宮原 正 斎藤 篤 嶋田 甚五郎 柴 孝也 池本 秀雄 渡辺 一功 小林 宏行 高村 研二 吉田 雅彦 真下 啓明 山根 至二 富 俊明 可部 順三郎 石橋 弘義 工藤 宏一郎 太田 健 谷本 普一 中谷 龍王 吉村 邦彦 中森 祥隆 蝶名林 直彦 中田 紘一郎 渡辺 健太郎 小山 優 飯島 福生 稲松 孝思 浦山 京子 東 冬彦 船津 雄三 藤森 一平 小林 芳夫 安達 正則 深谷 一太 大久保 隆男 伊藤 章 松本 裕 鈴木 淳一 吉池 保博 綿貫 裕司 小田切 繁樹 千場 純 鈴木 周雄 室橋 光宇 福田 勉 木内 充世 芦刈 靖彦 下方 薫 吉井 才司 高納 修 酒井 秀造 西脇 敬祐 竹浦 茂樹 岸本 広次 佐竹 辰夫 高木 健三 山木 健市 笹本 基秀 佐々木 智康 武内 俊彦 加藤 政仁 加藤 錠一 伊藤 剛 山本 俊幸 鈴木 幹三 山本 和英 足立 暁 大山 馨 鈴木 国功 大谷 信夫 早瀬 満 久世 文幸 辻野 弘之 稲葉 宣雄 池田 宣昭 松原 恒雄 牛田 伸一 網谷 良一 中西 通泰 大久保 滉 上田 良弘 成田 亘啓 澤木 政好 三笠 桂一 安永 幸二郎 米津 精文 飯田 夕 榊原 嘉彦 螺良 英郎 濱田 朝夫 福山 興一 福岡 正博 伊藤 正己 平尾 文男 小松 孝 前川 暢夫 西山 秀樹 鈴木 雄二郎 堀川 禎夫 田村 正和 副島 林造 二木 芳人 安達 倫文 中川 義久 角 優 栗村 統 佐々木 英夫 福原 弘文 森本 忠雄 澤江 義郎 岡田 薫 熊谷 幸雄 重松 信昭 相沢 久道 瀧井 昌英 大堂 孝文 品川 知明 原 耕平 斎藤 厚 広田 正毅 山口 恵三 河野 茂 古賀 宏延 渡辺 講一 藤田 紀代 植田 保子 河野 浩太 松本 慶蔵 永武 毅 力富 直人 那須 勝 後藤 純 後藤 陽一郎 重野 秀昭 田代 隆良
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.61, no.8, pp.914-943, 1987
被引用文献数
2

Clavulanic acid (以下CVAと略す) とticarcillin (以下TIPCと略す) の1: 15の配合剤, BRL28500 (以下BRLと略す) の呼吸器感染症に対する有効性と安全性をpiperacillin (以下PIPCと略す) を対照薬剤として, welI-controlled studyひこより比較検討した.<BR>感染症状明確な15歳以上の慢性呼吸器感染症 (慢性気管支炎, びまん性汎細気管支炎, 感染を伴った気管支拡張症・肺気腫・肺線維症・気管支喘息など) およびその急性増悪, 細菌性肺炎, 肺化膿症を対象とし, BRLは1回1.6g (TIPC1.5g+CVA0.1g) 宛, PIPCは1回2.0g宛, いずれも1日2回, 原則として14日間点滴静注により投与し, 臨床効果, 症状改善度, 細菌学的効果, 副作用・臨床検査値異常化の有無, 有用性について両薬剤投与群間で比較を行い, 以下の成績を得た.<BR>1. 薬剤投与314例 (BRL投与161例, PIPC投与153例) 中, 45例を除外した269例 (BRL投与138例, PIPC投与131例) について有効性の解析を行い, 副作用は293例 (BRL投与148例, PIPC投与145例) について, 臨床検査値異常化は286例 (BRL投与141例, PIPC投与145例) について解析を実施した.<BR>2. 小委員会判定による臨床効果は, 全症例ではBRL投与群78.8%, PIPC投与群79.4%, 肺炎・肺化膿症症例ではBRL投与群 (79例) 82.1%, PIPC投与群 (73例) 79.5%, 慢性気道感染症症例ではBRL投与群 (59例) 74.6%, PIPC投与群 (58例) 79.3%の有効率で, いずれも両薬剤投与群間に有意差を認めなかった.<BR>3. 症状改善度は, 肺炎・肺化膿症症例では赤沈値の14日後の改善度に関してPIPC投与群よりBRL投与群がすぐれ, 慢性気道感染症症例では胸部ラ音, 白血球数, CRPの3日後の改善度に関してBRL投与群よりPIPC投与群がすぐれ, それぞれ両薬剤投与群間に有意差が認められた.<BR>4. 細菌学的効果はBRL投与群68例, PIPC投与群57例について検討を実施し, 全体の除菌率はBRL投与群75.0%, PIPC投与群71.9%と両薬剤投与群間に有意差は認められないが, Klebsiella spp. 感染症においては, BRL投与群の除菌率87.5%, PIPC投与群の除菌率16.7%と両薬剤群間に有意差が認められた. また, 起炎菌のPIPCに対する感受性をMIC50μg/ml以上と50μg/ml未満に層別すると, MIC50μg/ml未満の感性菌感染例ではBRL投与群の除菌率69.6%に対してPIPC投与群の除菌率94.7%とPIPCがすぐれる傾向がみられ, 一方, MIC50μg/ml以上の耐性菌感染例ではPIPC投与群の除菌率12.5%に対して, BRL投与群の除菌率は66.7%と高く, 両薬剤間に有意差が認められた.<BR>5. 副作用解析対象293例中, 何らかの自他覚的副作用の出現例はBRL投与群5例, PIPC投与群11例で, 両薬剤投与群間に有意差は認められなかった.<BR>6. 臨床検査値異常化解析対象286例中, 何らかの異常化が認められた症例は, BRL投与141例中45例 (31.9%), PIPC投与145例中28例 (19.3%) で, 両薬剤投与群間に有意差が認められた. 臨床検査項目別にみると, GPT上昇がBRL投与140例中26例 (18.6%), PIPC投与140例中14例 (10.0%), BUN上昇がBRL投与128例中0, PIPC投与127例中4例 (3.1%) と, それぞれ両薬剤投与群間での異常化率の差に有意傾向が認められた.<BR>7. 有効性と安全性を勘案して判定した有用性は, 全症例ではBRL投与群の有用率 (極めて有用+有用) 76.3%, PIPC投与群の有用率の74.8%, 肺炎・肺化膿症症例における有用率はBRL投与群81.0%, PIPC投与群75.3%, 慢性気道感染症症例における有用率はBRL投与群70.0%, PIPC投与群74.1%と, いずれも両薬剤投与群間に有意差は認められなかった.<BR>以上の成績より, BRL1日3.2gの投与はPIPC1日4gの投与と略同等の呼吸器感染症に対する有効性と安全性を示し, とくにβ-lactamase産生菌感染症に対しても有効性を示すことが確認され, BRLが呼吸器感染症の治療上有用性の高い薬剤であると考えられた.
著者
松本 眞一 Shinichi Matsumoto 桃山学院大学社会学部
出版者
桃山学院大学総合研究所
雑誌
桃山学院大学社会学論集 (ISSN:02876647)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.51-74, 2006-02

This study aims to research on child welfare in Canada in two aspects: 1)child welfare in general including the administrative system, as well as child welfare programs and services: 2)the definition of abuse, and the current situation of child abuse and protection in Canada. The study finds that child welfare in Canadian history has been slowly but ceaselessly improved to some extent. The department of social services, or its equivalent, in each province/territory is responsible for the design and delivery of child welfare services under the administrative system of decentralizing the services to communities. The departments are situated within the provincial ministry that deals with social services or health, or in some jurisdictions, children and families. The decentralization of child welfare services has led some jurisdictions to establish community based, non-profit agencies as the primary delivery mode for child welfare and adoption services. These agencies operate under boards of directors according to the administrative statutes and regulations in provincial legislation that pertain to child welfare, public administration or adoption. In each jurisdiction, a wide variety of child and family programs and services are provided. Child welfare programs and services in Canada are divided roughly into four fields: 1)Programs related to family formation, 2)Alternative child care programs, 3)Youth programs, and 4)Family support and child protection programs. Furthermore, 1)Programs related to family formation include (1) adoption services and (2) family mediation services. 2)Alternative child care programs contain (1) home child care, (2) centre-based child care, (3) care by a non-relative in the child's home, and (4) non-market care. 3)Youth programs consist of (1) national stay-in-school initiative, (2) national youth in care network, (3) big brothers/big sisters, and (4) programs for young offenders. And finally, 4)Family support and child protection programs imply (1) strengthening families program, (2) parental support program,(3) parenting skills program, (4) prevention programs, (5) assessment, (6) counseling, (7) day programs, (8) voluntary services, (9) foster care, and so on.
著者
井上 千晶 長島 玲子 松本 亥智江 山下 一也 Chiaki INOUE Reiko NAGASHIMA Ichie MATSUMOTO Kazuya YAMASHITA
出版者
島根県立大学短期大学部出雲キャンパス
雑誌
島根県立大学短期大学部出雲キャンパス研究紀要 (ISSN:18824382)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.9-17, 2010

本研究の目的は尿失禁を有する地域在住一般女性高齢者の特性を明らかにすることである。在宅で生活する65歳以上の女性高齢者82名に対し、聞き取り調査と身体機能測定及び体組成計測を行った。今回は、尿失禁の有無と頻度、自覚的重症度と身体機能、筋肉量との関連を検討した。結果、尿失禁の有無、自覚的重症度と長座位体前屈、尿失禁の頻度とTUG、開眼片足立ち、FRに関連が見られた。また、筋肉量では、体幹筋肉量と尿失禁に関連が見られたが下肢筋肉量の減少と尿失禁に関連があるという結果は得られなかった。身体機能と筋肉量の分析から、尿失禁と体幹筋肉量、バランス機能、柔軟性、歩行能力に関連があることが示唆された。
著者
松本 芳彦
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.468-474, 2014

標準化は工業製品の互換性や品質を確保し,効率的,合理的な生産・流通を図る基盤技術である。最近では,製品の生産・流通のグローバル化により,国際標準化の重要性が高まり,貿易において,各国の国内規格は国際規格を基礎とするように協定されている。日本化学工業協会は,2013年に「化学産業における国際標準化の目指すべき方向」報告書をとりまとめた。本稿では,この報告書作成の背景と記載内容を紹介している。化学産業は,自動車,電子情報機器をはじめ,あらゆる産業に素材を供給しており,特に先端機器に用いられる機能性化学品は産業競争力の源泉であり,この国際標準化は,特許権獲得と同様に戦略的に取り組む必要がある。このための視点と戦略作成のポイントについて,5つの事例分析から概説した。
著者
尾張 聡子 戸丸 仁 松本 良
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2017

<p>表層型ガスハイドレートが胚胎する日本海では複数の海域で海底から湧出するガスバブルが確認されている.潜水調査艇による海底観察から,これらの強度や位置が数日スケールで変化していることが明らかになり,表層型ガスハイドレート近傍の化学環境もガス湧出と同様,短期的に変動している可能性が示唆される.本研究は浸透圧式長期連続採水器(オスモサンプラー)を用いて,ガス湧出の強い上越沖の鳥が首海脚と,ガス湧出の弱い海鷹海脚,湧出が見られない山形沖の鳥海礁(とりみぐり)の3海域で海底下30cmの間隙水を一年間連続的に採水し,一日の解像度で間隙水に溶存する主要イオン(SO42-, Cl-, Na+, Ca2+, Mg2+, K+)とガス(CH4, C2H6)濃度を分析した.</p>
著者
岩下 功平 三宮 克彦 徳永 誠 渡邊 進 野口 大助 中薗 寿人 當利 賢一 當利 綾 大迫 健次 松本 彬 田中 昭成 中井 友里亜
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Bb1192, 2012

【はじめに】 当院における脳卒中片麻痺患者のクリティカルパスは、入院時のFunctional independence measure(以下FIM)を基に、A~Eの5コースに分類している。各コースはそれぞれアウトカム設定が異なり、A、B、Cコースでは退院時移動手段を歩行獲得に設定している。今回、その中でも歩行獲得困難なCコース(入院時FIM70~89点)に関して、退院時の身体機能から歩行獲得に影響を及ぼしている要因を分析したので報告する。【方法】 対象は、当院の回復期リハビリテーション病棟に入棟した初発の脳卒中片麻痺患者でCコースに該当する79例とした。退院時の実用移動手段が歩行であったものを歩行群、歩行以外であったものを非歩行群に分類した。調査項目は、年齢、性別、退院時Fugl-Meyer Physical Performance Scale(以下FM)とした。FMにおいては、股・膝・足関節の随意運動、下肢の協調性・スピード、バランス、感覚、関節可動域、疼痛の6項目のそれぞれの合計点を用いた。FMの評価尺度は、各小項目が3段階で点数化されており、点数が高いほど正常に近いことを意味する。各項目を歩行群と非歩行群の2群間でMann-WhitneyのU検定及びカイ二乗検定を用いて検討した(P<0.05)。次に歩行群と非歩行群の間で有意差のあった項目を独立変数とし、退院時実用歩行の可否を目的変数としてロジスティック回帰分析(Stepwise)を行った。【説明と同意】 当院の倫理委員会の規定に従って承認を得て実施した。【結果】 年齢、性別において、歩行群は、平均年齢66.5±14.2歳、男性45名女性14名、非歩行群は、平均年齢69.4±12.6歳、男性11名女性9名であり、2群間で有意差は認めなかった。FMは、股・膝・足関節の随意運動(歩行群中央27点最大32点最小11点、非歩行群中央17点最大28点最小8点)、下肢の協調性・スピード(歩行群中央6点最大6点最小2点、非歩行群中央4.5点最大6点最小2点)、バランス(歩行群中央12点最大14点最小6点、非歩行群中央8.5点最大11点最小4点)、感覚(歩行群中央20点最大24点最小8点、非歩行群中央13.5点最大24点最小2点)、関節可動域(歩行群中央44点最大44点最小20点、非歩行群中央41点最大44点最小30点)、疼痛(歩行群中央44点最大44点最小20点、非歩行群中央41.5点最大44点最小38点)の全ての項目で歩行群が有意に高かった(P<0.05)。ロジスティック回帰分析においては、FMバランス(p=0.0051、95%信頼区間1.31-3.82、オッズ比2.10)、感覚(p=0.0071、95%信頼区間1.10-1.63オッズ比1.30)が歩行獲得に有意な関連性があった。【考察】 脳卒中片麻痺患者の歩行獲得の要因は、年齢、性別、発症部位、発症から入院までの期間、麻痺側、在院日数、随意運動、感覚障害、高次脳機能障害、認知機能、バランス機能など多様な報告がある。しかし、歩行獲得に関連する諸因子を抽出することは、その病態の多様性から容易でない。本研究においては、入院時FIMが70~89点の脳卒中片麻痺患者に限定しており、歩行群と非歩行群の年齢、性別において有意差を認めず、影響はない。FMは、股・膝・足関節の随意運動、下肢の協調性・スピード、バランス、感覚、関節可動域、疼痛の全項目で有意に点数が高く、身体機能全般において歩行群の能力が高いことがわかった。また、ロジスティック回帰分析により、歩行獲得にはFMのバランス、感覚との関連が高く、歩行獲得に重要な要因であることが示唆された。望月やBohannonらは、脳卒中片麻痺患者の立位バランスが歩行能力に深く関与していると述べており、本研究においてもバランスが歩行獲得に関連する結果となった。しかし、バランス項目の詳細な内容やその他のバランス評価との関連性については言及できず、今後さらに検討していく必要があると考える。歩行獲得と感覚の関連性においては、諸家の意見は様々であった。臨床の現場においても重度の感覚障害患者は歩行獲得に難渋する印象にあるが、推測の域のため今後、詳細に検討していく必要があると考える。【理学療法学研究としての意義】 FMは標準化された脳卒中患者の身体機能評価として世界的に使用されており、その評価を用いて歩行獲得に関与する要因を検討することは重要と考える。また、今回の研究においては、入院時FIM70~89点で歩行予後が判断しにくい症例が、歩行獲得を目指す上でFMのバランスと感覚が1つの指標となる可能性がある。
著者
坂井 陽一 越智 雄一郎 坪井 美由紀 門田 立 清水 則雄 小路 淳 松本 一範 馬淵 浩司 国吉 久人 大塚 攻#橋本 博明
出版者
広島大学大学院生物圏科学研究科
雑誌
生物圏科学 (ISSN:13481371)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.7-20, 2010

瀬戸内海安芸灘に位置する大崎上島の沿岸魚類相について,餌釣りと潜水観察による調査を実施した。ガラモ場の存在する桟橋を中心に調査定点を島の南部北部それぞれに設定し,オキアミ類とゴカイ類を餅に約10名が1時間釣りを行う作業を2007年5月から2008年3月まで隔月で実施し,出現魚類の季節変化を検討した。また,2007年5月から7月にかけて,屋代島から竹原までの安芸灘広域に9ゾーン26調査点を設け,同様の調査を実施し,出現魚類の水域ゾーン間の相違を検討した。本調査により総計29科63魚種を記録した。そのうち高水温期にのみ出現する南方系魚種は4種のみであった。記録した魚種の76%(48種)は伊予灘で記録されているものであった。一方,宇和海での魚類相データとの魚種共通率は30%前後に留まり, 安芸灘を含む伊予灘以北の水域が生物地理学的に中間温帯区(西村, 1981)と定義されていることの妥当性が裏付けられた。大崎上島において周年および冬期を除き常時記録されたのは,カサゴ,メバル,ハオコゼ,クジメ,アサヒアナハゼ,マダイ,ウミタナゴ,スズメダイ,メジナ,コブダイ,ホシササノハベラ,キュウセン,ホンベラ,クラカケトラギス,ホシノハゼ, イトヒキハゼ,ヒガンフグ,コモンフグであった。これら18魚種の多くは安芸灘広域調査においても広く出現が認められ,安芸灘の浅海魚類群集の基本構成種と考えられた。ホシササノハベラは愛媛県中島周辺水域での出現頻度が極めて高く,同様の安芸灘における主要な個体群が安芸灘南西エリアに存在する可能性が示唆された。また,過去に瀬戸内海での記録のないホシノハゼが安芸灘広くに確認され,急速に分布拡大を進めていることが示唆された。
著者
松永 安由 松本(高木) 来海 山下 舞亜 森(木津) 久美子 廣瀬 潤子 冠木 敏秀 酒井 史彦 成田 宏史
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.105-113, 2019 (Released:2019-06-14)
参考文献数
27

乳児の経口免疫寛容の誘導に関して母親へのプロバイオティクス投与の有効性が報告されている。本研究では, 母親マウスにLactobacillus gasseri SBT2055 (LG2055) と食物抗原を同時に投与し, その母乳で育った仔マウスの免疫寛容応答に与える影響を評価した。雌マウスにカゼイン食 (C群) , 卵白食 (E群) , 卵白+LG2055食 (E+LG群) を交配前から離乳まで摂取させ, 仔マウスには離乳後にオボアルブミン (OVA) を抗原としたアレルギー性下痢誘発試験を行った。その結果, 仔マウスの下痢発症率はE群に比べてE+LG群で有意に低下した。また, LG2055を投与した母親マウスの母乳中の総IgA濃度とOVAと特異的IgAの免疫複合体 (IgA-IC) 濃度が有意に増加した。以上より, 母親のLG2055摂取は仔マウスの経口免疫寛容を増強した。この増強には母乳中のIgA-ICが関与することが示唆された。
著者
米田 浩久 實光 遼 松本 明彦 岩崎 裕斗 金子 飛鳥 守道 祐人 鈴木 俊明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101928, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに】課題指向型の運動学習条件としてpart method(分習法)とwhole method(全習法)がある(Sheaら,1993)。このうち分習法は獲得する動作を構成する運動要素に区分して別々に練習する方法であり、全習法は獲得する動作をひとまとめに練習する方法である。全習法は分習法と比較して学習効果が高く、運動学習の達成度は早い。これに対して分習法は学習した運動の転移が可能なことから難易度の高い運動に有用であるが、獲得から転移の過程を経るため全習法よりも時間を要する。一方、理学療法では早期の動作再獲得を図るため障害された動作の中核を構成する運動を選択的かつ集中的にトレーニングする分習法を採用することが多く、1 回あたりの治療成績は全習法よりもむしろ分習法の方が良好であり、早期に改善する印象がある。そこで今回、分習法による早期学習効果の検討を目的にバルーン上座位保持(バルーン座位)による下手投げの投球課題を用いて全習法と分習法による運動学習効果を比較検討した。【方法】対象者は健常大学生24 名(男子19 名、女子5 名、平均年齢20.4 ± 0.4 歳)とした。検定課題は以下とした。両足部を離床した状態でバルーン(直径64cm)上座位を保持させ、2m前方にある目標の中心に当てるように指示し、お手玉を非利き手で下手投げに投球させた。バルーン上座位は投球前後に各5 秒間の保持を要求し、学習課題前後に各1 回ずつ実施した。目標から完全にお手玉が外れた場合と検定課題中にバルーン座位が保持できなかった場合は無得点とした。目標は大きさの異なる3 つの同心円(直径20cm、40cm、60cm)を描き、中心からの16 本の放射線で分割した64 分画のダーツ状の的とした。検定課題では最内側の円周から40 点、30 点、20 点、10 点と順次点数付けし、その得点をもって結果とした。学習課題は3 種類の方法を設定し、それぞれA〜C群として無作為に対象者を均等配置した。全群の1 セットあたりの練習回数は5 回、セット間の休憩時間は1 分とした。A群では検定課題と同様の方法でバルーン上座位保持による投球をおこなわせた。実施回数は主観的疲労を感じない回数として12 セット実施した。B群は、まず椅座位での投球を6 セット実施した後、バルーン上座位を6 セット実施した。C群では椅座位での投球とバルーン座位を交互に6 セットずつ実施した。学習課題ではお手玉が当たった分画の中央の座標を1 試行ずつ記録し、中心からの距離と方向とした。得られた結果から、検定課題では学習前後での得点の比較をおこない、学習課題では各群の成功例を基に投球結果座標による中心からの平均距離を標準偏差で除した変動係数とセット間の平均距離の比の自然対数を基にした変動率による比較をおこなった。統計学的手法は、検定課題では学習前後の結果比較に対応のあるt検定を用い、A〜C群の比較として検定・学習課題ともにKruskal-Wallis検定とBonferroni多重比較法を実施した。有意水準は5%とした。【倫理的配慮】対象者には本研究の趣旨と方法を説明のうえ同意を書面で得た。本研究は関西医療大学倫理審査委員会の承認(番号07-12)を得ている。【結果】学習課題前後の検定課題の平均得点(学習前/学習後)は、A群11.3 ± 16.4/26.3 ± 15.1 点、B群6.3 ± 9.2/33.8 ± 7.4点、C群10.0 ± 15.1 点/18.8 ± 16.4 点であり、B群で有意な学習効果を認めた(p<0.01)。学習課題中の投球結果の変動係数はA群19.67 ± 1.06、B群8.42 ± 0.49、C群13.50 ± 1.24 で、A群に対してB群で有意な減少を認めた(p<0.05)。また、学習中の投球結果の変動率は群間で有意差は認められなかったものの、他群に対してB群で安定する傾向を認めた。【考察】Winstein(1991)は、分習法はスキルや運動の構成成分を順序付ける過程の学習であるとしており、運動全体の文脈的な継続性を考慮して動作を学習させる必要があるとしている。本研究ではB群によって検定・学習課題とも他群に比べて良好な結果を得た。B群では分習法により投球とバルーン上座位を各々別に集中して学習したが、運動学習中の変動係数の減少と変動率の安定化を認めたことから、バルーン上座位での投球の重要な要素である動的姿勢を集中的に獲得できたことが全習法に対して効果が得られた成因であることが示唆された。【理学療法学研究としての意義】本研究の結果から運動学習課題の設定によっては、全習法よりも学習効果が得られる事が示唆された。特に運動時の姿勢の改善を目的とする学習課題を分習法に組み込むことによって学習効果が向上する可能性があり、理学療法への分習法の応用に有用であると考えられる。
著者
大里 雄一 杉村 博 松本 一教
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第24回全国大会(2010)
巻号頁・発行日
pp.1B34, 2010 (Released:2018-07-30)

パスファインダーとは,図書資料の情報を提供するツールであり,図書館員によって作成や管理,保守を行うので,そのコストは大きい,インターネット検索やWikipediaは低コストで利用できるが,情報の品質は保証されておらず,情報の真偽を判断する能力が必要となる.本論文では,ユーザ参加型として集合知を利用する知識収集体系を組み込み,維持コスト低減を実現するパスファインダーシステムを提案する.
著者
川井 正弘 松本 孝芳 升田 利史郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.2, pp.108-114, 1994
被引用文献数
1

アルギソ酸はβ-1,4結合したbマンヌロン酸(以下Mと略す)とα-1,4結合したL-グルロン酸(以下Gと略す)から構成される酸性高分子多糖である.著者らはアルギン酸-酢酸水溶液系でゲルが形成されること,また,そのゲル化濃度はアルギン酸分子中のマンヌロン酸/グルロン酸比に影響されG成分に富んだアルギン酸がより低濃度でゲル化すること,さらに,その原因はG成分に富んだアルギソ酸の方が分子鎖が剛直であるためであることを明らかにした.他方,アルギン酸水溶液に適当な二価金属イオソを添加すると溶液がゲル化することはよく知られている.著者らは,アルギン酸水溶液をゲル化するに要する添加塩量がSrCl<SUB>2</SUB><CaCl<SUB>2</SUB><MgCl<SUB>2</SUB>の順で増加し,G成分に富んだアルギン酸の方が少ない添加塩量でゲル化することを見つけた.また,それらの原因はアルギン酸に対する二価金属イオソの親和性がSr<SUP>2+</SUP>>Ca<SUP>2+</SUP>>Mg<SUP>2+</SUP>の順で減少するためと,G成分に富んだアルギン酸の方が二価金属イオンに対する親和性が高いためであることを示した.本報文では,上記の結果を総括し,さらに,アルギソ酸水溶液をCaCl<SUB>2</SUB>,SrCl<SUB>2</SUB>でゲル化した時のゲル化点の構造を小角X線散乱測定を通して明らかにする.
著者
中田 英二 大山 隆弘 馬原 保典 市原 義久 松本 裕之
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.71-82, 2004-06-10 (Released:2010-02-23)
参考文献数
29
被引用文献数
9 13

海底下に掘削された岩盤坑道において, 堆積岩試料を採取しその浸水崩壊特性について調査を行った. この結果, 海底下坑道で採取した堆積岩 (粗粒砂岩, 細粒砂岩, 砂質泥岩) は, 一度乾燥させたのち, 蒸留水に浸水させた場合, 崩壊して砂, 泥状になるものが多いことが明らかになった. 一方, 同じく乾燥させた試料を塩水に浸水させた場合, 崩壊しないことが明らかとなった. また採取した試料のうち, 方解石を含有する岩石は蒸留水中でも浸水崩壊しなかった. 海底下のようにNaイオンに富み, スメクタイト含有率が1.5wt%以上の岩石は浸水崩壊しやすく, 透水係数は粘性係数の大きな塩水を通水した方が, 蒸留水を通水した場合よりも大きくなる傾向が認められた. 蒸留水による透水試験終了後, CaCl2溶液を通水させた試料は, 浸水崩壊を起こさなかったことから, 岩石の力学的性質は間隙水に溶存するイオンの種類や濃度, 粘土鉱物の量と層間イオンの種類により異なると考えられた. 地下深部の利用に際しては水質が力学的性質へ与える影響も考慮しておくことが重要と思われた.
著者
松本 哲一 中野 俊 古川 竜太 山元 孝広
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所 地質調査総合センター
雑誌
地質調査研究報告 (ISSN:13464272)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.153-163, 2018-08-10 (Released:2018-08-29)
参考文献数
21
被引用文献数
3

山形・福島県境に位置する第四紀の大型複成火山である吾妻火山について,同位体希釈法による38溶岩試料のK–Ar年代測定を行い,火山活動の時間的空間的変遷を明らかにした.吾妻火山は安山岩の溶岩流が主体の火山であり,一部の火山体を除き,岩石学的にはほとんど区別できない.年代測定に基づき,完新世に形成された浄土平火山を含め,12の火山に区分した.最も古い活動は 1200 ka 頃に東側で開始し,徐々に西方へ移動し,700 ka 頃に西端で活動,その後,再び東側に時間をおって活動中心が移動している.従来は,吾妻火山の活動は300 ka 以降,完新世の活動までの長い休止期が存在するとされていたが,その期間にも活動は継続しており,現在まで長い休止期を挟まずにほぼ継続的に活動が続いていることが明らかになった.