著者
西川 大志 松永 美希 古谷 嘉一郎
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.84, no.5, pp.451-457, 2013-12-25 (Released:2014-03-01)
参考文献数
40
被引用文献数
7 1

This study investigated the effects of rumination (reflective pondering and brooding) on automatic thoughts (both negative and positive) and depressive symptoms. University students (N=183; 96 men) completed the Self-Rating Depression Scale (SDS), Automatic Thoughts Questionnaire-Revised (ATQ-R), and Response Style Scale (RSS). We conducted a path analysis which included gender as a factor. The results revealed that brooding was associated with negative automatic thoughts. Negative automatic thoughts contributed to the aggravation of depressive symptoms. In contrast, reflective pondering was associated with positive automatic thoughts. Positive automatic thoughts contributed to the reduction of depressive symptoms. These results indicate that rumination does not affect depressive symptoms directly. We suggest that rumination affects depressive symptoms indirectly through automatic thoughts, and that there are gender differences in the influence process.

10 0 0 0 OA II.橋本脳症

著者
米田 誠 松永 晶子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.106, no.8, pp.1550-1554, 2017-08-10 (Released:2018-08-10)
参考文献数
17
被引用文献数
1

橋本脳症の精神・神経症状(脳症)は多彩であるが,臨床的特徴を知ることで診断できる.橋本脳症は,急性脳症,慢性精神病ならびに小脳失調等の病型をとる.鑑別としては,粘液水腫性脳症,脳炎,認知症,脊髄小脳変性症が挙げられる.血清の抗NAE(anti-NH2 terminal of alpha-enolase)抗体の特異度は90%と高いが,感度は約50%程度である.脳波の基礎律動の徐波化や脳SPECT(single photon emission computed tomography)の血流低下が高頻度にみられる.多くの患者はステロイドが奏効する.橋本脳症を念頭に置き,日常診療に潜む患者を見逃さないことが肝要である.
著者
植田 弘師 松永 隼人 永井 潤 水田 賢志 田中 義正 水谷 龍明 内田 仁司
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

LPAシグナルは神経障害性疼痛、線維筋痛症モデルの形成と維持機構の共通鍵分子である事を明らかにし、創薬標的分子に対する阻害剤探索やin slico解析、最適化合成を行った。慢性疼痛は免疫系を含む複数のフィードフォワード機構により構成されることを見出したので、特異的薬剤処置やLPAプライミングした培養アストロサイト、iPS細胞、T細胞をin vivo疼痛機構に再構成する研究を実施した。その結果、ミクログリアLPA3受容体-サイトカインによる形成・維持機構、アストロサイトLPA1受容体-ケモカインによる維持機構が主な仕組みであることが明らかになった。
著者
松永 伸太朗 永田 大輔
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.89-101, 2021-11-10 (Released:2023-11-10)
参考文献数
16

アニメ産業において制作者が用いるスキルは客観的な形式で表現されないが,同業者内では理解可能な形で共有されているという特徴を有する。本稿では,評価の基準が変わりながらその都度の状況に適切な判断がなされることを意味する「浮動する規範」という考え方に依拠しながら,アニメ制作者の語りに基づいて彼らが理解する実力の内実を明らかにした。その結果,同じ監督層であっても,工程全体を見渡すことを経験した制作進行や撮影職出身者と,作画や映像表現に特化したアニメーター出身者では準拠集団が異なっており,それによって異なる技能観を有していることが明らかになった。さらに,アニメーター同士のスキルはそれぞれ自らを他者から差異化することに形式として理解可能なものとなっていた。こうした知見に基づき,客観化されず関係性に基づくスキルであっても,OJTを通したスキル形成が重要性を持つことを示唆した。
著者
佐原 直日 北原 信介 松永 貴志 小林 誠一郎 藤井 知紀 大野 伸広
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.1530-1534, 2022 (Released:2022-12-08)
参考文献数
15

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はしばしば微小血管における血栓形成を助長し重要臓器を障害する。今回COVID-19に後天性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)を合併した症例を報告する。症例は全身性エリテマトーデスの既往のある44歳男性。COVID-19を発症時に溶血性貧血と著明な血小板減少を認めた。ADAMTS13活性が測定感度以下でADAMTS13 inhibitorを検出したため後天性TTPと診断した。失語,見当識障害,せん妄などの動揺性精神神経症状が出現したが血漿交換,prednisolone, rituximabを投与し改善した。COVID-19にTTPを合併した報告は少なく本邦では本症例が初めてとなる。TTPは稀ではあるがCOVID-19の重要な合併症の一つで速やかに診断し早期に治療を開始することが重要と考えられた。
著者
川村 軍蔵 松永 ふうま 田中 淑人
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.542-546, 2002-07-15 (Released:2008-02-01)
参考文献数
10
被引用文献数
1 2

孵出直後のアカウミガメとアオウミガメは特定の波長の光に走光性を示し,アオウミガメの錐体は3種の感光色素をもつことが知られており,これらはウミガメが色覚をもつ可能性を示す。筆者らは弁別学習実験でアカウミガメの色覚を確認した。孵出後23日目の稚ガメと3才の個体を,それぞれ緑パネルと赤パネル,緑球と黒球の弁別を学習させ,学習完成後に赤パネルと黒球を明度の異なる3段階の灰色と置換して移調試験を行った。移調試験で3才個体は絶対選択反応(正選択率80-100%)を,稚ガメは移調色に関わらず一貫性のない絶対選択反応とランダム選択反応(正選択率40-100%)を示したことより,両者は色覚をもつが稚ガメの色覚は未熟であると結論された。
著者
松永 寛明
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.86-102, 2000 (Released:2017-03-30)

This study analyzes the relationship between the abolition of punishment in public space and social changes in Japan. Penal system in Edo period functioned to maintain the status order and then punishing people in public was indispensable to restore broken status order because symbolic event of violence to the offender's body revived social consciousness of the large social distance between offender and victim. Modernization and collapse of status order in Meiji period forced feudal penal system changed. Punishment vanished from public place because of Ritsu-ryou system introduced. The system was soft on criminals but it is not very important. Behavior and consciousness of intellectuals and statesmen who aspire to rationalize penal system represented a more important factor that they reflected changing social order; punishment in public space had been invested with a "punishment" meaning for rigid status order existing and it became a cruel behavior when status order collapsed. As a consequence, the feudal relics had been abolished in twelve years.
著者
河崎 陽一 松永 尚 千堂 年昭
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.286-290, 2009 (Released:2010-07-30)
参考文献数
18
被引用文献数
3 3

The hazardous effects of insoluble microparticles generated in injections has been a matter of concern for some time and recently,plastic ampoules have been developed for injection containers as a means of decreasing particle contamination on opening ampoules.To our knowledge,as no studies have been done on insoluble microparticle contamination arising when plastic ampoules are opened,we performed the present study to compare particle contamination from glass ampoules on opening with that from plastic ones and assessed the contribution of the ampoule material to particle generation.We observed that insoluble microparticle contamination from plastic ampoules was significantly lower than that from glass ampoules and therefore conclude that the amount of insoluble particles appears to be relatedtothematerialoftheampouleand recommend using plastic ampoules to prevent microparticle contamination.
著者
太田 充彦 蟹江 太朗 松永 眞章
出版者
公益財団法人 産業医学振興財団
雑誌
産業医学レビュー (ISSN:13436805)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.1-12, 2022 (Released:2022-05-01)

がん患者の生存率は増加傾向にあり、復職できるがんサバイバーは増えている。日本におけるがんサバイバーの復職率を明らかにした先行研究は乏しく、バイアスにより過大評価されている可能性もある。がんサバイバーの抑うつ状態が就労によって改善するかについて、先行研究の結果は一定していない。がんサバイバー労働者は、主観的健康感や身体的機能の低下を訴える割合が高いことが報告されている。がんサバイバー労働者を対象とした、がん関連疲労に関しても研究がさらに行われるべきである。
著者
種村 一識 松永 哲郎 山崎 英恵 李 子帆 城尾 恵里奈 足達 哲也 近藤 高史 津田 謹輔
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.113-121, 2012 (Released:2012-07-13)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1 1

コーヒーの様々な生理機能が注目されているが,消化管への作用に関しては不明な点が多い。そこで,コーヒー摂取による胃運動および自律神経活動への作用を検討した。検査日0時から絶食した男性(21.3±0.3歳;常飲者12名,非常飲者12名)24名を対象に,コーヒー,カフェインレスコーヒーまたはお湯(260mL)をロールパン(285kcal)とともに摂取させるクロスオーバー試験を実施した。評価は胃電図解析および心拍変動解析により行い,胃電図は空腹時18分間と食後45分間,心拍変動は空腹時と食後35分後の各10分間測定した。コーヒー摂取でお湯と比べて食後10-20分の胃電図の正常波パワーが有意に高値を示した。また,コーヒー摂取時のみ自律神経活動指標値が有意に増加し,この効果はコーヒー常飲者(≧1cup/日)で顕著であった。本結果から,コーヒーは胃運動と自律神経活動を亢進させることが示唆された。
著者
鈴木 祐志 松永 敬子 長積 仁
出版者
大阪体育大学
雑誌
大阪体育大学紀要 (ISSN:02891190)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.80-94, 2007-03

本研究の目的は、ヴィッセル神戸が中核的な戦略として掲げているサッカースクール事業の満足度に注目し、特に「満足」と回答しているスクール生の保護者の分析をスクール別に進めることにより、プログラムのクオリティを維持発展させるための事業戦略を検討するための基礎的資料を得ることである。ヴィッセル神戸サッカースクールに所属するスクール生の保護者を対象に質問紙調査を実施した。質問紙調査は、972部を配布し、589部を回収、回収率は60.6%であった。各スクールごとに分析を行った結果、以下のプログラム改善点が示唆された。北神戸校は、能力にあった指導と積極的に取り組む姿勢。学園校は、コーチング全般。ウイング校は、技術の向上と自主性。玉津校は、我慢強さ。川西校は、サッカー全般・自主性。ニッケ校は、コーチング全般と自主性。小野校は、能力に合った指導と自主性が必要であった。
著者
松永 伸司
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.97-108, 2013-12-31 (Released:2017-05-22)

When describing player's actions in videogame playing, we often use the sentences which seem to say that the player performs her actions within a fictional world. But it seems to be impossible for a real individual to act in a fictional location. Here is a puzzle. This paper attempts to analyze such sentences and solve this ontological puzzle. First, I examine some possible answers. Immersionism takes the sentences as expressing the player's experiences of immersion. Virtualism assumes that the sentences refer to players' actions within not fictional but virtual worlds. Realism says that the apparently fictional actions are really real. Fictionalism claims that the sentences are not true but fictionally true. I show that all of these are far from satisfactory. Then, I turn to two more sophisticated theories. Grant Tavinor's interactive fiction theory invokes Waltonian work-world/game-world distinction to account for the peculiarity of videogame fiction. John Sageng offers a realist theory according to which player's actions induce reference shifts from fictional happenings to on-screen happenings. But both have some fault as well. Finally, I claim that the apparently fictional actions are as real as actions in traditional games are, though specified by on-screen signs individuated by their fictional contents.
著者
相川 佳子 松田 聡 川上 和彦 中井 勝彦 木村 浩三 野中 雅彦 尾田 典隆 新井 賢一郎 松永 篤志 今村 茂樹
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.53-57, 2019 (Released:2019-01-30)
参考文献数
6
被引用文献数
1

保存的治療で改善をしない慢性裂肛患者への局所用カルシウムチャンネルブロッカー軟膏(以下ニフェジピン軟膏)の有効性と安全性に対する検証的臨床研究を行った.慢性裂肛患者40例に対してニフェジピン軟膏を使用し,疼痛(Face Scale;以下FS)と肛門内圧(以下MRP)を評価した.評価対象は32例であった.疼痛FSは,排便時・安静時共に治療前後で有意に低下した.手術に移行した症例を無効群,それ以外を有効群とすると,その有効率は87.5%であった.無効群のMRPは有効群に比べ有意に高かったが,治療前後でのMRPの有意な低下は認めなかった.副作用は1例に頭痛を認めた.ニフェジピン軟膏の機序として,肛門局所の平滑筋を弛緩させ,MRPを低下させ,創治癒を促進すると考えてきた.しかし,本研究で疼痛の有意な改善を認めたが,MRPは低下しなかったことから,MRP以外に疼痛を改善する要素がある可能性が示唆された.
著者
戸澤 杏奈 松永 美希 土屋 政雄 中山 真里子 熊野 宏昭
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
pp.21-028, (Released:2022-12-07)
参考文献数
25

本研究の目的は、日本語版Work-related Acceptance and Action Questionnaire(WAAQ)を作成し、その信頼性と妥当性を検討することであった。研究1では、日本語版WAAQを作成し、就業者180名を対象に構造的妥当性、内的一貫性、仮説検証(収束的妥当性)を検討した。その結果、日本語版WAAQが高い内的一貫性、一部の構造的妥当性および収束的妥当性を有していることが示された。研究2では、就業者2,071名を対象に構造的妥当性、仮説検証(収束的妥当性とサブグループ間の比較)を検討し、うち320名を対象に再検査信頼性と測定誤差を検討した。その結果、日本語版WAAQが高い収束的妥当性、十分な構造的妥当性を有していること、年代、業種、職種におけるサブグループ間を比較すると小さな効果量が見られること、また測定誤差が示された。一方、再検査信頼性には課題が残された。