著者
小林 仁
出版者
財団法人大阪市博物館協会
雑誌
若手研究(S)
巻号頁・発行日
2007

隋唐時代の俑に関して紀年墓を中心とした出土資料の調査、撮影を実施し、豊富なデータを蓄積しながら各時代各地域の俑の特質について考察を行った。それらの資料を基に、美術史的観点から隋唐時代の俑の様式変遷と地域性の解明を行い、従来注目されることの少なかった地域の様相を明らかにするなど多くの成果を得た。さらに、陶磁史的視点から制作技法や製品の流通の問題などを明らかにし、俑研究の新たな可能性を提供することができた。
著者
林 典生
出版者
南九州大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2008

手のひらを用いた園芸活動評価システム構築を目指すとともに、活動現場における園芸活動システム活用の可能性について検討した。その結果、園芸活動の効果を引き出すのは情報共有であることが明らかになり、園芸活動は利用者を中心として、様々な分野の人が関わるチームアプローチであり、その中でコミュニケーション、コラボレーション、コーディネーションの3つの視点が必要である。その視点がないと園芸活動評価システムを構築しても活用が難しいことが明らかになった。
著者
林 博友 趙強福
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.8, pp.2878-2889, 2008-08-15

ニューラルネットツリー(NNTree)は各中間ノードに小規模なニューラルネット(NN)を埋め込んだ決定木(DT)である.NNTreeの利点としては,フル結合型NNと比べ構造学習およびハードウェア実現に適していることと,通常の単一変量DTと比べ汎化能力が高いこと等があげられる.しかし,NNTreeの生成は難しい問題であり,NNはたとえ1個のニューロンしか含まないときでさえ,各中間ノードの最適なテスト関数を求めることはNP完全問題である.この問題を解決するために我々は遺伝的アルゴリズム(GA)に基づくNNTreeの生成方法を試みたが,この方法は非常に時間がかかるため容易に使用できない.NNTreeを高速に生成するために,本論文で我々は新しいアルゴリズムを提案する.このアルゴリズムでは,まず各中間ノードに割り当てたデータのグループラベルを発見的な方法で定義し,そして,教師付き学習を用いてテスト関数を求める.提案方法の有効性は,複数の公開データベースを用いた実験によって実証された.Neural network tree (NNTree) is a decision tree (DT) with each internal node containing a small neural network (NN). Although NNTree is a model good for structural learning and for hardware implementation, it is difficult to induce suitable structure of NNTrees. Even if each NN contains only one neuron, the problem for finding the optimal test function in each internal node is NP-complete. To solve this problem, we have tried to induce the NNTrees using genetic algorithm (GA). The GA-based approach, however, is very time consuming, and cannot be used easily. In this paper, we propose a new algorithm for inducing NNTrees quickly. The basic idea is to define the group labels for the data assigned to each internal node based on some heuristic rules, and then find the test function through supervised learning. The efficiency of the proposed algorithm is proved through experiments on several public databases.
著者
青木 幸昌 佐々木 康人 平岡 真寛 名川 弘一 斎藤 英昭 花岡 一雄 中川 恵一 青木 幸昌 澤田 俊夫 小林 寛伊
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

術中照射専用可動型電子線照射装置が完成した。電子線エネルギーは4,6,9,12MeVのいずれかを選択可能で、出力は最大10Gy/分、照射野は直径3-10cmが可能である。既存の手術場内に設置して、一人による装置の移動が可能である。米国、カルフォルニア大学において、臨床治験を開始した。同施設において、漏洩線量を測定した結果、1週間に12例、2400Gyを照射して、手術室周囲の最大検出線量は、室外のドア表面で72μシ-ベルトであった。従って、室内を放射線管理区域に設定することによって、追加遮蔽を要さないことが確認された。電子線エネルギーが大きくなるに従って、漏洩線量も増加することが示された。実際の運用は以下のようなものとなる。先ず、装置の保管室から手術場へ移送する。装置を規定の場所に設置し、ケーブル類をとりつけた後、QAに関するチェックを行う。この段階で放射線治療スタッフは一旦退出し、外科スタッフが装置にプラスティックキャップとドレープで装置を覆う。外科操作が完了すると、放射線治療スタッフとともに、使用アプリケータを選択する。手術台を照射装置まで移動させる。放射線スタッフがアプリケータを照射装置にドッキングさせ、照射線量と電子線エネルギーを決定する。スタッフは保管室に入り、モニタをテレビで観察しながら、約2分の照射を行う。この後、必要に応じて、手術操作を継続する。本装置を規制する法規として、科学技術庁関係の放射線障害防止法と厚生省関係の医療法について検討を行った結果、放射線障害防止法では装置の移動に関する問題はなく、放射線管理区域設定上の運用が問題となるのみと考えられるのに対して、医療法では、診断用高エネルギー放射線発生装置は決められた使用室で使用するとされており、今後の重大な検討項目となった。
著者
築添 明 林田 隆則 安浦 寛人 平川 和之 伊藤 文章 村上 貴志 久住 憲嗣 中西 恒夫 福田 晃
出版者
Japanese Society for Engineering Education
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.38-42, 2006-09-20
参考文献数
4
被引用文献数
2 1

The Silicon Sea Belt Fukuoka Project was pushed forward in Fukuoka Prefecture in 2001 and has promoted human resource development of System LSI design engineers. Under liaising of industry, academia and government, "College of System LSI, Fukuoka" was founded and QUBE (Q-shu University hardware/software Borderless system design Education program) has been started aiming to establish education system for working engineers. In this paper, results of our challenge and future prospects are described.
著者
高橋 悠子 中村 任 守屋 友加 白木 孝 林 伸英 熊谷 俊一 岡村 昇 八木 麻理子 竹島 泰弘 松尾 雅文 栄田 敏之 奥村 勝彦
出版者
日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.11, pp.1111-1116, 2006-11-10
参考文献数
23

Recently, high dose gentamicin (GM) has started to be used for the treatment of Duchenne muscular dystrophy (DMD). Previously, since the intravenous infusion of GM for 1h once a week at a dose of 7.5mg/kg/day had caused no significant adverse events in a course of therapy lasting 6 months, we decided to try conducting such therapy for four courses in the present study. We continuously assessed renal function by monitoring serum creatinine, serum cystatin C (Cys-C), serum urea nitrogen (BUN), urinary β_2-microglobulin and urinary N-acetyl-β-D-glucosaminidase (NAG) activity. Serum creatinine levels were found to be much lower than the normal range, while, at 0.65 to 0.78μg/mL, serum Cys-C levels, were within the normal range and so was BUN, suggesting that the glomerular filtration rate in the DMD patients receiving GM therapy was being maintained in the normal range. Therapeutic drug monitoring of GM indicated that it was being rapidly eliminated from the systemic circulation though a slight elevation of urinary NAG activity in 1 patient indicated the possibility of impaired renal proximal tubules. It will thus be necessary to optimize our patient management strategy.
著者
田代 順孝 木下 剛 赤坂 信 小林 達明 柳井 重人 古谷 勝則
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

最終年度である平成18年度は,地区スケールの緑の配置計画の可能性について検討を行うとともに,これまでの研究成果をとりまとめて研究の総括とした。住宅地と街路空間を対象として放射エネルギー分布図を作成することにより,夏季の高温化を促進する土地被覆と冷却効果を持つ土地被覆を特定し,その効果を定量的に把握することができた。さらに,放射エネルギー分布図を利用して,温熱環境(または温熱景)制御のために,緑の配置によって蓄熱する景観要素をコントロールすることの可能性についての知見が得られた。中高木を植栽して緑陰を確保するとともに,土地被覆を芝生や裸地とすることで,地中への蓄熱を軽減することが予測された。また,表面温度と周囲の気温との温度差が大きく,放射熱伝達が大きい場合は発生源(各要素)から出る放射エネルギーに対して,適切な緑を配することで軽減できることが明らかとなった。さらに,熱帯地方における日影変化・樹木形態(樹種や植栽密度の違いによる)・緑陰効果からみた緑陰地の特性について検証し,温熱景制御に資する緑の配置パターン(植栽デザイン)について明らかにした。具体的には,緑陰エリアは日中,樹冠と同程度の最小限の日影をつくり出すことから,人々の活動をサポートするための緑陰空間は日中において特に考慮されるべきである。緑陰地の空間形態は樹木のサイズ(樹高と樹冠により中規模,大規模,極大規模)によって規定される。全緑陰(Full Shade)は密植(暗い緑陰と樹冠の重層)により形成され,非全緑陰(Not Full Shade)は疎林(やや暗い緑陰と樹冠の接触)によって形成される。また,分離植栽は緑陰を形成しない(樹冠が離れており地表は明るい)。葉と枝張りの密度の濃い緑陰樹は緑陰地のデザインにおいて特に適している。緑陰空間の特性は,熱帯地方の特に日中,太陽が南中した際に重要な役割を果たす日影に重要な影響を及ぼす。日影の継続は人々の活動に高い快適性をもたらすことができた。以上の結果から,温熱景制御に資する地区スケールでの緑の計画の在り方について有用な知見を得た。
著者
河田 惠昭 林 春男 柄谷 友香 寶 馨 中川 一 越村 俊一 佐藤 寛 渡辺 正幸 角田 宇子
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

フィリッピンのイロコス・ノルテ州を流れるラオアグ川を対象として,発展途上国の開発と防災戦略の事例研究を実施した.この州とラオアグ市にとってはコンクリート製の連続堤防はいくつかの点で歓迎すべき構造物である.それは,台風のたびに発生していた洪水や浸水から開放されること,第二に旧河道や氾濫原において氾濫を」前提としない開発が可能になること,第三に頻繁な維持管理を必要としない構造物は,行政の維持管理能力の低さを補うことができることである.しかし,異常な想定外の外力が働いた場合,氾濫を前提としない開発や生活が被災し,未曾有になる恐れがある.援助側の技術者は,非構造物対策,すなわち,1)構造物を長期にわたって維持管理するための対策,2)住民の防災意識を高めるための対策,3)気象情報の収集と伝達,危険地域の把握,避難勧告など被害抑止のための対策,4)救援活動など被害軽減のための対策が含まれることを知らなければならない.すべての対策において,援助が何らかの役割を果たすためには,まず行政や住民の災害への対応の現状と過去を知る必要がある.調査期間中,台風が来襲し,堤防が決壊し被害が発生した.その原因としては,堤防建設技術の未熟さが指摘でき,防災構造物建設のための必要な知識や技術の取得と移転,実際の建設時における遵守など,構造物を根付かせるための対策も援助側は考えなければならないことがわかった.援助側の技術者は,非構造物対策を考慮に入れた上で,どのような構造物が地域に根付くかを計画する必要がある.そのためには社会を研究している専門家の参加を得て,地域の履歴を知ることは開発援助ではとくに重要である.それは,1)記憶の蓄積と共有化,2)被災者像,3)防災意識の向上の過程,4)防災対策の有無,5)被災者の生活・生計を誰が助けたのか,6)復旧における住民の労働力提供の有無を調べることは価値がある.
著者
川角 由和 中田 邦博 児玉 寛 岡本 詔治 森山 浩江 若林 三奈 松岡 久和 潮見 佳男
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、第一にEU域内市場の拡大・展開を受け、EUレベルで進行する私法の統一化の動きを全体として跡付けてその特質を解明すること、第2に、こうした動きを基礎づける近代ヨーロッパ私法の原理(とくに契約法にみられる原理的共通性)や統一私法典の構想等を分析し、わが国の私法への影響を考察することにある。今回の研究期間内には、とくにこうしたヨーロッパ私法統一の動向そのものの分析と、日本法に対してそれがどのような影響を及ぼすのかを比較法的手法を用いて解明することに重点を置くものとした。この期間内には、本研究の中核メンバーによってヨーロッパ契約法原則の意義を明らかにし、それが日本法にどのような影響を及ぼすかを検討するシンポジウムを、比較法学会において開催した。また、こうした研究作業の基礎資料となる「ヨーロッパ契約法原則」についての翻訳プロジェクトに取り組み、すでに潮見佳男=中田邦博=松岡久和『ヨーロッパ契約法原則I・II』(法律文化社、2006)の刊行を終わり、IIIの刊行を予定している。また、これまでの研究成果を集大成した『ヨーロッパ私法の展開と課題』の刊行が予定している。以上のように、本研究は、さらなる展開を示しつつあるヨーロッパ私法・契約法の全体像を解明するために、さまざまなプロジェクトにおいて深化し、またすぐれた研究成果を挙げている。
著者
小澤 純夫 林 誠一 月橋 文孝
出版者
一般社団法人 日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.95, no.6, pp.522-530, 2009-06-01 (Released:2009-08-15)
参考文献数
19
被引用文献数
4 5

To forecast iron source demand, the Intensity of Use hypothesis, which assumes that material consumption per capita is a function of GDP per capita, is the most dominant theory in existing studies. However, this hypothesis is not effective for a world one-region model of iron sources. Therefore, we focused our attention on utility, and we suppose that economic growth is a major driver to increase the utility. As the utility of steel sustains for ages after purchase, we formulate the Utility of Stock hypothesis, which assumes that the in-use steel stock is a function of GDP. In this study, the world steel stock was computed and the Utility of Stock hypothesis was tested. Clear correlation is found between the steel stock and the GDP. It leads to the estimation that the world demand for iron ore depends not on the volume of GDP but on the variation of GDP. For the first time with total world figures, the result enables us to rationalize the recent decoupling between the world growth of iron source demand and the economic growth.
著者
若林 良和
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は、カツオを漁獲する漁船乗組員たちを漁撈集団、そして、そこでの集団生活を海上生活構造と位置付けて、その移動と交流に着目した実態把握を推進し、その特性を明らかにすることである。漁船の大型化、航海・漁撈機器の高度化、エンジンの高馬力化のなかで、太平洋海域を大きく移動しながらカツオを漁獲する漁船乗組員の生活にっいて、生活史法をもとに検討した。主たるフィールドは沖縄県(宮古島市)、鹿児島県(枕崎市)、愛媛県(愛南町)、高知県(土佐清水市、中土佐町)、静岡県(焼津市)などである。カツオ漁船乗組員(現役者・引退者)のライフヒストリーをインタビューにより収集するとともに、関連のライフドキュメントを確保した。また、併せて、地域社会の基本的な文献・史料も収集して整理した。また、鰹節製造業者、さらには、マグロ漁船乗組員との対比によって、カツオ漁船乗組員の移動と交流の実態をより明確に把握できように配慮した。本研究で得られた知見を概括すると、以下のようになる。1.海上生活構造の生産的局面である漁業労働においては、閉鎖性、随時性、危険性という特殊性がより明確になり、カツオ漁船乗組員は労働規則・慣行上、大きく行動規制されている。特に、海域移動が拡大するに伴い、操業期間が長期化し、労働強化は顕著になっている。2.海上生活構造の消費的局面である衣食住については、漁業労働への従属性が高く、また、海域移動の拡大と航海期間の長期化のなかで、少しでも娯楽性を高めようとする生活の創意工夫が見られる。3.こうした環境下にあるカツオ漁船乗組員は母港への帰港、あるいは、補給地への寄港で、家族との交流、さらいは、地元住民との交流が物心の両面において展開されることが素描できた。この点は質的調査のメリットが遺憾なく、発揮でき、調査手法の妥当性も検証できた。(770字)
著者
中辻 史好 林 美樹 橋本 雅善 丸山 良夫 馬場谷 勝廣 平尾 佳彦 岡島 英五郎
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.76, no.12, pp.1914-1918, 1985-12-20

膀胱原発のMalignant fibrous histiocytoma(以下MFHと略す)は極めてまれであり,本邦では現在までに1例のみ報告されているにすぎない.本症例は排尿困難を主訴として1982年6月4日当科を受診し,膀胱鏡にて頂部右側に直径約2cmの表面平滑な腫瘍と三角部に小豆大の乳頭状腫瘍を認めた.入院時諸検査に異常を認めなかった.膀胱二重造影,膀胱エコー,膀胱CT及び骨盤動脈造影にて頂部の腫瘍は臨床的深達度T_3a,三角部の腫瘍は臨床的深達度T_1の診断のもとに7月28日TURBtを施行した.病理組織学的に頂部の腫瘍はMFH,三角部の腫瘍はInverted papillomaと診断され,頂部の腫瘍に対しては8月10日膀胱部分切除術を施行した.術後vincristine 1mg,peplomycin 10mg,adriamycin 30mgによる多剤併用化学療法を3コース施行し,liniac 4,200radを照射した.術後28カ月現在,再発転移を認めず,経過観察中である.