著者
池田 真利子
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100198, 2015 (Released:2015-04-13)

分断都市としての歴史を経験した都市ベルリンは,東西で異なる変化を遂げてきた.とくに政治転換期以降,旧東ベルリンインナーシティ地区では,文化的占拠やテンポラリーユースなど,合法・非合法に関わらず文化・創造的空間利用が顕在化し,ジェントリフィケーションを含む特定街区の改善を促してきたが,こうした改善の過程に関しては都市の在り方と併せ議論が成されてきた(池田 2014).独語圏既存研究においては,特に東ベルリンインナーシティ地区の改善過程が注目されてきたが,「旧東独インナーシティ地区が旧西独インナーシティ地区よりも経済的に豊かとなった」という逆説的状況に代表されるように,東西統一から四半世紀が経過した現在,都市改編は旧西独地域へと及びつつある. したがって,本発表は旧西ベルリンインナーシティ地区のロイター地区を事例に,街区の肯定的イメージが創り出される具体的な過程に注目することにより,ジェントリフィケーションにおいてアーティストが担う役割を明らかにする.研究方法は以下の通りである.まず,2013年および2014年にロイター地区全域の詳細な土地利用を調査し,続いて地区改善事業に取り組む行政および関連事業主体への聞取り調査を行い,地区の変容過程に関する聞き取り調査を行った.さらに,ロイター地区のアーティスト,小売店事業主(商業,サービス業)を対象に経営形態や開設年,立地選択理由等に関する聞取り調査を行った.ノイケルン地区は,旧西ベルリンインナーシティ地区であり,東西統一以降はトルコ系移民をはじめとする外国籍住民が近隣地区より多く流入し,トルコやポーランド,セルビアなどの移民の背景をもつ人々Migrationshintergrundが集住している点,失業率も15.4%と市全体の失業率11.2%に比較して極めて高い点などから,典型的な「問題街区」である.本研究の対象地域はノイケルン地区の最北端に位置するロイター地区である.同地区では,「Cultural Network Neukölln」(1995年~)や「48 hours Neukölln」(1999年~)など,特に1990年半ば以降アーティストによる自発的活動が活発化していった.2003年には連邦政府およびEU地域開発基金(ERDF)を基に地区改善事業が開始され,街区マネージメントが開始された.さらに2005年には民間団体であるテンポラリーユースエージェンシーが同地区に多い空き店舗を活用し,アーティストや都市企業者への期間限定的借用を開始した.ロイター地区は2008年以降,広義における文化施設(アトリエ,カフェ・バー,ブティックなど個人経営の小売店・サービス業)の増加が著しい.旧東西境界線(ベルリンの壁)に近接する地区は,東西分断時には国家の縁辺部として衰退していたが,統一後に地理的中心性を回復した.こうした衰退地域では,交通利便性のほかに,未修復・未改善の建造物に起因する安価な地代などから,東西統一後の1990年代よりアーティストや都市企業家が積極的に移住し,地区のイメージを高めていった. 本研究で明らかとなった知見は以下の通りである.第一に,商業施設の分布に着目した土地利用からは,既存研究で指摘されてきたエスニックマイノリティなどの立ち退きによる置換(上方変動)というより,大通り沿いの商業施設(小売店)はエスニック関連施設,小路には小売店事業主(商業,サービス業)が集積し,より偏在的かつ多面的に変容を遂げていったことがわかる.第二に,ロイター地区の改善過程をみると,アーティストがパイオニア期である1990年代半ば以降転入しており,続いて1990年代末以降,創造産業を含む小売店事業主(商業,サービス業)が同地区へと転入した.こうしたことから,創造階級のなかでも特にアーティストは,他の商業・サービス業などの創造産業と一種異なる役割を果たしていることが,ジェントリフィケーションの時系列的変化より明らかとなった.
著者
池田 博子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.214-218, 1999-08-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
9

The effect was investigated of the temperature of water on the foaming property of powdered green tea. Water temperatures of 20,40,60,70,80,90 and 100°C were tested to dissolve powdered green tea with subseqnent stirring of the tea solution. The foam volume, expansion rate and degree of stability of the foam were measured. The amounts of tannin, soluble nitrogen and pectin that could be dissolved at each of these temperatures in 30 seconds and the viscosity of the resulting tea solution werem also measured.The higher the temperature of the water used to dissolve the powdered green tea, the more chemical elements were dissolved, the more the viscosity increased, the more the foam volume increased and the more the foam became fine and stable.Evaporation at the surface of the foam membrane became more active, the foam disappeared more easily and the foam stability decreased as the temperature of the water during stirring was increased.
著者
岡田康 池田総一郎 川見昌春 原元司 廣瀬誠 金山典世
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.485-487, 2014-03-11

松江高専は,社会人を対象としたネットワーク管理者の育成を目的とした講座を例年展開しており,今年度は「nginx入門講座」を実施した.本プログラムの特徴は,本校と島根県((財)しまね産業振興財団)が共同で行った地域ニーズ調査の結果に基づいて,企業・学校・自治体のネットワーク管理者の育成を行なうものである.具体的には,基本設定のほか,リバースプロキシ・ロードバランサ・SSLについて教育内容とした.また,受講者に対し講義を行うだけでなく,自学自習に対応するためe-Learningによる講座コンテンツの公開や,ノートPCの貸与も行った.本発表では,実施カリキュラム,事業の活動内容について報告する.
著者
池田 幸穂 幡野 義行 松塚 雅博 濱田 武
出版者
杏林医学会
雑誌
杏林医学会雑誌 (ISSN:03685829)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.47-60, 1999-03-31 (Released:2017-02-13)
参考文献数
13

自然環境の荒廃著しい丹沢山塊における人間活動影響を評価するため降水と沢水の化学動態に基づいて各集水地の地質特性を検討し,個々の水系のキャラクタリゼーションを試みた。山塊主稜線によって分水される東北斜面の中津川,西斜面の玄倉川,南西斜面の水無川,および山塊東端の大山南東斜面の大山川の4水系における沢水,および標高立地の異なる5地点での降水を採取し, ICP発光分析,イオンクロマト,炭素分析によって主要無機化学種を定量した。水系間の比較により,沢水の化学性はそれぞれの水系に固有の性質であることが示唆されたが,降水の寄与による季節変動が認められた。沢水の化学性における降水の寄与を除くため降水中の塩化物イオンに対する各化学種の組成比に基づいて風化起源の濃度を求め,風化起源化学種の組成比の組み合わせによる水系間の比較を行った。その結果,各水系の水質は風化起源化学種間の組成比の組み合わせによる7種類の水質指標によって分類され,それぞれの分布が丹沢山塊の地質区分と良好な対応関係を示すことが分かった。本研究は水系の化学性によって集水地の地質と化学風化の態様に関わる特性を把握する可能性を示し,対象水系における環境影響を評価するために必要な基礎的知見を提供する。
著者
岸 玲子 原渕 泉 池田 聰子 三宅 浩次
出版者
社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業医学 (ISSN:00471879)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.101-113, 1986
被引用文献数
1

有機溶剤トルエンの中枢神経系への急性影響を「濃度・暴露時間積と生体のパフォマンス変化」の面から明らかにすることを目的として行動中毒学的手法を用いて検討した. Wistar系ラットを光警告つき条件回避反応で訓練し,一定の回避成績を示すようになった時点でトルエンに125~4,000 ppmの6段階の濃度におのおの4時間単回暴露し,暴露前後7時間のレバー押し数,回避数,有効回避率,光刺激に対する反応潜時を測定した.<br>得られた結果は以下のとおりである.<br>1) トルエン125, 250, 500 ppm暴露では,暴露開始後20分間は有効回避率の有意の減少が見られた. 125 ppm暴露では暴露240分目の有効回避率が対応コントロールに比べて低かった.<br>2) トルエン1,000 ppmと2,000 ppmでは濃度と暴露時間に比例してレバー押し反応数の顕著な増加と有効回避率の低下が認められた. 2,000 ppm 4時間目には反応数は暴露前の150%を越え,有効回避率は暴露前のパフォマンスの70%に低下していた. 1,000 ppmおよび2,000 ppmトルエン暴露時には,いずれも暴露後2時間目以降は光刺激に対する反応潜時の有意の短縮も認められた.<br>3) 4,000 ppm暴露の場合は,最初の40分間は反応数の著しい増加を示すが,その後次第に麻酔性の行動抑制を示し, 8匹中6匹のラットは痙攣および運動失調を呈した. 4,000 ppm暴露終了後は全ラットの反応数は増加し興奮状態を示した.有効回避率は暴露打ち切り2時間後も回復しなかった.<br>低濃度および高濃度トルエン暴露の行動影響について,考察を加えるとともに,方法についての検討を行って,有機溶剤の中枢神経系への影響を明らかにするうえでラットの弁別条件回避行動の有用性を示した.
著者
池田 卓生 関谷 透 木戸 利成 金谷 浩一郎 田原 哲也 原 浩貴
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.97, no.4, pp.703-708, 1994 (Released:2008-03-19)
参考文献数
7

今回我々は,北海道上砂川町にある地下無重力実験センター(Japan Microgravity Center: JAMIC)を利用する機会を得たので,これが身体平衡系の研究における新しい実験手段として有用であるかを検討する目的で,平衡系実験セット(姿勢•行動観察用及び筋電図記録用)を作製し,カエルを用いた予備実験を行った.1) 姿勢•行動観察では,無処置群において頭部が背屈し,四肢が伸展するという特徴的な姿勢が観察できた.また前庭神経切断群では,落下前の姿勢変化はそのまま持続し,障害側を下にする回転運動が見られた.2) 筋電図では,落下直後に前庭脊髄反射のためと考えられる筋活動の亢進を認めた.また前庭神経切断例では,術側の潜時が,やや遅延した.3) カエルは,落下実験施設を利用した平衡系実験の実験動物として適当である.4) 微小重力暴露時の身体平衡系の研究において,落下実験施設は非常に有用な実験手段である.

1 0 0 0 禅と福祉

著者
池田 豊人
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.628-629, 1980
著者
川口 実希 木村 美智男 宇佐美 英績 川地 志緒里 郷 真貴子 池田 義明 吉村 知哲
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.139, no.3, pp.483-490, 2019-03-01 (Released:2019-03-01)
参考文献数
22

This study aimed to clarify the situation of use of health foods by patients and the level of satisfaction of patients in order to make use of information on cases where patients undergoing cancer medication therapy use health foods. Between May 7, 2018 and June 29, 2018, we conducted a questionnaire survey of patients with progressive cancer who were undergoing cancer chemotherapy at Ogaki Municipal Hospital. In addition, we conducted a multivariate analysis of patients who were using health foods and those who were not. The questionnaire items included the objectives of use, product effectiveness and satisfaction, and QOL. The rate of health food use was 81/281 (29.5%). The primary objectives of use were, “to maintain health” (29.8%) and “to alleviate symptoms” (24.0%). The primary sources of information about health foods were “a friend” (50.6%) and “TV” (13.5%). The satisfaction level was 0-3 points in 8.3% of patients, 4-6 points in 38.1% of patients, and 7-10 points in 53.6% of patients. For “stage of illness (recurrence),” the odds ratio was 1.810 (95% CI, 1.040-3.150; p=0.035), and for “QOL value,” the odds ratio was 2.210 (95% CI, 1.220-4.020; p=0.009), indicating that these factors had a significant influence on health food use. Health foods tended to be used in patients who had recurring cancer with low QOL and various symptoms, and friends and other people close to the patient had a large influence on the patient's decision. It was clear that the patients' satisfaction level was high.
著者
早岡 英介 郡 伸子 藤吉 亮子 池田 貴子 鳥羽 妙 川本 思心
出版者
北海道大学高等教育推進機構 高等教育研究部 科学技術コミュニケーション教育研究部門(CoSTEP)
雑誌
科学技術コミュニケーション (ISSN:18818390)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.35-55, 2015-07

福島第一原子力発電所の事故以降,主に放射能リスクをテーマとしたリスクコミュニケーションの取り組みが各地で進められてきた.だが,多くは啓蒙的な説明会にとどまっており,専門家と一般市民との間に十分な双方向の対話の場を生み出せていない.こうした状況を克服するためには, リスク情報を正確かつ受け手側に配慮しながら発信できるリスクコミュニケーターの育成が急務である.北海道大学CoSTEPでは2014 年度にリスクコミュニケーション選択実習という新しい実習を設け,福島の農業と放射能リスクをテーマに活動した.最終的に2015 年2 月から3 月にかけ,三つの対話イベントを実施した.本実習では,「コンテンツの制作能力」「コミュニケーションの場を生み出す能力」「適切なフレームを協働構築する能力」の三つの能力を育成することを目指し,TV番組等を活用して実習中に何度もリスク問題を取り上げて議論を重ねたこと.実際に福島で調査したこと.現地取材した映像を実習メンバーで編集してサイエンス・カフェ等で映像レポートとして上映したことの三つが大きな特徴である.これらの実践を通して「当事者性」「主体性」「多様な価値観」を獲得することができ,上記三つの能力にポジティブな効果がもたらされた.
著者
池田 宗彰
出版者
立正大学経済学会
雑誌
経済学季報 (ISSN:02883457)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.1-114, 2005-09-30

力学的物理現象を統一的に説明するものがシュレーディンガー方程式である.物理現象(連続的時間に関する変化曲線で表わされる:因果性)が粗視化されて跳び跳びに観測されて一時点に重ね合わされると確率分布に変換される.これはシュレーディンガー方程式の波動関数の確率性である.しかしこの確率化は不完全である.この確率分布には系列相関(因果性)が残るからである.これが再度変化曲線を形成して再度粗視化され,跳び跳びの観測を受け確率化する.これが繰返されるプロセスで確率は純化されてゆく.これは,一定の視野への粒子の時空値の参入と粗視化の繰返しを伴いながら,階層を上ってゆくプロセスであり,シュレーディンガー方程式の階層上げである.それが,物理現象→生命現象→心理現象,と派生・移行してゆくプロセスを誘導構成する.何となれば,粒子の因果性が確率に変換されることで,粒子に自発性・任意性が出てくる.分子が"自発的"だということは,分子が"確率的"だということと等価である.因果性が不完全に確率化されるある段階で分子に目的概念が出て来,ここが生命の発生点となる.これはRNAレプリカーゼ分子が発生した時点に対応する.それが更に確率化されると任意性が出てくる.ここが心理の発生点である.これはヒトの大脳新皮質の発生点に対応する.以上の一連を統一的に説明するものがシュレーディンガー方程式を構成する波動関数の確率性の"純化"のプロセスである.(加えて,生命現象を表現する連立差分方程式系が,粒子の確率性を表現するシュレーディンガー方程式と等価となることが証明される.また,シュレーディンガー方程式は階層上げに従い,マクロの"粒子"を説明するニュートン力学とも整合的である.さらにまた,上記生命モデルが,進化学の難問であるダーウィンの自然淘汰説と木村資生の分子進化の中立性との同時説明を可能にすることが示される.)
著者
高橋 忠伸 紅林 佑希 大坪 忠宗 池田 潔 南 彰 鈴木 隆
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.65, no.12, pp.689-701, 2016-12-05 (Released:2017-01-12)
参考文献数
67

インフルエンザA型及びB型ウイルスや一部のパラミクソウイルスは,ウイルス受容体のシアル酸を糖鎖末端から切断する酵素「シアリダーゼ」を持つ.これらのウイルスの感染細胞上には,ウイルス遺伝子に由来するシアリダーゼが豊富に発現する.著者らが開発したシアリダーゼ蛍光イメージング剤「BTP3-Neu5Ac」は,シアリダーゼ活性の存在部位を組織化学的に蛍光染色する.BTP3-Neu5Acを利用することで,ウイルス抗体や細胞の固定化操作を必要とせずに,これらのウイルス感染細胞を簡便迅速に蛍光イメージングできる.さらに,インフルエンザ治療薬であるシアリダーゼ阻害剤をBTP3-Neu5Acと併用することで,薬剤耐性化インフルエンザウイルスの感染細胞を選択的に蛍光イメージングして,薬剤耐性化ウイルス株を高効率に単離することができる.本稿では,BTP3-Neu5Acを利用したウイルス感染細胞の蛍光イメージングについて概説する.
著者
奥田 稔 高坂 知節 三宅 浩郷 原田 康夫 石川 哮 犬山 征夫 間口 四郎 新川 秀一 池野 敬一 松原 篤 稲村 直樹 中林 成一郎 後藤 了 小野寺 亮 遠藤 里見 亀井 民雄 室井 昌彦 馬場 廣太郎 島田 均 舩坂 宗太郎 大橋 伸也 鄭 正舟 小澤 実佳 八木 聰明 大久保 公裕 後藤 穣 服部 康夫 上野 則之 柏戸 泉 大塚 博邦 山口 潤 佃 守 池間 陽子 坂井 真 新川 敦 小林 良弘 佐藤 むつみ 山崎 充代 藤井 一省 福里 博 寺田 多恵 小川 裕 加賀 達美 渡辺 行雄 中川 肇 島 岳彦 齋藤 等 森 繁人 村上 嘉彦 久松 建一 岩田 重信 井畑 克朗 坂倉 康夫 鵜飼 幸太郎 竹内 万彦 増田 佐和子 村上 泰 竹中 洋 松永 喬 上田 隆志 天津 睦郎 石田 春彦 生駒 尚秋 鈴木 健男 涌谷 忠雄 宮國 泰明 夜陣 紘治 森 直樹 田頭 宣治 宮脇 浩紀 青木 正則 小林 優子 高橋 正紘 沖中 芳彦 遠藤 史郎 池田 卓生 関谷 透 奥園 達也 進 武幹 前山 忠嗣 恒冨 今日子 増山 敬祐 浅井 栄敏 土生 健二郎 中崎 孝志 吹上 忠祐 角田 憲昭 渡辺 隆 野口 聡 隈上 秀伯 吉見 龍一郎 茂木 五郎 鈴木 正志 大橋 和史
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.633-658, 1996-09-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
21

通年性アレルギー性鼻炎患者211例を対象に, KW-467910mg/日 (KW群) の有効性, 安全性および有用性をoxatomide 60mg/日 (OX群) を対照薬として多施設二重盲検群間比較試験により検討した.最終全般改善度の「改善」以上は, KW群61-6%, OX群57.6%で, 両群間に有意差は認められなかつたが, 同等性の検証を行った結果, KW群はOX群と比較して同等ないしそれ以上と考えられた. 概括安全度の「安全性に問題なし」と評価された症例は, KW群68.0%, OX群61.4%で, 両群間に有意差は認められなかった. 主な副作用症状は両群とも眠気であった. 有用度の「有用」以上は, KW群54.9%, OX群50.5%であり両群間に有意差はなかったが, KW群の方がやや有用率が高かった.以上の成績より, KW-4679は通年性アレルギー性鼻炎に対して, 臨床的に有用性の高い薬剤であると考えられた.
著者
田中 利幸 池田 思朗 大関 真之
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-06-28

医学班や天文班などと協力して,圧縮センシングを活用して,MRIや超長基線電波干渉計において少数の観測データから画像を再構成する方法を開発した.MR分光画像法(MRSI)によってマウスに注入されたブドウ糖の代謝の時空間ダイナミクスを非侵襲的に可視化した研究成果の事例では,注入されたブドウ糖が体内に広がり,腫瘍組織で嫌気的に代謝され乳酸が産生されていく様子を見ることができる.圧縮センシングを使わない撮像法では一枚の画像の観測にも数時間を要し,時空間ダイナミクスの計測は不可能であるが,提案手法では間引き観測により体内の生化学反応の時空間ダイナミクスを非侵襲的に可視化できることを示した.
著者
大谷 英児 池田 俊弥
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.205-210, 1990
被引用文献数
6 7

セモンホソオオキノコムシの干しシイタケによる大量継代飼育法を検討した。100対の羽化直後の雌雄成虫に50gの干しシイタケに水分を与えたものを与え,25°C, 14L-10Dの条件で飼育したところ,雌成虫は羽化後8∼14日目に集中的に産卵し,1日平均約260頭の次世代成虫を22日間にわたりうることができた。卵期間は3日,幼虫期間は約30日,蛹期間は7日で,卵から羽化までは約40日であった。継代飼育の第4世代と第8世代の間で,雌成虫の寿命,産卵数,卵から羽化までの生育日数,次世代成虫数とも差は認められなかった。