著者
伊藤 大幸 松本 かおり 髙柳 伸哉 原田 新 大嶽 さと子 望月 直人 中島 俊思 野田 航 田中 善大 辻井 正次
出版者
The Japanese Psychological Association
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.304-312, 2014
被引用文献数
13

We examined the psychometric properties of the Japanese version of the Autism Spectrum Screening Questionnaire (ASSQ) and developed a short-form. This study included 157 children with autism spectrum disorders (ASD, ages 7–18, 128 boys) and 4,101 healthy controls (ages 7–15, 3,344 boys) from a general population with a controlled male-female ratio. Four factors (Unusual Interests, Sociality, Peer Relations, and Repetitive Behaviors) were extracted by exploratory factor analysis of control group data. Confirmatory factor analysis revealed that the 4-factor model fit well with data for another sample of the control and ASD groups. Logistic analysis showed that the former 3 factors could significantly predict ASD diagnosis. Thus, a short form of the ASSQ was developed, consisting of 11 items for these 3 factors. This short form showed sufficient internal consistency and high discrimination power for ASD diagnosis that was comparable to that of the 22-item version. Receiver operating characteristic analysis indicated an optimal cut-off of 7 for the 22-item version (sensitivity .949, specificity .801) and 5 for the short-form (sensitivity .936, specificity .818).
著者
辻 照彦
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

『ハムレット』の3種類のテキストのうち、Second Quarto (Q2)とFirst Folio (F)の間に見られる3行を超えるパッセージの異同に注目し、異同発生メカニズムの解明を試みた。First Quartoも含めたテキストの詳細な比較分析の結果、Fのみに見られるパッセージはFolioへの新たな加筆ではなく、Q2の基になったマニュスクリプトに存在していた可能性が高いこと、そして、現在までに提出されてきた作者改訂説は、シェイクスピアがQ2をFのように改訂したと考えられるほど説得的でないことを明らかにすることができた。
著者
前田 樹海 山下 雅子 北島 泰子 辻 由紀 古澤 圭壱
出版者
東京有明医療大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

明らかな生命徴候の変化によらず近い将来の患者の死期を予見できる看護師の存在ならびに、かかる看護技術の特性、獲得様式を明らかにするために調査を実施した結果、(1)このような患者の死期を認識した経験のある看護師は経験年数との有意な関連が認められること、(2)生命徴候の明らかな変化によらない患者の死の予見のほとんどが看護記録に残されていないが「その予感を他のスタッフや家族に話した」「他のナースからその予感について聞かされた」など、確認可能な事実を以て事前にその死を予感していたケースがあること、(3)看取り以外にも、せん妄、転倒・転落などのリスクを暗黙的な技術で評価している可能性が示された。
著者
冨岡 公子 北原 照代 峠田 和史 辻村 裕次 西山 勝夫
出版者
公益社団法人日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.45-54, 2004-03-20
被引用文献数
1

本実験の目的は,手話通訳者における音声言語に誘発された頸肩腕部の筋緊張の有無を確認することである.解析対象者は,インフォームドコンセントを得た「人の話を聞いていると頸・肩・腕が痛くなる」症状を訴えていた職業的手話通訳者8名(ケース群)と手話末学習者8名(コントロール群)である.コントロール群は,性・年齢・喫煙習慣を調整した.安静座位の間,左右の僧帽筋上部と上腕二頭筋から表面筋電図を記録した.この間,全被験者は,日本語の講演を聴くこと,および日本語が全く含まれていない音楽を聴くことの,2つの課題を与えられた.各課題終了直後に,自覚症状を尋ね質問した.表面筋電図の解析方法は,各課題ごとに,100 ms ごとの実効値を算出した.独自の判定基準として3.8μVの閾値を1秒以上超えている部分を筋緊張と判定し,筋緊張を確かめた.その結果,講演を聴いている時に上腕二頭筋や僧帽筋に筋緊張が認められたのは,ケース群では8名中5名,コントロール群では8名中1名であった.僧帽筋の筋緊張が講演を聴いている時に認められ,かつ音楽を聴いている時には認められなかった事例は,ケース群には3名,コントロール群ではみられなかった.これらの結果におけるケース・コントロール群問の差は有意ではなかった.手話通訳者で講演を聴いた際に認められた筋緊張は日本語の音声言語により引き起こされた可能性がある.筋緊張は,手話通訳によって形成された反応なのか,病的反応なのか,今後さらに検討する必要がある.手話通訳者にとっては,日本語の音声言語を聴くことが筋負担となる可能性があり,日本語の音声言語のない環境下で休憩することが筋肉を休息させるために必要と考えられる.(産衛誌2004; 46: 45-54)
著者
大島 裕子 小泉 孝之 辻内 伸好
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.73, no.728, pp.1172-1179, 2007-04-25 (Released:2011-03-04)
参考文献数
12

At present, many products are demanded both facilities and comforts. It is necessary for realizing comforts to measure human sensitivities. Therefore, many various sensory evaluation methods are proposed. Scheffe's paired comparison is one of these sensory evaluation methods, and is used widely. Especially, Nakaya's method, that is developed based on Schffe's paired comparison, evaluates human sensitivities and enables to add a relative score to the samples. However, the conventional Nakaya's method can separate the main effects, differences among individuals and combination effects. If there will be other factors that have an effect on the samples' evaluation, the effects will be neglected in Nakaya's method. Therefore the main effect tends to be hard to be detected by Nakaya's method. In this paper, we propose a new sensory evaluation method that enables to separate multiple effects. As this new method enables separate many effects, the relative error variance value is smaller, and it will make us to search factors easily and correctly that affect human sensitivities. This new method is applied to the loudspeakers' psycho-acoustic evaluation, and it is clarified this new method is useful for sensory evaluation when the difference is small and when there are a few panelists.
著者
辻 敏雄 吉田 靖夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.85, no.3, pp.406-415, 2002-03-01
被引用文献数
6 4

この論文はスペクトルモーメントを用いてテクスチャ平面の回転と傾き角を検出する方法を述べる.テクスチャ平面が回転し,傾くと,その角度に応じて画像の2次元パワースペクトルが変化し,スペクトルモーメントも変化する.標準のテクスチャ平面と角度検出されるテクスチャ平面のスペクトルモーメントを比較すれば,その角度依存性からテクスチャ平面の回転と傾き角を検出することが可能となる.Brodatzのアルバムより取り出したテクスチャ平面画像によるシミュレーション実験とCCDカメラでとらえた実画像による実験を行い,この方法の有効性を示す.
著者
深見 奈緒子 マールーフ・ジャメール 真道 洋子 モハメド・ソリマン 辻村 純代
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

モルディブ諸島の珊瑚石モスク26棟の調査と既往のインド洋周域調査および文献から、モルディブのイスラーム建築について以下5点が判明した。それらは、1)モルディブの珊瑚石モスクの独自性、2)1000年以上前スリランカやインドから到達した仏教・ヒンドゥー教文化からの影響、3)12世紀以後、西の乾燥地から到達したイスラーム文化の影響、4)東から到達した熱帯木造文化の影響、5)1000kmにも連なるモルディブ諸島全体の建築文化の一様性である。これらが、連関しながら環礁モルディブ特有の珊瑚石建築文化を創出したことを明らかにした。
著者
池野 旬 島田 周平 辻村 英之 池上 甲一 上田 元 武内 進一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究計画では、タンザニア北部高地のキリマンジャロ・コーヒー産地を中心的な調査対象地域とした。国際的・国内的な要因によるコーヒー生産者価格の下落という近年の状況に対して、地域全体を統合するような広域の地域経済圏の形態での対応は発見できなかった。地理的分断、居住する民族集団の相違、行政的区分、農産物流通組織の相違等の要因によって、同地域は4〜5の山地-平地という組み合わせの下位地域に細分され、それぞれが別個にコーヒー価格の下落に対応している。メル山地域においては近隣都市の野菜・乳製品等の需要増大に応じて、中核的なコーヒー栽培地域において作目転換・畜産重視という変化が見られた。キリマンジャロ山地域には複数の下位地域区分が存在するが、コーヒーの差別化・流通改革をめざす地域、平地部でのトウモロコシ・米生産を重視する地域等の対応の差が見られた。また、北パレ山塊においては、建設ブームによって山麓にある都市部で人口増大が著しいのに対して、コーヒー産地である山間部では過疎化が進行しつつあることが明らかになった。比較対照のためにとりあげたルワンダ、エチオピアでは、タンザニア北部高地では見られない対応が行われていた。ルワンダにおいては、コーヒー産地は最も人口稠密であり、また有利な換金作物を栽培できる地域であるために、ルワンダの他地域では見られない分益小作制が発生しつつあった。また、エチオピアにおいては協同組合がフェアトレードやオーガニック・コーヒーという差別化に巧みに対応し、民間業者と互してコーヒー流通を担い続けていた。両国の事例は東アフリカにおけるコーヒー経済の存在形態の違いを浮き彫りにしており、本研究計画のめざした比較研究の必要性が改めて確認された。
著者
辻 大和 伊藤 健彦
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第30回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.37, 2014 (Released:2014-08-28)

霊長類の寒冷地への適応は、古くから多くの研究者の関心を集めてきた。しかしこれまでの研究の多くは、環境適応を行動特性の面だけから評価することが多く、それを生息地内部の食物量や物理的要因と関連付ける視点が欠けていた。本研究は、ニホンザル(Macaca fuscata)の寒冷地への適応メカニズムの解明を目指し、彼らの食性の空間パターンを説明する、生息地の生態学的特性の関係を明らかにすることを目的とした。文献データベースを用いて先行研究の文献を収集し、日本全国の13箇所から19群のニホンザルの食性データ(採食時間割合)を抽出した。同時に各調査地の緯度・経度・標高(地理的要因)および平均気温・年間降水量・年間降雪量・植生指数(NDVI)などの環境要因を収集した。GLMMによる解析の結果、地理的要因に関しては、ニホンザルは高緯度・高標高の調査地で葉や樹皮・冬芽の採食割合が高かった。また、高緯度の調査地で食物の多様性が高かった。このような空間パターンは、主に環境要因によって説明できた。すなわち、ニホンザルは平均気温が低く、降雪量が多く、年間降雪期間が長い調査地で樹皮・冬芽の採食割合が高く、果実の採食割合が低かった。NDVIが低い調査地でも果実の採食割合が低かった。そして気温が低い調査地、年間降雪期間が短い調査地で食物の多様性が高かった。本研究により、ニホンザルの生態適応は、生息地の食物環境に応じた採食行動の柔軟な変化によって達成されたことが示唆された。とくに、降雪の影響が強かったことから、ニホンザルの採食戦略を決定するうえで、冬の厳しさが重要な役割を果たしていると考えられた。
著者
辻田 満広 MITSUHIRO TSUJITA
雑誌
西京大学学術報告. 農学 = The scientific reports of the Saikyo University. Agriculture (ISSN:03709329)
巻号頁・発行日
no.2, pp.111-115, 1952-03-01

Earias cupreoviridis Walker has been known as an important pest of the cottonculture damaging mainly cotton-bolls by larvae. The present paper deals with the external structure of the mature larva and pupa. The chaetotaxy of the Fracker's system (1915) was applied on this study. Head (Fig. 2) brown; epicranium and area of ocellar group blackish brown. Setal arrangement as follows; 12 on epicranium 2 on adfront, 2 on front, 4 on clypeus, 12 on labrum. Structures of antennae mandibles, maxillae and labium as shown in Figs. 4 6 and 7. Hypopharynx (Fig. 8) supported by paired superlinguae with numerous minute processes and two groups of sharp tooth-like processes. Thorax and abdomen covered with minute pale brown, velvet setae with setiferous processes on subdorsal lines; prothoracic dorsal plate blackish brown; subdorsal processes of meso-and metathorax second and eighth abdominal segments blackish brown, those of first, third, fourth sixth and seventh abdominal segments white and on other segments slightly brown. Thoracic and abdominal chaetotaxy as shown in Fig. 9,A-F. Thoracic legs 5-segmented. Prolegs pale brown, with 20-22 uniordinal crochets, caudal prolegs with 23-24 crochets. Pupa (Fig. 11) oval, reddish brown; head almost smooth; dorsal side of thorax and abdomen rugulous; sexual character shown on abdominal end : female with a mark of narrow genital openning between eighth and ninth abdominal segments and male with a pair of small oval processes on eighth abdominal segment.
著者
辻 麻衣子
出版者
上智大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

当該年度に実施した研究の主な成果は、以下の2点である。1. 『純粋理性批判』(以下、『批判』)超越論的演繹論(以下、演繹論)において統覚概念と並んで重要である構想力概念を、以下の2つの側面から詳細に考察した。(1)『批判』刊行の直前期の形而上学講義や草稿を用いて、構想力概念についての分析および『批判』第1版との比較を行った。当時のカントにとって構想力概念は、経験心理学の中で語られる能力であったが、超越論哲学という新たな軸を打ち出した『批判』に至って、この概念の性格もまた変更されざるをえなかった。このような移行の中で、構想力概念もまた両者の狭間で揺れ動いていることを、上記テキストおよび『批判』の精査を通じて明らかにした。(2)能力論における「カントの先駆者」と呼ばれるヨハン・ニコラウス・テーテンスによるテキストを精査し、カントの構想力概念に与えた影響に関する発表を行った。両者が考えた構想力概念の体系には確かに相違点も多くあるが、同時代の他の哲学者には見られないような、特異な共通点もまた存在する。この共通点を両者のテキストから析出し、これまで省みられることの少なかった構想力概念におけるテーテンスとカントとの関係に焦点を当てた。2. 『批判』演繹論における、統覚を中心とした自己意識論から強い示唆を受けて成立したフィヒテの知識学講義を精読し、そこでの自己意識論をカントによるものと比較した。1790年代末に行われた講義をまとめたものである『新たな方法による知識学』を基本テキストとし、そこで「五重の総合」という名称で展開されるフィヒテの自己意識論に着目した。フィヒテがカントの統覚概念をさらに発展させ、理論的認識という側面においてのみならず、実践的側面においても自己意識の統一を第一原理としたことを明らかにした。
著者
高辻 正基
出版者
日本植物工場学会
雑誌
植物環境工学 (ISSN:18802028)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.2-7, 2010-03-01
被引用文献数
10 27

完全制御型植物工場の現状。日本の平成20年度の食糧自給率はカロリーベースで41%、穀物自給率に至っては28%でOECD諸国の中では最低である。また休耕地と耕作放棄地は150万ヘクタールにのぼるとも言われている。これらはたしかに深刻な事態ではあるが、工業が発展した先進国で農業人口が急減し農業が衰退するのは必然であろう。これは何も日本に限ったことではないのであるが、日本の特殊性は農地当りの人口密度が極めて高いことにある。そのため自給率の低さが目立ち、休耕地の増大が問題視される。日本農業の新しい展開としては、その零細性(大規模化が困難)と工業のポテンシャルと合わせて、高付加価値農業(植物工場とバイオ農業)に向うのが有力であると考えられる。天候や場所に捉われずに作物を大量生産できる植物工場は日本に適した農法である。異常気象が来ようが狭い土地であろうと、都会のビルの中でも大量生産でき、また知的営農であるから若年層の就農希望も期待できる。ただ現状の問題点は対象が主に野菜であるから自給率にはほとんど寄与できないことと、初期導入コストと生産コストがかなりかかることである。植物工場とは野菜や苗を中心とした作物を施設内で光、温湿度、二酸化炭素濃度、培養液などの環境条件を人工的に制御し、季節に関係なく自動的に連続生産するシステムをいう。ほとんどの植物工場で制御しやすい水耕栽培を使っている。しかし土壌栽培による植物工場も可能で、最近では有機植物工場の試みもある。植物工場野菜の特徴としては無農薬、洗わずにそのまま食べられる、長持ちする、えぐみや苦味が少なく食べやすい、ロスが少ない、などが挙げられる。最近の消費者の安全・安心への志向、健康志向にピッタリである。
著者
嶋田 義弘 緒方 正名 藤井 俊子 堀家 徳士 道辻 広美 細川 幹夫 田口 豊郁
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.67-73, 1995

外部精度管理の実情に近い条件のもとで, 有機溶剤の尿中代謝産物である馬尿酸, メチル馬尿酸, マンデル酸を人工尿, ヒト尿に加えた試料について, 郵送した後の濃度を, 東京都, 大阪市, 岡山市に存在する3検査機関で測定した上述の3種類の尿中代謝産物の郵送後の値の, 郵送前の研究室の値に対する比率(回収率)を求めた.その成績として, 液性試料で冷蔵保存(0〜4℃), 冷凍保存(-20℃)下の郵送では, 人工尿は郵送前のほぼ100%の値を示した.ヒト尿中の馬尿酸, メチル馬尿酸, クレアチニンは凍結保存では98%を示したが, 冷蔵保存では郵送前よりやや低い値を示した.凍結乾燥した人工尿, ヒト尿の冷蔵保存下の郵送では, 3種の代謝産物はほぼ98%以上の値を示し, 実用可能な事が推定された.
著者
嶋田 義弘 緒方 正名 藤井 俊子 堀家 徳士 道辻 広美 細川 幹夫 田口 豊郁
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.67-73, 1995

外部精度管理の実情に近い条件のもとで, 有機溶剤の尿中代謝産物である馬尿酸, メチル馬尿酸, マンデル酸を人工尿, ヒト尿に加えた試料について, 郵送した後の濃度を, 東京都, 大阪市, 岡山市に存在する3検査機関で測定した上述の3種類の尿中代謝産物の郵送後の値の, 郵送前の研究室の値に対する比率(回収率)を求めた.その成績として, 液性試料で冷蔵保存(0~4℃), 冷凍保存(-20℃)下の郵送では, 人工尿は郵送前のほぼ100%の値を示した.ヒト尿中の馬尿酸, メチル馬尿酸, クレアチニンは凍結保存では98%を示したが, 冷蔵保存では郵送前よりやや低い値を示した.凍結乾燥した人工尿, ヒト尿の冷蔵保存下の郵送では, 3種の代謝産物はほぼ98%以上の値を示し, 実用可能な事が推定された.The hippuric acid, methylhippuric acid and mandelic acid were spiked into artificial prepared urine and human urine, and used as specimens for external quality controls. These specimens were sent to the three laboratories located in Tokyo metropolis, Osaka city and Okayama city. Then concentrations of three acids and creatinine were measured in the laboratories. The ratio of the concentrations of three acids in artificial prepared urine measure in the three laboratories tested to those in the laboratory, where specimens were prepared and sent, was about 100 percent under the mailing condition at 0~4℃ and at -20℃. The ratios of three acids in human urine was about 98 per cent under the condition at -20℃ and slightly lower ratio was obtained at 0~4℃ in human urine. The three acids were spiked in artificial prepared urine and in human urine, and then these specimens were freeze-dried and mailed to three laboratories at 0~4℃. The ratios of three acids in artificial prepared urine and those in human urine were above 98 percent. The results indicate that the three acids in artificial urine and human urine are useful under mailing condition at 0~4℃ and at -20℃, though slight lower values are shown in human urine at 0~4℃ and can be useful under sending condition at -20℃. The freezedried artificial and human urines are useful under mailing condition at 0~4℃.
著者
松村 雅史 辻村 肇
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究
巻号頁・発行日
no.20, pp.55-61, 2013-08-31

本研究の目的は、能動的な笑いにより、介入前・後の嚥下時間間隔を評価することである。本研究では、先行研究で開発した嚥下回数自動検出システムを用いることにより無意識・無拘束にて、嚥下音を検出し嚥下時間間隔を計測した。対象者は、介護老人保健施設の入所者28名である。その結果、能動的な笑いにより、介入前より介入後の嚥下時間間隔が減少し、有意差が認められた。笑いの介入により嚥下機能が向上したことが示唆された。また、笑いの介入の実施後の感想から、「ぜひ行いたい」、「また行いたい」と回答した対象者が全体の約90%を占め、笑いの介入をまた体験したいという人が多いことが認められた。以上より、能動的な笑いにより、嚥下機能向上に効果的であったことが示唆された。