著者
金澤 麻由子 Mayuko KANAZAWA
出版者
神戸芸術工科大学
雑誌
芸術工学2017
巻号頁・発行日
2017-11-25

本作「きみとぼくのあいだのコト」は、2015年5月に出版した絵本『ポワン』の主人公の黒パグ「ポワン」と白パグ「フォーン」の眠る姿が描かれた絵画作品であり、鑑賞者のふるまいに相互作用するインタラクティブな作品である。 鑑賞者が近づくとその気配を感じ取った絵画上の主人公(犬)たちの反応を様々な映像アニメーションで表現することで、あたかも絵画と鑑賞者の想像力とが対話を生成していく「動く絵画」としてのアートディスプレイであり、絵本の世界観を映像インスタレーション作品として制作したものである。リアルタイムでの相互作用を可能にするセンサーとして、BLASTERX SENZ3D(3D深度&音声認識対応の3Dカメラ)を用い、表情と音声認識技術を用いた。センサーカメラを使用することで、よりリアルタイムでの絵画とのコミュニケーションと、鑑賞者と作品との関係性が近づき、目標としている「癒し」や「安らぎ」の感情を生む作品を目標にした。 本稿では2017年9月に銀座ステップスギャラリーでの個展開催にて新作発表する本作の「戌-pug-」展での本作の制作意図とともに制作方法などについて考察する。 "Affair between you and me" is in art display based on "Un Point" picture book that was published in July 2015. Its main message is "yourself as you are". "Un Point" - a picture book consisting of series of paintings, a story of two sleeping dogs – black and white pugs was adapted as a interactive video installation. When the viewer approaches the installation, dogs notice the presence and react in various ways. The installation main concept is: a painting that communicates with its audience. The concept of the book is used as a basis for the animation. To achieve the real time interaction, a sensor camera "BLASTERX SENZ3D" was used. Both video and sound is used to create communication with the viewer. The goal of the installation is to create a feeling of relief and healing through communication with the painting. The installation was exhibited with commentary and design explanation as part of "IMU-Pug" exhibition in Ginza Steps Gallery in September 2017.
著者
藤田 恒夫 桑原 厚和 金澤 寛明 岩永 敏彦
出版者
新潟大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1992

1.腸の分泌に関係する細胞要素としては、消化管に広範囲に分布するEC細胞とVIP含有神経が最も重要である。二重染色の結果は、EC細胞とVIP神経が密接な位置関係にあることを示した。2.イヌの十二指腸を用いたin vivoの生理実験で、セロトニンとVIPは単独投与により、腸の分泌が亢進した。同時投与により、分泌は飛躍的に増大した。セロトニン投与により門脈中のVIP濃度が上昇することと考え併せると、下痢はEC細胞から分泌されたセロトニンが近傍のVIP神経に局所ホルモンとして作用しVIPの放出を招く結果、セロトニンとVIPの相乗効果により腸分泌が強く刺激された状態と理解される。3.PACAP(Pituitary Adenylate Cyclase-Activating Polypeptide)が腸上皮のイオン輸送を強く刺激することがわかった。PACAPによる塩素イオンの分泌亢進は、コリン作動性および非コリン作動性神経の刺激を介した間接作用である。PACAPにはVIP放出作用があることから、この分泌反応の最終信号物質はVIPであると思われる。4.セロトニンによる腸分泌に関する受容体のタイプを特異的な拮抗薬を用いて検討し、5-HT3と5-HT4であることを示した。5.黄色ブドウ球菌が産生する毒素であるStaphylococcal enterotoxin(SEA)は、激しい嘔吐を起こすことが知られている。本研究ではSEAの腸管内投与が下痢を起こすことを示し、この分泌反応にはEC細胞が関与する可能性を示した。
著者
金井 雄太 福井 恒明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D1(景観・デザイン)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.1-12, 2013

近世に岡城の城下町として建設された大分県竹田には,城下町の町割の大部分が現在まで残っている.この竹田において,絵図および文献から,設計論理の解明を試みた.城下町建設以前の土地利用,街区や屋敷割,城下町の変化などを分析・考察した結果,竹田城下町は巨視的に見れば他の城下町と同様の碁盤の目の構造を取りながら,細部は微地形に則した設計がなされていたことがわかった.また,厳しい地形的制約の中で城下町を拡大するため,周囲の農地を城下町に組み入れる,寺院を城下町外へ移転させてその跡地を利用する,街区の寸法そのものを拡大する,などの手法が採られていたことがわかった.
著者
向井 茂 中山 昇 橋本 光靖 金銅 誠之 齋藤 政彦 藤野 修 行者 明彦 浪川 幸彦 梅村 浩 寺西 鎮男 齊藤 博
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

1)幾何学的不変式論を再構成した。また、曲線状のベクトル束のモジュライ空間をQuotスキームというものを使わずに構成した。両者相まってベクトル束のモジュライ理論は大幅に簡易化され見通しよくなった。多くの発展がこの基礎付けのもとになされると期待する。(例えば、Jacobi多様体の退化)2)放物や安定対のような構造付きベクトル束のモジュライも上と同じように構成が見通しよくなった。おかげで共形ブロックの個数に関するVerlinde公式を不変式環のHilbert級数の明示と捉えることができるようになった。この公式の周辺に集まる多くの数学(アフィンLie環、Hecke環や量子群など)を不変式の観点から純代数的に理解できるようになると期待している。。3)穴あきRiemann球(=点付き射影直線)上の構造付きベクトル束のモジュライのmaster spaceは2次元加法群の多項式環への平方零作用の不変式環をその座標環としてもつ。このことより、この環の有限生成性が従う。これと下の成果を合わせて加法群の平方零作用に対するHilbertの第14問題を解決した。(2002年3月学会で報告)4)永田の反例を改良することによって3次元加法群の18変数多項式環への平方零作用の不変式環で無限生成なものを構成した。この環と、5次元射影空間を9点で爆発したものの全座標環との間の同型(永田トリック)が重要であるが、これの新証明も与えた。5)二つのK3曲面の直積上のある種のHodgeサイクルの代数性(Shafarevich予想)に対して新しい証明を見つけた。6)偏極Abel曲面に対して2重レヴェルを考案し、それ付きのモジュライを研究した。(1,d)型でdが5以下のときは正多面体群を使って綺麗な多様体になる。今後は次元公式を計算し、保型形式環を研究すべきと考えている。
著者
米倉 裕希子 堤 俊彦 金平 希 岡崎 美里
出版者
関西福祉大学社会福祉学部研究会
雑誌
関西福祉大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:1883566X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.17-22, 2014-03

【研究背景】家族の感情表出研究(Expressed Emotion, EE)の知見をもとに,家族への心理教育の予後改善効果が明らかになっている.心理教育の一部と考えられるペアレントトレーングは,行動療法理論を背景に行動に焦点を当て具体的な対応方法を学ぶもので,子どもと親の否定的な関係を改善するのに効果があると言われている.本研究の目的は,今後さまざまな臨床現場において実践可能な短縮版プログラムの効果とEE との関連について検討することである.【研究方法】A 大学の相談室に来談しており10歳から12 歳の男児の母親4 名を対象に,全5 回のプログラムを実施.介入前後で家族のEE,母親のストレスおよび知識の獲得,子どもの行動を評価した.【結果】ケース全般において行動療法に関する知識の向上は見られたが,EE,母親のストレス,子どもの行動は変化が見られなかった.また,ケースによって変動が大きく,個別性が見られた.【考察】短縮版プログラムについては,知識の伝達といった点においては効果があるが,子どもの行動全般や親のメンタルヘルスの改善までは期待できない可能性がある.短縮版を実施する場合は,子どもの年齢や家族の状況に合わせプログラムを精査したり,選択可能なプログラムを提供したり,フォローアップの内容を検討したりしていく必要がある.
著者
松隈 浩之 藤岡 定 中島 愛 金子 晃介 梶原治朗 林田 健太 服部 文忠
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1041-1049, 2012-03-15

多くのリハビリ患者に強く推奨されている起立-着席訓練に,エンタテインメント性を付加し患者・利用者の積極性,持続性を向上させるべくゲーム制作を行った.訓練内容の選出をはじめ,設置環境,対象とする患者・利用者の身体能力等について,リハビリスタッフと協議し決定している.視覚,聴覚,インタラクション等,ゲームデザインに必要な要素についても同様に協議を重ね,現場での試用によるフィードバックを得ながら制作している.プロトタイプ完成後,48名の被験者により有効性と安全性を検証する評価実験を行った.実験は起立-着席訓練を1人で行う場合,ゲーム利用時,リハビリスタッフ介入の3条件下の比較により行われ,ゲームはリハビリスタッフとほぼ同様の役割を果たす,有効なものであるという結果を得ることができた.
著者
金谷 末子 宮前 あつ子
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.163-167, 1989-06-15 (Released:2010-03-11)
参考文献数
12
被引用文献数
2
著者
中俣 修 山﨑 敦 金子 誠喜
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.AbPI2117, 2011 (Released:2011-05-26)

【目的】身体の鉛直方向への運動を反復する跳躍動作については、主に下肢関節運動に着目され研究がなされている。動作中にほぼ直立位に保持されている体幹部では観察される関節運動は少ないものの、身体長軸方向に繰り返し加わる負荷に対して体幹姿勢を保持するための姿勢制御が必要となる。このような体幹長軸方向に加わる運動負荷に対する体幹運動の特徴を明らかにすることは、重力に抗した姿勢保持や運動時の体幹機能を考える上で重要であると考える。そこで本研究では跳躍動作における体幹運動を、1)身体全体の運動との関連性、2)跳躍高による影響という観点から分析することを目的とした。【方法】対象は健常な大学生男性6名(平均年齢21.2歳、平均身長171.6cm、平均体重57.1kg)であった。計測には、3次元動作解析装置(VICON MX)および床反力計を用いた。身体標点としてVicon社の Plug in gait full bodyモデルにより定められた所定の35点に反射マーカーを貼付した。課題は4種類の動作ピッチ(100・120・140・160回/分)での跳躍動作とした。被験者には肘関節伸展位・前腕回外位・手指伸展位、肩関節軽度外転位とさせた状態で15~20回程度跳躍動作を反復させた。被験者には跳躍高を調整してメトロノームのピッチ音に合わせて動作を行うように指示した。Plug in gait full bodyモデルにより算出した胸郭角度、骨盤角度、脊柱角度(胸郭と骨盤の相対角)の矢状面成分を体幹運動の指標として、身体重心の鉛直方向空間座標(以下、重心鉛直位置)、床反力計の鉛直方向成分の左右合計値(以下、床反力鉛直成分)を身体全体の運動の指標として用いた。床反力鉛直成分の変化をもとに接地時点から再び接地するまでを跳躍周期、接地している期間を接地相、離地している期間を離地相と定義した。跳躍周期における胸郭角度、骨盤角度、脊柱角度、重心鉛直位置と床反力鉛直成分の関係について分析した。また動作周期中の胸郭角度・骨盤角度・脊柱角度の変化角度(以下、胸郭運動角、骨盤運動角、脊柱運動角)、重心鉛直位置の鉛直方向の移動距離(以下、重心移動距離)について連続する3周期分の平均値を算出し統計学的分析に用いた。動作ピッチによる胸郭運動角、骨盤運動角、脊柱運動角、重心移動距離の相違の分析には、Friedman検定を用いた。【説明と同意】研究への参加にあたり、被験者には書面および口頭にて説明を行った後、書面にて実験参加の同意を得て実施した。【結果】重心鉛直位置は接地相にて最下点、離地相にて最高点を生じる周期的な変化を示した。床反力鉛直成分は身体重心の最下点付近でピークとなった。接地相において重心鉛直位置が最下点、床反力鉛直成分が最大となる際に胸郭角度・脊柱角度が最大屈曲、骨盤角度が最大後傾となり、その後伸展・前傾運動に転じた。離地相の初期に胸郭角度・脊柱角度が最大伸展、骨盤角度が最大前傾となった。これらの特徴は動作ピッチによらず類似していた。動作ピッチ(100・120・140・160回/分)による重心移動距離の平均値(cm)は26.8・19.7・14.6・10.8であり、重心移動量に相違を認めた(p<0.05)。動作ピッチ(100・120・140・160回/分)による運動角の平均値(°)は、胸郭運動角:7.7・5.7・3.7・3.4、骨盤運動角:5.5・5.4・4.8・5.0、脊柱運動角:12.5・10.0・8.1・7.9、で動作ピッチの小さい方が運動角が大きい傾向にあったものの統計学的には有意差を認めなかった。【考察】本研究では跳躍動作における体幹運動について、身体全体の運動との関係、跳躍高との関係に着目した。その結果、身体重心および床反力鉛直成分の変化と関連して運動を生じることが確認できた。特に接地相においては重心が最下点に達した後、上行する運動へと切り替わる際に大きな鉛直方向の負荷を受けることとなる。この際に体幹では一定の姿勢が保持されるのではなく、床反力の変化と協調的に若干の運動を生じていた。これは脊柱に加わる衝撃吸収や下肢にて発揮させる力を効率的に体幹に伝えることに作用する反応と考える。【理学療法学研究としての意義】跳躍動作では身体全体の運動と関連して体幹運動が協調的に生じていた。この結果は、抗重力位での身体運動における体幹の運動学的特徴を明らかにする一助になると考える。
著者
金 ミンジュン 松本 慶江子 加藤 英樹 福岡 淳 中島 清隆
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
石油学会 年会・秋季大会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

液相沈殿法にて合成した結晶性YNbO<sub>4</sub>の表面には水中でも機能する塩基性サイトが存在し、6炭糖や縮合有機物の逆アルドール反応を水存在下でも進行させる。本発表では、焼成温度と塩基性質の相関性に焦点を当て、塩基性質と触媒活性の相関性について議論する。
著者
谷 泰弘 金 泰元 澤山 翔 蔦中 孝丞 山口 幸男 佐藤 康治
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.76, no.762, pp.453-458, 2010
参考文献数
5

In order to reduce the costs in wheel manufacturing and on usage of the wheels, we investigated the method of adjusting the sharpness of grinding wheels by using heat treatment and UV treatment. At first it was confirmed that heat treatment of phenol resin grinding wheels for aluminum in a furnace enabled to improve the grindability of stainless steel and to prevent swarf loading. Next it was made clear that surface treatment of grinding wheels by using UV irradiation and hot air blowing had the similar effect with the heat treatment in a furnace. These treatments reduced the force ratio in surface grinding. In these cases the affected layer was limited to the wheel surface though heat treatment in a furnace affected the whole wheel. The thickness of the layer varied with the UV irradiation time. At last we applied this technique to other resinbond wheels and the same effect was obtained for the wheels with polyester bond. However heat treatment did not improve the grindability of epoxy bond wheels with high heat resistance. In such case UV treatment was an effective method to activate flow-out of swarf.