著者
城間 康 安富祖 仁 金城 篤史 長山 格 玉城 史朗
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌. D, 産業応用部門誌 (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.139, no.2, pp.174-179, 2019

<p>Crop growth is influenced by various environmental factors. As a condition for effective plant growth, it is necessary that control of the habitat environment, such as soil moisture content, temperature, humidity, solar radiation amount, is adequately delivered. We focused the fact that soil moisture is important. It is desirable that moisture is uniformly distributed in the soil. In order to avoid physiological disorders caused by water related stress on agricultural crops, it is necessary to use soil with appropriate permeability. By calculating and estimating some characteristic amount related to water permeability, it is possible to identify soil with appropriate water permeability. In this research, we realize the visualization of the planar soil moisture volume by arranging the soil moisturemeter at multiple points. In addition to a system that realizes planar visualization of soil moisture, we propose a method for estimating soil permeability parameters in combination with computer simulation.</p>
著者
田村 次朗 安里 憲二 外間 昭 中村 献 金城 徹 平田 哲生 藤田 次郎
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.46-55, 2019

現在, 膵・胆道疾患において腹部超音波検査が標準的な検診法として一般に認知されているが, その結果についての詳細な報告は少ない。2016年1月から12月までの1年間に, 豊見城中央病院附属健康管理センターで腹部超音波検診を施行した受診者を対象とし, 膵・胆道に関する結果を検討した。総受診者数は17248名であった。膵観察不良率は男性55.1%, 女性12.1%であり, 体型別では痩せ型/標準型/肥満型の順に男性16.3%/43.6%/70.0%, 女性1.4%/7.4%/27.8%であった。各臓器に何らかの所見を有する有所見率は膵1.1%, 胆道28.1%であった。各所見の有所見率のうち高頻度のものは, 膵で膵嚢胞0.61%, 主膵管拡張0.27%, 膵腫瘤0.19%, 胆道で胆嚢ポリープ18.7%, 胆石18.7%, 胆嚢腺筋腫症3.6%であった。要精検率は膵0.44%, 胆道0.35%であった。精検受診率は膵76.0%, 胆道71.8%であった。癌発見率は膵0.012%, 胆道0%であった。男性で標準型・肥満型, 女性で肥満型の受診者は膵描出能が悪く, 飲水法追加などの方法改善を要すると考えられた。
著者
金山 元春 吉竹 由
出版者
日本教育カウンセリング学会
雑誌
教育カウンセリング研究 (ISSN:21854467)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.35-43, 2019

本研究の目的は,教員志望学生を対象とした構成的グループエンカウンター(SGE)に関する研修プログラムを開発し,その効果を検討することであった。研修群(N=42)は12回からなる研修に参加した。研修プログラムの目的はSGEを実践するための知識とスキルを習得させることであった。対照群(N=24)には特別な経験や研修は提供されなかった。研修前後にSGEに関する自己効力感を測定するための質問紙が実施された。その結果,研修群の学生は,対照群の学生と比較して,SGEに関する自己効力感を向上させていたことが明らかとなった。研修のあり方とそれを研究するための方法に関する課題が論じられた。
著者
池田 卓生 関谷 透 木戸 利成 金谷 浩一郎 田原 哲也 原 浩貴
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.97, no.4, pp.703-708, 1994 (Released:2008-03-19)
参考文献数
7

今回我々は,北海道上砂川町にある地下無重力実験センター(Japan Microgravity Center: JAMIC)を利用する機会を得たので,これが身体平衡系の研究における新しい実験手段として有用であるかを検討する目的で,平衡系実験セット(姿勢•行動観察用及び筋電図記録用)を作製し,カエルを用いた予備実験を行った.1) 姿勢•行動観察では,無処置群において頭部が背屈し,四肢が伸展するという特徴的な姿勢が観察できた.また前庭神経切断群では,落下前の姿勢変化はそのまま持続し,障害側を下にする回転運動が見られた.2) 筋電図では,落下直後に前庭脊髄反射のためと考えられる筋活動の亢進を認めた.また前庭神経切断例では,術側の潜時が,やや遅延した.3) カエルは,落下実験施設を利用した平衡系実験の実験動物として適当である.4) 微小重力暴露時の身体平衡系の研究において,落下実験施設は非常に有用な実験手段である.
著者
金山 準
出版者
北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院 = Research Faculty of Media and Communication, Hokkaido University
雑誌
メディア・コミュニケーション研究 (ISSN:18825303)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.109-119, 2011

Ulrich Beck souligne qu'une multitude de risques traversent et se répandent au-delà des frontières et classes de notre société moderne. Ces risques mènent, d'une part, à une anxiété globale, mais, ils sont, d'autre part, une force créatrice de liens et d'un nouveau type de solidarité. La problématique des relations entre le risque et la solidarité a été soulevée pour la première fois en France au cours de la première moitiédu XIXème siècle. Le chômage et la pauvreté sont des problèmes qu'un individu ne peut résoudre uniquement avec ses propres capacités et efforts, constituant un phémonène probable ou risque existentiel. Les êtres humains dépendent les uns des autres et se partagent communément les effets de ces risques. La société fait office de socle de contrôle de ces risques (société assurancielle). La notion de solidarité à cette époque était fortement diversifiée. Premièrement, la solidarité constitue à la fois un fait et un idéal. Deuxièmement, la source du lien avec autrui réside précisément dans nos propres sentiments internes. Troisièmement, la solidarité prend le pas sur des concepts religieux tels que la philanthropie ou la charité, mais comporte aussi un aspect religieux.

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著者
[(朝鮮) 金正浩] [作]
巻号頁・発行日
vol.[14], 1800
著者
森田 直之 簗瀬 立史 星 輝彦 林 克征 浅見 大治 川端 康正 中込 秀樹 早川 信一 金田 裕治
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.300-301, 2015

<p>東京都立多摩科学技術高等学校(以下、本校)は、平成22 年に開校した東京都でも比較的新しい高校で、平成24 年に文部科学省のスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定され、3 年が経過した。この間、本校で課題となったのは倫理教育の在り方についてであった。本校では、SSH 指定科目である「科学技術と人間」という科目で「技術者倫理」という単元を用意し授業を展開してきたが、生徒へのメッセージ性は不十分というのが我々教員の印象であった。そこで、生徒たちに考えさせることを主軸においた教育活動の実践として、未来の科学技術を多く取り上げたウルトラセブンを題材に倫理教育を行なうプロジェクトチームを立ち上げた。本研究では、我々の教育実践と教育効果の考察について報告する。</p>
著者
宮腰 将史 星山 彩子 鴨井 久司 金子 兼三
出版者
新潟大学
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.122, no.5, pp.233-239, 2008-05

メタボリックシンドロームは,平安時代から存在し,1980年代から指摘されていた病態である.近年,脂肪摂取量の増加や運動不足の増加により,内臓脂肪型肥満が増加している.このために,分かりやすい診断基準が必要となり,この度メタボリックシンドロームという新たな診断基準が設けられた.診断基準はウエスト周囲径を必須項目とし,脂質,血圧,血糖のうち2項目以上を満たすものと定められた.ウエスト周囲径の基準については,女性が甘めに設定されているため,まだまだ議論の余地があり,不十分な基準である.内臓脂肪型肥満によって惹起される高血圧,高脂血症,高血糖の病態はたとえそれぞれの症状が軽微であっても心血管系疾患の発症リスクが増加する.そのため,ハイリスクでありながら見過ごされていた症例の早期介入が必要になる.耐糖能異常のある男性の7割以上がメタボリックシンドロームとなっており,糖尿病と関連が深いと考えられている.よって,メタボリックシンドロームの症例では糖負荷試験を施行することが推奨されている.メタボリックシンドロームの病態の主体は,脂肪細胞の分泌臓器としての役割である.脂肪細胞はアディポサイトカインと呼ばれる多彩な生理活性物質を分泌しており,過栄養により分泌異常を引き起こす。脂肪細胞の肥大化により,善玉アディポサイトカインが減少し,悪玉アディポサイトカインが上昇をする.その結果,動脈硬化のリスクが高まる.治療は,食事療法と運動療法が柱である.内臓脂肪を減少させる薬物療法はないが,メタボリックシンドロームに有効と報告されている薬剤はあり,今後も開発が期待される.内臓脂肪蓄積が主病態の糖尿病患者が増加している.メタボリックシンドロームの治療は,糖尿病の新規発症予防だけでなく,有効な治療と成り得る.メタボリックシンドロームの適切な診断と治療法の確立,更なる病態解明,十分なPRと理解,有効な治療薬の開発が大いに期待される.
著者
金沢 尚美 星川 圭介 縄田 栄治
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.133-141, 2006

近年, 東南アジア大陸部山地部においては, 地域住民をめぐる自然・社会・経済環境が急激に変容しつつある.地域住民がこのような急速な状況の変化にどのように対応しているかを明らかにする目的で, タイ北部チェンマイ県のカレン人村落において, 土地利用図と住民に対する聞き取り調査により, 近年の土地利用と農業の変化を分析した.調査村では, 20世紀半ばまで, 長期休閑の焼畑による自給作物 (陸稲) 生産が行われてきた.1960年代, 低地住民により焼畑休閑地がケシ畑へ転換され, このことが焼畑休閑期間の短縮化をもたらした.1970年代の終わりに, 調査村全域が国立公園に指定され, ケシ畑の没収とその跡地での植林により森林面積は増加したが, 休閑期間の短縮と耕地の不足は深刻化した.その後焼畑は姿を消し, 以前の焼畑耕地ならびに休閑地は常畑地または植林地となった.一方, 焼畑よりも生産が安定している水田稲作の技術が導入され, 村内の水田面積は徐々に増加した.現在では, 自給作物であるイネと商品作物の両方が生産されている.焼畑の常畑化にともなう連作による陸稲の生産性の低下を補うため, 化学肥料が使用され始め, さらに化学肥料の使用により増大した雑草に対し除草剤の使用が始まり, 農業が急速に集約化している.近年導入された商品作物は, 主として集約化にともなう化学肥料・除草剤購入のためである.このように, 調査村の住民は, 農業の多様化により, 自給作物生産の集約化を可能にし, 新たな状況に対応していることが明らかとなった.
著者
前田 憲吾 清水 芳樹 杉原 芳子 金澤 直美 飯塚 高浩
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.98-101, 2019 (Released:2019-02-23)
参考文献数
9
被引用文献数
2 1

症例は48歳女性.43歳時に下肢硬直感が出現したが3か月で自然軽快した.両下肢の筋硬直が再発し,ミオクローヌスが出現し入院.意識清明,言語・脳神経は異常なし.両足趾は背屈位で,足関節は自他動で動かないほど硬直していた.神経伝導検査は異常なく,針筋電図では前脛骨筋に持続性筋収縮を認めた.血液・髄液一般検査は正常で,抗GAD65抗体・抗VGKC複合体抗体は陰性.脊髄MRIにも異常なく,症候学的にstiff-limb症候群(SLS)と考え,ステロイドパルス療法を実施し筋強直は改善した.その後,血液・髄液の抗glycine受容体抗体が陽性と判明した.プレドニゾロン内服後,再発はない.
著者
山田 幸子 石川 正幸 金子 主税
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.23, no.11, pp.2818-2834, 1975-11-25 (Released:2008-03-31)
被引用文献数
12 22

Photolysis of a series of acridine 10-oxides (Ia-Ig) in various solvents is reported. The structures of photo-products were determined by syntheses, chemical transformation to the known compounds, or by direct examination of their spectroscopic data. Based on the structures of photo-products and the solvent effect on the product distribution in these photolyses, a mechanistic rationalization of these photo-reactions is presented. The characteristic features of the photo-rearrangement reactions of acridine 10-oxides are discussed and compared with those of bicyclic and monocyclic azine N-oxides, e, g., quinoline 1-oxides and pyridine 1-oxides.
著者
中山 智英 長谷川 直人 小西 和哉 阿部島 滋樹 市村 龍之助 金古 裕之
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.67, no.9, pp.2101-2104, 2006-09-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
15

症例は3歳,男児. 2005年8月6日午後7時20分,自宅で玩具にて遊んでいる際,単5乾電池2個にて動いていた玩具の電池カバーがはずれており,そのうち1個を飲み込んだのを母親が目撃した.同日7時30分に当院救急外来を受診.救急外来到着時,呼吸苦や腹部症状はみられなかったが,腹部単純X線写真にて上腹部に誤飲した乾電池と思われる1×3cm大の陰影を確認.母親からの病歴聴取とあわせ乾電池の誤飲と診断した.透視下造影検査を行ったところ上部小腸まで乾電池が進んでいたため,緊急手術を施行した.下腹部正中切開にて開腹し,直視下に小腸まで進んでいた乾電池を確認.用手的に回盲部まで進め,虫垂切除術を施行し,虫垂切除断端より乾電池を摘出した.小児の筒型乾電池誤飲症例は報告が少なく,治療法も確立されていない.われわれは小児の筒型乾電池誤飲症例に対し,虫垂切除術を施行し摘出しえた1例を経験したので報告する.
著者
森本 悟 髙尾 昌樹 櫻井 圭太 砂川 昌子 小宮 正 新井 冨生 金丸 和富 村山 繁雄
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.573-579, 2015 (Released:2015-08-21)
参考文献数
17
被引用文献数
1

症例は62歳の女性である.頭痛で発症し,3ヵ月にわたって進行する認知機能障害,発熱および炎症反応の持続を呈した.頭部MRI画像で皮質および白質に多発性病変をみとめ,造影後T1強調画像にて脳溝や脳室上衣に沿った造影効果をみとめた.認知機能障害およびMRI所見が急速に進行したため脳生検を施行.クモ膜下腔に多数の好中球浸潤および多核巨細胞よりなるリウマチ性髄膜炎類似の病理像をみとめるも,関節リウマチの症状はなかった.各種培養はすべて陰性で,抗菌薬,抗結核薬および抗真菌薬治療に反応なく,経口ステロイド療法が奏功した.2年後の現在も寛解を維持している.
著者
金森 絵里 兵藤 友博 小久保 みどり 中瀬 哲史 佐野 正博 山崎 文徳 慈道 裕治 横田 陽子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では福島第一原発事故がなぜ起こってしまったのかを領域横断的に分析し,以下の点を明らかにした。1.被爆国日本が原子力を社会的に受容したのは夢のエネルギーだという考え方が浸透していたからである。2.原子力政策は日本学術会議などの議論を十分に反映しなかった。3.大型化・連続化による経済性追求が安全性軽視につながった。4.歴史的に形成された「国家との戦い」「企業を護る」という意識と経営行動が事故につながった。5.緊急時における組織的対応が不十分だった。6.原発は総括原価方式のもとで電力会社経営を安定化したが,事故やバックエンドのコスト議論は自主的自律的におこなわれなかった。
著者
金 木斗哲
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.110, 2006

1.はじめに<BR> 近年の韓国農村部にはどこかで活気を感じさせるところが多い。都市との生活水準の格差は依然としてあるものの、社会基盤整備も進んでおり、毎年のような変わっている韓国農村部の変貌ぶりには目を見張るものがある。本報告では、韓国農村部における近年の劇的な変化の要因を、1990年代以降の韓国農村部をめぐる社会経済的な環境変化から明らかにするとともに、変化の渦中にある韓国農村部の中でひときわ注目を集めている全羅南道咸平郡を事例として取り上げ、韓国農村部自治体の新たな地域開発戦略である「場所マーケティング」ついて検討し、場所マーケティング戦略が韓国農村部に新たな活路を見出す可能性について検討する。<BR>2.韓国農村部をめぐる社会経済的な環境変化<BR> 韓国において1990年代はあらゆる面で大きな変化があり、韓国の現代史の中で一つの分水嶺になるに違いない。何よりも30年間続いてきた軍部独裁による強権統治が終焉を告げ、社会全般に重くのしかかっていた権威主義的な雰囲気が晴れてなくなった。このような変化の具体的な内容は次の5つにまとめることができる。第一に、民主化と伴ういわゆる「文民政府」の登場と、それによる農業農村政策基調の変化である。この時期に至って農業農村部門への財政投資が本格的に行われるようになるが、その物的基盤になったのは地方譲與金制度の創設や各種補助金の拡充である。第二に、1995年の地方自治制の復活と民選郡守(郡長)による地域活性化への取り組みである。韓国農村部は、韓国社会全般の植民地支配と朝鮮戦争による伝統との「断絶」の上、画一性や均一性を重んじる軍事文化が社会全般に横行し、「没地域文化」を強いられていたが、地方自治制の復活後は民選郡守による地域活性化への取り組みが本格化し、伝統文化の発掘や特産品の開発など様々な試みがなされている。実に、2005年には600を超える「地域祝祭」が全国各地で行われている。第三に、金融危機以降の金融界の貸付先の変化である。金融危機後に新たに登場した融資先が土地などの担保能力のある自営業であり、与信禁止業種の緩和もそれに拍車をかけた。その結果、レストランやホテルなどの消費部門の過剰競争が起こり、それらの自営業が農村部にまで乱立するようになった。第四に、農村部における交通網の整備とIT化の進展である。1990年代以降農村部への財政投資の多くは道路整備に投じられ、農村部へのアクセスを飛躍的に向上させた。また、高速インターネット通信網の整備も進み、農村部にも高速インターネットが広く普及した。インターネットの普及に伴う農村部からの情報発信は新たな農村観光の需要を引き起こし、網道路整備による時間距離の短縮はそれらの需要を現実のものとした。最後に、観光パターンと意識の変化である。観光パターンの変化は農村を「立ち去るべき」空間から「訪れる価値のある」余暇空間へと変えていった。2002年からは週休二日制が導入され、農村観光の需要は大幅に増えている。<BR>3.場所マーケティングよる地域戦略<BR> 咸平郡の事例咸平郡は全羅南道に属する韓国の代表的な後進地域で、過去35年間に2/3以上の人口が減少し現在は約4万人で高齢化率は約21%、専業農家率は約80%である。最寄りの中心都市は東に約50_km_離れている光州市であり、ソウルまでの距離は約440_km_で高速道路を利用した場合約4時間30分で結ばれる。場所マーケティングとは、新しい地域のイメージを創り出し、場所資産としてマーケティングすることによって、地域経済の活性化を図るというものであるが、咸平郡では1999年から「チョウまつり」をはじめ、150万人以上の観光客で賑わっている。すなわち、地域のイメージを創造や清浄を連想させる「チョウ」に代表させ、地域ブランドとして「Nareda」(韓国語で'飛ぶ'という意味の造語)を登録し、すべての地元特産品に「Nareda」の商標を付け、付加価値の高い販売戦略を取っている。ここで注目すべき点は、咸平郡という場所性とチョウとの関連性であるが、実は「チョウまつり」以前の咸平郡はチョウとはまったく無縁であった。にもかかわらず、生態観光や体験型観光を求める需要に合わせて当該地域を「商品」として開発し、新しい地域性を創り出したのである。従来の地域づくりや地域ブランド化戦略では地域固有の資源、すなわち場所性に基づいて行わなければならないと主張されてきた。しかし、すべての地域が競争力のある地域資源を持っているとは限らない。それ故、場所性を場所に対して認知された特性と定義し、需要に合わせて修正ないし形成可能であるという場所マーケティング戦略は注目に値する。
著者
水谷 誠 北川 啓介 金森 信道 麓 和善 若山 滋
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.76, no.667, pp.1559-1567, 2011-09-30 (Released:2012-01-13)
参考文献数
15
被引用文献数
2

The study is based on the idea which is “Space enclosure” that encloses persons three dimensionally. The main purpose of the study reveals spatial characters of tea rooms which are very small but have colorful compositions. Also “Sight-Depth” is used to calculate three dimensional spatial compositions mathematically. Following explanations are the procedure to analysis.1. Making digital models by CAD2. Setting up the measurement positions in tea rooms and then calculates three dimensional compositions.3. Making Self-Organizing-Maps based on the data of second step.4. Making spatial descriptions.5. Building up phylogenetic tree based on the spatial descriptions and then analyzes the tree.