著者
境 有紀 中川 文寛 鈴木 達矢
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集 (ISSN:18846246)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.4_54-4_81, 2010 (Released:2011-11-09)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

2008 年岩手県沿岸北部地震を対象として,震度6 弱以上を記録した全ての強震観測点と5 強を記録した一部の強震観測点周辺の被害調査を行った.その結果,いくつかの観測点周辺で外装材の落下,外壁のわずかなひび割れ,窓ガラスの破損といった軽微な建物被害は見られたが,いずれの観測点周辺でも,大破・全壊といった建物の大きな被害はなかった.観測された強震記録の性質について検討した結果,そのほとんどが0.5 秒以下の極短周期が卓越した地震動で,建物の大きな被害と相関をもつ1-2 秒応答は小さく,このことが大きな震度にもかかわらず建物の大きな被害が生じなかった原因と考えられる.
著者
鈴木 貴久子
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.88-107, 1994 (Released:2010-03-12)

Many cookery books were compiled in the medieval Islamic times and thirteen of them were already indicated by Ibn al-Nadim (d. ca. 387/995) in the Fihrist. Although their importance as historical sources has been recognized, they have been a generally neglected subject of study.My main purpose of study of the Arab cookery books is to describe food availability and dietary life in the medieval Islamic period and to explicate the changes of dietary life under the constant influence of the various factors of political, economical and cultural activities. In this paper I intended to clarify their general character and to point out the strong textual similarities among eight books.As a result, it can be claimed, they were compiled as one of adab Literature. All those authors who compiled cookery books before the 11th century were on intimate terms with Abbasid caliphs in the courts in the capacity as physicians, musicians, bureaucrats and scholars; the authors who compiled them after the 13th century, on the other hand, they belonged to the urban society as the people of the educated class (khassah) like 'ulama's, jurists, scholars and poets. It alludes to the emergence and development of an urban high cooking after this period.Arad cookery books were, generally speaking, compiled with the aim of defining “the healthful diet (al-sahih min al-at'imah)” in accordance with the Islamic law and medical science. As for their contents, a wide variety of subjects are taken up; proper kitchen practices, the nature of various kinds of food stuffs, table manners and preparations for breads, condiments, preserves, sweetmeats, drinks and so on.The comparison of contents of eight cookery books reveals that these cookery books can be divided into four “extended families”.(1) Books that drew information from al-Warraq's work which was written around the end of the 10th century(2) Books that are strongly parallel with al-Baghdadi (d. 637/1239-1240)'s work(3) Books of which a number of recipes of preparations closely parallels those of Ibn al-'Adim (d. 660-1262)'s work(4) Books which were compiled in Maghrib-Andalus in 13th century Despite the similarities among those cookery books, each of them serves as a totally independent source with new information which reflected the social and economical conditions of the areas where they were compiled.In sum, Arab cookery books are important sources for the study of medieval Islamic societies in general.
著者
鈴木 晃志郎 伊藤 修一 于 燕楠
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2020年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.31, 2020 (Released:2020-03-30)

研究目的 異なる2種の点分布間の空間的関係を分析する方法である最近隣空間的随伴尺度(以下NSM)は,地理学では商業集積の分析などに用いられ,多くの成果を挙げてきた(Lee 1979, 石﨑1998).NSMは異なる2つの点分布傾向の随伴性を示す指標であり,ランダム分布である1を挟んで値が大きいほど2者は互いに避け合うように分布し,0に近いほど異なる2種の点同士が近接していることを示す.従って,2種の点分布でさえあれば,使用データが小売店舗などの位置情報である必要はないはずである. 超常現象が何であるにせよ,それらが超常現象となり得るには,何処かで何者かに認知されなければならない.ゆえに,共有された心霊スポットの布置は,社会が超常現象の舞台に与えた価値づけや役割期待の反映と目しうる.本発表はNSMを用いて,心霊スポットの空間分布特性をその他施設の分布傾向から検討することを試み,そこから怪異に投影された社会的役割を捉えることを企図している.主たる関心は,見えない怪異を地理学的・定量的に可視化することに注がれ,超常現象や心霊スポットそのものへのオカルティズム的関心は有しない.研究方法・分析対象 インターネット最大の心霊スポット紹介サイト「全国心霊マップ」から2019年11月入手した心霊スポットの全国住所データ1690件をサンプルとし,国土数値情報の公共施設データを別途用意してQGISで座標値を取得, NSMにより二者の随伴性を検討した.結果 結果を以下の表に示す.紙幅の都合から詳細は述べないが,仮説と反し公共施設のほぼ何れとも異なる独自の分布傾向を示すことが分かった.更に分析を進め,口頭発表では追加データやGIS による解析結果を示す予定である.文献:石﨑研二 1998. 店舗特性・立地特性からみた世田谷区におけるコンビニエンス・ストアの立地分析. 総合都市研究65: 45-67.Lee, Y. 1979. A nearest neighbor spatial-association measure for the analysis of firm interdependence. Environment and Planning A 11: 169-176.
著者
鈴木 愛理 仁平 政人 平井 吾門 山田 史生
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
vol.117, pp.9-20, 2017-03-28

国語科で扱える「感性や情緒」、「ものの見方、感じ方、考え方」、「想像」、「心情」、「言語文化」には限度があり、広がりや深みが制限されてしまう。そこで、教科書に掲載することは不可能ではあるが人間の感情の本質に迫ることのできるテーマを扱った作品を示すことによって、教材発掘の一助としたい。今回は、「男色」を描いた作品として、現代文からは、山崎俊夫「夕化粧」、古文からは井原西鶴『男色大鑑』より「垣の中は松楓柳は腰付」、漢文からは『韓非子』からの一篇を提出する。
著者
金指 達郎 鈴木 基雄
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.92, no.6, pp.298-303, 2010 (Released:2011-02-16)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

著者らが開発したスギ花粉飛散予報モデルを応用して, 首都圏への寄与度の高いスギ花粉放出源の推定を試みた。評価の指標として, 花粉飛散期間中の平均花粉濃度と, 花粉濃度と当該地域の人口の積(花粉暴露指標とする) の二つを用いた。花粉放出源を含まない狭いターゲット領域 (東京駅を中心とした半径10kmの円内, 領域内人口500万人強) を対象にした場合にはいずれの指標でも類似した結果であった。一方, 広域首都圏 (東西約90km, 南北約80km, 領域内人口約3,000万人) を対象とした場合には花粉濃度を指標に用いると, その内部にある花粉放出源メッシュの効果が非常に強く推定された。また, 推定対象年によって推定結果が異なった。そのため, 花粉放出源対策地域の優先順位選定にこの手法を適用する際には, 複数年の結果を総合的に判断することが重要であると考えられた。
著者
鈴木 裕介 小林 渉 林 伸善 橋本 和孝
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.288-295, 2002-03-15
参考文献数
4

本稿では,H-II Aロケット用の搭載計算機である誘導制御計算機について,その役割,技術的特徴,開発経過等を,ロケットの誘導制御システムの概要とともに紹介する.また,これまでのH-I,H-IIロケット用の搭載計算機からの変遷についても併せて記述する.
著者
鈴木 正
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.90, no.4, pp.598-676, 2008-07-20
被引用文献数
1

組み合わせ最適化問題に物理的な過程を応用する方法がある。中でもシミュレーティッドアニーリングはよく知られている。シミュレーティッドアニーリングは熱揺らぎを制御して最適化問題の答えを導く。まず組み合わせ最適化問題を表すハミルトニアンを作り、それに相当する仮想的な物理系の高温の平衡状態を作る。温度が十分に高ければ平衡状態は容易に得られる。そこから系を徐々に冷却し、それに伴う系の緩和を通じて最後にハミルトニアンの基底状態に到達させる。比較的最近、シミュレーティッドアニーリングの類推として量子アニーリングが提案された。この方法は磁場などにより系にトンネル効果(運動エネルギー)を導入し、それを制御することで最適化問題を解く。どのように制御するかというと、まず運動エネルギーがハミルトニアンの中で支配的になるようにし、そこから時間とともに徐々に運動エネルギーの重みが小さくなるようにする。運動エネルギーが支配的な初期ハミルトニアンの基底状態は簡単にわかる。その状態を初期状態として状態を時間発展させ、運動エネルギーの重みが無くなった時点での状態を答えとする。状態が断熱的に発展すれば、終状態は古典ハミルトニアンの基底状態となる。これら二つの方法は基本的にどんな問題にも使える汎用的なものである。最近の研究の進展によって量子アニーリングの性質が徐々に明らかになってきている。注目すべきは古典的なシミュレーティッドアニーリングよりも量子力学的な量子アニーリングの方が終状態を早く基底状態に近づけることである。このことは現時点で一般的に証明されたわけではないが、数値的な状況証拠に加え、解析的な証拠も得られている。本論文ではまずシミュレーティッドアニーリングと量子アニーリングの方法について述べる。次に量子アニーリングの本質である量子状態の断熱発展に関する基礎理論をまとめる。後半では量子力学の断熱定理に基づいて有限系で一般的に成り立つ量子アニーリング後の残留エネルギーの減少則を導く。さらに1次元ランダムイジング模型を例題として、熱力学極限で量子アニーリングとシミュレーティッドアニーリングのダイナミクスを解析的に比較する。それによって量子アニーリングがシミュレーティッドアニーリングより早いことに対する解析的な証拠を与える。
著者
鈴木 喬
出版者
熊本大学
雑誌
熊本史学 (ISSN:03868990)
巻号頁・発行日
vol.74, pp.30-38, 1998-03-25
著者
中山 泰一 中野 由章 角田 博保 久野 靖 鈴木 貢 和田 勉 萩谷 昌己 筧 捷彦
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:21888930)
巻号頁・発行日
vol.2015-CE-131, no.11, pp.1-9, 2015-10-03

本論文では,高等学校情報科の教科担任の現状を明らかにするため,都道府県教育委員会における臨時免許状の授与と,免許外教科担任の許可の状況を調査した.その調査結果を報告するとともに,わが国の情報教育のありかたについて考察する.
著者
藤木 稔明 南野 朋之 鈴木 泰裕 奥村 学
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.23, pp.85-92, 2004-03-05
参考文献数
8
被引用文献数
19

近年、Web上には様々な意見情報が存在している。そのため、Web上でいつ、どのような情報が注目されていたかを把握することは企業活動にとって重要な情報になりつつあると考えられている。本研究では特にblogと電子掲示板を対象とし、その中で注目されている話題を示すトピックワードを発見するための手法を提案する。提案手法は、Kleinbergの提案するburst検出手法に基づいた手法であり、 blogや電子掲示板に対する書き込みを時間情報を含む文書列であるdocument streamとして扱い、その中でdocumentの出現間隔が短くなっている箇所(burst)に注目すべきイベントがあるとして検出する。その際、Kleinbergの提案する手法ではイベント発生と無関係にdocument数が変動するようなdocument streamをうまく扱うことができないため、手法の拡張を行った。また提案手法を用いてトピックワードの抽出実験を行い、手法の有効性を評価した。The reputation is now disseminated quickly on the WWW, because everyone can send a message to the world easily by using blog or BBS. Therefore, it is highly required to find out what information attracts people's attention and what opinion they have. We propose a method for extracting `burst of a word' which is related to a popular topic in a document stream. A document stream is defined as a sequence of documents which arrive in temporal order, and we regard blog and BBS as document streams to apply the method originally proposed by Kleinberg. However, since Kleinberg's algorithm cannot be applied to the document streams whose distribution of documents is not uniform, we extend the method to be able to apply to blog and BBS. We also describe experiments for blog and BBS with our proposed method and discuss the results.
著者
鈴木 晶子 松田 ユリ子 石井 正宏
出版者
東京大学大学院教育学研究科生涯学習基盤経営コース内『生涯学習基盤経営研究』編集委員会
雑誌
生涯学習基盤経営研究 (ISSN:1342193X)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.1-17, 2014-03-10 (Released:2014-03-26)

本研究は、貧困世帯の子どもたちが集中的に進学する公立普通科課題集中校の学校図書館における交流相談の取組みの実践的フィールドワークである。交流相談とは、学外から包括支援が可能な相談員が学校に出向き、生徒たちの潜在的ニーズや課題を発見し、社会的な自立を支援する新たな支援手法である。分析の結果、交流相談は相談機能だけではなく課題発見機能を有していること、学内での相談支援活動は交流相談での課題発見と相談を経て、必要に応じて個別相談につながり、さらに地域資源へとつながっていること、学校図書館がもともと交流の機能を備えていることで、交流相談の場としても有効に機能することがわかった。さらに、セカンドプレイスとサードプレイスの間にある「2.5thプレイス」たる交流相談を起点として、貧困世帯生徒を地域につないでいく有効な支援のあり方として「貧困世帯生徒への+2.5thプレイスモデル」を提示した。 This is a practical fieldwork of a proactive consulting in communal space, which is a new approach of school consulting by professional consultants for students who have subconscious needs or potential problems. This study was conducted in a school library of a public high school wherein consultants approach students who are low achieving or belong to low-income families. Findings are: 1) The proactive consulting in communal space has the capability of providing students with a consulting experience as well as problem-finding. 2) Students who have serious problems can be found through this approach. They can be referred to the appropriate consultants and agencies concerned outside of school, if necessary. 3) The school library that works as a meeting, learning and creative space has shown to be of benefit to this new approach. And we present a model of the +2.5th place for low-achieving and low-income students and to be of help in referring them to their possible future third place.
著者
渡壁 奈央 古田 歩 鈴木 麻希 杉山 寿美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.74, no.11, pp.648-659, 2023 (Released:2023-12-08)
参考文献数
46

戦国期毛利氏の饗応献立について, 『元就公山口御下向之節饗応次第』に記された6回の饗応献立記録と, 『身自鏡』に記された季節の食材や調理法から, 饗応献立の料理構成を検討した. 膳部の本膳, 二の膳, 三の膳の料理の数は, それぞれ7, 5, 3であり, 異なる15の料理が供されていた. また, 1回の饗応で料理の重複は認められなかった. 一方, “かうの物” “かまぼこ” “あわび”等は, 6回の饗応すべてで供されていた. 御汁は, 二の膳, 三の膳で2つずつ供され, 二の膳では, 魚 (鯉, 鯛, 鮒) の汁と, 山菜または海藻の汁, 三の膳では鳥 (白鳥, 靏, 鴈) の汁と, 獺またはあわびの汁であった. 『身自鏡』には, 塩による保存の有無で魚, 鳥, 獺の汁の調理方法が異なることが記されていた. 献部では, 初献で“雑煮”, 二献で“さしみ”“鳥”“栄螺”が供されていた. 点心の献には, 上位の食材とされる鯉, 白鳥, 鶴や, 季節の情景を表した料理が, “御副物”として組み合わされていた.
著者
鈴木 航介 合田 隆
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.320-374, 2020 (Released:2020-12-25)
参考文献数
118
被引用文献数
1

概要. 本稿は高次元数値積分法の一つである準モンテカルロ法のサーベイ論文である.一様分布論に基づく古典的理論や準モンテカルロ点集合の構成法から始め,近年発展を遂げてきた再生核ヒルベルト空間に対する最悪誤差の評価やそれに基づく格子やデジタルネットと呼ばれるクラスの準モンテカルロ点集合の構成および乱択化について概観し,数値実験を通してその実用性を示す.
著者
鈴木 一人
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.1_56-1_75, 2019 (Released:2020-06-21)
参考文献数
21

主権国家システムと資本主義システムは近代のシステムの両輪として発達した。しかし、ニクソンショックによって変動相場制へと移行したことで自由な資本移動が可能となり、それが主権国家の自律的な経済財政政策を困難にさせるようになってきた。開放経済の下では資本移動の自由と安定した為替と自律的な金融政策の三つが同時に成立しないトリレンマが起こるが、ニクソンショックを契機に加速するグローバルな資本移動が所与のものとなり、不安定な為替に耐えられない多くの国は実質的な自律性を失っていく。また深刻な債務危機に陥った国家はIMFによるコンディショナリティによっても自律性を失っていく。自律性を失いながらも法的な主権を維持し続ける国家は、自らの自律性を回復させる運動として、他国に対する排他的な政策、すなわち保護主義的ないしポピュリスト的な政策を取るようになる。しかし、そうした排他的な政策もそれを実行する能力の有無によって不平等な状況が生まれ、法的な平等性は維持されながらも実質的な自律的統治能力の不平等性が生まれる状況になっている。
著者
鈴木 渉 籔脇 健司
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.604-613, 2023-10-15 (Released:2023-10-15)
参考文献数
33

本研究の目的は,作業療法で用いられる理論や実践手法に関する教育やそれらの実践経験が職業的アイデンティティに及ぼす影響について仮説モデルを作成し,その関連性を定量的に明らかにすることである.対象は身体障害領域や高齢者領域に勤務する作業療法士207名であった.このモデルを検証するために構造方程式モデリングを実施した.結果として,作業療法独自の理論や実践手法に関する卒後教育を受けて実践経験を積むこと,さらには性別や現在理想とする作業療法士の存在が職業的アイデンティティに影響を及ぼすことが明らかとなった.本研究にて検証したモデルより,職業的アイデンティティを高める教育方法の指針を示すことができる.
著者
幾石 尚美 塚原 裕 福田 直子 鈴木 絢子 神田 理恵子 川村 良 橋村 尚彦 中村 亜矢子 土子 綾
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大医学雑誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.31-35, 2014-02-01 (Released:2015-05-22)
参考文献数
18

本症例は子宮頸部高度異形成の術前診断であったが,年齢と根治性を考え子宮全摘術を行った.病理診断は子宮頸部上皮内がんで切除断端は陰性であった.しかし術後4 か月目に腟断端部に異型細胞を認めた.その原因には術前から長期間認めていたハイリスク型ヒトパピローマウィルス human papillomavirus (HPV) 感染が強く考えられ,術後の定期的なエストリオール錠の腟内投与にて異型細胞が著明に減少した.
著者
三澤 遼 鈴木 勇人 甲斐 嘉晃
出版者
一般社団法人 日本魚類学会
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
pp.21-036, (Released:2022-02-08)
参考文献数
20

The rarely collected ceratioid anglerfish family Caulophrynidae, including the genera Caulophryne Goode and Bean, 1896 and Robia Pietsch, 1979, is widely distributed from the surface to the bathypelagic zone in the Pacific, Atlantic and Indian oceans. Valid Caulophryne species, characterized by the absence of an expanded escal bulb, presence of only 2 pectoral radials, extremely long dorsal- and anal-fin rays, 8 caudal-fin rays, neuromasts of the acoustic-lateralis system located at the tips of elongate filaments, an illicial length less than 130% of standard length (SL), 14–22 dorsal-fin rays, and 12–19 anal-fin rays, include Caulophryne jordani Goode and Bean, 1896 and Caulophryne pelagica (Brauer, 1902) from all three oceans, Caulophryne polynema Regan, 1930 from the Atlantic and eastern Pacific, and Caulophryne bacescui Mihai-Bardan, 1982 from the eastern Pacific. A single female specimen of C. polynema, collected over a bottom depth of 658–663 m off Iwate Pref., Pacific coast of northern Japan, on 9 October 2020, was distinguished from other congeners by the following combination of characters: illicium length 17.3% SL, with about 50 translucent filaments along its entirety; 19 dorsal- and 17 anal-fin rays. In addition, a parasitic male with degenerated dorsal, anal and pectoral fins, and eyes was found on the specimen. The specimen represents the first record of Caulophryne polynema from the western North Pacific, including Japanese waters, and northernmost record of the species in the Pacific Ocean. The new standard Japanese name “Fusafusa-hirenaga-chochin-anko” is proposed for the species.