著者
横山 拓 鈴木 宏昭 寺尾 敦
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.255-268, 2023-09-01 (Released:2023-09-15)
参考文献数
46

The purpose of this paper is to develop a model of meta learning in acquiring expertise in the field of insight problem solving. We gave 4 participants a series of 12 geometric insight problems and analyzed the process microscopically. By modeling causal relationships between observed variables using covariance structure analysis, we found that 1) an increase in both variety of trials and appropriateness of evaluation improves performance, 2) the variety of trials and appropriateness of evaluation are enhanced by activating cognitive coordination with external resources; that is, epistemic interaction with external resources to distribute the cognitive load to the environment and find information that is hidden or hard to compute mentally. These findings suggest that meta learning is a result of the activation of the interaction between the cognitive component (variety of trials and appropriateness of evaluation) and the situational-perceptual component (cognitive coordination with external resources).
著者
沢村 正義 鈴木 悟 小原 典子 佐藤 美夢 東谷 望史
出版者
公益社団法人 日本アロマ環境協会
雑誌
アロマテラピー学雑誌 (ISSN:13463748)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.39-47, 2016-09-30 (Released:2016-09-30)
参考文献数
44

本研究は,精油の安全使用に関するアロマテラピー情報を提供することを目的として,光毒性をもつフロクマリンの定量分析を行ったものである。ガスクロマトグラフィー-質量分析(GC-MS)において,内部標準としてp-クロロベンゾフェノンを使用し,また選択イオンモニタリング(SIM)モードで分析を行った。光毒性をもつソラレン,キサントトキシン,ベルガプテン,イソピムピネリン,そしてクマリン類の一種で光毒性のないオーラプテンの正確な一括分析法を確立するために9種類の質量イオンを選択した。分析した116種類の市販精油のうち,フロクマリンはセリ科およびミカン科の精油試料で,それぞれ4種類,9種類検出された。一方,オーラプテンは6種類のミカン科精油で検出された。
著者
佐藤 孝雄 澤田 純明 澤浦 亮平 米田 穣 河村 愛 鈴木 敏彦 増田 隆一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

縄文時代晩期まで日本列島に棲息していたとみられるオオヤマネコについて多角的かつ領域横断的な調査・研究を行う。動物考古学、古生物学、生物系統地理学、考古科学の手法を駆使し、申請者の管理下にある青森県尻労安部洞窟、岩手県獺沢貝塚、愛媛県上黒岩岩陰遺跡の出土遺体などを精査。放射性炭素年代も測定しつつ、古代DNA(aDNA)解析や炭素・窒素安定同位体分析も試みることで、同種の系統や生態を明らかにするとともに、その絶滅要因についても知見を深める。
著者
菅野 純 梅田 ゆみ 鈴木 正明 武田 知起 後藤 裕子 山野 荘太郎 平井 繁行 竹内 哲也 高橋 祐次
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第46回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.S6-4, 2019 (Released:2019-07-10)

架橋型アクリル酸系水溶性高分子化合物(以下、ポリマー)の包装作業に従事した労働者6名が肺繊維化、間質性肺炎、肺気腫、気胸等を発症した事から、2017年4月に、同種事案の防止のため、厚生労働省労働基準局安全衛生部からプレスリリース(1,2)があった。6名は曝露開始から2年前後の短期間に発症し、年齢は20代~40代であった。このポリマーは、アクリル酸を直鎖重合し、更に網目状に架橋した巨大分子で、一次粒子はナノ粒子の定義に該当すると考えられる。外観は白い微細粉末である。肺に対する毒性文献情報は確認されていない。吸湿吸水性が高く難分解性で、消化管から吸収されず経口毒性は殆ど無いとされる。 ここでは、当該ポリマーの肺毒性の成立過程と発生機序の解明を目的とした研究のうち、ラット及びマウスの肺曝露実験の中間報告を行う。曝露経路は、ポリマーが惹起する生体反応の概略を把握する目的での気管内投与(IT)、ヒトで生じた肺病変の成立過程と発生機序と定量的用量作用関係を明らかにする目的でのTaquann直噴全身曝露吸入(WB)の二通りを採用した。IT検体(1.5g/L)は懸濁し光顕下で細菌大の粒子を認めた。単回IT(ラット100~300μg/匹、マウス15~45μg/匹)の直後より(分布に偏り大)ポリマー貪食マクロファージ(PLMφ)の崩壊像と共に肺胞内に強い炎症細胞浸潤を認め、1週に最大となり4週に向けて減弱した。それに交代して肺胞内PLMφ集簇巣形成、Ⅱ型肺胞上皮の増加(TTF1、Tm4sf1 陽性反応性過形成)の出現を認めた。以上、ポリマーの肺胞内半減期は長く組織反応を伴う炎症の遷延を認めた。IT反復26週観察、及び、全身曝露吸入の結果を合わせて報告する。1.https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11305000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu-Kagakubushitsutaisakuka/0000163637.pdf2.同/0000163635.pdf
著者
田辺 和俊 鈴木 孝弘
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.247-267, 2019-10-15 (Released:2019-11-15)
参考文献数
93

近年のわが国の重大社会問題の一つである自殺には地域差が存在するため,都道府県別の自殺死亡率に有意な影響を与える要因の解明を目的とする実証研究を試みた.47都道府県の男女別年齢調整自殺死亡率を目的変数,それとの関連が推測される健康,経済,社会,自然分野の指標54種を説明変数としてサポートベクター回帰分析を行い,自殺死亡率に対する決定要因を探索し,その相対的影響度を推定した.その結果,男女別にそれぞれ12種の要因が得られ,男性では精神保健福祉士数,家計収入,患者数などの要因,女性では悩み相談,出生率,残業時間などの要因の影響が大きいことを見出した。また,これまで未検証の精神保健福祉士数や残業時間,精神状態が有意の影響を与えるが,自殺率との関係が深いとされてきた失業率や離婚率は決定要因にはならなかった.さらに,自殺率が最も高い秋田県について決定要因の結果に基づき自殺対策の提言を試みた.
著者
鈴木 広道 石丸 直人 木下 賢輔 中澤 一弘 大西 尚 木南 佐織 多留 賀功 石川 博一
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.265-272, 2014 (Released:2014-10-05)
参考文献数
30

白衣・聴診器は多剤耐性菌による汚染源となるが,白衣の交換頻度,聴診器の消毒の有無に関して我が国では実態調査は行われていない.今回,国内の4病院において入院診療に携わる常勤医を対象に2013年7~8月の期間において,アンケート調査を実施した.対象医師314名中312名より協力が得られ,有効回答が得られた308名(98%)において解析を行った.白衣の交換頻度は約半数(48%)で週1回程度であり,毎日白衣を交換している医師は23名(7.5%)であった.聴診器膜面のふき取りは162名(53%)で実施されていたが,患者1人毎の診察でふき取りを行っている医師はその内37名(23%)であった.背景因子との比較において,医師経験年数(10年以上)が白衣の交換頻度の低下と独立して関連を認めていた(p=0.04).男性医師において聴診器膜面の消毒が行われる頻度が低い事が示唆された(p=0.01).いずれも施設間の差は独立因子としては認めなかった.多剤耐性菌の抑制には,毎日の白衣交換,患者毎の聴診器膜面消毒が重要であるが,本研究において適切な白衣交換,聴診器膜面消毒が行われている割合は少数であることが示された.今回のデータを基に対象施設における改善を図ると共に,大規模な実態調査を行い,白衣交換・聴診器膜面の消毒が適切に行われていない要因をより明らかにする必要がある.
著者
柴田 護 鈴木 則宏
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.8, pp.1634-1640, 2007 (Released:2012-08-02)
参考文献数
6

薬物乱用頭痛は日常臨床で稀ならず遭遇する疾患であり,鎮痛薬を服用している慢性頭痛患者を診察する際には,服用回数や服用量の詳細な聴取が必要である.診断には画像診断による器質性疾患の除外を慎重に行う.起因薬剤の中止により頭痛は軽快するか薬物乱用前のパターンに戻る.治療に際しては起因薬剤中止後の初期に起こる反跳頭痛への対処法や再度薬物乱用に陥らせないための方策を知っておくことが肝要である.最近の動向としてトリプタンによる薬物乱用頭痛の増加が問題になっている.
著者
鈴木 恵子
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.87, no.Extra1, pp.E54-E64, 2017-05-31 (Released:2017-07-31)
参考文献数
22

Acute encephalopathy in childhood is life-threatening and may cause death or neurological sequelae. Acute-phase clinical symptoms are pyrexia, seizures, and disturbance of consciousness. Many cases of influenza-associated encephalopathy in childhood have been reported in Japan, which is diagnosesd by its characteristic clinical course and finding from magnetic resonance imaging (MRI) of the head. Several cases have been characterized by hypercytokinemia, therefore, anti-proinflammatory cytokine therapy, such as methylprednisolone pulse therapy and intravenous immunoglobulin therapy, has been recommended for treating encephalopathy. Acute encephalopathy with biphasic seizures and late reduced diffusion (AESD) is a subtype of influenza-associated encephalopathy. However, AESD can be induced not only by influenza virus but also by other pathogens. The clinical course is characterized by a febrile seizure (usually >30 minutes) as the initial neurological symptom on day 1, followed by recurrent seizures on days 4-6. On days 3-9, lesions can be detected in the subcortical white matter by diffusion-weighted MRI. Although the mortality rate due to AESD is not high, associated neurological sequelae are frequently observed. An excitotoxic injury with delayed neuronal death is considered to be the primary pathogenic mechanism of AESD, although hypercytokinemia and metabolic failure can also occur. Control of the initial and recurrent seizures may affect outcomes.
著者
小口 雅史 熊谷 公男 天野 哲也 小嶋 芳孝 小野 裕子 荒木 志伸 鈴木 琢也 笹田 朋孝
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、律令国家最北の支配拠点である秋田城の性格をまず明らかにし、その秋田城による北方支配や北方世界との交流が、具体的にどのようなもので、どこまで及んだのか、またその一方で北方世界内部のみの、秋田城支配と関わらない交流がどのようなものであったかを検討した。それによれば、秋田城の北方支配は意外に限定的で、北の領域では北の論理に基づく主体的な流通が優勢であったことが明らかになった。一方秋田城の性格については、文献史料の解釈からは非国府説、出土文字資料の解釈からは国府説が有利であることを確認した。最終的結論は今後の課題としてなお検討を続けたい。
著者
木田 圭亮 鈴木 規雄
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.113-117, 2022-08-15 (Released:2022-09-15)
参考文献数
6

日本の循環器領域では,2021年改訂版心血管疾患におけるリハビリテーションに関するガイドラインでGlobal Leadership Initiative on Malnutrition(GLIM)は初めて取り上げられた.心不全患者においても,GLIM基準を活用し,早期診断,早期介入が求められている.そのためには,多職種でのチーム医療,心臓リハビリテーションが大いに活躍できる場と考える.そして,循環器領域ではまだ良く耳にする,「低アルブミン血症のため低栄養です.」というフレーズ,こちらについては,今回のガイドラインにおいても,血液中のアルブミン,すなわち内臓たんぱく質貯蔵量による栄養評価は,炎症,体液量増加による血液の希釈など,疾患重症度を反映し,単独では栄養状態を示す指標にならないと明記されていることを循環器内科医はもっと知っておくべきである.心不全領域での心臓リハビリテーションにおける運動療法の分野は,これまで多くのエビデンスが構築されてきたのに比べると,栄養の分野はまだ道半ばである.心不全患者に対して栄養補給なしの運動だけではより痩せるリスクもあり,ある意味“修行”になってしまうため,運動には十分な栄養補給が必要である.
著者
新保 みさ 串田 修 鈴木 志保子 中村 丁次 斎藤 トシ子
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.333-341, 2022 (Released:2022-06-01)
参考文献数
19

本研究では、日本栄養士会(栄養士会)の未入会者および栄養士会主催の研修会非参加者の特徴を調べることを目的に、2018年11~12月にインターネット上で横断的な自己記入式質問紙調査を行った。対象者は就業資格を必要とする15,133人だった。調査項目は属性、栄養士会入会有無と理由、栄養士会主催の研修会参加有無と理由とした。栄養士会の未入会者は入会者と比べて、年齢が低く、所有資格が栄養士のみで、最終学歴が大学、雇用形態が派遣や契約社員、勤続年数や年収が低い、勤務先が小・中学校、受託給食、保育所幼稚園等の者が多かった。未入会理由は会費が高いことや忙しい、栄養士会の活動を知らない等が多かった。研修会非参加者も参加者と比べて、未入会者と同様の特徴がみられた。研修会の非参加理由には、日程が合わないことを挙げる者が多かった。栄養士会の未入会者および研修会非参加者は年齢、雇用形態、勤続年数、年収、勤務先等に共通の特徴が見られた。
著者
鈴木 久喜
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.121-128, 2000-02-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
9
著者
鈴木 淳子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.34-41, 1994-04-20 (Released:2010-07-16)
参考文献数
23
被引用文献数
27 30

This article describes the construction of a 15-item short-form of the Scale of Egalitarian Sex Role Attitudes (SESRA-S) based on factor analysis and examines the reliability and the validity of the short-form using data from a sample of 109 men and 93 women. SESRA-S is a self report measure of the level of egalitarian attitudes toward the roles of men and women. Its reliability coefficient was .91, the test-retest coefficient with a four-week interval .89, and the correlation coefficient with the full form .94. These support the reliability of the short-form. Evidence of the construct validity was derived from the confirmation of five hypotheses regarding gender, educational attainment, women's employment status, age, and surname change after marriage. The findings of the present study provide evidence for the utility of the short-form as a satisfactory and time-efficient substitute for the SESRA full form.
著者
池尻 良平 池田 めぐみ 田中 聡 鈴木 智之 城戸 楓 土屋 裕介 今井 良 山内 祐平
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.247-255, 2021-09-10 (Released:2021-09-22)
参考文献数
17

本稿では,木村ほか(2011)の職場における経験学習尺度を用いて,若年労働者の経験学習を測定する際,どのように因子構造を解釈するのが妥当なのかを考察した.その結果,若年労働者を対象にした場合は,「具体的経験」で1因子,「内省的観察」,「抽象的概念化」,「能動的実験」で1因子の合計2因子構造が,最も妥当性が高いことが示された.この結果を踏まえ,経験学習の測定時における因子構造については,4因子構造に固定化せず,経験学習モデルと因子構造の対応を柔軟に解釈する方が分析の質の向上につながる可能性があることを示した.
著者
鈴木 修司 近藤 浩史 古川 顕 河井 健太郎 山本 雅一 平田 公一
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.177-185, 2015-03-31 (Released:2015-06-11)
参考文献数
62
被引用文献数
2

非閉塞性腸管虚血(NOMI)は,腸間膜血管に器質的閉塞が存在しないにもかかわらず,腸間膜虚血や腸管壊死を呈する疾患である。1974年Siegelmanらによる血管造影を用いた診断基準がgold standardであったが,最近のmultidetector-row computed tomographyの普及や超音波検査の進歩により腸管虚血を客観的に評価しうる検査法の精度が向上してきたため,新診断基準の確立が望まれている。NOMIは早期に特異的な症候はなく,重症化して診断されるため,一般に予後不良である。NOMIと診断されれば,腹膜刺激症状がない場合は血管拡張薬血管内投与の適応となるが,腹膜刺激症状をきたし,腸管壊死が疑われる場合には外科手術が必要であり,NOMIの診断の標準化と治療の新たなアルゴリズムの構築が望まれる。