著者
上条 勇
出版者
金沢大学教養部
雑誌
金沢大学教養部論集. 人文科学篇 (ISSN:02858142)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1-21, 1992-08-30
著者
Chowdappa Rekha 長谷川 信美 後藤 正和 小薗 正治 藤代 剛 高橋 俊浩 高木 正博 野上 寛五郎 園田 立信
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌 (ISSN:18802133)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.149-156, 2005
参考文献数
21
被引用文献数
2

幼齢ヒノキ造林地(YF区, 2003年6-9月)および野草地(NG区, 2003年10・11月)に放牧された黒毛和種雌牛の行動とルーメン内性状の特性を明らかにするために、24時間行動観察とGPSによる移動距離測定を各月1回, ルーメン液採取を各区2回行った。採食行動時間は平均537.7±109.8分/日で、Miscanthus sinensis採食割合と正(r=0.436, p<0.05)、Pleioblastus simonii採食割合と負(r=-0.676, p<0.001)の有意な相関を示した.M. sinensis採食割合は、P. simoniiおよびその他の植物採食割合と負(p<0.001)、横臥姿勢割合と正(p<0.05)の相関を示した。放牧期間中の移動距離は5001-6879mであった。ルーメン液中総VFA濃度に大きな変動はみられなかったが、個々の脂肪酸割合には牧区と時期によって変動に違いがみられた。NH_<3^->N濃度はYF区がNG区よりも高かった.総プロトゾア数/mlはYFで放牧初期2.0×10^6から放牧後期3.0×10^5に減少し、NGでは変化は示さず1.0×10^6で、両区ともEntodinium割合が最も高くかった。総バクテリア数/mlは1.4×10^7-8.2×10^8で、cocci (+)とcocco (-)の割合が高かった。この研究において、牛は幼齢造林地と野草地放牧に、行動を変化させ多様な植物を選択することで適応する能力があることが示された。
著者
吉川 泰弘 長谷川 寿一 赤見 理恵 落合 知美 倉島 治 斎藤 成也 数藤 由美子 高見 一利
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.20, pp.vi, 2004

「大型類人猿情報ネットワーク(GAIN)」は、その前身である「チンパンジー研究利用に関するフィージビリティースタディ(ナショナルバイオリソースプロジェクトの一環)」が培ってきた大型類人猿由来の研究リソース配分ネットワークとその理念を引き継ぎ、動物園などの飼育施設や研究者とのネットワークの拡大、大型類人猿死亡時のリソース分配をおこなってきた。本集会では、GAINがおこなってきた調査(研究リソースのニーズ調査、国内飼育下大型類人猿の飼育状況調査など)の結果や、リソース配分の具体例などについて報告したい。またGAINをとりまく様々な立場(資源の利用者側、飼育施設側など)からの話題提供も予定している。そのうえで、大型類人猿研究の現状と将来展望、資源配布を中心とする研究支援システムの問題点やこれからの展開について検討したい。
著者
吉田 真悟
出版者
農林水産省 農林水産政策研究所
雑誌
農林水産政策研究 = Journal of Agricultural Policy Research (ISSN:1346700X)
巻号頁・発行日
no.32, pp.17-41, 2020-06-30

外部環境の変化の激しい現代において,農業経営の多角化には追加所得確保,リスク分散,範囲の経済による資源活用など多様な役割が期待される。特に,消費地との近接性を活かした事業多角化が盛んな都市近郊農業において,多角化を通じた経営発展のメカニズムの解明が求められる。本稿では,農業経営の長期的な多角化プロセスの類型を理論化した上で,各類型における多角化と経営発展の相互関係について関東都市近郊の18 件の農業経営の事例分析より明らかにする。その際,多角化との関連性の大きな経営内部環境(アントレプレナーシップ及び経営資源)をあわせて把握した。分析の結果,農業経営の事業多角化は高度多角化型,事業補完型及び基幹事業探索型に類型化され,各類型の中でも経営内部環境の整った経営のみが経営発展(量的拡大及び質的変化)を達成していた。さらに,高度多角化型及び基幹事業探索型では多角化と経営内部環境が相互に影響しながら経営発展している一方で,事業補完型では多角化が経営発展に与える影響は限定的だった。本稿の結果は,多角化した農業経営の支援を考える際に,各経営における多角化の位置づけ及び経営発展のボトルネックを明確にすることの重要性を示唆している。In a drastically changing external environment, farm diversification serves several purposes, including additional income generation, risk reduction, and efficient resource utilization. In peri-urban agriculture, where structural diversification is widespread, the mechanism of farm development through diversification deserves attention. This study aims to demonstrate the interaction between farm development and each type of theoretically defined diversification using data from 18 farms located in urban areas in the Kanto region, Japan. The internal farm environment factors like entrepreneurship and management resources affect farm diversification. Consequently, farm structural diversification can be classified into four categories: highly diversified type, complementary enterprise type, search and selection type, and non-diversified type. The study identifies that farms of each category whose management exhibit factors like entrepreneurship, management skills, and active social networks, achieve farm development. Furthermore, in farms that were of the highly diversified type, and the search & selection type had an interaction between diversification and internal farm environment, the diversification of farms of the complementary enterprise type had little impact on its management. These findings have significant implications on policies supporting diversified farms. Research is required to identify the types of farm diversification and associated challenges for further growth.
著者
市ノ木山 浩道 竹内 雅己
出版者
日本農作業学会
雑誌
農作業研究 (ISSN:03891763)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.1-6, 2008
被引用文献数
2

収穫期に達した5.8aのミカン園を用いて,ウンシュウミカンの鳥害に対する牧羊犬(ボーダーコリー種)の防止効果について調査した.園の四周の一辺に張ったワイヤーに長さ1mの鎖で1匹の犬をつなぎ,犬がワイヤーに沿って自由に動き回ることができるようにした場合は,犬に近接したミカン樹列では鳥害が減少する傾向が見られたが,犬から離れた樹列においては鳥害は軽減されなかった.一方,同じミカン園の四周を金網塀で囲み,園内に1匹の犬を放任した場合は,犬は飛来した鳥を執拗に追跡して追い払い,その結果,園全体に亘って鳥害が軽減された.この方法による果実増収効果は1日当たり約17.5kg/aに相当した.これらのことから,ウンシュウミカンの鳥害防止に牧羊犬を活用する場合,犬をつなぎ止めずに園内に放任することが有効であることが示された.ミカン園の面積当たりの犬の最適頭数や,この鳥害防止法がミカン生産地域のすべてのミカン園に広がった場合の鳥害防止効果については,さらに研究が必要である.
著者
井上 哲朗 山本 利春 蒔田 実 井島 章 岩切 公治 山本 正嘉
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.27-34, 1994-08-31 (Released:2012-11-27)
参考文献数
15
被引用文献数
1

Isokinetic muscle strengths of kendo players were observed at fifteen male kendo players. The subjects were grouped into higher competitive ability (H-Group; 7 persons) and non-higher competitive ability players (NH-Group; 8 persons). Isokinetic muscle strengths at various speed were measured at elbow, trunk and knee by Isokinetic dynamometers. The results were as follows: 1) There were not significant differences in physique and body composition between two groups.2) Elbow extension force (absolute value) of H-group was significantly larger than NH-group.3) There were not significant differences in knee extension and flexion forces between two groups.4) Trunk extension force (back strength) of H-group was larger than NH-group.5) Circumferences of right upper arm, forearm and thigh were significantly larger than that of left ones, but the value of left calf was significantly larger than that of right one.6) Elbow extension force of right arm was significantly larger than that of left one, but for elbow flexion force the value of left arm was significatly larger than that of right one.
著者
増田 晃 助川 剛 水本 直恵 谷 浩行 宮本 忠 笹井 知美 馬場 栄一郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.1177-1182, 2000-11-25
被引用文献数
4 31

イヌの外耳炎ではMalassezia pachydermatisが優勢な起炎菌として検出されるが, この真菌の持つ宿主特異性や部位特異性を解明する一助とするため以下の調査と実験を行った.1370頭の来院犬中にみられた120頭の外耳炎症例を対象に, 外耳炎の発生率, 耳翼の形状, 犬種との関係について疫学的調査を行った.垂耳犬種では672頭中85例(12.6%)が, 立耳犬種では698頭中35例(5.0%)が外耳炎であり, 両犬種間には有意差がみられた(P<0.05).脂肪酸定量のための耳垢材料が採取できた95例の耳垢サンプルについて, 培養によりM.pachydermatisを確認した後, 主な脂肪酸をガスクロマトグラフィーにより定量した.M.Pachydermatisの検出率は垂耳犬種で55.2%, 立耳犬種で53.6%と差がなかったが, 総脂肪酸量の平均値は垂耳犬種の方が立耳犬種よりも高く, 立耳犬種でありながら極端に高い脂肪酸値を示したシベリアンハスキーの値を棄却すると両耳型群の間には有意な差(P<0.05)がみられた.42株のM.pachydermatis分離株について脂肪酸の発育増強効果を調べたところ, 大多数の菌株が脂肪酸を利用しながら速く発育することが分かった.以上の結果から、犬種により差はあるものの脂質が多量に分泌されるイヌの耳道内では脂肪酸を好むM.pachydermatisがよく発育し, これはM.pachydermatisがイヌ外耳炎の優勢起炎菌になる理由の一つであると考えられる.
著者
弘瀬 冬樹 前田 憲二
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.21-40, 2017-05-10 (Released:2017-09-07)
参考文献数
32
被引用文献数
1 1

Frequency-magnitude distributions are generally expressed by the Gutenberg-Richter (G-R) law. However, frequency-magnitude distributions are sometimes a convex-upward curve rather than a straight line, departing from the G-R law. An η value originally introduced by Utsu (1978) is an indicator that represents the degree of deviation from the G-R law. We investigate η values before and after six M7-9 class mainshocks off the Pacific coast of eastern Japan. The η values tend to become small (i.e., the distribution deviates from the G-R law) before the mainshocks, and then increase (i.e., recovering to the G-R law). Taking this characteristic into account, we suggest a simple and challenging earthquake forecast model based on η values. Probability gain of the optimized forecast model by a retrospective test becomes 2.24-3.03, and the alarm rate and the truth rate become 100% and 0.14-0.47%, respectively. According to the result of the forecast model applied to the latest seismicity, we should pay attention to seismicity off the coast southeast of Kanto district.
著者
萩原 栄揮 富田 晃 山下(土橋) 路子 新谷 勝広
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.179-184, 2018 (Released:2018-06-30)
参考文献数
16

甘果オウトウ ‘ナポレオン’ の花粉を供試し,in vitroで温度変化が花粉発芽と花粉管伸長に及ぼす影響を調査した.2段変温区(20°C, 2時間→4°C, 15時間→20°C, 3時間)と変温区(4°C, 15時間→20°C, 3時間)を一定温度の対照区(20°C, 3時間)と比較した.2段変温区では設定温度を20°Cから4°Cに変更すると花粉管の伸長速度は著しく低下した.再び,20°Cに移行しても伸長速度は当初の約50%に留まり,花粉管先端の屈折や肥大などの形態的な異常が観察された.変温区では,4°Cで15時間経過しても発芽は認められなかった.設定温度を20°Cに上げると花粉管の伸長は速い速度を示した.さらに,温度条件が異なる時間帯に受粉して結実率を比較したところ,結実は受粉する時間帯によって異なり,午前10時~午後2時の受粉で良好な結実が得られたが,気温が低い早朝や夕方の受粉では結実率が低下した.甘果オウトウでは気温の高い日中に受粉すると結実確保に有効であることが示された.
著者
土屋 京子
出版者
京都大学 (Kyoto University)
巻号頁・発行日
2013-03-25

新制・課程博士
著者
高野 正博 緒方 俊二 野崎 良一 久野 三朗 佐伯 泰愼 福永 光子 高野 正太 田中 正文 眞方 紳一郎 中村 寧 坂田 玄太郎 山田 一隆
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.134-146, 2010 (Released:2010-03-05)
参考文献数
34
被引用文献数
1 1

会陰部に慢性の鈍痛を訴える症例があり,括約不全・排便障害・腹部症状・腰椎症状を加え5症候が症候群を形成する.我々は2001~2005年に537例を経験し,女性に多く,平均58.5歳である. 症候別に他症候を合併する率は,肛門痛では括約不全27%と低い他は,排便障害67%,腹部症状56%,腰椎症状56%である.括約不全で排便障害78%,肛門痛72%,腹部症状56%と高い.排便障害で括約不全31%,肛門痛71%,腹部症状63%,腰椎症状54%.腹部症状でも括約不全が29%と低い他は肛門痛75%,排便障害80%,腰椎症状60%.腰椎症状では括約不全が31%と低い他は,肛門痛77%,排便障害77%,腹部症状71%と高い.括約不全が低いのは肛門機能障害のあと一つの排便障害が第3症候の排便障害と混同されたことによる.その他の症候の合併率は60~80%と高く,この症候群の存在意義は大きい. この症候の病態はS2,3,4より出る仙骨神経と同じ部位の骨盤内臓神経との障害で,前者支配の会陰・肛門部と,後者支配の直腸の機能障害との合併発生によると考える.
著者
魏 晶玄 野島 美保
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.47-62, 2004

<p>既存市場の有無が新製品市場に与える影響(経路依存性)を実証的に明らかにするために、新市場の初期ユーザー属性分析を行う。新市場としてオンラインゲーム産業をとりあげ、同一ゲームに対する日韓のユーザー調査を行い、ユーザー属性の国際比較を行う。既存のビデオゲーム市場が存在した日本と既存市場のない韓国等において、オンラインゲームの普及度合いに国際的な差異が生じているからである既存ビデオゲーム市場の存在が、日韓のユーザー属性の違いとして表れていることが、ユーザー調査によって明らかにされる。日本のビデオゲーム・ユーザーは同質的な集まりではなく、新しいオンラインゲームに対して異なる志向をもつ複数のユーザー群の集まりであることが示され、複数の異質的な初期ユーザー群を仮定したイノベーション研究の必要性を提唱する。</p>
著者
古澤 賢彦 金本 勇 若尾 義人 高橋 貢 宇根 有美 野村 靖夫
出版者
Japan Veterinary Medical Association
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.48, no.7, pp.501-504, 1995-07-20
参考文献数
16

チャウチャウ系雑種雄犬 (1歳4ヵ月齢) が腹水と徐脈を主徴として来院した. 高度の心拡大をともなう特発性心房停止を認め, 利尿剤投与と腹水の穿刺除去を継続したが, 11ヵ月の経過で死亡した. 剖検では高度の右房拡張が, 病理組織学的検査では心房の脂肪線維化が認められ, 基礎疾患として特発性右房拡張症が考えられた.