著者
天野 宏司
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.39, 2002

昭和2∼3年にかけ, 富山県内最大手の電気事業者, 富山電気(株)に対し, 電気料金引き下げを要求する電気争議が発生した。需要者側は電力料金の供託による不払い運動を全県下で展開し, これに対し富山電気(株)側は運動の中心人物に対し, 配電線を切断して供給を停止した結果, 全町村を挙げて電球返納·不買運動へと激化していく。この事態に際し, 地元町村自治体はランプの購入代金を補助するほか, 自治体経営による公営電気事業の設立を指向する。最終的に富山電気争議は知事の調停により収束するが, 解決後に富山県自身が発電事業のみを行っていた県営電気事業へ県下の電気事業者を統合しようとしていく。富山電気争議をきっかけとし, 全国的に電気争議が発生するが, 大正末から昭和初頭にかけ, 電気事業者が合併により企業数を減じている一方で公営電気事業は増加していった。背景として電灯争議をきっかけとした公営化を要因の一つと位置づける。
著者
金児 正史 成川 公昭 平野 康之
出版者
鳴門教育大学
雑誌
鳴門教育大学研究紀要 鳴門教育大学 編 (ISSN:18807194)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.90-100, 2015

The contents of the lectures and the learner's reaction in the pre master's course in a mathematical domain are reported here. Two contents in the lectures are designed, the area of a circle and an isoperimetric problem. All learners were middle school students and have got high motivation for mathematics. Although the learners know the formula of the area of a circle well, they have little experiences which make them realize that the formula does really hold. In the first lecture, an argument − to compare the areas of inscribed regular polygons with the one of a unit circle, whose idea comes to the usual measure theory in the future, was explained. Through the process of calculating the areas of various kind of inscribed regular polygons to a unit circle, the learners appreciated that the area of a unit circle is really equal to π and convinced themselves of the fact. In the latter lecture, they have considered an isoperimetric problem and showed that the equilateral triangle has the largest area among the triangles with constant perimeter. Although a few mathematical concepts and treatments have been required to follow the procedure of the arguments, they overcame these difficulties eagerly and recognized two contents of mathematics in the pre master's course. Through the program in the pre master's course in a mathematical domain, we noticed that learners with high motivation for mathematics study many advanced contents extensively and extend their interests for themselves only with the help of introducing well−suited orientations and with the proper support to give some necessary concepts.
著者
津田 敏隆 深尾 昌一郎 山本 衛 中村 卓司 山中 大学 足立 樹泰 橋口 浩之 藤岡 直人 堤 雅基 加藤 進 Harijono Sri Woro B. Sribimawati Tien Sitorus Baginda P. Yahya Rino B. Karmini Mimin Renggono Findy Parapat Bona L. Djojonegoro Wardiman Mardio Pramono Adikusumah Nurzaman Endi Hariadi Tatang Wiryosumarto Harsono
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.393-406, 1995-06-15
被引用文献数
20

日本とインドネシアの協力により1992年11月にジャカルタ近郊に赤道大気の観測所(6.4°S、106.7゜E)が開設され、流星レーダー(MWR)と境界層レーダー(BLR)が設置された。MWRにより高度75-100kmにおける水平風と温度変動が1時間と4kmの分解能で測定された。一方、BLRを用いて高度0.3-5kmの大気層の風速三成分を毎分100mの分解能で観測した。さらにBLRに音響発信器を併用したRASS(電波音響探査システム)技術により温度変動の微細構造をも測定した。これらのレーダーの運用は1992年11月のTOGA/COAREの強化観測期間に開始され、その後2年以上にわたって連続観測が続けられている。また、レーダー観測所から約100km東に位置するバンドン市のLAPAN(国立航空宇宙局、6.9°S、107.6゜E)において、1992年11月から1993年4月にかけて、ラジオゾンデを一日に4回放球し、高度約35kmまでの風速・温度変動を150mの高度分解能で測定した。その後、1993年10月から一日一回の定時観測(0GMT)も継続されている。この論文では観測所における研究活動の概要を紹介するとともに、観測結果の初期的な解析で分かった、TOGA/COARE期間中の熱帯惑星境界層の構造、対流圏内の積雲対流、ならびに赤道域中層大気における各種の大気波動の振る舞いについて速報する。
著者
都田 達也 渡辺 健衛 本間 靖昭 江連 恒夫
出版者
千葉県蚕業試験場
雑誌
千葉県蚕業試験場報告
巻号頁・発行日
no.11, pp.1-41, 1977-03

全耕地面積150a、労働力2名(夫婦)の経営規模の中で、桑園面積50aの養蚕を中核とし、これに水稲、養豚、露地野菜、ブロイラーなどの作目を加え、3~4種類の作目を組合せて、年収300万円以上の農業収入を目標にした複合経営の組立てを、農家の実態調査の結果及び統計資料をもとに、主として労働、施設利用の面に重点をおき検討した。1)養蚕+水稲+養豚 設定規模において、目標を達する場合、肥育豚経営の場合は年間200頭以上、繁殖・肥育一貫経営の場合は、年間子豚生産頭数320頭以上を必要とすると考えられ、他に桑園の間作が加われば更に有利な経営と考えられる。2)養蚕+水稲+露地野菜 この形態において、露地野菜の場合冬期間の労働力の利用ということに重点を置きすぎると、季節性の高いものだけに満足のゆく収入を得られない場合が多い。したがって、養蚕・水稲との労働競合はさけられ得ないとも考えられ、夏野菜の組入れにより、桑園間作も含めて、年間の畑地の高度利用の組立てが重要なポイントと考えられる。3)養蚕+水稲+ブロイラー 中核となる養蚕の技術体系中の蚕室を利用する場合を重点に考えると、飼養可能羽数は4,000羽となり、目標の収入を得ることは出来ない。この対策として、冬期間の桑園間作へのとり組みが必要となって来る。4)養蚕+水稲+椎茸 目下、生椎茸の値段は比較的安定し、複合経営にとっては有望な作目であるが、目標の収入を得るには20,000本程度のほだ木を伏込み、毎年10,000本程度の補充が必要である。したがって必要な原木を確保出来てしかも、ほだ木を伏込むほだ場のあることが、椎茸栽培を経営上有利にするための重要な条件となる。
著者
小作 浩美 相良 かおる 阿部 明典 納谷 太 大村 廉 桑原 教彰 小暮 潔
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集
巻号頁・発行日
vol.7, pp.2H510, 2007

<p>我々は、看護業務サポートシステムの構築の一環として、看護師の業務に関する音声データを収集し、看護業務を分析し、データベースを構築している。データベースは、イベント時間、看護師コード、患者コード、業務コード、音声書き起こしデータ等から構成されている。我々は、各コードからの業務量を視覚化するツールを開発した。これにより、各キー毎に簡単に看護業務量を視覚化することが可能となる。この結果、看護必要度を推定するための多面的な客観的データの提示が可能となる。<br>本稿では、看護業務分析のデータベースから、患者情報を抽出し、同一期間の看護師の業務量を算出法および、視覚化するツールについて紹介する。<br></p>
著者
高橋 泰
出版者
The Health Care Science Institute
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.43-57, 1995

現在急速に進行する高齢化に社会が対応するために最も必要とされる課題は,ある老人がいた場合,この人がどのような形態でケアの提供を受けるのが最も効率が良いかということをはっきりさせる方法論の開発であろう。この問題を解決するには,高齢者の機能レベルや家族状況毎に在宅で訪問サービスを受ける場合,老人病院,特別養護老人ホーム,老人保健施設等でサービスの提供を受ける場合のおのおののコスト計算が必要になる。そしてこれらのコストを比較するときには,在宅施設を問わず,すべてのコストが同じ物差しで測られる必要がある。今回の研究は,このようなコスト計算を行うための前段階と位置づけることができる。今回の研究では,(1)高齢者施設のユニット内で提供されている全サービスの分類およびユニット内で発生する全業務に対する業務コードの作成,(2)施設内で発生する全コストを調査するための基礎モデルの作成,という2つの作業を行った。
著者
佐藤 力夫
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.125-131, 1977-12-01 (Released:2017-08-10)
被引用文献数
1

カバシャク亜科(Archiearinae)は世界に2属7種しか知られていない小さいグループで(井上,1961),わが国にはArchiearis属の2種が分布している.いずれもヨーロッパとの共通種で,A. parthenias Linnaesカバシャクは,北海道と本州中部山地に分布し,それぞれsubsp. bella Inoue, subsp. elegans Inoueと別亜種にされている.またA. notha Hubnerクロフカバシャクは,1955年に岩手県盛岡市繋で1♂が発見されokanoi Inoueなる亜種名がつけられた.その後1961年から1963年にかけて岩手県紫波郡紫波町新山で再発見,一時は棲息地の環境の変化によって絶滅の危険があったが,幸にも1975年以降再び同地での棲息が確認されている(斉藤・片山,1976;佐竹・斉藤,1977).一方幼虫に関しては,中村(1975)がpartheniasの記載をおこない,斉藤・片山(1976)はnothaの採卵に成功し幼虫の飼育記録を報告している.しかし中村の記載には後述するように筆者の観察と一致しない点があり,斉藤・片山の記録には幼虫の形態(chaetotaxyなど)に関する記載が含まれていない.筆者は佐竹邦彦氏の御好意により,同氏が1976年4月25日に上記の紫波町新山で採集されたnothaの♀から得た卵をいただき,孵化幼虫にヤマナラシを与えて飼育することができた.また1977年7月3日長野県湯の丸高原においてシラカバを摂食中のpartheniasの中〜終齢幼虫を若干採集するとともに,杉繁郎氏からは同氏が1972年7月1日に同所で得た終齢幼虫1頭(液浸標本)の恵与を受けた.本報ではこれらの材料に基づいて両種の幼虫について若干の知見を述べたい.
著者
清水 洽
出版者
日本水道新聞社
雑誌
水道公論 (ISSN:13436007)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.42-48, 2020-12
著者
曾我部 静雄
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 = THE SHIRIN or the JOURNAL OF HISTORY (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.488-512, 1970-07-01

個人情報保護のため削除部分あり
著者
佐藤 達郎
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 = THE SHIRIN or the JOURNAL OF HISTORY (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.79, no.6, pp.852-880, 1996-11-01

個人情報保護のため削除部分あり
著者
鈴木 俊光 中川 清晴
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.66-79, 2011-03-01
参考文献数
44
被引用文献数
6

世界で最初に,ダイヤモンド微粒子を触媒担体に用いるいくつかの触媒反応を行った。ダイヤモンドは長年安定な物質と考えられていたが,その表面は水素や酸素と反応し,C&ndash;H結合や,C&ndash;O&ndash;C,C=O結合などが最表面に生成することが知られるようになった。我々は,酸素で表面処理したダイヤモンド(酸化ダイヤ,以下O-Diaと呼ぶ)を触媒担体に用いて,金属酸化物,金属を担持した触媒を調製し,次の反応にO-Dia担持触媒が高い活性を示すことを見出した。本論文では以下の反応に関する著者等の研究をまとめた。(1)酸化クロム/O-Dia触媒によるエタン,プロパンなどのアルカンの脱水素反応,(2)酸化バナジウム/O-Dia触媒によるエチルベンゼンの脱水素反応,(3)メタン,エタンの酸化バナジウム/O-Dia触媒上での二酸化炭素を酸化剤とする酸化反応によるアルデヒド生成反応,(4)Ni/O-Dia,Co/O-Diaを用いたメタンの部分酸化による合成ガス生成反応,(5)NiまたはPd/O-Dia触媒上でのカーボンナノフィラメント生成反応,(6)Ru/O-Dia触媒によるアンモニア合成反応。
著者
野崎 淳夫 吉澤 晋 小峯 裕己
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文報告集 (ISSN:09108017)
巻号頁・発行日
vol.411, pp.9-16, 1990-05-30 (Released:2017-12-25)
被引用文献数
1 1

It is important ot clarify the air pollutant emission rates from the appliances in residences in order to protect indoor air from polluting. Traditionally, the unvented portable kerosene heaters have been one of the most popular heaters in Japan. These unvented kerosene fired space heaters, as well known, produce accumulation of contaminants indoors, of which concentration depends on the room's ventilation characteristics as well as the appliance'. Especially the emission rates from the devices have the characteristics that change in the residence with low ventilation rate where slight decrease of oxygen concentration is caused by usage of combustion appliances in a room itself. We conducted laboratory tests on their air pollutant's emission rates under lower or higher ventilation rates to determine the relationships between indoor concentration of oxygen and the emission rates of nitrogen oxides, carbon monoxide from two popular types of heaters in Japan. One type is of radiant kerosene space heater, the other is of kerosene fueled "fan heater" which are widely utilized in throughout Japan. We found that, with O_2 depression, CO generation rate gradually increased and NO_x generation gradually decreased.
著者
佐々木 芙美子 八田 達夫 唐渡 広志 Fumiko Sasaki Tatsuo Hatta Koji Karato
雑誌
AGI Working Paper Series
巻号頁・発行日
no.2014, pp.1-15, 2014-03

本研究は違法駐輪対策として自治体が取りうる3つの政策、すなわち、①駐輪料金の引き下げ、②駐輪場の拡大、③撤去率の引き上げの効果分析を行う。具体的には、駅前に乗り入れる自転車のうち違法駐輪される割合を駐輪場料金,撤去活動水準,駐輪場収容可能台数などに回帰して政策変数の有効性を検討した。本研究では,山手線・中央線沿線(東京都)の40駅でそれぞれ集計されたデータを利用した。本稿では、違法駐輪数が多かった時期である2001年のデータを用いる。本研究の分析により、例えば高円寺では、1000万円の追加費用を違法駐輪対策としてかけた場合、料金を下げれば81台、撤去率を上げれば136台、駐輪場を増設すれば96台(その際に公共用地を利用すれば200台)、放置自転車が減ることが明らかになる。
著者
花輪 由樹 西垣 安比古
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.79, no.705, pp.2497-2505, 2014-11-30 (Released:2014-11-30)
参考文献数
26

This paper attempts to elucidate about a transition on volume changes of “home province” and “region” in course of study and a meaning of remaining “home province” in the showa 40s that was times changed from “home province” to “region”. First, in elementary school and junior high school, it was only in “social studies” that changed from “home province” to “region”. Secondly, for education about sense of dwelling, “home province” in the showa 40s was not sufficient.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ニューメディア (ISSN:02885026)
巻号頁・発行日
no.1483, 2015-10-05

通信政策、携帯電話<携帯電話料金は本当に高いのか> 2015年9月11日に開かれた経済財政諮問会議で、安倍総理が携帯電話料金の家計負担軽減が大きな課題だとして、高市総務大臣に対して料金引き下げの検討を指示した。通信を所管する総務大臣ではなく、総理大…
著者
松下 拓 松井 佳彦
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、遺伝子組み換え技術により発現させたノロウイルス外套タンパクと、ヒト水系感染症ウイルスを、全国の浄水場から送付いただいた水道原水に添加し、回分式凝集沈澱処理実験より浄水処理性を調べた。その結果、通常の浄水処理における凝集沈澱処理でのノロウイルスVLPsを含むヒト感染ウイルスの除去率は0~2.5 log程度であることが分かった。また、大腸菌ファージMS2はヒト感染ウイルスの代替指標として使うのは難しく、大腸菌ファージφX174の方が代替指標として適する可能性が示された。
著者
黒山 竜太 下田 芳幸 Ryuta KUROYAMA Yoshiyuki SHIMODA
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.13-20, 2010

本研究では、大学生の感じるストレスに対してストレスコーピングのあり方がどのように関連しているか、特に先延ばし傾向が及ぼす影響について男女別に検討した。対象者は大学生315名であった。質問紙は、ストレスコーピングに関連のあるとされる共感尺度、先延ばし傾向尺度、対人ストレスコーピング尺度、ストレス反応尺度で構成された。「抑うつ不安」「不機嫌怒り」「無気力」からなるストレス反応について重回帰分析を行った結果、男子では全てのストレス反応に対して先延ばし傾向の影響が大きいことが明らかとなった。また、女子では先延ばし傾向よりも被影響性の影響が大きいことがわかった。以上よりストレス反応に影響を与える傾向やコーピング手段が男女で異なり、ストレス反応の低減のために男子は問題を後回しにしないことや独りよがりにならないこと、女子は男子の傾向に加えて周囲に影響を受けすぎないことが重要であることが示唆された。