著者
櫻井 典之 本間 ふみか 和田 典男
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.403-407, 2007 (Released:2009-05-20)
参考文献数
36
被引用文献数
2

症例は78歳男性.64歳時に早期胃癌にて胃切除を施行した.術後3年頃より低血糖発作が出現し,当初ダンピング症候群と考えられていた.次第に頻度が多くなり,食後だけでなく空腹時にも低血糖が出現するようになった.当科受診時に38 mg/dlと低血糖を認め同時採血のIRI 15.5 μU/ml, CPR 5.66 ng/mlと高値を示した.75 gOGTTとグルカゴン負荷試験にてIRIの過剰反応を認めた.画像診断の結果から膵頭部のインスリノーマと診断した.外科にて膵頭十二指腸切除を施行したところ,病理組織所見は膵併存腫瘍でありリンパ節転移を認めた.手術後低血糖発作は完全に消失した.本症例は低血糖の診療に当たる際に示唆に富む症例であり,病理組織所見も膵併存腫瘍という特異な所見を呈していたので報告する.
著者
新津 勇助 谷 征興 上田 孝爾 和田 哲夫 中川 清
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.44, no.12, pp.1698-1706, 1990-12-20

放送局設備の自動化は合理化, 省力化, 事故防止などを目標としている.システムの自動化と各機器の固体化による信頼性向上との相乗効果により放送事故の件数は大幅な減少傾向をみせている.一方, システムの高度化により1件あたりの事故は大型化する事例も散見される.本稿では送出の分野を中心に放送局設備の自動化について概説する.
著者
和田 竜太
出版者
京都大学学生総合支援センター
雑誌
京都大学学生総合支援センター紀要 = Archives of student support in Kyoto University General Student Support Center
巻号頁・発行日
vol.49, pp.73-83, 2020

2019年末に「原因不明の肺炎」として中国・武漢で初めて報告された新型コロナウイルス(COVID–19)は, またたく間に世界中に拡散し, 深刻な事態となっている。日本においても2020年3月中旬-下旬から急激に感染者が増大し, 4月7日に7都道府県に出された緊急事態宣言は4月16日に全国に拡大され, 「不要不急」の外出自粛が要請される事態となっている。本稿では, 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う国内外の動きや, 本学やカウンセリングルームの対応を振り返りながら, 一学生相談カウンセラーである筆者から見たその動向について述べた。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う様々な事柄は誰しもが体験したことのないものであり, あらゆるところでその状況に翻弄されながら手探りでの対応を模索していることであろう。本稿での振り返りが今起こっている事態についての後の検証の素材の一つにでもなればと思う。
著者
和田 充弘 Mitsuhiro Wada
出版者
同志社大学日本語・日本文化教育センター
雑誌
同志社大学日本語・日本文化研究 = Bulletin of Center for Japanese Language and Culture (ISSN:21868816)
巻号頁・発行日
no.18, pp.1-20, 2021-03

享保期においては、吉宗の教化政策だけでなく、民間でも生活防衛の観点から教化活動が行われ、石田梅岩の『都鄙問答』『倹約斉家論』や佚斎樗山の『田舎荘子』といった教訓書が作られた。そのうち『田舎荘子』は談義本の初期の段階に位置づけられ、これに類似する作品がその後数多く登場した。こうした系譜に属するのが、大坂の町人学者であると思われる田中友水子である。友水子の作品の一つに、寛保二年(一七四二)頃の成立が推定できる『世間銭神論』がある。本書は中国西晋の『銭神論』の存在を念頭に置き、金銭というきわめて現実的な話題をテーマに掲げている点で、特異な性格を有している。その内容をみてゆくと、梅岩からは儒教的な仁愛の社会的な実現と利得を追求する過程との両立が、樗山からは老荘的な天地の造化に従う生き方が引き継がれるが、両者が異なる形で重視した強固な心の自覚が欠けている。『銭神論』が銭の万能を説きながら、拝金主義の世相と共に金銭の存在を否定的に捉えていた点もみられない。金銭の流通と仁愛との一致を大きな柱とした上で、倹約、勤勉といった道徳、それに知恵や才覚を用いながら、人々が自力で生活を維持しさらに向上させてゆく可能性を説くところに『世間銭神論』の特徴が見いだせる。またその内容は『商売往来』と共通するところも多く、そうしたことが庶民教育と戯作文学や町人文化との間における、接点の所在を示唆しているのではないか。研究論文(Article)
著者
和田 啓
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.105-112, 2021-05-31 (Released:2021-06-05)
参考文献数
31

Oxygen is needed to produce energy for aerobic organism. Oxygen molecule exhibits high reactivity, thereby constantly leading to super-reactive molecules called reaction oxygen species. My research has focused on the system involved in the cellular redox control including the O2-sensing, H2O2-scavenging and protecting the cells, and have revealed their molecular mechanisms by means of the structural, biochemical and spectroscopic analyses.
著者
和田 潤 井田 浩文 田澤 慎也 瓦口 泰一 叶 喜代森 上野 剛 吉村 天 秋元 孝之
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 平成26年度大会(秋田)学術講演論文集 第6巻 温熱環境評価 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.85-88, 2014 (Released:2017-11-15)

断熱等級2・3・4の住宅を用いた実験により,住宅の高断熱化は,開口部からの日射遮蔽がなされていれば,夏期のエアコン冷房においても電力消費を増大させる要因とはならず,特に電力の逼迫する外気温の高い日において効果が大きいことが検証された。また,エアコンの間欠運転 (30・60・90分間の一時停止)は,日積算電力量の削減にはつながらず,すなわち省エネルギーとはならず,再起動後のピーク電力のみが高くなる結果となった。。
著者
和田 美帆 仲島 茜 永浦 真由美 東之薗 宏規 日向 健介 和田 治弥
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.72-75, 2015-06-20 (Released:2016-06-20)
参考文献数
3

7歳,避妊済みの雌のビーグルが,2011年3月の震災後より尾の自傷行動が悪化したという主訴で来院した。種々の検査により,肝内門脈低形成から生じた肝機能障害が明らかになった。本症例には,肝機能障害への対症療法を優先的に実施したところ,尾の自傷行動も同時に減少させることが可能であった。
著者
和田 仁
出版者
香川高等専門学校
雑誌
高松工業高等専門学校研究紀要 (ISSN:03899268)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.105-127, 2003-03

幕末から一歩遅れて,明治三年に結成された赤心報国党の「尊王懐夷」運動は,時勢遅れであったとの評価が一般的である。しかしそれは後世の「勤皇家」顕彰運動に伴う「政治的評価」にすぎないのではなかろうか。本稿では,赤心報国党の同志たちも幕末の尊王討幕派と同じく「草莽」の人々であったことに視点を据えて,同志の一人,篠原箭太郎の書簡等を通じて,再検討してゆくことにする。
著者
多和田 裕司
出版者
日本文化人類学会
雑誌
民族學研究 (ISSN:24240508)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-19, 1991-06-30 (Released:2018-03-27)

本論文,マレーシア・クランタン州におけるマレー系村落での実地調査に基づき,村落におけるリーダーシップの検討を通して,何がマレー・リーダーシップの基盤に存在しているのかを分析する。そのさい,ひとりのプンフル(村落レベルでのリーダー)の姿を具体的に描き出すことによって,従来の社会構造論的,機能論的研究においては見逃されてきた文化的な「力」がリーダーシップを構成する力として存在することを指摘する。
著者
和田 信哉 中川 裕之 岩田 耕司
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.69-80, 2017 (Released:2020-01-26)
参考文献数
21

本稿は,算術から代数への移行に関し,「初期の代数」の観点から算数へアプローチする研究の一環として,小学校第3学年「□を使った式」の授業構成について実証的に検討するものである。具体的には,児童の□の意味,式の見方,演算の相互関係の認識それぞれの変容を分析し,そこで現れる代数的推論を同定し,それらの変容とのかかわりを明らかにすることを目的とした。その結果,本授業構成では,一般的な指導とは異なり□を一般数として導入することで,児童たちは自然と□を使っていた。また,□の意味や式の見方,演算の相互関係の認識が相互作用的に変容して高まる姿がみられた。そしてその高まりには,代数的推論が密接にかかわっていることを示した。
著者
志村 俊昭 小山内 康人 豊島 剛志 大和田 正明 小松 正幸
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 = THE JOURNAL OF THE GEOLOGICAL SOCIETY OF JAPAN (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.11, pp.654-665, 2006-11-15
参考文献数
57
被引用文献数
2

日高変成帯は,第三紀の火成弧の地殻断面であると見なされている.シンテクトニックなトーナル岩マグマは地殻規模のデュープレックス構造のフロアースラスト,ランプ,ルーフスラストに沿って迸入している.このトーナル岩マグマは露出していない最下部地殻のアナテクシスによって生じた.<br>日高変成帯北部の新冠川地域には,含輝石トーナル岩類(最下部トーナル岩体)が分布している.このトーナル岩体には,斜方輝石の仮像や,アプライト脈などの様々な冷却過程を示す証拠を見ることが出来る.これらの組織から,このトーナル岩体の冷却過程が明らかになった.シンテクトニックなトーナル岩体と,変成岩層の<i>P</i>-<i>T</i>-<i>t</i>経路は地殻の上昇テクトニクスを示している.一方,デラミネーションを起こした最下部地殻の<i>P</i>-<i>T</i>-<i>t</i>経路も推定することが可能である.<br>
著者
和田 修平 椎塚 久雄
出版者
The Japan Joint Automatic Control Conference
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.38-38, 2010

現在,音楽は色々なメディアを通し人々に浸透している.人々はそれぞれのニーズにあった流れで音楽を入手している.CDショップでCDを購入する際は,アーティストや曲やPOP,ジャケットなど多くの要素が購入のプロセスに影響していると考えられる.商品のパッケージは,消費者に知覚・認知,記憶させそれがイメージ喚起と繋がり,購入のきっかけになるとされている.本稿ではCDジャケットに着目し,CDにおけるジャケットの価値を見いだすことを目的としている.
著者
落合 博志 陳 捷 小川 剛生 岡 雅彦 堀川 貴司 住吉 朋彦 岡 雅彦 藤本 幸夫 堀川 貴司 陳 捷 和田 恭幸 住吉 朋彦 小川 剛生 岡崎 久司 村木 敬子
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、中世日本の刊本、特に五山版(主に禅宗の寺院で出版された本)を対象として、日本国内及び海外に存在する原本を調査して書誌データを採取し、それに基づいて五山版序跋・刊記集成、中世出版年表、五山版所在目録を作成するとともに、五山版の持つ様々な問題について考察した。具体的には、各伝本の版本としての位置付けと資料的価値、同時代における五山版の受容、五山版と中国・朝鮮刊本との関係等であり、これらを通して、五山版の日本の出版史における意義や、文化の発展に及ぼした役割などについて、多くの新しい知見を得た。
著者
和田 謙一郎
出版者
四天王寺大学
雑誌
四天王寺大学紀要 (ISSN:18833497)
巻号頁・発行日
no.66, pp.75-89, 2018-09-25

本稿は、主に視覚障害者が65 歳に達した場合に介護保険制度・障害者総合支援制度がどのように適用されるのかを念頭に、高齢・障害双方の在宅サービスを担う「共生型サービス」の位置づけと、高齢障害者がそれをいかに適切に利用可能としていくのか、それらを検討するものである。65 歳問題と共生型サービスは、普遍化されたニーズとそれに応えるサービスに更に特化したサービスを加えるものとはいえない。長年、難病等の疾病や各種障害、そして高齢について個別に制度運用と適用されてきたものが、地域共生の名の下で、在宅サービスに限り社会保障費抑制策としてサービスを普遍化するものと言っても過言ではない。その普遍化とは、市場原理と所得再分配機能が混在するものになる。運営する側の自治体も、サービスの担い手となる事業者も、そしてサービス利用者も、この混乱ぶりを重く感じているのである。
著者
和田 隆宏 坂東 昌子 真鍋 勇一郎
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

放射線の生体影響について、修復効果を取り入れた数理モデル(WAMモデル)によって低線量率長期被ばくの影響について定量的に解析した。特にオークリッジ国立研究所におけるマウスの突然変異の線量・線量率依存性に関する実験を詳細に検討し、WAMモデルの有効性を示した。また、ショウジョウバエにおいても線量率効果を考慮することで長期照射データが説明できることを示した。福島県の県民健康調査で発表されている市町村ごとの小児甲状腺がんの発生数と、震災から数ヵ月後に測定された放射線量のデータの相関関係を定量的に調べ、論文として発表した。また、マウスの長期照射実験における寿命短縮に関する数理モデルを構築した。
著者
坂尻 正次 岡田 伸一 竹内 恭彦 富田 英雄 和田 親宗
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 23.31 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.11-18, 1999-04-16 (Released:2017-06-23)

本研究の目的は、盲ろう者の指点字によるコミュニケーションを補助するための支援機器を開発することである。まず、振動を用いた指点字提示方式についての基礎的検討をおこない、最適な呈示条件を定めた。この呈示条件でコミュニケーション評価実験をおこない、健常者と盲ろう者が通訳者を介さずに直接コミュニケーションがおこなえることを確認した。